JP6148547B2 - フロントフォーク - Google Patents
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Description
なお、ピストンロッド15と延長ロッド16は、上述したようにピストンロッド15と延長ロッド16とに分割せずに、一本のピストンロッドで構成しても良い。この場合、ピストンロッドが貫通可能となるようにピストンを構成し、ピストンロッドの外周にピストンを固定するための固定手段を設ければ良い。
インナーチューブ12は、上端から下端にかけて一定の外径で形成された所定長さの筒体であって、当該インナーチューブ12の底部を形成する車軸ホルダ50と、ピストン40の外周が摺動する円筒状のシリンダチューブ51と、ピストン40から延長された延長ロッド16をガイドするガイドチューブ52と、フロントフォーク10における減衰力を発生させる減衰力発生装置140とを備える。
車軸支持部50Aは、車軸ホルダ50の軸線に対して直交方向に貫通する車軸貫通孔50aが形成される。車軸貫通孔50aには、内周から車軸ホルダ50の下端面に向けて切割部50bが延長する。切割部50bは、車軸貫通孔50aの下側において、この切割部50bの延長方向と直交するように形成されたネジ孔50cに螺合させた図外のボルトを締め付けて車軸を挟持固定する。
したがって、車軸ホルダ50は、インナーチューブ12の下端が突当部53cに突き当たるまで、ねじ部53aにインナーチューブ12を螺合させることで、インナーチューブ12の内周と車軸ホルダ50の外周とが上述のシール部材53bによりシールされて液密状態で車軸ホルダ50に固定される。
上部側のシリンダチューブ固定部54a及び下部側のガイドチューブ固定部54bは、インナーチューブ12の軸心と同心円状に底部方向に縮径する階段状の穴として形成される。
シリンダチューブ固定部54aは、車軸ホルダ50の組付部50Bの内周面53dとシリンダチューブ51の外周51aとの間に隙間e1を有するように、車軸ホルダ50の内径よりも小さな寸法のねじ穴として形成される。
このねじ穴にシリンダチューブ51の一端側外周を螺着し、シリンダチューブ固定部54aとガイドチューブ固定部54bとの間において環状に形成された環状部54cに、下端を突き当てて車軸ホルダ50内に立設される。環状部54cは、上述した車軸ホルダ50の突当部53cよりも下側に位置するように形成される。
車軸ホルダ50の側部からは、上記圧側油室127Aからの作動油Kを流通させる圧側油室流路57Aと、伸側油室127Bからの作動油Kを流通させる伸側油室流路57Bとが開口している。
なお、本実施形態のフロントフォーク10では、作動油室A及び圧側油室流路57A、伸側油室流路57B間において作動油Kが封入されている。
バルブ収容孔114Aは、底部において圧側油室流路57Aと連通し、開口端側の側部において、連通路Mbと連通する。バルブ収容孔114Aの内部には、減衰力発生装置140の基体となるバルブピース141が収容される。
バルブピース141は、大径の筒体よりなる大径部141Bと、この大径部141Bの一端よりフロントフォーク10方向に突出する小径の筒体よりなる小径部141Aとを有する。
伸側減衰力発生部260の内側に隣接してセンタープレート145が小径部141Aに介装される。センタープレート145は、環状に形成されたリング状部材であって、内周面に円周方向に沿って連続的に窪む環状溝145Aと、環状溝145Aから外周面145aと連通する孔145Bとを備える。このセンタープレート145は、バルブピース141の取り付けられたときに、環状溝145Aがバルブピース141の孔172Aに一致して、センタープレート145の外周側外部とバルブピース141内部とが連通する。
圧側減衰力発生部250は、センタープレート145の側から、圧側減衰バルブ151、圧側流量規制体150、伸側チェック弁162が順に小径部141Aに装填される。圧側減衰力発生部250を組付けた状態においてバルブピース141の露出する小径部141Aに、内側バルブホルダ142を介在させてナット200を螺合させることで、フロントフォーク10において減衰力を発生させる圧側減衰力発生部250と伸側減衰力発生部260とがバルブピース141に一体に組み付けられる。圧側流量規制体150には、圧側減衰バルブ151により開閉される圧側流路150Aと伸側チェック弁162により開閉される伸側流路150Bが設けられる。なお、圧側流路150A,伸側流路160Aは、小径部141Aと平行方向に延長する。
このとき、バルブ収容孔114Aは、内周114cが、圧側流量規制体150の外周、及び伸側流量規制体160の外周と液密になるように形成される。さらに、キャップ144がバルブ収容孔114Aの開口ねじ部114aと液密に螺着して固定される。
圧側バイパス流路172は、伸圧共用流路146Aに開口するとともに、バルブピース141に設けた孔172A、センタープレート145に設けた孔145Bを介して伸圧共用流路146Cに開口する。
また、伸側アジャスタ180は、伸側の減衰力を調整するための操作部として機能し、圧側アジャスタ170と並列配置され、外部から回転操作可能に外側バルブホルダ143に液密に枢着され、伸側減衰力調整弁181が圧側減衰力調整弁171のロッド周囲に遊挿されるとともに、そのフランジ部181Aに伸側アジャスタ180の雄ねじ部が螺合され、伸側アジャスタ180の回転によって伸側減衰力調整弁181の先端ニードル弁を伸側バイパス流路182の開口に対して進退させる。つまり、伸側アジャスタ180の操作により伸側減衰力調整弁181が、伸側減衰力調整手段として機能する。
このように、圧側アジャスタ170と伸側アジャスタ180とを並列配置することで、作業者による圧側や伸側の減衰力の調整が容易となる。
[圧側行程]
フロントフォーク10が収縮する圧側行程では、ピストン40の圧側動作により加圧された圧側油室127Aの作動油Kが、圧側油室流路57Aを介して減衰力発生装置140内の伸圧共用流路146Aに押し出され、図3(a)の実線矢印f1及び破線矢印f4で示すように、圧側減衰力発生部250と圧側バイパス流路172に向けて流れる。
伸圧共用流路146Aから圧側減衰力発生部250に流れた作動油Kは、圧側流量規制体150の圧側流路150Aと伸側チェック弁162との間にあらかじめ設けられた隙間から圧側流路150Aに流れ込み、圧側減衰バルブ151を押し開いて圧側減衰力が発生する。この圧側減衰バルブ151から伸圧共用流路146Cに流出する作動油Kは、センタープレート145の周りを回り込み、伸圧共用流路146Cにおいて図中実線矢印f2,f3で示すように、2分され、一方が伸側流量規制体160の圧側流路160Bの圧側チェック弁152から伸側油室流路57Bを通って伸側油室127Bに流出し(実線矢印f2)、他方が中間室149から油溜室流路114Bを経て油溜室132に流出する(実線矢印f3)。
伸圧共用流路146Aから圧側バイパス流路172に流れた作動油Kは、圧側バイパス流路172を流れて、主としてセンタープレート145の孔145Bから破線矢印f5で示すように中間室149に流出し、上述した圧側減衰力発生部250を経由した作動油Kと合流する。この合流した作動油Kは、実線矢印f2で示すような伸圧共用流路146Bに向かう流れと、実線矢印f3で示すように中間室149から油溜室流路114Bを経て油溜室132へ向かう流れとに分流される。油溜室132へ向かう流れは、加圧室132Aからの圧力によって所定圧力に規制されるため、実質的には、中間室149から伸側油室127Bへ向かう流れが主流となる。したがって、圧側油室127Aから伸側油室127Bへと向かう作動油Kの流量は、圧側減衰力調整弁171の先端ニードル弁171Bの進退量を圧側アジャスタ170で調整することで圧側バイパス流路172の開口面積を変化させて調整される。
フロントフォーク10が伸長する伸側行程では、ピストン40の伸側動作により加圧された伸側油室127Bの作動油Kが、伸側油室流路57Bを介して減衰力発生装置140の伸圧共用流路146Bに押し出され、図3(b)の実線矢印g1及び破線矢印g4で示すように、伸側減衰力発生部260と伸側バイパス流路182に向けて流れる。
伸側減衰力発生部260に流れた作動油Kは、伸側流量規制体160の伸側流路160Aと圧側チェック弁152との間にあらかじめ設けられた隙間から伸側流路160Aに流れ込み、伸側減衰バルブ161を押し開いて伸側減衰力が発生する。この伸側減衰バルブ161から伸圧共用流路146Cに流出する作動油Kは、センタープレート145の周りを回り込み、実線矢印g2で示すように油溜室132から補給される作動油Kと合流した後、実線矢印g3で示すように圧側流量規制体150の伸側流路150Bの伸側チェック弁162を押し開き、伸圧共用流路146Aを経て圧側油室流路57Aを通って圧側油室127Aに流出する。
伸圧共用流路146Bから大径部141Bの周壁に設けられた複数の孔141Fを経て伸側バイパス流路182に流れた作動油Kは、伸側減衰力調整弁181の先端ニードル弁181Bと中空部141Cの開口との隙間で構成される伸側バイパス流路182を流れて、主としてセンタープレート145の孔145Bから中間室149に向かう流れ(破線矢印g5)となって中間室149に流出し、伸側減衰力発生部260を経由して中間室149に流出した作動油K、及び加圧室132Aの圧力により油溜室132から油溜室流路114Bを経て中間室149に流出(実線矢印g2)した作動油Kと合流する。この合流した作動油Kは、実線矢印g3で示すように圧側油室127Aに流出する。したがって、伸側油室127Bから圧側油室127Aへと向かう作動油Kの流量は、伸側減衰力調整弁181の先端ニードル弁181Bの進退量を伸側アジャスタ180で調整することで伸側バイパス流路182の開口面積を変化させて調整される。
また、減衰力発生装置140を一つの油室間流路F上に直列に並設したことで、減衰力発生装置140内を流通する流量が増加するとともに、減衰力の調整を可能とする圧側バイパス流路172や伸側バイパス流路182の流量が増加するため、その調整範囲を従来よりも大きくすることができる。
また、ガイドチューブ52の内周側の圧力を大気開放したことで、フロントフォーク10における伸縮動作において、作動油室A内におけるピストンロッド15の進退に伴なう体積変化がないため、ストローク範囲全般にわたり作動油室A内の圧力が一定となり、安定した減衰力フィーリングを得ることができる。
なお、上述した実施形態では、ピストン40はシリンダチューブ51内での摺動に伴ない作動油を上下方向に流通させる流路孔を備えていないものとして説明したが、上下方向に作動油を流通可能とする流路孔、及びこの流路孔を流通する作動油の流量を制御するバルブを備えるように構成しても良い。
40 ピストン、51 シリンダチューブ、52 ガイドチューブ、
60 区画部材、127A 圧側油室、127B 伸側油室、
140 減衰力発生装置、250 圧側減衰力発生部、260 伸側減衰力発生部。
Claims (5)
- 車体側チューブと車軸側チューブとを互いに摺動自在に嵌合したフロントフォークであって、
車軸側チューブの底部から円筒状のシリンダチューブを車軸側チューブと同軸に立設し、
車軸側チューブの内部空間を空気室と作動油室に液密状態で区画する区画部材をシリンダチューブの上端側に設け、
車体側チューブに固定したピストンロッドを前記区画部材に液密状態で貫通させ、シリンダチューブ内に進入したピストンロッドに、ピストンロッドの端部が突き出るようにピストンを取付け、シリンダチューブ内のピストン下部に圧側油室を区画し、
ピストンのストローク範囲よりも上側に、前記区画部材と前記シリンダチューブとで囲まれた空間から車軸側チューブの内周とシリンダチューブの外周とで囲まれた空間に連通して作動油の相互の流通を許容する流通孔を設けて、車軸側チューブの内周とシリンダチューブの外周とで囲まれた空間とシリンダチューブ内のピストン上部からなる伸側油室を区画し、
ピストンのストローク範囲よりも下側で前記圧側油室に連通し、圧側油室と伸側油室との間の作動油の流通を可能にする油室間流路を設け、
前記油室間流路上に減衰力を発生させる減衰力発生装置を前記作動油室の外部に配置し、
前記減衰力発生装置を流れる作動油に抵抗を生じさせて減衰力を発生させる圧側減衰力発生部と伸側減衰力発生部とを流れ方向に沿って直列に一体化したことを特徴とするフロントフォーク。 - 前記シリンダチューブの内部に前記車軸側チューブの底部から円筒状のガイドチューブを立設し、
前記ピストンから突き出たピストンロッドの端部側を前記ガイドチューブの内周側に液密に挿入し、ガイドチューブの内周空間を大気開放したことを特徴とする請求項1記載のフロントフォーク。 - 減衰力発生装置は、前記圧側減衰力発生部と前記伸側減衰力発生部との間に中間室を備え、
圧側油室の作動油を中間室に流出させるときに、圧側減衰力を発生させる圧側流路と、中間室から圧側油室への作動油の流れのみを許容する伸側チェック弁とを前記圧側減衰力発生部に設け、
伸側油室の作動油を中間室に流出させるときに、伸側減衰力を発生させる伸側流路と、中間室から伸側油室への作動油の流れのみを許容する圧側チェック弁とを前記伸側減衰力発生部に設け、
前記中間室をリザーバ室と連通したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のフロントフォーク。 - 前記リザーバ室に前記中間室を加圧する加圧室を設け、前記中間室の作動油を加圧することを特徴とする請求項3記載のフロントフォーク。
- 前記減衰力発生装置は、前記圧側減衰力発生部に設けられた圧側流路及び前記伸側減衰力発生部に設けられた伸側流路を迂回し、前記圧側油室と前記伸側油室とに連通するバイパス流路と、
前記バイパス流路の圧側油室側から当該バイパス流路に流入する作動油の流量を調整する圧側減衰力調整手段と、
前記バイパス流路の伸側油室側から当該バイパス流路に流入する作動油の流量を調整する伸側減衰力調整手段と、
を備え、
圧側減衰力調整手段による流量の調整を操作する圧側減衰力操作部と、
伸側減衰力調整手段による流量の調整を操作する伸側減衰力操作部とを並列配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか記載のフロントフォーク。
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