以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態の車両1の駆動装置の概略構成図である。図1において車両1には、エンジン2、モータジェネレータ21、エアコン用コンプレッサ31を有している。すなわち、エンジン2の出力軸3、モータジェネレータ21の回転軸22、エアコン用コンプレッサ31の回転軸32が平行に配置され、出力軸3の一端にクランクプーリ4が、回転軸22、32に各プーリ23、33が取り付けられている。これら3つの各プーリ4、23、33にはベルト5が掛け回され、エンジン2の出力軸3、回転軸23、33の間はベルト5によって動力が伝達(伝導)される。
エンジン2にはエンジンの始動に用いるスタータ6も備えている。エンジン2の出力軸3の他端にはトルクコンバータ8、ベルト式の自動変速機9が接続されている。トルクコンバータ8は図示しないポンプインペラ、タービンランナを有する。ベルト式の自動変速機9は図示しないプライマリプーリ、セカンダリプーリ、これらプーリに掛け回されるスチールベルトを有する。エンジン2の回転駆動力はこれらトルクコンバータ8、自動変速機9を介して最終的に車両駆動輪(図示しない)に伝達される。
車両1の電源として、メインバッテリ41とサブバッテリ42を備える。いずれも14Vバッテリである。2つのバッテリ41、42の間は並列された2つのリレー43によって接続されている。
上記のスタータ6、モータジェネレータ21は、メインバッテリ41とリレー43の間に接続され、電力はメインバッテリ41から供給される。なお、モータジェネレータ21は交流機から構成されているため、メインバッテリ41からの直流を交流に変換するインバータ24を付属している。
エンジン2、スタータ6及びモータジェネレータ21を制御するため、エンジンコントロールモジュール51を備える。
ここで、ガソリンエンジンの構成を図2を参照して概説すると、図2はガソリンエンジンの制御システム図である。各吸気ポート(図示しない)には燃料噴射弁7が設けられている。燃料噴射弁7は、燃料をエンジン2に間欠的に供給するものである。
吸気通路11には電子制御のスロットル弁12を備え、スロットルモータ13によってスロットル弁12の開度(以下、「スロットル開度」という。)が制御される。実際のスロットル開度はスロットルセンサ14により検出され、エンジンコントロールモジュール51に入力されている。
エンジンコントロールモジュール51には、アクセルセンサ53からのアクセル開度(アクセルペダル52の踏込量)の信号、クランク角センサ54からのクランク角の信号、エアフローメータ55からの吸入空気量の信号が入力されている。クランク角センサ54の信号からはエンジン2の回転速度が算出される。エンジンコントロールモジュール51では、これらの信号に基づいて目標吸入空気量及び目標燃料噴射量を算出し、目標吸入空気量及び目標燃料噴射量が得られるようにスロットルモータ13及び各燃料噴射弁7に指令を出す。
ここで、吸入空気量の制御について概説する(特開平9−287513号公報参照)。アクセル開度APOとエンジン回転速度Neとから所定のマップを検索することにより目標基本吸入空気量及び目標当量比tDMLをそれぞれ算出する。目標基本吸入空気量を目標当量比tDMLで除算した値を目標吸入空気量とする。そして、この目標吸入空気量とエンジン回転速度から所定のマップを検索することにより目標スロットル弁開度を求める。目標スロットル弁開度を指令値に変換してスロットルモータ13に出力する。
次に、燃料噴射(燃料噴射量及び燃料噴射時期)の制御について概説する。エアフローメータ55の出力をA/D変換し、リニアライズして吸入空気量Qaを算出する。この吸入空気量Qaとエンジン回転速度Neから、ほぼ理論空燃比(当量比=1.0)の混合気が得られる基本噴射パルス幅Tp0[ms]を、Tp0=K×Qa/Ne(ただし、Kは定数)として求める。次に、
Tp=Tp0×Fload+Tp-1×(1−Fload)
ただし、Fload:加重平均係数、
Tp-1:前回のTp、
の式によりシリンダ空気量相当パルス幅Tp[ms]を求める。これは、シリンダ(燃焼室)に流入する空気量(つまりシリンダ空気量)がエアフロメータ部での吸入空気量に対して応答遅れを有するので、この応答遅れを一次遅れで近似したものである。一次遅れの係数である加重平均係数Fload[無名数]は、回転速度Ne及びシリンダ容積Vの積Ne・Vと吸気管の総流路面積Aaから所定のマップを検索することにより求める。このようにして求めたシリンダ空気量相当パルス幅Tpに基づいて、燃料噴射弁7に与える燃料噴射パルス幅Ti[ms]を、
Ti=Tp×tDML×(α+αm−1)×2+Ts
ただし、tDML:目標当量比[無名数]、
α:空燃比フィードバック補正係数[無名数]、
αm:空燃比学習値[無名数]、
Ts:無効噴射パルス幅[無名数]、
の式により算出する。そして、所定の燃料噴射時期になったときにこの燃料噴射パルス幅Tiの期間、燃料噴射弁7を開く。
なお、ガソリンエンジン2では、燃焼室(シリンダ)に臨んで点火プラグを備えている。エンジンコントロールモジュール51では、圧縮上死点前の所定の時期に点火コイルの一次側電流を遮断することにより点火プラグに火花を発生させ、これによって燃焼室内の混合気に点火する。
また、エンジンコントロールモジュール51ではスタータスイッチ56からの信号に基づいて初回の始動要求があると判断したときにはスタータ6を駆動しエンジン2を始動させる。
また、エンジンコントロールモジュール51では、燃費向上を目的としてアイドルストップ制御を行う。すなわち、アクセルペダル52が踏み込まれておらず(APO=0)、ブレーキペダル57が踏み込まれ(ブレーキスイッチ58がON)、かつ車両1が停止状態にある(車速VSP=0)のときにアイドルストップ許可条件が成立する。このときには、燃料噴射弁7から吸気ポートへの燃料噴射を遮断してエンジン2を停止する。これによって無駄な燃料消費を低減する。
その後、アイドルストップ状態でアクセルペダル52が踏み込まれたり、ブレーキペダル57が戻される(ブレーキスイッチ58がOFF)などすると、アイドルストップ許可条件が不成立となる。このときにはモータジェネレータ21をスタータとして用いてエンジン2をクランキングし、燃料噴射弁7からの燃料噴射と点火プラグによる火花点火とを再開しエンジン2を再始動する。
このように、モータジェネレータ21をアイドルストップからのエンジン再始動用として専ら用いることで、スタータ6の使用頻度を減らしてスタータ6を保護する。なお、スタータ6やモータジェネレータ21を駆動するときには、エンジンコントロールモジュール51により2つのリレー43をともに遮断して、メインバッテリ41とサブバッテリ42を電気的に切り離す。これによって、エンジン2の始動操作に伴いサブバッテリ42の電圧が変動することを防止する。
図1に戻り、車両1には自動変速機用コントロールユニット61を備える。自動変速機用コントロールユニット61では、車速とスロットル開度とから定まる車両の走行条件に応じて、自動変速機9の変速比を無段階に制御する。また、ポンプインペラ、タービンランナを有するトルクコンバータ8には、ポンプインペラとタービンランナとを締結・開放する機械式のロックアップクラッチを備えている。ロックアップクラッチを締結する車両の走行域はロックアップ領域(車速とスロットル開度とをパラメータとしている)として予め定めている。自動変速機用コントロールユニット61では車両の走行条件がロックアップ領域となったとき、ロックアップクラッチを締結してエンジン2と変速機9とを直結状態とし、車両の走行条件がロックアップ領域とないときにはロックアップクラッチを開放する。エンジン2と変速機9とを直結状態としたときにはトルクコンバータ8でのトルクの吸収がなくなり、その分燃費が良くなる。
車両1にはまた、ビークルダイナミックコントロール(Vehicle Dynamics Control)ユニット62、車速感応式の電動パワーステアリング(Electric Power Steering)用コントロールユニット63、エアコン用オートアンプ64、コンビネーションメータ66を備える。ビークルダイナミックコントロールユニット62は、車両の横滑りや尻振りを起こしそうになると、横滑り状態をセンサが検知し、ブレーキ制御とエンジン出力制御により走行時の車両安定性を向上させるものである。車速感応式電動パワーステアリング用コントロールユニット63では、トルクセンサからの操舵トルク及び車速から最適なアシストトルク信号をEPSモータに出力する。
エンジンコントロールモジュール51と3つの各コントロールユニット61〜63、エアコン用オートアンプ64、コンビネーションメータ66の間はCAN(Controller Area Network)で接続している。
さて、モータジェネレータ21を使用する範囲をエンジンの始動用のみにとどめるのではなく車両走行中のトルクアシスト用にまで拡大することができれば、運転性がよくなると本発明者が思い至った。
ここで、エンジンの出力軸にベルト及びプーリを介してモータジェネレータを機械的に結合し、このモータジェネレータでエンジンの始動を行う従来装置がある。しかしながら、従来装置では、モータジェネレータをエンジンの始動用に用いる場合しか考慮していない。車両走行中のトルクアシストに拡大した場合のモータジェネレータの設計・制御方法については一切記載がない。
そこで本発明の第1実施形態では、アイドルストップからの再始動用に用いているモータジェネレータ21の使用範囲を車両走行中のトルクアシストにまで拡大する。すなわち、アイドルストップからのエンジン2の再始動後かつ車両1の走行開始後にエンジン回転速度が予め定めた所定の回転速度域にある場合に限ってモータジェネレータ21を用いたトルクアシストを許可する。トルクアシストの許可中にエンジン回転速度が所定の回転速度域を外れたときにはトルクアシストを禁止する。
そして、トルクアシストを許可するときには、エンジン2をトルクアシストするよう、メインバッテリ41を電源として用いてモータジェネレータ21に所定のアシストトルクを発生させ、トルクアシストを禁止するときにはアシストトルクを発生させない。これによって、エンジン2の再始動後かつ車両1の走行開始後に良好な加速応答性(運転性)が得られるようにする。
メインバッテリ41、サブバッテリ42の各電圧はモニターし、エンジンコントロールモジュール51に入力させておく。エンジンコントロールモジュール51ではメインバッテリ41、サブバッテリ42の各電流に基づいてメインバッテリ41のSOC(State Of Charge)を算出し、このSOCに基づいてメインバッテリ41の充放電の収支を管理する。メインバッテリ41、サブバッテリ42の電流は各電流センサ47、48によって検出する(図5参照)。
インバータ24とエンジンコントロールモジュール51とは、LIN(Local Interconnect Network)で接続している。このLINを介してエンジンコントロールモジュール51がインバータ24に対して、モータジェネレータ21を駆動するのか、それともモータジェネレータ21で発電させるのか、モータとして駆動するためにどのくらいの電流を流すのか等を指令する。
エンジン2の回転はクランクプーリ4、プーリ23およびベルト5を介し増速されてモータジェネレータ21に伝達される。第1実施形態では、2つのプーリ4、23およびベルト5を介しての増速比は2.6であり、エンジン2の回転速度が5000rpmのときモータジェネレータの回転速度は13000rpmとなる。なお、増速比は2.6の場合に限られるものでない。
エンジン2およびモータジェレータ21には回転振動の共振点が存在する。この回転振動の共振点はエンジン2の回転速度で1000rpmより低い回転速度域に存在する。ベルト5の張力が低い状態でトルクアシストを実行すると、エンジン2およびモータジェネレータ21の回転振動の共振により(共振回転速度域で)ベルト滑りが発生し、ベルト5に鳴きが発生してしまう恐れがある。
一方、この共振によるベルト滑りを防止するためにベルト5の張力を高くすると、クランクプーリ4とベルト5との間でのフリクションが増大してしまい燃費悪化を招くことになる。クランクプーリ4とベルト5との間でのフリクション増大による燃費悪化は避けなければならず、ベルト張力を高めに設定することはできない。
したがって、共振によるベルト滑り防止を考え、エンジン2の回転速度が1000rpm(第1閾値)より高い回転速度域(モータジェネレータ回転速度が2600rpmより高い中・高回転速度域)でトルクアシストを許可し、エンジンの回転速度が1000rpm(第1閾値)以下の回転速度域(モータジェネレータ回転速度が2600rpm以下の低回転速度域)ではトルクアシストを禁止することとしている。
エンジン2の再始動後かつ車両1の走行開始後にエンジン回転速度が第1閾値を超えているときにモータジェネレータ21を用いて行うトルクアシストについて図3を参照してさらに説明する。図3はエンジン再始動の開始からエンジン回転速度、車両トルク、車速、アクセル開度がどのように変化するのかをモデルで示したタイミングチャートである。ここで、「車両トルク」とは車両の駆動に用いられるトルクのことで、通常はエンジントルクが車両トルクとなる。一方、モータジェネレータ21によるトルクアシストがあるときには、このアシストトルクとエンジントルクの合計が車両トルクとなる。図3の下方に示した2つのフラグについては後述する。
t1のタイミングでアイドルストップ許可条件が不成立となり、モータジェネレータ21を用いてエンジン2のクランキングを行うと共に、燃料噴射弁7からの燃料噴射及び点火プラグによる火花点火を再開する。これによってエンジン2が燃焼を開始すればエンジン回転速度が急上昇するが、所定の完爆回転速度を横切るt2のタイミングでエンジン2が再始動したと判定される。
一方、t2の付近でドライバ(運転者)がアクセルペダル52を少し踏み込んだため、燃料噴射弁7からの燃料噴射量(Tp)と空入空気量Qaとが増加する。これによって、エンジン回転速度が上昇し車両トルク(=エンジントルク)が増加するので、車両1がt3のタイミングより走行を開始し、車速がゆっくりと上昇している。車両1を発進させた後もアクセル開度は一定であるので、エンジン回転速度と車両トルクとはt3のタイミングを過ぎた当たりで一定値へと落ち着く。
次に、t5のタイミングでドライバがアクセルペダル52を踏み込んだとすると、アクセル開度の増加に応じてエンジン回転速度が上昇する。エンジン回転速度RPMが第1閾値RPMLOKを超えるt6のタイミングでモータジェネレータ21の低回転速度域を外れたと判断し、メインバッテリ41からインバータ24に電流を流してモータジェネレータ21をモータとして駆動する。これによって、モータジェネレータ21の低回転速度域を外れたモータジェネレータ21の中・高回転速度域ではエンジントルクにモータトルクが加わり(トルクアシスト)、ドライバの望む加速が直ぐに得られることとなる。この場合、モータジェネレータ21が発生するトルクはゼロから漸増して最大トルクとなるようにする(図3の第2段目参照)。
一方、モータジェネレータ21によるトルクアシスト分をエンジン2の発生するトルクで賄おうとすると、燃料噴射弁7からの燃料供給を増量補正しなければならず、それだけ燃料消費が多くなり、燃費が悪くなる。これに対して、車両1の減速時にモータジェネレータ21により運動エネルギーを電気エネルギーとして回収しその回収した電気エネルギーをメインバッテリ41に蓄えておく。そして、エンジン回転速度RPMが第1閾値RPMLOKを超えたときにこの電気エネルギーを蓄えたメインバッテリ41を電源として用いてモータジェネレータ21にアシストトルクを発生させるのであれば、燃料を消費することがないので、燃費を悪くすることがない。また、モータジェネレータ21はエンジン2よりも応答良くトルクを発生することができる。応答が良ければ、ドライバがアクセルペダルを踏み込み過ぎることを避けることができる。
エンジンコントロールモジュール51で行われるこのモータジェネレータ21を用いてのトルクアシストを、図4のフローチャートを参照して詳述する。図4のフローは一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
ステップ1でエンジン2の初回始動後であるか否かをみる。エンジン2の初回始動はスタータ6を用いるものである。エンジン2の初回始動後でないときにはそのまま今回の処理を終了する。
エンジン2の初回始動後であるときにエンジン2の再始動後であるか否かをみる。エンジン2の再始動とは、アイドルストップからのエンジン始動のことである。アイドルストップからのエンジン始動はモータジェネレータ21によって行われるので、車両停止中にモータジェネレータ21が作動したときにアイドルストップからのエンジン始動が行われたと判断すればよい。アイドルストップからのエンジン始動が行われていなければそのまま今回の処理を終了する。
アイドルストップからのエンジン始動が行われた後であればステップ3に進み、車両1の走行中であるか否かをみる。車速がゼロまたはゼロに近い値以下であるときには車両の停止中(走行中でない)と判断してそのまま今回の処理を終了する。
車速がゼロでないときまたはゼロに近い値を超えているときには車両の走行中であると判断してステップ4に進み、トルクアシスト許可条件が成立しているか否かをみる。すなわち、次の〈1〉、〈2〉の全ての条件が成立してないときにトルクアシスト許可条件が成立したと判断する。言い換えると、次の〈1〉、〈2〉のいずれかの条件でも成立するときにはトルクアシスト許可条件が成立しないと判断しトルクアシストを禁止する。
〈1〉ロックアップクラッチを開放しているとき、
〈2〉メインバッテリ41のSOCがトルクアシスト許可値未満であるとき、
上記〈1〉のときにトルクアシストを禁止するのは、ロックアップクラッチを開放しているときにエンジン2にアシストトルクを加えても、アシストトルクの一部がトルクコンバータ8で吸収されてしまい、トルク伝達の効率が悪いためである。一方、ロックアップクラッチを締結しエンジン2と変速機9とを直結状態としているときにエンジン2に対してアシストトルクを加えるのであれば、アシストトルクの分が車両トルクの増加となるので、トルク伝達の効率が悪くなることがない。
上記〈2〉のときにトルクアシストを禁止する、言い換えるとメインバッテリ41のSOCがトルクアシスト許可値以上であるときにトルクアシストを許可することとしている。
このように本実施形態では、車両挙動制御装置との干渉を主に防止する観点からトルクアシストを許可する条件を限定している。
上記〈1〉と〈2〉の両方とも成立していないときにはトルクアシスト許可条件が成立したと判断してステップ5に進み、トルクアシスト許可フラグ=1とする。これを図3で示すと、t4のタイミングでトルクアシスト許可フラグがゼロから1へと切換わっている。
一方、上記〈1〉と〈2〉のいずれか一方でも成立するときにはトルクアシスト許可条件が成立しないと判断しステップ6に進み、トルクアシスト許可フラグ=0とする。
ステップ7では改めてトルクアシスト許可フラグをみる。トルクアシスト許可フラグ=1であるときにはステップ8に進みエンジン回転速度RPM[rpm]と第1閾値RPMLOK[rpm]を比較する。第1閾値RPMLOKはモータジェネレータ21の低回転速度域の上限を定める値で、予め定めておく。エンジン回転速度RPMが第1閾値を超えているときには、モータジェネレータ21の低回転速度域を外れたと判断する。このときにはトルクアシストを実行するためステップ8からステップ9に進みトルクアシスト実行フラグ=1とする。
このトルクアシスト実行フラグ=1によりエンジンコントロールモジュール51がインバータ24に電流を流しモータジェネレータ21をモータとして駆動する。これを図3で示すと、t6のタイミングでトルクアシスト実行フラグがゼロから1へと切換わり、t6のタイミングで応答良くモータトルクがエンジントルクに加わっている。
ここで、モータジェネレータ21をモータとして駆動するに際しては、モータジェネレータ21が最大トルクを発生するようにインバータ24に最大の電流を流すことが考えられる。しかしながら、運転ショックを感じやすいエンジン2の低回転速度域でモータジェネレータ21がステップ的に最大トルクを発生するのでは運転ショックが生じてしまう。そこで、モータジェネレータ21が発生するトルクがゼロから漸増して最大トルクとなるように、インバータ24に流す電流値を制御する。また、モータトルクを解除するに際しても、最大トルクから漸減してゼロとなるように、インバータ24に流す電流値を制御する。
トルクアシストを行わせる期間(つまりインバータ24に電流を流す期間)は一定時間とする。トルクアシストを行わせる期間を長くすればそれだけメインバッテリ41の電力消費を早めるので、メインバッテリ41の電力消費に大きな影響を与えることがないようにこの時間を適合により定める。
一方、ステップ8でエンジン回転速度RPMが第1閾値RPMLOK以下であるときには、モータジェネレータ21の低回転速度域にあると判断しステップ10に進みトルクアシスト実行フラグ=0とする。このトルクアシスト実行フラグ=0によりエンジンコントロールモジュール51がインバータ24への電流供給を遮断してモータジェネレータ21を非駆動状態とする。つまり、車両走行中での加速によってドライバが望みの加速が得られたとしてアクセルペダル52を戻すことによりエンジン回転速度RPMが第1閾値RPMLOK以下となれば、トルクアシスト実行フラグ=0となり、モータジェネレータ21によるトルクアシストが禁止される。車両の走行開始後にモータジェネレータ21の低回転速度域を外れたときにはトルクアシストを実行し、トルクアシスト中にモータジェネレータ21の低回転速度域に戻ったときにはトルクアシストを禁止するのである。これにより、モータジェネレータ21の低回転速度域におけるベルト5の鳴きを防止し、各プーリ4、23、33の回転軸3、22、32の強度を確保しつつ、燃費向上と良好な加速応答性(運転性)を両立できる。ステップ7でトルクアシスト許可条件が成立しない場合にもステップ10に進みトルクアシスト実行フラグ=0とする。
本実施形態はモータジェネレータ21に最大トルクまで発生させる場合であるが、これにかぎられるものでない。例えば最大トルク未満の一定トルクを発生させるようにしてもかまわない。
このように、本実施形態では、エンジン2の出力軸3にベルト及びプーリ5を介して機械的に結合されたモータジェネレータ21と、エンジン2をトルクアシストするよう、モータジェネレータ21に所定のアシストトルクを発生させるモータジェネレータ制御手段(51)と、車両1の走行開始後にエンジン回転速度が低回転速度域の上限を定める第1閾値を超えているときに制御手段(51)によるトルクアシストを許可し、トルクアシストの許可中にエンジン回転速度が前記第1閾値以下となったときには制御手段(51)によるトルクアシストを禁止するトルクアシスト許可・禁止手段(51)とを備えている。本実施形態によれば、車両1の走行開始後にモータジェネレータ21の中・高回転速度域ではドライバの加速意思(加速要求)を尊重してモータジェネレータ21によるトルクアシストを許可し、トルクアシスト中にモータジェネレータ21の低回転速度域となったときには当該トルクアシストを禁止するので(図4のステップ8〜10参照)、車両走行開始後のモータジェネレータ21の中・高回転速度域でアクセルペダル52を踏み込んで加速を行ったときには加速応答性が良くなる。また、モータジェネレータ21の低回転速度域ではトルクアシストを禁止するので、モータジェネレータ21の低回転速度域におけるベルト5の鳴きを防止し、各プーリ4、23、33の回転軸3、22、32の強度を確保できる。このように、モータジェネレータ21の低回転速度域におけるベルト5の鳴きを防止し、各プーリ4、23、33の回転軸3、22、32の強度を確保しつつ、車両走行開始後のモータジェネレータ21の中・高回転速度域で加速応答性を良くすることができる。
本実施形態によれば、バッテリ41を備え、モータジェネレータ21により車両減速時の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収し、このモータジェネレータ21の回収した電気エネルギーバッテリ41に蓄えると共に、モータジェネレータ21に所定のアシストトルクを発生させるときにはバッテリ41を電源として用いるので、燃料消費がなく、従って燃費が向上する。
本実施形態によれば、エンジン2の出力軸3にベルト5及びプーリ23を介して機械的に結合されたモータジェネレータ21と、エンジン2をトルクアシストするよう、モータジェネレータ21に所定のアシストトルクを発生させるモータジェネレータ制御手段(51)と、アイドルストップ許可条件が成立したときエンジン2を停止し、エンジン停止中にアイドルストップ許可条件が非成立となったときモータジェネレータ21を用いてエンジン2の再始動を行わせるアイドルストップ・再始動手段(51)と、モータジェネレータ21によるエンジン2の再始動後かつ車両1の走行開始後にエンジン回転速度がモータジェネレータ21の低回転速度域の上限を定める第1閾値を超えているときに制御手段(51)によるトルクアシストを許可し、トルクアシストの許可中にエンジン回転速度が前記第1閾値以下となったときには制御手段(51)によるトルクアシストを禁止するトルクアシスト許可・禁止手段(51)とを備えるので、モータジェネレータ21の低回転速度域におけるベルト5の鳴きを防止し、各プーリ4、23、33の回転軸3、22、32の強度を確保しつつ、車両走行開始後のモータジェネレータ21の中・高回転速度域での加速応答性(運転性)がよくなるほか、モータジェネレータ21及びアイドルストップ・再始動手段(51)を既に備えている車両であれば、モータジェネレータ21の仕様変更と簡単なソフトウエアの変更のみで対処できるので、大幅なコストアップを招くことを避けることができる。
本実施形態によれば、車両の挙動を制御する車両挙動制御装置(62、63)を備え、これらの装置(62、63)が作動しているときにはトルクアシストを許可しないので、車両挙動制御装置(62、63)による制御性が悪化することを避けることができる。
本実施形態によれば、エンジン2の出力軸3とベルト式の自動変速機9の間に介装され、ポンプインペラとタービンランナとを有するトルクコンバータ8と、ポンプインペラとタービンランナとを断接する機械式のロックアップクラッチと、一定の車両走行条件が成立したときロックアップクラッチを接続するロックアップクラッチ制御手段(61)とを備え、ロックアップクラッチ制御手段(61)がロックアップクラッチを締結していないときにはトルクアシストを許可しないので、トルク伝達の効率が低下することを避けることができる。これで、トルクアシストの説明を終了する。
さて、本実施形態の車両1では、アイドルストップ状態からエンジン2を再始動させるたびにモータジェネレータ21が使用されるため、アイドルストップを行わない車両に比べてバッテリの電力消費量が増大する。この対策として、図5に示したようにメインバッテリ41(第1バッテリ)とサブバッテリ42(第2バッテリ)の複数のバッテリを備えている。ここで、図5は二つのバッテリ41、42を用いたトルクアシスト車両に用いる本実施形態の電源装置の概略構成図で、図1と同一部分には同一の符号を付している。
ここで、供給電力量の多少の変動は許されるものの大電力を必要とする第1の電気負荷の電源としてメインバッテリを用い、小電力で駆動するものの供給電力の変動が許されない第2の電気負荷の電源としてサブバッテリを用いる従来装置がある。従来装置でいう第1の電気負荷は、スタータやランプやデフォッガなどである。また、従来装置でいう第2の電気負荷は、有段自動変速機用の電動オイルポンプ、オーディオ、ナビゲーションシステムなどの電気負荷である。
しかしながら、従来装置では、トルクアシストを行っていないので、トルクアシスト時に、いかなる電気負荷を2つの各バッテリにどのように分配するかについて一切記載がない。
そこで本実施形態では、異なる電気負荷を2つのバッテリ41、42に対して次のように分配する。トルクアシスト時にはモータジェネレータ21がメインバッテリ41からの電力供給を受けて駆動されるためメインバッテリ41に電圧降下が生じ、またトルクアシスト時にはリレー43(断接手段)を切断する。これらを考慮してモータジェネレータ21、スタータ6を除く残り全ての電気負荷の電源としてサブバッテリ42を用いることが考えられる。
しかながら、この場合にはサブバッテリ42の負担が重くなる。サブバッテリ42に接続する電気負荷の中には例えば電動パワーステアリング装置82など比較的電源の消費が大きい電気負荷が含まれるので、こうした電気負荷に機能低下が生じる。したがって、モータジェネレータ21、スタータ6を除く残り全ての電気負荷の電源としてサブバッテリ42を用いる場合にはサブバッテリ42を大容量にしなければならないという問題が生じる。
そこで、本発明者は、トルクアシスト時にメインバッテリ41を電源とし得る電気負荷がないかと発想した。これは、トルクアシスト時にメインバッテリ41を電源とし得る電気負荷がもしあれば、その分サブバッテリ42の負担を減らし、電動パワーステアリング装置82など比較的電源の消費が大きい電気負荷に機能低下が生じることを避けることができるためである。
例えばヘッドランプ71の電源をメインバッテリ41とした場合には、メインバッテリ41に電圧降下が生じるトルクアシスト時にヘッドランプ71の明るさがトルクアシストを行わないときより暗くなる。同様に、ワイパー72の電源をメインバッテリ41とした場合には、メインバッテリ41に電圧降下が生じるトルクアシスト時にワイパー72のスイープ速度がトルクアシストを行わないときより遅くなる。
しかしながら、アシストトルクはトルクアシストの開始時より漸増させるようにしているので、ヘッドランプ71は徐々にしか暗くならず、ワイパー72のスイープ速度も徐々にしか低下しない。つまり、アシストトルク漸増中におけるヘッドランプ71の明るさ、ワイパー72のスイープ速度の各変化は運転者が明確に感じられるほどでないと考えられる。また、トルクアシストを長く行うのであれば、アシストトルク漸増中における各変化に運転者が気づく機会が増えるといえるが、トルクアシストを行う期間は短い時間でしかないので、その各変化に運転者は殆ど気づき得ないと考えられる。
一方、トルクアシストに伴うヘッドランプ71の明るさやワイパー72のスイープ速度の各低下は、厳密には確かに物理的な機能低下である。しかしながら、アシストトルク漸増中にゆっくりと暗くなるヘッドランプ71の一時的な変化や、アシストトルク漸増中にゆっくりと遅くなるワイパー72のスイープ速度の一時的な変化は運転者が許容できる範囲にあるのも事実である。
そこで本実施形態では、電気負荷の機能低下について物理的な尺度とは別に官能的な尺度を新たに導入する。これについて図6、図7を参照して説明する。
まず、図6は横軸に時間を、縦軸にアシストトルク、ヘッドランプ71の明るさを採ったものである。なお、ヘッドランプ71の明るさは、トルクアシストを行っていないとき100%であるとする。
図6上段においてt11のタイミングでトルクアシストを開始したとき、アシストトルクは漸増し(徐々に増加し)、t12のタイミングより一定値となり、t13のタイミングより漸減し(徐々に減少し)、t4のタイミングでゼロとなる。t1からt4までの期間(トルクアシスト期間)は、例えば1分程度と比較的短い時間である。
図6下段においてA1矢印のようにヘッドランプ71の明るさがt11以降も変わらず100%であればヘッドランプ71に物理的な機能低下はない。しかしながら、ヘッドランプ71の電源をメインバッテリ41としているときには、トルクアシストに伴う電圧低下の影響を受けて、ヘッドランプ71の明るさが図6下段のように低下する。すなわち、t11からヘッドランプ71の明るさが徐々に低下し(ヘッドランプ71が徐々に暗くなり)、t12より一定値となり、t13より明るさが徐々に増加し(ヘッドランプ71が徐々に明るくなり)、t14のタイミングで明るさが100%に戻る。このように、トルクアシスト期間でヘッドランプ71の明るさが低下することは、ヘッドランプ71の物理的な機能低下である。
一方、アシストトルクを漸増させる期間にヘッドランプ71が暗くなるというヘッドランプ71の物理的な機能低下があっても運転者にとっては、官能的(感覚的)に機能低下と認識されない範囲が存在する。すなわち、ヘッドランプ71が暗くなる程度が相対的に小さいために機能低下をもたらすことがないと運転者に認識される範囲と、ヘッドランプ71が暗くなる程度が相対的に大きいために機能低下をもたらすと運転者に認識される範囲とが存在する。そこで、ヘッドランプ71が暗くなる程度が相対的に小さいために機能低下をもたらすことがないと運転者に認識されることを「官能的に機能低下をもたらすことがない」と定義する。また、ヘッドランプ71が暗くなる程度が相対的に大きいために機能低下をもたらすと運転者に認識されることを「官能的に機能低下をもたらす」と定義する。すると、図6下段においてC1、D1、E1の各矢印のようにアシストトルクを漸増させる期間に明るさが低下するときには物理的にも官能的にも機能低下をもたらすことになる。一方、B1矢印のようにアシストトルクを漸増させる期間に明るさが低下するときには、物理的には機能低下であっても官能的には機能低下をもたらすことがない。
言い換えると、アシストトルクを漸増させる期間でのヘッドランプ71の明るさの勾配(図6下段では勾配は負であるが、絶対値で考える)が一点鎖線で示した所定値SL1より大きいとき官能的に機能低下をもたらすこととなる。一方、アシストトルクを漸増させる期間でのヘッドランプ71の明るさの勾配(図6下段では勾配は負であるが、絶対値で考える)が一点鎖線で示した所定値SL1以下のとき官能的に機能低下をもたらすことがない。上記の所定値SL1は官能的に機能低下をもたらす場合と官能的に機能低下をもたらすことがない場合とを区分けする値であり、適合により予め求めておく。
次に、図7は横軸に時間を、縦軸にアシストトルク、ワイパー72のスイープ速度を採ったものである。なお、ワイパー72のスイープ速度は、トルクアシストを行っていないとき100%であるとする。図7上段に示すアシスとトルクの変化は図6上段と同じである。
図7下段においてA2矢印のようにスイープ速度がt11以降も変わらず100%であればワイパー72に物理的な機能低下はない。しかしながら、ワイパー72の電源をメインバッテリ41としているときには、トルクアシストに伴う電圧低下の影響を受けて、ワイパー72のスイープ速度が図7下段のように低下する。すなわち、t11からスイープ速度が徐々に低下し、t12より一定値となり、t13より徐々に増加し、t4のタイミングで100%に戻る。このように、トルクアシスト期間でスイープ速度が低下することは、ワイパー72の物理的な機能低下である。
一方、アシストトルクを漸増させる期間にスイープ速度が遅くなるというワイパー72の物理的な機能低下があっても運転者にとっては、官能的(感覚的)に機能低下と認識されない範囲が存在する。すなわち、スイープ速度が遅くなる程度が相対的に小さいために機能低下をもたらすことがないと運転者に認識される範囲と、スイープ速度が遅くなる程度が相対的に大きいために機能低下をもたらすと運転者に認識される範囲とが存在する。そこで、スイープ速度が遅くなる程度が相対的に小さいために機能低下をもたらすことがないと運転者に認識されることを「官能的に機能低下をもたらすことがない」と定義する。また、スイープ速度が遅くなる程度が相対的に大きいために機能低下をもたらすと運転者に認識されることを「官能的に機能低下をもたらす」と定義する。すると、図7下段においてC2、D2、E2の各矢印のようにアシストトルクを漸増させる期間にスイープ速度が低下するときには物理的にも官能的にも機能低下をもたらすことになる。一方、B2矢印のようにアシストトルクを漸増させる期間にスイープ速度が低下するときには、物理的には機能低下であっても官能的には機能低下をもたらすことがない。
言い換えると、アシストトルクを漸増させる期間でのスイープ速度の勾配(図7下段では勾配は負であるが、絶対値で考える)が一点鎖線で示した所定値SL2より大きいとき官能的に機能低下をもたらすこととなる。一方、アシストトルクを漸増させる期間でのスイープ速度の勾配(図6下段では勾配は図では負であるが、絶対値で考える)が一点鎖線で示した所定値SL2以下のとき官能的に機能低下をもたらすことがない。上記の所定値SL2は官能的に機能低下をもたらす場合と官能的に機能低下をもたらすことがない場合とを区分けするであり、適合により予め求めておく。
ここでは、ヘッドランプ71とワイパー72を例に挙げた。他の電気負荷についても同様に考え、アシストトルクを漸増させる期間に物理的な機能低下があっても運転者にとっては、官能的(感覚的)に機能低下と認識されない範囲が存在すれば、その電気負荷はメインバッテリ41を電源とする電気負荷とすればよい。
ここで、ヘッドランプの明るさ(あるいはスイープ速度)に勾配を有することは電気負荷の機能低下であるから、アシストトルクを漸増させる期間でのヘッドランプの明るさの勾配を「アシストトルクを漸増させる期間での機能低下の程度」と定義する。このように定義したとき、アシストトルクを漸増させる期間での機能低下の程度が所定値SL1より大きい場合に官能的に機能低下をもたらすこととなる。また、アシストトルクを漸増させる期間での機能低下の程度が所定値SL1以下である場合に官能的に機能低下をもたらすことがない。以下では、官能的に機能低下をもたらすことがない、つまりアシストトルクを漸増させる期間での機能低下の程度が所定値SL1以下である電気負荷を第1電気負荷44とする。一方、メインバッテリ41から電源供給を受けるとすれば官能的に機能低下をもたらす、つまりアシストトルクを漸増させる期間での機能低下の程度が所定値SL1より大きい電気負荷を第2電気負荷45とする。
このように、第1電気負荷44と第2電気負荷45の2種類の電気負荷に分類した上で、本実施形態では、図5、図1に示したようにトルクアシスト時に第1電気負荷44の電源としてメインバッテリ41を用い、第2電気負荷45の電源としてサブバッテリ42を用いる。
上記の第2電気負荷45は、供給電圧の影響でちらつき易い電装部品81と、電圧の瞬間的な低下に弱いコントローラ類91に分けることできる。電装部品81としては、電動パワーステアリング(EPS)82、ビークルダイナミックコントロール(VDC)83、ナビゲーションシステム(NAVI)84、コンビネーションメータ66などがある。コントローラ類91としては、自動変速機用コントロールユニット61、ビークルダイナミックコントロールユニット62、車速感応式パワーステアリング用コントロールユニット63、エアコン用オートアンプ64、エアコン用インバータ92がある。
このように構成した場合の本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態では、トルクアシスト中にトルクアシストの電源として用いるメインバッテリ41(第1バッテリ)と、トルクアシスト中にトルクアシスト以外の電気負荷の電源として用いるサブバッテリ42(第2バッテリ)と、メインバッテリ41とサブバッテリ42を断接するリレー43(断接手段)と、トルクアシストを行なわないときにはリレー43を接続し、トルクアシストを開始するときにリレー43を切断した上でアシストトルクを漸増させるエンジンコントロールモジュール51(アシストトルク実行手段)とを備える車両の駆動装置において、トルクアシスト時に、アシストトルクを漸増させる期間での機能低下の程度が所定値以下の電気負荷である第1電気負荷の電源としてメインバッテリ41を用い、アシストトルクを漸増させる期間での機能低下の程度が所定値より大きい電気負荷である第2電気負荷の電源としてサブバッテリ42を用いる。アシストトルクを漸増させる期間での機能低下の程度が所定値より大きい(つまり官能的に機能低下をもたらす)電気負荷である第2電気負荷45は比較的電源の消費が大きいため、第1電気負荷44の電源をもサブバッテリ42にしてしまうと、第2電気負荷45に官能的に機能低下をもたらしたり、サブバッテリ42を大容量にしたりしなければならない。本実施形態よれば、トルクアシスト時にアシストトルクを漸増させる限り、アシストトルクを漸増させる期間での機能低下の程度が所定値以下の(つまり官能的に機能低下をもたらすことがない)電気負荷である第1電気負荷44の電源としてメインバッテリ41を用いることにしたので、第1電気負荷44によるサブバッテリ42の電力消費がなくなることから、第2電気負荷45に官能的に機能低下をもたらすことを回避でき、車両の信頼性を向上させることができる。また、サブバッテリ42を大容量にしたりする必要がなくなるので、サブバッテリ42のサイズを最低限まで小さくすることができる(サブバッテリの最適化)。
本実施形態によれば、トルクアシスト実行手段は、エンジン2の出力軸3にベルト及びプーリ5を介して機械的に結合されたモータジェネレータ21と、 エンジン2をトルクアシストするよう、トルクアシストを開始するときにモータジェネレータ21に漸増するアシストトルクを発生させるモータジェネレータ制御手段(51)と、車両の走行開始後にエンジン回転速度がモータジェネレータの低回転速度域の上限を定める第1閾値を超えているときに前記制御手段(51)によるトルクアシストを許可し、トルクアシストの許可中にエンジン回転速度が前記第1閾値以下となったときには前記制御手段(51)によるトルクアシストを禁止するトルクアシスト許可・禁止手段(51)とを備えるので、車両走行開始後のモータジェネレータ21の中・高回転速度域でアクセルペダル52を踏み込んで加速を行ったときには加速応答性が良くなる。また、モータジェネレータ21の低回転速度域ではトルクアシストを禁止するので、モータジェネレータ21の低回転速度域におけるベルト5の鳴きを防止し、各プーリ4、23、33の回転軸3、22、32の強度を確保できる。