JP2015120670A - 1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】工業的に実施可能な方法で、効率的かつ経済的に1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンを製造する方法を提供する。
【解決手段】1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエタンを相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液を接触させることにより脱塩酸反応させることを特徴とする1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエタンを相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液を接触させることにより脱塩酸反応させることを特徴とする1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンの製造方法に関する。
最近、温室効果ガス規制の高まりによって、より低い地球温暖化係数(GWP)を有する代替品が求められており、次世代の発泡剤として、1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレン(HCFO−1122a)が注目されている。なお、本明細書において、ハロゲン化炭化水素については化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、本明細書では必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いることもある。
上記HCFO−1122aを製造する方法としては、有機アルカリ試薬を使用して、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエタン(HCFC−132)を脱塩酸反応させる方法が知られている(非特許文献1参照)。しかしながら、この方法では脱塩酸に用いる有機アルカリ試薬の活性が低いことから、原料の転化率を高めるために、100〜120℃という高温の反応条件を設定する必要があった。その結果、脱塩酸反応だけでなく、副反応である脱フッ酸反応も進行し、目的生成物であるHCFO−1122aの選択率が低下する点が問題であった。
また、上記脱塩酸反応の原料であるHCFC−132の製造方法として、1,2−ジフルオロエタン(HFC−152)の四塩化炭素中での塩素化反応が知られている(非特許文献2)。しかしながら、この方法では、目的物質であるHCFC−132とは、導入される塩素の数や位置が異なる複数の副生成物の副生を抑制できず、HCFC−132を選択的に効率よく製造できる方法とは言い難かった。
このように、次世代の発泡剤として期待されているHCFO−1122aについて工業的に効率よく製造する方法については、いまだ知られていないのが現状である。
Zhurnal Organicheskoi Khimii, 18(5), 938-45; 1982
Journal of Fluorine Chemistry 62(2-3),111-18;1993
本発明は、工業的に実施可能な方法で、効率的かつ経済的に1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレン(HCFO−1122a)を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエタン(HCFC−132)を相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液を接触させることにより脱塩酸反応させることを特徴とする1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレン(HCFO−1122a)の製造方法を提供する。
本発明の製造方法に原料として用いるHCFC−132は、例えば、1,2−ジフルオロエチレン(HFO−1132)と塩素とを溶媒存在下で反応させて得られる。
本発明の製造方法によれば、工業的に実施可能な方法で、効率的かつ経済的に1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレン(HCFO−1122a)を製造することが可能である。
本発明のHCFO−1122aの製造方法は、原料としてHCFC−132を用い、該HCFC−132を相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液と接触させることにより脱塩酸させることを特徴とするものである。この反応は、以下の反応式(1)で示される脱塩酸反応である。
本発明のHCFO−1122aを製造する方法において原料として使用するHCFC−132は、含フッ素化合物の製造原料または中間体として用いられることが知られる化合物である。例えば、上記非特許文献2に示されるようにHFC−152を塩素化して得られる。また、HFO−1132の塩素化によっても得られる。
(1)HFO−1132の塩素化反応によるHCFC−132の製造
HFO−1132の塩素化反応では、以下の反応式(2)に示すとおり、1,2−ジフルオロエチレン(HFO−1132)と塩素とを溶媒存在下で反応させて、HCFC−132を生成させる。
HFO−1132の塩素化反応では、以下の反応式(2)に示すとおり、1,2−ジフルオロエチレン(HFO−1132)と塩素とを溶媒存在下で反応させて、HCFC−132を生成させる。
HFO−1132の塩素化反応に用いられる溶媒としては、原料であるHFO−1132および塩素を溶解することが可能であり、原料に対して不活性である溶媒が特に制限なく挙げられる。溶媒としては、さらに、この反応における目的生成物であるHCFC−132と蒸留等によって分離が容易である溶媒が好ましい。
このような溶媒として、具体的には、四塩化炭素、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエタン(HCFC−132)、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(CFC−113)、CF3(CF2)nCF3(ただし、式中nは3〜6の整数を表す。)で表わされる炭素数5〜8の直鎖パーフルオロアルキル化合物、ヘキサクロロアセトン等のパーハロ化合物を挙げることができる。本発明においては、四塩化炭素、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエタン(HCFC−132)が好ましい。低コストで、目的生成物であるHCFC−132(沸点42℃)と十分な沸点差を有することから四塩化炭素(沸点76.8℃)が好ましい。
また、溶媒として上記のとおり本反応の目的生成物であるHCFC−132自体を用いることも可能である。これは、HCFC−132の塩素化反応よりも、HFO−1132の塩素化反応等が選択的に進行することによる。このため、HCFC−132自体を溶媒に用いた場合の収率と、例えば、上記四塩化炭素を溶媒として用いた場合の収率との差は小さく、製造上問題にならない程度である。また、HCFC−132自体を溶媒とした場合、生成物と溶媒との分離精製を行う必要がないことから、工程数が削減され蒸留によるエネルギー消費を省くことができ、効率のよいHCFC−132の製造が可能となる。よって、HFO−1132の塩素化反応の溶媒としては、HCFC−132を用いることが好ましい。
なお、HFO−1132の塩素化反応により得られる副生物としては、例えば、以下の表1に示すハロゲン化炭化水素が挙げられる。表1において、HCFO−1122a、CFO−1112等のハロゲン化オレフィンは、HFO−1132の水素原子が塩素原子に置換された副生物であり、その際には併せて塩酸が副生される。また、HCFC−142a、HCFC−122a、CFC−112は、HFO−1132および上記副生されたハロゲン化オレフィンに塩素や塩酸が付加して副生した飽和のハロゲン化炭化水素化合物である。このように、HFO−1132の塩素化反応における副生物は、HCFC−132自体からは殆ど生成しないと考えられる。このような観点からも、該塩素化反応における溶媒としてのHCFC−132自体の適性は高いといえる。
上記HFO−1132の塩素化反応に用いる溶媒の量としては、該塩素化反応の原料となるHFO−1132と塩素が溶解できる量であれば特に制限されない。具体的には、原料であるHFO−1132と塩素の合計量100質量部に対して1〜10000質量部が好ましく、原料の溶解性および反応器体積の観点から200〜600質量部がより好ましい。
上記HFO−1132の塩素化反応においては、反応を促進するために、HFO−1132および塩素からなる原料(I)(以下、単に原料(I)ともいう。)に光を照射することが好ましい。照射する光としては、400〜750nmの波長域の光、いわゆる可視光線が、高い反応活性が得られる点、および目的生成物であるHCFC−132の選択率を高くできる点から好ましい。なお、照射する光に400nm未満の波長の紫外線や750nmを超える波長の赤外線が含まれていてもよい。
ただし、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ラインプ、メタルハライドランプ等を用いて、波長400nm未満の紫外線量の強い光を原料(I)に照射した場合、上記反応式(2)で示される反応における目的生成物(HCFC−132)の選択率が低下することがある。これは、原料(I)に紫外線等の高エネルギー線を照射すると、反応活性は高まるものの、反応の制御が困難となることに起因する。したがって、HFO−1132の塩素化反応で用いる光は、400nm未満の波長の光がカットされた光が好ましい。
また、750nmを超える波長の赤外線のみを原料(I)に照射した場合は、光照射による反応活性の向上があまり期待できず効率的でない。なお、750nmを超える波長の赤外線は、目的生成物(HCFC−132)の選択率に大きく影響を与えるものではないため、特に750nmを超える波長域の光をカットしなくともよい。
上記反応式(2)で示される反応において、原料(I)に400〜750nmの波長域の光の照射を効率よく行える光源としては、例えば、蛍光灯や白熱灯が挙げられる。通常、蛍光灯や白熱灯から得られる光は波長400nm未満の紫外線を含む。上記の理由から、これらの光源は、少なくとも波長400nm未満の紫外線をカットできるフィルタを装着して用いることが好ましい。
原料(I)に光を照射する方法としては、反応時間を通じて原料(I)を含む反応液全体に均一に光照射できる方法であれば特に制限されない。例えば、少なくとも上記反応に有用な波長の光を透過し、原料(I)、溶媒および反応生成物を含む反応液成分に不活性で、耐蝕性の材料で構成されたジャケットを装着した光源を反応液中に挿入し、反応液内部から反応液中の原料(I)に対して光を照射する等の方法が挙げられる。また、光源が熱を発生する場合には、反応温度によっては、上記ジャケットは冷却手段を有するジャケットであることが好ましい。
上記反応式(2)で示される溶媒中でのHFO−1132の塩素化反応(以下、反応(2)ともいう。)における原料、すなわちHFO−1132と塩素は、それぞれ別々に反応器に供給されてもよく、予め混合された状態で供給されてもよい。
また、ある反応様態において、HFO−1132と塩素はそれぞれガス状態で供給されてもよく、液状態で供給されてもよい。
また、ある反応様態において、HFO−1132と塩素はそれぞれガス状態で供給されてもよく、液状態で供給されてもよい。
上記反応式(2)で示される溶媒中でのHFO−1132の塩素化反応における反応温度は、反応時の圧力条件に応じて適宜調整される。反応(2)の圧力条件については、例えば反応時間の短縮、内容物の揮発を抑制する等の目的で加圧条件とすることが可能である。
反応(2)は、通常、原料(I)を溶媒に溶解した混合液を導入した反応器内で行われる。反応(2)における反応の際の圧力は、反応器内の内圧として示される。反応器内の圧力は、ゲージ圧で0〜4.0MPaとすることが好ましく、0〜1.0MPaの範囲がさらに好ましい。なお、ゲージ圧「0MPa」は常圧を示す。工業的には生産性の観点から加圧条件で反応を行うことが好ましい。
反応(2)が行われる上記反応器の材質としては、原料(I)、溶媒および反応生成物を含む反応液成分に不活性で、耐蝕性の材質であれば特に制限されない。このような反応器の材質としては、通常、反応(2)と同様の化学反応等で使用される反応器の材質、例えば、ガラス、鉄、ニッケルあるいはこれらを主成分とする合金、樹脂等を挙げることができる。なお、耐圧と腐食性の観点から、反応器の内面が樹脂でライニングされた上記合金製の反応容器が好ましく使用される。
反応(2)における反応温度は、より高い反応活性および目的生成物であるHCFC−132の選択率を得る観点から0〜200℃とすることが好ましい。なお、上記のとおり反応温度は、反応時の圧力条件により調整される。例えば、反応(2)を常圧で行う場合の反応温度は、反応活性およびHCFC−132の選択率の観点から0〜60℃とすることが好ましく、0〜15℃がより好ましい。
反応(2)における、原料(I)としてのHFO−1132と塩素の供給比率は、反応活性およびHCFC−132の選択率の観点から、HFO−1132の供給モル量に対する塩素の供給モル量(以下、「塩素/HFO−1132」とも示す。)として、0.1〜10の範囲が好ましく、0.8〜1.2の範囲が特に好ましい。
反応(2)は、半連続式、バッチ式、連続流通式のいずれの方法でも実行可能である。なお、反応時間は各様式により一般的な方法で適宜調整することができる。反応器への原料(I)、すなわちHFO−1132と塩素の供給は、各所定量を成分毎に、または各所定量を含む混合物として行うことができる。原料(I)の供給は、必要に応じて窒素等の不活性ガスで希釈して行ってもよい。なお、原料(I)の供給は、上記混合物として行うことが好ましい。
半連続式の場合は上記原料(I)を、反応時に時間当たりの所定量を成分毎にまたは混合物として断続的または連続的に反応液に吹き込むことによって行う。バッチ式の場合は、反応器に仕込んだ溶媒に対し、所定量の原料(I)を仕込むことによって実行可能である。また連続流通式の場合、例えば、溶媒を仕込んだ反応器の下部より原料(I)を供給し、反応器上部より反応終了後の反応生成物を含む液を、反応粗液としてオーバーフローさせて取りだす等の方法で実施可能である。
また、反応(2)に際しては、半連続式、バッチ式、連続流通式のいずれの方法においても、通常の方法、装置等を用いて、撹拌の操作を加えることが好ましい。
上記のようにして、反応式(2)にしたがって、HFO−1132と塩素を反応させて得られる反応粗液は、目的生成物であるHCFC−132および未反応原料、溶媒、上記副生物等を含有する。得られる反応粗液から目的生成物であるHCFC−132を分離する方法としては、通常の分離方法、例えば、水洗により塩素を除去し、蒸留操作によって、溶媒および副生物を除去する方法が挙げられる。蒸留操作を繰り返し行うことで、望まれる純度までHCFC−132を精製することが可能である。
このようにして得られるHCFC−132を本発明のHCFO−1122aの製造方法の原料として用いることができる。上記反応式(2)にしたがうHCFC−132の製造方法は新規な方法であり、条件の設定によりHCFC−132を選択的に高収率で得ることができる。なお、本発明のHCFO−1122aの製造方法の原料として用いるHCFC−132の入手方法はこれに限定されない。
本発明のHCFO−1122aの製造方法においては、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、HCFC−132とそれ以外の有機化合物を含有する原料組成物を用いてもよい。該原料組成物が含有する、HCFC−132以外の有機化合物として、具体的には、上記反応(2)による副生物や溶媒等が挙げられる。HCFC−132以外の有機化合物の含有量は原料組成物全量に対して10質量%未満であることが好ましい。
以下に、原料としてHCFC−132を用い上記反応式(1)にしたがい、これを脱塩酸させる本発明のHCFO−1122aの製造方法について説明する。
以下に、原料としてHCFC−132を用い上記反応式(1)にしたがい、これを脱塩酸させる本発明のHCFO−1122aの製造方法について説明する。
(2)HCFC−132の脱塩酸反応によるHCFO−1122aの製造
本発明のHCFO−1122aの製造方法は、上記反応式(1)に示すように、原料としてHCFC−132を用い、該HCFC−132を相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液と接触させることにより脱塩酸させることを特徴とするものである。上記反応式(1)で示される相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液と接触させてHCFC−132の脱塩酸を行う反応を以下、反応(1)ともいう。
本発明のHCFO−1122aの製造方法は、上記反応式(1)に示すように、原料としてHCFC−132を用い、該HCFC−132を相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液と接触させることにより脱塩酸させることを特徴とするものである。上記反応式(1)で示される相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液と接触させてHCFC−132の脱塩酸を行う反応を以下、反応(1)ともいう。
(2−1)アルカリ水溶液
反応(1)に用いるアルカリ水溶液としては、上記脱塩酸反応が実行可能な塩基性化合物の水溶液であれば、特に限定されない。具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等の無機の塩基性化合物や、アミン等の有機の塩基性化合物、アルカリ金属アルコキサイド等の水溶液が挙げられる。これらのなかでも、経済性の点から無機の塩基性化合物の水溶液を用いることが好ましく、反応活性、HCFO−1122aの選択率向上の観点から水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液を用いることがより好ましい。
反応(1)に用いるアルカリ水溶液としては、上記脱塩酸反応が実行可能な塩基性化合物の水溶液であれば、特に限定されない。具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等の無機の塩基性化合物や、アミン等の有機の塩基性化合物、アルカリ金属アルコキサイド等の水溶液が挙げられる。これらのなかでも、経済性の点から無機の塩基性化合物の水溶液を用いることが好ましく、反応活性、HCFO−1122aの選択率向上の観点から水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液を用いることがより好ましい。
上記脱塩酸反応に用いるアルカリ水溶液の濃度は、上記脱塩酸反応が促進される点から、0.5〜80質量%が好ましく、5〜50質量%が特に好ましい。また、上記脱塩酸反応後に生じる副生物である塩、例えば金属水酸化物を用いた際に生じる金属塩化物または金属フッ化物の析出を抑制する点から0.5〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%が特に好ましい。
また、上記反応式(1)に示される脱塩酸反応に用いるアルカリ水溶液の量は、上記脱塩酸反応が実行可能な量であれば特に制限されない。アルカリ水溶液の量は、原料であるHCFC−132の量に対して、0.5〜5.0モル当量のアルカリ量となるように調整されることが好ましく、0.8〜2.0モル当量のアルカリ量がより好ましく、1.0〜1.3モル当量のアルカリ量が特に好ましい。
上記反応式(1)に示される脱塩酸反応においては、原料として用いるHCFC−132とこれに作用する上記アルカリ水溶液は相溶性がないため、両者の接触を効率的に実施するために本発明の製造方法においては、水にも非水溶性の有機溶媒にも可溶な相間移動触媒を用いて反応を行うものである。
(2−2)相間移動触媒
本発明において上記反応式(1)で示す脱塩酸反応に用いる、相間移動触媒としては、一般的に用いられる相間移動触媒を特に制限なく挙げることができ、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第4級アルソニウム塩、スルホニウム塩、クラウンエーテル等が挙げられるが、なかでも第4級アンモニウム塩または第4級ホスホニウム塩が好ましい。
本発明において上記反応式(1)で示す脱塩酸反応に用いる、相間移動触媒としては、一般的に用いられる相間移動触媒を特に制限なく挙げることができ、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第4級アルソニウム塩、スルホニウム塩、クラウンエーテル等が挙げられるが、なかでも第4級アンモニウム塩または第4級ホスホニウム塩が好ましい。
上記第4級アンモニウム塩として、具体的には、下記一般式(i)で表される化合物(以下、必要に応じて、化合物(i)という。)が挙げられる。
なお、上記一般式(i)において、炭化水素基を表すR11〜R14は、より具体的には、以下の特性を有する基である。
R11〜R14としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基等が挙げられ、アルキル基、アリール基が好ましい。
R11〜R14の炭素数は、R11R12R13R14N+の1分子あたりの合計炭素数として、4〜100が好ましい。
R11〜R14は、それぞれ同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。
R11〜R14は、それぞれ同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。
R11〜R14は、反応条件下に不活性な官能基で置換されていてもよい。該不活性な官能基としては、反応条件に応じて異なるが、ハロゲン原子、エステル基、ニトリル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシル基等が挙げられる。
R11〜R14は、互いに連結して、含窒素複素環等の複素環を形成していてもよい。
R11〜R14は、高分子化合物の一部であってもよい。
R11〜R14は、高分子化合物の一部であってもよい。
このようなR11〜R14を有する第4級アンモニウムイオンR11R12R13R14N+として具体的には、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラ−n−プロピルアンモニウムイオン、テトラ−n−ブチルアンモニウムイオン、トリ−n−オクチルメチルアンモニウムイオン、セチルトリメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、セチルベンジルジメチルアンモニウムイオン、セチルピリジニウムイオン、n−ドデシルピリジニウムイオン、フェニルトリメチルアンモニウムイオン、フェニルトリエチルアンモニウムイオン、N−ベンジルピコリニウムイオン、ペンタメトニウムイオン、ヘキサメトニウムイオン等が挙げられる。
また、上記一般式(i)において、陰イオンを表すY−として具体的には、塩素イオン、フッ素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、硫酸水素イオン、水酸イオン、酢酸イオン、安息香酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン等が挙げられ、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸水素イオンまたは水酸イオンが好ましい。なお、二価以上の陰イオンについては式(i)において電荷のバランスが取れるようにモル数が調整される。
ここで、化合物(i)としては、化合物(i)の汎用性および反応活性の点から、下記R11R12R13R14N+と、下記Y−との組み合わせが好ましい。
R11R12R13R14N+:テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラ−n−プロピルアンモニウムイオン、テトラ−n−ブチルアンモニウムイオンまたはトリ−n−オクチルメチルアンモニウムイオン。
Y−:フッ素イオン、塩素イオンまたは臭素イオン。
Y−:フッ素イオン、塩素イオンまたは臭素イオン。
上記第4級ホスホニウム塩として、具体的には、下記一般式(ii)で表される化合物(以下、必要に応じて、化合物(ii)という。)が挙げられる。
なお、上記一般式(ii)において、炭化水素基を表すR21〜R24は、より具体的には、以下の特性を有する基である。
R21〜R24としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基等が挙げられ、アルキル基、アリール基が好ましい。
R21〜R24の炭素数は、R21R22R23R24P+の1分子あたりの合計炭素数として、4〜100が好ましい。
R21〜R24の炭素数は、R21R22R23R24P+の1分子あたりの合計炭素数として、4〜100が好ましい。
R21〜R24は、それぞれ同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。
R21〜R24は、反応条件下に不活性な官能基で置換されていてもよい。該不活性な官能基としては、反応条件に応じて異なるが、ハロゲン原子、エステル基、ニトリル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシル基等が挙げられる。
R21〜R24は、反応条件下に不活性な官能基で置換されていてもよい。該不活性な官能基としては、反応条件に応じて異なるが、ハロゲン原子、エステル基、ニトリル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシル基等が挙げられる。
このようなR21〜R24を有する第4級ホスホニウムイオンR21R22R23R24P+として具体的には、テトラエチルホスホニウムイオン、テトラ−n−ブチルホスホニウムイオン、トリ−n−オクチルエチルホスホニウムイオン、セチルトリエチルホスホニウムイオン、セチルトリ−n−ブチルホスホニウムイオン、n−ブチルトリフェニルホスホニウムイオン、n−アミルトリフェニルホスホニウムイオン、メチルトリフェニルホスホニウムイオン、ベンジルトリフェニルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン等が挙げられる。
また、上記一般式(ii)において、陰イオンを表すY−として具体的には、塩素イオン、フッ素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、硫酸水素イオン、水酸イオン、酢酸イオン、安息香酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン等が挙げられ、フッ素イオン、塩素イオンまたは臭素イオンが好ましい。
相間移動触媒の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラ−n−プロピルアンモニウムブロミド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、トリ−n−オクチルメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられるが、なかでも経済性、安全性の観点からテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドが好ましい。
上記相間移動触媒の量は、用いる原料、すなわちHCFC−132の100質量部に対して、0.001〜10質量部となる量が好ましく、より好ましくは0.01〜1質量部である。
(2−3)脱塩酸反応
上記反応式(1)に示す脱塩酸反応は具体的には、原料のHCFC−132と、上記アルカリ水溶液と、上記相間移動触媒を上記の割合で反応器に導入し、これらが十分に接触するように一般的な手段によって撹拌等を行うことで実行される。
上記反応式(1)に示す脱塩酸反応は具体的には、原料のHCFC−132と、上記アルカリ水溶液と、上記相間移動触媒を上記の割合で反応器に導入し、これらが十分に接触するように一般的な手段によって撹拌等を行うことで実行される。
上記脱塩酸反応における反応温度は特に限定されないが、反応活性の観点から0〜200℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。目的生成物であるHCFO−1122aの選択率の観点から、0〜100℃が好ましく、0〜60℃がより好ましい。なお、反応温度は反応時の反応容器の圧力状態により適宜調節される。例えば、常圧で上記脱塩酸反応を行う場合には、反応温度は0〜50℃の範囲が好ましく、原料のHCFC−132の転化率向上の観点から、30〜50℃の反応温度がより好ましい。また、上記脱塩酸反応を加圧反応容器中で実施することも可能であり、その場合は、反応速度向上の観点から、反応圧力がゲージ圧で0〜1.0MPa、反応温度が50〜80℃の反応条件が好ましい。
なお、上記のとおり、目的生成物であるHCFO−1122aの選択率向上の観点からは、常圧で反応温度が30〜50℃の反応条件が好ましい。
上記反応(1)は、半連続式、バッチ式、連続流通式のいずれの方式でも実行可能であり、反応時間は各様式により一般的な方法で適宜調整できる。また、この反応が行われる反応器の材質として、原料、相間移動触媒、アルカリ水溶液および反応生成物を含む反応液成分に不活性で、耐蝕性の材質であれば特に制限されない。このような反応器の材質として、具体的には、上記反応(2)における反応器と同様の材質、例えば、ガラス、鉄、ニッケルあるいはこれらを主成分とする合金等を挙げることができる。
本発明の製造方法によれば、例えば常圧で上記の反応を行う場合には脱塩酸反応の進行に伴い、生成物のHCFO−1122aはガス状態で反応系外へ放出され、回収することができる。この回収ガス成分には、目的生成物であるHCFO−1122a、未反応原料のHCFC−132の他に副生物が含まれ得る。一方、加圧状態で上記の反応を行う場合、反応終了後、反応液は、放置することで自然に有機相と水相に分離する。この有機相には、目的生成物であるHCFO−1122a、未反応原料のHCFC−132の他に副生物が含まれ得る。副生物としては、HCFC−132の脱フッ酸反応により得られる1,2−ジクロロフルオロエチレン(FClC=CHCl;HCFO−1121)等が挙げられる。
得られた有機相中のHCFO−1122a、HCFC−132、HCFO−1121は、それぞれ適当な沸点差を有しており、一般的な蒸留等による分離精製が可能な範囲である。したがって、上記有機相中のHCFO−1122aは、通常の方法で容易に分離精製されて、各種用途に使用可能となる。
以上説明したとおり、本発明のHCFO−1122a製造方法は、工業的に実施可能な方法であり、反応条件も穏やかであり、かつHCFO−1121等の副生物の生成を抑制でき、効率的かつ経済的な製造方法である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<HCFC−132の製造>
目的物質であるHCFO−1122aを上記反応式(1)にしたがってHCFC−132の脱塩酸反応で得るにあたり、原料となるHCFC−132を以下の製造例によって製造した。以下の製造例は、上記反応式(2)によるHCFC−132の製造例である。
目的物質であるHCFO−1122aを上記反応式(1)にしたがってHCFC−132の脱塩酸反応で得るにあたり、原料となるHCFC−132を以下の製造例によって製造した。以下の製造例は、上記反応式(2)によるHCFC−132の製造例である。
(製造例1)
−20℃に冷却した媒体を流通させたジムロート冷却器および400nm以下の波長の光をカットするフィルタ(バンガードBG−40W−R(商品名、中川ケミカル社製))を取り付けた蛍光灯(ネオコンパクトEFP12EL(商品名、東芝社製)、出力12W)を設置した、内容積1Lのガラス製反応器に撹拌子を入れ、溶媒として四塩化炭素を633.4g仕込んだ。
−20℃に冷却した媒体を流通させたジムロート冷却器および400nm以下の波長の光をカットするフィルタ(バンガードBG−40W−R(商品名、中川ケミカル社製))を取り付けた蛍光灯(ネオコンパクトEFP12EL(商品名、東芝社製)、出力12W)を設置した、内容積1Lのガラス製反応器に撹拌子を入れ、溶媒として四塩化炭素を633.4g仕込んだ。
この反応容器の液中にHFO−1132および塩素をHFO−1132と塩素の反応器への供給モル比が1.0となるよう、それぞれ32.4g/時間、35.9g/時間で導入しつつ、上記蛍光灯による光照射を行うとともに内温が15℃を超えないよう冷却しながら1.7時間の反応を行った。
上記反応終了後、溶媒を含む反応粗生成物を回収し、水洗を行い、溶存している塩素ガスを除去して反応粗液1(762.1g、回収率99.0%)を得た。このようにして得られた反応粗液1について、ガスクロマトグラフィー(以下、「GC」と示す。)分析を行った結果を表2に示す。さらに、得られた反応粗液1を蒸留することによって、純度99.9%のHCFC−132を107g回収した(蒸留収率78.9%)。
反応粗液における「回収率」は、上記反応の前後で、反応器に供給したHFO−1132と塩素の合計質量と反応器内に蓄積した液体成分の質量の増加量から計算される値として求めた。
GC分析として、GCのピーク面積比から各成分のモル組成を、GCのピーク面積から収率(以下、「GC収率」と記す。)をそれぞれ求めた。
また、GC分析において、溶媒のピーク面積を計算に入れずに上記同様にして、HFO−1132由来の成分のモル組成(「HFO−1132由来の各成分のモル組成」)および収率(「HFO−1132由来の各成分の収率」)を求めた。
また、GC分析において、溶媒のピーク面積を計算に入れずに上記同様にして、HFO−1132由来の成分のモル組成(「HFO−1132由来の各成分のモル組成」)および収率(「HFO−1132由来の各成分の収率」)を求めた。
さらに、GCから計算される反応粗液中のHFO−1132由来の各成分に対するHFO−1132のモル組成がX%であるとき、(100−X)%を、HFO−1132の転化率(反応率)として算出した。
反応したHFO−1132のうちで、HFO−1132以外の各成分に転化したのは各々何%かを示す「選択率」を、「各成分のモル組成/HFO−1132の転化率(反応率)」として算出した。
(製造例2)
上記製造例1において、溶媒として四塩化炭素の代わりにHCFC−132を527.3g反応器に仕込んだ以外は、製造例1と同様にして反応を行った。反応終了後、溶媒を含む反応粗生成物から水洗により溶存塩素ガスを除去し、反応粗液2(703.9g、回収率99.0%)を得た。このようにして得られた反応粗液2について、製造例1と同様に行ったGC分析結果を表2に示す。
上記製造例1において、溶媒として四塩化炭素の代わりにHCFC−132を527.3g反応器に仕込んだ以外は、製造例1と同様にして反応を行った。反応終了後、溶媒を含む反応粗生成物から水洗により溶存塩素ガスを除去し、反応粗液2(703.9g、回収率99.0%)を得た。このようにして得られた反応粗液2について、製造例1と同様に行ったGC分析結果を表2に示す。
(製造例3)
上記製造例1において、光源をフィルタ付き蛍光灯から高圧水銀灯(英光社製、400W)に代え、四塩化炭素を640.1g仕込んだ反応器を用いて、反応時間を4.6時間とした以外は、製造例1と同様の反応を行った。反応終了後、溶媒を含む反応粗生成物から水洗により溶存塩素ガスを除去し、反応粗液3(880.1g、回収率92.1%)を得た。このようにして得られた反応粗液3について、製造例1と同様に行ったGC分析結果を表2に示す。
上記製造例1において、光源をフィルタ付き蛍光灯から高圧水銀灯(英光社製、400W)に代え、四塩化炭素を640.1g仕込んだ反応器を用いて、反応時間を4.6時間とした以外は、製造例1と同様の反応を行った。反応終了後、溶媒を含む反応粗生成物から水洗により溶存塩素ガスを除去し、反応粗液3(880.1g、回収率92.1%)を得た。このようにして得られた反応粗液3について、製造例1と同様に行ったGC分析結果を表2に示す。
(製造例4)
ステンレス製のオートクレーブに四塩化炭素を488.7g仕込んだ後、HFO−1132と塩素をそれぞれ4.3gずつ、オートクレーブに導入した。ガス導入後に、反応器を75℃に昇温して、7時間加熱した後に一部、抜液し、GC測定を行った。この反応液について製造例1と同様に行ったGC分析結果を表2に示す。
ステンレス製のオートクレーブに四塩化炭素を488.7g仕込んだ後、HFO−1132と塩素をそれぞれ4.3gずつ、オートクレーブに導入した。ガス導入後に、反応器を75℃に昇温して、7時間加熱した後に一部、抜液し、GC測定を行った。この反応液について製造例1と同様に行ったGC分析結果を表2に示す。
<HCFO−1122aの製造>
上記で得られたHCFC−132を使用して上記反応式(1)にしたがいHCFO−1122aを製造した。
上記で得られたHCFC−132を使用して上記反応式(1)にしたがいHCFO−1122aを製造した。
(実施例1)
0℃に冷却した媒体を流通させたジムロート冷却器および、撹拌翼を設置した内容積500mLのガラス製反応器に、HCFC−132を100.5g仕込んだ後に、相間移動触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド(TBAC)を1.0g追加し、反応液を撹拌しながら反応液を10℃なるように冷却した。
0℃に冷却した媒体を流通させたジムロート冷却器および、撹拌翼を設置した内容積500mLのガラス製反応器に、HCFC−132を100.5g仕込んだ後に、相間移動触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド(TBAC)を1.0g追加し、反応液を撹拌しながら反応液を10℃なるように冷却した。
反応器に20%水酸化カリウム水溶液を水酸化カリウムとHCFC−132とのモル比(アルカリ当量=KOH/HCFC−132)が1.2となるように、5.4g/分の速度で33分間滴下した。滴下した水酸化カリウム水溶液の総量は178.6gであった。滴下終了後に反応器を加熱し、反応器温度が35℃になりHCFC−132が還流する条件で反応を行った。
反応の進行に伴い生じたHCFO−1122aを含む反応粗ガスを反応器出口に取り付けたポリフッ化ビニリデン製のバッグに回収し、反応液のHCFC−132を含む有機化合物の相が消失するまで8時間撹拌を続け反応を継続した。回収した反応粗ガスは98.2gであった。回収した反応粗ガスのGC分析の結果を表3に示す。
GC分析として、GCのピーク面積比から各成分のモル組成を、GCのピーク面積からGC収率をそれぞれ求めた。
転化率は、GCから計算される反応粗ガス中のHCFC−132のモル組成がX%であるとき、(100−X)%を、HCFC−132の転化率(反応率)として算出した。
転化率は、GCから計算される反応粗ガス中のHCFC−132のモル組成がX%であるとき、(100−X)%を、HCFC−132の転化率(反応率)として算出した。
反応したHCFC−132のうちで、HCFC−132以外の各成分に転化したのは各々何%かを示す「選択率」を、「各成分のモル組成/HCFC−132の転化率(反応率)として算出した。
(実施例2)
反応液内温が70℃となるように加熱したHCFC−132とTBACをそれぞれ101.0g、1.0g、20%水酸化カリウム水溶液を184g(アルカリ当量1.2)使用した以外は実施例1と同様に反応を行った。反応は4時間で終了し、反応粗ガス回収量は97.9gであった。回収した反応粗ガスのGC分析の結果を表3に示す。
反応液内温が70℃となるように加熱したHCFC−132とTBACをそれぞれ101.0g、1.0g、20%水酸化カリウム水溶液を184g(アルカリ当量1.2)使用した以外は実施例1と同様に反応を行った。反応は4時間で終了し、反応粗ガス回収量は97.9gであった。回収した反応粗ガスのGC分析の結果を表3に示す。
本発明の製造方法によれば、工業的に実施可能な方法で、効率的かつ経済的に、発泡剤として有用なHCFO−1122aを製造できる。
Claims (8)
- 1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエタンを相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液を接触させることにより脱塩酸反応させることを特徴とする1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンの製造方法。
- 前記1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエタンが、1,2−ジフルオロエチレンと塩素を溶媒存在下で反応させて得られる請求項1に記載の1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンの製造方法。
- 前記アルカリ水溶液の濃度が0.5質量%〜80質量%である請求項1または2記載の1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンの製造方法。
- 前記1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエタンを相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液と接触させる温度が、0〜200℃である請求項1〜3のいずれか1項に記載の1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンの製造方法。
- 前記溶媒が、四塩化炭素、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、CF3(CF2)nCF3(ただし、式中nは3〜6の整数を表す。)で表わされる炭素数5〜8の直鎖パーフルオロアルキル化合物、ヘキサクロロアセトンからなる群より選ばれる1種以上である請求項2〜4のいずれか1項に記載の1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンの製造方法。
- 前記1,2−ジフルオロエチレンと塩素の溶媒存在下での反応を、400〜750nmの波長域の光照射下で行う請求項2〜5のいずれか1項に記載の1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンの製造方法。
- 前記1,2−ジフルオロエチレンと塩素を溶媒存在下で反応させる温度が、0〜200℃である請求項2〜6のいずれか1項に記載の1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンの製造方法。
- 前記1,2−ジフルオロエチレンと塩素を溶媒存在下で反応させる圧力が、ゲージ圧で0〜4.0MPaである請求項2〜7のいずれか1項に記載の1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンの製造方法。
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-
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