JP2015143104A - 車両の制御装置、及び車両の制御方法 - Google Patents

車両の制御装置、及び車両の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エンジンの出力軸に機械的に結合されたモータを車両走行中のトルクアシストに拡大して、運転性を良くする。【解決手段】エンジンの出力軸に機械的に結合されたモータと、エンジンと変速機との間に配置され、エンジンと変速機との間を締結または開放するためのロックアップクラッチを有するトルクコンバータと、エンジンをトルクアシストするように、モータに所定のアシストトルクを発生させるモータ制御手段と、を備え、モータ制御手段は、ロックアップクラッチが締結しているとき、トルクアシストを許可する。【選択図】図5

Description

本発明は、車両の制御装置、及び車両の制御方法に関する。
エンジンの出力軸にベルトを介してモータジェネレータを機械的に結合し、このモータジェネレータでエンジンの始動を行う技術が知られている(特許文献1参照)。
特開2007−292079号公報
ところで、上記モータジェネレータを使用する範囲をエンジンの始動用のみにとどめるのではなく、車両走行中のトルクアシスト用にまで拡大することができれば運転性がよくなると本発明者が発想した。
しかしながら、上記特許文献1の技術では、モータジェネレータをエンジンの始動用に用いる場合しか考慮しておらず、車両走行中のトルクアシストに拡大した場合のモータの設計・制御方法については一切記載がない。
本発明は、エンジンの出力軸にベルトを介して機械的に結合されたモータを車両走行中のトルクアシストに拡大して使用し、運転性を良くする装置を提供することを目的とする。
本発明による車両の制御装置は、エンジンの出力軸に機械的に結合されたモータと、エンジンと変速機との間に配置され、エンジンと変速機との間を締結または開放するためのロックアップクラッチを有するトルクコンバータと、エンジンをトルクアシストするように、モータに所定のアシストトルクを発生させるモータ制御手段と、を備え、モータ制御手段は、ロックアップクラッチが締結しているとき、トルクアシストを許可する。
本発明によれば、ロックアップクラッチを締結しているとき、モータによってトルクアシストを許可して、モータを車両走行中のトルクアシストに拡大して使用することで、運転性を良くすることができる。
図1は、第1の比較例における車両の駆動装置の概略構成図である。 図2はガソリンエンジンの制御システム図である。 図3は、第1の比較例において、エンジン始動の開始からエンジン回転速度、車両トルク、車速、アクセル開度がどのように変化するのかをモデルで示したタイミングチャートである。 図4は、モータジェネレータを用いたトルクアシスト制御のフローチャートである。 図5は、本実施形態において、エンジン始動の開始からエンジン回転速度、車両トルク、車速、アクセル開度がどのように変化するのかをモデルで示したタイミングチャートである。 図6は、本実施形態における車両駆動装置によって行われる、モータジェネレータを用いたトルクアシスト制御のフローチャートである。 図7は、第2の比較例において、エンジン始動の開始からエンジン回転速度、車両トルク、車速、アクセル開度がどのように変化するのかをモデルで示したタイミングチャートである。 図8は、第2の比較例における車両駆動装置によって行われる、モータジェネレータを用いたトルクアシスト制御のフローチャートである。 図9は、第3の比較例において、エンジン始動の開始からエンジン回転速度、車両トルク、車速、アクセル開度がどのように変化するのかをモデルで示したタイミングチャートである。 図10は、第3の比較例における車両駆動装置によって行われる、モータジェネレータ21を用いたトルクアシスト制御のフローチャートである。
−第1の比較例−
図1は、第1の比較例における車両の駆動装置の概略構成図である。図1において、車両1には、エンジン2、モータジェネレータ21、エアコン用コンプレッサ31が設けられている。具体的には、エンジン2の出力軸3、モータジェネレータ21の回転軸22、エアコン用コンプレッサ31の回転軸32が平行に配置され、出力軸3の一端にクランクプーリ4が、回転軸22、32に各プーリ23、33が取り付けられている。これら3つの各プーリ4、23、33にはベルト5が掛け回され、エンジン2の出力軸3、回転軸22、32の間は、ベルト5によって動力が伝達(伝導)される。
スタータ6は、エンジン2の始動に用いられる。エンジン2の出力軸3の他端には、トルクコンバータ8、ベルト式の自動変速機9が接続されている。トルクコンバータ8は、図示しないポンプインペラ、タービンランナを有する。ベルト式の自動変速機9は、図示しないプライマリプーリ、セカンダリプーリ、これらプーリに掛け回されるスチールベルトを有する。エンジン2の回転駆動力は、これらトルクコンバータ8、自動変速機9を介して、最終的に車両駆動輪(図示しない)に伝達される。
車両1の電源として、メインバッテリ41とサブバッテリ42が設けられている。いずれも14Vバッテリである。2つのバッテリ41、42の間は、並列された2つのリレー43によって接続されている。
上記のスタータ6、モータジェネレータ21は、メインバッテリ41とリレー43の間に接続され、電力はメインバッテリ41から供給される。なお、モータジェネレータ21は、交流機から構成されているため、メインバッテリ41からの直流を交流に変換するインバータ24を付属している。
エンジンコントロールモジュール(ECM)51は、エンジン2、スタータ6及びモータジェネレータ21を制御する。
図2はガソリンエンジンの制御システム図である。各吸気ポート(図示しない)には、燃料噴射弁7が設けられている。燃料噴射弁7は、燃料をエンジン2に間欠的に供給するものである。
吸気通路11には、電子制御のスロットル弁12が設けられ、スロットルモータ13によってスロットル弁12の開度(以下、「スロットル開度」という。)が制御される。実際のスロットル開度は、スロットルセンサ14により検出され、エンジンコントロールモジュール51に入力される。
エンジンコントロールモジュール51には、アクセルセンサ53からのアクセル開度(アクセルペダル52の踏込量)の信号、クランク角センサ54からのクランク角の信号、エアフローメータ55からの吸入空気量の信号が入力される。クランク角センサ54の信号からは、エンジン2の回転速度が算出される。エンジンコントロールモジュール51は、これらの信号に基づいて、目標吸入空気量及び目標燃料噴射量を算出し、目標吸入空気量及び目標燃料噴射量が得られるように、スロットルモータ13及び各燃料噴射弁7に指令を出す。
ここで、吸入空気量の制御について概説する(特開平9−287513号公報参照)。アクセル開度APOとエンジン回転速度Neとから所定のマップを検索することにより、目標基本吸入空気量及び目標当量比tDMLをそれぞれ算出する。目標基本吸入空気量を目標当量比tDMLで除算した値を目標吸入空気量とする。そして、この目標吸入空気量とエンジン回転速度から所定のマップを検索することにより、目標スロットル弁開度を求める。目標スロットル弁開度を指令値に変換して、スロットルモータ13に出力する。
次に、燃料噴射(燃料噴射量及び燃料噴射時期)の制御について概説する。エアフローメータ55の出力をA/D変換し、リニアライズして吸入空気量Qaを算出する。この吸入空気量Qaとエンジン回転速度Neから、ほぼ理論空燃比(当量比=1.0)の混合気が得られる基本噴射パルス幅Tp0[ms]を、Tp0=K×Qa/Ne(ただし、Kは定数)として求める。次に、
Tp=Tp0×Fload+Tp-1×(1−Fload)
ただし、Fload:加重平均係数、
Tp-1:前回のTp、
の式によりシリンダ空気量相当パルス幅Tp[ms]を求める。これは、シリンダ(燃焼室)に流入する空気量(つまりシリンダ空気量)がエアフローメータ部での吸入空気量に対して応答遅れを有するので、この応答遅れを一次遅れで近似したものである。一次遅れの係数である加重平均係数Fload[無名数]は、回転速度Ne及びシリンダ容積Vの積Ne・Vと吸気管の総流路面積Aaから所定のマップを検索することにより求める。このようにして求めたシリンダ空気量相当パルス幅Tpに基づいて、燃料噴射弁7に与える燃料噴射パルス幅Ti[ms]を、
Ti=Tp×tDML×(α+αm−1)×2+Ts
ただし、tDML:目標当量比[無名数]、
α:空燃比フィードバック補正係数[無名数]、
αm:空燃比学習値[無名数]、
Ts:無効噴射パルス幅[無名数]、
の式により算出する。そして、所定の燃料噴射時期になったときに、この燃料噴射パルス幅Tiの期間、燃料噴射弁7を開く。
なお、ガソリンエンジン2では、燃焼室(シリンダ)に臨んで点火プラグを備えている。エンジンコントロールモジュール51は、圧縮上死点前の所定の時期に点火コイルの一次側電流を遮断することにより点火プラグに火花を発生させ、これによって燃焼室内の混合気に点火する。
また、エンジンコントロールモジュール51は、スタータスイッチ56からの信号に基づいて、初回の始動要求があると判断したときには、スタータ6を駆動しエンジン2を始動させる。
エンジンコントロールモジュール51は、燃費向上を目的として、アイドルストップ制御を行う。すなわち、アクセルペダル52が踏み込まれておらず(APO=0)、ブレーキペダル57が踏み込まれ(ブレーキスイッチ58がON)、かつ車両1が停止状態にある(車速VSP=0)ときに、アイドルストップ許可条件が成立する。アイドルストップ許可条件が成立すると、燃料噴射弁7から吸気ポートへの燃料噴射を遮断して、エンジン2を停止する。これにより、無駄な燃料消費を低減する。
その後、アイドルストップ状態で、アクセルペダル52が踏み込まれたり、ブレーキペダル57が戻される(ブレーキスイッチ58がOFF)などすると、アイドルストップ許可条件が不成立となる。アイドルストップ許可条件が不成立となると、モータジェネレータ21をスタータとして用いてエンジン2をクランキングし、燃料噴射弁7からの燃料噴射と点火プラグによる火花点火とを再開して、エンジン2を再始動する。
このように、モータジェネレータ21をアイドルストップからのエンジン再始動用として専ら用いることで、スタータ6の使用頻度を減らして、スタータ6を保護する。なお、スタータ6やモータジェネレータ21を駆動するときには、エンジンコントロールモジュール51により、2つのリレー43をともに遮断して、メインバッテリ41とサブバッテリ42を電気的に切り離す。これによって、エンジン2の始動操作に伴ってサブバッテリ42の電圧が変動することを防止する。
図1に戻り、説明を続ける。車両1には、自動変速機用コントロールユニット(CVTCU)61が設けられている。自動変速機用コントロールユニット61は、車速とスロットル開度とから定まる車両の走行条件に応じて、自動変速機9の変速比を無段階に制御する。また、ポンプインペラ、タービンランナを有するトルクコンバータ8には、ポンプインペラとタービンランナとを締結・開放する機械式のロックアップクラッチ60が設けられている。ロックアップクラッチ60を締結する車両の走行域は、ロックアップ領域(車速とスロットル開度とをパラメータとしている)として予め定められている。自動変速機用コントロールユニット61は、車両の走行条件がロックアップ領域となったとき、ロックアップクラッチ60を締結してエンジン2と変速機9とを直結状態とし、車両の走行条件がロックアップ領域でないときには、ロックアップクラッチ60を開放する。エンジン2と変速機9とを直結状態としたときには、トルクコンバータ8でのトルクの吸収がなくなり、その分燃費が良くなる。自動変速機用コントロールユニット61は、ロックアップの状態を示す信号、具体的には、ロックアップ完了を示す信号、非ロックアップ状態を示す信号、および、ロックアップクラッチ60が開放されている状態から締結される状態へのロックアップ遷移中であることを示す信号をエンジンコントロールモジュール51に送信する。
車両1にはまた、ビークルダイナミックコントロール(Vehicle Dynamics Control)ユニット(VDCCU)62、車速感応式の電動パワーステアリング(Electric Power Steering)用コントロールユニット(EPSCU)63、エアコン用オートアンプ64、コンビネーションメータ66が設けられている。ビークルダイナミックコントロールユニット62は、車両の横滑りや尻振りを起こしそうになると、横滑り状態をセンサが検知し、ブレーキ制御とエンジン出力制御により、走行時の車両安定性を向上させる。車速感応式パワーステアリング用コントロールユニット63は、トルクセンサから入力される操舵トルク、及び車速から、最適なアシストトルク信号をEPSモータに出力する。
上記の自動変速機用コントロールユニット61、ビークルダイナミックコントロールユニット62、車速感応式パワーステアリング用コントロールユニット63、コンビネーションメータ66は、電圧降下を許容できない電気負荷である。従って、これらは、サブバッテリ42から電力の供給を受ける。
エンジンコントロールモジュール51と3つの各コントロールユニット61〜63、エアコン用オートアンプ(A/C Amp)64、コンビネーションメータ66の間は、CAN(Controller Area Network)で接続されている。エンジンコントロールモジュール51には、コンビネーションメータ66から車速信号が入力される。
上述したように、モータジェネレータ21を使用する範囲をエンジン2の始動用のみにとどめるのではなく、車両走行中のトルクアシスト用にまで拡大することができれば、運転性がよくなると本発明者が思い至った。
そこで、第1の比較例では、アイドルストップからの再始動用に用いているモータジェネレータ21の使用範囲を車両走行中のトルクアシストにまで拡大する。具体的には、トルクコンバータ8のロックアップクラッチ60が開放されている状態から締結される状態へのロックアップ遷移中以外の場合に、モータジェネレータ21を用いたトルクアシストを許可する。換言すると、ロックアップ遷移中には、モータジェネレータ21を用いたトルクアシストを禁止する。
トルクアシストを許可するときには、エンジン2をトルクアシストするよう、メインバッテリ41を電源として用いて、モータジェネレータ21に所定のアシストトルクを発生させ、トルクアシストを禁止するときにはアシストトルクを発生させない。これによって、エンジン2の始動後かつ車両1の走行開始後に、良好な加速応答性(運転性)が得られるようにする。
メインバッテリ41の電圧はモニタし、エンジンコントロールモジュール51に入力させておく。エンジンコントロールモジュール51は、メインバッテリ41の電流に基づいて、メインバッテリ41のSOC(State Of Charge)を算出し、このSOCに基づいて、メインバッテリ41の充放電の収支を管理する。
インバータ24とエンジンコントロールモジュール51とは、LIN(Local Interconnect Network)で接続している。LINを介して、エンジンコントロールモジュール51がインバータ24に対して、モータジェネレータ21を駆動するのか、それともモータジェネレータ21で発電させるのか、モータとして駆動するためにどのくらいの電流を流すのか等を指令する。
エンジン2の始動後かつ車両1の走行開始後に、ロックアップクラッチ60が開放されている状態から締結される状態へのロックアップ遷移中以外の場合に、モータジェネレータ21を用いて行うトルクアシストについて、図3を参照して説明する。図3は、エンジン始動の開始からエンジン回転速度、車両トルク、車速、アクセル開度がどのように変化するのかをモデルで示したタイミングチャートである。ここで、「車両トルク」とは車両の駆動に用いられるトルクのことで、通常はエンジントルクが車両トルクとなる。一方、モータジェネレータ21によるトルクアシストがあるときには、このアシストトルクとエンジントルクの合計が車両トルクとなる。図3の下方に示したフラグおよび信号については後述する。
t1のタイミングでスタータスイッチ56がオンされると、スタータ6を用いてエンジン2のクランキングを行うと共に、燃料噴射弁7からの燃料噴射及び点火プラグによる火花点火を行う。これによってエンジン2が燃焼を開始すればエンジン回転速度が急上昇する。
その後、ドライバがアクセルペダル52を踏み込むことにより、t2のタイミングで車両が走行を開始し、車速がゆっくりと上昇している。
t3のタイミングで、車両の走行条件がロックアップ領域となったことにより、ロックアップクラッチ60の締結を開始している。すなわち、自動変速機用コントロールユニット61から入力される信号が非ロックアップ状態を示す信号からロックアップ遷移中であることを示す信号に切り替わる。
その後、t4のタイミングでトルクアシスト許可条件が成立している。例えば、メインバッテリ41のSOCがトルクアシスト許可値未満であるときは、トルクアシスト許可条件が成立していないと判断し、メインバッテリ41のSOCがトルクアシスト許可値以上であるときは、トルクアシスト許可条件が成立したと判断する。ただし、トルクアシスト許可条件が上述した条件に限定されることはない。
上述したように、第1の比較例における車両駆動装置では、トルクコンバータ8のロックアップクラッチ60が開放されている状態から締結される状態へのロックアップ遷移中には、モータジェネレータ21を用いたトルクアシストを禁止する。従って、t4のタイミングでトルクアシスト許可条件が成立しているが、ロックアップ遷移中であることから、モータジェネレータ21を用いたトルクアシストは行わない。
その後、t5のタイミングでロックアップクラッチ60の締結が完了する。すなわち、自動変速機用コントロールユニット61から入力される信号がロックアップ遷移中であることを示す信号からロックアップ完了を示す信号に切り替わる。これにより、トルクアシストを実行する条件が成立したので、トルクアシスト実行フラグが0から1となり、メインバッテリ41からインバータ24に電流を流してモータジェネレータ21をモータとして駆動する。これにより、エンジントルクにモータトルクが加わり(トルクアシスト)、ドライバの望む加速がすぐに得られることとなる。この場合、モータジェネレータ21が発生するトルクは、ゼロから漸増して最大トルクとなるようにする(図3の第2段目参照)。
ここで、モータジェネレータ21によるトルクアシスト分をエンジン2の発生するトルクで賄おうとすると、燃料噴射弁7からの燃料供給を増量補正しなければならず、それだけ燃料消費が多くなり、燃費が悪くなる。これに対して、車両1の減速時に、モータジェネレータ21により運動エネルギーを電気エネルギーとして回収し、その回収した電気エネルギーをメインバッテリ41に蓄えておく。そして、トルクアシスト許可条件が成立して、ロックアップ遷移中ではない時に、この電気エネルギーを蓄えたメインバッテリ41を電源として用いて、モータジェネレータ21にアシストトルクを発生させるのであれば、燃料を消費することがないので、燃費を悪くすることがない。また、モータジェネレータ21は、エンジン2よりも応答良くトルクを発生することができる。応答が良ければ、ドライバがアクセルペダルを踏み込み過ぎることを避けることができる。
図4は、モータジェネレータ21を用いたトルクアシスト制御のフローチャートである。図4に示すフローチャートの処理は、図示しないイグニッションスイッチがオンされた後、エンジンコントロールモジュール51によって所定時間ごと(例えば、10msごと)に行われる。
ステップS10では、エンジン2の初回始動後であるか否かを判定する。エンジン2の初回始動では、スタータ6を用いる。エンジン2の初回始動後でないと判定すると今回の処理は終了し、初回始動後であると判定すると、ステップS20に進む。
ステップS20では、トルクアシスト許可条件が成立しているか否かを判定する。トルクアシスト許可条件が成立したと判定するとステップS30に進み、トルクアシスト許可フラグ=1とする。一方、トルクアシスト許可条件が成立していないと判定するとステップS40に進み、トルクアシスト許可フラグ=0とする。
ステップS50では、トルクアシスト許可フラグ=1であるか否かを判定する。トルクアシスト許可フラグ=1であると判定すると、ステップS60に進み、トルクアシスト許可フラグ=0であると判定すると、ステップS80に進む。
ステップS60では、自動変速機用コントロールユニット61から入力される信号に基づいて、ロックアップ遷移中であるか否かを判定する。ロックアップ遷移中ではないと判定すると、トルクアシストを実行するため、ステップS70に進み、トルクアシスト実行フラグ=1とする。
トルクアシスト実行フラグ=1により、エンジンコントロールモジュール51がインバータ24に電流を流し、モータジェネレータ21をモータとして駆動する。これを図3で示すと、t5のタイミングでトルクアシスト実行フラグが0から1へと切換わり、t5のタイミングでモータトルクがエンジントルクに加わっている。
一方、ステップS60でロックアップ遷移中であると判定するとステップS80に進み、トルクアシスト実行フラグ=0とする。このトルクアシスト実行フラグ=0により、エンジンコントロールモジュール51がインバータ24への電流供給を遮断して、モータジェネレータ21を非駆動状態とする。すなわち、ロックアップ遷移中は、モータジェネレータ21によるトルクアシストを禁止するので、ロックアップ遷移中にトルクアシストを行うことによるロックアップクラッチ60のフェーシング焼けやジャダー寿命の低下を防止することができる。また、ロックアップ遷移中の安定しないトルク伝達時にトルクアシストを行うことによる運転性悪化を防止することができる。
第1の比較例では、モータジェネレータ21に最大トルクまで発生させる例を挙げて説明したが、これに限られるものでない。例えば、最大トルク未満の一定トルクを発生させるようにしてもかまわない。
以上、第1の比較例における車両の駆動装置によれば、ロックアップクラッチ60が開放されている状態から締結される状態へのロックアップ遷移中は、エンジン2の出力軸3にベルト5を介して機械的に結合されたモータジェネレータ21を用いたトルクアシストを禁止し、ロックアップ遷移中以外の場合にトルクアシストを行う条件が成立すると、モータジェネレータ21を用いたトルクアシストを許可する。これにより、ロックアップ遷移中にトルクアシストを行うことによるロックアップクラッチ60のフェーシング焼けやジャダー寿命の低下を防止することができる。また、ロックアップ遷移中の安定しないトルク伝達時にトルクアシストを行うことによる運転性悪化を防止することができる。
−本実施形態−
本実施形態における車両の駆動装置では、トルクアシスト許可条件が成立し、かつ、ロックアップクラッチ60が締結されている時に、モータジェネレータ21を用いたトルクアシストを行う。
図5は、本実施形態において、エンジン始動の開始からエンジン回転速度、車両トルク、車速、アクセル開度がどのように変化するのかをモデルで示したタイミングチャートであり、図3のタイミングチャートに対応するものである。
図5のタイミングチャートにおいて、t4のタイミングでトルクアシスト許可条件が成立して、トルクアシスト許可フラグが0から1に変化している。その後、t5のタイミングでロックアップクラッチ60が締結されることにより、インバータ24にメインバッテリ41からの電流を流してモータジェネレータ21にモータトルクを発生させる。これによって、エンジントルクにモータトルクが加わり(トルクアシスト)、ドライバの望む加速が得られることとなる。
図6は、本実施形態における車両駆動装置によって行われる、モータジェネレータ21を用いたトルクアシスト制御のフローチャートである。図4に示すフローチャートの処理と同一の処理を行うステップについては、同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
ステップS50においてトルクアシスト許可フラグ=1であると判定した後に進むステップS100では、ロックアップクラッチ60が締結されているか否か、すなわち、自動変速機用コントロールユニット61からロックアップ完了を示す信号が入力されているか否かを判定する。ロックアップ完了を示す信号が入力されていると判定するとステップS70に進んでトルクアシスト実行フラグ=1とする。トルクアシスト実行フラグ=1により、エンジンコントロールモジュール51がインバータ24に電流を流し、モータジェネレータ21をモータとして駆動する。
一方、ステップS100においてロックアップ完了を示す信号が入力されていないと判定するとステップS80に進んでトルクアシスト実行フラグ=0とする。
以上、本実施形態における車両の駆動装置によれば、ロックアップクラッチ60が開放されている状態ではモータジェネレータ21を用いたトルクアシストを禁止し、ロックアップクラッチ60が締結され、かつ、トルクアシストを行う条件が成立すると、モータジェネレータ21を用いたトルクアシストを許可する。ロックアップクラッチ60が開放された状態でモータジェネレータ21を用いたトルクアシストを行っても、アシストトルクがトルクコンバータ8で熱に変換されてしまう。しかし、ロックアップクラッチ60が開放されている状態ではモータジェネレータ21を用いたトルクアシストを禁止することにより、アシストトルクがトルクコンバータ8で熱に変換されてしまうのを防ぐことができ、燃費(電費)を向上させることができる。また、ロックアップクラッチ60が締結された状態でトルクアシストを行うことにより、モータジェネレータ21の駆動トルクを効率よく活用することができ、車両の燃費を向上させることができる。
−第2の比較例−
第2の比較例における車両の駆動装置では、トルクアシスト許可条件が成立し、かつ、ロックアップクラッチ60が締結されてから所定時間経過後に、モータジェネレータ21を用いたトルクアシストを行う。
図7は、第2の比較例において、エンジン始動の開始からエンジン回転速度、車両トルク、車速、アクセル開度がどのように変化するのかをモデルで示したタイミングチャートであり、図3のタイミングチャートに対応するものである。
t4のタイミングでトルクアシスト許可条件が成立して、トルクアシスト許可フラグが0から1に変化し、その後、t5のタイミングでロックアップクラッチ60が締結されている。ロックアップクラッチ60が締結されたt5のタイミングでディレイタイマによるカウントアップを開始し、ディレイタイマによるカウント値が所定値以上(所定時間経過)となったt7のタイミングで、インバータ24にメインバッテリ41からの電流を流してモータジェネレータ21にモータトルクを発生させる。これによって、エンジントルクにモータトルクが加わり(トルクアシスト)、ドライバの望む加速が得られることとなる。
図8は、第2の比較例における車両駆動装置によって行われる、モータジェネレータ21を用いたトルクアシスト制御のフローチャートである。図4、図6に示すフローチャートの処理と同一の処理を行うステップについては、同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
ステップS200では、図示しないイグニッションスイッチがオフからオンされたか否かを判定する。イグニッションスイッチがオフからオンされたと判定するとステップS210に進み、一度オンされた後、2回目以後の処理の場合にはステップS10に進む。
ステップS210では、ディレイタイマのカウント値DLYCOUNTを0にリセットする。
ステップS100においてロックアップ完了を示す信号が入力されていると判定するとステップS220に進む。ステップS220では、ディレイタイマによるカウントアップを行う。すなわち、カウント値DLYCOUNTに1を加える。なお、ディレイタイマは、エンジンコントロールモジュール51内に設けられている。
ステップS230では、ディレイタイマによるカウント値DLYCOUNTが所定値DLYASSIST以上であるか否かを判定する。カウント値DLYCOUNTが所定値DLYASSIST以上であると判定すると、ステップS70に進んでトルクアシスト実行フラグ=1とし、カウント値DLYCOUNTが所定値DLYASSIST未満であると判定すると、ステップS80に進んでトルクアシスト実行フラグ=0とする。カウント値DLYCOUNTが所定値DLYASSIST未満と判定されている間に、モータジェネレータ21を用いたトルクアシストの実行に備えて、自動変速機9のCVT油圧の上昇指示を出し、CVT油圧を上昇させておく。
なお、図8に示すフローチャートの処理は、所定時間ごと(例えば、10msごと)に行われ、また、実際の処理時間も考慮すると、ディレイタイマによるカウント値DLYCOUNTの数値1が実際の経過時間(例えば1秒)とは一致しない場合がある。第2の比較例では、トルクアシスト許可条件が成立し、かつ、ロックアップクラッチ60が締結してから所定時間経過後に、モータジェネレータ21を用いたトルクアシストを行うので、ロックアップクラッチ60の締結の所定時間経過後にトルクアシストを行うように、カウント値DLYCOUNTと比較する所定値DLYASSISTを設定しておく。
以上、第2の比較例における車両の駆動装置によれば、トルクアシストを行う条件が成立した状態で、ロックアップクラッチ60が締結されてから所定時間経過後に、モータジェネレータ21を用いたトルクアシストを許可する。これにより、モータ起動トルクより応答の遅いCVT油圧を事前に上昇させてからトルクアシストを行うことができるので、トルクアシスト時にCVT(自動変速機9)のベルト滑りを確実に抑えることができる。また、トルクコンバータ8に加えてベルト滑りにより熱へ変換されるエネルギーロスが減るため、燃費(電費)を向上させることができる。
−第3の比較例−
第3の比較例における車両の駆動装置では、ロックアップクラッチ60が締結され、かつ、トルクアシスト許可条件が成立してから所定時間経過後に、モータジェネレータ21を用いたトルクアシストを行う。
図9は、第3の比較例において、エンジン始動の開始からエンジン回転速度、車両トルク、車速、アクセル開度がどのように変化するのかをモデルで示したタイミングチャートであり、図3のタイミングチャートに対応するものである。
t8のタイミングでロックアップクラッチ60が締結された後、t9のタイミングでトルクアシスト許可条件が成立して、トルクアシスト許可フラグが0から1に変化すると、ディレイタイマによるカウントアップを開始する。そして、ディレイタイマによるカウント値が所定値以上となったt10のタイミングでインバータ24にメインバッテリ41からの電流を流してモータジェネレータ21にモータトルクを発生させる。これによって、エンジントルクにモータトルクが加わり(トルクアシスト)、ドライバの望む加速が得られることとなる。
図10は、第3の比較例における車両駆動装置によって行われる、モータジェネレータ21を用いたトルクアシスト制御のフローチャートである。図4、図6、図8に示すフローチャートの処理と同一の処理を行うステップについては、同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
ステップS30またはステップS40の処理を行うと、ステップS100に進む。ステップS100においてロックアップ完了を示す信号が入力されていると判定するとステップS50に進み、ロックアップ完了を示す信号が入力されていないと判定するとステップS80に進む。
ステップS50では、トルクアシスト許可フラグ=1であるか否かを判定する。トルクアシスト許可フラグ=1であると判定すると、ステップS220に進み、トルクアシスト許可フラグ=0であると判定すると、ステップS80に進む。ステップS220以後の処理は、図8に示すフローチャートと同じである。
第3の比較例でも、第2の比較例と同様に、ディレイタイマのカウント値DLYCOUNTが所定値DLYASSIST未満と判定されている間に、モータジェネレータ21を用いたトルクアシストの実行に備えて、自動変速機9のCVT油圧の上昇指示を出し、CVT油圧を上昇させておく処理を行う。
以上、第3の比較例における車両の駆動装置によれば、ロックアップクラッチ60が締結された状態で、トルクアシストを行う条件が成立してから所定時間経過後に、モータジェネレータ21を用いたトルクアシストを許可する。これにより、モータジェネレータ21によるトルクアシストに備えて、運転状態、CVT油圧を確実に安定させてからトルクアシストを行うので、トルクアシスト時のロックアップクラッチ60のフェーシング焼けやジャダー寿命の低下、CVT(自動変速機9)のベルト滑りをより確実に防止することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されることはない。例えば、変速機9は無断変速機であっても有段変速機であってもよい。
2…エンジン
5…ベルト
21…モータジェネレータ(モータ)
51…エンジンコントロールモジュール(モータ制御手段)
61…自動変速機用コントロールユニット

Claims (4)

  1. エンジンの出力軸に機械的に結合されたモータと、
    前記エンジンと変速機との間に配置され、前記エンジンと前記変速機との間を締結または開放するためのロックアップクラッチを有するトルクコンバータと、
    前記エンジンをトルクアシストするように、前記モータに所定のアシストトルクを発生させるモータ制御手段と、を備え、
    前記モータ制御手段は、前記ロックアップクラッチが締結しているとき、前記トルクアシストを許可する、ことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の制御装置において、
    前記モータ制御手段は、前記ロックアップクラッチが開放しているときは、前記トルクアシストを許可しない、
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  3. エンジンと変速機との間を締結または開放する制御と、
    前記エンジンをトルクアシストするように、前記エンジンに所定のアシストトルクを発生させる制御と、を行う車両の制御方法において、
    前記エンジンと前記変速機との間を締結させ、締結中に前記トルクアシストを行う、
    ことを特徴とする車両の制御方法。
  4. 請求項3に記載の車両の制御方法において、
    前記エンジンと前記変速機との間を開放させ、開放中は前記トルクアシストを行わない、
    ことを特徴とする車両の制御方法。
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