JP2015123959A - 揺動車両の揺動制御システム - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1の揺動車両では、車体を左右揺動可能とする揺動機構に、車体の左右の揺動に対して減衰力を付加する減衰力発生装置を設けている。
しかし、単に減衰力を高めてしまうと、車体の揺動に対する安心感を維持する一方で、ロールの軽快感が薄れてしまうという課題がある。
請求項2に記載した発明は、前記揺動ダンパー(38)は、前記減衰力の発生を制御する油圧回路(90’,110)を備え、前記油圧回路(90’,110)は、前記車体の倒れ込み時に作動油が流通する油路(102,117)にのみ減衰手段(102a,117a)を有することを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記揺動ダンパー(38)は、前記減衰力の発生を制御する油圧回路(90,90’,110)を備え、前記油圧回路(90,90’,110)は、前記車体の揺動時に作動油が流通する油路(102,106,117)に減衰手段(102a,106a,117a)を有し、前記減衰手段(102a,106a,117a)は、車速に応じて前記揺動ダンパー(38)が発生する減衰力を可変とすることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、前記揺動車両(1)は、アンチロックブレーキシステムを備え、前記揺動ダンパー(38)は、前記アンチロックブレーキシステムによるブレーキ減圧作動時に、前記車体の倒れ込み時の減衰力を高めることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、前記揺動車両(1)は、車体の左右揺動角を検出する検出手段と、電子制御式の自動変速機と、を備え、前記自動変速機は、前記検出手段の検出値が所定以上のときに自動変速を禁止することを特徴とする。
請求項2に記載した発明によれば、車体の起き上がり時に作動油が流通する油路からバルブ等の減衰手段を無くし、少ない構成で車体の倒れ込み時の揺動を減衰することができる。
請求項3に記載した発明によれば、車体の揺動時に発生する減衰力を任意の車両状態に応じて調整可能とし、車体の安心感及び軽快感をより高めることができる。
請求項4に記載した発明によれば、ABS作動時の車体の倒れ込みを的確に抑えることができる。
請求項5に記載した発明によれば、車体揺動時に意図しない変速を禁止し、自動変速による車体の左右揺動への影響を回避することができる。
図1、図2に示す鞍乗り型車両1は、車体前部に左右一対の前輪(操舵輪)2L,2Rを左右対称に備えるとともに、車体後部の左右中央に単一の後輪(駆動輪)3を備え、かつ車体を左右揺動(ローリング動)可能にした前二輪式の揺動車両として構成される。鞍乗り型車両1は、特に記載がなければ左右対称の構成を有する。また、以下の説明では、特に記載がなければ、左右前輪2L,2Rが水平な路面R上に接地した状態で、後述する前二輪懸架装置4に車重分の荷重が加わった1G状態で、車体が左右揺動角度を0度にした直立状態で、左右前輪2L,2Rの操舵角が0°の直進操舵状態にあるときの構成を説明する。なお、本実施形態では、左右対称の構成には左側の符号に「L」、右側の符号に「R」を付して区別するが、前記「L」、「R」を外した符号のみで示すこともある。
ここで、エンジン6に連設される変速機(不図示)は、車速等の車両状態に応じて自動変速を行う電子制御式の自動変速機とされる。
図4、図5を参照し、ヘッドパイプ12には、ステアリングシャフト12aが同軸かつ回動自在に挿通、支持される。ステアリングシャフト12aにおけるヘッドパイプ12の上方に突出する上端部には、バータイプの操向ハンドル11が取り付けられる。ステアリングシャフト12aにおけるヘッドパイプ12の下方に突出する下端部には、ステアリングリンク75を連結するボトムブラケット12bが取り付けられる。
フロントサブフレーム23は、上下支持フレーム21,22の軸方向を厚さ方向とした厚板形状をなし、車両側面視でヘッドパイプ12よりも鉛直方向に対する傾斜角を小さくして配置される。
すなわち、上揺動軸25の軸線C2、アッパーアーム24の左右の上外支持軸25aL,25aRの軸線C2aL,C2aR、左右タイロッド78L,78R内外の揺動中心78acL,78bcL,78acR,78bcRを車体左右で結ぶ四角形sq1L’,sq1R’は、それぞれ概ね平行四辺形とされる。これにより、アッパーアーム24及び左右ロアアーム26L,26Rの揺動時には、左右タイロッド78L,78Rも略平行に上下動し、左右前輪2L,2Rの舵角への影響が抑えられる。
スプリング装置35は、ロッド式のストロークガイドとコイルスプリングとを組み合わせたもので、車体の直立状態には、中心軸線(ストローク軸線)C5を車両前面視で車体左右中心線CL上に配置する。スプリング装置35の下端部は、フロントサブフレーム23における上揺動軸25よりも下方かつ下揺動軸27よりも上方となる位置に、上下揺動軸25,27と平行な下連結軸37及び球面軸受け35bを介して揺動可能に連結される。図中符号C6,C7は上下連結軸36,37の中心軸線を示す。
一方、図8(b)、図8(c)に示すように、スプリング装置35は、車体が直立状態から左右に揺動したときには、前記最伸長状態から短縮するようにストロークする。すなわち、図8(b)、図8(c)のスプリング装置35の全長L1,L2は、図8(a)の全長L0よりも短くなる。このときのスプリング装置35が伸長しようとする力が、車体を直立状態に戻そうとする復元力となり、かつ車体のローリング動に対する反力となる。
図10を併せて参照し、揺動ダンパー38は、直方体形状のハウジング38a内に扇形状の油室91を形成し、この油室91内でベーン92を揺動させることで減衰力を得る。揺動ダンパー38の減衰力の大きさは、油圧回路90を主構成とする制御装置によって制御される。油圧回路90については後に詳述する。
ベーン92と一体揺動するダンパー揺動軸39は、ハウジング38aの車体搭載時における前面から前方に突出する。このダンパー揺動軸39の突出部分には、揺動レバー41の基端部が一体揺動可能に取り付けられる。
ダンパー揺動軸39、リンク連結軸42a及びダンパー連結軸43は、上下揺動軸25,27と平行な軸である。図中符号C8はダンパー揺動軸39の中心軸線、符号C8aはリンク連結軸42aの中心軸線、符号C9はダンパー連結軸43の中心軸線をそれぞれ示す。
すなわち、上揺動軸25の軸線C2、ダンパー揺動軸39の軸線C8、リンク連結軸42aの軸線C8a、及びダンパー連結軸43の軸線C9を結ぶ四角形sq2は、概ね平行四辺形とされる。
フォークパイプ66の上部は、車両側面視で操舵軸29よりも鉛直方向に対する角度を大きくしてパイプ挿通部65aに挿通される。フォークパイプ66及びパイプ挿通部65aは、左右前輪2L,2Rの内側端よりも左右内側に配置される。
クッションユニット54は、前輪2の上下動によるトレーリングアーム52の揺動によって、軸線C17に沿ってストロークし、前輪2に入力された衝撃等を吸収するとともに前輪2の上下動を減衰させる。
すなわち、前揺動軸53の軸線C11、前輪車軸57の軸線C12、前後揺動軸60,61の軸線C15,C16を車両側面視で結ぶ四角形sq3は、概ね平行四辺形とされる。
車両側面視におけるキングピン軸線C4の下方への延長部分の路面Rとの交点T1’は、前輪2の接地点T1の前方に位置してトレールを生じさせる。車両側面視におけるキングピン軸線C4の鉛直方向に対する傾斜角はキャスター角となる。前輪車軸57は、車両側面視でキングピン軸線C4の前方にオフセットしている。
ベルクランク部材76の第二アーム76bには、左右タイロッド78L,78Rの左右内側端が左右球面軸受け78aL,78aRを介して連結される。左右タイロッド78L,78Rの左右外側端は、それぞれ左右フォーク本体51のアッパーブラケット65の後部に左右球面軸受け78bL,78bRを介して連結される(図2参照)。
図7(a)に示すように、ステアリングシャフト12aの下端部のボトムブラケット12b、これに連結されるステアリングリンク75、及びベルクランク部材76の第一アーム76aは、平行リンク状に配置される。
すなわち、ステアリング軸線C1、中継軸77の軸線C18(図示都合上、点で示す)、ステアリングリンク75前後の球面軸受け75a,75bの揺動中心75ac,75bcを結ぶ四角形sq4は、概ね平行四辺形とされる。これにより、操向ハンドル11の回動角とベルクランク部材76の回動角とが略同一になる(図7(b)、図7(c)参照)。
すなわち、中継軸77の軸線C18、左右タイロッド78L,78R内外の球面軸受け78aL,78bL,78aR,78bRの揺動中心78acL,78bcL,78acR,78bcR、及び左右キングピン軸線C4L,C4Rを車体左右でそれぞれ結ぶ左右の四角形sq5L,sq5Rは、それぞれ軸線C18及び左右キングピン軸線C4L,C4R間の距離が左右タイロッド78L,78R内外の揺動中心78acL,78bcL,78acR,78bcR間の距離よりも長く形成される。
車体の左右揺動は、上下揺動軸25,27と平行な前上がりの軸中心になされることから、左右前輪2L,2Rを接地させたまま車体を左右揺動させようとすると、左右前輪2L,2Rが車体に対する上下動に伴い前後方向にも互い違いに移動しようとする。したがって、左右前輪2L,2Rにブレーキをかけて静止させることで、車体を左右揺動させようとしてもこの揺動が制限される。
そして、1G状態からクッションユニット54をストロークさせてトレーリングアーム52を揺動させると、前輪2は上下動に伴い前後方向にも移動しようとする。したがって、左右前輪2L,2Rにブレーキをかけて静止させることで、左右クッションユニット54が別個にストロークすることによる車体の左右揺動が制限される。
図10に示すように、揺動ダンパー38は、直方体形状のハウジング38a内に扇形状の油室91を含む油圧回路90を形成する。
図10は、図9と同方向から見たダンパー揺動軸39、揺動レバー41、ベーン92及び油室91とともに油圧回路90の構成を示す説明図である。
扇形状の油室91は、ダンパー揺動軸39と一体揺動するベーン92によって二つの油室に区画される。以下、ベーン92の図中左側に画定される油室を左回り油室91a、図中右側に画定される油室を右回り油室91bという。
第一ロータリーバルブ94aには第一油路93a、第一連通油路95及び第二連通油路96が接続され、弁体の回動により第一油路93aと第一連通油路95及び第二連通油路96の何れか一方とを択一的に連通させる。
第二ロータリーバルブ94bには第二油路93b、第一連通油路95及び第二連通油路96が接続され、弁体の回動により第二油路93bと第一連通油路95及び第二連通油路96の何れか一方とを択一的に連通させる。
図中符号99は例えば起こし上流油路98に接続されたアキュムレータを示し、油圧回路90内の作動油の膨張や収縮による容量変化を吸収する。
次に、第一実施形態の作用について説明する。
揺動ロックがなされていること(停車中であること)を揺動ロックスイッチSWyが検知している場合は、コントロールバルブ100への通電はされない。
揺動ロックが解除されると、第一油路93aにおけるノーマルオープンのコントロールバルブ100への通電がなされ、第一油路93aの作動油の流通が遮断される。
この状態で、揺動車両の車体が左側に倒れ込むと(図9(b)参照)、図11に示すように、揺動レバー41及びダンパー揺動軸39が左回り(図では右回り)に回動し、ベーン92の揺動により左回り油室91aが狭小となる。これにより、図中矢印F1で示すように、左回り油室91a内の作動油が第一油路93aから第一ロータリーバルブ94aに至り、複数の油路を経て第二ロータリーバルブ94bに至った後、第二油路93bから右回り油室91b内に戻る。
倒れ減衰回路101の倒れ減衰油路102は、チェックバルブ102b及び倒れ減衰バルブ102aを介して作動油を流通させる。このとき、倒れ減衰バルブ102aの作動により、作動油の流通抵抗を変化させ、もって揺動ダンパー38が発生する減衰力を可変とする。
倒れ減衰バルブ102aは、コントロールバルブ100が第一油路93aを閉じた際の減衰力を越えない範囲で、揺動ダンパー38が発生する減衰力を増減させる。
何らかの原因で倒れ減衰油路102が閉じてしまった場合、作動油がリリーフ油路103のリリーフバルブ103aを開いて倒れ上流油路97から起こし上流油路98へ流れる。
起こし減衰回路105の起こし減衰油路106は、チェックバルブ106b及び起こし減衰バルブ106aを介して作動油を流通させる。このとき、起こし減衰バルブ106aの作動により、作動油の流通抵抗を変化させ、もって揺動ダンパー38が発生する減衰力を可変とする。
起こし減衰バルブ106aの作動により発生する減衰力は、倒れ減衰バルブ102aの作動により発生する減衰力よりも十分に小さくされる。
何らかの原因で起こし減衰油路106が閉じてしまった場合、作動油がリリーフ油路107のリリーフバルブ107aを開いて起こし上流油路98から倒れ上流油路97へ流れる。
揺動ダンパー38は、揺動ロックスイッチSWyがオンになっているときは、コントロールバルブ100及び各減衰バルブ102a,106aへの通電を止めるため、通電電力が極小状態となる。
揺動ダンパー38は、揺動ロックスイッチSWyのオフに合わせてコントロールバルブ100のみ通電状態とし、鞍乗り型車両1が停車領域(0−5km/h)にある場合には、コントロールバルブ100を閉じて各減衰回路の作動油の流れをなくし、作動油の流動抵抗ひいては減衰力を最大にして車体の揺動を抑える。本実施形態では、車速センサーの検出誤差等も含めて5km/hまでは停車と判断する。
さらに、揺動ダンパー38は、鞍乗り型車両1が中車速領域(30−70km/h)にある場合には、低車速領域での制御に対し、減衰力を最小にして車体の揺動を最も軽快にする。
さらにまた、揺動ダンパー38は、鞍乗り型車両1が高車速領域(70km/h超)にある場合には、中車速領域での制御に対し、車速が増加するほど作動油の流動抵抗を大きくし、特に車体の倒れ込み時の減衰力を徐々に大きくして、外乱による車体の倒れ込みへの影響を抑える。
図13は、コントロールバルブ100及び倒れ減衰バルブ102aに通電する電流値と車速との関係を示すグラフであり、上段に倒れ減衰バルブ102aに対する通電量、下段にコントロールバルブ100に対する通電量を分けて示す。なお、本グラフは減衰力の傾向を示す一例であり、前記した揺動ダンパー38の減衰力の傾向と相違する部分もある。
その後、倒れ減衰バルブ102aは、車速が20km/hになるまでに電流値の低下を徐々に緩やかにし、20km/hから40km/hの間では電流値を一定の低い値(低い減衰力)に保つことで、操縦性を向上させつつロール拘束感を伴わない程度にふらつき低減のための減衰力を付加する。
前記した減衰力の制御は、揺動ダンパー38のハウジング38aに付設したダンパーECU(electric control unit、以下同様)によるコントロールバルブ100及び各減衰バルブ102a,106aの作動制御によりなされる。
揺動ダンパー38は、車体が揺動角0度の直立状態から左右何れかの方向へ倒れ込むように揺動する際には、揺動開始直後に倒れ込みに抗する概ね最大の減衰力を急峻に立ち上げ、この減衰力を車体の倒れ込みが停止するまで維持する。
その後、車体が起き上がる際には、その揺動開始直後に前記倒れ込みに抗する減衰力をキャンセルするとともに、起き上がりに抗する概ね最小の減衰力を発生させ、この減衰力を車体の揺動角がゼロ付近になるまで維持する。
ここで、揺動角センサーの検出値は、鞍乗り型車両1のエンジンに付設された変速機の自動変速制御にも用いられる。具体的には、図15を参照し、中車速領域以上の車速域において、前記変速機を作動制御するECUは、揺動角センサーの検出値に基づき、例えば車体の揺動角が所定角度(例えば30度)以上か否かを判定し、この判定がYESの場合には、自動変速制御を禁止する。なお、低車速領域においては、自動変速禁止制御をせず、中車速領域から制御をすることが好ましい。
この構成によれば、車体の倒れ込み時には減衰力を高くして車体の倒れ込みを緩やかにする一方、車体の起き上がり時には減衰力を低くして車体の起き上がりをスムーズにすることができる。すなわち、車体の揺動に対する安心感を維持しつつ、ロールの軽快感を確保することができる。
また、上記実施形態では、車体の左右揺動時には自動変速を禁止することで、車体揺動時に意図しない変速を禁止し、自動変速による車体の左右揺動への影響を回避することができる。
次に、油圧回路の第二実施形態について図17を参照して説明する。
第二実施形態の油圧回路90’は、第一実施形態に対して、起こし減衰回路105に代わり、チェックバルブ106bのみを含む起こし油路106’を有する点で特に異なる。その他の、第一実施形態と同一構成には同一符号を付して詳細説明は省略する。
次に、油圧回路の第三実施形態について図18を参照して説明する。第一実施形態と同一構成には同一符号を付して詳細説明は省略する。
第一連通油路114aは、第一油路111aから第三油路111cへの作動油の流通を可能とする一方、その逆の流通は不能とする逆止弁としての第一チェックバルブ115aを含む。第二連通油路114bは、第二油路111bから第三油路111cへの作動油の流通を可能とする一方、その逆の流通は不能とする逆止弁としての第二チェックバルブ115bを含む。
次に、第三実施形態の作用について説明する。
まず、揺動車両の車体の直立状態では、ベーン92は油室中央に位置し、この状態から車体が左側に倒れ込むと、揺動レバー41及びダンパー揺動軸39が左回り(図では右回り)に回動し、ベーン92の揺動により左回り油室91aが狭小となる。これにより、左回り油室91a内の作動油が第一油路111aに至り、第一連通油路114aと、減衰回路116を含む第三油路111cとを経て、拡張した右回り油室91b内に戻る。
なお、右回り油室91b内の作動油が第二油路111b及び第二連通油路114bを流れ、かつ減衰回路116を含む第三油路111cを流れた後に左回り油室91aに戻る経路もあるが、各中間連通油路112a,112bのチェックバルブ113a,113bは各連通油路114a,114bのチェックバルブ115a,115bよりも低い油圧で開弁する設定となっており、右回り油室91b内の作動油が第二油路111b、第二連通油路114b及び減衰回路116を流れて左回り油室91aに戻ることはない。
なお、左回り油室91a内の作動油が第一油路111a及び第一連通油路114aを流れ、かつ減衰回路116を含む第三油路111cを流れて右回り油室91bに至る経路もあるが、前述した各チェックバルブ113a,113b,115a,115bの設定により、左回り油室91a内の作動油が第一油路111a、第一連通油路114a及び減衰回路116を流れて右回り油室91bに戻ることはない。
第三実施形態における揺動車両の揺動制御システムにおいても、第一実施形態の同様、車体の安心感と軽快感とを両立させることができる。また、車体の倒れ込み時に発生する減衰力を任意の車両状態に応じて調整可能とすることができる。
本実施形態では、車体前部に左右一対の前輪を備えるとともに車体後部に単一の後輪を備えた揺動三輪車に適用した例を示したが、車体前部に単一の前輪を備えるとともに車体後部に左右一対の後輪を備えた揺動三輪車や、車体前部に左右一対の前輪を備えるとともに車体後部に左右一対の後輪を備えた揺動四輪車に適用してもよい。
上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
2 前輪(車輪)
4 前二輪懸架装置(揺動機構)
38 揺動ダンパー
90,90’,110 油圧回路
102 倒れ減衰油路(車体の揺動時に作動油が流通する油路、車体の倒れ込み時に作動油が流通する油路)
102a 倒れ減衰バルブ(減衰バルブ)
106 起こし減衰油路(車体の揺動時に作動油が流通する油路)
106a 起こし減衰バルブ(減衰バルブ)
117 減衰油路(車体の揺動時に作動油が流通する油路、車体の倒れ込み時に作動油が流通する油路)
117a 減衰バルブ
Claims (5)
- 左右一対の車輪(2)と、
前記左右一対の車輪(2)を接地させた状態でこれらを車体の左右の揺動に合わせて左右に揺動させる揺動機構(4)と、
前記車体の左右の揺動に対して減衰力を付加する揺動ダンパー(38)と、を備える揺動車両(1)の揺動制御システムであって、
前記揺動ダンパー(38)は、前記車体の起き上がり時に発生する減衰力を、前記車体の倒れ込み時に発生する減衰力よりも低く設定することを特徴とする揺動車両の揺動制御システム。 - 前記揺動ダンパー(38)は、前記減衰力の発生を制御する油圧回路(90’,110)を備え、
前記油圧回路(90’,110)は、前記車体の倒れ込み時に作動油が流通する油路(102,117)にのみ減衰手段(102a,117a)を有することを特徴とする請求項1に記載の揺動車両の揺動制御システム。 - 前記揺動ダンパー(38)は、前記減衰力の発生を制御する油圧回路(90,90’,110)を備え、
前記油圧回路(90,90’,110)は、前記車体の揺動時に作動油が流通する油路(102,106,117)に減衰手段(102a,106a,117a)を有し、
前記減衰手段(102a,106a,117a)は、車速に応じて前記揺動ダンパー(38)が発生する減衰力を可変とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の揺動車両の揺動制御システム。 - 前記揺動車両(1)は、アンチロックブレーキシステムを備え、
前記揺動ダンパー(38)は、前記アンチロックブレーキシステムによるブレーキ減圧作動時に、前記車体の倒れ込み時の減衰力を高めることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の揺動車両の揺動制御システム。 - 前記揺動車両(1)は、車体の左右揺動角を検出する検出手段と、電子制御式の自動変速機と、を備え、
前記自動変速機は、前記検出手段の検出値が所定以上のときに自動変速を禁止することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の揺動車両の揺動制御システム。
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