JP2015137087A - 制動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】不感帯による制動力の制御応答性のばらつきを抑制することができる制動装置を提供する。【解決手段】本発明の制動装置は、調圧装置44から出力される出力液圧の実圧を制御し、出力液圧の実圧に基づいて車両の車輪に制動力を付与する制動装置であって、出力液圧の実圧が、出力液圧の目標値に対して設定される不感帯の範囲外の液圧である場合に、出力液圧の実圧が不感帯の範囲内の液圧になるように調圧装置44を制御する制動装置において、出力液圧の実圧が不感帯の範囲内の液圧であるか否かを判定する実圧判定部61と、実圧判定部61により出力液圧の実圧が不感帯の範囲内の液圧であることが判定されている場合に、出力液圧の目標圧を出力液圧の実圧に近づける側に補正する目標圧補正を実行する補正部60と、を備える。【選択図】図3
Description
本発明は、車両に用いられる制動装置に関する。
車両用制動装置は、例えば特開2011−240873号公報に記載されているように、マスタシリンダや機械式のサーボ圧発生部等を備えるものがある。また、特開2013−193619号公報に記載されているように、アキュムレータ内のアキュムレータ圧を基にパイロット圧に応じた液圧をサーボ室内に発生させる機械式レギュレータを備える制動装置もある。また、レギュレータを介さず電磁弁の開閉によりホイールシリンダの油圧を制御する装置もある。これら制動装置では、サーボ室又はホイールシリンダについて、ブレーキ操作量に対する目標の液圧が設定されており、実圧(サーボ室又はホイールシリンダの実際の液圧)を目標圧(サーボ室又はホイールシリンダの目標の液圧)とするような液圧制御が行われている。
このような制動装置では、例えば特開2009−40376号公報に記載されているように、目標圧に対して所定の不感帯が設定されている。制動装置は、液圧制御を行うにあたり、実圧が不感帯の範囲内(不感帯領域)に入ると実質的に目標圧に達したものと認識する。このような不感帯を設定することで、目標圧を一点に設定する場合よりも液圧制御のハンチングを抑制することができる。
しかしながら、上記制動装置では、ブレーキ操作中、上記不感帯により、目標圧に対して実圧が偏差を有する場合が発生する。このように、実圧が当該目標圧の不感帯の範囲外である場合に実圧を不感帯の範囲内になるように制御する制動装置では、不感帯を設定することに起因して、制動力の制御性が低下することが考えられる。つまり、不感帯の範囲内にある実圧と目標圧との差に起因して、制御応答性にばらつきが生じる。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、不感帯による制動力の制御応答性のばらつきを抑制することができる制動装置を提供することを目的とする。
本発明の様相1に係る制動装置は、調圧装置から出力される出力液圧の実圧を制御し、前記出力液圧の実圧に基づいて車両の車輪に制動力を付与する制動装置であって、前記出力液圧の実圧が、前記出力液圧の目標値に対して設定される不感帯の範囲外の液圧である場合に、前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧になるように前記調圧装置を制御する制動装置において、前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧であるか否かを判定する実圧判定部と、前記実圧判定部により前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧であることが判定されている場合に、前記出力液圧の目標圧を前記出力液圧の実圧に近づける側に補正する目標圧補正を実行する補正部と、を備える。
従来の制動装置では、不感帯の作用に基づき、出力液圧の目標圧(以下、単に「目標圧」とも称する)が変化しても、出力液圧の実圧(以下、単に「実圧」とも称する)がその目標圧に対して設定された不感帯の範囲外になるまでは調圧装置が制御されない。そのため、目標圧の変化に対して、実圧の変化が遅れることが考えられる。この遅れは、例えば出力液圧を一定状態から増大させる場合、実圧が不感帯の範囲内において高圧側に位置するほど大きく、出力液圧を一定状態から減少させる場合、実圧が不感帯の範囲内において低圧側に位置するほど大きい。反対に、上記遅れが比較的小さい場合もある。上記遅れは、例えば出力液圧を一定状態から増大させる場合、実圧が不感帯の範囲内において低圧側に位置するほど小さく、出力液圧を一定状態から減少させる場合、実圧が不感帯の範囲内において高圧側に位置するほど小さい。つまり、不感帯により制御応答性にばらつきが生じる。
これに対し、上記様相1によれば、実圧が不感帯の範囲内に位置する場合に、補正部が目標圧自体をその実圧に近づける側に補正する。これにより、不感帯の範囲内における実圧と目標圧の差が小さくなり、上記遅れのばらつきの発生を抑制することができる。すなわち、不感帯による制動力の制御応答性のばらつきを抑制することができる。
本発明の様相2に係る制動装置は、上記様相1において、前記出力液圧の実圧が一定であるか否かを判定する実圧変化モード判定部を備え、前記補正部は、前記実圧判定部により前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧であることが判定されている場合であって、前記実圧変化モード判定部により前記出力液圧の実圧が一定であることが判定されている場合に、前記目標圧補正を実行する。
この構成によれば、補正部は、実圧が安定している際に目標圧補正を実行する。調圧装置の制御停止直後にヒステリシスにより実圧が変動する可能性があるが、上記様相2によれば、当該変動期間に、目標圧補正を実行することが防止される。これにより、目標圧の実圧への追従による目標圧の大幅な変動(補正)を防止することができる。
本発明の様相3に係る制動装置は、上記様相1又は2において、前記出力液圧の目標圧が一定であるか否かを判定する目標圧変化モード判定部を備え、前記補正部は、前記実圧判定部により前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧であることが判定されている場合であって、前記目標圧変化モード判定部により前記出力液圧の目標圧が一定であることが判定されている場合に、前記目標圧補正を実行する。
この構成によれば、補正部は、調圧装置の制御が安定した状態で目標圧補正を実行することができる。つまり、上記様相2同様、目標圧の大幅な変動を防止することができる。
本発明の様相4に係る制動装置は、上記様相1〜3のうちの1つにおいて、前記出力液圧の目標圧の単位時間当たりの変化量が所定の閾変化量以下であるか否かを判定する目標圧変化量判定部を備え、前記補正部は、前記実圧判定部により前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧であることが判定されている場合であって、前記目標圧変化量判定部により前記出力液圧の目標圧の変化量が前記閾変化量以下であることが判定されている場合に、前記目標圧補正を実行する。
この構成によれば、目標圧の急峻な変化に対して不要な補正をすることなく、目標圧の緩やかな変化に対して確実に目標圧補正を実行することができる。目標圧が緩やかに変化する場合には、実圧が階段状に変化することが多く、その階段変化の分だけ、実圧が不感帯の範囲外となる時間が重要となる。上記様相4によれば、補正部が、実圧の階段変化が生じるような目標圧の緩やかな変化状態の際に目標圧補正を実行することで、制御応答性のばらつきを抑制することができる。
本発明の様相5に係る制動装置は、上記様相1〜4のうちの1つにおいて、前記補正部は、前記目標圧補正による1回当たり補正量の上限を、前記不感帯の幅に応じて決定する。この構成によれば、不感帯の幅が1つのマップ上で変化する場合、あるいは不感帯の幅が車両ごとで異なる場合に、補正部が補正量を適切な量に変更することができる。
本発明の様相6に係る制動装置は、上記様相1〜5のうちの1つにおいて、前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧になった時点から現時点までの前記目標圧補正の実行回数が、所定の閾実行回数未満であるか否かを判定する補正実行回数判定部を備え、前記補正部は、前記実圧判定部により前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧であることが判定されている場合であって、前記補正実行回数判定部により前記目標圧補正の実行回数が前記閾実行回数未満であることが判定されている場合に、前記目標圧補正を実行する。
この構成によれば、1回の調圧装置の実圧保持動作中(実圧が不感帯内に存在している間)に実行できる目標圧補正の最大回数が閾実行回数となる。これにより、調圧装置が実圧を保持している間に、圧力漏れ等、ヒステリシスによらない実圧変動があった場合でも、閾実行回数より多く目標圧補正が実行されず、目標圧補正により目標圧が実圧に追従して変化し続けることを抑制することができる。
本発明の様相7に係る制動装置は、上記様相1〜6のうちの1つにおいて、前記車輪に対する制動力の付与が開始された時点から現時点までの前記目標圧補正による補正量の総量が、前記出力液圧の目標圧を増大させる所定の閾補正総量以下であるか否か、又は前記出力液圧の目標圧を減少させる所定の閾補正総量以下であるか否かを判定する補正総量判定部を備え、前記補正部は、前記実圧判定部により前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧であることが判定されている場合であって、前記補正総量判定部により前記補正量の総量が前記閾補正総量以下であることが判定されている場合に、前記目標圧補正を実行する。
この構成によれば、制動力の付与から終了までの一ブレーキ操作期間中の補正総量が制限される。これにより、一ブレーキ操作終了(全制御終了)までに補正量を0にリセットする必要があるシステムにおいて、操作終了までに補正量を0にすることができる範囲で目標圧補正を実施することができる。
本発明の様相8に係る制動装置は、上記様相1〜7のうちの1つにおいて、前記補正総量判定部が、前記閾補正総量を、前記出力圧の実圧又は車両の減速度に応じて変化させる。この構成によれば、例えば実圧が0から遠い場合には補正をリセットする機会が多いため、閾補正総量を大きくすることができる。また、実圧が0に近い場合、閾補正総量を小さくすることで、当該実圧に対して補正量が大きくなることを抑制することができる。また、この構成によれば、ブレーキ操作のフィーリングを維持しつつ応答性のばらつきを抑制できる。
本発明の様相9に係る制動装置は、上記様相1〜8のうちの1つにおいて、前記車輪に対する制動力の付与が開始された時点から現時点までの前記目標圧補正による補正量の総量が、前記出力液圧の目標圧を増大させるものであるか否かを判定する補正増大判定部と、前記出力液圧の目標圧が減少しているか否かを判定する目標圧減少判定部と、を備え、前記補正部は、前記補正増大判定部により、補正量の総量が前記出力液圧の目標圧を増大させるものであることが判定され、且つ、前記目標圧減少判定部により、前記出力液圧の目標圧が減少していることが判定されている場合に、前記目標圧補正による前記補正量の総量が減少するように前記目標圧を補正する。目標圧補正は目標圧を増大させるものと減少させるものがあり、その目標圧補正の補正量の総量にも、属性として、目標圧を増大させるものと減少させるものがあり、さらに0もある。
この構成によれば、補正量の総量が目標圧を増大させるものである状態、すなわち本来よりも目標圧が総量だけ増大側にシフトしている状態において、目標圧が減少している際に総量を減少させる(減少側に補正する)ことで、一ブレーキ操作終了までに効率的に補正量の総量を0にすることができる。
本発明の様相10に係る制動装置は、上記様相1〜9のうちの1つにおいて、前記車輪に対する制動力の付与が開始された時点から現時点までの前記目標圧補正による補正量の総量が、前記出力液圧の目標圧を減少させるものであるか否かを判定する補正減少判定部と、前記出力液圧の目標圧が増大しているか否かを判定する目標圧増大判定部と、を備え、前記補正部は、前記補正減少判定部により、補正量の総量が前記出力液圧の目標圧を減少させるものであることが判定され、且つ、前記目標圧増大判定部により、前記出力液圧の目標圧が増大していることが判定されている場合に、前記目標圧補正による前記補正量の総量が減少するように前記目標圧を補正する。
この構成によれば、補正量の総量が目標圧を減少させるものである状態、すなわち本来よりも目標圧が総量だけ減少側にシフトしている状態において、目標圧が増大している際に総量を減少させる(増大側に補正する)ことで、一ブレーキ操作終了までに効率的に補正量の総量を0にすることができる。
本発明の様相11に係る制動装置は、上記様相9において、前記出力液圧の目標圧が減少しているか否かを判定する目標圧減少判定部を備え、前記補正部は、前記補正減少判定部により、補正量の総量が前記出力液圧の目標圧を減少させるものであることが判定され、且つ、前記目標圧減少判定部により、前記出力液圧の目標圧が減少していることが判定されている場合に、前記目標圧補正による前記補正量の総量が減少するように且つその単位時間当たりの減少量が、前記目標圧増大判定部により前記出力液圧の目標圧が増大していることが判定されている場合よりも小さくなるように、前記目標圧を補正する。
この構成によれば、補正量の総量が目標圧を減少させるものである状態、すなわち本来よりも目標圧が総量だけ減少側にシフトしている状態において、目標圧が減少している際にも総量を減少させる(増大側に補正する)。ブレーキ操作では、減少側の補正量の総量を有している状態からそれ以上増圧されない可能性もあるが、本構成であれば、一ブレーキ操作終了までに効率的に補正量の総量を0にすることができる。また、本構成によれば、目標圧が減少している際にも増圧側に補正するが、この場合でも、目標圧が増大している際に増圧側に補正する場合に比べて緩やかに補正される。このため、運転手のブレーキ操作に対する違和感を小さくすることができる。
本発明の様相12に係る制動装置は、上記様相9〜11のうちの1つにおいて、前記補正部は、前記目標圧補正による前記補正量の総量が減少するように前記目標圧を補正する補正を実行するに際して、実行する期間を設定し、当該実行期間において前記補正量の総量を増大させる前記目標圧補正を停止する。この構成によれば、実行期間において総量を増大させる目標圧補正が停止するため、より確実に補正量の総量を0にすることができる。
本発明の様相13に係る制動装置は、上記様相9〜12のうちの1つにおいて、前記出力圧の目標圧が増大から減少に変わったこと、前記出力圧の目標圧が増大の後に一定となりその後減少に変わったこと、前記出力圧の目標圧が減少から増大に変わったこと、及び前記出力圧の目標圧が減少の後に一定となりその後増大に変わったこと、のうち少なくとも1つを、前記目標圧の特定変化として検知する特定変化検知部を備え、前記補正部は、前記特定変化検知部により前記目標圧の特定変化が検知されている場合に、前記目標圧補正による前記補正量の総量が減少するように前記目標圧を補正する補正を実行する。
この構成によれば、補正部は、目標圧が特定の変化をした場合に、総量を減少させる補正を実行するため、それ以外の場合において、「目標圧補正」と「総量を減少させる補正」の混在を防止し、目標圧補正のみを効果的に実行することができる。
以下、本発明の実施形態に係る制動装置について図面に基づいて説明する。説明に用いる各図において、各部の形状・寸法は必ずしも厳密なものではない場合がある。
<第一実施形態>
図1に示すように、制動装置は、車輪5FR,5FL,5RR,5RLに液圧制動力を発生させる液圧制動力発生装置BFと、液圧制動力発生装置BFを制御するブレーキECU6と、を備えている。
図1に示すように、制動装置は、車輪5FR,5FL,5RR,5RLに液圧制動力を発生させる液圧制動力発生装置BFと、液圧制動力発生装置BFを制御するブレーキECU6と、を備えている。
(液圧制動力発生装置BF)
液圧制動力発生装置BFは、マスタシリンダ1と、反力発生装置2と、第一制御弁22と、第二制御弁23と、サーボ圧発生装置4と、液圧制御部5と、各種センサ71〜76等により構成されている。
液圧制動力発生装置BFは、マスタシリンダ1と、反力発生装置2と、第一制御弁22と、第二制御弁23と、サーボ圧発生装置4と、液圧制御部5と、各種センサ71〜76等により構成されている。
(マスタシリンダ1)
マスタシリンダ1は、ブレーキペダル10の操作量に応じて作動液を液圧制御部5に供給する部位であり、メインシリンダ11、カバーシリンダ12、入力ピストン13、第1マスタピストン14、および第2マスタピストン15等により構成されている。ブレーキペダル10は、運転手がブレーキ操作可能なブレーキ操作手段であれば良い。
マスタシリンダ1は、ブレーキペダル10の操作量に応じて作動液を液圧制御部5に供給する部位であり、メインシリンダ11、カバーシリンダ12、入力ピストン13、第1マスタピストン14、および第2マスタピストン15等により構成されている。ブレーキペダル10は、運転手がブレーキ操作可能なブレーキ操作手段であれば良い。
メインシリンダ11は、前方が閉塞されて後方に開口する有底略円筒状のハウジングである。メインシリンダ11の内周側の後方寄りに、内向きフランジ状に突出する内壁部111が設けられている。内壁部111の中央は、前後方向に貫通する貫通孔111aとされている。また、メインシリンダ11の内部の内壁部111よりも前方に、内径がわずかに小さくなっている小径部位112(後方)、113(前方)が設けられている。つまり、小径部位112、113は、メインシリンダ11の内周面から内向き環状に突出している。メインシリンダ11の内部には、小径部位112に摺接して軸方向に移動可能に第1マスタピストン14が配設されている。同様に、小径部位113に摺接して軸方向に移動可能に第2マスタピストン15が配設されている。
カバーシリンダ12は、略円筒状のシリンダ部121、蛇腹筒状のブーツ122、およびカップ状の圧縮スプリング123で構成されている。シリンダ部121は、メインシリンダ11の後端側に配置され、メインシリンダ11の後側の開口に同軸的に嵌合されている。シリンダ部121の前方部位121aの内径は、内壁部111の貫通孔111aの内径よりも大とされている。また、シリンダ部121の後方部位121bの内径は、前方部位121aの内径よりも小とされている。
防塵用のブーツ122は蛇腹筒状で前後方向に伸縮可能であり、その前側でシリンダ部121の後端側開口に接するように組み付けられている。ブーツ122の後方の中央には貫通孔122aが形成されている。圧縮スプリング123は、ブーツ122の周りに配置されるコイル状の付勢部材であり、その前側がメインシリンダ11の後端に当接し、後側はブーツ122の貫通孔122aに近接するように縮径されている。ブーツ122の後端および圧縮スプリング123の後端は、操作ロッド10aに結合されている。圧縮スプリング123は、操作ロッド10aを後方に付勢している。
入力ピストン13は、ブレーキペダル10の操作に応じてカバーシリンダ12内を摺動するピストンである。入力ピストン13は、前方に底面を有し後方に開口を有する有底略円筒状のピストンである。入力ピストン13の底面を構成する底壁131は、入力ピストン13の他の部位よりも径が大きくなっている。入力ピストン13は、シリンダ部121の後方部位121bに軸方向に摺動可能かつ液密的に配置され、底壁131がシリンダ部121の前方部位121aの内周側に入り込んでいる。
入力ピストン13の内部には、ブレーキペダル10に連動する操作ロッド10aが配設されている。操作ロッド10aの先端のピボット10bは、入力ピストン13を前側に押動できるようになっている。操作ロッド10aの後端は、入力ピストン13の後側の開口およびブーツ122の貫通孔122aを通って外部に突出し、ブレーキペダル10に接続されている。ブレーキペダル10が踏み込み操作されたときに、操作ロッド10aは、ブーツ122および圧縮スプリング123を軸方向に押動しながら前進する。操作ロッド10aの前進に伴い、入力ピストン13も連動して前進する。
第1マスタピストン14は、メインシリンダ11の内壁部111に軸方向に摺動可能に配設されている。第1マスタピストン14は、前方側から順番に加圧筒部141、フランジ部142、および突出部143が一体となって形成されている。加圧筒部141は、前方に開口を有する有底略円筒状に形成され、メインシリンダ11の内周面との間に間隙を有し、小径部位112に摺接している。加圧筒部141の内部空間には、第2マスタピストン15との間にコイルばね状の付勢部材144が配設されている。付勢部材144により、第1マスタピストン14は後方に付勢されている。換言すると、第1マスタピストン14は、設定された初期位置に向けて付勢部材144により付勢されている。
フランジ部142は、加圧筒部141よりも大径で、メインシリンダ11の内周面に摺接している。突出部143は、フランジ部142よりも小径で、内壁部111の貫通孔111aに液密に摺動するように配置されている。突出部143の後端は、貫通孔111aを通り抜けてシリンダ部121の内部空間に突出し、シリンダ部121の内周面から離間している。突出部143の後端面は、入力ピストン13の底壁131から離間し、その離間距離dは変化し得るように構成されている。
ここで、メインシリンダ11の内周面、第1マスタピストン14の加圧筒部141の前側、および第2マスタピストン15の後側により、「第1マスタ室1D」が区画されている。また、メインシリンダ11の内周面(内周部)と小径部位112と内壁部111の前面、および第1マスタピストン14の外周面により、第1マスタ室1Dよりも後方の後方室が区画されている。第1マスタピストン14のフランジ部142の前端部および後端部は後方室を前後に区分しており、前側に「第二液圧室1C」が区画され、後側に「サーボ室1A」が区画されている。さらに、メインシリンダ11の内周部、内壁部111の後面、シリンダ部121の前方部位121aの内周面(内周部)、第1マスタピストン14の突出部143(後端部)、および入力ピストン12の前端部により「第一液圧室1B」が区画されている。
第2マスタピストン15は、メインシリンダ11内の第1マスタピストン14の前方側に、小径部位113に摺接して軸方向に移動可能に配置されている。第2マスタピストン15は、前方に開口を有する筒状の加圧筒部151、および加圧筒部151の後側を閉塞する底壁152が一体となって形成されている。底壁152は、第1マスタピストン14との間に付勢部材144を支承している。加圧筒部151の内部空間には、メインシリンダ11の閉塞された内底面111dとの間に、コイルばね状の付勢部材153が配設されている。付勢部材153により、第2マスタピストン15は後方に付勢されている。換言すると、第2マスタピストン15は、設定された初期位置に向けて付勢部材153により付勢されている。メインシリンダ11の内周面、内底面111d、および第2マスタピストン15により、「第2マスタ室1E」が区画されている。
マスタシリンダ1には、内部と外部を連通させるポート11a〜11iが形成されている。ポート11aは、メインシリンダ11のうち内壁部111よりも後方に形成されている。ポート11bは、ポート11aと軸方向の同様の位置に、ポート11aに対向して形成されている。ポート11aとポート11bは、メインシリンダ11の内周面とシリンダ部121の外周面との間の環状空間を介して連通している。ポート11aおよびポート11bは、配管161に接続され、かつリザーバ171に接続されている。
また、ポート11bは、シリンダ部121および入力ピストン13に形成された通路18により第一液圧室1Bに連通している。通路18は入力ピストン13が前進すると遮断され、これによって第一液圧室1Bとリザーバ171とが遮断される。
ポート11cは、内壁部111より後方かつポート11aよりも前方に形成され、第一液圧室1Bと配管162とを連通させている。ポート11dは、ポート11cよりも前方に形成され、サーボ室1Aと配管163とを連通させている。ポート11eは、ポート11dよりも前方に形成され、第二液圧室1Cと配管164とを連通させている。
ポート11fは、小径部位112の両シール部材91、92の間に形成され、リザーバ172とメインシリンダ11の内部とを連通している。ポート11fは、第1マスタピストン14に形成された通路145を介して第1マスタ室1Dに連通している。通路145は、第1マスタピストン14が前進するとポート11fと第1マスタ室1Dが遮断される位置に形成されている。ポート11gは、ポート11fよりも前方に形成され、第1マスタ室1Dと配管51とを連通させている。
ポート11hは、小径部位113の両シール部材93、94の間に形成され、リザーバ173とメインシリンダ11の内部とを連通させている。ポート11hは、第2マスタピストン15の加圧筒部151に形成された通路154を介して第2マスタ室1Eに連通している。通路154は、第2マスタピストン15が前進するとポート11hと第2マスタ室1Eが遮断される位置に形成されている。ポート11iは、ポート11hよりも前方に形成され、第2マスタ室1Eと配管52とを連通させている。
また、マスタシリンダ1内には、適宜、Oリング等のシール部材(図面黒丸部分)が配置されている。シール部材91、92は、小径部位112に配置され、第1マスタピストン14の外周面に液密的に当接している。同様に、シール部材93、94は、小径部位113に配置され、第2マスタピストン15の外周面に液密的に当接している。また、入力ピストン13とシリンダ部121との間にもシール部材95、96が配置されている。
ストロークセンサ71は、運転者によりブレーキペダル10が操作された操作量(ストローク量)を検出するセンサであり、検出信号をブレーキECU6に送信する。ブレーキストップスイッチ72は、運転者によるブレーキペダル10の操作の有無を2値信号で検出するスイッチであり、検出信号をブレーキECU6に送信する。
(反力発生装置2)
反力発生装置2は、ブレーキペダル10が操作されたとき操作力に対抗する反力を発生する装置であり、ストロークシミュレータ21を主にして構成されている。ストロークシミュレータ21は、ブレーキペダル10の操作に応じて第一液圧室1Bおよび第二液圧室1Cに反力液圧を発生させる。ストロークシミュレータ21は、シリンダ211にピストン212が摺動可能に嵌合されて構成されている。ピストン212は圧縮スプリング213によって前方に付勢されており、ピストン212の前面側に反力液圧室214が形成される。反力液圧室214は、配管164およびポート11eを介して第二液圧室1Cに接続され、さらに、反力液圧室214は、配管164を介して第一制御弁22および第二制御弁23に接続されている。
反力発生装置2は、ブレーキペダル10が操作されたとき操作力に対抗する反力を発生する装置であり、ストロークシミュレータ21を主にして構成されている。ストロークシミュレータ21は、ブレーキペダル10の操作に応じて第一液圧室1Bおよび第二液圧室1Cに反力液圧を発生させる。ストロークシミュレータ21は、シリンダ211にピストン212が摺動可能に嵌合されて構成されている。ピストン212は圧縮スプリング213によって前方に付勢されており、ピストン212の前面側に反力液圧室214が形成される。反力液圧室214は、配管164およびポート11eを介して第二液圧室1Cに接続され、さらに、反力液圧室214は、配管164を介して第一制御弁22および第二制御弁23に接続されている。
(第一制御弁22)
第一制御弁22は、非通電状態で閉じる構造の電磁弁であり、ブレーキECU6により開閉が制御される。第一制御弁22は、配管164と配管162との間に接続されている。ここで、配管164はポート11eを介して第二液圧室1Cに連通し、配管162はポート11cを介して第一液圧室1Bに連通している。また、第一制御弁22が開くと第一液圧室1Bが開放状態になり、第一制御弁22が閉じると第一液圧室1Bが密閉状態になる。したがって、配管164および配管162は、第一液圧室1Bと第二液圧室1Cとを連通するように設けられている。
第一制御弁22は、非通電状態で閉じる構造の電磁弁であり、ブレーキECU6により開閉が制御される。第一制御弁22は、配管164と配管162との間に接続されている。ここで、配管164はポート11eを介して第二液圧室1Cに連通し、配管162はポート11cを介して第一液圧室1Bに連通している。また、第一制御弁22が開くと第一液圧室1Bが開放状態になり、第一制御弁22が閉じると第一液圧室1Bが密閉状態になる。したがって、配管164および配管162は、第一液圧室1Bと第二液圧室1Cとを連通するように設けられている。
第一制御弁22は通電されていない非通電状態で閉じており、このとき第一液圧室1Bと第二液圧室1Cとが遮断される。これにより、第一液圧室1Bが密閉状態になって作動液の行き場がなくなり、入力ピストン13と第1マスタピストン14とが一定の離間距離dを保って連動する。また、第一制御弁22は通電された通電状態では開いており、このとき第一液圧室1Bと第二液圧室1Cとが連通される。これにより、第1マスタピストン14の進退に伴う第一液圧室1Bおよび第二液圧室1Cの容積変化が、作動液の移動により吸収される。
圧力センサ73は、第二液圧室1Cおよび第一液圧室1Bの反力液圧を検出するセンサであり、配管164に接続されている。圧力センサ73は、第一制御弁22が閉状態の場合には第二液圧室1Cの圧力を検出し、第一制御弁22が開状態の場合には連通された第一液圧室1Bの圧力も検出することになる。圧力センサ73は、検出信号をブレーキECU6に送信する。
(第二制御弁23)
第二制御弁23は、非通電状態で開く構造の電磁弁であり、ブレーキECU6により開閉が制御される。第二制御弁23は、配管164と配管161との間に接続されている。ここで、配管164はポート11eを介して第二液圧室1Cに連通し、配管161はポート11aを介してリザーバ171に連通している。したがって、第二制御弁23は、第二液圧室1Cとリザーバ171との間を非通電状態で連通して反力液圧を発生させず、通電状態で遮断して反力液圧を発生させる。
第二制御弁23は、非通電状態で開く構造の電磁弁であり、ブレーキECU6により開閉が制御される。第二制御弁23は、配管164と配管161との間に接続されている。ここで、配管164はポート11eを介して第二液圧室1Cに連通し、配管161はポート11aを介してリザーバ171に連通している。したがって、第二制御弁23は、第二液圧室1Cとリザーバ171との間を非通電状態で連通して反力液圧を発生させず、通電状態で遮断して反力液圧を発生させる。
(サーボ圧発生装置4)
サーボ圧発生装置4は、減圧弁41、増圧弁42、圧力供給部43、およびレギュレータ44等で構成されている。減圧弁41は、非通電状態で開く構造の電磁弁であり、ブレーキECU6により流量が制御される。減圧弁41の一方は配管411を介して配管161に接続され、減圧弁41の他方は配管413に接続されている。つまり、減圧弁41の一方は、配管411、161、およびポート11a、11bを介してリザーバ171に連通している。なお、配管411は、リザーバ171ではなく、後述するリザーバ434に接続されていても良い。また、リザーバ171とリザーバ434が同一のリザーバであっても良い。
サーボ圧発生装置4は、減圧弁41、増圧弁42、圧力供給部43、およびレギュレータ44等で構成されている。減圧弁41は、非通電状態で開く構造の電磁弁であり、ブレーキECU6により流量が制御される。減圧弁41の一方は配管411を介して配管161に接続され、減圧弁41の他方は配管413に接続されている。つまり、減圧弁41の一方は、配管411、161、およびポート11a、11bを介してリザーバ171に連通している。なお、配管411は、リザーバ171ではなく、後述するリザーバ434に接続されていても良い。また、リザーバ171とリザーバ434が同一のリザーバであっても良い。
増圧弁42は、非通電状態で閉じる構造の電磁弁であり、ブレーキECU6により流量が制御されている。増圧弁42の一方は配管421に接続され、増圧弁42の他方は配管422に接続されている。
圧力供給部43は、レギュレータ44に主に高圧の作動液を供給する部位である。圧力供給部43は、アキュムレータ431、液圧ポンプ432、モータ433、およびリザーバ434等で構成されている。
アキュムレータ431は、高圧の作動液を蓄積するタンクである。アキュムレータ431は、配管431aによりレギュレータ44および液圧ポンプ432に接続されている。液圧ポンプ432は、モータ433によって駆動され、リザーバ434に貯留された作動液を、アキュムレータ431に圧送する。配管431aに設けられた圧力センサ75は、アキュムレータ431のアキュムレータ液圧を検出し、検出信号をブレーキECU6に送信する。アキュムレータ液圧は、アキュムレータ431に蓄積された作動液の蓄積量に相関する。
アキュムレータ液圧が所定値以下に低下したことが圧力センサ75によって検出されると、ブレーキECU6からの指令に基づいてモータ433が駆動される。これにより、液圧ポンプ432は、アキュムレータ431に作動液を圧送して、アキュムレータ液圧を所定値以上に回復する。
レギュレータ(「調圧装置」に相当する)44は、図2に示すように、シリンダ441、ボール弁442、付勢部443、弁座部444、制御ピストン445、およびサブピストン446等で構成されている。
シリンダ441は、一方(図面右側)に底面をもつ略有底円筒状のシリンダケース441aと、シリンダケース441aの開口(図面左側)を塞ぐ蓋部材441bと、で構成されている。シリンダケース441aには、内部と外部を連通させる複数のポート4a〜4hが形成されている。蓋部材441bも、略有底円筒状に形成されており、筒状部の複数のポート4a〜4hに対向する各部位に各ポートが形成されている。
ポート4aは、配管431aに接続されている。ポート4bは、配管422に接続されている。ポート4cは、配管163に接続されている。配管163は、サーボ室1Aと出力ポート4cとを接続している。ポート4dは、配管414を介して配管161に接続されている。ポート4eは、配管424に接続され、さらにリリーフバルブ423を経由して配管422に接続されている。ポート4fは、配管413に接続されている。ポート4gは、配管421に接続されている。ポート4hは、配管51から分岐した配管511に接続されている。なお、配管414は、配管161ではなく、リザーバ434に接続されていても良い。
ボール弁442は、ボール型の弁であり、シリンダ441内部のシリンダケース441aの底面側(以下、シリンダ底面側とも称する)に配置されている。付勢部443は、ボール弁442をシリンダケース441aの開口側(以下、シリンダ開口側とも称する)に付勢するバネ部材であって、シリンダケース441aの底面に設置されている。弁座部444は、シリンダケース441aの内周面に設けられた壁部材であり、シリンダ開口側とシリンダ底面側を区画している。弁座部444の中央には、区画したシリンダ開口側とシリンダ底面側を連通させる貫通路444aが形成されている。弁部材444は、付勢されたボール弁442が貫通路444aを塞ぐ形で、ボール弁442をシリンダ開口側から保持している。貫通路444aのシリンダ底面側の開口部には、ボール弁442が離脱可能に着座(当接)する弁座面444bが形成されている。
ボール弁442、付勢部443、弁座部444、およびシリンダ底面側のシリンダケース441aの内周面で区画された空間を「第1室4A」とする。第1室4Aは、作動液で満たされており、ポート4aを介して配管431aに接続され、ポート4bを介して配管422に接続されている。
制御ピストン445は、略円柱状の本体部445aと、本体部445aよりも径が小さい略円柱状の突出部445bとからなっている。本体部445aは、シリンダ441内において、弁座部444のシリンダ開口側に、同軸的且つ液密的に、軸方向に摺動可能に配置されている。本体部445aは、図示しない付勢部材によりシリンダ開口側に付勢されている。本体部445aのシリンダ軸方向略中央には、両端が本体部445a周面に開口した径方向(図面上下方向)に延びる通路445cが形成されている。通路445cの開口位置に対応したシリンダ441の一部の内周面は、ポート4dが形成されているとともに、凹状に窪んでいる。この窪んだ空間を「第3室4C」とする。
突出部445bは、本体部445aのシリンダ底面側端面の中央からシリンダ底面側に突出している。突出部445bの径は、弁座部444の貫通路444aよりも小さい。突出部445bは、貫通路444aと同軸上に配置されている。突出部445bの先端は、ボール弁442からシリンダ開口側に所定間隔離れている。突出部445bには、突出部445bのシリンダ底面側端面中央に開口したシリンダ軸方向に延びる通路445dが形成されている。通路445dは、本体部445a内にまで延伸し、通路445cに接続している。
本体部445aのシリンダ底面側端面、突出部445bの外周面、シリンダ441の内周面、弁座部444、およびボール弁442によって区画された空間を「第2室4B」とする。第2室4Bは、突出部445bとボール弁442とが当接していない状態で、通路445d,445c、および第3室4Cを介してポート4d、4eに連通している。
サブピストン446は、サブ本体部446aと、第1突出部446bと、第2突出部446cとからなっている。サブ本体部446aは、略円柱状に形成されている。サブ本体部446aは、シリンダ441内において、本体部445aのシリンダ開口側に、同軸的且つ液密的、軸方向に摺動可能に配置されている。
第1突出部446bは、サブ本体部446aより小径の略円柱状であり、サブ本体部446aのシリンダ底面側の端面中央から突出している。第1突出部446bは、本体部445aのシリンダ開口側端面に当接している。第2突出部446cは、第1突出部446bと同形状であり、サブ本体部446aのシリンダ開口側の端面中央から突出している。第2突出部446cは、蓋部材441bと当接している。
サブ本体部446aのシリンダ底面側の端面、第1突出部446bの外周面、制御ピストン445のシリンダ開口側の端面、およびシリンダ441の内周面で区画された空間を「第1パイロット室4D」とする。第1パイロット室4Dは、ポート4fおよび配管413を介して減圧弁41に連通し、ポート4gおよび配管421を介して増圧弁42に連通している。
一方、サブ本体部446aのシリンダ開口側の端面、第2突出部446cの外周面、蓋部材441b、およびシリンダ441の内周面で区画された空間を「第2パイロット室4E」とする。第2パイロット室4Eは、ポート4hおよび配管511、51を介してポート11gに連通している。各室4A〜4Eは、作動液で満たされている。圧力センサ74は、サーボ室1Aに供給されるサーボ圧(「出力液圧」に相当する)を検出するセンサであり、配管163に接続されている。圧力センサ74は、検出信号をブレーキECU6に送信する。
このように、レギュレータ44は、第1パイロット室4Dの圧力(「パイロット圧」とも称する)に対応する力とサーボ圧(出力液圧)に対応する力との差によって駆動される制御ピストン445を有し、制御ピストン445の移動に伴って第1パイロット室4Dの容積が変化し、第1パイロット室4Dに流入出する液体の液量が増大するほど、パイロット圧に対応する力とサーボ圧に対応する力とが釣り合っている平衡状態における制御ピストン445の位置を基準とする同制御ピストン445の移動量が増大して、サーボ室1Aに流入出する液体の流量が増大するように構成されている。
レギュレータ44は、アキュムレータ431から第1パイロット室4Dに流入する液体の流量が増大するほど、第1パイロット室4Dが拡大するとともにアキュムレータ431からサーボ室1Aに流入する液体の流量が増大し、第1パイロット室4Dからリザーバ171に流出する液体の流量が増大するほど、第1パイロット室4Dが縮小するとともにサーボ室1Aからリザーバ171に流出する液体の流量が増大するように構成されている。
(液圧制御部5)
マスタシリンダ液圧(マスタ圧)を発生する第1マスタ室1D、第2マスタ室1Eには、配管51、52、ABS(Antilock Brake System)53を介してホイールシリンダ541〜544が連通されている。ホイールシリンダ541〜544は、車輪5FR〜5RLのブレーキを構成している。具体的には、第1マスタ室1Dのポート11g及び第2マスタ室1Eのポート11iには、それぞれ配管51、52を介して、公知のABS53が連結されている。ABS53には、車輪5FR〜5RLを制動するブレーキを作動させるホイールシリンダ541〜544が連結されている。
マスタシリンダ液圧(マスタ圧)を発生する第1マスタ室1D、第2マスタ室1Eには、配管51、52、ABS(Antilock Brake System)53を介してホイールシリンダ541〜544が連通されている。ホイールシリンダ541〜544は、車輪5FR〜5RLのブレーキを構成している。具体的には、第1マスタ室1Dのポート11g及び第2マスタ室1Eのポート11iには、それぞれ配管51、52を介して、公知のABS53が連結されている。ABS53には、車輪5FR〜5RLを制動するブレーキを作動させるホイールシリンダ541〜544が連結されている。
ABS53は、車輪速度を検出する車輪速度センサ76を各輪に備えている。車輪速度センサ76により検出された車輪速度を示す検出信号はブレーキECU6に出力されるようになっている。
このように構成されたABS53において、ブレーキECU6は、マスタ圧(圧力センサ74により検出されるサーボ圧により推定)、車輪速度の状態、及び前後加速度に基づき、各保持弁、減圧弁の開閉を切り換え制御し、モータを必要に応じて作動して各ホイールシリンダ541〜544に付与するブレーキ液圧すなわち各車輪5FR〜5RLに付与する制動力を調整するABS制御(アンチロックブレーキ制御)を実行する。ABS53は、マスタシリンダ1から供給された作動液を、ブレーキECU6の指示に基づいて、量やタイミングを調整して、ホイールシリンダ541〜544に供給する装置である。ABS53は、マスタ室1Dに作動液を流入させるアクチュエータ、及びマスタ室1Dの作動液を流出させるアクチュエータとしての機能を有している。
後述する「リニアモード」では、サーボ圧発生装置4のアキュムレータ431から送出された液圧が増圧弁42及び減圧弁41によって制御されてサーボ圧がサーボ室1Aに発生することにより、第1マスタピストン14及び第2マスタピストン15が前進して第1マスタ室1D及び第2マスタ室1Eが加圧される。第1マスタ室1D及び第2マスタ室1Eの液圧はポート11g、11iから配管51、52及びABS53を経由してホイールシリンダ541〜544へマスタ圧として供給され、車輪5FR〜5RLに液圧制動力が付与される。
(ブレーキECU6)
ブレーキECU6は、電子制御ユニットであり、マイクロコンピュータを有している。マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリー等の記憶部を備えている。
ブレーキECU6は、電子制御ユニットであり、マイクロコンピュータを有している。マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリー等の記憶部を備えている。
ブレーキECU6は、各電磁弁22、23、41、42、及びモータ433等を制御するため、各種センサ71〜76と接続されている。ブレーキECU6には、ストロークセンサ71から運転者によりブレーキペダル10の操作量(ストローク量)が入力され、ブレーキストップスイッチ72から運転者によるブレーキペダル10の操作の有無が入力され、圧力センサ73から第二液圧室1Cの反力液圧又は第一液圧室1Bの圧力(又は反力液圧)が入力され、圧力センサ74からサーボ室1Aに供給されるサーボ圧が入力され、圧力センサ75からアキュムレータ431のアキュムレータ液圧が入力され、車輪速度センサ76から各車輪5FR,5FL,5RR,5RLの速度が入力される。ブレーキECU6は、「リニアモード」及び「REGモード」の2つの制御モードを記憶している。REGモードは、電気系統が故障した際でもレギュレータ44が作動するモードであるが、説明は省略する。
(リニアモード)
ここで、ブレーキECU6のリニアモードについて説明する。リニアモードは、通常のブレーキ制御である。すなわち、ブレーキECU6は、第一制御弁22に通電して開弁し、第二制御弁23に通電して閉弁した状態とする。第二制御弁23が閉状態となることで第二液圧室1Cとリザーバ171とが遮断され、第一制御弁22が開状態となることで第一液圧室1Bと第二液圧室1Cとが連通する。このように、リニアモードは、第一制御弁22を開弁させ、第二制御弁23を閉弁させた状態で、減圧弁41及び増圧弁42を制御してサーボ室1Aのサーボ圧を制御するモードである。減圧弁41及び増圧弁42は、第1パイロット室4Dに流入出させる作動液の流量を調整する弁装置ともいえる。このリニアモードにおいて、ブレーキECU6は、ストロークセンサ72で検出されたブレーキペダル10の操作量(入力ピストン13の移動量)またはブレーキペダル10の操作力から、運転者の「要求制動力」を算出する。
ここで、ブレーキECU6のリニアモードについて説明する。リニアモードは、通常のブレーキ制御である。すなわち、ブレーキECU6は、第一制御弁22に通電して開弁し、第二制御弁23に通電して閉弁した状態とする。第二制御弁23が閉状態となることで第二液圧室1Cとリザーバ171とが遮断され、第一制御弁22が開状態となることで第一液圧室1Bと第二液圧室1Cとが連通する。このように、リニアモードは、第一制御弁22を開弁させ、第二制御弁23を閉弁させた状態で、減圧弁41及び増圧弁42を制御してサーボ室1Aのサーボ圧を制御するモードである。減圧弁41及び増圧弁42は、第1パイロット室4Dに流入出させる作動液の流量を調整する弁装置ともいえる。このリニアモードにおいて、ブレーキECU6は、ストロークセンサ72で検出されたブレーキペダル10の操作量(入力ピストン13の移動量)またはブレーキペダル10の操作力から、運転者の「要求制動力」を算出する。
詳細に説明すると、ブレーキペダル10が踏まれていない状態では、上記のような状態、すなわちボール弁442が弁座部444の貫通路444aを塞いでいる状態となる。また、減圧弁41は開状態、増圧弁42は閉状態となっている。つまり、第1室4Aと第2室4Bは隔離されている。
第2室4Bは、配管163を介してサーボ室1Aに連通し、互いに同圧力に保たれている。第2室4Bは、制御ピストン445の通路445c、445dを介して第3室4Cに連通している。したがって、第2室4B及び第3室4Cは、配管414、161を介してリザーバ171に連通している。第1パイロット室4Dは、一方が増圧弁42で塞がれ、他方が減圧弁41を介してリザーバ171に連通している。第1パイロット室4Dと第2室4Bとは同圧力に保たれる。第2パイロット室4Eは、配管511、51を介して第1マスタ室1Dに連通し、互いに同圧力に保たれる。
この状態から、ブレーキペダル10が踏まれると、目標摩擦制動力に基づいて、ブレーキECU6が減圧弁41及び増圧弁42を制御する。すなわち、ブレーキECU6は、減圧弁41を閉じる方向に制御し、増圧弁42を開ける方向に制御する。
増圧弁42が開くことでアキュムレータ431と第1パイロット室4Dとが連通する。減圧弁41が閉じることで、第1パイロット室4Dとリザーバ171とが遮断される。アキュムレータ431から供給される高圧の作動液により、第1パイロット室4Dの圧力を上昇させることができる。第1パイロット室4Dの圧力が上昇することで、制御ピストン445がシリンダ底面側に摺動する。これにより、制御ピストン445の突出部445b先端がボール弁442に当接し、通路445dがボール弁442により塞がれる。そして、第2室4Bとリザーバ171とは遮断される。
さらに、制御ピストン445がシリンダ底面側に摺動することで、突出部445bによりボール弁442がシリンダ底面側に押されて移動し、ボール弁442が弁座面444bから離間する。これにより、第1室4Aと第2室4Bは弁座部444の貫通路444aにより連通する。第1室4Aには、アキュムレータ431から高圧の作動液が供給されており、連通により第2室4Bの圧力が上昇する。なお、ボール弁442の弁座面444bからの離間距離が大きくなる程、作動液の流路が大きくなり、ボール弁442の下流の流路の液圧が高くなる。つまり、第1パイロット室4Dの圧力(パイロット圧)が大きくなる程、制御ピストン445の移動距離が大きくなり、ボール弁442の弁座面444bからの離間距離が大きくなり、第2室4Bの液圧(サーボ圧)が高くなる。なお、ブレーキECU6は、ストロークセンサ72で検知された入力ピストン13の移動量(ブレーキペダル10の操作量)が大きくなる程、第1パイロット室4Dのパイロット圧が高くなるように、増圧弁42下流の流路が大きくなるように増圧弁42を制御するとともに、減圧弁41下流の流路が小さくなるように減圧弁41を制御する。つまり、入力ピストン13の移動量(ブレーキペダル10の操作量)が大きくなる程、パイロット圧が高くなり、サーボ圧も高くなる。
第2室4Bの圧力上昇に伴って、それに連通するサーボ室1Aの圧力も上昇する。サーボ室1Aの圧力上昇により、第1マスタピストン14が前進し、第1マスタ室1Dの圧力が上昇する。そして、第2マスタピストン15も前進し、第2マスタ室1Eの圧力が上昇する。第1マスタ室1Dの圧力上昇により、高圧の作動液が後述するABS53及び第2パイロット室4Eに供給される。第2パイロット室4Eの圧力は上昇するが、第1パイロット室4Dの圧力も同様に上昇しているため、サブピストン446は移動しない。このように、ABS53に高圧(マスタ圧)の作動液が供給され、摩擦ブレーキが作動して車両が制動される。「リニアモード」において第1マスタピストン14を前進させる力は、サーボ圧に対応する力に相当する。
ブレーキ操作を解除する場合、反対に、減圧弁41を開状態とし、増圧弁42を閉状態として、リザーバ171と第1パイロット室4Dとを連通させる。これにより、制御ピストン445が後退し、ブレーキペダル10を踏む前の状態に戻る。
(目標圧補正)
ブレーキECU6には、ブレーキペダル10のストローク量に対して、出力すべき目標のサーボ圧(以下「目標圧」とも称する)が設定されている。本実施形態のブレーキECU6には、ストローク量に対する目標圧が設定されたマップが記憶されている。ブレーキECU6は、ストロークセンサ71で測定されるストローク量と、当該ストローク量に対応する目標圧とに基づいて、圧力センサ74で測定される実際のサーボ圧(以下「実圧」とも称する)が当該目標圧となるように減圧弁41及び増圧弁42を制御する。マップとしては、増圧時と減圧時の2つのマップが記憶されていても良い。なお、実圧及び目標圧について換言すると、実圧は「サーボ圧の実圧」であり、目標圧は「サーボ圧の目標圧」である。
ブレーキECU6には、ブレーキペダル10のストローク量に対して、出力すべき目標のサーボ圧(以下「目標圧」とも称する)が設定されている。本実施形態のブレーキECU6には、ストローク量に対する目標圧が設定されたマップが記憶されている。ブレーキECU6は、ストロークセンサ71で測定されるストローク量と、当該ストローク量に対応する目標圧とに基づいて、圧力センサ74で測定される実際のサーボ圧(以下「実圧」とも称する)が当該目標圧となるように減圧弁41及び増圧弁42を制御する。マップとしては、増圧時と減圧時の2つのマップが記憶されていても良い。なお、実圧及び目標圧について換言すると、実圧は「サーボ圧の実圧」であり、目標圧は「サーボ圧の目標圧」である。
目標圧には、不感帯が設定されている。不感帯は、目標圧を中央にプラス側とマイナス側で同じ幅を有している。ブレーキECU6は、リニアモードにおいて、実圧が不感帯の範囲内に入ると、実質的に目標圧に達したとして液圧制御を行う。つまり、ブレーキECU6は、実圧が不感帯の範囲内に位置する限りは、目標圧が変化しても、実圧を目標圧に追従させる制御を行わない。
ここで、ブレーキECU6は、機能的に、補正部60と、実圧判定部61と、実圧変化モード判定部62と、目標圧変化量判定部63と、補正総量判定部64と、補正実行回数判定部65と、補正判定部67と、目標圧減少判定部68と、目標圧増大判定部69と、を備えている。補正部60は、目標圧補正を実行する機能を有し、基本的に実圧が不感帯の範囲内に位置した際に目標圧補正を実行する。本実施形態では、補正部60は、実圧が不感帯の範囲内に位置した状態で、後述する所定条件が成立すると目標圧補正を実行するように設定されている。目標圧補正とは、目標圧を実圧に近づける側に補正することである。所定条件については後述する。
実圧判定部61は、実圧が不感帯の範囲内の液圧であるか否かを判定する。実圧変化モード判定部62は、実圧が一定であるか否かを判定する。実圧変化モード判定部62は、実圧が一定であるか否かを、実圧が所定時間一定であるか否かにより判定する。目標圧変化量判定部63は、目標圧の単位時間当たりの変化量が所定の閾変化量以下であるか否かを判定する。閾変化量は、実圧の変化に階段波形が生じる目標圧の変化量(傾き)の最大値以下に設定されている。
補正総量判定部64は、車輪5FR,5FL,5RR,5RLに対する液圧制動力の付与が開始されてから現時点までの目標圧補正による補正量の総量が、所定の閾補正総量以下であるか否かを判定する。補正量の総量は、目標圧補正による目標圧の増減の一方側をプラスとし目標圧補正による前記目標圧の増減の他方側をマイナスとして補正量を総和した値の絶対値である。補正総量判定部64は、車輪5FR,5FL,5RR,5RLに対する液圧制動力の付与が終了した場合に補正量の総量をリセットする。つまり、補正量の総量のカウント周期は、1ブレーキ操作(制動開始からその制動の終了まで)を1サイクルとしている。
補正実行回数判定部65は、実圧を保持するためのレギュレータ44に対する実圧保持制御(減圧弁41及び増圧弁42を閉状態にする制御)が開始されてから現時点までの目標圧補正の実行回数が、所定の閾実行回数未満であるか否かを判定する。補正実行回数判定部65は、当該実圧保持制御が終了した場合に実行回数をリセットする。つまり、実行回数のカウント周期は、1実圧保持制御(実圧保持制御開始からその実圧保持制御の終了まで)を1サイクルとしている。実圧保持制御以外の制御の際には、実行回数はリセットされ且つカウントされないため、必ず閾実行回数未満となる。
補正判定部67は、補正量の総量が、目標圧を増大させるものであるか否か、及び目標圧を減少させるものであるか否かを判定する。換言すると、補正判定部67は、補正量の総量が目標圧を増大させるものであるか否かを判定する補正増大判定部と、補正量の総量が、目標圧を減少させるものであるか否かを判定する補正減少判定部と、を有する。目標圧減少判定部68は、目標圧が減少しているか(傾きが減少側であるか)否かを判定する。目標圧増大判定部69は、目標圧が増大しているか(傾きが増大側であるか)否かを判定する。
本実施形態の所定条件は、(a)実圧変化モード判定部62により実圧が一定であることが判定されていること、(b)目標圧変化量判定部63により目標圧の変化量が閾変化量以下であることが判定されていること、(c)補正総量判定部64により補正量の総量が閾補正総量以下であることが判定されていること、及び(d)補正実行回数判定部65により、目標圧補正の実行回数が閾実行回数未満であることが判定されていること、である。
補正部60は、実圧判定部61により実圧が不感帯の範囲内の液圧であると判定されている場合であって、上記所定条件(a)〜(d)が成立した場合に、目標圧補正を実行する。図8に示すように、補正部60は、実圧が不感帯の範囲内に位置し(S801:Yes)、所定条件が成立した場合(S802:Yes)に、目標圧補正を実行する(S803)。フローのS801とS802の順番は、変更可能である。補正部60は、このような制御を所定時間ごとに実行している。
具体的な例により目標圧補正について説明する。なお、本実施形態の目標圧補正は、目標圧を実圧に一致させるように設定されている。ただし、目標圧補正は、閾補正総量を超えないように制限されている。閾補正総量の制限により目標圧が実圧に一致させられない場合、当該制限内の最大量で目標圧補正がなされる。例えば、不感帯の片幅(目標圧から不感帯の一端まで)が0.13MPaであった場合で、閾補正総量あるいは1回の補正量の上限値が0.1MPaであった場合、実圧が不感帯に入った際に行われる目標圧補正の補正量は0.1MPaとなる。この場合、目標圧と実圧は近づくが、一致しない。また、閾実行回数は、1回に設定されている。また、閾変化量は、1MPa/sに設定されている。
ここで、図3の上のグラフは目標圧補正を実行しない場合を表し、図3の下のグラフは目標圧補正を実行した場合を表している。まず、図3に示すように、運転手によるブレーキ操作が開始され、その後ブレーキ操作が保持され、その後さらにブレーキ操作がなされた(踏み増しされた)場合について説明する。t0では実圧が不感帯外となり、増圧制御が開始される。t1では実圧が不感帯内に入り、増圧制御から保持制御に切り替わる。t1からt2において、ヒステリシスにより実圧が増大する。ヒステリシスは、例えば減圧弁41及び増圧弁42の制御が実圧保持制御に移行されて第1パイロット室4Dが密封状態になったとしても、なお制御ピストン445が移動してサーボ圧が変化する現象である。
t2では、実圧が目標圧を超えた状態で安定する。t3では、ブレーキ操作の踏み増しにより、目標圧が増大し始める。t4では、目標圧補正の所定条件が成立する。所定条件(a)については、t3〜t4において実圧変化モード判定部62は実圧が一定であると判定し、成立する。所定条件(b)については、目標圧変化量判定部63は目標圧の変化量が閾変化量以下であると判定し、成立する。ここでは、bの変化量が0は含まず(0<傾き<閾変化量)の際に成立するとしている。所定条件(c)については、t4において補正総量判定部64は補正量の総量が閾補正総量以下であると判定し、成立する。所定条件(d)については、t4において補正実行回数判定部65は、目標圧補正の実行回数(現在0回)が閾実行回数(1回)未満であると判定し、成立する。
図3の下図に示すように、t4において、目標圧補正が実行され、目標圧が実圧と一致する。つまり、補正部60により目標圧が上方に補正されている。そして、t5では、実圧が不感帯外となり、保持制御から増圧制御に切り替わる。なお、ここでは、所定条件(b)については、目標圧の変化量0を含まない場合について説明している。この場合、さらに実圧が目標圧より大きい値であり、目標圧の傾きがプラス(増大側)である場合、又は実圧が目標圧より小さい値であり、目標圧の傾きがマイナス(減少側)である場合、という所定条件を設けても良い。
補正部60は、図3の上下のグラフで比較して示すように、目標圧補正により目標圧が増大側にシフトした分不感帯も増大側にシフトし、目標圧が一定から変化(傾斜)した時点から、実圧が不感帯の範囲外となるまでの時間を、目標圧補正をしない場合に比べて減少させる。ここで、反対に、図3のt3〜t4において、実圧が不感帯のうち目標圧より低圧側に位置していた場合、目標圧補正により目標圧が減少側にシフトし、その分、t3〜t4の時間が大きくなる。しかしながら、いずれの場合も、目標圧が変化してから実圧が変化するまでの時間は、不感帯の幅の半分となり、ばらつきなく安定する。つまり、実圧の不感帯内の位置による制御応答性のばらつきは、抑制される。
別の具体例として図4を参照して説明する。図4は、目標圧が閾変化量(ここでは1MPa/s)以下の傾きで増加する場合を表しており、上のグラフが目標圧補正なしの場合で、下のグラフが目標圧補正ありの場合を表している。
この具体例では、まずt0〜t1の間に実圧が目標圧に向けて増加する。t1において実圧が不感帯の範囲内に入りレギュレータ44への制御が実圧保持制御に移行しているが、ヒステリシスにより実圧は目標圧を超えたところで一定となる。t2において実圧が一定となり、実圧変化モード判定部62は、t2の所定時間後に実圧が一定であると判定する。したがって、t2の所定時間後に所定条件(a)が成立する。所定条件(b)については、t0〜t2において目標圧変化量判定部63は目標圧の変化量が閾変化量以下であると判定し、成立する。所定条件(c)については、t2において補正総量判定部64は補正量の総量が閾補正総量以下であると判定し、成立する。所定条件(d)については、t2において補正実行回数判定部65は、目標圧補正の実行回数(現在0回)が閾実行回数(1回)未満であると判定し、成立する。
補正部60は、t2の所定時間後に、目標圧補正を実行する。図4の下のグラフに示すように、目標圧補正により、t2の所定時間後における実圧と目標圧とが一致している。つまり、補正部60により目標圧が上方に補正されている。
補正部60は、図4の上下のグラフで比較して示すように、目標圧補正により目標圧が増加側にシフトした分不感帯も増加側にシフトし、t2〜t3の時間、すなわち実圧が一定となった時点から、実圧が不感帯の範囲外となるまでの時間を減少させる。反対に、図4のt2において、実圧が不感帯のうち目標圧より低圧側に位置していた場合、目標圧補正により目標圧が減少側にシフトし、その分、t2〜t3の時間が大きくなる。しかしながら、いずれの場合も、目標圧が変化してから実圧が変化するまでの時間は、不感帯の幅の半分となり、ばらつきなく安定する。つまり、実圧の不感帯内の位置による制御応答性のばらつきは、抑制される。
また、目標圧の傾きが減少側であった場合、図5に示すように、上記同様に目標圧補正を行うことで、不感帯による遅延を抑制することができる。すなわち、t1において、実圧が一定となった所定時間後に、図4の具体例同様に所定条件が成立して、補正部60が目標圧補正を実行する。図5に示すように、目標圧補正により、t1の所定時間後における実圧と目標圧とが一致している。つまり、補正部60により目標圧が下方に補正されている。補正部60は、目標圧補正により目標圧が減少側にシフトした分不感帯も減少側にシフトし、t1〜t2の時間、すなわち実圧が一定となった時点から、実圧が不感帯の範囲外となるまでの時間を減少させる。上記同様、不感帯内の実圧の位置により反対に遅らせることになる場合もあるが、遅れ時間のばらつきは解消される。傾きは、絶対値(傾きの大きさ)である。
補正実行回数判定部65は、レギュレータ44に対する増圧又は減圧制御が開始されると実行回数をリセットする。上記具体例では、1回の実圧保持制御中に補正可能な回数は1回(閾実行回数)となる。これにより、圧力漏れ等、ヒステリシスによらない実圧変動があった場合でも、補正により目標圧が実圧に追従して下がり続けることを防止することができる。
また、補正総量判定部64の判定により、制動力の付与から終了までの一ブレーキ操作期間中の補正量の総量が制限される。これにより、一ブレーキ操作終了(全制御終了)までに補正量を0にリセットする必要があるシステムにおいて、操作終了までに補正量を0にすることができる範囲で目標圧補正を実施することができる。補正総量判定部64で用いられる閾補正総量は、所定時間ごとの実圧又はブレーキ操作量に応じて可変とすることもできる。例えば、所定時点での実圧が高い場合(又は踏込量が大きい場合)、実圧が減圧されて0になるまでの時間が長く、閾補正総量が大きくても、時間が長い分、マイナス側の補正を多くすることで総量を0にすることができる。例えば、ある瞬間の閾補正総量(許可補正総量ともいえる)が0.3MPaであっても、実圧又はブレーキ踏込量によっては、次の瞬間の閾補正総量が0.5MPaとなる場合があり、補正量の総量と閾補正総量とがその都度比較される。
補正部60は、総量を0にするために、総量がプラスの場合(総量が目標圧を増大させる側の場合)、目標圧の傾きが減少側である際(減圧時)に、積極的にマイナス側の補正を実行する。つまり、補正部60は、補正判定部67が「総量は増大側である」と判定し、且つ、目標圧減少判定部68が「目標圧の傾きは減少側である」と判定した場合、総量を減少させる補正を実行する。例えば、閾補正総量が3MPaで現時点での総量がプラス(増大)側に2.9MPaである場合、目標圧の傾きが減少側となった際に、所定条件に関わらず、目標圧を所定割合(例えば10回に分けて0.29MPa/回のペース)で減少させていく。
一方、補正部60は、総量を0にするために、総量がマイナスの場合(総量が目標圧を減少させる側の場合)、目標圧の傾きが増加側である際(増圧時)に、積極的にプラス側の目標圧補正を実行する。つまり、補正部60は、補正判定部67が「総量は減少側である」と判定し、且つ、目標圧増大判定部69が「目標圧の傾きは増大側である」と判定した場合、総量を減少させる補正を実行する。
また、本実施形態では、ある補正量を有した状態からそれ以上増圧されない可能性があるため、補正部60は、マイナス側の補正量を減圧時にも減らすように設定されている。この際、総量を減少させる割合は、目標圧が増大している際に行う割合よりも、目標圧が減少している際に行う割合のほうが小さくなるように制御される。つまり、総量がマイナス側である場合、目標圧が減少している際に、目標圧が増大している際よりも緩やかに目標圧を増大側に補正し、総量を0にする。本実施形態によれば、目標圧が減少している際にも増圧側に補正することになる。しかし、この場合でも、目標圧が増大している際に増圧側に補正する場合に比べて緩やかに補正されるため、運転手のブレーキ操作に対する違和感を小さくすることができる。補正部60は、補正量の総量が0になるように、目標圧補正1回当たりの補正量及び目標圧補正の実行回数の少なくとも一方を調整しても良い。
また、本実施形態では、実圧変化モード判定部62が実圧が一定であると判定していることを所定条件としているため、補正部60は、実圧が安定している際に目標圧補正を実行することができる。レギュレータ44に対する制御停止直後にはヒステリシスにより実圧が変動する可能性があるが、本実施形態によれば、当該変動期間に、目標圧補正を実行することが防止される。これにより、目標圧の実圧への追従による目標圧の大幅な変動(補正)を防止することができる。
<第二実施形態>
第二実施形態の制動装置は、補正部60が目標圧が一定の際に目標圧補正を行う点で第一実施形態と異なっている。第二実施形態の構成は、ブレーキECU6がさらに目標圧変化モード判定部66を備えている点で第一実施形態と異なり、その他は第一実施形態と同様である。したがって、異なる部分を説明する。
第二実施形態の制動装置は、補正部60が目標圧が一定の際に目標圧補正を行う点で第一実施形態と異なっている。第二実施形態の構成は、ブレーキECU6がさらに目標圧変化モード判定部66を備えている点で第一実施形態と異なり、その他は第一実施形態と同様である。したがって、異なる部分を説明する。
ブレーキECU6は、図6に示すように、機能として、各部60〜65、67、68、69に加えて、目標圧変化モード判定部66を備えている。目標圧変化モード判定部66は、目標圧が一定であるか否かを判定する。ここで、第二実施形態の所定条件(b)は、第一実施形態と異なり、目標圧変化量判定部63により目標圧の変化量が閾変化量以下(変化量0を除く)であることが判定されていること、又は目標圧変化モード判定部66により目標圧が一定であることが判定されていること、である。一定か否かの判定は、所定時間、変化量が0(遊び幅設定可能)であるか否かで判定する。
具体例として図7を参照して説明する。図7は、図3同様、ブレーキ踏込→ブレーキ保持→ブレーキ踏込の場合を表している。実圧はt1で不感帯の範囲内に入り、t2までは図3同様の動向となる。t2の所定時間後に、実圧変化モード判定部62により実圧が一定であると判定されるとともに、目標圧変化モード判定部66により目標圧が一定であると判定される。つまり、t2の所定時間後に、所定条件(a)及び(b)が成立する。また、所定条件(c)及び(d)も第一実施形態同様に成立する。したがって、補正部60は、t2の所定時間後に、目標圧補正を実行する。第二実施形態の目標圧補正も目標圧を実圧に一致させる補正である。したがって、t2の所定時間後に、目標圧は増加側にシフトされる。その後、t3において、目標圧が一定から増加傾斜に変化するが、実圧が目標圧と一致している分(不感帯の中央側に補正される分)、実圧が早く不感帯の範囲外に位置することになる。すなわち、目標圧が変化してから実圧が不感帯の範囲外になるまでの時間(t3〜t4の時間)は減少する。
反対に、t3において、目標圧が一定から減少傾斜に変化した場合、目標圧補正を実行した分だけ、t3〜t4の時間が延びてしまう。しかし、目標圧の一定から減少への変化及び増大への変化のいずれの場合でも、不感帯の片幅の分の応答遅れとなり、不感帯による応答のばらつきは抑制される。第二実施形態によっても、第一実施形態同様、不感帯による制御応答性のばらつきを抑制することができる。
<第三実施形態>
第三実施形態は、図9に示すように、ブレーキECU6が、第一実施形態に加えて、特定変化判定部600を備え、補正部60が所定の実行期間に補正量の総量を減少させる補正を実行する点で上記実施形態と異なる。したがって、異なる部分のみ説明する。
第三実施形態は、図9に示すように、ブレーキECU6が、第一実施形態に加えて、特定変化判定部600を備え、補正部60が所定の実行期間に補正量の総量を減少させる補正を実行する点で上記実施形態と異なる。したがって、異なる部分のみ説明する。
特定変化判定部600は、目標圧が増大から減少に変わったこと、目標圧が増大の後に一定となりその後減少に変わったこと、目標圧が減少から増大に変わったこと、及び目標圧が減少の後に一定となりその後増大に変わったこと、のうち少なくとも1つを検知し、当該検知により目標圧が特定の変化をしていることを判定する。つまり、特定変化判定部600は、目標圧の傾きが、プラス→マイナス、プラス→0→マイナス、マイナス→プラス、又はマイナス→0→プラスと変化した際に、特定変化と判定する。プラス→マイナス、及びプラス→0→マイナスの変化は、ブレーキ操作を終了しようとしている動きであるため、総量を減少させるのに適切なタイミングとなる。
補正部60は、特定変化判定部600が特定変化と判定した場合に、第一実施形態における補正量の総量を減少させる補正(総量を0にする補正)を実行する。これにより、特定変化以外の場合に、上記総量を減少させる補正を実行することがなく、目標圧補正との混在を避けることができる。すなわち、特定変化以外における目標圧補正による効果をより際立たせることができる。特定変化の際には、総量を減少させる補正をするのに適したタイミングであり、効果的に目標圧を補正することができる。
また、第三実施形態の補正部60は、当該総量を減少させる補正を実行する期間を設定し、当該実行期間において、総量を増大させる前記目標圧補正を停止する。これにより、目標圧補正によって、総量が増大するのが防止され、効率良く総量を減少させることができる。第三実施形態は、第二実施形態と組み合わせても同様の効果を発揮する。
<その他の変形態様>
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、目標圧補正は、目標圧を実圧に一致させる補正に限らす、目標圧を実圧に近づける側に補正するものであれば良い。この構成であっても、上記同様の効果が発揮される。例えば、1回の補正量を不感帯の片幅未満に制限しても良い。ただし、目標圧を実圧に一致させる補正であれば、1回の補正で最大の効果が得られるため、制御がシンプルで効果的である。
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、目標圧補正は、目標圧を実圧に一致させる補正に限らす、目標圧を実圧に近づける側に補正するものであれば良い。この構成であっても、上記同様の効果が発揮される。例えば、1回の補正量を不感帯の片幅未満に制限しても良い。ただし、目標圧を実圧に一致させる補正であれば、1回の補正で最大の効果が得られるため、制御がシンプルで効果的である。
また、補正部60は、1回の目標圧補正の補正量の上限値を、不感帯の幅に応じて変更するように設定しても良い。これにより、例えば、不感帯の幅が1つのマップ上で変化する場合、あるいは不感帯の幅が車両ごとで異なる場合に、補正部60が補正量を適切な量に変更することができる。また、上限値を設けることで、目標圧の急で大幅な変化を抑制することができる。
また、所定条件は、設定されていなくても良い。すなわち、補正部60は、実圧判定部61により実圧が不感帯の範囲内に位置すると判定されると、目標圧補正を実行するように設定されても良い。実圧が不感帯に入るとレギュレータ44が実圧保持制御となり、事実上制御が停止しているため、目標圧を大きく補正してしまうおそれは少ない。したがって、実圧が不感帯に入った際に補正部60が目標圧補正を実行することでも、上記のように応答性のばらつきを抑制することができる。また、本発明は、REGモードがない制動装置にも適用できる。レギュレータ44のような機械式の調圧装置を備える制動装置は、ヒステリシスが発生しやすく、本発明はそのような制動装置に対して特に有効である。
また、目標圧に対する実圧の応答時間が短縮する目標圧補正のみを実行するように設定しても良い。例えば、補正部60は、目標圧の単位時間当たりの変化が増加側であって実圧が目標圧よりも高い液圧である場合、及び目標圧の単位時間当たりの変化が減少側であって実圧が目標圧よりも低い液圧である場合の少なくとも一方の場合に、目標圧補正を実行しても良い。これにより、応答時間のばらつきが多少発生するが、局所的な応答性は向上する。
1:マスタシリンダ、 11:メインシリンダ、12:カバーシリンダ、
13:入力ピストン、 14:第1マスタピストン、 144:付勢部材、
15:第2マスタピストン、 1A:サーボ室、 1B:第一液圧室、
1C:第二液圧室、 1D:第1マスタ室、 1E:第2マスタ室、
10:ブレーキペダル、 171:リザーバ(低圧力源)、
2:反力発生装置、 22:第一制御弁、 3:第二制御弁、
4:サーボ圧発生装置、 41:減圧弁、 42:増圧弁、
431:アキュムレータ、 44:レギュレータ(調圧装置)、
445:制御ピストン、 4D:第1パイロット室、
541、542、543、544:ホイールシリンダ、
5FR、5FL、5RR、5RL:車輪、 BF:液圧制動力発生装置、
6:ブレーキECU、 60:補正部、 61:実圧判定部、
62:実圧変化モード判定部、 63:目標圧変化量判定部、
64:補正総量判定部、 65:補正実行回数判定部、
66:目標圧変化モード判定部、
67:補正判定部(補正増大判定部、補正減少判定部)、
68:目標圧減少判定部、 69:目標圧増大判定部、 600:特定変化判定部、
71:ストロークセンサ、 72:ブレーキストップスイッチ、
73、74、75、76:圧力センサ
13:入力ピストン、 14:第1マスタピストン、 144:付勢部材、
15:第2マスタピストン、 1A:サーボ室、 1B:第一液圧室、
1C:第二液圧室、 1D:第1マスタ室、 1E:第2マスタ室、
10:ブレーキペダル、 171:リザーバ(低圧力源)、
2:反力発生装置、 22:第一制御弁、 3:第二制御弁、
4:サーボ圧発生装置、 41:減圧弁、 42:増圧弁、
431:アキュムレータ、 44:レギュレータ(調圧装置)、
445:制御ピストン、 4D:第1パイロット室、
541、542、543、544:ホイールシリンダ、
5FR、5FL、5RR、5RL:車輪、 BF:液圧制動力発生装置、
6:ブレーキECU、 60:補正部、 61:実圧判定部、
62:実圧変化モード判定部、 63:目標圧変化量判定部、
64:補正総量判定部、 65:補正実行回数判定部、
66:目標圧変化モード判定部、
67:補正判定部(補正増大判定部、補正減少判定部)、
68:目標圧減少判定部、 69:目標圧増大判定部、 600:特定変化判定部、
71:ストロークセンサ、 72:ブレーキストップスイッチ、
73、74、75、76:圧力センサ
Claims (13)
- 調圧装置から出力される出力液圧の実圧を制御し、前記出力液圧の実圧に基づいて車両の車輪に制動力を付与する制動装置であって、前記出力液圧の実圧が、前記出力液圧の目標値に対して設定される不感帯の範囲外の液圧である場合に、前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧になるように前記調圧装置を制御する制動装置において、
前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧であるか否かを判定する実圧判定部と、
前記実圧判定部により前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧であることが判定されている場合に、前記出力液圧の目標圧を前記出力液圧の実圧に近づける側に補正する目標圧補正を実行する補正部と、
を備える制動装置。 - 前記出力液圧の実圧が一定であるか否かを判定する実圧変化モード判定部を備え、
前記補正部は、前記実圧判定部により前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧であることが判定されている場合であって、前記実圧変化モード判定部により前記出力液圧の実圧が一定であることが判定されている場合に、前記目標圧補正を実行する請求項1に記載の制動装置。 - 前記出力液圧の目標圧が一定であるか否かを判定する目標圧変化モード判定部を備え、
前記補正部は、前記実圧判定部により前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧であることが判定されている場合であって、前記目標圧変化モード判定部により前記出力液圧の目標圧が一定であることが判定されている場合に、前記目標圧補正を実行する請求項1又は2に記載の制動装置。 - 前記出力液圧の目標圧の単位時間当たりの変化量が所定の閾変化量以下であるか否かを判定する目標圧変化量判定部を備え、
前記補正部は、前記実圧判定部により前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧であることが判定されている場合であって、前記目標圧変化量判定部により前記出力液圧の目標圧の変化量が前記閾変化量以下であることが判定されている場合に、前記目標圧補正を実行する請求項1〜3の何れか一項に記載の制動装置。 - 前記補正部は、前記目標圧補正による1回当たり補正量の上限を、前記不感帯の幅に応じて決定する請求項1〜4の何れか一項に記載の制動装置。
- 前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧になった時点から現時点までの前記目標圧補正の実行回数が、所定の閾実行回数未満であるか否かを判定する補正実行回数判定部を備え、
前記補正部は、前記実圧判定部により前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧であることが判定されている場合であって、前記補正実行回数判定部により前記目標圧補正の実行回数が前記閾実行回数未満であることが判定されている場合に、前記目標圧補正を実行する請求項1〜5の何れか一項に記載の制動装置。 - 前記車輪に対する制動力の付与が開始された時点から現時点までの前記目標圧補正による補正量の総量が、前記出力液圧の目標圧を増大させる所定の閾補正総量以下であるか否か、又は前記出力液圧の目標圧を減少させる所定の閾補正総量以下であるか否かを判定する補正総量判定部を備え、
前記補正部は、前記実圧判定部により前記出力液圧の実圧が前記不感帯の範囲内の液圧であることが判定されている場合であって、前記補正総量判定部により前記補正量の総量が前記閾補正総量以下であることが判定されている場合に、前記目標圧補正を実行する請求項1〜6の何れか一項に記載の制動装置。 - 前記補正総量判定部は、前記閾補正総量を、前記出力圧の実圧又は車両の減速度に応じて変化させる請求項7に記載の制動装置。
- 前記車輪に対する制動力の付与が開始された時点から現時点までの前記目標圧補正による補正量の総量が、前記出力液圧の目標圧を増大させるものであるか否かを判定する補正増大判定部と、
前記出力液圧の目標圧が減少しているか否かを判定する目標圧減少判定部と、
を備え、
前記補正部は、前記補正増大判定部により、補正量の総量が前記出力液圧の目標圧を増大させるものであることが判定され、且つ、前記目標圧減少判定部により、前記出力液圧の目標圧が減少していることが判定されている場合に、前記目標圧補正による前記補正量の総量が減少するように前記目標圧を補正する請求項1〜8の何れか一項に記載の制動装置。 - 前記車輪に対する制動力の付与が開始されてから現時点までの前記目標圧補正による補正量の総量が、前記出力液圧の目標圧を減少させるものであるか否かを判定する補正減少判定部と、
前記出力液圧の目標圧が増大しているか否かを判定する目標圧増大判定部と、
を備え、
前記補正部は、前記補正減少判定部により、補正量の総量が前記出力液圧の目標圧を減少させるものであることが判定され、且つ、前記目標圧増大判定部により、前記出力液圧の目標圧が増大していることが判定されている場合に、前記目標圧補正による前記補正量の総量が減少するように前記目標圧を補正する請求項1〜9の何れか一項に記載の制動装置。 - 前記出力液圧の目標圧が減少しているか否かを判定する目標圧減少判定部を備え、
前記補正部は、前記補正減少判定部により、補正量の総量が前記出力液圧の目標圧を減少させるものであることが判定され、且つ、前記目標圧減少判定部により、前記出力液圧の目標圧が減少していることが判定されている場合に、前記目標圧補正による前記補正量の総量が減少するように且つその単位時間当たりの減少量が、前記目標圧増大判定部により前記出力液圧の目標圧が増大していることが判定されている場合よりも小さくなるように、前記目標圧を補正する請求項10に記載の制動装置。 - 前記補正部は、前記目標圧補正による前記補正量の総量が減少するように前記目標圧を補正する補正を実行するに際して、実行する期間を設定し、当該実行期間において前記補正量の総量を増大させる前記目標圧補正を停止する請求項9〜11の何れか一項に記載の制動装置。
- 前記出力圧の目標圧が増大から減少に変わったこと、前記出力圧の目標圧が増大の後に一定となりその後減少に変わったこと、前記出力圧の目標圧が減少から増大に変わったこと、及び前記出力圧の目標圧が減少の後に一定となりその後増大に変わったこと、のうち少なくとも1つを、前記目標圧の特定変化として検知する特定変化検知部を備え、
前記補正部は、前記特定変化検知部により前記目標圧の特定変化が検知されている場合に、前記目標圧補正による前記補正量の総量が減少するように前記目標圧を補正する補正を実行する請求項9〜12の何れか一項に記載の制動装置。
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