JP6193791B2 - 車両用制動装置 - Google Patents

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本発明は、車両用制動装置に関する。
車両用制動装置としては、例えば、マスタシリンダと、サーボ室内の液圧に対応する力により駆動されてマスタ室の容積を変化させる出力ピストンと、出力ピストンとの間に作動液(ブレーキ液)で満たされる第一液圧室を区画しブレーキ操作部材の操作に連動する入力ピストンと、パイロット室に入力されている液圧に応じた液圧をサーボ室に出力するレギュレータと、入力されている制御信号に対応する液圧をパイロット室に発生させるパイロット圧発生部と、を備えたものがある。ここでパイロット圧発生部は、例えば、電磁弁と高圧力源と低圧力源等で構成されている。このような車両用制動装置は、特開2011−240873号公報に記載されている。
パイロット圧の制御に用いられる電磁弁は、いわゆるソレノイドバルブであり、コイル(ソレノイド)に供給される制御電流により、流量又は出入口間の差圧が制御される。このコイルは、自身の温度により電気抵抗が変化する。このため、精度良く制御電流を供給するためには、コイルの抵抗を検出する必要がある。
電磁弁は、常閉型である場合、制御電流が開弁電流未満であれば閉弁状態を維持する。したがって、車両用制動装置は、コイルの抵抗を取得するに当たり、制御外において電磁弁が動作しない制御電流を印加し、定期的にコイルの抵抗を取得していた。一方、電磁弁が常開型である場合、制御外においてコイルの抵抗を取得せずに電流制御が行われていた。したがって、常開型の電磁弁の制御開始直後の制御精度は、常閉型の電磁弁よりも劣っていた。ただし、従来の構成では、常開型の電磁弁が後輪の減圧弁のみに使われており、減圧を開始するまでの通電でコイル抵抗は取得されており、車両性能への影響はなかった。
特開2011−240873号公報
しかしながら、前輪の制動力制御に常開型の電磁弁が関与するような、常開型の電磁弁の液圧制御精度が車両挙動に大きく影響するシステムにおいては、電磁弁の制御電流の供給精度を高めることが求められる。つまり、常開型の電磁弁のコイルの抵抗を制御開始前、もしくは制御開始時にすみやかに取得することが求められる。
常開型の電磁弁のコイルの抵抗を制御外において取得する方法としては、常に電流を印加し続けることで抵抗を推定することが考えられる。また、当該方法として、制御外において、定期的に電磁弁が動作しない電流を印加して抵抗を推定することが考えられる。しかしながら、前者の方法では、常時電流を印加するため、電力消費が大きくなってしまう。また、後者の方法では、電磁弁が動作しない電流、すなわち閉弁電流よりも小さい微弱な電流を印加する必要があるが、当該微弱な電流を高感度で検出するセンサが別途必要となり、製造コストが高くなってしまう。パイロット圧の制御を介して制動力を制御するようなシステムで用いられる電流センサは、低電流域の精度が悪い。検出したい電流とセンサ感度が高い領域とが重ならず、現状の構成で後者の方法を採用することはできない。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、常開型の電磁弁のコイルの抵抗を、新たな電流センサを設けることなく、電力消費を抑制しつつ迅速に取得することができる車両用制動装置を提供することを目的とする。
本発明の様相1に係る車両用制動装置は、車両の車輪に付与される制動力に関連する液圧が発生する液圧室から作動液が流出することを閉弁によって阻止する常開型の電磁弁を備え、前記電磁弁のコイルの電気抵抗を導出し、導出されている前記電気抵抗に基づいて前記電磁弁のコイルに導通させる電流を制御する車両用制動装置であって、前記電磁弁のコイルに導通させる電流を、目標電流値を設定して制御する電流制御部と、前記電磁弁のコイルに流れる電流を検出する電流検出部と、前記目標電流値及び前記電流検出部が検出した電流に基づいて前記電磁弁のコイルに電圧を印加する電圧印加部と、前記液圧室の液圧を増大させる増大指示又は前記液圧室の液圧を保持する保持指示を取得する指示取得部と、前記電流検出部が検出した電流と前記電圧印加部が印加した電圧に基づいて前記電磁弁のコイルの電気抵抗を導出する電気抵抗導出部と、を備え、前記電流制御部は、前記指示取得部により前記増圧指示又は前記保持指示が取得されている場合に、前記目標電流値を前記電磁弁の閉弁電流よりも大きい値で所定時間一定に保つ電気抵抗取得処理を実行し、前記電気抵抗導出部は、前記電流制御部により前記電気抵抗取得処理が実行されている際に、前記電磁弁のコイルの電気抵抗を導出することを特徴とする。
この構成によれば、増圧指示又は保持指示の際に、電気抵抗取得処理が実行される。電気抵抗取得処理では、目標電流値が閉弁電流よりも大きい値に設定されるため、新たな電流センサがなくとも、コイルに流れる電流を精度良く検出することができる。また、電気抵抗取得処理では、予め設定された所定時間だけ実行されるため、電気抵抗取得のために常時電流が流れることはなく、電力消費を抑制することができる。さらに、電気抵抗取得処理では、目標電流値を一定に保つため、目標電流値が変動する場合と比較して、電圧印加部が電流を目標電流値に一致させ易く、迅速に電気抵抗を取得することができる。
本発明の様相2に係る車両用制動装置は、上記様相1において、前記液圧室の液圧が増大を開始するタイミング又は前記液圧室の液圧が増大を開始したタイミングを取得する増圧タイミング取得部を備え、前記電流制御部は、前記増圧タイミング取得部により取得された前記タイミングに基づいて、前記電気抵抗取得処理を実行する。
増圧が開始されるタイミングは、ブレーキ操作部材が踏み込まれたタイミングであることが多い。上記様相2によれば、ブレーキ操作初期に電気抵抗が取得されるため、電流制御精度の確保がブレーキ操作の早い段階で実現される。また、増圧が開始されるタイミングでは、液圧室を減圧する制御が必要な状況にはほぼならない。上記様相2によれば、増圧が開始されるタイミングで電気抵抗取得処理が実行されるため、電磁弁が減圧弁として用いられる場合、閉弁状態で維持してもブレーキ制御に影響はない。
本発明の様相3に係る車両用制動装置は、上記様相2において、前記液圧室の液圧を減少させる減圧指示を取得する減圧指示取得部を備え、前記電流制御部は、前記電気抵抗取得処理を実行した後、前記減圧指示取得部により前記減圧指示が取得されたとしても、前記電気抵抗取得処理を継続して実行する。
この構成によれば、増圧タイミングが取得されて電気抵抗取得処理が実行されると、その後は、たとえ減圧指示の制御指令下であっても、電気抵抗取得処理が続行される。これにより、確実に電磁弁のコイルの抵抗を取得することができる。また、ブレーキ操作初期であるため、最大で所定時間、電気抵抗取得処理を継続しても、電磁弁が減圧弁として用いられる場合、ブレーキ制御への影響は抑制される。
本発明の様相4に係る車両用制動装置は、上記様相3において、前記電流制御部は、前記電気抵抗取得処理を実行した後、前記減圧指示取得部により前記減圧指示が取得された場合、前記液圧室の実圧と前記液圧室の目標圧との偏差が所定閾値未満であれば前記電気抵抗取得処理を継続して実行し、前記偏差が所定閾値以上であれば前記電気抵抗取得処理を中断し、前記所定閾値は、前記目標圧に対して設定された不感帯よりも大きい値に設定されている。
この構成によれば、実圧と目標圧の偏差がそれほど大きくないような、軽微な制御のずれ等による減圧指示を受けた場合でも、電気抵抗取得処理は中断することなく実行され、確実に電気抵抗を取得することができる。さらに、上記様相4によれば、例えば故障等により、実圧と目標圧の偏差が所定閾値を超えた場合、電気抵抗取得処理が中断される。つまり、異常発生時には、電気抵抗取得処理が速やかに中断され、指示に応じた制御が実行される。
本発明の様相5に係る車両用制動装置は、上記様相1又は2において、前記液圧室の液圧を減少させる減圧指示を取得する減圧指示取得部と、前記液圧室の目標圧と前記液圧室の実圧との偏差が許容範囲外にある場合には当該偏差を前記許容範囲に収めるように前記実圧を制御し、前記目標圧と前記実圧との偏差が前記許容範囲にある場合には前記実圧を保持するように前記実圧を制御する制御部と、を備え、前記電流制御部は、前記許容範囲を前記許容範囲より大きい第二許容範囲に拡げた上で前記電気抵抗取得処理を実行し、前記減圧指示取得部により前記減圧指示が取得され且つ前記目標圧と前記実圧の偏差が前記第二許容範囲を超えた場合、前記電気抵抗取得処理を中断する。この構成によれば、電気抵抗取得処理が実行される際、許容範囲が第二許容範囲に拡大されるため、上記様相4と同様の効果が発揮される。
本発明の様相6に係る車両用制動装置は、上記様相1〜5の何れか1つにおいて、前記電流制御部は、前記電気抵抗取得処理を実行中、前記電気抵抗導出部が電気抵抗を導出した場合、前記電気抵抗取得処理を終了する。この構成によれば、電気抵抗が導出されると、所定時間経過前であっても電気抵抗取得処理が終了するため、電力消費はさらに抑制される。
第一実施形態の車両用制動装置の構成を示す構成図である。 電磁弁の一例を説明するための概念図である。 第一実施形態のレギュレータの詳細構成を示す断面図である。 第一実施形態の車両用制動装置のブレーキ制御(液圧制御)を説明するための説明図である。 第一実施形態の電気抵抗取得処理を説明するためのタイムチャートである。 第一実施形態の電気抵抗取得処理の一例を説明するための説明図である。 第一実施形態の電気抵抗取得処理を説明するためのフローチャートである。 第二実施形態の電気抵抗取得処理の一例を説明するための説明図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。また、説明に用いる各図は概念図であり、各部の形状は必ずしも厳密なものではない場合がある。
<第一実施形態>
図1に示すように、第一実施形態の車両用制動装置は、車輪5FR,5FL,5RR,5RLに液圧制動力を発生させる液圧制動力発生装置BFと、液圧制動力発生装置BFを制御するブレーキECU(「制御部」に相当する)6と、を備えている。
(液圧制動力発生装置BF)
液圧制動力発生装置BFは、図1に示すように、マスタシリンダ1と、反力発生装置2と、第一制御弁22と、第二制御弁23と、サーボ圧発生装置4と、液圧制御部5と、各種センサ71〜76等により構成されている。
(マスタシリンダ1)
マスタシリンダ1は、ブレーキペダル10の操作量に応じて作動液を液圧制御部5に供給する部位であり、メインシリンダ11、カバーシリンダ12、入力ピストン13、第1マスタピストン14、および第2マスタピストン15等により構成されている。ブレーキペダル10は、運転手がブレーキ操作可能なブレーキ操作手段であれば良い。
メインシリンダ11は、前方が閉塞されて後方に開口する有底略円筒状のハウジングである。メインシリンダ11の内周側の後方寄りに、内向きフランジ状に突出する内壁部111が設けられている。内壁部111の中央は、前後方向に貫通する貫通孔111aとされている。また、メインシリンダ11の内部の内壁部111よりも前方に、内径がわずかに小さくなっている小径部位112(後方)、113(前方)が設けられている。つまり、小径部位112、113は、メインシリンダ11の内周面から内向き環状に突出している。メインシリンダ11の内部には、小径部位112に摺接して軸方向に移動可能に第1マスタピストン14が配設されている。同様に、小径部位113に摺接して軸方向に移動可能に第2マスタピストン15が配設されている。
カバーシリンダ12は、略円筒状のシリンダ部121、蛇腹筒状のブーツ122、およびカップ状の圧縮スプリング123で構成されている。シリンダ部121は、メインシリンダ11の後端側に配置され、メインシリンダ11の後側の開口に同軸的に嵌合されている。シリンダ部121の前方部位121aの内径は、内壁部111の貫通孔111aの内径よりも大とされている。また、シリンダ部121の後方部位121bの内径は、前方部位121aの内径よりも小とされている。
防塵用のブーツ122は蛇腹筒状で前後方向に伸縮可能であり、その前側でシリンダ部121の後端側開口に接するように組み付けられている。ブーツ122の後方の中央には貫通孔122aが形成されている。圧縮スプリング123は、ブーツ122の周りに配置されるコイル状の付勢部材であり、その前側がメインシリンダ11の後端に当接し、後側はブーツ122の貫通孔122aに近接するように縮径されている。ブーツ122の後端および圧縮スプリング123の後端は、操作ロッド10aに結合されている。圧縮スプリング123は、操作ロッド10aを後方に付勢している。
入力ピストン13は、ブレーキペダル10の操作に応じてカバーシリンダ12内を摺動するピストンである。入力ピストン13は、前方に底面を有し後方に開口を有する有底略円筒状のピストンである。入力ピストン13の底面を構成する底壁131は、入力ピストン13の他の部位よりも径が大きくなっている。入力ピストン13は、シリンダ部121の後方部位121bに軸方向に摺動可能かつ液密的に配置され、底壁131がシリンダ部121の前方部位121aの内周側に入り込んでいる。
入力ピストン13の内部には、ブレーキペダル10に連動する操作ロッド10aが配設されている。操作ロッド10aの先端のピボット10bは、入力ピストン13を前側に押動できるようになっている。操作ロッド10aの後端は、入力ピストン13の後側の開口およびブーツ122の貫通孔122aを通って外部に突出し、ブレーキペダル10に接続されている。ブレーキペダル10が踏み込み操作されたときに、操作ロッド10aは、ブーツ122および圧縮スプリング123を軸方向に押動しながら前進する。操作ロッド10aの前進に伴い、入力ピストン13も連動して前進する。
第1マスタピストン14は、メインシリンダ11の内壁部111に軸方向に摺動可能に配設されている。第1マスタピストン14は、前方側から順番に加圧筒部141、フランジ部142、および突出部143が一体となって形成されている。加圧筒部141は、前方に開口を有する有底略円筒状に形成され、メインシリンダ11の内周面との間に間隙を有し、小径部位112に摺接している。加圧筒部141の内部空間には、第2マスタピストン15との間にコイルばね状の付勢部材144が配設されている。付勢部材144により、第1マスタピストン14は後方に付勢されている。換言すると、第1マスタピストン14は、設定された初期位置に向けて付勢部材144により付勢されている。
フランジ部142は、加圧筒部141よりも大径で、メインシリンダ11の内周面に摺接している。突出部143は、フランジ部142よりも小径で、内壁部111の貫通孔111aに液密に摺動するように配置されている。突出部143の後端は、貫通孔111aを通り抜けてシリンダ部121の内部空間に突出し、シリンダ部121の内周面から離間している。突出部143の後端面は、入力ピストン13の底壁131から離間し、その離間距離dは変化し得るように構成されている。
ここで、メインシリンダ11の内周面、第1マスタピストン14の加圧筒部141の前側、および第2マスタピストン15の後側により、「第1マスタ室1D」が区画されている。また、メインシリンダ11の内周面(内周部)と小径部位112と内壁部111の前面、および第1マスタピストン14の外周面により、第1マスタ室1Dよりも後方の後方室が区画されている。第1マスタピストン14のフランジ部142の前端部および後端部は後方室を前後に区分しており、前側に「第二液圧室1C」が区画され、後側に「サーボ室(「出力室」に相当する)1A」が区画されている。さらに、メインシリンダ11の内周部、内壁部111の後面、シリンダ部121の前方部位121aの内周面(内周部)、第1マスタピストン14の突出部143(後端部)、および入力ピストン12の前端部により「第一液圧室1B」が区画されている。
第2マスタピストン15は、メインシリンダ11内の第1マスタピストン14の前方側に、小径部位113に摺接して軸方向に移動可能に配置されている。第2マスタピストン15は、前方に開口を有する筒状の加圧筒部151、および加圧筒部151の後側を閉塞する底壁152が一体となって形成されている。底壁152は、第1マスタピストン14との間に付勢部材144を支承している。加圧筒部151の内部空間には、メインシリンダ11の閉塞された内底面111dとの間に、コイルばね状の付勢部材153が配設されている。付勢部材153により、第2マスタピストン15は後方に付勢されている。換言すると、第2マスタピストン15は、設定された初期位置に向けて付勢部材153により付勢されている。メインシリンダ11の内周面、内底面111d、および第2マスタピストン15により、「第2マスタ室1E」が区画されている。
マスタシリンダ1には、内部と外部を連通させるポート11a〜11iが形成されている。ポート11aは、メインシリンダ11のうち内壁部111よりも後方に形成されている。ポート11bは、ポート11aと軸方向の同様の位置に、ポート11aに対向して形成されている。ポート11aとポート11bは、メインシリンダ11の内周面とシリンダ部121の外周面との間の環状空間を介して連通している。ポート11aおよびポート11bは、配管161に接続され、かつリザーバ171(低圧力源)に接続されている。
また、ポート11bは、シリンダ部121および入力ピストン13に形成された通路18により第一液圧室1Bに連通している。通路18は入力ピストン13が前進すると遮断され、これによって第一液圧室1Bとリザーバ171とが遮断される。
ポート11cは、内壁部111より後方かつポート11aよりも前方に形成され、第一液圧室1Bと配管162とを連通させている。ポート11dは、ポート11cよりも前方に形成され、サーボ室1Aと配管163とを連通させている。ポート11eは、ポート11dよりも前方に形成され、第二液圧室1Cと配管164とを連通させている。
ポート11fは、小径部位112の両シール部材91、92の間に形成され、リザーバ172とメインシリンダ11の内部とを連通している。ポート11fは、第1マスタピストン14に形成された通路145を介して第1マスタ室1Dに連通している。通路145は、第1マスタピストン14が前進するとポート11fと第1マスタ室1Dが遮断される位置に形成されている。ポート11gは、ポート11fよりも前方に形成され、第1マスタ室1Dと配管51とを連通させている。
ポート11hは、小径部位113の両シール部材93、94の間に形成され、リザーバ173とメインシリンダ11の内部とを連通させている。ポート11hは、第2マスタピストン15の加圧筒部151に形成された通路154を介して第2マスタ室1Eに連通している。通路154は、第2マスタピストン15が前進するとポート11hと第2マスタ室1Eが遮断される位置に形成されている。ポート11iは、ポート11hよりも前方に形成され、第2マスタ室1Eと配管52とを連通させている。
また、マスタシリンダ1内には、適宜、Oリング等のシール部材(図面黒丸部分)が配置されている。シール部材91、92は、小径部位112に配置され、第1マスタピストン14の外周面に液密的に当接している。同様に、シール部材93、94は、小径部位113に配置され、第2マスタピストン15の外周面に液密的に当接している。また、入力ピストン13とシリンダ部121との間にもシール部材95、96が配置されている。
ストロークセンサ71は、運転者によりブレーキペダル10が操作された操作量(ストローク)を検出するセンサであり、検出信号をブレーキECU6に送信する。ブレーキストップスイッチ72は、運転者によるブレーキペダル10の操作の有無を2値信号で検出するスイッチであり、検出信号をブレーキECU6に送信する。
(反力発生装置2)
反力発生装置2は、ブレーキペダル10が操作されたとき操作力に対抗する反力を発生する装置であり、ストロークシミュレータ21を主にして構成されている。ストロークシミュレータ21は、ブレーキペダル10の操作に応じて第一液圧室1Bおよび第二液圧室1Cに反力液圧を発生させる。ストロークシミュレータ21は、シリンダ211にピストン212が摺動可能に嵌合されて構成されている。ピストン212は圧縮スプリング213によって前方に付勢されており、ピストン212の前面側に反力液圧室214が形成される。反力液圧室214は、配管164およびポート11eを介して第二液圧室1Cに接続され、さらに、反力液圧室214は、配管164を介して第一制御弁22および第二制御弁23に接続されている。
(第一制御弁22)
第一制御弁22は、非通電状態で閉じる構造の電磁弁であり、ブレーキECU6により開閉が制御される。第一制御弁22は、配管164と配管162との間に接続されている。ここで、配管164はポート11eを介して第二液圧室1Cに連通し、配管162はポート11cを介して第一液圧室1Bに連通している。また、第一制御弁22が開くと第一液圧室1Bが開放状態になり、第一制御弁22が閉じると第一液圧室1Bが密閉状態になる。したがって、配管164および配管162は、第一液圧室1Bと第二液圧室1Cとを連通するように設けられている。
第一制御弁22は通電されていない非通電状態で閉じており、このとき第一液圧室1Bと第二液圧室1Cとが遮断される。これにより、第一液圧室1Bが密閉状態になって作動液の行き場がなくなり、入力ピストン13と第1マスタピストン14とが一定の離間距離dを保って連動する。また、第一制御弁22は通電された通電状態では開いており、このとき第一液圧室1Bと第二液圧室1Cとが連通される。これにより、第1マスタピストン14の進退に伴う第一液圧室1Bおよび第二液圧室1Cの容積変化が、作動液の移動により吸収される。
圧力センサ73は、第二液圧室1Cおよび第一液圧室1Bの反力液圧を検出するセンサであり、配管164に接続されている。圧力センサ73は、第一制御弁22が閉状態の場合には第二液圧室1Cの圧力を検出し、第一制御弁22が開状態の場合には連通された第一液圧室1Bの圧力も検出することになる。圧力センサ73は、検出信号をブレーキECU6に送信する。
(第二制御弁23)
第二制御弁23は、非通電状態で開く構造の電磁弁であり、ブレーキECU6により開閉が制御される。第二制御弁23は、配管164と配管161との間に接続されている。ここで、配管164はポート11eを介して第二液圧室1Cに連通し、配管161はポート11aを介してリザーバ171に連通している。したがって、第二制御弁23は、第二液圧室1Cとリザーバ171との間を非通電状態で連通して反力液圧を発生させず、通電状態で遮断して反力液圧を発生させる。
(サーボ圧発生装置4)
サーボ圧発生装置4は、減圧弁(「電磁弁」に相当する)41、増圧弁42、圧力供給部43、およびレギュレータ44等で構成されている。減圧弁41は、非通電状態で開く常開型の電磁弁(常開弁)であり、ブレーキECU6により流量(又は圧力)が制御される。減圧弁41の一方は配管411を介して配管161に接続され、減圧弁41の他方は配管413に接続されている。つまり、減圧弁41の一方は、配管411、161、およびポート11a、11bを介してリザーバ(低圧力源)171に連通している。減圧弁41は、閉弁することで、後述する第1パイロット室4Dから作動液が流出することを阻止する。なお、配管411は、リザーバ171ではなく、後述するリザーバ434に接続されていても良い。この場合、リザーバ434が低圧力源に相当する。また、リザーバ171とリザーバ434が同一のリザーバであっても良い。
増圧弁42は、非通電状態で閉じる常閉型の電磁弁(常閉弁)であり、ブレーキECU6により流量(又は圧力)が制御されている。増圧弁42の一方は配管421に接続され、増圧弁42の他方は配管422に接続されている。
ここで、減圧弁41に用いられる常開型の電磁弁の一例を、模式的に説明する。電磁弁(減圧弁41)は、図2に示すように、弁部材aと、弁座bと、弁部材aを開弁側(弁座bから離れる方向)に付勢するスプリングcと、電流が導通することで弁部材aを閉弁側に押す電磁駆動力を発生するコイル(ソレノイド)dと、を備えている。コイルdに流れる電流が閉弁電流未満の場合には、スプリングcの付勢力により弁部材aと弁座bとが離間しており、電磁弁は開弁状態となっている。コイルdに閉弁電流以上の電流が流れると、コイルdに発生する弁部材aを閉弁側に押す電磁駆動力が、スプリングcの付勢力と、電磁弁の出入口間の差圧に応じた差圧作用力との和よりも大きくなり、弁部材aが弁座bに当接し、電磁弁が閉弁する。閉弁電流(閉弁させるための最小の制御電流)は、電磁弁の出入口間の差圧で決まる。
このように、減圧弁41及び増圧弁42は、コイルdに電流を流すことにより発生する電磁駆動力と、スプリングcの付勢力と、電磁弁の出入口間の差圧に応じた差圧作用力とのつりあい関係により開閉が決まり、コイルdに供給される電流(制御電流)により制御される。なお、付勢力と電磁駆動力の向きは、電磁弁の構造(常開弁や常閉弁等)により様々である。
圧力供給部43は、レギュレータ44に主に高圧の作動液を供給する部位である。圧力供給部43は、アキュムレータ(高圧力源)431、液圧ポンプ432、モータ433、およびリザーバ434等で構成されている。
アキュムレータ431は、高圧の作動液を蓄積するタンクである。アキュムレータ431は、配管431aによりレギュレータ44および液圧ポンプ432に接続されている。液圧ポンプ432は、モータ433によって駆動され、リザーバ434に貯留された作動液を、アキュムレータ431に圧送する。配管431aに設けられた圧力センサ75は、アキュムレータ431のアキュムレータ液圧を検出し、検出信号をブレーキECU6に送信する。アキュムレータ液圧は、アキュムレータ431に蓄積された作動液の蓄積量に相関する。
アキュムレータ液圧が所定値以下に低下したことが圧力センサ75によって検出されると、ブレーキECU6からの指令に基づいてモータ433が駆動される。これにより、液圧ポンプ432は、アキュムレータ431に作動液を圧送して、アキュムレータ液圧を所定値以上に回復する。
レギュレータ(調圧装置)44は、図3に示すように、シリンダ441、ボール弁442、付勢部443、弁座部444、制御ピストン445、およびサブピストン446等で構成されている。
シリンダ441は、一方(図面右側)に底面をもつ略有底円筒状のシリンダケース441aと、シリンダケース441aの開口(図面左側)を塞ぐ蓋部材441bと、で構成されている。シリンダケース441aには、内部と外部を連通させる複数のポート4a〜4hが形成されている。蓋部材441bも、略有底円筒状に形成されており、筒状部の複数のポート4a〜4hに対向する各部位に各ポートが形成されている。
ポート4aは、配管431aに接続されている。ポート4bは、配管422に接続されている。ポート4cは、配管163に接続されている。配管163は、サーボ室1Aと出力ポート4cとを接続している。ポート4dは、配管414を介して配管161に接続されている。ポート4eは、配管424に接続され、さらにリリーフバルブ423を経由して配管422に接続されている。ポート4fは、配管413に接続されている。ポート4gは、配管421に接続されている。ポート4hは、配管51から分岐した配管511に接続されている。なお、配管414は、配管161ではなく、リザーバ434に接続されていても良い。
ボール弁442は、ボール型の弁であり、シリンダ441内部のシリンダケース441aの底面側(以下、シリンダ底面側とも称する)に配置されている。付勢部443は、ボール弁442をシリンダケース441aの開口側(以下、シリンダ開口側とも称する)に付勢するバネ部材であって、シリンダケース441aの底面に設置されている。弁座部444は、シリンダケース441aの内周面に設けられた壁部材であり、シリンダ開口側とシリンダ底面側を区画している。弁座部444の中央には、区画したシリンダ開口側とシリンダ底面側を連通させる貫通路444aが形成されている。弁部材444は、付勢されたボール弁442が貫通路444aを塞ぐ形で、ボール弁442をシリンダ開口側から保持している。貫通路444aのシリンダ底面側の開口部には、ボール弁442が離脱可能に着座(当接)する弁座面444bが形成されている。
ボール弁442、付勢部443、弁座部444、およびシリンダ底面側のシリンダケース441aの内周面で区画された空間を「第1室4A」とする。第1室4Aは、作動液で満たされており、ポート4aを介して配管431aに接続され、ポート4bを介して配管422に接続されている。
制御ピストン445は、略円柱状の本体部445aと、本体部445aよりも径が小さい略円柱状の突出部445bとからなっている。本体部445aは、シリンダ441内において、弁座部444のシリンダ開口側に、同軸的且つ液密的に、軸方向に摺動可能に配置されている。本体部445aは、図示しない付勢部材によりシリンダ開口側に付勢されている。本体部445aのシリンダ軸方向略中央には、両端が本体部445a周面に開口した径方向(図面上下方向)に延びる通路445cが形成されている。通路445cの開口位置に対応したシリンダ441の一部の内周面は、ポート4dが形成されているとともに、凹状に窪んでいる。この窪んだ空間を「第3室4C」とする。
突出部445bは、本体部445aのシリンダ底面側端面の中央からシリンダ底面側に突出している。突出部445bの径は、弁座部444の貫通路444aよりも小さい。突出部445bは、貫通路444aと同軸上に配置されている。突出部445bの先端は、ボール弁442からシリンダ開口側に所定間隔離れている。突出部445bには、突出部445bのシリンダ底面側端面中央に開口したシリンダ軸方向に延びる通路445dが形成されている。通路445dは、本体部445a内にまで延伸し、通路445cに接続している。
本体部445aのシリンダ底面側端面、突出部445bの外周面、シリンダ441の内周面、弁座部444、およびボール弁442によって区画された空間を「第2室4B」とする。第2室4Bは、突出部445bとボール弁442とが当接していない状態で、通路445d,445c、および第3室4Cを介してポート4d、4eに連通している。
サブピストン446は、サブ本体部446aと、第1突出部446bと、第2突出部446cとからなっている。サブ本体部446aは、略円柱状に形成されている。サブ本体部446aは、シリンダ441内において、本体部445aのシリンダ開口側に、同軸的且つ液密的、軸方向に摺動可能に配置されている。
第1突出部446bは、サブ本体部446aより小径の略円柱状であり、サブ本体部446aのシリンダ底面側の端面中央から突出している。第1突出部446bは、本体部445aのシリンダ開口側端面に当接している。第2突出部446cは、第1突出部446bと同形状であり、サブ本体部446aのシリンダ開口側の端面中央から突出している。第2突出部446cは、蓋部材441bと当接している。
サブ本体部446aのシリンダ底面側の端面、第1突出部446bの外周面、制御ピストン445のシリンダ開口側の端面、およびシリンダ441の内周面で区画された空間を「第1パイロット室(「液圧室」に相当する)4D」とする。第1パイロット室4Dは、ポート4fおよび配管413を介して減圧弁41に連通し、ポート4gおよび配管421を介して増圧弁42に連通している。
一方、サブ本体部446aのシリンダ開口側の端面、第2突出部446cの外周面、蓋部材441b、およびシリンダ441の内周面で区画された空間を「第2パイロット室4E」とする。第2パイロット室4Eは、ポート4hおよび配管511、51を介してポート11gに連通している。各室4A〜4Eは、作動液で満たされている。圧力センサ74は、サーボ室1Aに供給されるサーボ圧を検出するセンサであり、配管163に接続されている。圧力センサ74は、検出信号をブレーキECU6に送信する。
このように、レギュレータ44は、第1パイロット室4Dの圧力(「パイロット圧」とも称する)に対応する力とサーボ圧に対応する力との差によって駆動される制御ピストン445を有し、制御ピストン445の移動に伴って第1パイロット室4Dの容積が変化し、第1パイロット室4Dに流入出する液体の流量が増大すると、パイロット圧に対応する力とサーボ圧に対応する力とが釣り合っている平衡状態における制御ピストン445の位置を基準とする同制御ピストン445の移動量が増大して、サーボ室1Aに流入出する液体の流量が増大するように構成されている。
レギュレータ44は、アキュムレータ431から第1パイロット室4Dに流入する液体の流量が増大するほど、第1パイロット室4Dが拡大するとともにアキュムレータ431からサーボ室1Aに流入する液体の流量が増大し、第1パイロット室4Dからリザーバ171に流出する液体の流量が増大するほど、第1パイロット室4Dが縮小するとともにサーボ室1Aからリザーバ171に流出する液体の流量が増大するように構成されている。
また、制御ピストン445は、第1パイロット室4Dに面する壁部にダンパ装置(図示せず)を有している。ダンパ装置は、ストロークシミュレータのような構成であり、付勢部材で第1パイロット室4Dに向けて付勢されたピストン部を有する。ダンパ装置が設けられることで、第1パイロット室4Dの剛性はパイロット圧に応じて変化する。
(液圧制御部5)
マスタシリンダ液圧(マスタ圧)を発生する第1マスタ室1D、第2マスタ室1Eには、配管51、52、ABS(Antilock Brake System)53を介してホイールシリンダ541〜544が連通されている。ホイールシリンダ541〜544は、車輪5FR〜5RLのブレーキを構成している。具体的には、第1マスタ室1Dのポート11g及び第2マスタ室1Eのポート11iには、それぞれ配管51、52を介して、公知のABS53が連結されている。ABS53には、車輪5FR〜5RLを制動するブレーキを作動させるホイールシリンダ541〜544が連結されている。
ABS53は、車輪速度を検出する車輪速度センサ(「検出手段」及び「第二センサ」に相当する)76を各輪に備えている。車輪速度センサ76により検出された車輪速度を示す検出信号はブレーキECU6に出力されるようになっている。
このように構成されたABS53において、ブレーキECU6は、マスタ圧、車輪速度の状態、及び前後加速度に基づき、各保持弁、減圧弁の開閉を切り換え制御し、モータを必要に応じて作動して各ホイールシリンダ541〜544に付与するブレーキ液圧すなわち各車輪5FR〜5RLに付与する制動力を調整するABS制御(アンチロックブレーキ制御)を実行する。ABS53は、マスタシリンダ1から供給された作動液を、ブレーキECU6の指示に基づいて、量やタイミングを調整して、ホイールシリンダ541〜544に供給する装置である。
後述する「ブレーキ制御」では、サーボ圧発生装置4のアキュムレータ431から送出された液圧が増圧弁42及び減圧弁41によって制御されてサーボ圧がサーボ室1Aに発生することにより、第1マスタピストン14及び第2マスタピストン15が前進して第1マスタ室1D及び第2マスタ室1Eが加圧される。第1マスタ室1D及び第2マスタ室1Eの液圧はポート11g、11iから配管51、52及びABS53を経由してホイールシリンダ541〜544へマスタ圧として供給され、車輪5FR〜5RLに液圧制動力が付与される。
(ブレーキECU6)
ブレーキECU6は、電子制御ユニットであり、マイクロコンピュータを有している。マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリー等の記憶部を備えている。
ブレーキECU6は、各電磁弁22、23、41、42、及びモータ433等を制御するため、各種センサ71〜76と接続されている。ブレーキECU6には、ストロークセンサ71から運転者によりブレーキペダル10の操作量(ストローク量)が入力され、ブレーキストップスイッチ72から運転者によるブレーキペダル10の操作の有無が入力され、圧力センサ73から第二液圧室1Cの反力液圧又は第一液圧室1Bの圧力(又は反力液圧)が入力され、圧力センサ74からサーボ室1Aに供給されるサーボ圧が入力され、圧力センサ75からアキュムレータ431のアキュムレータ液圧が入力され、車輪速度センサ76から各車輪5FR,5FL,5RR,5RLの速度が入力される。
(ブレーキ制御)
ここで、ブレーキECU6のブレーキ制御について説明する。ブレーキ制御は、通常の液圧制動力の制御である。すなわち、ブレーキECU6は、第一制御弁22に通電して開弁し、第二制御弁23に通電して閉弁した状態とする。第二制御弁23が閉状態となることで第二液圧室1Cとリザーバ171とが遮断され、第一制御弁22が開状態となることで第一液圧室1Bと第二液圧室1Cとが連通する。このように、ブレーキ制御は、第一制御弁22を開弁させ、第二制御弁23を閉弁させた状態で、減圧弁41及び増圧弁42を制御してサーボ室1Aのサーボ圧を制御するモードである。減圧弁41及び増圧弁42は、第1パイロット室4Dに流入出させる作動液の流量を調整する弁装置ともいえる。このブレーキ制御において、ブレーキECU6は、ストロークセンサ71で検出されたブレーキペダル10の操作量(入力ピストン13の移動量)またはブレーキペダル10の操作力から、運転者の要求制動力を算出する。そして、要求制動力に基づいて目標サーボ圧が設定され、圧力センサ74で測定されたサーボ圧である実サーボ圧(「実圧」に相当する)を目標サーボ圧に近づけるように減圧弁41及び増圧弁42が制御される。
詳細に説明すると、ブレーキペダル10が踏まれていない状態では、上記のような状態、すなわちボール弁442が弁座部444の貫通路444aを塞いでいる状態となる。また、減圧弁41は開状態、増圧弁42は閉状態となっている。つまり、第1室4Aと第2室4Bは隔離されている。
第2室4Bは、配管163を介してサーボ室1Aに連通し、互いに同圧力に保たれている。第2室4Bは、制御ピストン445の通路445c、445dを介して第3室4Cに連通している。したがって、第2室4B及び第3室4Cは、配管414、161を介してリザーバ171に連通している。第1パイロット室4Dは、一方が増圧弁42で塞がれ、他方が減圧弁41を介してリザーバ171に連通している。第1パイロット室4Dと第2室4Bとは同圧力に保たれる。第2パイロット室4Eは、配管511、51を介して第1マスタ室1Dに連通し、互いに同圧力に保たれる。
この状態から、ブレーキペダル10が踏まれると、ブレーキECU6は、目標サーボ圧に基づいて、減圧弁41及び増圧弁42を制御する。すなわち、ブレーキECU6は、減圧弁41を閉じる方向に制御し、増圧弁42を開ける方向に制御する。
増圧弁42が開くことでアキュムレータ431と第1パイロット室4Dとが連通する。減圧弁41が閉じることで、第1パイロット室4Dとリザーバ171とが遮断される。アキュムレータ431から供給される高圧の作動液により、第1パイロット室4Dの圧力を上昇させることができる。第1パイロット室4Dの圧力が上昇することで、制御ピストン445がシリンダ底面側に摺動する。これにより、制御ピストン445の突出部445b先端がボール弁442に当接し、通路445dがボール弁442により塞がれる。そして、第2室4Bとリザーバ171とは遮断される。
さらに、制御ピストン445がシリンダ底面側に摺動することで、突出部445bによりボール弁442がシリンダ底面側に押されて移動し、ボール弁442が弁座面444bから離間する。これにより、第1室4Aと第2室4Bは弁座部444の貫通路444aにより連通する。第1室4Aには、アキュムレータ431から高圧の作動液が供給されており、連通により第2室4Bの圧力が上昇する。なお、ボール弁442の弁座面444bからの離間距離が大きくなる程、作動液の流路が大きくなり、ボール弁442の下流の流路の液圧が高くなる。つまり、第1パイロット室4Dの圧力(パイロット圧)が大きくなる程、制御ピストン445の移動距離が大きくなり、ボール弁442の弁座面444bからの離間距離が大きくなり、第2室4Bの液圧(サーボ圧)が高くなる。
ブレーキECU6は、ストロークセンサ71で検知された入力ピストン13の移動量(ブレーキペダル10の操作量)が大きくなる程、第1パイロット室4Dのパイロット圧が高くなるように、増圧弁42下流の流路が大きくなるように増圧弁42を制御するとともに、減圧弁41下流の流路が小さくなるように減圧弁41を制御する。つまり、入力ピストン13の移動量(ブレーキペダル10の操作量)が大きくなる程、パイロット圧が高くなり、サーボ圧も高くなる。サーボ圧は、圧力センサ74により取得でき、パイロット圧に換算することができる。
第2室4Bの圧力上昇に伴って、それに連通するサーボ室1Aの圧力も上昇する。サーボ室1Aの圧力上昇により、第1マスタピストン14が前進し、第1マスタ室1Dの圧力が上昇する。そして、第2マスタピストン15も前進し、第2マスタ室1Eの圧力が上昇する。第1マスタ室1Dの圧力上昇により、高圧の作動液が後述するABS53及び第2パイロット室4Eに供給される。第2パイロット室4Eの圧力は上昇するが、第1パイロット室4Dの圧力も同様に上昇しているため、サブピストン446は移動しない。このように、ABS53に高圧(マスタ圧)の作動液が供給され、摩擦ブレーキが作動して車両が制動される。「ブレーキ制御」において第1マスタピストン14を前進させる力は、サーボ圧に対応する力に相当する。
ブレーキ操作を解除する場合、反対に、減圧弁41を開状態とし、増圧弁42を閉状態として、リザーバ171と第1パイロット室4Dとを連通させる。これにより、制御ピストン445が後退し、ブレーキペダル10を踏む前の状態に戻る。
第一実施形態のブレーキ制御は、ブレーキペダル10の操作及びストロークに応じて目標サーボ圧を設定し、サーボ圧が目標サーボ圧に達するように、減圧弁41及び増圧弁42を制御してパイロット圧を変化させる制御である。目標サーボ圧は、マップ等に基づいて設定される。また、第一実施形態において、上述のとおり、減圧弁41及び増圧弁42は、出入口間の差圧によって開弁電流又は閉弁電流が変化する電磁弁である。
また、ブレーキECU6では、図4に示すように、目標サーボ圧に対して所定の不感帯が設定されている。ブレーキECU6は、液圧制御を行うにあたり、実サーボ圧が不感帯の範囲(「許容範囲」に相当する)内に入ると実質的に目標サーボ圧に達したものと認識する。このような不感帯を設定することで、目標サーボ圧を一点に設定する場合よりも液圧制御のハンチングを抑制することができる。
ブレーキECU6は、ブレーキ制御において、目標サーボ圧と実サーボ圧との偏差が不感帯の範囲外にある場合には当該偏差を不感帯の範囲に収めるように実サーボ圧を制御し、目標サーボ圧と実サーボ圧との偏差が不感帯の範囲にある場合には実サーボ圧を保持するように実サーボ圧を制御する。ブレーキECU6は、圧力センサ74の値を監視しながら減圧弁41及び増圧弁42を制御するフィードバック制御を行っている。
ブレーキECU6は、実サーボ圧が不感帯の範囲外で且つ目標サーボ圧よりも小さい場合、実サーボ圧を目標サーボ圧に向けて増大させる「増圧モード」となる。また、ブレーキECU6は、実サーボ圧が不感帯の範囲外で且つ目標サーボ圧よりも大きい場合、実サーボ圧を目標サーボ圧に向けて減少させる「減圧モード」となる。ブレーキECU6は、実サーボ圧が不感帯の範囲内にある場合、実サーボ圧を保持する「保持モード」となる。具体例を挙げると、ブレーキECU6は、増圧モードにおいては増圧弁42を開弁させ減圧弁41を閉弁させ、減圧モードにおいては増圧弁42を閉弁させ減圧弁41を開弁させ、保持モードにおいては増圧弁42及び減圧弁41を閉弁させる。
(電気抵抗取得処理)
減圧弁41が備えるコイルdの電気抵抗(以下、抵抗とも称する)は、コイルdの温度によって変化する。抵抗は、温度が高いほど大きく、温度が低いほど小さくなる。コイルdの抵抗を知ることは、制御電流を精度良く供給するために必要である。第一実施形態では、コイルdの抵抗を取得するために、電気抵抗取得処理が実行される。以下、電気抵抗取得処理について説明する。
ブレーキECU6は、機能及び構成として、電流制御部61と、電流検出部62と、電圧印加部63と、指示取得部64と、電気抵抗導出部65と、増圧タイミング取得部66と、を備えている。電流制御部61は、減圧弁41及び増圧弁42に印加する制御電流を制御して、上記「ブレーキ制御」を実行している。電流制御部61は、目標サーボ圧及び制御モードに基づいて、減圧弁41及び増圧弁42に対する目標の制御電流、すなわち目標電流値を設定する。また、電流制御部61は、所定条件の下で電気抵抗取得処理を実行する。これについては後述する。
電流検出部62は、例えば電流センサであり、減圧弁41のコイルdに流れる電流を検出する。電圧印加部63は、電流制御部61が設定した目標電流値と、電流検出部62が検出した電流(検出電流)に基づいて、制御電流が目標電流値となるように、減圧弁41のコイルdに電圧を印加する。制御電流は印加電圧と抵抗により決まり、抵抗は温度により変化する。電圧印加部63は、バッテリ(図示せず)から給電され、印加電圧をPWMにより制御する。
指示取得部(「指示取得部」及び「減圧指示取得部」に相当する)64は、パイロット圧を増大させる増圧指示、パイロット圧を保持する保持指示、又はパイロット圧を減少させる減圧指示を取得する。換言すると、指示取得部64は、現在の制御モードがどのモード(増圧モード、保持モード、又は減圧モード)であるかという情報を取得する。指示取得部64は、電流制御部61の機能の一部ともいえる。なお、ブレーキペダル10が操作された当初は、実サーボ圧が不感帯内に位置し、保持モード(保持指示)と判定される。増圧モードの場合、電流制御部61は、減圧弁41に対して閉弁させる制御電流を設定し、増圧弁42に対しては、目標サーボ圧と実サーボ圧の偏差に応じて、開弁させる制御電流を設定する。
電気抵抗導出部65は、所定条件の下、電流検出部62が検出した電流と電圧印加部63が印加した電圧に基づいて、減圧弁41のコイルdの抵抗を導出する。電気抵抗導出部65の動作の詳細は後述する。抵抗の導出(算出)は、オームの法則(V=IR)により可能である。
増圧タイミング取得部66は、パイロット圧が増大を開始するタイミング又はパイロット圧が増大を開始したタイミング(以下、総じて「増圧タイミング」とも称する)を取得する。具体的に、第一実施形態では、増圧タイミング取得部66は、目標サーボ圧(あるいは要求制動力)が初期値(例えば0)から増大したか否かを検出する。
ここで、電気制御部61は、指示取得部64により増圧指示又は保持指示が取得されている場合に、増圧タイミング取得部66が増圧タイミングを取得すると、電気抵抗取得処理を実行する。電気抵抗取得処理は、目標電流値を減圧弁41の閉弁電流よりも大きい値で所定時間一定に保つ処理である。換言すると、電気抵抗取得処理は、減圧弁41の閉弁電流よりも大きい一定レベルの目標電流値を設定する処理である。
図5に示すように、増圧モード又は保持モードである際に、増圧タイミング取得部66により増圧タイミングが取得された場合、電気制御部61は、減圧弁41に対する目標電流値を、所定時間、減圧弁41の閉弁電流よりも大きい値(所定値)に設定する。なお、この際、電流制御部61は、増圧弁42への目標電流値を、開弁電流にした後、出入口間の差圧及び目標サーボ圧と実サーボ圧の偏差に応じて徐々に増大させ、増圧弁42を開弁させる。
電気抵抗取得処理により減圧弁41は閉弁され、電圧印加部63は、制御電流が目標電流値(所定値)となるように、減圧弁41のコイルdに電圧を印加する。図6に示すように、例えばコイルdの温度が非常に低い場合、抵抗が非常に小さく、目標電流値に対して常温時の印加電圧(常温時の抵抗を想定した印加電圧)を印加すると、検出電流がかなり大きくなる。この場合、電圧印加部63は、検出電流が目標電流値より大きいため、印加電圧を小さくし電流を小さくする。一方、参考に、コイルdが高温の場合、抵抗が大きく、常温時の印加電圧では検出電流があまり大きくならず、電圧印加部63は、印加電圧を大きくしていくことで検出電流を目標電流値に近づける(図6の一点鎖線)。
このように電圧印加部63は、検出電流が、一定に維持された目標電流値に一致するように制御していき、所定時間内のある時点で制御電流が目標電流値で安定する。「安定する」とは、例えば、第二所定時間(第一所定時間>>第二所定時間)の間、同レベルの電流値が継続すること、換言すると電圧印加部63が一定レベルの電圧を印加していることを意味する。
電気抵抗導出部65は、電気抵抗取得処理が実行されている際に、減圧弁41のコイルdの抵抗を導出する。具体的に、電気抵抗導出部65は、減圧弁41への通電時、電流検出部62の検出電流と目標電流値との偏差が第二所定時間継続して所定値以内であった場合、あるいは電圧印加部63の印加電圧が第二所定時間一定になった場合、電圧印加部63の印加電圧と電流検出部62の検出電流(又は目標電流値)に基づいて、減圧弁41のコイルdの抵抗を導出する。第一実施形態において、電気抵抗導出部65は、電流検出部62の検出電流が安定したか否かを判定する。
電流制御部61は、電気抵抗導出部65が抵抗を取得すると、所定時間経過前であっても電気抵抗取得処理を終了する。そして、電流制御部61は、電気抵抗取得処理終了後、制御を通常のブレーキ制御に移行させる。また、第一実施形態において、電流制御部61は、指示取得部64が減圧指示を取得した場合(すなわち減圧モードになった場合)であっても、抵抗が取得されるまであるいは所定時間が経過するまでは、電気抵抗取得処理を継続して実行する。
ここで、所定時間は、想定される最低温度又は最高温度の際に制御電流が目標電流値で安定するのに必要な時間以上に設定されている。第一実施形態の所定時間は、想定される電気抵抗の同定に必要な最大時間に設定されている。当該時間は、実験やシミュレーションにより導出することができる。また、第一実施形態の所定時間は、ブレーキペダル10が最後まで踏み込まれた際(急ブレーキを除く)、目標サーボ圧が最大値で一定になる時間以内に設定されている。
第一実施形態において、電気抵抗取得処理時の目標電流値(所定値)は、制動装置の性能に基づいて、所定時間閉弁状態が維持できるように設定されている。例えば、所定時間が増圧タイミングから100msに設定され、性能が最大50MPa/sである場合、100msの間に、減圧弁41の出入口間の差圧が0Paから最大5MPaまで増大する。したがって、所定値は、当該5MPaより大きい値(例えば差圧10MPa)まで閉弁状態にできる制御電流値に設定される。これにより、差圧が最大限大きくなろうと、所定時間の間、減圧弁41は閉弁状態で維持される。なお、ブレーキECU6の各部は、増圧弁42に対してもそれぞれ同様の機能(電流制御、電流検出、電圧印加、及び電気抵抗取得)を発揮する。
ブレーキECU6による電気抵抗取得処理の流れについて説明する。図7に示すように、指示取得部64が増圧指示又は保持指示を取得している状態であるいは取得した時に(S101:Yes)、増圧タイミング取得部66が増圧タイミングを取得した場合(S102:Yes)、電流制御部61は電気抵抗取得処理を実行する(S103〜S105)。具体的に、電流制御部61が目標電流値を減圧弁41の閉弁電流より大きい所定値に設定する(S103)。電流制御部61は所定時間経過するまで目標電流値を所定値に保ち、その間、電気抵抗導出部65は、電流検出部62の検出電流が安定したか否かを判定する(S104)。電気抵抗導出部65は、検出電流の安定を検出すると(S104:Yes)、当該印加電圧と検出電流(又は目標電流値)に基づいて減圧弁41のコイルdの抵抗を導出する(S105)。
第一実施形態の車両用制動装置によれば、減圧弁41に対して一定の目標電流値(所定値)を設定することで、目標電流値が変動する場合と比較して電圧印加部63のフィードバック制御が単純となり、減圧弁41のコイルdの抵抗を迅速に取得することができる。これにより、素早く制御電流の精度が確保される。例えばブレーキペダル10が踏み込まれた後に踏み込みが解除された際(図5右側参照)、目標サーボ圧の減少とともに制御電流も減少させなければならないが、この際、すでに抵抗が取得されているため印加電圧が精度良く決定され、精度の良い制御電流が供給される。また、所定値が閉弁電流よりも大きい値であるため、低電流域の精度が高い新たな電流センサを追加する必要はなく、製造コストの増大は抑制される。
また、第一実施形態では、増圧タイミング(情報)が取得された際、すなわちブレーキペダル10が踏み込まれた当初に電気抵抗取得処理が実行される。踏み込み当初は、通常、これから増圧されていくため減圧弁41を開状態にすることはない。したがって、踏み込み当初に減圧弁41に閉弁電流よりも大きい目標電流値を設定し、所定時間閉状態で固定(減圧弁41を閉状態で固定)しても、ブレーキ制御に影響は出ない。また、踏み込み初期に抵抗を取得することで、その後のブレーキ制御の精度を向上させることができる。このように、第一実施形態によれば、ブレーキ制御への影響を抑制できるとともに、ブレーキ操作の初期の段階で、抵抗を取得でき、早期にブレーキ制御の精度を確保することができる。また、第一実施形態によれば、電気抵抗導出部65が抵抗を取得すると、電気抵抗取得処理が終了するため、不要な電力消費を防止することができる。
<第二実施形態>
第二実施形態の車両用制動装置は、電気抵抗取得処理を中断する所定閾値が設定されている点で第一実施形態と異なっている。したがって、異なっている部分について説明する。
第二実施形態の電流制御部61は、不感帯(不感帯における目標サーボ圧と実サーボ圧の最大偏差)(不感帯の片幅)よりも大きい値に設定された所定閾値を記憶している。電流制御部61は、圧力センサ74の測定値に基づき、目標サーボ圧と実サーボ圧の偏差が所定閾値未満であれば、減圧モードであっても電気抵抗取得処理を継続して実行し、指示取得部64が減圧指示を取得し且つ当該偏差が所定閾値以上となれば、電気抵抗取得処理を中断する。
例えば、図8に示すように、増圧弁42の故障等により、目標サーボ圧によらず実サーボ圧が急激に増大した場合、電流制御部61は、偏差が所定閾値を超えた時点で電気抵抗取得処理を強制終了し、減圧モードに移行して減圧を開始する。第二実施形態によれば、第一実施形態の効果に加えて、故障時などの異常発生時に適切な対応が可能となる。また、第二実施形態によれば、所定閾値が不感帯より大きい値に設定されているため、オーバーシュートの発生など、多少の制御のずれによる減圧モードへの移行では電気抵抗取得処理が中断されず、異常状態でない場合に確実に抵抗を取得することができる。減圧モードでの電気抵抗取得処理の継続により、減圧が僅かに遅れたとしても(msオーダ)、車両性能への影響は小さい。
また、第二実施形態の構成は、以下のように設定することもできる。すなわち、電流制御部61は、不感帯を通常の不感帯よりも大きい第二不感帯(「第二許容範囲」に相当する)に拡げた上で電気抵抗取得処理を実行し、減圧モードで且つ目標サーボ圧と実サーボ圧の偏差が第二不感帯を超えた場合、電気抵抗取得処理を中断する。これによっても、上記同様の効果が発揮される。
<その他変形態様>
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、増圧タイミングは、圧力センサ74の測定値に基づき、実サーボ圧が増大したタイミングであっても良い。また、電気抵抗取得処理の開始のタイミングは、増圧タイミングに限らず、増圧モード又は保持モード中の別のタイミングであっても良い。また、電気抵抗取得処理は、抵抗の導出の有無に関わらず、所定時間実行されるように設定しても良い。これによっても、抵抗取得のために常時電流を流すことはなく、電力消費は抑制される。また、電気抵抗取得処理は、増圧モード又は保持モードの際に限り実行されるように設定しても良い。
また、増圧タイミングが取得されるときは制御モードが増圧モード又は保持モードである。このため、制御モード情報の取得(指示取得部64の機能)は、増圧タイミングの取得(増圧タイミング取得部66の機能)をもって兼ねることができる。つまり、増圧タイミング取得部66は、指示取得部64の機能を有し、増圧タイミングを取得することで、同時に制御モード情報も取得することとなる。この場合、電流制御部61は、増圧タイミングが取得された時点で、電気抵抗取得処理を実行する。
1:マスタシリンダ、 11:メインシリンダ、 12:カバーシリンダ、
13:入力ピストン、 14:第1マスタピストン、
15:第2マスタピストン、 1A:サーボ室、 1B:第一液圧室、
1C:第二液圧室、 1D:第1マスタ室、 1E:第2マスタ室、
10:ブレーキペダル、 171:リザーバ、
2:反力発生装置、 22:第一制御弁、 3:第二制御弁、
4:サーボ圧発生装置、 41:減圧弁(電磁弁)、 42:増圧弁、
431:アキュムレータ、 44:レギュレータ、 445:制御ピストン、
4D:第1パイロット室、
541、542、543、544:ホイールシリンダ、
5FR、5FL、5RR、5RL:車輪、 BF:液圧制動力発生装置、
6:ブレーキECU(制御部)、 61:電流制御部、 62:電流検出部、
63:電圧印加部、 64:指示取得部(指示取得部、減圧指示取得部)、
65:電気抵抗導出部、 66:増圧タイミング取得部、
71:ストロークセンサ、 72:ブレーキストップスイッチ、
73、74、75:圧力センサ、 76:車輪速度センサ、 d:コイル

Claims (6)

  1. 車両の車輪に付与される制動力に関連する液圧が発生する液圧室から作動液が流出することを閉弁によって阻止する常開型の電磁弁を備え、前記電磁弁のコイルの電気抵抗を導出し、導出されている前記電気抵抗に基づいて前記電磁弁のコイルに導通させる電流を制御する車両用制動装置であって、
    前記電磁弁のコイルに導通させる電流を、目標電流値を設定して制御する電流制御部と、
    前記電磁弁のコイルに流れる電流を検出する電流検出部と、
    前記目標電流値及び前記電流検出部が検出した電流に基づいて前記電磁弁のコイルに電圧を印加する電圧印加部と、
    前記液圧室の液圧を増大させる増大指示又は前記液圧室の液圧を保持する保持指示を取得する指示取得部と、
    前記電流検出部が検出した電流と前記電圧印加部が印加した電圧に基づいて前記電磁弁のコイルの電気抵抗を導出する電気抵抗導出部と、
    を備え、
    前記電流制御部は、前記指示取得部により前記増圧指示又は前記保持指示が取得されている場合に、前記目標電流値を前記電磁弁の閉弁電流よりも大きい値で所定時間一定に保つ電気抵抗取得処理を実行し、
    前記電気抵抗導出部は、前記電流制御部により前記電気抵抗取得処理が実行されている際に、前記電磁弁のコイルの電気抵抗を導出することを特徴とする車両用制動装置。
  2. 請求項1において、
    前記液圧室の液圧が増大を開始するタイミング又は前記液圧室の液圧が増大を開始したタイミングを取得する増圧タイミング取得部を備え、
    前記電流制御部は、前記増圧タイミング取得部により取得された前記タイミングに基づいて、前記電気抵抗取得処理を実行する車両用制動装置。
  3. 請求項2において、
    前記液圧室の液圧を減少させる減圧指示を取得する減圧指示取得部を備え、
    前記電流制御部は、前記電気抵抗取得処理を実行した後、前記減圧指示取得部により前記減圧指示が取得されたとしても、前記電気抵抗取得処理を継続して実行する車両用制動装置。
  4. 請求項3において、
    前記電流制御部は、前記電気抵抗取得処理を実行した後、前記減圧指示取得部により前記減圧指示が取得された場合、前記液圧室の実圧と前記液圧室の目標圧との偏差が所定閾値未満であれば前記電気抵抗取得処理を継続して実行し、前記偏差が所定閾値以上であれば前記電気抵抗取得処理を中断し、
    前記所定閾値は、前記目標圧に対して設定された不感帯よりも大きい値に設定されている車両用制動装置。
  5. 請求項1又は2において、
    前記液圧室の液圧を減少させる減圧指示を取得する減圧指示取得部と、
    前記液圧室の目標圧と前記液圧室の実圧との偏差が許容範囲外にある場合には当該偏差を前記許容範囲に収めるように前記実圧を制御し、前記目標圧と前記実圧との偏差が前記許容範囲にある場合には前記実圧を保持するように前記実圧を制御する制御部と、
    を備え、
    前記電流制御部は、前記許容範囲を前記許容範囲より大きい第二許容範囲に拡げた上で前記電気抵抗取得処理を実行し、前記減圧指示取得部により前記減圧指示が取得され且つ前記目標圧と前記実圧の偏差が前記第二許容範囲を超えた場合、前記電気抵抗取得処理を中断する車両用制動装置。
  6. 請求項1〜5の何れか一項において、
    前記電流制御部は、前記電気抵抗取得処理を実行中、前記電気抵抗導出部が電気抵抗を導出した場合、前記電気抵抗取得処理を終了する車両用制動装置。
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