JP6251470B2 - 車両の駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の駆動装置に関する。
エンジンの出力軸にベルトを介してモータジェネレータを機械的に結合し、このモータジェネレータでエンジンの始動を行う技術が知られている(特許文献1参照)。
特開2007−292079号公報
ところで、上記モータジェネレータを使用する範囲をエンジンの始動用のみにとどめるのではなく、車両走行中のトルクアシスト用にまで拡大することができれば運転性がよくなると本発明者が発想した。
しかしながら、上記特許文献1の技術では、モータジェネレータをエンジンの始動用に用いる場合しか考慮しておらず、車両走行中のトルクアシストに拡大した場合のモータジェネレータの設計・制御方法については一切記載がない。
本発明は、モータジェネレータを車両走行中のトルクアシストに拡大して、運転性を良くする装置を提供することを目的とする。
本発明による車両の駆動装置は、エンジンの出力軸にベルトを介して機械的に結合されたモータジェネレータと、アクセル開度に応じたエンジントルクを出力するエンジンと、エンジンをトルクアシストするように、モータジェネレータにエンジントルクに加える所定のアシストトルクを発生させるモータジェネレータ制御手段と、アクセル開度変化率を算出するアクセル開度変化率算出手段と、トルクアシストの許可および禁止を制御するトルクアシスト許可・禁止手段とを備える。トルクアシスト許可・禁止手段は、車両の走行開始後に、アクセル開度変化率がアクセル開度変化率閾値より大きい場合にトルクアシストを許可し、アクセル開度変化率がアクセル開度変化率閾値以下の場合にトルクアシストを禁止する。
本発明によれば、ドライバの加速意図の有無に応じて、エンジンの出力軸にベルトを介して機械的に結合されたモータジェネレータによるトルクアシストの許可/禁止を行うことができる。
図1は、第1の実施形態における車両の駆動装置の概略構成図である。 図2はガソリンエンジンの制御システム図である。 図3は、モータジェネレータを用いたトルクアシスト制御のフローチャートである。 図4は、第2の実施形態における車両の駆動装置において、モータジェネレータを用いたトルクアシスト制御のフローチャートである。 図5は、第3の実施形態における車両の駆動装置において、モータジェネレータ21を用いたトルクアシスト制御のフローチャートである。
−第1の実施形態−
図1は、第1の実施形態における車両の駆動装置の概略構成図である。図1において、車両1には、エンジン2、モータジェネレータ21、エアコン用コンプレッサ31が設けられている。具体的には、エンジン2の出力軸3、モータジェネレータ21の回転軸22、エアコン用コンプレッサ31の回転軸32が平行に配置され、出力軸3の一端にクランクプーリ4が、回転軸22、32に各プーリ23、33が取り付けられている。これら3つの各プーリ4、23、33にはベルト5が掛け回され、エンジン2の出力軸3、回転軸23、33の間は、ベルト5によって動力が伝達(伝導)される。
スタータ6は、エンジン2の始動に用いられる。エンジン2の出力軸3の他端には、トルクコンバータ8、ベルト式の自動変速機9が接続されている。トルクコンバータ8は、図示しないポンプインペラ、タービンランナを有する。ベルト式の自動変速機9は、図示しないプライマリプーリ、セカンダリプーリ、これらプーリに掛け回されるスチールベルトを有する。エンジン2の回転駆動力は、これらトルクコンバータ8、自動変速機9を介して、最終的に車両駆動輪(図示しない)に伝達される。
車両1の電源として、メインバッテリ41とサブバッテリ42が設けられている。いずれも14Vバッテリである。2つのバッテリ41、42の間は、並列された2つのリレー43によって接続されている。
上記のスタータ6、モータジェネレータ21は、メインバッテリ41とリレー43の間に接続され、電力はメインバッテリ41から供給される。なお、モータジェネレータ21は、交流機から構成されているため、メインバッテリ41からの直流を交流に変換するインバータ24を付属している。
エンジンコントロールモジュール(ECM)51は、エンジン2、スタータ6及びモータジェネレータ21を制御する。
図2はガソリンエンジンの制御システム図である。各吸気ポート(図示しない)には、燃料噴射弁7が設けられている。燃料噴射弁7は、燃料をエンジン2に間欠的に供給するものである。
吸気通路11には、電子制御のスロットル弁12が設けられ、スロットルモータ13によってスロットル弁12の開度(以下、「スロットル開度」という。)が制御される。実際のスロットル開度は、スロットルセンサ14により検出され、エンジンコントロールモジュール51に入力される。
エンジンコントロールモジュール51には、アクセルセンサ53からのアクセル開度(アクセルペダル52の踏込量)の信号、クランク角センサ54からのクランク角の信号、エアフローメータ55からの吸入空気量の信号が入力される。クランク角センサ54の信号からは、エンジン2の回転速度が算出される。エンジンコントロールモジュール51は、これらの信号に基づいて、目標吸入空気量及び目標燃料噴射量を算出し、目標吸入空気量及び目標燃料噴射量が得られるように、スロットルモータ13及び各燃料噴射弁7に指令を出す。
ここで、吸入空気量の制御について概説する(特開平9−287513号公報参照)。アクセル開度APOとエンジン回転速度Neとから所定のマップを検索することにより、目標基本吸入空気量及び目標当量比tDMLをそれぞれ算出する。目標基本吸入空気量を目標当量比tDMLで除算した値を目標吸入空気量とする。そして、この目標吸入空気量とエンジン回転速度から所定のマップを検索することにより、目標スロットル弁開度を求める。目標スロットル弁開度を指令値に変換して、スロットルモータ13に出力する。
次に、燃料噴射(燃料噴射量及び燃料噴射時期)の制御について概説する。エアフローメータ55の出力をA/D変換し、リニアライズして吸入空気量QAを算出する。この吸入空気量QAとエンジン回転速度Neから、ほぼ理論空燃比(当量比=1.0)の混合気が得られる基本噴射パルス幅TP0[ms]を、TP0=K×QA/Ne(ただし、Kは定数)として求める。次に、
TP=TP0×Fload+TP-1×(1−Fload)
ただし、Fload:加重平均係数、
TP-1:前回のTP、
の式によりシリンダ空気量相当パルス幅TP[ms]を求める。これは、シリンダ(燃焼室)に流入する空気量(つまりシリンダ空気量)がエアフローメータ部での吸入空気量に対して応答遅れを有するので、この応答遅れを一次遅れで近似したものである。一次遅れの係数である加重平均係数Fload[無名数]は、回転速度Ne及びシリンダ容積Vの積Ne・Vと吸気管の総流路面積Aaから所定のマップを検索することにより求める。このようにして求めたシリンダ空気量相当パルス幅TPに基づいて、燃料噴射弁7に与える燃料噴射パルス幅Ti[ms]を、
Ti=TP×tDML×(α+αm−1)×2+Ts
ただし、tDML:目標当量比[無名数]、
α:空燃比フィードバック補正係数[無名数]、
αm:空燃比学習値[無名数]、
ts:無効噴射パルス幅[無名数]、
の式により算出する。そして、所定の燃料噴射時期になったときに、この燃料噴射パルス幅Tiの期間、燃料噴射弁7を開く。
なお、ガソリンエンジン2では、燃焼室(シリンダ)に臨んで点火プラグを備えている。エンジンコントロールモジュール51は、圧縮上死点前の所定の時期に点火コイルの一次側電流を遮断することにより点火プラグに火花を発生させ、これによって燃焼室内の混合気に点火する。
また、エンジンコントロールモジュール51は、スタータスイッチ56からの信号に基づいて、初回の始動要求があると判断したときには、スタータ6を駆動しエンジン2を始動させる。
エンジンコントロールモジュール51は、燃費向上を目的として、アイドルストップ制御を行う。すなわち、アクセルペダル52が踏み込まれておらず(APO=0)、ブレーキペダル57が踏み込まれ(ブレーキスイッチ58がON)、かつ車両1が停止状態にある(車速VSP=0)ときに、アイドルストップ許可条件が成立する。アイドルストップ許可条件が成立すると、燃料噴射弁7から吸気ポートへの燃料噴射を遮断して、エンジン2を停止する。これにより、無駄な燃料消費を低減する。
その後、アイドルストップ状態で、アクセルペダル52が踏み込まれたり、ブレーキペダル57が戻される(ブレーキスイッチ58がOFF)などすると、アイドルストップ許可条件が不成立となる。アイドルストップ許可条件が不成立となると、モータジェネレータ21をスタータとして用いてエンジン2をクランキングし、燃料噴射弁7からの燃料噴射と点火プラグによる火花点火とを再開して、エンジン2を再始動する。
このように、モータジェネレータ21をアイドルストップからのエンジン再始動用として専ら用いることで、スタータ6の使用頻度を減らして、スタータ6を保護する。なお、スタータ6やモータジェネレータ21を駆動するときには、エンジンコントロールモジュール51により、2つのリレー43をともに遮断して、メインバッテリ41とサブバッテリ42を電気的に切り離す。これによって、エンジン2の始動操作に伴ってサブバッテリ42の電圧が変動することを防止する。
図1に戻り、説明を続ける。車両1には、自動変速機用コントロールユニット(CVTCU)61が設けられている。自動変速機用コントロールユニット61は、車速とスロットル開度とから定まる車両の走行条件に応じて、自動変速機9の変速比を無段階に制御する。また、ポンプインペラ、タービンランナを有するトルクコンバータ8には、ポンプインペラとタービンランナとを締結・開放する機械式のロックアップクラッチが設けられている。ロックアップクラッチを締結する車両の走行域は、ロックアップ領域(車速とスロットル開度とをパラメータとしている)として予め定められている。自動変速機用コントロールユニット61は、車両の走行条件がロックアップ領域となったとき、ロックアップクラッチを締結してエンジン2と変速機9とを直結状態とし、車両の走行条件がロックアップ領域でないときには、ロックアップクラッチを開放する。エンジン2と変速機9とを直結状態としたときには、トルクコンバータ8でのトルクの吸収がなくなり、その分燃費が良くなる。
車両1にはまた、ビークルダイナミックコントロール(Vehicle Dynamics Control)ユニット(VDCCU)62、車速感応式の電動パワーステアリング(Electric Power Steering)用コントロールユニット(EPSCU)63、エアコン用オートアンプ64、コンビネーションメータ66が設けられている。ビークルダイナミックコントロールユニット62は、車両の横滑りや尻振りを起こしそうになると、横滑り状態をセンサが検知し、ブレーキ制御とエンジン出力制御により、走行時の車両安定性を向上させる。車速感応式電動パワーステアリング用コントロールユニット63は、トルクセンサから入力される操舵トルク、及び車速から、最適なアシストトルク信号をEPSモータに出力する。
上記の自動変速機用コントロールユニット61、ビークルダイナミックコントロールユニット62、車速感応式パワーステアリング用コントロールユニット63、コンビネーションメータ66は、電圧降下を許容できない電気負荷である。従って、これらは、サブバッテリ42から電力の供給を受ける。
エンジンコントロールモジュール51と3つの各コントロールユニット61〜63、エアコン用オートアンプ(A/C Amp)64、コンビネーションメータ66の間は、CAN(Controller Area Network)で接続されている。エンジンコントロールモジュール51には、コンビネーションメータ66から車速信号が入力される。
上述したように、モータジェネレータ21を使用する範囲をエンジンの始動用のみにとどめるのではなく、車両走行中のトルクアシスト用にまで拡大することができれば、運転性がよくなると本発明者が思い至った。
そこで、第1の実施形態では、アイドルストップからの再始動用に用いているモータジェネレータ21の使用範囲を車両走行中のトルクアシストにまで拡大する。具体的には、エンジン2の始動後かつ車両1の走行開始後に、アクセル開度の変化率DAPOが所定のアクセル開度変化率DAPOOKより大きい場合に、モータジェネレータ21を用いたトルクアシストを許可する。
トルクアシストを許可するときには、エンジン2をトルクアシストするよう、メインバッテリ41を電源として用いて、モータジェネレータ21に所定のアシストトルクを発生させ、トルクアシストを禁止するときにはアシストトルクを発生させない。これによって、エンジン2の始動後かつ車両1の走行開始後に、良好な加速応答性(運転性)が得られるようにする。
メインバッテリ41の電圧はモニタし、エンジンコントロールモジュール51に入力させておく。エンジンコントロールモジュール51は、メインバッテリ41の電流に基づいて、メインバッテリ41のSOC(State Of Charge)を算出し、このSOCに基づいて、メインバッテリ41の充放電の収支を管理する。
インバータ24とエンジンコントロールモジュール51とは、LIN(Local Interconnect Network)で接続している。LINを介して、エンジンコントロールモジュール51がインバータ24に対して、モータジェネレータ21を駆動するのか、それともモータジェネレータ21で発電させるのか、モータとして駆動するためにどのくらいの電流を流すのか等を指令する。
図3は、モータジェネレータ21を用いたトルクアシスト制御のフローチャートである。図3に示すフローチャートの処理は、エンジンコントロールモジュール51によって所定時間ごと(例えば、10msごと)に行われる。
ステップS10では、エンジン2の初回始動後であるか否かを判定する。エンジン2の初回始動では、スタータ6を用いる。エンジン2の初回始動後でないと判定すると今回の処理は終了し、初回始動後であると判定すると、ステップS20に進む。
ステップS20では、車両1が走行中であるか否かを判定する。車速がゼロまたはゼロに近い値以下であるときには車両の停止中(走行中でない)と判断して、今回の処理は終了する。一方、車速がゼロでないとき、またはゼロに近い値を超えているときには、車両の走行中であると判断して、ステップS30に進む。
ステップS30では、前回読み込んだアクセル開度APOをAPOOLDに設定する。エンジン2の初回始動後に初めてステップS30の処理を行う場合には、APOOLD=0とする。
ステップS40では、アクセルセンサ53からアクセル開度APOを読み込む。
ステップS50では、ステップS40で読み込んだアクセル開度APOと、ステップS30で設定したAPOOLDとの差を、アクセル開度変化率DAPOとして算出する。
ステップS60では、トルクアシスト許可条件が成立しているか否かを判定する。すなわち、次の〈1〉、〈2〉の全ての条件が成立してないときに、トルクアシスト許可条件が成立したと判断する。言い換えると、次の〈1〉、〈2〉のいずれかの条件でも成立するときには、トルクアシスト許可条件が成立しないと判断して、トルクアシストを禁止する。
〈1〉ロックアップクラッチを開放しているとき
〈2〉メインバッテリ41のSOCがトルクアシスト許可値未満であるとき
上記〈1〉のときにトルクアシストを禁止するのは、ロックアップクラッチを開放しているときにエンジン2にアシストトルクを加えても、アシストトルクの一部がトルクコンバータ8で吸収されてしまい、トルク伝達の効率が悪いためである。一方、ロックアップクラッチを締結し、エンジン2と変速機9とを直結状態としているときにエンジン2に対してアシストトルクを加えるのであれば、アシストトルクの分が車両トルクの増加となるので、トルク伝達の効率が悪くなることがない。
上記〈2〉の条件が成立する場合には、トルクアシストを禁止する。言い換えると、メインバッテリ41のSOCがトルクアシスト許可値以上であるときに、トルクアシストを許可することとしている。
このように本実施形態では、車両挙動制御装置との干渉を主に防止する観点からトルクアシストを許可する条件を限定している。
上記〈1〉と〈2〉の両方とも成立していないときには、トルクアシスト許可条件が成立したと判断して、ステップS70に進む。一方、上記〈1〉と〈2〉のいずれか一方でも成立するときには、トルクアシスト許可条件が成立しないと判断してステップS90に進む。
ステップS70では、ステップS50で算出したアクセル開度変化率DAPOが閾値DAPOOKより大きいか否かを判定する。アクセル開度変化率DAPOが閾値DAPOOKより大きいと判定するとステップS80に進み、閾値DAPOOK以下であると判定すると、ステップS90に進む。
ステップS80では、トルクアシスト許可フラグ=1とする。
一方、ステップS90では、トルクアシスト許可フラグ=0とする。
ステップS100では、トルクアシスト許可フラグ=1であるか否かを判定する。トルクアシスト許可フラグ=1であると判定すると、ステップS110に進んで、トルクアシスト実行フラグ=1とする。トルクアシスト実行フラグ=1により、エンジンコントロールモジュール51がインバータ24に電流を流し、モータジェネレータ21をモータとして駆動する。これにより、車両の駆動トルクとして、エンジントルクにモータトルクが加わる。
一方、ステップS100においてトルクアシスト許可フラグ=0であると判定すると、ステップS120に進んで、トルクアシスト実行フラグ=0とする。トルクアシスト実行フラグ=0により、エンジンコントロールモジュール51がインバータ24への電流供給を遮断して、モータジェネレータ21を非駆動状態とする。
以上、第1の実施形態における車両の駆動装置によれば、車両の走行開始後に、アクセル開度変化率DAPOが閾値DAPOOKより大きい場合に、エンジン2の出力軸にベルトを介して機械的に結合されたモータジェネレータ21によるトルクアシストを許可し、アクセル開度変化率DAPOが閾値DAPOOK以下の場合に、モータジェネレータ21によるトルクアシストを禁止する。これにより、ドライバの加速意図の有無に応じて、モータジェネレータ21によるトルクアシストの許可/禁止を行うことができる。特に、アクセル開度変化率DAPOが閾値DAPOOKより大きい場合にトルクアシストを許可するので、アクセル開度変化率に基づいたドライバの加速要求に応じて、モータジェネレータ21によるトルクアシストを行うことができ、スムーズな加速を実現することができる。また、アクセル開度変化率DAPOが閾値DAPOOK以下の場合にトルクアシストを禁止するので、ドライバがアクセルペダルを維持またはわずかに戻した場合には、モータジェネレータ21によるトルクアシストを終了するので、ドライバが意図と異なるショックを感じることがなく、違和感が発生しない。
−第2の実施形態−
第1の実施形態における車両の駆動装置では、エンジン2の始動後、かつ車両1の走行開始後に、アクセル開度変化率DAPOが閾値DAPOOKより大きい場合に、モータジェネレータ21によるトルクアシストを許可した。第2の実施形態における車両の駆動装置では、エンジン2の始動後、かつ車両1の走行開始後に、エンジン2への燃料噴射量の変化率が所定の閾値より大きい場合に、モータジェネレータ21によるトルクアシストを許可する。
なお、以下では、燃料噴射量の代わりに、燃料噴射量と相関関係のあるシリンダ空気量相当パルス幅TPを用いて制御を行う例について説明する。すなわち、燃料噴射量の変化率を算出する代わりに、シリンダ空気量相当パルス幅TPの変化率DTPを算出し、シリンダ空気量相当パルス幅TPの変化率DTPが閾値DTPOKより大きい場合に、モータジェネレータ21によるトルクアシストを許可する。この制御は、燃料噴射量の変化率が所定の閾値より大きい場合に、モータジェネレータ21によるトルクアシストを許可する制御と同等である。
図4は、第2の実施形態における車両の駆動装置において、モータジェネレータ21を用いたトルクアシスト制御のフローチャートである。図3に示すフローチャートの処理と同じ処理を行うステップについては、同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
ステップS20の判定を肯定した後に進むステップS200では、前回のシリンダ空気量相当パルス幅TPをTPOLDに設定する。ただし、エンジン2の初回始動後に初めてステップS200の処理を行う場合には、TPOLD=0とする。なお、シリンダ空気量相当パルス幅TPの算出方法は説明済みのため、ここでは詳しい算出方法の説明は省略する。
ステップS210では、シリンダ空気量相当パルス幅TPを読み込む(算出する)。
ステップS220では、ステップS210で読み込んだシリンダ空気量相当パルス幅TPと、ステップS200で設定したTPOLDとの差を、シリンダ空気量相当パルス幅の変化量DTPとして算出する。
ステップS60でトルクアシスト許可条件が成立したと判定するとステップS230に進む。ステップS230では、ステップS220で算出したシリンダ空気量相当パルス幅の変化量DTPが閾値DTPOKより大きいか否かを判定する。シリンダ空気量相当パルス幅の変化量DTPが閾値DTPOKより大きいと判定するとステップS80に進んで、トルクアシスト許可フラグ=1とし、閾値DTPOK以下であると判定するとステップS90に進んで、トルクアシスト許可フラグ=0とする。
以上、第2の実施形態における車両の駆動装置によれば、燃料噴射量の変化率が所定の燃料噴射量変化率閾値より大きい場合に、エンジン2の出力軸にベルトを介して機械的に結合されたモータジェネレータ21によるトルクアシストを許可するので、燃料噴射量変化率に基づいたドライバの加速要求に応じて、モータジェネレータ21によるトルクアシストを行うことができ、スムーズな加速を実現することができる。また、燃料噴射量の変化率が所定の燃料噴射量変化率閾値以下の場合に、モータジェネレータ21によるトルクアシストを禁止する。これにより、ドライバがアクセルペダルを維持またはわずかに戻した場合には、モータジェネレータ21によるトルクアシストを終了するので、ドライバが意図と異なるショックを感じることがなく、違和感が発生しない。
−第3の実施形態−
第1の実施形態における車両の駆動装置では、エンジン2の始動後、かつ車両1の走行開始後に、アクセル開度変化率DAPOが閾値DAPOOKより大きい場合に、モータジェネレータ21によるトルクアシストを許可した。第3の実施形態における車両の駆動装置では、エンジン2の始動後、かつ車両1の走行開始後に、エンジン2の吸入空気量QAの変化率DQAが閾値DQAOKより大きい場合に、モータジェネレータ21によるトルクアシストを許可する。
図5は、第3の実施形態における車両の駆動装置において、モータジェネレータ21を用いたトルクアシスト制御のフローチャートである。図3に示すフローチャートの処理と同じ処理を行うステップについては、同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
ステップS20の判定を肯定した後に進むステップS300では、前回の吸入空気量QAをQAOLDに設定する。ただし、エンジン2の初回始動後に初めてステップS300の処理を行う場合には、QAOLD=0とする。
ステップS310では、吸入空気量QAを読み込む。
ステップS320では、ステップS310で読み込んだ吸入空気量QAと、ステップS300で設定したQAOLDとの差を、吸入空気量の変化率DQAとして算出する。
ステップS60でトルクアシスト許可条件が成立したと判定するとステップS330に進む。ステップS330では、ステップS320で算出した吸入空気量の変化率DQAが閾値DQAOKより大きいか否かを判定する。吸入空気量の変化率DQAが閾値DQAOKより大きいと判定するとステップS80に進んで、トルクアシスト許可フラグ=1とし、閾値DQAOK以下であると判定するとステップS90に進んで、トルクアシスト許可フラグ=0とする。
以上、第3の実施形態における車両の駆動装置によれば、吸入空気量の変化率DQAが閾値DQAOKより大きい場合に、エンジン2の出力軸にベルトを介して機械的に結合されたモータジェネレータ21によるトルクアシストを許可するので、吸入空気量の変化率に基づいたドライバの加速要求に応じて、モータジェネレータ21によるトルクアシストを行うことができ、スムーズな加速を実現することができる。また、吸入空気量の変化率が閾値DQAOK以下の場合に、モータジェネレータ21によるトルクアシストを禁止する。これにより、ドライバがアクセルペダルを維持またはわずかに戻した場合には、モータジェネレータ21によるトルクアシストを終了するので、ドライバが意図と異なるショックを感じることがなく、違和感が発生しない。
本発明は、上述した第1〜第3の実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
2…エンジン
5…ベルト
21…モータジェネレータ
51…エンジンコントロールモジュール(モータジェネレータ制御手段、トルクアシスト許可・禁止手段、アクセル開度変化率算出手段、燃料噴射量変化率算出手段、吸入空気量変化率算出手段)

Claims (3)

  1. エンジンの出力軸にベルトを介して機械的に結合されたモータジェネレータと、
    アクセル開度に応じたエンジントルクを出力するエンジンと、
    前記エンジンをトルクアシストするように、前記モータジェネレータに前記エンジントルクに加える所定のアシストトルクを発生させるモータジェネレータ制御手段と、
    アクセル開度変化率を算出するアクセル開度変化率算出手段と、
    車両の走行開始後に、前記アクセル開度変化率がアクセル開度変化率閾値より大きい場合に、前記モータジェネレータ制御手段によるトルクアシストを許可し、前記アクセル開度変化率が前記アクセル開度変化率閾値以下の場合に、前記モータジェネレータ制御手段によるトルクアシストを禁止するトルクアシスト許可・禁止手段と、
    を備えることを特徴とする車両の駆動装置。
  2. エンジンの出力軸にベルトを介して機械的に結合されたモータジェネレータと、
    アクセル開度に応じたエンジントルクを出力するエンジンと、
    前記エンジンをトルクアシストするように、前記モータジェネレータに前記エンジントルクに加える所定のアシストトルクを発生させるモータジェネレータ制御手段と、
    エンジンの燃料噴射量変化率を算出する燃料噴射量変化率算出手段と、
    車両の走行開始後に、前記燃料噴射量変化率が燃料噴射量変化率閾値より大きい場合に、前記モータジェネレータ制御手段によるトルクアシストを許可し、前記燃料噴射量変化率が前記燃料噴射量変化率閾値以下の場合に、前記モータジェネレータ制御手段によるトルクアシストを禁止するトルクアシスト許可・禁止手段と、
    を備えることを特徴とする車両の駆動装置。
  3. エンジンの出力軸にベルトを介して機械的に結合されたモータジェネレータと、
    アクセル開度に応じたエンジントルクを出力するエンジンと、
    前記エンジンをトルクアシストするように、前記モータジェネレータに前記エンジントルクに加える所定のアシストトルクを発生させるモータジェネレータ制御手段と、
    エンジンの吸入空気量変化率を算出する吸入空気量変化率算出手段と、
    車両の走行開始後に、前記吸入空気量変化率が吸入空気量変化率閾値より大きい場合に、前記モータジェネレータ制御手段によるトルクアシストを許可し、前記吸入空気量変化率が前記吸入空気量変化率閾値以下の場合に、前記モータジェネレータ制御手段によるトルクアシストを禁止するトルクアシスト許可・禁止手段と、
    を備えることを特徴とする車両の駆動装置。
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