JP2015116680A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層体に含まれる可塑剤が水によって抽出され難くかつ揮発し難く、含水率の高い積層体を低温及び低湿度の雰囲気で急激に乾燥させても積層体中で水や可塑剤がポリビニルアセタールと相分離し難く、亦水や可塑剤の層間へのブリードが起こりにくい積層体の提供。亦、合わせガラス用中間膜として長期間に亘って使用した場合であっても着色が起こり難く、耐久性に優れた積層体の提供。
【解決手段】平均残存水酸基量がX(モル%)であるポリビニルアセタール(A)、可塑剤(Ap)及び分散剤(Ad)を含むA層と、平均残存水酸基量がY(モル%)であるポリビニルアセタール(B)及び可塑剤(Bp)を含み、分散剤(Bd)を含んでいても良いB層とを備え、X≧Yであり、A層は、更に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む、積層体。含水率が0.5〜0.65質量%である積層体。
【選択図】なし

Description

本発明はポリビニルアセタールを含む積層体に関する。
ポリビニルアセタール及び可塑剤を含むシートは、ガラスとの接着性や透明性、また力学強度および柔軟性に優れることから合わせガラス用中間膜として広範に利用されている。
合わせガラス用中間膜は、その含水率が高くなると可塑剤のブリード(滲み出し)が起こることがあり、また倉庫等で保管する際、夏場など外気温が25℃〜40℃のように高くなると、そのような高温下では、該中間膜が変形したり、中間膜同士のブロッキングが起こったりしやすくなる。通常は空調設備などによって可塑剤のブリード、変形やブロッキングが起こらないように低温かつ低湿度に調節された倉庫等で保管される。
しかし、合わせガラス用中間膜の保管を行う際に、例えば空調設備の故障によって倉庫内が高温かつ高湿度になり、合わせガラス用中間膜の含水率が著しく高くなってしまうことがある。含水率の高い合わせガラス用中間膜をそのままにしておくと、該中間膜中で水や可塑剤が相分離したり、また、該中間膜の表面に可塑剤がブリードしたりして合わせガラス用中間膜の透明性や力学特性が低下することがある。
ところで、近年、遮音性を有する合わせガラス用中間膜として、多層合わせガラス用中間膜の検討がなされている。遮音性合わせガラス用中間膜としては、力学強度の発現またはガラスとの接着性の発現を目的とした可塑剤含有量の低い層と、遮音性の発現のための可塑剤含有量の高い層とが積層された、遮音性多層合わせガラス用中間膜が一般的に使用されている(特許文献1、2参照)。
多層合わせガラス用中間膜も含水率の高い状態で長時間保管すると含水率が著しく高くなり、該中間膜中で水や可塑剤が相分離したり、また該中間膜の表面に可塑剤がブリードしたりするため、かかる含水率の高くなった多層合わせガラス用中間膜は低温かつ低湿度の雰囲気下で乾燥させる必要がある。ところが、高含水率の多層合わせガラス用中間膜を低温かつ低湿度の雰囲気で急激に乾燥させると、該中間膜中で水や可塑剤がポリビニルアセタールと相分離して該中間膜が不透明になったり、また該中間膜の層間に水や可塑剤がブリードして層間剥離や透明性低下を引き起こしたりすることがある。これらを回避するためには温度および湿度を段階的に低下させながら乾燥を行う方法が挙げられるが、乾燥に長時間を要するという問題がある。
また、合わせガラス用中間膜は一般的に可塑剤を含有しており、合わせガラスの端部で該中間膜がむき出しとなった部分に付着した水により可塑剤が抽出され、ガラスと該中間膜が剥離したり気泡が生じたりして合わせガラスの外観が損なわれる場合があった。また可塑剤の種類によっては、合わせガラスの製造の際に減圧工程を経る場合や、長期使用した場合に合わせガラスの端部から可塑剤が揮発することがあった。
ところで、合わせガラス用中間膜を長期間にわたって使用した場合、紫外線により中間膜が劣化して、黄変するという問題がある。この問題に対処するため、合わせガラス用中間膜の耐候性を向上させる目的で、紫外線吸収剤を添加することが行われている。しかし、上述したように、多層からなる合わせガラス用中間膜に紫外線吸収剤を添加すると、長期間にわたって使用した場合に、十分にその効果が発揮できないことがあった。
特開2007−331959号公報 国際公開第2010/038801号
本発明は上記課題を解決するものであり、積層体に含まれる可塑剤が水によって抽出されにくくかつ揮発しにくく、含水率の高い積層体を低温および低湿度の雰囲気で急激に乾燥させても積層体中で水や可塑剤がポリビニルアセタールと相分離しにくく、また水や可塑剤の層間へのブリードが起こりにくい積層体を提供することを目的とする。また、合わせガラス用中間膜として長期間にわたって使用した場合であっても着色が起こりにくく、耐久性に優れた積層体を提供することを目的とする。
本発明によれば、上記の課題は、平均残存水酸基量がX(モル%)であるポリビニルアセタール(A)、可塑剤(Ap)及び分散剤(Ad)を含むA層と、平均残存水酸基量がY(モル%)であるポリビニルアセタール(B)及び可塑剤(Bp)を含み、分散剤(Bd)を含んでいても良いB層とを備え、X≧Yであり、
A層は、さらに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含み、A層中の可塑剤(Ap)の含有量に対する分散剤(Ad)の含有量の質量比が、B層中の可塑剤(Bp)の含有量に対する分散剤(Bd)の含有量の質量比より大きく、可塑剤(Ap)がm価アルコール1分子(mは2〜4の自然数を表す)と炭素数8〜20の一価カルボン酸m分子とのエステル化反応で得られる化学構造を有するエステル化合物であり、分散剤(Ad)が可塑剤(Ap)の少なくとも1つのエステル結合を加水分解して得られる化学構造を有しかつ(m−1)〜1個の水酸基と1〜(m−1)個のエステル結合を有する化合物であり、可塑剤(Bp)がn価アルコール1分子(nは2〜4の自然数を表す)と炭素数8〜20の一価カルボン酸n分子とのエステル化反応で得られる化学構造を有するエステル化合物であり、分散剤(Bd)が可塑剤(Bp)の少なくとも1つのエステル結合を加水分解して得られる化学構造を有しかつ(n−1)〜1個の水酸基と1〜(n−1)個のエステル結合を有する化合物である、積層体により解決される。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、式(1):
Figure 2015116680
に示す構造を有する化合物、または、式(1)に示す構造を有し、式(1)中の任意の炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一つが置換基により置換された化合物であることが好ましい。
前記置換基は少なくとも一つが炭素数4〜8の炭化水素基であることが好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は2以上の置換基を有する化合物であることが好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、式(1)中の水酸基が結合した芳香環において、水酸基のオルト位に置換基を有する化合物であることが好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の分子量は300〜800であることが好ましい。
m価アルコールは、縮合度が3〜20であるエチレングリコールの縮合体であることが好ましい。
n価アルコールは、縮合度が3〜20であるエチレングリコールの縮合体であることが好ましい。
ポリビニルアセタール(A)の平均残存水酸基量Xは20〜40モル%であることが好ましい。
ポリビニルアセタール(B)の平均残存水酸基量Yは10〜35モル%であり、平均残存ビニルエステル基量は0.01〜25モル%であることが好ましい。
A層におけるポリビニルアセタール(A)100質量部に対する可塑剤(Ap)の含有量が、B層におけるポリビニルアセタール(B)100質量部に対する可塑剤(Bp)の含有量より少ないことが好ましい。
A層における可塑剤(Ap)の含有量は、ポリビニルアセタール(A)100質量部に対して20〜60質量部が好ましい。
B層における可塑剤(Bp)の含有量は、ポリビニルアセタール(B)100質量部に対して30〜80質量部が好ましい。
前記一価カルボン酸は、カルボキシル基に隣接する炭素にカルボニル基以外の有機基が少なくとも2つ結合していることが好ましい。
三層以上の層からなる積層体であり、積層体の外層の二層のうち少なくとも一層がA層であることが好ましい。
少なくとも一方の表面に凹凸構造を有する積層体であることが好ましい。また、凹凸構造を有する表面の少なくとも一つの表面の十点平均粗さRzが30〜70μmである積層体であることが好ましい。
積層体の含水率が、0.5質量%以上0.65質量%未満であることが好ましい。
本発明によると、上記の目的は、前記積層体を含む合わせガラスを提供することで好適に達成される。
本発明によれば、積層体に含まれる可塑剤が水によって抽出されにくくかつ揮発しにくく、含水率の高い積層体を低温および低湿度の雰囲気で急激に乾燥させても積層体中で水や可塑剤がポリビニルアセタールと相分離しにくく、また水や可塑剤の層間へのブリードが起こりにくい積層体を提供できる。また、本発明によれば、合わせガラス用中間膜として長期間にわたって使用した場合であっても着色が起こりにくく、耐久性に優れた積層体を提供することができる。
本発明の積層体は、平均残存水酸基量がX(モル%)であるポリビニルアセタール(A)、可塑剤(Ap)及び分散剤(Ad)を含むA層と、平均残存水酸基量がY(モル%)であるポリビニルアセタール(B)及び可塑剤(Bp)を含み、分散剤(Bd)を含んでいても良いB層とを備える。
まず、本発明で使用するポリビニルアセタールについて説明する。
本発明で使用するポリビニルアセタール(A)の平均残存水酸基量Xは特に限定されないが、通常20〜40モル%が好ましく、23〜38モル%がより好ましく、25〜36モル%がさらに好ましく、26〜29モル%が特に好ましい。平均残存水酸基量Xが20モル%未満であると、得られる積層体の力学強度やガラスとの接着性が低下することがあり、また40モル%を超えると、可塑剤(Ap)との相溶性が著しく低下することがある。
ポリビニルアセタール(A)の平均アセタール化度は限定されないが、通常50〜78モル%が好ましく、60〜74モル%がより好ましく、65〜73モル%がさらに好ましい。平均アセタール化度が50モル%未満であると、可塑剤(Ap)との相溶性が著しく低下することがあり、また78モル%を超えると、得られる積層体の力学強度が低下することがある。
ポリビニルアセタール(A)の平均残存ビニルエステル基量は特に限定されないが、通常0.01〜15モル%が好ましく、0.01〜10モル%がより好ましく、0.01〜5モル%がさらに好ましい。平均残存ビニルエステル基量が0.01モル%未満のものは工業的に安価に生産することが困難であり、また15モル%を超えると、得られる積層体を長期間使用するとビニルエステル基が加水分解することに起因して積層体が着色しやすくなる。
本発明で使用するポリビニルアセタール(B)の平均残存水酸基量Yは特に限定されないが、通常10〜35モル%が好ましく、13〜33モル%がより好ましく、15〜30モル%がさらに好ましい。平均残存水酸基量Yが10モル%未満であると力学強度やガラスとの接着性が著しく低下することがあり、また35モル%を超えると可塑剤(Bp)との相溶性が低下することがある。
ポリビニルアセタール(B)の平均アセタール化度は限定されないが、通常60〜84モル%が好ましく、65〜82モル%がより好ましく、70〜80モル%がさらに好ましい。平均アセタール化度が60モル%未満であると可塑剤(Bp)との相溶性が低下することがあり、また84モル%を超えると、得られる積層体の力学強度が低下することがある。
ポリビニルアセタール(B)の平均残存ビニルエステル基量は特に限定されないが、通常0.01〜25モル%が好ましく、3〜16モル%がより好ましく、3〜15モル%がさらに好ましく、4〜13モル%が特に好ましい。平均残存ビニルエステル基量が0.01モル%未満のものは工業的に安価に生産することが困難であり、また可塑剤(Bp)との相溶性が低下することがある。また25モル%を超えると、得られる積層体を長期間使用するとビニルエステル基が加水分解することに起因して積層体が着色しやすくなる。
ポリビニルアセタール(A)の平均残存水酸基量Xはポリビニルアセタール(B)の平均残存水酸基量Yと等しいか、または、Yよりも大きく、3〜20モル%大きいことがより好ましく、5〜15モル%大きいことが特に好ましい。このような平均残存水酸基量の関係を満たすと、含水率の高い積層体を低温および低湿度の雰囲気で急激に乾燥させても積層体中で水や可塑剤がポリビニルアセタールと相分離しにくく、また水や可塑剤の層間へのブリードが起こりにくく好適であり、また積層体を遮音性合わせガラス用中間膜として使用する場合に遮音性能発現の観点から好適である。
本発明で使用するポリビニルアセタール(A)及びポリビニルアセタール(B)は、ポリビニルアルコールを原料として製造される。ポリビニルアルコールは公知の手法によって得ることができる。すなわち、ビニルエステル化合物を重合し、得られた重合体をけん化することによって得ることができる。ビニルエステル化合物を重合する方法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法など、公知の方法を適用できる。これらの重合方法で用いられる重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤などを適宜使用できる。けん化反応は、公知のアルカリ触媒または酸触媒を用いて、重合体のビニルエステル基を加アルコール分解又は加水分解させることで行われる。中でも、メタノールを溶剤として用い、苛性ソーダ(NaOH)を触媒として用いるけん化反応が簡便であり最も好ましい。
ビニルエステル化合物としては、例えばギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニルなど公知のカルボン酸ビニルエステルが挙げられるが、酢酸ビニルが好ましい。
また、ポリビニルアルコールは本発明の主旨に反しない限り、ビニルエステル化合物と、ビニルエステル化合物と共重合可能な単量体とを共重合させた共重合体をけん化させて得られる変性ポリビニルアルコールを使用することもできる。ビニルエステル化合物と共重合可能な単量体は、通常ビニルエステル化合物に対して10モル%未満の割合で用いられる。
本発明で使用するポリビニルアセタールの原料となるポリビニルアルコールの粘度平均重合度は特に限定されず、用途に応じて適宜選択できるが、通常150〜3000が好ましく、200〜2500がより好ましく、1000〜2000がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの粘度平均重合度が150より低いと得られる積層体の力学強度が不足する傾向があり、3000より高いと得られる積層体の取り扱い性が悪くなることがある。
本発明で使用するポリビニルアセタールは公知の方法で製造できる。例えば、次のような反応条件下で沈殿法により製造できる。まず濃度3〜40質量%のポリビニルアルコール水溶液を80〜100℃の温度範囲で保持した後、10〜60分かけて徐々に冷却する。温度が−10〜30℃まで低下したところで、アルデヒドおよび酸触媒を添加し、温度を一定に保ちながら30〜300分間アセタール化反応を行う。その際、アセタール化度が一定水準に達したポリビニルアセタールが析出する。その後、反応液を30〜300分かけて30〜80℃の温度まで昇温し、その温度を10〜500分保持する。次に反応溶液に塩基性の化合物を添加することで酸触媒を中和して水洗し、乾燥することにより、ポリビニルアセタールが得られる。
アセタール化反応に用いる酸触媒としては特に限定されず、酢酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸または硝酸、硫酸、塩酸などの無機酸のいずれも使用可能であり、特に塩酸、硫酸、硝酸が好ましい。
アセタール化反応に用いるアルデヒドは特に限定されないが、炭素数1〜8のアルデヒドでアセタール化することが好ましい。中でも炭素数4〜6のアルデヒドを用いることが好ましく、n−ブチルアルデヒドを用いることが特に好ましい。本発明においては、アルデヒドを2種類以上併用して得られるポリビニルアセタールを使用することもできる。
本発明の積層体を構成するA層が含有する可塑剤(Ap)は、m価アルコール1分子と炭素数8〜20の一価カルボン酸m分子とのエステル化反応で得られる化学構造を有するエステル化合物である。ここで、mは2〜4の自然数を表す。ただし可塑剤(Ap)は、m価アルコール1分子と炭素数8〜20の一価カルボン酸m分子とのエステル化反応により得られる化学構造を有していれば良く、m価アルコール1分子と炭素数8〜20の一価カルボン酸m分子とをエステル化反応する以外の方法により得られたものを使用してもよい。
m価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、エチレングリコールの縮合体、プロピレングリコール、プロピレングリコールの縮合体、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの二価アルコール;グリセリンなどの三価アルコール;エリトリトール、ペンタエリトリトールなどの四価アルコールなどが挙げられる。中でも、得られる可塑剤(Ap)がポリビニルアセタール(A)との相溶性及び可塑化効果に優れ、高沸点であり、さらに積層体が水と接触した場合でも水で抽出されにくい観点から二価アルコールが好ましく、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのエチレングリコールの縮合体がより好ましく、縮合度が3〜20であるエチレングリコールがさらに好ましく、縮合度が3〜10であるエチレングリコールの縮合体が特に好ましく、縮合度が3または4のエチレングリコールの縮合体が最も好ましい。
炭素数8〜20の一価カルボン酸としては、例えばオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、ヘキサデカン酸、2−メチルヘプタン酸、2−エチルヘプタン酸、2,2−ジメチルヘキサン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸などが挙げられる。中でも、炭素数8〜12、特に炭素数8〜10の一価カルボン酸が、得られる可塑剤(Ap)のポリビニルアセタール(A)との相溶性及び可塑化効果に優れ、高沸点であり、さらに積層体が水と接触した場合でも水で抽出されにくい観点から好ましい。また、カルボキシル基に隣接する炭素に、カルボキシル基以外の有機基が少なくとも2つ結合している一価カルボン酸が、可塑剤(Ap)の耐加水分解性を高める観点で好ましい。このような一価カルボン酸としては、2−エチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、2−エチルヘプタン酸、2,2−ジメチルヘキサン酸などが挙げられる。
m価アルコール1分子と炭素数8〜20の一価カルボン酸m分子とのエステル化反応で得られる化学構造を有するエステル化合物としては、例えばトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジノナノエート、トリエチレングリコールジデカノエート、トリエチレングリコールジドデカノエート、デカエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、グリセリントリ2−エチルヘキサノエート等が挙げられる。中でも、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジノナノエート、グリセリントリ2−エチルヘキサノエートが、ポリビニルアセタール(A)との相溶性及び可塑化効果に優れ、高沸点であり、さらに積層体が水と接触した場合でも水で抽出されにくいという観点から好ましい。これらは1種を単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の積層体を構成するA層における可塑剤(Ap)の含有量は特に限定されないが、ポリビニルアセタール(A)100質量部に対して通常20〜60質量部が好ましく、25〜55質量部がより好ましく、30〜50質量部がさらに好ましい。可塑剤(Ap)の含有量がポリビニルアセタール(A)100質量部に対して20質量部より少ないと、得られる積層体の柔軟性が不十分となる傾向となり、合わせガラス用中間膜としての衝撃吸収性が問題になる場合がある。また60質量部より多いと、得られる積層体の力学強度が不十分となる傾向となる。
本発明の積層体を構成するB層が含有する可塑剤(Bp)は、n価アルコール1分子と炭素数8〜20の一価カルボン酸n分子とのエステル化反応で得られる化学構造を有するエステル化合物である。ここで、nは2〜4の自然数を表す。ただし可塑剤(Bp)は、n価アルコール1分子と炭素数8〜20の一価カルボン酸n分子とのエステル化反応により得られる化学構造を有していれば良く、n価アルコール1分子と炭素数8〜20の一価カルボン酸n分子とをエステル化反応する以外の方法により得られたものを使用してもよい。
n価アルコールとしては、m価アルコールとして例示した化合物と同様の化合物が挙げられ、好ましい化合物も同様である。
n価アルコール1分子と炭素数8〜20の一価カルボン酸n分子とのエステル化反応で得られる化学構造を有するエステル化合物としては、例えばトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジノナノエート、トリエチレングリコールジデカノエート、トリエチレングリコールジドデカノエート、デカエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、グリセリントリ2−エチルヘキサノエート等が挙げられる。中でも、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジノナノエート、グリセリントリ2−エチルヘキサノエートが、ポリビニルアセタール(B)との相溶性及び可塑化効果に優れ、高沸点であり、さらに積層体が水と接触した場合でも水で抽出されにくいという観点から好ましい。これらは1種を単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の積層体を構成するB層における可塑剤(Bp)の含有量は特に限定されないが、ポリビニルアセタール(B)100質量部に対して通常30〜80質量部が好ましく、33〜75質量部がより好ましく、40〜70質量部がさらに好ましい。可塑剤(Bp)の含有量がポリビニルアセタール(B)100質量部に対して30質量部より少ないと、得られる積層体を遮音性合わせガラス用中間膜に使用する場合に所望の遮音性を発現できない場合がある。また80質量部より多いと、得られる積層体の力学強度が不十分となる傾向となる。
本発明において、A層における可塑剤(Ap)の含有量とB層における可塑剤(Bp)の含有量との関係に厳密な意味での限定はないが、A層におけるポリビニルアセタール(A)100質量部に対する可塑剤(Ap)の含有量がB層におけるポリビニルアセタール(B)100質量部に対する可塑剤(Bp)の含有量より少ないことが好ましい。本発明の積層体を用いた合わせガラスにおいて遮音性を発現できる観点から、ポリビニルアセタール(A)100質量部に対する可塑剤(Ap)の含有量が、ポリビニルアセタール(B)100質量部に対する可塑剤(Bp)の含有量より5〜60質量部少ないことが好ましく、10〜40質量部少ないことがより好ましい。
次に、分散剤(Ad)について説明する。分散剤(Ad)は可塑剤(Ap)の少なくとも1つのエステル結合を加水分解して得られる化学構造を有し、かつ(m−1)〜1個の水酸基と1〜(m−1)個のエステル結合を有する化合物である。ただし、分散剤(Ad)は可塑剤(Ap)の少なくとも1つのエステル結合を加水分解して得られる化学構造を有していればよく、可塑剤(Ap)を加水分解する以外の方法により得られたものを用いてもよい。分散剤(Ad)としては、例えばトリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート(トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエートの1つのエステル結合を加水分解した化学構造)、テトラエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート(テトラエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエートの1つのエステル結合を加水分解した化学構造)、トリエチレングリコールモノデカノエート(トリエチレングリコールジデカノエートの1つのエステル結合を加水分解した化学構造)、トリエチレングリコールモノドデカノエート(テトラエチレングリコールジドデカノエートの1つのエステル結合を加水分解した化学構造)、デカエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート(デカエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエートの1つのエステル結合を加水分解した化学構造)、トリエチレングリコールモノノナノエート(トリエチレングリコールジノナノエートの1つのエステル結合を加水分解した化学構造)、グリセリンジ2−エチルヘキサノエート(グリセリントリ2−エチルヘキサノエートの1つのエステル結合を加水分解した化学構造)、グリセリンモノ2−エチルヘキサノエート(グリセリントリ2−エチルヘキサノエートの2つのエステル結合を加水分解した化学構造)などが挙げられる。中でも特にトリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールモノノナノエートが、常温で液体で取り扱い性に優れ、またポリビニルアセタール(A)および可塑剤(Ap)との相溶性に特に優れるため好適である。
本発明の積層体を構成するA層における分散剤(Ad)の含有量は特に限定されないが、ポリビニルアセタール(A)100質量部に対して通常0.01〜6質量部が好ましく、0.06〜4質量部がより好ましく、0.09〜2.4質量部がさらに好ましい。分散剤(Ad)の含有量が0.01質量部より少ないと、含水率の高い積層体を低温かつ低湿度の雰囲気で急激に乾燥させた場合に積層体中で水や可塑剤がポリビニルアセタールと相分離して積層体が不透明になったり、また積層体の層間に水や可塑剤がブリードして層間剥離や透明性低下を引き起こしたりすることがある。一方、6質量部を超えると分散剤(Ad)が揮発したりA層が水に接触した場合に分散剤(Ad)が水で抽出されたりして、A層の物性が変化することがある。
分散剤(Bd)は可塑剤(Bp)の少なくとも1つのエステル結合を加水分解して得られる化学構造を有し、かつ(n−1)〜1個の水酸基と1〜(n−1)個のエステル結合を有する化合物である。ただし、分散剤(Bd)は可塑剤(Bp)の少なくとも1つのエステル結合を加水分解して得られる化学構造を有していればよく、可塑剤(Bp)を加水分解する以外の方法により得られたものを用いてもよい。分散剤(Bd)としては、例えばトリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールモノデカノエート、トリエチレングリコールモノドデカノエート、デカエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールモノノナノエート、グリセリンジ2−エチルヘキサノエート、グリセリンモノ2−エチルヘキサノエートが挙げられる。中でも、特にトリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールモノノナノエートが、常温で液体で取り扱い性に優れ、またポリビニルアセタール(B)および可塑剤(Bp)との相溶性に特に優れるため好適である。
本発明の積層体を構成するB層における分散剤(Bd)の含有量は特に限定されないが、ポリビニルアセタール(B)100質量部に対して通常0〜4質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましく、0.03〜2.2質量部がさらに好ましい。なお、分散剤(Bd)の含有量が0質量部であるとは、B層に分散剤(Bd)を含まないことを意味する。分散剤(Bd)の含有量が4質量部を超えると、分散剤(Bd)が揮発したりB層が水に接触した場合に分散剤(Bd)が水で抽出されたりして、B層の物性が変化することがある。
本発明では、A層中の可塑剤(Ap)の含有量に対する分散剤(Ad)の含有量の質量比(以後、質量比Wと表わす)が、B層中の可塑剤(Bp)の含有量に対する分散剤(Bd)の含有量の質量比(以後、質量比Wと表わす)より大きいことが必要である。好ましくは質量比Wが0、又は質量比Wが質量比Bの1.05倍以上である。より好ましくは質量比Wが質量比Wの1.1倍以上、さらに好ましくは1.25倍以上、特に好ましくは1.5倍以上である。質量比Wが質量比W以下である積層体は、含水率の高い積層体を低温かつ低湿度の雰囲気で急激に乾燥させた場合に積層体中で水や可塑剤がポリビニルアセタールと相分離して不透明になったり、また積層体の層間に水や可塑剤がブリードして層間剥離や透明性低下を引き起こしたりする。
本発明において可塑剤(Ap)と可塑剤(Bp)は同一でも異なっていても良いが、A層及びB層の製造においてコストを削減する観点から同一であることが好ましい。
本発明の積層体は、A層に、さらに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む。A層にベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を含むことで、積層体の着色を抑制し、耐久性を良好なものとすることができる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤を使用した場合、積層体を合わせガラス用中間膜として長期間にわたって使用した場合に、A層の耐久性が損なわれる。他方、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を使用すると、紫外線吸収剤がA層に安定して保持されて、積層体の耐久性を良好なものとすることができる。
本発明において、上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール構造を含む化合物であれば特に限定なく使用できるが、式(1):
Figure 2015116680
に示す構造を有する化合物、または、式(1)に示す構造を有し、式(1)中の任意の炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一つが置換基により置換された化合物であることが好ましい。紫外線吸収剤が、このような化合物である場合、結果として積層体の着色、特に合わせガラスの端部での着色を抑制することができる。
式(1)に示す構造を有する化合物が置換基を有する場合、積層体の着色を抑制する点から、2以上の置換基を有する化合物が好ましい。また、置換基が2以上の場合は、それらは互いに同一であってもよく、異なっていても良い。
前記置換基としては特に限定されないが、式(1)に示す構造を有する化合物の極性を著しく変化させないものであることが好ましく、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、オクチル基などの直鎖状または分岐状の炭化水素基;塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子があげられる。これらの置換基のなかでも、積層体を長期間使用した場合でも、積層体の着色を抑制する効果に優れ、またポリビニルアセタールとの相溶性に優れ、層間での移動を抑制する点から、炭化水素基が好ましく、炭素数4〜8の炭化水素基がより好ましい。置換基が2以上の場合には、少なくとも一つが炭化水素基であることが好ましく、炭素数4〜8の炭化水素基であることがより好ましい。
前記置換基は、上述のとおり、式(1)において任意の炭素原子に結合した水素原子を置換したものであればよいが、積層体の着色を抑制する効果に優れる点から、式(1)に示す構造を有する化合物の水酸基が結合した芳香環において、水酸基のオルト位に置換基を有する化合物であることが好ましい。またオルト位の置換基は炭化水素基であることが好ましく、炭素数4〜8の炭化水素基がより好ましい。
また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の分子量は、特に限定されるものではないが、300〜800であることが好ましく、300〜600であることがより好ましく、300〜500であることがさらに好ましく、300〜400であることが特に好ましい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の分子量が300よりも小さくなると、積層体の端部の変色が起こりやすくなり、また、長期間にわたって使用した場合に着色しやすくなる傾向にある。また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の分子量が800よりも大きくなると、ポリビニルアセタールとの相溶性が低下し、得られる積層体の透明性が低下することがある。
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、たとえば、式(2)〜式(5)が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、上記に例示した任意の置換基及び水素原子以外の原子を含むものも、本発明の範囲に含まれる。
Figure 2015116680
Figure 2015116680
Figure 2015116680
Figure 2015116680
本発明の積層体において、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量は特に限定されないが、積層体のA層の総質量に対して通常0.0001〜5質量%が好ましく、0.001〜1質量%がより好ましい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量が0.0001質量%より少ないと紫外線吸収剤としての十分な効果が得られないことがあり、また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量を5質量%より多くしても格段の効果は望めない。
また、本発明の効果を損なわない範囲でシュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤などのベンゾトリアゾール系以外の紫外線吸収剤を併用することができる。
本発明の積層体は、酸化防止剤、接着性改良剤、その他添加剤をさらに含有していても良い。
本発明の積層体が含有していてもよい酸化防止剤の種類に特に限定はない。例えば、公知のフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などを使用できる。中でもフェノール系酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤は単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。酸化防止剤を含有させる場合、その量は特に限定されないが、積層体の質量に対して通常0.0001〜5質量%が好ましく、0.001〜1質量%がより好ましい。0.0001質量%より少ないと酸化防止剤としての十分な効果が得られないことがあり、また5質量%より多くしても格段の効果は望めない。
本発明の積層体は合わせガラス用中間膜として特に好適に使用される。その場合、ガラスと接着する層には接着性調整剤が添加されていることが好ましい。接着性調整剤としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、2−エチルブタン酸、2−エチルヘキサン酸などの有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などが用いられ、これらは2種類以上が添加されていてもよい。
特に、ガラスと接着する層がA層である場合、A層に酢酸マグネシウム、酢酸マグネシウム4水和物、ブタン酸マグネシウム、2−エチルブタン酸マグネシウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウムなどのマグネシウム塩が添加されていることが好ましい。接着性調整剤の添加量は、合わせガラスの耐貫通性及び合わせガラス破損時のガラス破片飛散防止性の観点から、ポリビニルアセタール(A)100質量部に対して0.001〜0.1質量部が好ましく、0.005〜0.08質量部がより好ましく、0.01〜0.06質量部がさらに好ましく、0.03〜0.055質量部が特に好ましい。マグネシウム塩はカリウム塩やナトリウム塩に比べて水を吸収しにくく、従ってA層に接着力調整剤としてマグネシウム塩が添加されていると、含水率の高い積層体を低温かつ低湿度の雰囲気で急激に乾燥させた場合でも、積層体中で水や可塑剤がポリビニルアセタールと相分離しにくく、また積層体の層間に水や可塑剤がブリードしにくくなる。
本発明の積層体を製造する方法は特に限定されず、従来公知の方法を適用できる。例えばA層を構成する成分、B層を構成する成分をそれぞれ押出機で溶融混練した後、引き続き多層製膜機で共押出する方法;溶融混練後に熱プレスまたはキャストなどで個別に作製したA層およびB層を重ねて、必要に応じて熱プレス等により接着して積層する方法などが挙げられる。
本発明の積層体の含水率に特に限定はないが、含水率が高すぎると積層体から可塑剤がブリードすることがあるため、通常0.01〜0.9質量%が好ましく、0.2〜0.8質量%がより好ましく、0.2〜0.7質量%がさらに好ましい。また、本発明の積層体のガラスとの接着性を適切に調節する観点からは、含水率は0.5質量%以上、0.65質量%未満であることが好ましく、0.5質量%以上、0.6質量%未満であることがより好ましい。含水率が0.5質量%未満の場合、本発明の積層体とガラスとの接着性が高くなりすぎることがあり、含水率が0.65質量%を超えると、そのような含水率で本発明の積層体を長時間保管した際に、本発明の積層体が紫外線等によって着色しやすくなったり、またガラスとの接着性が低くなったりすることがある。
本発明の積層体におけるA層およびB層の厚さに特に限定はない。A層の厚さは通常0.05〜1.2mmが好ましく、0.07〜1mmがより好ましく、0.1〜0.7mmがさらに好ましい。0.05mmよりも薄いと本発明の積層体の力学強度が低下する傾向となり、1.2mmよりも厚いと本発明の積層体の柔軟性が不十分となる傾向となり、合わせガラス用中間膜としての使用において、得られる合わせガラスの安全性が低下する場合がある。
B層の厚さは通常0.01〜1mmが好ましく、0.02〜0.8mmがより好ましく、0.05〜0.5mmがさらに好ましい。0.01mmよりも薄いと本発明の積層体を中間膜とする合わせガラスの遮音性能が低下することがあり、1mmよりも厚くしても本発明の積層体の力学強度がそれ以上向上しない傾向にある。
また、A層の厚さとB層の厚さの比は特に限定されないが、力学強度や遮音性発現の観点から0.05〜4が好ましく、0.07〜2がより好ましく、0.1〜0.8がさらに好ましい。
本発明の積層体は、積層体の最外層の少なくとも1層がA層であることが好ましい。かかる積層体の例としては、A層/B層/A層、A層/B層/A層/B層/A層などの最外層がともにA層である積層体、A層/B層、A層/B層/A層/B層などの最外層の1層がA層である積層体が挙げられる。特に、本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合には、最外層がともにA層であると、積層体とガラスとの接着性を適切に調節できる点から好ましい。
本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合、積層体の厚さに特に限定はないが、通常0.2〜2mmが好ましく、0.25〜1.8mmがより好ましく、0.3〜1.5mmがさらに好ましい。積層体の厚さが0.2mmよりも薄いと力学強度が不十分になる傾向となり、2mmよりも厚いと柔軟性が不十分となる傾向となる。
本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合のガラス材質は特に限定されず、フロート板ガラス、熱強化ガラス、化学強化ガラスなどの無機ガラス;ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネートなどの有機ガラスなどの従来公知のガラスを使用できる。これらは無色もしくは有色、または透明もしくは非透明のいずれでもよく、また2種以上を併用してもよい。ガラスの厚さに特に限定はないが、通常20mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましい。
本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合、積層体の最表面の形状は特に限定されないが、合わせガラスを製造する際の取り扱い性(例えばラミネートにおける泡抜け性)を考慮すると、積層体の少なくとも一方の表面にメルトフラクチャーやエンボスなどの公知の方法で凹凸構造を形成したものが好ましい。凹凸構造を形成する場合、その形状は特に限定されないが、十点平均粗さRz(JIS B0031−1994に準じて測定)を指標にして表す場合、30〜70μmであることが好ましく、30〜60μmであることがより好ましい。十点平均粗さRzが30μm未満であると、本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として合わせガラスを作製する際に脱気性が不十分となることがあり、合わせガラス作製時の取り扱い性が低下することがある。一方、70μmを超えると、合わせガラスを作製する際に当該凹凸構造を消失させるのに長時間を要したり、また積層体の表面積が大きくなったりすることがある。そのため、例えばバキュームバックを使用する方法のような、減圧工程を経る合わせガラス作製方法によっては水分および本発明の積層体に含まれる成分が揮発しやすくなり、合わせガラスに含まれる本発明の積層体の含水率や、各主成分の量を調節することが困難になることがある。
本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として用いて合わせガラスを作製する方法は特に限定されず、例えば真空ラミネーター装置やバキュームバッグを用いた減圧工程を経る方法;ニップロールで仮接着した後にオートクレーブで処理する方法などの公知の方法が挙げられる。
真空ラミネーター装置を用いる場合の作製条件の一例を示すと、1×10−6〜3×10−2MPaの減圧下、100〜200℃の温度で、好ましくは130〜160℃の温度でガラスと合わせガラス用中間膜がラミネートされる。バキュームバッグを用いる方法は、例えば、欧州特許第1235683号明細書に記載されている。例えば、約2×10−2MPaの圧力下、130〜145℃でラミネートされる。
ニップロールで仮接着した後にオートクレーブで処理する方法において、ニップロールの運転条件の一例は、ガラスと積層体を赤外線ヒーターなどで30〜70℃に加熱した後、ロールで挟んで脱気し、さらに50〜120℃に加熱した後、ロールで圧着して仮接着させる。オートクレーブで処理する工程は、例えば1.0〜1.5MPaの圧力下、130〜145℃の温度で30分〜200分実施される。
以下、実施例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
(PVB−1の調製)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた3L(リットル)のガラス製容器に、イオン交換水2000g、ポリビニルアルコール(PVA−1)(粘度平均重合度1700、けん化度99モル%)200gを仕込み(PVA濃度9.1%)、内容物を95℃に昇温して完全に溶解させた。次に、120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却した後、ブチルアルデヒド113gと35%の塩酸70gを添加し、ブチラール化反応を30分間行った。その後、60分かけて60℃まで昇温し、60℃にて120分間保持した後、直ちに冷水浴で冷却した。ポリビニルアセタール樹脂をイオン交換水で洗浄した後、水酸化ナトリウム水溶液で残存する酸触媒を中和し、さらにイオン交換水で洗浄し、脱水し、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−1)を得た。得られたPVB−1をJIS K6728−1977(以下、JIS K6728と表わす)にしたがって測定したところ、表1に示すとおり、平均アセタール化度は68モル%、平均残存ビニルエステル基量は1モル%、平均残存水酸基量は31モル%であった。
(PVB−2の調製)
PVB−1の調製において、ブチルアルデヒド使用量を118gに変更した以外は同様にして反応を行い、PVB−2を得た。得られたPVB−2をJIS K6728にしたがって測定したところ、表1に示すとおり、平均アセタール化度は71モル%、平均残存ビニルエステル基量は1モル%、平均残存水酸基量は28モル%であった。
(PVB−3の調製)
PVB−1の調製において、PVA−1をPVA−2(粘度平均重合度1700、けん化度92モル%)200gに、また、ブチルアルデヒド使用量を122gに変更し、さらに5℃でブチラール化反応を実施した後、68℃まで70分かけて昇温し、68℃で100分反応を行った以外は同様にして、PVB−3を得た。得られたPVB−3をJIS K6728にしたがって測定したところ、表1に示すとおり、平均アセタール化度は74モル%、平均残存ビニルエステル基量は6モル%、平均残存水酸基量は20モル%であった。
(PVB−4の調製)
PVB−3の調製において、PVA−2をPVA−3(粘度平均重合度1700、けん化度89モル%)200gに、また、ブチルアルデヒド使用量を117gに変更し、さらに5℃でブチラール化反応を実施した後、65℃まで70分かけて昇温し、65℃で140分反応を行った以外は同様にして、PVB−4を得た。得られたPVB−4をJIS K6728にしたがって測定したところ、表1に示すとおり、平均アセタール化度は75モル%、平均残存ビニルエステル基量は9モル%、平均残存水酸基量は16モル%であった。
Figure 2015116680
(実施例1)
(積層体の作製)
100質量部のPVB−1、可塑剤(Ap)として39質量部のトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、分散剤(Ad)として0.3質量部のトリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、および0.1質量部の紫外線吸収剤(UVA−1)をラボプラストミルで160℃、8分間混練した。得られた混練物を厚さ0.38mmの型枠で160℃、50kg/cmの条件で30分間プレスして厚さ0.38mmのシートAを得た。一方、100質量部のPVB−3、可塑剤(Bp)として60質量部のトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、および分散剤(Bd)として0.2質量部のトリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエートをラボプラストミルで160℃、8分間混練した。得られた混練物を厚さ0.15mmの型枠で160℃、50kg/cmの条件で30分間プレスして厚さ0.15mmのシートBを得た。シートA及びシートBを、シートA/シートB/シートAの順に重ね、厚さ0.9mmの型枠で135℃、10kg/cmの条件でプレスして積層し、さらに2枚のエンボスシートで挟んでプレスして、A層(0.38mm)/B層(0.14mm)/A層(0.38mm)からなり、十点平均粗さRz(JIS B0031−1994に準じて測定。以下同じ。)が35μmの積層体−1を得た。用いた紫外線吸収剤は表6に示す。
(高含水率積層体の調湿)
上記で得られた積層体−1を恒温恒湿器内で、35℃、80%RHの雰囲気で12時間調湿した。調湿した積層体−1をさらに下記(a)、(b)、(c)のそれぞれの条件で調湿を行い、以下の3段階の基準で調湿時間を評価したところ「18時間」であった。
(条件)
条件(a):23℃、28%RHで18時間処理。
条件(b):29℃、55%RHで18時間処理後、続いて23℃、28%RHで18時間処理。
条件(c):32℃、68%RHで18時間処理後、続いて29℃、55%RHで18時間処理し、さらに続いて26℃、40%RHで18時間処理し、最後に続いて23℃、28%RHで18時間処理。
(基準)
「18時間」:条件(a)で積層体が白濁および層間剥離を起こさず、含水率が0.7%以下になっているもの。
「36時間」:条件(a)では白濁や層間剥離が生じてしまうが、条件(b)で積層体が白濁および層間剥離を起こさず、含水率が0.7%以下になっているもの。
「72時間」:条件(a)及び条件(b)のいずれでも白濁や層間剥離が生じてしまうが、条件(c)で積層体が白濁または層間剥離を起こさず、含水率が0.7%以下になっているもの。
上記基準の「18時間」は、急激に乾燥させても、積層体中で水や可塑剤がポリビニルアセタールと相分離しにくく、また水や可塑剤の層間へのブリードが起こりにくいことを示す。また、「36時間」、「72時間」となるにつれて、より緩やかな乾燥が必要になることを示す。
(高含水率時の耐可塑剤ブリード試験)
上記で得られた積層体−1を23℃、28%RHで5日間乾燥した後、35℃、80%RHでの雰囲気で処理した。積層体−1の処理を開始してから12時間後、24時間後、48時間後に目視で確認し、12時間後に可塑剤ブリードが無く、24時間後に可塑剤ブリードが発生しているものを「12時間」、24時間後に可塑剤ブリードが無く、48時間後に可塑剤ブリードが発生しているものを「24時間」、48時間後にも可塑剤ブリードが無いものを「48時間」として評価したところ、「48時間」であった。
(合わせガラスの作製)
30cm×30cmの積層体−1を23℃、32%RHの雰囲気下で5日間保管して調湿後、速やかに2枚のフロートガラス(30cm×30cm×2.2mm)で挟み、これを115℃に加熱後、ニップロールを用いて仮接着した。得られた仮接着体をオートクレーブに入れて135℃、1.2MPaの条件で60分間処理して合わせガラス−1を得た。得られた合わせガラス−1は積層体とガラスとの間に気泡が残存していなかった。
(合わせガラスの熱水ボイル試験)
合わせガラス−1を60℃の熱水で12時間処理した後、23℃、28%RHの雰囲気下で108時間処理した(この処理を1サイクルとする)。当該処理を10回繰り返した後、合わせガラスの各端部から、積層体に含まれる成分抽出による欠点(ガラスと合わせガラス用中間膜の剥がれ、中間膜の層間の剥がれ)の発生の有無を目視により確認し、「無し」、「若干有」、「有」の3段階で評価したところ、「無し」であった。
(合わせガラスの評価:耐候性)
合わせガラス−1に対して紫外線照射試験を行い、紫外線照射前後の合わせガラス−1のイエローインデックス(YI)値の変化量(すなわち、紫外線照射後のイエローインデックス値から、紫外線照射前のイエローインデックス値を引いた値)、b値の変化量(紫外線照射後のb値から、紫外線照射前のb値を引いた値)をそれぞれ求めた。また、合わせガラス端部の変色の様子を目視で観察し、「変色有」、「わずかに変色有」、「変色無し」の3段階で評価した。紫外線照射試験には岩崎電気株式会社製のEye Super UV(SUV−F11)を使用し、295〜450nmの光を、ブラックパネル温度63℃で300時間照射した。また、合わせガラスのイエローインデックス(YI)値及びb値は、カラーメーター(スガ試験機株式会社製、SM−T−H1)を用いて測定した。結果を表3に示す。
(バキュームバックを使用した合わせガラス作製時の取り扱い性)
実施例1の(積層体の作製)において、エンボスシートの種類を変更した以外は同様にして、A層(0.38mm)/B層(0.14mm)/A層(0.38mm)からなり、十点平均粗さRzが10μmの積層体−1(Rz10)、また十点平均粗さRzが80μmの積層体−1(Rz80)を作製した。
積層体−1、積層体−1(Rz10)および積層体−1(Rz80)をそれぞれ、23℃、35%RHで5日間調湿し、厚さ2mmのガラス2枚に挟んだ後、真空袋内にいれて−0.095気圧に減圧後、減圧下に140℃に加熱して80分処理して、それぞれ合わせガラスV−1、合わせガラスV−1(Rz10)および合わせガラスV−1(Rz80)を作製した。これら合わせガラスについて脱気不足による気泡の残存を目視で確認したところ、合わせガラスV−1(Rz10)は、気泡の残存が見られた。またそれぞれの合わせガラスに含まれる積層体の含水率を測定したところ、合わせガラスV−1に含まれる積層体では0.40%、合わせガラスV−1(Rz10)に含まれる積層体では0.48%、合わせガラスV−1(Rz80)では0.13%であり、合わせガラスV−1(Rz80)では、合わせガラス作製の工程で含水率が著しく低下していた。なお含水率は、各合わせガラスの端部から1cmよりも離れている部分をハンマーで叩いてガラスを割って速やかに積層体を取り出し、当該サンプル0.5gを株式会社三菱化学アナリティック製カールフィッシャー水分計(KF−200(容量法水分計)とVA−200(水分気化装置)を組み合わせて使用)を用いて、200℃で10分間加熱し、その間に気化した水分を定量することで測定した。
以上から積層体−1、積層体−1(Rz10)、積層体−1(Rz80)では、十点平均粗さRzが35μmであった積層体−1が脱気性、含水率調節性の両立の観点で好適であった。
なお、後述の実施例13、14および16で同様の評価を行った結果、いずれの場合にも十点平均粗さRzが35μmの積層体が、脱気性、含水率調節性の両立の観点で好適な結果を示した。
(実施例2〜23、比較例1〜16)
表2および表4に示すようにA層およびB層の組成を変更した以外は実施例1と同様にして積層体及び合わせガラスを作製し、同様に評価した。結果を表3および表5に示す。また、用いた紫外線吸収剤は、表6または表7に示す。
Figure 2015116680
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実施例および比較例で示されるように、本発明の積層体は高温かつ高湿度で含水率が高くなった後に、低温かつ低湿度の雰囲気で急激に乾燥させた場合でも、積層体中で水や可塑剤がポリビニルアセタールと相分離しにくく、また積層体の層間に水や可塑剤のブリードを起こさない。また、本発明の積層体は、紫外線照射を行った場合であっても、積層体の着色を抑制することができる。
本発明の積層体がそのような特性を示す理由は不明だが、A層における可塑剤(Ap)の含有量に対する分散剤(Ad)の含有量の質量比が、B層における可塑剤(Bp)の含有量に対する分散剤(Bd)の含有量の質量比より大きいことに起因して、好適には最外層が共にA層である積層体の含水率が高くなっている場合に、A層からの水の揮発に伴ってB層からA層へ水分が移行する結果、相分離やブリードが発生する前にB層の含水率も低下するためと考えられる。
本発明の積層体は、積層体に含まれる可塑剤が水によって抽出されにくくかつ揮発しにくく、含水率の高い積層体を低温および低湿度の雰囲気で急激に乾燥させても積層体中で水や可塑剤がポリビニルアセタールと相分離しにくく、また水や可塑剤の層間へのブリードが起こりにくい。また、合わせガラス用中間膜として長期間にわたって使用した場合であっても着色が起こりにくく、耐久性に優れる。

Claims (19)

  1. 平均残存水酸基量がX(モル%)であるポリビニルアセタール(A)、可塑剤(Ap)及び分散剤(Ad)を含むA層と、平均残存水酸基量がY(モル%)であるポリビニルアセタール(B)及び可塑剤(Bp)を含み、分散剤(Bd)を含んでいても良いB層とを備え、
    X≧Yであり、
    A層は、さらに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含み、
    A層中の可塑剤(Ap)の含有量に対する分散剤(Ad)の含有量の質量比が、B層中の可塑剤(Bp)の含有量に対する分散剤(Bd)の含有量の質量比より大きく、
    可塑剤(Ap)がm価アルコール1分子(mは2〜4の自然数を表す)と炭素数8〜20の一価カルボン酸m分子とのエステル化反応で得られる化学構造を有するエステル化合物であり、
    分散剤(Ad)が可塑剤(Ap)の少なくとも1つのエステル結合を加水分解して得られる化学構造を有しかつ(m−1)〜1個の水酸基と1〜(m−1)個のエステル結合を有する化合物であり、
    可塑剤(Bp)がn価アルコール1分子(nは2〜4の自然数を表す)と炭素数8〜20の一価カルボン酸n分子とのエステル化反応で得られる化学構造を有するエステル化合物であり、
    分散剤(Bd)が可塑剤(Bp)の少なくとも1つのエステル結合を加水分解して得られる化学構造を有しかつ(n−1)〜1個の水酸基と1〜(n−1)個のエステル結合を有する化合物である、
    積層体。
  2. ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、式(1):
    Figure 2015116680
    に示す構造を有する化合物、または、式(1)に示す構造を有し、式(1)中の任意の炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一つが置換基により置換された化合物である、請求項1記載の積層体。
  3. 前記置換基の少なくとも一つが炭素数4〜8の炭化水素基である、請求項2記載の積層体。
  4. ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が2以上の置換基を有する化合物である、請求項2または3に記載の積層体。
  5. ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、式(1)中の水酸基が結合した芳香環において、水酸基のオルト位に置換基を有する化合物である、請求項2〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の分子量が300〜800である、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
  7. m価アルコールが、縮合度が3〜20であるエチレングリコールの縮合体である、請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
  8. n価アルコールが、縮合度が3〜20であるエチレングリコールの縮合体である、請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
  9. ポリビニルアセタール(A)の平均残存水酸基量Xが20〜40モル%である、請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
  10. ポリビニルアセタール(B)の平均残存水酸基量Yが10〜35モル%であり、平均残存ビニルエステル基量が0.01〜25モル%である、請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
  11. A層におけるポリビニルアセタール(A)100質量部に対する可塑剤(Ap)の含有量が、B層におけるポリビニルアセタール(B)100質量部に対する可塑剤(Bp)の含有量より少ない、請求項1〜10のいずれかに記載の積層体。
  12. A層における可塑剤(Ap)の含有量がポリビニルアセタール(A)100質量部に対して20〜60質量部である、請求項1〜11のいずれかに記載の積層体。
  13. B層における可塑剤(Bp)の含有量がポリビニルアセタール(B)100質量部に対して30〜80質量部である、請求項1〜12のいずれかに記載の積層体。
  14. 前記一価カルボン酸が、カルボキシル基に隣接する炭素にカルボニル基以外の有機基が少なくとも2つ結合している、請求項1〜13のいずれかに記載の積層体。
  15. 三層以上の層からなる積層体であり、積層体の外層の二層のうち少なくとも一層がA層である、請求項1〜14のいずれかに記載の積層体。
  16. 少なくとも一方の表面に凹凸構造を有する、請求項1〜15のいずれかに記載の積層体。
  17. 凹凸構造を有する表面の少なくとも一つの表面の十点平均粗さRzが30〜70μmである、請求項16記載の積層体。
  18. 含水率が、0.5質量%以上0.65質量%未満である、請求項1〜17のいずれかに記載の積層体。
  19. 請求項1〜18のいずれかに記載の積層体を含む合わせガラス。
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