JP2016153256A - 車両用制動装置 - Google Patents

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達史 小林
雅明 駒沢
Masaaki Komazawa
雅明 駒沢
雄介 神谷
Yusuke Kamiya
雄介 神谷
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Abstract

【課題】新たなセンサを組み入れることなく、精度の良い故障判定をすることができる車両用制動装置を提供する。【解決手段】本発明の車両用制動装置は、ピストン14の前進により容積が減少しピストン14の後退により容積が増加する第1液圧室1Cを形成する第1液圧室形成部Zと、開閉により第1液圧室1Cを開放又は閉鎖する弁22、23と、弁22、23を閉弁させる指示を行った上で駆動部4によりピストン14を後退させる第1制御を実行し、第1制御に伴う第1液圧室1Cの液圧の低下が所定の第1幅以下である場合に、弁22、23が開故障であることを判定する第1異常判定部61と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、車両用制動装置に関する。
車両用制動装置は、例えばシリンダ内に設けられたピストンの移動によりマスタ室に液圧を発生させる液圧発生部と、マスタ室に接続されマスタ室の液圧に基づいて車輪に制動力を発生させる制動力発生部と、を備えている。車両用制動装置としては、例えば特開2012−16984号公報に記載されている。車両用制動装置には、複数の弁が設置されている。
特開2012−16984号公報
昨今、車両用制動装置が有する複数の弁に対して、故障の有無を検出する方法が開発されている。ここで、新たなセンサを組み入れることなく、精度の良い故障判定がなされることが求められている。弁の故障判定技術については改良の余地がある。本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、新たなセンサを組み入れることなく、精度の良い故障判定をすることができる車両用制動装置を提供することを目的とする。
本発明の車両用制動装置は、シリンダ内に設けられたピストンの移動によりマスタ室に液圧を発生させる液圧発生部と、前記マスタ室に接続され前記マスタ室の液圧に基づいて車輪に制動力を発生させる制動力発生部と、を備える車両用制動装置であって、前記ピストンを駆動する駆動部と、前記ピストンの前進により容積が減少し前記ピストンの後退により容積が増加する第1液圧室を形成する第1液圧室形成部と、開閉により前記第1液圧室を開放又は閉鎖する弁と、前記弁を閉弁させる指示を行った上で前記駆動部により前記ピストンを後退させる第1制御を実行し、前記第1制御に伴う前記第1液圧室の液圧の低下が所定の第1幅以下である場合に、前記弁が開故障であることを判定する第1異常判定部と、を備える。
本発明の第1制御を実行すれば、弁が開故障でない場合、第1液圧室が閉鎖された状態となっているため、第1液圧室の液圧はある程度の大きさで(すなわち第1幅より大きく)低下する。しかし、弁が開故障である場合、第1液圧室が開放された状態となっているため、第1液圧室の液圧は実質的に変化しない、すなわち第1液圧室の液圧の低下は第1幅以下となる。第1幅以下には、第1液圧室の液圧の低下が0であること(当該液圧が変化しないこと)が含まれる。このように、本発明によれば、新たなセンサを組み入れることなく、第1制御によって精度良く故障判定をすることができる。
本実施形態の車両用制動装置の構成を示す構成図である。 電磁弁の一例を説明するための概念図である。 本実施形態のレギュレータの詳細構成を示す断面図である。 本実施形態の故障判定制御を説明するためのタイムチャートである。 本実施形態の故障判定制御を説明するためのフローチャートである。 本実施形態の故障判定制御を説明するためのタイムチャートである。 本実施形態の故障判定制御を説明するためのフローチャートである。 本実施形態の故障判定制御を説明するためのタイムチャートである。 本実施形態の故障判定制御を説明するためのフローチャートである。 本実施形態の故障判定制御を説明するためのタイムチャートである。 本実施形態の故障判定制御を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、説明に用いる各図は概念図であり、各部の形状は必ずしも厳密なものではない場合がある。図1に示すように、第一実施形態の車両用制動装置は、車輪5FR,5FL,5RR,5RLに液圧制動力を発生させる液圧制動力発生装置BFと、液圧制動力発生装置BFを制御するブレーキECU6と、を備えている。
(液圧制動力発生装置BF)
液圧制動力発生装置BFは、図1に示すように、マスタシリンダ(「液圧発生部」に相当する)1と、反力発生装置2と、第一制御弁(「弁」又は「第二弁」に相当する)22と、第二制御弁(「弁」又は「第二弁」に相当する)23と、サーボ圧発生装置(「駆動部」に相当する)4と、アクチュエータ5と、ホイールシリンダ(「制動力発生部」に相当する)541〜544と、各種センサ71〜76と、を備えている。なお、アクチュエータ5及び/又はホイールシリンダ541〜544が、制動力発生部に相当するともいえる。
(マスタシリンダ1)
マスタシリンダ1は、ブレーキペダル10の操作量に応じて作動液をアクチュエータ5に供給する部位であり、メインシリンダ(「シリンダ」に相当する)11、カバーシリンダ12、入力ピストン13、第1マスタピストン(「ピストン」に相当する)14、および第2マスタピストン15等により構成されている。ブレーキペダル10は、運転手がブレーキ操作可能なブレーキ操作手段であれば良い。
メインシリンダ11は、前方が閉塞されて後方に開口する有底略円筒状のハウジングである。メインシリンダ11の内周側の後方寄りに、内向きフランジ状に突出する内壁部111が設けられている。内壁部111の中央は、前後方向に貫通する貫通孔111aとされている。また、メインシリンダ11の内部の内壁部111よりも前方に、内径がわずかに小さくなっている小径部位112(後方)、113(前方)が設けられている。つまり、小径部位112、113は、メインシリンダ11の内周面から内向き環状に突出している。メインシリンダ11の内部には、小径部位112に摺接して軸方向に移動可能に第1マスタピストン14が配設されている。同様に、小径部位113に摺接して軸方向に移動可能に第2マスタピストン15が配設されている。
カバーシリンダ12は、略円筒状のシリンダ部121、蛇腹筒状のブーツ122、およびカップ状の圧縮スプリング123で構成されている。シリンダ部121は、メインシリンダ11の後端側に配置され、メインシリンダ11の後側の開口に同軸的に嵌合されている。シリンダ部121の前方部位121aの内径は、内壁部111の貫通孔111aの内径よりも大とされている。また、シリンダ部121の後方部位121bの内径は、前方部位121aの内径よりも小とされている。
防塵用のブーツ122は蛇腹筒状で前後方向に伸縮可能であり、その前側でシリンダ部121の後端側開口に接するように組み付けられている。ブーツ122の後方の中央には貫通孔122aが形成されている。圧縮スプリング123は、ブーツ122の周りに配置されるコイル状の付勢部材であり、その前側がメインシリンダ11の後端に当接し、後側はブーツ122の貫通孔122aに近接するように縮径されている。ブーツ122の後端および圧縮スプリング123の後端は、操作ロッド10aに結合されている。圧縮スプリング123は、操作ロッド10aを後方に付勢している。
入力ピストン13は、ブレーキペダル10の操作に応じてカバーシリンダ12内を摺動するピストンである。入力ピストン13は、前方に底面を有し後方に開口を有する有底略円筒状のピストンである。入力ピストン13の底面を構成する底壁131は、入力ピストン13の他の部位よりも径が大きくなっている。入力ピストン13は、シリンダ部121の後方部位121bに軸方向に摺動可能かつ液密的に配置され、底壁131がシリンダ部121の前方部位121aの内周側に入り込んでいる。
入力ピストン13の内部には、ブレーキペダル10に連動する操作ロッド10aが配設されている。操作ロッド10aの先端のピボット10bは、入力ピストン13を前側に押動できるようになっている。操作ロッド10aの後端は、入力ピストン13の後側の開口およびブーツ122の貫通孔122aを通って外部に突出し、ブレーキペダル10に接続されている。ブレーキペダル10が踏み込み操作されたときに、操作ロッド10aは、ブーツ122および圧縮スプリング123を軸方向に押動しながら前進する。操作ロッド10aの前進に伴い、入力ピストン13も連動して前進する。
第1マスタピストン14は、メインシリンダ11の内壁部111に軸方向に摺動可能に配設されている。第1マスタピストン14は、前方側から順番に加圧筒部141、フランジ部142、および突出部143が一体となって形成されている。加圧筒部141は、前方に開口を有する有底略円筒状に形成され、メインシリンダ11の内周面との間に間隙を有し、小径部位112に摺接している。加圧筒部141の内部空間には、第2マスタピストン15との間にコイルばね状の付勢部材144が配設されている。付勢部材144により、第1マスタピストン14は後方に付勢されている。換言すると、第1マスタピストン14は、設定された初期位置に向けて付勢部材144により付勢されている。
フランジ部142は、加圧筒部141よりも大径で、メインシリンダ11の内周面に摺接している。突出部143は、フランジ部142よりも小径で、内壁部111の貫通孔111aに液密に摺動するように配置されている。突出部143の後端は、貫通孔111aを通り抜けてシリンダ部121の内部空間に突出し、シリンダ部121の内周面から離間している。突出部143の後端面は、入力ピストン13の底壁131から離間し、その離間距離は変化し得るように構成されている。
ここで、メインシリンダ11の内周面、第1マスタピストン14の加圧筒部141の前側、および第2マスタピストン15の後側により、「第1マスタ室1D」が区画されている。また、メインシリンダ11の内周面(内周部)と小径部位112と内壁部111の前面、および第1マスタピストン14の外周面により、第1マスタ室1Dよりも後方の後方室が区画されている。第1マスタピストン14のフランジ部142の前端部および後端部は後方室を前後に区分しており、前側に「一側液圧室(「第1液圧室」に相当する)1C」が区画され、後側に「サーボ室(出力室)1A」が区画されている。メインシリンダ11と第1マスタピストン14は、一側液圧室1Cを形成する一側液圧室形成部(「第1液圧室形成部」に相当する)Zを構成している。一側液圧室形成部Zにより形成される一側液圧室1Cは、第1マスタピストン14の前進により容積が減少し第1マスタピストン14の後退により容積が増加する。また、メインシリンダ11の内周部、内壁部111の後面、シリンダ部121の前方部位121aの内周面(内周部)、第1マスタピストン14の突出部143(後端部)、および入力ピストン12の前端部により「他側液圧室1B」が区画されている。
第2マスタピストン15は、メインシリンダ11内の第1マスタピストン14の前方側に、小径部位113に摺接して軸方向に移動可能に配置されている。第2マスタピストン15は、前方に開口を有する筒状の加圧筒部151、および加圧筒部151の後側を閉塞する底壁152が一体となって形成されている。底壁152は、第1マスタピストン14との間に付勢部材144を支承している。加圧筒部151の内部空間には、メインシリンダ11の閉塞された内底面111dとの間に、コイルばね状の付勢部材153が配設されている。付勢部材153により、第2マスタピストン15は後方に付勢されている。換言すると、第2マスタピストン15は、設定された初期位置に向けて付勢部材153により付勢されている。メインシリンダ11の内周面、内底面111d、および第2マスタピストン15により、「第2マスタ室1E」が区画されている。
マスタシリンダ1には、内部と外部を連通させるポート11a〜11iが形成されている。ポート11aは、メインシリンダ11のうち内壁部111よりも後方に形成されている。ポート11bは、ポート11aと軸方向の同様の位置に、ポート11aに対向して形成されている。ポート11aとポート11bは、メインシリンダ11の内周面とシリンダ部121の外周面との間の環状空間を介して連通している。ポート11aおよびポート11bは、配管161に接続され、かつリザーバ171(低圧力源)に接続されている。
また、ポート11bは、シリンダ部121および入力ピストン13に形成された通路18により他側液圧室1Bに連通している。通路18は入力ピストン13が前進すると遮断され、これによって他側液圧室1Bとリザーバ171とが遮断される。
ポート11cは、内壁部111より後方かつポート11aよりも前方に形成され、他側液圧室1Bと配管162とを連通させている。ポート11dは、ポート11cよりも前方に形成され、サーボ室1Aと配管163とを連通させている。ポート11eは、ポート11dよりも前方に形成され、一側液圧室1Cと配管164とを連通させている。
ポート11fは、小径部位112の両シール部材91、92の間に形成され、リザーバ172とメインシリンダ11の内部とを連通している。ポート11fは、第1マスタピストン14に形成された通路145を介して第1マスタ室1Dに連通している。通路145は、第1マスタピストン14が前進するとポート11fと第1マスタ室1Dが遮断される位置に形成されている。ポート11gは、ポート11fよりも前方に形成され、第1マスタ室1Dと配管51とを連通させている。
ポート11hは、小径部位113の両シール部材93、94の間に形成され、リザーバ173とメインシリンダ11の内部とを連通させている。ポート11hは、第2マスタピストン15の加圧筒部151に形成された通路154を介して第2マスタ室1Eに連通している。通路154は、第2マスタピストン15が前進するとポート11hと第2マスタ室1Eが遮断される位置に形成されている。ポート11iは、ポート11hよりも前方に形成され、第2マスタ室1Eと配管52とを連通させている。
また、マスタシリンダ1内には、適宜、Oリング等のシール部材(図面黒丸部分)が配置されている。シール部材91、92は、小径部位112に配置され、第1マスタピストン14の外周面に液密的に当接している。同様に、シール部材93、94は、小径部位113に配置され、第2マスタピストン15の外周面に液密的に当接している。また、入力ピストン13とシリンダ部121との間にもシール部材95、96が配置されている。
ストロークセンサ71は、運転者によりブレーキペダル10が操作された操作量(ストローク)を検出するセンサであり、検出信号をブレーキECU6に送信する。ブレーキストップスイッチ72は、運転者によるブレーキペダル10の操作の有無を2値信号で検出するスイッチであり、検出信号をブレーキECU6に送信する。
(反力発生装置2)
反力発生装置2は、ブレーキペダル10が操作されたとき操作力に対抗する反力を発生する装置であり、ストロークシミュレータ21を主にして構成されている。ストロークシミュレータ21は、ブレーキペダル10の操作に応じて他側液圧室1Bおよび一側液圧室1Cに反力液圧を発生させる。ストロークシミュレータ21は、シリンダ211にピストン212が摺動可能に嵌合されて構成されている。ピストン212は圧縮スプリング213によって後方に付勢されており、ピストン212の後面側に反力液圧室214が形成される。反力液圧室214は、配管164およびポート11eを介して一側液圧室1Cに接続され、さらに、反力液圧室214は、配管164を介して第一制御弁22および第二制御弁23に接続されている。
一側液圧室1Cとストロークシミュレータ21とをつなぐ配管164の少なくとも一部には、オリフィス164bが構成されている。具体的に、本実施形態では、配管164は、ポート11eと第一制御弁22及び第二制御弁23とを接続するメイン配管部164aと、メイン配管部164aからストロークシミュレータ21に分岐した配管であるオリフィス164bと、を備えている。本実施形態のオリフィス164bは、全体的又は部分的に、メイン配管部164aよりも流路(管内径)が絞られた配管で構成されている。圧力センサ73は、メイン配管部164aに接続されている。なお、オリフィス164bは、管内径が一定の配管や、配管内の流量を制御可能な電磁弁であっても良い。
(第一制御弁22)
第一制御弁22は、非通電状態で閉じる構造の電磁弁であり、ブレーキECU6により開閉が制御される。第一制御弁22は、配管164と配管162との間に接続されている。ここで、配管164はポート11eを介して一側液圧室1Cに連通し、配管162はポート11cを介して他側液圧室1Bに連通している。また、第一制御弁22が開くと他側液圧室1Bが開放状態になり、第一制御弁22が閉じると他側液圧室1Bが密閉状態になる。したがって、配管164および配管162は、他側液圧室1Bと一側液圧室1Cとを連通するように設けられている。
第一制御弁22は通電されていない非通電状態で閉じており、このとき他側液圧室1Bと一側液圧室1Cとが遮断される。これにより、他側液圧室1Bが密閉状態になって作動液の行き場がなくなり、入力ピストン13と第1マスタピストン14とが一定の離間距離を保って連動する。また、第一制御弁22は通電された通電状態では開いており、このとき他側液圧室1Bと一側液圧室1Cとが連通される。これにより、第1マスタピストン14の進退に伴う他側液圧室1Bおよび一側液圧室1Cの容積変化が、作動液の移動により吸収される。
圧力センサ73は、一側液圧室1Cおよび他側液圧室1Bの反力液圧を検出するセンサであり、配管164に接続されている。圧力センサ73は、第一制御弁22が閉状態の場合には一側液圧室1Cの圧力を検出し、第一制御弁22が開状態の場合には連通された他側液圧室1Bの圧力も検出することになる。圧力センサ73は、検出信号をブレーキECU6に送信する。
(第二制御弁23)
第二制御弁23は、非通電状態で開く構造の電磁弁であり、ブレーキECU6により開閉が制御される。第二制御弁23は、配管164と配管161との間に接続されている。ここで、配管164はポート11eを介して一側液圧室1Cに連通し、配管161はポート11aを介してリザーバ171に連通している。したがって、第二制御弁23は、一側液圧室1Cとリザーバ171との間を非通電状態で連通して反力液圧を発生させず、通電状態で遮断して反力液圧を発生させる。
(サーボ圧発生装置4)
サーボ圧発生装置4は、減圧弁41、増圧弁42、圧力供給部43、およびレギュレータ44等で構成されている。減圧弁41は、非通電状態で開く常開型の電磁弁(常開弁)であり、ブレーキECU6により流量(又は圧力)が制御される。減圧弁41の一方は配管411を介して配管161に接続され、減圧弁41の他方は配管413に接続されている。つまり、減圧弁41の一方は、配管411、161、およびポート11a、11bを介してリザーバ(低圧力源)171に連通している。減圧弁41は、閉弁することで、後述する第1パイロット室4Dから作動液が流出することを阻止する。なお、リザーバ171とリザーバ434とは、図示していないが連通している。リザーバ171とリザーバ434が同一のリザーバであっても良い。
増圧弁42は、非通電状態で閉じる常閉型の電磁弁(常閉弁)であり、ブレーキECU6により流量(又は圧力)が制御されている。増圧弁42の一方は配管421に接続され、増圧弁42の他方は配管422に接続されている。
ここで、減圧弁41に用いられる常開型の電磁弁の一例を、模式的に説明する。電磁弁(減圧弁41)は、図2に示すように、弁部材aと、弁座bと、弁部材aを開弁側(弁座bから離れる方向)に付勢するスプリングcと、電流が導通することで弁部材aを閉弁側に押す電磁駆動力を発生するコイル(ソレノイド)dと、を備えている。コイルdに流れる電流が閉弁電流未満の場合には、スプリングcの付勢力により弁部材aと弁座bとが離間しており、電磁弁は開弁状態となっている。コイルdに閉弁電流以上の電流が流れると、コイルdに発生する弁部材aを閉弁側に押す電磁駆動力が、スプリングcの付勢力と、電磁弁の出入口間の差圧に応じた差圧作用力との和よりも大きくなり、弁部材aが弁座bに当接し、電磁弁が閉弁する。閉弁電流(閉弁させるための最小の制御電流)は、電磁弁の出入口間の差圧で決まる。
このように、減圧弁41及び増圧弁42は、コイルdに電流を流すことにより発生する電磁駆動力と、スプリングcの付勢力と、電磁弁の出入口間の差圧に応じた差圧作用力とのつりあい関係により開閉が決まり、コイルdに供給される電流(制御電流)により制御される。なお、付勢力と電磁駆動力の向きは、電磁弁の構造(常開弁や常閉弁等)により様々である。
圧力供給部43は、レギュレータ44に主に高圧の作動液を供給する部位である。圧力供給部43は、アキュムレータ(高圧力源)431、液圧ポンプ432、モータ433、およびリザーバ434等で構成されている。
アキュムレータ431は、高圧の作動液を蓄積するタンクである。アキュムレータ431は、配管431aによりレギュレータ44および液圧ポンプ432に接続されている。液圧ポンプ432は、モータ433によって駆動され、リザーバ434に貯留された作動液を、アキュムレータ431に圧送する。配管431aに設けられた圧力センサ75は、アキュムレータ431のアキュムレータ液圧を検出し、検出信号をブレーキECU6に送信する。アキュムレータ液圧は、アキュムレータ431に蓄積された作動液の蓄積量に相関する。
アキュムレータ液圧が所定値以下に低下したことが圧力センサ75によって検出されると、ブレーキECU6からの指令に基づいてモータ433が駆動される。これにより、液圧ポンプ432は、アキュムレータ431に作動液を圧送して、アキュムレータ液圧を所定値以上に回復する。
レギュレータ(調圧装置)44は、図3に示すように、シリンダ441、ボール弁442、付勢部443、弁座部444、制御ピストン445、およびサブピストン446等で構成されている。シリンダ441は、一方(図面右側)に底面をもつ略有底円筒状のシリンダケース441aと、シリンダケース441aの開口(図面左側)を塞ぐ蓋部材441bと、で構成されている。シリンダケース441aには、内部と外部を連通させる複数のポート4a〜4hが形成されている。蓋部材441bも、略有底円筒状に形成されており、筒状部の複数のポート4a〜4hに対向する各部位に各ポートが形成されている。
ポート4aは、配管431aに接続されている。ポート4bは、配管422に接続されている。ポート4cは、配管163に接続されている。配管163は、サーボ室1Aと出力ポート4cとを接続している。ポート4dは、配管414を介して配管161に接続されている。ポート4eは、配管424に接続され、さらにリリーフバルブ423を経由して配管422に接続されている。ポート4fは、配管413に接続されている。ポート4gは、配管421に接続されている。ポート4hは、配管51から分岐した配管511に接続されている。なお、配管414は、配管161ではなく、リザーバ434に接続されていても良い。
ボール弁442は、ボール型の弁であり、シリンダ441内部のシリンダケース441aの底面側(以下、シリンダ底面側とも称する)に配置されている。付勢部443は、ボール弁442をシリンダケース441aの開口側(以下、シリンダ開口側とも称する)に付勢するバネ部材であって、シリンダケース441aの底面に設置されている。弁座部444は、シリンダケース441aの内周面に設けられた壁部材であり、シリンダ開口側とシリンダ底面側を区画している。弁座部444の中央には、区画したシリンダ開口側とシリンダ底面側を連通させる貫通路444aが形成されている。弁部材444は、付勢されたボール弁442が貫通路444aを塞ぐ形で、ボール弁442をシリンダ開口側から保持している。貫通路444aのシリンダ底面側の開口部には、ボール弁442が離脱可能に着座(当接)する弁座面444bが形成されている。
ボール弁442、付勢部443、弁座部444、およびシリンダ底面側のシリンダケース441aの内周面で区画された空間を「第1室4A」とする。第1室4Aは、作動液で満たされており、ポート4aを介して配管431aに接続され、ポート4bを介して配管422に接続されている。
制御ピストン445は、略円柱状の本体部445aと、本体部445aよりも径が小さい略円柱状の突出部445bとからなっている。本体部445aは、シリンダ441内において、弁座部444のシリンダ開口側に、同軸的且つ液密的に、軸方向に摺動可能に配置されている。本体部445aは、図示しない付勢部材によりシリンダ開口側に付勢されている。本体部445aのシリンダ軸方向略中央には、両端が本体部445a周面に開口した径方向(図面上下方向)に延びる通路445cが形成されている。通路445cの開口位置に対応したシリンダ441の一部の内周面は、ポート4dが形成されているとともに、凹状に窪んでいる。この窪んだ空間を「第3室4C」とする。
突出部445bは、本体部445aのシリンダ底面側端面の中央からシリンダ底面側に突出している。突出部445bの径は、弁座部444の貫通路444aよりも小さい。突出部445bは、貫通路444aと同軸上に配置されている。突出部445bの先端は、ボール弁442からシリンダ開口側に所定間隔離れている。突出部445bには、突出部445bのシリンダ底面側端面中央に開口したシリンダ軸方向に延びる通路445dが形成されている。通路445dは、本体部445a内にまで延伸し、通路445cに接続している。
本体部445aのシリンダ底面側端面、突出部445bの外周面、シリンダ441の内周面、弁座部444、およびボール弁442によって区画された空間を「第2室4B」とする。第2室4Bは、突出部445bとボール弁442とが当接していない状態で、通路445d,445c、および第3室4Cを介してポート4d、4eに連通している。
サブピストン446は、サブ本体部446aと、第1突出部446bと、第2突出部446cとからなっている。サブ本体部446aは、略円柱状に形成されている。サブ本体部446aは、シリンダ441内において、本体部445aのシリンダ開口側に、同軸的且つ液密的、軸方向に摺動可能に配置されている。
第1突出部446bは、サブ本体部446aより小径の略円柱状であり、サブ本体部446aのシリンダ底面側の端面中央から突出している。第1突出部446bは、本体部445aのシリンダ開口側端面に当接している。第2突出部446cは、第1突出部446bと同形状であり、サブ本体部446aのシリンダ開口側の端面中央から突出している。第2突出部446cは、蓋部材441bと当接している。
サブ本体部446aのシリンダ底面側の端面、第1突出部446bの外周面、制御ピストン445のシリンダ開口側の端面、およびシリンダ441の内周面で区画された空間を「第1パイロット室4D」とする。第1パイロット室4Dは、ポート4fおよび配管413を介して減圧弁41に連通し、ポート4gおよび配管421を介して増圧弁42に連通している。
一方、サブ本体部446aのシリンダ開口側の端面、第2突出部446cの外周面、蓋部材441b、およびシリンダ441の内周面で区画された空間を「第2パイロット室4E」とする。第2パイロット室4Eは、ポート4hおよび配管511、51を介してポート11gに連通している。各室4A〜4Eは、作動液で満たされている。圧力センサ74は、サーボ室1Aに供給されるサーボ圧を検出するセンサであり、配管163に接続されている。圧力センサ74は、検出信号をブレーキECU6に送信する。
このように、レギュレータ44は、第1パイロット室4Dの圧力(「パイロット圧」とも称する)に対応する力とサーボ圧に対応する力との差によって駆動される制御ピストン445を有し、制御ピストン445の移動に伴って第1パイロット室4Dの容積が変化し、第1パイロット室4Dに流入出する液体の流量が増大すると、パイロット圧に対応する力とサーボ圧に対応する力とが釣り合っている平衡状態における制御ピストン445の位置を基準とする同制御ピストン445の移動量が増大して、サーボ室1Aに流入出する液体の流量が増大するように構成されている。
すなわち、レギュレータ44は、パイロット圧とサーボ圧との差圧に応じた流量の液体がサーボ室1Aに流入出するように構成されている。
また、制御ピストン445は、第1パイロット室4Dに面する壁部にダンパ装置(図示せず)を有している。ダンパ装置は、ストロークシミュレータのような構成であり、付勢部材で第1パイロット室4Dに向けて付勢されたピストン部を有する。ダンパ装置が設けられることで、第1パイロット室4Dの剛性はパイロット圧に応じて変化する。
(アクチュエータ5)
アクチュエータ5は、マスタ圧が発生する第1マスタ室1D及び第2マスタ室1Eと、ホイールシリンダ541〜544の間に配置されている。アクチュエータ5と第1マスタ室1Dとは配管51により連通され、アクチュエータ5と第2マスタ室1Eは配管52により連通されている。アクチュエータ5は、ブレーキECU6の指令に基づいて、ホイールシリンダ541〜544に供給されるブレーキ液圧を調整する。本実施形態のアクチュエータ5は、ABS(アンチロックブレーキシステム)である。アクチュエータ5は、ホイールシリンダ541〜544に対応した4チャンネルで構成されている。4チャンネルの各構成は互いに同様である。したがって、アクチュエータ5については、1つのチャンネルについて説明し、他のチャンネルについては説明を省略する。
ホイールシリンダ544に対するアクチュエータ5(1ch)は、保持弁(「入口弁」に相当する)531と、減圧弁(「出口弁」に相当する)532と、リザーバ533と、ポンプ534と、モータ535と、を備えている。保持弁531は、第1マスタ室1Dとホイールシリンダ544との間に配置されている。保持弁531は、第一開口が配管51に接続され、第二開口がホイールシリンダ544と減圧弁532の第一開口に接続された電磁弁である。保持弁531は、両開口間で差圧を発生させる電磁弁であり、非通電状態で開弁状態となる常開弁である。保持弁531の状態は、ブレーキECU6によって、両開口間を連通させる連通状態(非差圧状態)と、両開口間で差圧を発生させる差圧状態とに切り替えられる。差圧状態は、ブレーキECU6の指令に基づく制御電流の大きさにより制御できる。減圧弁532は、ホイールシリンダ544とリザーバ533の間に配置されている。減圧弁532は、ブレーキECU6の指令により、ホイールシリンダ544とリザーバ533とを連通又は遮断する。減圧弁532は、非通電状態で閉弁状態となる常閉弁である。
リザーバ(「第2液圧室形成部」に相当する)533は、内部に作動液を溜めるための液圧室(「第2液圧室」に相当する)533aを有している。リザーバ533の開口は、配管を介して減圧弁532の他方開口及びポンプ534に接続されている。ポンプ534は、モータ535により駆動し、リザーバ533内の作動液をマスタシリンダ1側に戻す装置である。モータ535は、ブレーキECU6の指令により駆動する。
ここでアクチュエータ5の機能について簡単に説明する。保持弁531と減圧弁532が共に非通電状態(常用ブレーキ状態)にある場合、保持弁531が開弁状態且つ減圧弁532が閉弁状態となり、マスタ室1D、1Eとホイールシリンダ541〜544とが連通される。この場合、ホイールシリンダ541〜544内の液圧であるホイール圧は、ブレーキ操作に応じて制御(増圧制御)される。また、減圧弁532が閉弁状態で維持されたまま保持弁531の差圧状態が制御されると、保持弁531の制御に応じてホイール圧が増圧制御される。また、保持弁531が通電状態にあり減圧弁532が非通電状態(閉弁)にある場合、ホイール圧は保持される。つまり、この場合、ホイール圧は保持制御される。また、保持弁531と減圧弁532とが共に通電状態にある場合、ホイールシリンダ541〜544とリザーバ533とが連通され、ホイール圧は減圧制御される。これら保持・減圧制御によってホイールシリンダ圧が制御され、車輪のロック状態が抑制される。
(ブレーキECU6)
ブレーキECU6は、電子制御ユニットであり、マイクロコンピュータを有している。マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリー等の記憶部を備えている。ブレーキECU6は、各種センサ71〜76と接続され、各電磁弁22、23、41、42、モータ433、及びアクチュエータ5等を制御する。ブレーキECU6には、ストロークセンサ71から運転者によりブレーキペダル10の操作量(ストローク量)が入力され、ブレーキストップスイッチ72から運転者によるブレーキペダル10の操作の有無が入力され、圧力センサ73から一側液圧室1Cの液圧又は他側液圧室1Bの液圧が入力され、圧力センサ74からサーボ室1Aに供給されるサーボ圧が入力され、圧力センサ75からアキュムレータ431のアキュムレータ液圧が入力され、車輪速度センサ76から各車輪5FR,5FL,5RR,5RLの速度が入力される。
(ブレーキ制御)
ここで、ブレーキECU6のブレーキ制御について説明する。ブレーキ制御は、通常の液圧制動力の制御である。すなわち、ブレーキECU6は、第一制御弁22に通電して開弁し、第二制御弁23に通電して閉弁した状態とする。第二制御弁23が閉状態となることで一側液圧室1Cとリザーバ171とが遮断され、第一制御弁22が開状態となることで他側液圧室1Bと一側液圧室1Cとが連通する。このように、ブレーキ制御は、第一制御弁22を開弁させ、第二制御弁23を閉弁させた状態で、減圧弁41及び増圧弁42を制御してサーボ室1Aのサーボ圧を制御するモードである。減圧弁41及び増圧弁42は、第1パイロット室4Dに流入出させる作動液の流量を調整する弁装置ともいえる。このブレーキ制御において、ブレーキECU6は、ストロークセンサ71で検出されたブレーキペダル10の操作量(入力ピストン13の移動量)またはブレーキペダル10の操作力(例えば、圧力センサ73で検出される液圧)から、運転者の要求制動力を算出する。そして、要求制動力に基づいて目標サーボ圧が設定され、圧力センサ74で測定されたサーボ圧である実サーボ圧を目標サーボ圧に近づけるように減圧弁41及び増圧弁42が制御される。
詳細に説明すると、ブレーキペダル10が踏まれていない状態では、上記のような状態、すなわちボール弁442が弁座部444の貫通路444aを塞いでいる状態となる。また、減圧弁41は開状態、増圧弁42は閉状態となっている。つまり、第1室4Aと第2室4Bは隔離されている。第2室4Bは、配管163を介してサーボ室1Aに連通し、互いに同圧力に保たれている。第2室4Bは、制御ピストン445の通路445c、445dを介して第3室4Cに連通している。したがって、第2室4B及び第3室4Cは、配管414、161を介してリザーバ171に連通している。第1パイロット室4Dは、一方が増圧弁42で塞がれ、他方が減圧弁41を介してリザーバ171に連通している。第1パイロット室4Dと第2室4Bとは同圧力に保たれる。第2パイロット室4Eは、配管511、51を介して第1マスタ室1Dに連通し、互いに同圧力に保たれる。
この状態から、ブレーキペダル10が踏まれると、ブレーキECU6は、目標サーボ圧に基づいて、減圧弁41及び増圧弁42を制御する。すなわち、ブレーキECU6は、減圧弁41を閉じる方向に制御し、増圧弁42を開ける方向に制御する。増圧弁42が開くことでアキュムレータ431と第1パイロット室4Dとが連通する。減圧弁41が閉じることで、第1パイロット室4Dとリザーバ171とが遮断される。アキュムレータ431から供給される高圧の作動液により、第1パイロット室4Dの圧力を上昇させることができる。第1パイロット室4Dの圧力が上昇することで、制御ピストン445がシリンダ底面側に摺動する。これにより、制御ピストン445の突出部445b先端がボール弁442に当接し、通路445dがボール弁442により塞がれる。そして、第2室4Bとリザーバ171とは遮断される。
さらに、制御ピストン445がシリンダ底面側に摺動することで、突出部445bによりボール弁442がシリンダ底面側に押されて移動し、ボール弁442が弁座面444bから離間する。これにより、第1室4Aと第2室4Bは弁座部444の貫通路444aにより連通する。第1室4Aには、アキュムレータ431から高圧の作動液が供給されており、連通により第2室4Bの圧力が上昇する。
ブレーキECU6は、ストロークセンサ71で検知された入力ピストン13の移動量(ブレーキペダル10の操作量)が大きくなる程、第1パイロット室4Dのパイロット圧が高くなるように、増圧弁42を制御するとともに、減圧弁41を閉じる。つまり、入力ピストン13の移動量(ブレーキペダル10の操作量)が大きくなる程、パイロット圧が高くなり、サーボ圧も高くなる。サーボ圧は、圧力センサ74により取得でき、パイロット圧に換算することができる。
第2室4Bの圧力上昇に伴って、それに連通するサーボ室1Aの圧力も上昇する。サーボ室1Aの圧力上昇により、第1マスタピストン14が前進し、第1マスタ室1Dの圧力が上昇する。そして、第2マスタピストン15も前進し、第2マスタ室1Eの圧力が上昇する。第1マスタ室1Dの圧力上昇により、高圧の作動液がアクチュエータ5及び第2パイロット室4Eに供給される。第2パイロット室4Eの圧力は上昇するが、第1パイロット室4Dの圧力も同様に上昇しているため、サブピストン446は移動しない。このように、アクチュエータ5に高圧(マスタ圧)の作動液が供給され、摩擦ブレーキが作動して車両が制動される。「ブレーキ制御」において第1マスタピストン14を前進させる力は、サーボ圧に対応する力に相当する。ブレーキ操作を解除する場合、反対に、減圧弁41を開状態とし、増圧弁42を閉状態として、リザーバ171と第1パイロット室4Dとを連通させる。これにより、制御ピストン445が後退し、ブレーキペダル10を踏む前の状態に戻る。
(故障判定制御)
ここで、第一制御弁22及び第二制御弁23の故障(異常)の有無を判定する故障判定制御について説明する。ブレーキECU6は、機能として、制御部60と、第1異常判定部61と、第2異常判定部62と、第3異常判定部63と、第1上昇値検出部64と、第2上昇値検出部65と、第3上昇値検出部66と、第6異常判定部67と、閉故障判定部68と、を備えている。制御部60は、上記ブレーキ制御やABS制御を実行する。
(第1制御)
第1異常判定部61は、第一制御弁22及び第二制御弁23に対して閉弁させる指示(閉指示)を行った上、サーボ圧発生装置4を減圧側に作動させて第1マスタピストン14を後退させる第1制御を実行する。そして、第1異常判定部61は、この第1制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の変化が所定の第1幅以下の低下である場合又は当該液圧の変化がない場合に、第一制御弁22及び/又は第二制御弁23が開故障であることを判定する。換言すると、第1異常判定部61は、第1制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の低下が第1幅以下である場合、「開故障あり」と判定する。開故障とは、何らかの原因で弁が閉じない故障を意味する。例えば開固着、漏れ、又は弁に異物が挟まった状態などは開故障である。
第1異常判定部61は、第1制御として、図4に示すように、まず、ブレーキ操作が為されていない状態(他側液圧室1Bがリザーバ171に連通している状態)において、第一制御弁22を通電状態(ON:開指示)にし、第二制御弁23を非通電状態(OFF:開指示)にする。なお、この際、第1異常判定部61は、第一制御弁22及び第二制御弁23の何れか一方のみに開指示を実行しても良い。次に、第1異常判定部61は、サーボ圧発生装置4を増圧側に駆動させ、サーボ室1Aに所定のサーボ圧を発生させて、第1マスタピストン14を前進させる。次に、第1異常判定部61は、第一制御弁22を非通電状態(OFF:閉指示)にし、第二制御弁23を通電状態(ON:閉指示)にする。次に、第1異常判定部61は、サーボ圧発生装置4を減圧側に駆動させ、サーボ圧を減圧させる。サーボ圧の低下により、マスタ圧が相対的に高くなり、第1マスタピストン14は後退する。これにより、第1制御が完了する。なお、一側液圧室1Cの液圧は、図において「反力圧」と表示されている。
第1制御が為されると、第一制御弁22及び第二制御弁23が正常である場合、第一制御弁22及び第二制御弁23が閉状態であるため、一側液圧室1Cは、リザーバ171と遮断された状態となる。したがって、第1マスタピストン14が後退すると、密閉状態の一側液圧室1Cの容積が拡大する方向に変化し、一側液圧室1Cの液圧が低下する。圧力センサ73がこの一側液圧室1Cの液圧の変化を検出し、検出結果はブレーキECU6に伝達される。
一方、第一制御弁22及び第二制御弁23の少なくとも一方が開故障である場合、第1制御が為されても、一側液圧室1Cがリザーバ171と連通した状態となる。したがって、第1マスタピストン14が後退して一側液圧室1Cの容積が拡大する方向に変化しても、一側液圧室1Cの液圧は実質的に変化しない(図4の二点鎖線参照)。つまり、第一制御弁22及び/又は第二制御弁23が開故障である場合、第1制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の低下は、変化しないことを含む所定の第1幅以下となる。第1幅は、誤差や構造による一時的な液圧低下を考慮して設定される。
この原理により、第1異常判定部61は、第1制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の低下が第1幅以下である場合、第一制御弁22及び第二制御弁23が開故障であると判定する。一方、第1異常判定部61は、第1制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の低下が第1幅より大きい場合、第一制御弁22及び第二制御弁23は開故障でないと判定する。本実施形態では、一側液圧室1Cの液圧低下前の液圧と第1幅とに基づいて第1閾値が予め設定されており、第1異常判定部61は、第1制御が為された後の一側液圧室1Cの液圧が、第1閾値以上である場合に「開故障あり」と判定し、第1閾値未満である場合に「開故障なし(正常)」と判定する。
本実施形態では、第1制御において一側液圧室1Cがリザーバ171に連通している状態で第1マスタピストン14を前進させているため、第1マスタピストン14の後退前の一側液圧室1Cの液圧はリザーバ171と同じ(大気圧)となっている。その状態から、第1マスタピストン14が後退するため、構造上、圧力センサ73は負圧を検出する。したがって、第1閾値は、負圧に設定されている。
(第2制御)
第2異常判定部62は、第1異常判定部61により第一制御弁22及び第二制御弁23が開故障でないことが判定された場合に、第1制御についで第一制御弁22及び/又は第二制御弁23を開弁させる指示を行う第2制御を実行する。そして、第2異常判定部62は、この第2制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の変化が所定の第2幅以下の上昇である場合又は当該液圧の変化がない場合に、第一制御弁22及び/又は第二制御弁23が閉故障であることを判定する。換言すると、第2異常判定部62は、第2制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の上昇が第1幅以下である場合、「閉故障あり」と判定する。閉故障とは、例えば閉固着等、何らかの原因で弁が開かない故障を意味する。
第2異常判定部62は、第1制御が完了した後、一側液圧室1Cの液圧の低下がした状態(負圧状態)において、第一制御弁22を非通電状態(閉状態)から通電状態(ON:開指示)にする、あるいは第二制御弁23を通電状態(閉状態)から非通電状態(OFF:開指示)にする。
例として本実施形態では、図4に示すように、第2異常判定部62は、第1制御に続いて、第二制御弁23に対して開指示(OFF)を実行する。第二制御弁23が閉故障でない場合、第2制御により第二制御弁23を介して一側液圧室1Cとリザーバ171が連通し、一側液圧室1Cの液圧がリザーバ171の液圧(ここでは大気圧)まで上昇する。一方、第二制御弁23が閉故障である場合、第2制御によっても第二制御弁23が開弁せず一側液圧室1Cの密閉状態が維持されるため、一側液圧室1Cの液圧は変化しない(図4の二点鎖線参照)。これは、第2制御において第一制御弁22に対して開指示(ON)を実行する場合も同様である。
この原理により、第2異常判定部62は、第2制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の上昇が第2幅以下である場合、第2制御の実行対象弁(第一制御弁22及び/又は第二制御弁23)が閉故障であると判定する。一方、第2異常判定部62は、第2制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の上昇が第2幅より大きい場合、第2制御の実行対象弁(第一制御弁22及び/第二制御弁23)は閉故障でないと判定する。本実施形態では、一側液圧室1Cの液圧上昇前の液圧と第2幅とに基づいて第2閾値が予め設定されており、第2異常判定部62は、第2制御が為された後の一側液圧室1Cの液圧が、第2閾値より大きい場合に「閉故障なし(正常)」と判定し、第2閾値以下である場合に「閉故障あり」と判定する。
第1制御と第2制御を含む故障判定の流れについて図5を参照して説明する。まず、ブレーキECU6は、現在が自身の起動直後でないか否かを判定する(S101)。ブレーキECU6起動直後、すなわち運転手が乗車してイグニションをONした後であれば、ブレーキ操作が為される可能性があるため、故障判定は実行されない。故障判定は、工場出荷時や点検時、イグニションがOFFされた後、又は乗員がいないときなど、ブレーキ操作が為されないタイミングで行われることが好ましい。ブレーキECU6が起動直後でない場合(S101:Yes)、ブレーキECU6は、各信号を検査し、故障判定について許可状態であるか否かを判定する(S102)。許可状態とは、例えば、各圧力センサ73、74等が無効になっていない状態で、且つ断線検知により断線が検知されていない状態である。
続いて、第1異常判定部61は、第一制御弁22及び第二制御弁23に対して開指示を実行する(S103)。そして、第1異常判定部61は、サーボ圧発生装置4を増圧側に制御して、サーボ圧を漸増させる制御(漸増制御)を開始する(S104:加圧供給漸増)。第1異常判定部61は、サーボ圧が予め設定された所定圧P1に達するまで増圧制御を実行し(S105)、サーボ圧が所定圧P1になると漸増制御を停止する(S106:加圧一定保持)。そして、第1異常判定部61は、第一制御弁22及び第二制御弁23に対して閉指示を実行する(S107)。
続いて、第1異常判定部61は、サーボ圧発生装置4を減圧側に制御して、サーボ圧を減圧させる制御(減圧制御)を開始する(S108:加圧供給減圧開始)。第1異常判定部61は、サーボ圧がほぼ0となったら(S109:Yes)、そこから所定時間経過後の一側液圧室1Cの液圧(圧力センサ73の値)と第1閾値とを比較する(S110)。このステップS109までが第1制御に相当する。
一側液圧室1Cの液圧(反力圧)が第1閾値未満である場合(S110:Yes)、第1異常判定部61が「開故障なし」と判定し、第2異常判定部62が第2制御を開始する(S111)。一方、一側液圧室1Cの液圧が第1閾値以上である場合(S110:No)、第1異常判定部61は、「開故障あり」と判定する(S112)。
第2異常判定部62は、判定対象の弁(第一制御弁22及び/又は第二制御弁23)に対して開指示を実行する(S111)。図5の例では、第2異常判定部62は、第一制御弁22に対して開指示を実行する(S111)。そして、第2異常判定部62は、この開指示実行から所定時間経過後の一側液圧室1Cの液圧と第2閾値とを比較する(S113)。一側液圧室1Cの液圧が第2閾値より大きい場合(S113:Yes)、第2異常判定部62は、第一制御弁22が閉故障でないと判定し、故障判定を終了する(S115)。一方、一側液圧室1Cの液圧が第2閾値以下であった場合(S113:No)、第2異常判定部62は、第一制御弁22が閉故障であると判定する(S114)。
なお、ステップS114の後、ブレーキECU6は、同様の手順で第二制御弁23に対して第2制御を実行しても良い。また、ステップS103では、一方の弁に開指示が実行され、他方の弁に閉指示が実行されても良い。この場合でも、一側液圧室1Cとリザーバ171は連通される。また、この場合、ステップS107では、開弁している一方の弁にのみ閉指示が実行されるだけで良い。例えば、第1異常判定部61が、常開弁である第二制御弁23に対して開指示(OFF)を実行し、常閉弁である第一制御弁22に対して閉指示(OFF)を実行することで、その際の弁への通電は不要となる。
このように、第1制御によって、第一制御弁22及び第二制御弁23の開故障を精度良く検出することができる。また、第2制御によって、第一制御弁22及び第二制御弁23の閉故障を精度良く検出することができる。また、第1制御と第2制御を連続で行うことで、第一制御弁22及び第二制御弁23の異常を効率よく検出することができる。
(第3制御)
第3異常判定部63は、第一制御弁22及び第二制御弁23を閉弁させる指示を行った上でサーボ圧発生装置4により第1マスタピストン14を前進させる第3制御を実行し、第3制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の上昇が所定の第3幅以下である場合に、第一制御弁22及び第二制御弁23の少なくとも一方が開故障であることを判定する。ここで、制御部60は、第3制御の第1マスタピストン14の前進に伴って第1マスタ室1D及び第2マスタ室1Eから排出される作動液(フルード)をリザーバ533内に流入させるべく、保持弁531及び減圧弁532を開弁させる。これにより、第1マスタ室1D及び第2マスタ室1Eの作動液がリザーバ533に排出されることで、マスタ圧の上昇が抑制されて第1マスタピストン14は前進しやすくなり、一側液圧室1Cの液圧の昇圧に必要な第1マスタピストン14の移動量を確実に確保することができる。
具体的に、図6に示すように、第3異常判定部63が第一制御弁22及び第二制御弁23に閉指示を実行し、制御部60は、第3異常判定部63制御が第1マスタピストン14を前進させる際(前)に、保持弁531に開指示(OFF)を出し、減圧弁532にも開指示(ON)を出す。制御部60は、サーボ圧が目標圧になるまでの間、保持弁531及び減圧弁532に開指示を実行する。
この制御によれば、第一制御弁22及び第二制御弁23が開故障でない場合、第1マスタピストン14の前進に伴って一側液圧室1Cの液圧の変化が第3幅以上の上昇となる。つまり、第一制御弁22及び第二制御弁23が正常であれば、第3制御によって一側液圧室1Cの液圧が第3幅に基づいて予め設定された第3閾値より大きくなる。一方、第一制御弁22及び第二制御弁23の少なくとも一方が開故障である場合、一側液圧室1Cとリザーバ171が連通しているため、第1マスタピストン14が前進しても一側液圧室1Cの液圧は実質的に変化しない。つまり、開故障が発生している場合、一側液圧室1Cの液圧の上昇が第3閾値以下となる。第3異常判定部63は、第3制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の上昇が、第3閾値より大きい場合に「開故障なし」と判定し、第3閾値以下の場合に「開故障あり」と判定する。
そして、本実施形態の第3異常判定部63は、「開故障なし」と判定した場合、さらに判定対象の弁(第一制御弁22及び第二制御弁23の少なくとも一方)に開指示を行うサブ第3制御を実行し、サブ第3制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の低下が所定幅以下の場合に、判定対象の弁が閉故障であると判定する。第2制御同様、開指示により、正常であれば一側液圧室1Cとリザーバ171が連通して一側液圧室1Cの液圧が所定幅より大きく低下し、閉故障であれば一側液圧室1Cの液圧は変化しない。本実施形態の第3異常判定部63は、サブ第3制御の後の一側液圧室1Cの液圧が、所定閾値(ここでは第3閾値)未満である場合に「閉故障なし」と判定し、所定閾値以上である場合に「閉故障あり」と判定する。
ここで第3制御を含む故障判定の流れについて図7を参照して説明する。まず、ブレーキECU6は、現在が自身の起動直後でないか否かを判定する(S201)。ブレーキECU6が起動直後でない場合(S201:Yes)、ブレーキECU6は、各信号を検査し、故障判定が許可状態か否かを判定する(S202)。
続いて、第3異常判定部63が第一制御弁22及び第二制御弁23に対して閉指示を実行し、制御部60が保持弁531及び減圧弁532に開指示を実行する(S203)。そして、第3異常判定部63は、サーボ圧発生装置4を増圧側に制御して、サーボ圧を漸増させる制御(漸増制御)を開始する(S204:加圧供給漸増)。第3異常判定部63は、サーボ圧が所定圧P1に達するまで増圧制御を実行し(S205)、サーボ圧が所定圧P1になると漸増制御を停止する(S206:加圧一定保持)。そして、制御部60は、ステップS203において開指示を実行した減圧弁532に対して閉指示を実行する(S207)。そして、第3異常判定部63は、漸増制御を停止してから所定時間経過後の一側液圧室1Cの液圧(圧力センサ73の値)と第3閾値とを比較する(S208)。
一側液圧室1Cの液圧(反力圧)が第3閾値より大きい場合(S208:Yes)、第3異常判定部63が「開故障なし」と判定し、後述する次の制御を開始する(S209)。一方、一側液圧室1Cの液圧が第3閾値以下である場合(S208:No)、第3異常判定部63が「開故障あり」と判定する(S210)。
第3異常判定部63は、「開故障なし」と判定した場合、判定対象の弁(第一制御弁22及び/又は第二制御弁23)に対して開指示を実行する(S209)。図7の例では、第3異常判定部63は、第一制御弁22に対して開指示を実行する(S209)。そして、第3異常判定部63は、この開指示実行から所定時間経過後の一側液圧室1Cの液圧と第3閾値とを比較する(S211)。一側液圧室1Cの液圧が第3閾値未満の場合(S211:Yes)、第3異常判定部63は、第一制御弁22が閉故障でないと判定し、サーボ圧がほぼ0になるまで漸減制御を実行する(S212、S214)。サーボ圧がほぼ0に復帰すると故障判定が終了する(S215)。一方、一側液圧室1Cの液圧が第3閾値以上であった場合(S211:No)、第3異常判定部63は、第一制御弁22が閉故障であると判定する(S213)。これにより、精度良く故障判定をすることができる。また、第1制御及び第2制御の前後に、第3制御を含む上記故障判定を加えることにより、より確実に故障の有無を判定することができる。なお、第3制御は、第1制御及び第2制御から独立して単独で実行されても良い。この場合、例えば、ブレーキECU6は、制御部60及び第3異常判定部63で構成されていても良い。
ホイールシリンダの液量特性にばらつきがある場合、判定対象が小型車である場合、又はパーキングブレーキが作動していた場合などでは、ホイールシリンダの液量特性が高剛性になり、必要な第1マスタピストン14の移動量を確保しようとすると、マスタ圧が高圧となりマスタシリンダ1の耐久性が悪化する可能性がある。また、一側液圧室1Cの液圧を昇圧させる前に、サーボ圧による助勢の限界点を迎え、第1マスタピストンを前進させられない可能性がある。第3異常判定部63によれば、ホイールシリンダの液量特性に影響を受けずに、第一制御弁22及び第二制御弁23の故障状態を正確に検出することができる。ステップS203において、制御部60が、アクチュエータ5の少なくとも1チャンネルの保持弁531及び減圧弁532に開指示を実行するようにしても良い。
(第4制御、第5制御、第6制御)
第1上昇値検出部64は、第一制御弁22及び第二制御弁23を閉弁させる指示を行った上で所定速度にてサーボ圧発生装置4により第1マスタピストン14を前進させる第4制御を実行し、この第4制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の最大上昇値を検出する。第2上昇値検出部65は、第一制御弁22を開弁させる指示及び第二制御弁23を閉弁させる指示を行った上で所定速度にてサーボ圧発生装置4により第1マスタピストン14を前進させる第5制御を実行し、この第5制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の最大上昇値を検出する。第3上昇値検出部66は、第一制御弁22を閉弁させる指示及び第二制御弁23を開弁させる指示を行った上で所定速度にてサーボ圧発生装置4により第1マスタピストン14を前進させる第6制御を実行し、この第6制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の最大上昇値を検出する。
第6異常判定部67は、第1上昇値検出部64が検出した最大上昇値(以下、「第4最大値」と称する)が、第2上昇値検出部65が検出した最大上昇値(以下、「第5最大値」と称する)及び第3上昇値検出部66が検出した最大上昇値(以下、「第6最大値」と称する)の少なくとも一方と実質的に等しい場合に、第一制御弁22及び第二制御弁23の少なくとも一方が故障であることを判定する。つまり、第6異常判定部67は、第4最大値≒第5最大値(又は第6最大値)である場合、故障ありと判定する。
この原理について説明する。第一制御弁22及び第二制御弁23の両方が閉弁状態である両閉弁状態と、第一制御弁22及び第二制御弁23の一方が閉弁状態で他方が開弁状態である片閉弁状態の2つの状態について説明する。各状態において、所定勾配によりサーボ圧の昇圧制御が実行されると、第1マスタピストン14が所定速度で前進し、オリフィス164aの作用により圧力センサ73の値(一側液圧室1Cの液圧)が一時的に上昇する。この一側液圧室1Cの液圧の上昇における最大値(最大上昇値)は、弁が正常であれば、両閉弁状態のほうが、リザーバ171に連通している片閉弁状態よりも大きくなる。一方、弁が異常であれば、両閉弁状態が片閉弁状態になっているか、片閉弁状態が両閉弁状態になっているか、あるいは両方の弁が開弁状態となっていることになり、両閉弁状態の最大上昇値と片閉弁状態の最大上昇値が実質的に等しくなるケースが発生する。この原理を利用することで、故障の有無を精度良く検出することができる。なお、所定勾配は、片閉弁状態であっても一時的な圧力変化(一側液圧室1Cの液圧上昇)が発生する勾配以上に設定されている。本実施形態の所定勾配は、サーボ圧を通常制御時よりも急昇圧させる勾配である。
図8及び図9に示すように、第1上昇値検出部64、第2上昇値検出部65、及び第3上昇値検出部66は、連続的に制御を実行する。まず、他の故障判定と同様に、ブレーキECU6が起動直後でないか否かが判定され(S301)、現状が故障判定の許可状態であるか否かが判定される(S302)。そして、第1上昇値検出部64は、第一制御弁22に閉指示(OFF)を実行し、第二制御弁23に閉指示(ON)を実行する(S303)。第1上昇値検出部64は、サーボ圧を所定勾配で上昇させるようにサーボ圧発生装置4の増圧制御を開始する(S304:加圧供給急増開始)。そして、第1上昇値検出部64は、サーボ圧が所定圧P1に達するまで、増圧制御に伴う圧力センサ73の検出値の変化を受信し、当該変化における最大値(第4最大値)を記憶する(S305)。換言すると、第1上昇値検出部64は、増圧制御に伴う圧力センサ73の検出値を逐次受信・記憶し、記憶した検出値のうちの最大値を第4最大値として記憶する。サーボ圧が所定圧P1に達すると(S306:Yes)、第1上昇値検出部64は、増圧制御を停止する(S307:加圧一定保持)。そして、停止から所定時間経過後(S308:Yes)、第1上昇値検出部64は、サーボ圧を0に向けて減圧制御する(S309:加圧供給減圧)。
続いて、第2上昇値検出部65は、第一制御弁22に開指示(ON)を実行し、第二制御弁23に閉指示(ON)を実行する(S310)。第2上昇値検出部65は、サーボ圧を所定勾配で上昇させるようにサーボ圧発生装置4の増圧制御を開始する(S311:加圧供給急増開始)。そして、第2上昇値検出部65は、サーボ圧が所定圧P1に達するまで、増圧制御に伴う圧力センサ73の検出値の変化を受信し、当該変化における最大値(第5最大値)を記憶する(S312)。換言すると、第2上昇値検出部65は、増圧制御に伴う圧力センサ73の検出値を逐次受信・記憶し、記憶した検出値のうちの最大値を第5最大値として記憶する。サーボ圧が所定圧P1に達すると(S313:Yes)、第2上昇値検出部65は、増圧制御を停止する(S314:加圧一定保持)。そして、停止から所定時間経過後(S315:Yes)、第2上昇値検出部65は、サーボ圧を0に向けて減圧制御する(S316:加圧供給減圧)。
続いて、第3上昇値検出部66は、第一制御弁22に閉指示(OFF)を実行し、第二制御弁23に開指示(OFF)を実行する(S317)。第3上昇値検出部66は、サーボ圧を所定勾配で上昇させるようにサーボ圧発生装置4の増圧制御を開始する(S318:加圧供給急増開始)。そして、第2上昇値検出部65は、サーボ圧が所定圧P1に達するまで、増圧制御に伴う圧力センサ73の検出値の変化を受信し、当該変化における最大値(第6最大値)を記憶する(S319)。換言すると、第3上昇値検出部66は、増圧制御に伴う圧力センサ73の検出値を逐次受信・記憶し、記憶した検出値のうちの最大値を第6最大値として記憶する。サーボ圧が所定圧P1に達すると(S320:Yes)、第3上昇値検出部66は、増圧制御を停止する(S321:加圧一定保持)。そして、停止から所定時間経過後(S322:Yes)、第3上昇値検出部66は、サーボ圧を0に向けて減圧制御する(S323:加圧供給減圧)。
そして、第6異常判定部67は、第4最大値と第5最大値と第6最大値を比較し、第4最大値と第6最大値が実質的に等しく、且つ第6最大値(第4最大値)が第5最大値より大きいか否か、すなわち最大上昇値の大小関係が「第4最大値≒第6最大値>第5最大値」であるか否かを判定する(S324)。当該大小関係が「第4最大値≒第6最大値>第5最大値」である場合(S324:Yes)、第6異常判定部67は、第二制御弁23が故障であると判定する(S325)。
一方、最大上昇値の大小関係が「第4最大値≒第6最大値>第5最大値」でない場合(S324:No)、第6異常判定部67は、第二制御弁23が正常であると判定した上、最大上昇値の大小関係が「第4最大値≒第5最大値>第6最大値」であるか否かを判定する(S326)。当該大小関係が「第4最大値≒第5最大値>第6最大値」である場合(S326:Yes)、第6異常判定部67は、第一制御弁22が故障であると判定する(S327)一方、当該大小関係が「第4最大値≒第5最大値>第6最大値」でない場合(S326:No)、第6異常判定部67は、第一制御弁22が正常であると判定し、故障判定の終了処理をする(S328)。
上記原理によれば、第一制御弁22及び第二制御弁23が共に正常の場合、最大上昇値の大小関係は「第4最大値>第6最大値≒第5最大値」となる。また、第一制御弁22のみが開故障又は閉故障である場合、最大上昇値の大小関係は「第4最大値≒第5最大値>第6最大値」となる。また、第二制御弁23のみが開故障又は閉故障である場合、最大上昇値の大小関係は「第4最大値≒第6最大値>第5最大値」となる。これにより、第一制御弁22及び第二制御弁23の故障を切り分け可能に精度良く検出することができる。第6異常判定部67は、最大上昇値の大小関係が「第4最大値≒第5最大値」又は「第4最大値≒第6最大値」である場合に、第一制御弁22及び第二制御弁23の少なくとも一方が故障であると判定することもできる。なお、両弁が故障している場合、すべての最大上昇値が実質的に等しくなる。
また、上記原理によれば、この第4〜第6制御を利用した故障判定において、第1上昇値検出部64を作動させずに(又は構成から除いて)、故障判定を実行することもできる。つまり、第6異常判定部67は、最大上昇値の大小関係が「第5最大値≒第6最大値」である場合に第一制御弁22及び第二制御弁23が正常であると判定し、最大上昇値の大小関係が「第5最大値≠第6最大値」である場合に第一制御弁22及び第二制御弁23の少なくとも一方が故障であると判定することができる。さらに、第6異常判定部67は、最大上昇値の大小関係が「第5最大値>第6最大値」である場合に第一制御弁22が故障であると判定し、最大上昇値の大小関係が「第5最大値<第6最大値」である場合に第二制御弁23が故障であると判定することもできる。ただし、第4最大値を取得する故障判定の制御では、第一制御弁22及び第二制御弁23の何れか一方が故障している場合でも、少なくとも第4最大値は確実に高い値(0でない値)が出力されるため、故障判定が実効的であることを確かめることができ、より正確に比較することができる。
また、第4〜第6制御を含む故障判定において、第6異常判定部67を作動させずに(又は構成から除いて)、故障判定をすることも可能である。例えば、第一制御弁22及び第二制御弁23が正常であって且つ作動液の温度が所定温度範囲にある状態で、ブレーキECU6が、予め第4制御と第5制御(又は第6制御)を実行し、その際の各最大上昇値を記憶する。そして、設計者は、記憶した最大上昇値に基づいて、次回以降の第4制御によって取得された最大上昇値が正常値であるか否かを判定するための第4閾範囲と、次回以降の第5制御(又は第6制御)によって取得された最大上昇値が正常値であるか否かを判定するための第5閾範囲を予め設定する。そして、ブレーキECU6は、作動液の温度を測定又は推定する温度取得手段(図示せず)(例えば温度センサ等)が取得した温度が所定温度範囲にある際、第4制御、第5制御、又は第6制御を実行する。ブレーキECU6は、取得した最大上昇値が、それに対応する閾範囲内にない場合に、故障ありと判定しても良い。
この場合、ブレーキECU6(「第4異常判定部」に相当する)は、第一制御弁22及び第二制御弁23を閉弁させる指示を行った上で所定速度以上にて第1マスタピストン14を前進させる第4制御を実行し、この第4制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の上昇が所定の第4幅以下である場合(最大上昇値が第4閾範囲にない場合)に、第一制御弁22及び第二制御弁23の少なくとも一方が故障であることを判定する。また、ブレーキECU6(「第5異常判定部」に相当する)は、第一制御弁22を開弁させる指示及び第二制御弁23を閉弁させる指示を行った上で所定速度以上にて第1マスタピストン14を前進させる第5制御を実行し、この第5制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の上昇が所定の第5幅以下である場合(最大上昇値が第5閾範囲内にない場合)に、第一制御弁22及び第二制御弁23の少なくとも一方が開故障であることを判定する。また、ブレーキECU6は、第一制御弁22を閉弁させる指示及び第二制御弁23を開弁させる指示を行った上で所定速度以上にて第1マスタピストン14を前進させる第6制御を実行し、この第6制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の上昇が所定の第5幅以下である場合(最大上昇値が第5閾範囲内にない場合)に、第一制御弁22及び第二制御弁23の少なくとも一方が開故障であることを判定する。なお、ここでの所定の幅又は閾範囲は、故障か否かを判定するための比較基準であるため、第6異常判定部67での比較同様、他の制御により取得した最大上昇値であっても良い。
また、第4〜第6制御に関する故障判定制御は、第1〜第3制御に関する故障判定制御とは独立して実行することができる。つまり、ブレーキECU6は、制御部60と、第1上昇値検出部64と、第2上昇値検出部65と、第3上昇値検出部66と、第6異常判定部67と、で構成されていても良い。
(開弁後退制御)
閉故障判定部68は、判定対象の弁(第一制御弁22又は第二制御弁23)を開弁させる指示及び判定対象外の弁を閉弁させる指示を行った上で第1マスタピストン14を後退させる開弁後退制御を実行し、この開弁後退制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の低下が所定幅以上である場合に、判定対象の弁が閉故障であることを判定する。閉故障判定部68は、第1制御と同原理を利用して故障を判定する。
図10及び図11に示すように、まず、ブレーキECU6が起動直後でないか否かが判定され(S401)、現状が故障判定の許可状態であるか否かが判定される(S402)。続いて、閉故障判定部68は、第一制御弁22及び第二制御弁23に対して開指示を実行する(S403)。そして、閉故障判定部68は、サーボ圧発生装置4を増圧側に制御して、サーボ圧を漸増させる制御(漸増制御)を開始する(S404:加圧供給漸増)。閉故障判定部68は、サーボ圧が予め設定された所定圧P1に達するまで増圧制御を実行し(S405)、サーボ圧が所定圧P1になると漸増制御を停止する(S406:加圧一定保持)。そして、閉故障判定部68は、本例の判定対象の弁である第一制御弁22に開指示を実行(継続)し、第二制御弁23に閉指示を実行する(S407)。
続いて、閉故障判定部68は、サーボ圧発生装置4を減圧側に制御して、サーボ圧を減圧させる制御(減圧制御)を開始する(S408:加圧供給減圧開始)。閉故障判定部68は、サーボ圧がほぼ0となったら(S409:Yes)、そこから所定時間経過後の一側液圧室1Cの液圧(圧力センサ73の値)と所定閾値とを比較する(S410)。所定閾値は、負圧に設定されている。
一側液圧室1Cの液圧(反力圧)が所定閾値より大きい場合(S410:Yes)、第1異常判定部61が「閉故障なし」と判定し、終了処理を実行する(S411)。これは、第一制御弁22が当初から開弁していれば、一側液圧室1Cはリザーバ171に連通しており、第1マスタピストン14の後退によっても一側液圧室1Cの液圧は実質的に変化しない。つまり、第一制御弁22が閉故障でない場合、開弁後退制御に伴う一側液圧室1Cの液圧の低下は所定幅以下となる(すなわち、当該液圧は負圧より大きい値となる)。
一方、一側液圧室1Cの液圧が所定閾値以下である場合(S410:No)、閉故障判定部68は、第一制御弁22が閉故障であると判定する(S412)。これは、判定対象の弁が第二制御弁23であっても同様である。このように、本実施形態によれば、閉故障を切り分け可能に精度良く検出することができる。
本発明は、上記実施形態に限られない。また、各故障判定制御は、それぞれ独立して実行することができる。本実施形態の各故障判定制御によれば、新たなセンサの追加をすることなく、精度の良い故障判定が可能となる。なお、アクチュエータ5は、横滑り防止装置(ESC)であっても良い。この場合、例えば、保持弁531とマスタ室1D、1Eの間に配置される弁も保持弁531と同様に制御し、上記同様の故障判定することができる。
(まとめ)
本実施形態の車両用制動装置は、以下のように記載することができる。すなわち、本実施形態の車両用制動装置は、シリンダ11内に設けられたピストン14の移動によりマスタ室1Dに液圧を発生させる液圧発生部1と、マスタ室1Dに接続されマスタ室1Dの液圧に基づいて車輪に制動力を発生させる制動力発生部541〜544(5)と、を備える車両用制動装置であって、ピストン14を駆動する駆動部4と、ピストン14の前進により容積が減少しピストン14の後退により容積が増加する第1液圧室1Cを形成する第1液圧室形成部Zと、開閉により第1液圧室1Cを開放又は閉鎖する弁22、23と、弁22、23を閉弁させる指示を行った上で駆動部4によりピストン14を後退させる第1制御を実行し、第1制御に伴う第1液圧室1Cの液圧の低下が所定の第1幅以下である場合に、弁22、23が開故障であることを判定する第1異常判定部61と、を備える。
この車両用制動装置は、第1異常判定部61により弁22、23が開故障でないことが判定された場合に、第1制御についで弁22(23)を開弁させる指示を行う第2制御を実行し、第2制御に伴う第1液圧室1Cの液圧の上昇が所定の第2幅以下である場合に、弁22(23)が閉故障であることを判定する第2異常判定部62を備える。
この車両用制動装置は、弁22、23を閉弁させる指示を行った上で駆動部4によりピストン14を前進させる第3制御を実行し、第3制御に伴う第1液圧室1Cの液圧の上昇が所定の第3幅以下である場合に、弁22、23が開故障であることを判定する第3異常判定部63と、ピストン14の前進に伴ってマスタ室1Dからフルードが排出されるように構成されている液圧発生部1に対して、第3制御のピストン14の前進に伴ってマスタ室1Dから排出されるフルードが流入する第2液圧室533aを形成する第2液圧室形成部533と、を備える。
この車両用制動装置は、ホイールシリンダ541〜544内のブレーキ液が排出されるリザーバ533と、マスタ室1Dとホイールシリンダ541〜544との間に設けられている入口531弁と、ホイールシリンダ541〜544とリザーバ533との間に設けられている減圧弁532と、を有するアンチロックブレーキシステム(ABS)を備えている車両用制動装置であって、第3制御のピストン14の前進に伴ってマスタ室1Dから排出されるフルードをリザーバ533内に流入させるべく、保持弁531及び減圧弁532を開弁させる制御部60を備える。つまり、第2液圧室形成部533は、リザーバ533である。
この車両用制動装置は、第1液圧室1Cに接続された液圧経路に設けられている弁22、23を閉弁させる指示を行った上で駆動部4によりピストン14を前進させる第4制御を実行し、第4制御に伴う第1液圧室1Cの液圧の上昇が所定の第4幅以下である場合に、弁22、23が開故障であることを判定する第4異常判定部6と、を備える。
この車両用制動装置は、弁22(23)を開弁させる指示を行った上で駆動部4によりピストン14を前進させる第5制御を実行し、第5制御に伴う第1液圧室の液圧の上昇が所定の第5幅以上である場合に、弁22(23)が閉故障であることを判定する第5異常判定部6を備える。
この車両用制動装置は、開閉により第1液圧室1Cを開放又は閉鎖する弁22及び第二弁23と、弁22を開弁させる指示及び第二弁23を閉弁させる指示を行った上で所定速度にて駆動部4によりピストン14を前進させる第5制御を実行し、第5制御に伴う第1液圧室1Cの液圧の最大上昇値を検出する第2上昇値検出部65と、弁22を閉弁させる指示及び第二弁23を開弁させる指示を行った上で所定速度にて駆動部4によりピストン14を前進させる第6制御を実行し、第6制御に伴う第1液圧室1Cの液圧の最大上昇値を検出する第3上昇値検出部66と、第2上昇値検出部65が検出した最大上昇値と第3上昇値検出部66が検出した最大上昇値が実質的に等しい場合に弁22及び第二弁23が正常であることを判定し、第2上昇値検出部65が検出した最大上昇値と第3上昇値検出部66が検出した最大上昇値が等しくない場合に、弁22及び第二弁23の少なくとも一方が故障であることを判定する第6異常判定部67と、を備える。
この車両用制動装置は、弁22及び第二弁23を閉弁させる指示を行った上で所定速度にて駆動部4によりピストン14を前進させる第4制御を実行し、第4制御に伴う第1液圧室1Cの液圧の最大上昇値を検出する第1上昇値検出部64と、第1上昇値検出部64が検出した最大上昇値が、第2上昇値検出部65が検出した最大上昇値及び第3上昇値検出部66が検出した最大上昇値の少なくとも一方と実質的に等しい場合に、弁22及び第二弁23の少なくとも一方が故障であることを判定する第6異常判定部67と、を備える。
また、本実施形態の車両用制動装置は、弁22(23)を開弁させる指示を行った上で駆動部4によりピストン14を後退させる開弁後退制御を実行し、開弁後退制御に伴う第1液圧室1Cの液圧の低下が所定幅以上である場合に、弁22(23)が閉故障であることを判定する閉故障判定部68を備える。
1:マスタシリンダ(液圧発生部)、 11:メインシリンダ(シリンダ)、
12:カバーシリンダ、 13:入力ピストン、
14:第1マスタピストン(ピストン)、 15:第2マスタピストン、
1A:サーボ室、 1B:他側液圧室、 1C:一側液圧室(第1液圧室)、
1D:第1マスタ室、 1E:第2マスタ室、 10:ブレーキペダル、
171:リザーバ、 2:反力発生装置、 22:第一制御弁(弁、第二弁)、
3:第二制御弁(弁、第二弁)、 4:サーボ圧発生装置、 41:減圧弁、
42:増圧弁、 431:アキュムレータ、 44:レギュレータ、
445:制御ピストン、 4D:第1パイロット室、 5:アクチュエータ、
531:保持弁(入口弁)、 532:減圧弁(出口弁)、
533:リザーバ(第2液圧室形成部)、 533a:液圧室(第2液圧室)、
541、542、543、544:ホイールシリンダ(制動力発生部)、
5FR、5FL、5RR、5RL:車輪、 BF:液圧制動力発生装置、
6:ブレーキECU(第4異常判定部、第5異常判定部)、 60:制御部、
61:第1異常判定部、 62:第2異常判定部、 63:第3異常判定部、
64:第1上昇値検出部、 65:第2上昇値検出部、 66:第3上昇値検出部、
67:第6異常判定部、 68:閉故障判定部、
71:ストロークセンサ、 72:ブレーキストップスイッチ、
73、74、75:圧力センサ、 76:車輪速度センサ、
Z:一側液圧室形成部(第1液圧室形成部)

Claims (9)

  1. シリンダ内に設けられたピストンの移動によりマスタ室に液圧を発生させる液圧発生部と、前記マスタ室に接続され前記マスタ室の液圧に基づいて車輪に制動力を発生させる制動力発生部と、を備える車両用制動装置であって、
    前記ピストンを駆動する駆動部と、
    前記ピストンの前進により容積が減少し前記ピストンの後退により容積が増加する第1液圧室を形成する第1液圧室形成部と、
    開閉により前記第1液圧室を開放又は閉鎖する弁と、
    前記弁を閉弁させる指示を行った上で前記駆動部により前記ピストンを後退させる第1制御を実行し、前記第1制御に伴う前記第1液圧室の液圧の低下が所定の第1幅以下である場合に、前記弁が開故障であることを判定する第1異常判定部と、
    を備える車両用制動装置。
  2. 前記第1異常判定部により前記弁が開故障でないことが判定された場合に、前記第1制御についで前記弁を開弁させる指示を行う第2制御を実行し、前記第2制御に伴う前記第1液圧室の液圧の上昇が所定の第2幅以下である場合に、前記弁が閉故障であることを判定する第2異常判定部を備える請求項1に記載の車両用制動装置。
  3. シリンダ内に設けられたピストンの移動によりマスタ室に液圧を発生させる液圧発生部と、前記マスタ室に接続され前記マスタ室の液圧に基づいて車輪に制動力を発生させる制動力発生部と、を備える車両用制動装置であって、
    前記ピストンを駆動する駆動部と、
    前記ピストンの前進により容積が減少し前記ピストンの後退により容積が増加する第1液圧室を形成する第1液圧室形成部と、
    開閉により前記第1液圧室を開放又は閉鎖する弁と、
    前記弁を開弁させる指示を行った上で前記駆動部により前記ピストンを後退させる開弁後退制御を実行し、前記開弁後退制御に伴う前記第1液圧室の液圧の低下が所定幅以上である場合に、前記弁が閉故障であることを判定する閉故障判定部と、
    を備える車両用制動装置。
  4. 前記弁を閉弁させる指示を行った上で前記駆動部により前記ピストンを前進させる第3制御を実行し、前記第3制御に伴う前記第1液圧室の液圧の上昇が所定の第3幅以下である場合に、前記弁が開故障であることを判定する第3異常判定部と、
    前記ピストンの前進に伴って前記マスタ室からフルードが排出されるように構成されている前記液圧発生部に対して、前記第3制御の前記ピストンの前進に伴って前記マスタ室から排出されるフルードが流入する第2液圧室を形成する第2液圧室形成部と、
    を備える請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用制動装置。
  5. 車両の車輪のホイールシリンダ内のブレーキ液が排出されるリザーバと、前記マスタ室と前記ホイールシリンダとの間に設けられている入口弁と、前記ホイールシリンダと前記リザーバとの間に設けられている出口弁と、を有するアンチロックブレーキシステムを備えている車両用制動装置であって、
    前記第3制御の前記ピストンの前進に伴って前記マスタ室から排出されるフルードを前記リザーバ内に流入させるべく、前記入口弁及び前記出口弁を開弁させる制御部を備え、
    前記第2液圧室形成部は、前記リザーバである請求項4に記載の車両用制動装置。
  6. 前記第1液圧室に接続された液圧経路に設けられているオリフィスと、
    前記弁を閉弁させる指示を行った上で所定速度以上にて前記駆動部により前記ピストンを前進させる第4制御を実行し、前記第4制御に伴う前記第1液圧室の液圧の上昇が所定の第4幅以下である場合に、前記弁が開故障であることを判定する第4異常判定部と、
    を備える請求項1〜5の何れか一項に記載の車両用制動装置。
  7. 前記第1液圧室に接続された液圧経路に設けられているオリフィスと、
    前記弁を開弁させる指示を行った上で所定速度以上にて前記駆動部により前記ピストンを前進させる第5制御を実行し、前記第5制御に伴う前記第1液圧室の液圧の上昇が所定の第5幅以上である場合に、前記弁が閉故障であることを判定する第5異常判定部と、
    を備える請求項1〜6の何れか一項に記載の車両用制動装置。
  8. 開閉により前記第1液圧室を開放又は閉鎖する第二弁と、
    前記第1液圧室に接続された液圧経路に設けられているオリフィスと、
    前記弁及び前記第二弁を閉弁させる指示を行った上で所定速度にて前記駆動部により前記ピストンを前進させる第4制御を実行し、前記第4制御に伴う前記第1液圧室の液圧の最大上昇値を検出する第1上昇値検出部と、
    前記弁を開弁させる指示及び前記第二弁を閉弁させる指示を行った上で前記所定速度にて前記駆動部により前記ピストンを前進させる第5制御を実行し、前記第5制御に伴う前記第1液圧室の液圧の最大上昇値を検出する第2上昇値検出部と、
    前記弁を閉弁させる指示及び前記第二弁を開弁させる指示を行った上で前記所定速度にて前記駆動部により前記ピストンを前進させる第6制御を実行し、前記第6制御に伴う前記第1液圧室の液圧の最大上昇値を検出する第3上昇値検出部と、
    前記第1上昇値検出部が検出した最大上昇値が、前記第2上昇値検出部が検出した最大上昇値及び前記第3上昇値検出部が検出した最大上昇値の少なくとも一方と実質的に等しい場合に、前記弁及び前記第二弁の少なくとも一方が故障であることを判定する第6異常判定部と、
    を備える請求項1〜5の何れか一項に記載の車両用制動装置。
  9. 開閉により前記第1液圧室を開放又は閉鎖する第二弁と、
    前記第1液圧室に接続された液圧経路に設けられているオリフィスと、
    前記弁を開弁させる指示及び前記第二弁を閉弁させる指示を行った上で前記所定速度にて前記駆動部により前記ピストンを前進させる第5制御を実行し、前記第5制御に伴う前記第1液圧室の液圧の最大上昇値を検出する第2上昇値検出部と、
    前記弁を閉弁させる指示及び前記第二弁を開弁させる指示を行った上で前記所定速度にて前記駆動部により前記ピストンを前進させる第6制御を実行し、前記第6制御に伴う前記第1液圧室の液圧の最大上昇値を検出する第3上昇値検出部と、
    前記第2上昇値検出部が検出した最大上昇値と前記第3上昇値検出部が検出した最大上昇値が実質的に等しい場合に前記弁及び前記第二弁が正常であることを判定し、前記第2上昇値検出部が検出した最大上昇値と前記第3上昇値検出部が検出した最大上昇値が等しくない場合に、前記弁及び前記第二弁の少なくとも一方が故障であることを判定する第6異常判定部と、
    を備える請求項1〜5の何れか一項に記載の車両用制動装置。
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