JP2015116680A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平均残存水酸基量がX(モル%)であるポリビニルアセタール(A)、可塑剤(Ap)及び分散剤(Ad)を含むA層と、平均残存水酸基量がY(モル%)であるポリビニルアセタール(B)及び可塑剤(Bp)を含み、分散剤(Bd)を含んでいても良いB層とを備え、X≧Yであり、A層は、更に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む、積層体。含水率が0.5〜0.65質量%である積層体。
【選択図】なし
Description
A層は、さらに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含み、A層中の可塑剤(Ap)の含有量に対する分散剤(Ad)の含有量の質量比が、B層中の可塑剤(Bp)の含有量に対する分散剤(Bd)の含有量の質量比より大きく、可塑剤(Ap)がm価アルコール1分子(mは2〜4の自然数を表す)と炭素数8〜20の一価カルボン酸m分子とのエステル化反応で得られる化学構造を有するエステル化合物であり、分散剤(Ad)が可塑剤(Ap)の少なくとも1つのエステル結合を加水分解して得られる化学構造を有しかつ(m−1)〜1個の水酸基と1〜(m−1)個のエステル結合を有する化合物であり、可塑剤(Bp)がn価アルコール1分子(nは2〜4の自然数を表す)と炭素数8〜20の一価カルボン酸n分子とのエステル化反応で得られる化学構造を有するエステル化合物であり、分散剤(Bd)が可塑剤(Bp)の少なくとも1つのエステル結合を加水分解して得られる化学構造を有しかつ(n−1)〜1個の水酸基と1〜(n−1)個のエステル結合を有する化合物である、積層体により解決される。
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた3L(リットル)のガラス製容器に、イオン交換水2000g、ポリビニルアルコール(PVA−1)(粘度平均重合度1700、けん化度99モル%)200gを仕込み(PVA濃度9.1%)、内容物を95℃に昇温して完全に溶解させた。次に、120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却した後、ブチルアルデヒド113gと35%の塩酸70gを添加し、ブチラール化反応を30分間行った。その後、60分かけて60℃まで昇温し、60℃にて120分間保持した後、直ちに冷水浴で冷却した。ポリビニルアセタール樹脂をイオン交換水で洗浄した後、水酸化ナトリウム水溶液で残存する酸触媒を中和し、さらにイオン交換水で洗浄し、脱水し、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−1)を得た。得られたPVB−1をJIS K6728−1977(以下、JIS K6728と表わす)にしたがって測定したところ、表1に示すとおり、平均アセタール化度は68モル%、平均残存ビニルエステル基量は1モル%、平均残存水酸基量は31モル%であった。
PVB−1の調製において、ブチルアルデヒド使用量を118gに変更した以外は同様にして反応を行い、PVB−2を得た。得られたPVB−2をJIS K6728にしたがって測定したところ、表1に示すとおり、平均アセタール化度は71モル%、平均残存ビニルエステル基量は1モル%、平均残存水酸基量は28モル%であった。
PVB−1の調製において、PVA−1をPVA−2(粘度平均重合度1700、けん化度92モル%)200gに、また、ブチルアルデヒド使用量を122gに変更し、さらに5℃でブチラール化反応を実施した後、68℃まで70分かけて昇温し、68℃で100分反応を行った以外は同様にして、PVB−3を得た。得られたPVB−3をJIS K6728にしたがって測定したところ、表1に示すとおり、平均アセタール化度は74モル%、平均残存ビニルエステル基量は6モル%、平均残存水酸基量は20モル%であった。
PVB−3の調製において、PVA−2をPVA−3(粘度平均重合度1700、けん化度89モル%)200gに、また、ブチルアルデヒド使用量を117gに変更し、さらに5℃でブチラール化反応を実施した後、65℃まで70分かけて昇温し、65℃で140分反応を行った以外は同様にして、PVB−4を得た。得られたPVB−4をJIS K6728にしたがって測定したところ、表1に示すとおり、平均アセタール化度は75モル%、平均残存ビニルエステル基量は9モル%、平均残存水酸基量は16モル%であった。
(積層体の作製)
100質量部のPVB−1、可塑剤(Ap)として39質量部のトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、分散剤(Ad)として0.3質量部のトリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、および0.1質量部の紫外線吸収剤(UVA−1)をラボプラストミルで160℃、8分間混練した。得られた混練物を厚さ0.38mmの型枠で160℃、50kg/cm2の条件で30分間プレスして厚さ0.38mmのシートAを得た。一方、100質量部のPVB−3、可塑剤(Bp)として60質量部のトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、および分散剤(Bd)として0.2質量部のトリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエートをラボプラストミルで160℃、8分間混練した。得られた混練物を厚さ0.15mmの型枠で160℃、50kg/cm2の条件で30分間プレスして厚さ0.15mmのシートBを得た。シートA及びシートBを、シートA/シートB/シートAの順に重ね、厚さ0.9mmの型枠で135℃、10kg/cm2の条件でプレスして積層し、さらに2枚のエンボスシートで挟んでプレスして、A層(0.38mm)/B層(0.14mm)/A層(0.38mm)からなり、十点平均粗さRz(JIS B0031−1994に準じて測定。以下同じ。)が35μmの積層体−1を得た。用いた紫外線吸収剤は表6に示す。
上記で得られた積層体−1を恒温恒湿器内で、35℃、80%RHの雰囲気で12時間調湿した。調湿した積層体−1をさらに下記(a)、(b)、(c)のそれぞれの条件で調湿を行い、以下の3段階の基準で調湿時間を評価したところ「18時間」であった。
(条件)
条件(a):23℃、28%RHで18時間処理。
条件(b):29℃、55%RHで18時間処理後、続いて23℃、28%RHで18時間処理。
条件(c):32℃、68%RHで18時間処理後、続いて29℃、55%RHで18時間処理し、さらに続いて26℃、40%RHで18時間処理し、最後に続いて23℃、28%RHで18時間処理。
(基準)
「18時間」:条件(a)で積層体が白濁および層間剥離を起こさず、含水率が0.7%以下になっているもの。
「36時間」:条件(a)では白濁や層間剥離が生じてしまうが、条件(b)で積層体が白濁および層間剥離を起こさず、含水率が0.7%以下になっているもの。
「72時間」:条件(a)及び条件(b)のいずれでも白濁や層間剥離が生じてしまうが、条件(c)で積層体が白濁または層間剥離を起こさず、含水率が0.7%以下になっているもの。
上記で得られた積層体−1を23℃、28%RHで5日間乾燥した後、35℃、80%RHでの雰囲気で処理した。積層体−1の処理を開始してから12時間後、24時間後、48時間後に目視で確認し、12時間後に可塑剤ブリードが無く、24時間後に可塑剤ブリードが発生しているものを「12時間」、24時間後に可塑剤ブリードが無く、48時間後に可塑剤ブリードが発生しているものを「24時間」、48時間後にも可塑剤ブリードが無いものを「48時間」として評価したところ、「48時間」であった。
30cm×30cmの積層体−1を23℃、32%RHの雰囲気下で5日間保管して調湿後、速やかに2枚のフロートガラス(30cm×30cm×2.2mm)で挟み、これを115℃に加熱後、ニップロールを用いて仮接着した。得られた仮接着体をオートクレーブに入れて135℃、1.2MPaの条件で60分間処理して合わせガラス−1を得た。得られた合わせガラス−1は積層体とガラスとの間に気泡が残存していなかった。
合わせガラス−1を60℃の熱水で12時間処理した後、23℃、28%RHの雰囲気下で108時間処理した(この処理を1サイクルとする)。当該処理を10回繰り返した後、合わせガラスの各端部から、積層体に含まれる成分抽出による欠点(ガラスと合わせガラス用中間膜の剥がれ、中間膜の層間の剥がれ)の発生の有無を目視により確認し、「無し」、「若干有」、「有」の3段階で評価したところ、「無し」であった。
合わせガラス−1に対して紫外線照射試験を行い、紫外線照射前後の合わせガラス−1のイエローインデックス(YI)値の変化量(すなわち、紫外線照射後のイエローインデックス値から、紫外線照射前のイエローインデックス値を引いた値)、b*値の変化量(紫外線照射後のb*値から、紫外線照射前のb*値を引いた値)をそれぞれ求めた。また、合わせガラス端部の変色の様子を目視で観察し、「変色有」、「わずかに変色有」、「変色無し」の3段階で評価した。紫外線照射試験には岩崎電気株式会社製のEye Super UV(SUV−F11)を使用し、295〜450nmの光を、ブラックパネル温度63℃で300時間照射した。また、合わせガラスのイエローインデックス(YI)値及びb*値は、カラーメーター(スガ試験機株式会社製、SM−T−H1)を用いて測定した。結果を表3に示す。
実施例1の(積層体の作製)において、エンボスシートの種類を変更した以外は同様にして、A層(0.38mm)/B層(0.14mm)/A層(0.38mm)からなり、十点平均粗さRzが10μmの積層体−1(Rz10)、また十点平均粗さRzが80μmの積層体−1(Rz80)を作製した。
積層体−1、積層体−1(Rz10)および積層体−1(Rz80)をそれぞれ、23℃、35%RHで5日間調湿し、厚さ2mmのガラス2枚に挟んだ後、真空袋内にいれて−0.095気圧に減圧後、減圧下に140℃に加熱して80分処理して、それぞれ合わせガラスV−1、合わせガラスV−1(Rz10)および合わせガラスV−1(Rz80)を作製した。これら合わせガラスについて脱気不足による気泡の残存を目視で確認したところ、合わせガラスV−1(Rz10)は、気泡の残存が見られた。またそれぞれの合わせガラスに含まれる積層体の含水率を測定したところ、合わせガラスV−1に含まれる積層体では0.40%、合わせガラスV−1(Rz10)に含まれる積層体では0.48%、合わせガラスV−1(Rz80)では0.13%であり、合わせガラスV−1(Rz80)では、合わせガラス作製の工程で含水率が著しく低下していた。なお含水率は、各合わせガラスの端部から1cmよりも離れている部分をハンマーで叩いてガラスを割って速やかに積層体を取り出し、当該サンプル0.5gを株式会社三菱化学アナリティック製カールフィッシャー水分計(KF−200(容量法水分計)とVA−200(水分気化装置)を組み合わせて使用)を用いて、200℃で10分間加熱し、その間に気化した水分を定量することで測定した。
以上から積層体−1、積層体−1(Rz10)、積層体−1(Rz80)では、十点平均粗さRzが35μmであった積層体−1が脱気性、含水率調節性の両立の観点で好適であった。
なお、後述の実施例13、14および16で同様の評価を行った結果、いずれの場合にも十点平均粗さRzが35μmの積層体が、脱気性、含水率調節性の両立の観点で好適な結果を示した。
表2および表4に示すようにA層およびB層の組成を変更した以外は実施例1と同様にして積層体及び合わせガラスを作製し、同様に評価した。結果を表3および表5に示す。また、用いた紫外線吸収剤は、表6または表7に示す。
Claims (19)
- 平均残存水酸基量がX(モル%)であるポリビニルアセタール(A)、可塑剤(Ap)及び分散剤(Ad)を含むA層と、平均残存水酸基量がY(モル%)であるポリビニルアセタール(B)及び可塑剤(Bp)を含み、分散剤(Bd)を含んでいても良いB層とを備え、
X≧Yであり、
A層は、さらに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含み、
A層中の可塑剤(Ap)の含有量に対する分散剤(Ad)の含有量の質量比が、B層中の可塑剤(Bp)の含有量に対する分散剤(Bd)の含有量の質量比より大きく、
可塑剤(Ap)がm価アルコール1分子(mは2〜4の自然数を表す)と炭素数8〜20の一価カルボン酸m分子とのエステル化反応で得られる化学構造を有するエステル化合物であり、
分散剤(Ad)が可塑剤(Ap)の少なくとも1つのエステル結合を加水分解して得られる化学構造を有しかつ(m−1)〜1個の水酸基と1〜(m−1)個のエステル結合を有する化合物であり、
可塑剤(Bp)がn価アルコール1分子(nは2〜4の自然数を表す)と炭素数8〜20の一価カルボン酸n分子とのエステル化反応で得られる化学構造を有するエステル化合物であり、
分散剤(Bd)が可塑剤(Bp)の少なくとも1つのエステル結合を加水分解して得られる化学構造を有しかつ(n−1)〜1個の水酸基と1〜(n−1)個のエステル結合を有する化合物である、
積層体。 - 前記置換基の少なくとも一つが炭素数4〜8の炭化水素基である、請求項2記載の積層体。
- ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が2以上の置換基を有する化合物である、請求項2または3に記載の積層体。
- ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、式(1)中の水酸基が結合した芳香環において、水酸基のオルト位に置換基を有する化合物である、請求項2〜4のいずれかに記載の積層体。
- ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の分子量が300〜800である、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
- m価アルコールが、縮合度が3〜20であるエチレングリコールの縮合体である、請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
- n価アルコールが、縮合度が3〜20であるエチレングリコールの縮合体である、請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
- ポリビニルアセタール(A)の平均残存水酸基量Xが20〜40モル%である、請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
- ポリビニルアセタール(B)の平均残存水酸基量Yが10〜35モル%であり、平均残存ビニルエステル基量が0.01〜25モル%である、請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
- A層におけるポリビニルアセタール(A)100質量部に対する可塑剤(Ap)の含有量が、B層におけるポリビニルアセタール(B)100質量部に対する可塑剤(Bp)の含有量より少ない、請求項1〜10のいずれかに記載の積層体。
- A層における可塑剤(Ap)の含有量がポリビニルアセタール(A)100質量部に対して20〜60質量部である、請求項1〜11のいずれかに記載の積層体。
- B層における可塑剤(Bp)の含有量がポリビニルアセタール(B)100質量部に対して30〜80質量部である、請求項1〜12のいずれかに記載の積層体。
- 前記一価カルボン酸が、カルボキシル基に隣接する炭素にカルボニル基以外の有機基が少なくとも2つ結合している、請求項1〜13のいずれかに記載の積層体。
- 三層以上の層からなる積層体であり、積層体の外層の二層のうち少なくとも一層がA層である、請求項1〜14のいずれかに記載の積層体。
- 少なくとも一方の表面に凹凸構造を有する、請求項1〜15のいずれかに記載の積層体。
- 凹凸構造を有する表面の少なくとも一つの表面の十点平均粗さRzが30〜70μmである、請求項16記載の積層体。
- 含水率が、0.5質量%以上0.65質量%未満である、請求項1〜17のいずれかに記載の積層体。
- 請求項1〜18のいずれかに記載の積層体を含む合わせガラス。
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