JP6033753B2 - 層間接着性に優れる積層体 - Google Patents

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Description

本発明は層間接着性に優れる積層体に関する。
ポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアセタールは、さまざまな有機基材・無機基材に対する接着性や、他の化合物との相溶性、有機溶剤への溶解性に優れており、種々の接着剤やセラミック用バインダー、各種インク、塗料等や、合わせガラス用中間膜として広範に利用されている。
従来より、合わせガラス用中間膜においては、ガラスの遮音性能向上を目的とした積層遮音中間膜が検討されている(特許文献1および特許文献2参照)。このような積層遮音中間膜は、ガラスとの接着性や力学強度を発現するa層と、遮音性能を発現するb層とを積層してなるものであり、これらの特性をバランスよく発現させるためにa層に含まれるポリビニルアセタールと、b層に含まれるポリビニルアセタールは、それぞれ平均残存水酸基量の異なるものを使用している。
ところで、近年、エコロジーの観点から各種製品のライフサイクルをできるだけ長くしたいという要求が高まっている。前記積層遮音中間膜においても、合わせガラスとして長期間使用した後であっても、合わせガラス用中間膜としての基本的な力学特性や遮音性能を維持できることが求められる。しかし、積層遮音中間膜の製品ライフサイクルが短くなる要因の一つとして、a層とb層の層間接着性が依然十分でないことが挙げられる。
特に、前記平均残存水酸基量の異なるポリビニルアセタールを含有するa層とb層を積層した積層遮音中間膜を、短時間で温度が大きく変化する環境下(一日の寒暖差が大きい環境)において長期間使用した場合、合わせガラス用中間膜の層間剥離が発生し、合わせガラスとしての安全性が損なわれたり、外観が損なわれたりすることがあった。とりわけ、耐水性を有するシール材で端部が処理されていない合わせガラスにおいては、端部周辺で合わせガラス用中間膜の含水率が高くなりやすく、このような問題が顕著に発生する。
特開2011−225449号公報 特開2011−084468号公報
本発明は上記課題を解決するものであり、合わせガラス用中間膜として使用した場合にガラスとの接着性や力学強度および遮音性能に優れ、温度変化の著しい環境下で長期間使用しても層間剥離が生じにくい積層体を提供することを目的とする。本発明は、トリムやオフスペック品を原料としてリサイクル品を製造した場合に、透明性に優れるシートを提供することを目的とする。
本発明によると、上記目的は、平均残存水酸基量が27〜33モル%であり、且つ、25℃で1gをメタノール100gに溶解させたときの溶解分が70〜100質量%であるポリビニルアセタール(A)100質量部に対して、可塑剤30〜50質量部を含有するA層と、平均残存水酸基量が15〜24モル%であり、且つ、25℃で1gをメタノール100gに溶解させたときの溶解分が10〜40質量%であるポリビニルアセタール(B)100質量部に対して、可塑剤40〜70質量部を含有するB層とを備える積層体により好適に達成される。
A層に含まれる可塑剤中80〜100質量%がトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエートであることが好ましい。
B層に含まれる可塑剤中80〜100質量%がトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエートであることが好ましい。
A層が、ポリビニルアセタール(A)100質量部に対して0.1〜3質量部の2−エチルヘキサン酸(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチルを含有することが好ましい。
B層が、ポリビニルアセタール(B)100質量部に対して0.1〜4質量部の2−エチルヘキサン酸(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチルを含有することが好ましい。
また、本発明によると、上記目的は、前記積層体を2枚のガラスの間に挟んで積層してなる合わせガラスにより好適に達成される。
2枚のガラスのうち一方が無機ガラスで他方が有機ガラスであることが好ましい。
1日の最高温度と最低温度の差が15〜25℃の雰囲気で30日使用した後におけるヘイズが1%以下であることが好ましい。
また、本発明によると、上記目的は、平均残存水酸基量が27〜33モル%であり、且つ、25℃で1gをメタノール100gに溶解させたときの溶解分が70〜100質量%であるポリビニルアセタール(A)100質量部に対して、30〜50質量部の可塑剤を含有する成形体と、平均残存水酸基量が15〜24モル%であり、且つ、25℃で1gをメタノール100gに溶解させたときの溶解分が10〜40質量%であるポリビニルアセタール(B)100質量部に対して、40〜70質量部の可塑剤を含有する成形体とを溶融混練し、得られた混練物を製膜することで得られるシートにより好適に達成される。
前記ポリビニルアセタール(A)および可塑剤を含有する成形体と前記ポリビニルアセタール(B)および可塑剤を含有する成形体の原料として、本発明の前記積層体を用いることが好ましい。
本発明によれば、合わせガラス用中間膜として使用した場合に、ガラスとの接着性や力学強度および遮音性能に優れ、温度変化の著しい環境下で長期間使用しても層間剥離が生じにくい積層体を提供できる。
まず、本発明で使用するポリビニルアセタール(A)について説明する。本発明で使用するポリビニルアセタール(A)は、平均残存水酸基量が27〜33モル%であり、且つ、25℃で1gのポリビニルアセタール(A)を100gのメタノールに溶解させた場合の溶解分が70〜100質量%、好ましくは80〜100質量%、最適には90〜100質量%であるものである。なお、ポリビニルアセタール(A)の溶解分が70質量%未満であると、積層体を合わせガラス用中間膜として使用した場合に優れた遮音性能が発現しなかったり、あるいはA層とガラスとの接着性が低下したりすることがあり、好ましくない。
1gのポリビニルアセタール(A)を100gのメタノールに溶解させた場合の溶解分が70〜100質量%であるとは、メタノール100gを撹拌下、各粒子または各かたまりの長径が3mm以下であるポリビニルアセタール(A)1gを塊状にならないように添加し、25℃で72時間、撹拌した後、得られた溶液(未溶解分を含む)をJIS P3801にて規定される、ろ紙の種類で5種Aに分類されるろ紙を使用して、差圧0.010±0.002MPaで減圧ろ過した場合に得られるろ液からメタノールを除いた質量が0.7〜1.0g(すなわち70〜100質量%)であることを表す。なお、各粒子または各塊の長径が3mm以下であるポリビニルアセタール(A)は、もともと粒子の長径が3mm以下であるポリビニルアセタールをそのまま使用する、あるいは長径が3mmを超える粒子径を有するポリビニルアセタールをはさみ等で切断して、長径が3mm以下になるようにするなどの方法により得ることができる。
得られた溶液(未溶解分を含む)のろ過は次のような方法で行う。適当な大きさの吸引瓶にブフナー漏斗を取り付けて前記ろ紙をセットし、あらかじめろ紙にメタノールを浸み込ませる。溶液(未溶解分を含む)をろ紙上に注ぎ、アスピレーターなどを使用して減圧下(差圧0.010±0.002MPa)で吸引ろ過する。注いだ溶液の95%以上がろ過されたら、さらにメタノール100mLをろ紙上に注ぎ、ろ紙上に残存する未溶解分を洗浄する。ろ液が出なくなったらろ液を回収し、ろ液に含まれるメタノールを、例えばエバポレーターを使用して減圧下で除いた後、残存する固体の質量を測定して溶解分の割合(百分率)を算出する。溶解分の割合(%)は、(ろ液に含まれていた固体の質量/メタノールに添加したサンプルの質量)×100で計算される。なお、これらの作業は室温下(20℃〜25℃)で行うのが好適である。
本発明で使用するポリビニルアセタール(A)は従来公知の方法で得ることができるが、例えば平均残存水酸基量が27〜33モル%になるようにポリビニルアルコールに対するアルデヒド使用量を決定し、従来公知の方法でアセタール化反応を行うことで、得られたポリビニルアセタール1gをメタノール100gに溶解させたときの溶解分を70〜100質量%とすることができる。
本発明で使用するポリビニルアセタール(A)の平均残存水酸基量は、27〜33モル%であり、27〜32モル%が好ましく、27〜31モル%がより好ましい。また、平均アセタール化度は特に限定されないが60〜72.5モル%が好ましく、63〜72.5モル%がより好ましく、66〜72.5モル%がさらに好ましい。また平均残存ビニルエステル基量は0.01〜5モル%が好ましく、0.01〜4モル%がより好ましく、0.01〜3モル%がさらに好ましい。これらの値が上記範囲内であると、得られる積層体の力学強度に優れ、ガラスへの接着性に優れる点、及び積層体の製造に必要なポリビニルアセタールの入手が工業的に容易であるという点で好ましい。
次に、本発明で使用するポリビニルアセタール(B)について説明する。本発明で使用するポリビニルアセタール(B)は、平均残存水酸基量が15〜24モル%であって、該ポリビニルアセタール(B)1gをメタノール100gに溶解させた場合の溶解分が10〜40質量%、好ましくは11〜38質量%、より好ましくは12〜35質量%である。ポリビニルアセタール(B)の溶解分が10質量%未満であると、積層体におけるA層とB層の接着力が十分でなくなり好ましくない。また、溶解分が40質量%を超えると、積層体を合わせガラス用中間膜として使用した場合に、優れた遮音性能が発現しないことがあり、好ましくない。
ポリビニルアセタール(B)1gをメタノール100gに溶解させた場合の溶解分が10〜40質量%であるとは、上記ポリビニルアセタール(A)1gをメタノール100gに溶解させた場合の溶解分の測定と同様の方法に従って評価した場合の溶解分が0.1〜0.4g(すなわち10〜40質量%)であることを表す。
本発明で使用するポリビニルアセタール(B)は任意の方法で得ることができるが、例えば、析出反応温度を比較的高めにして比較的大きな粒子を得、析出後にさらにアルデヒドを添加し反応させてポリビニルアセタール(B)を得る方法;別々に製造したポリビニルアセタールを任意の割合で混合してポリビニルアセタール(B)を得る方法が挙げられる。
析出反応温度を比較的高めにして比較的大きなポリビニルアセタールの粒子を得、粒子の析出後にさらにアルデヒドを添加し反応させてポリビニルアセタール(B)を得る方法においては、まず、濃度3〜20質量%のポリビニルアルコールの水溶液を、80〜100℃の温度範囲で保持して溶解させた後、その温度を10〜60分かけて徐々に冷却する。温度が13〜30℃(析出反応温度とする)まで低下したところで、反応に使用する全アルデヒドの30〜90%、及び塩酸、硝酸などの酸触媒を添加し、温度を一定に保ちながら30〜300分間アセタール化反応を行う。この反応中、アセタール化度が一定水準に達したポリビニルアルコール(低アセタール化度ポリビニルアセタール)が析出した後、残りのアルデヒドを全量添加する。なお、添加する全アルデヒドの量は、使用するポリビニルアセタールの平均残存水酸基量、および得られるポリビニルアセタールの平均残存水酸基量を考慮して適宜選択される。その後、反応液を30〜200分かけて30〜80℃の温度まで昇温し、その温度を10〜200分保持する。次に、この反応液に、必要に応じてアルカリなどの中和剤を添加することで酸触媒を中和し、そして、水洗、乾燥することにより、ポリビニルアセタールが得られる。このように析出反応温度を比較的高めの温度にすることで析出する粒子が比較的大きくなり、また、析出後にアルデヒドを添加することで、粒子の中心部とその周縁部で異なるアセタール化度を有する、ポリビニルアセタールが得られる。この場合、主にアセタール化度の影響により、メタノールに溶解するポリビニルアセタールと、溶解しないポリビニルアセタールが一定の比率で存在することとなる。本発明では、このようなポリビニルアセタールのうち、当該ポリビニルアセタール1gをメタノール100gに溶解させた際の溶解分が10〜40質量%であるものを使用できる。
別々に製造したポリビニルアセタールを任意の割合で混合してポリビニルアセタール(B)を得る方法においては、最終的に得られるポリビニルアセタール1gをメタノール100gに溶解させた際の溶解分が10〜40質量%であれば特に限定されないが、例えば、メタノール100gに1gを溶解させた場合の溶解分が40質量%より多く100質量%以下のポリビニルアセタールと、メタノールに溶解させた場合の溶解分が0質量%以上10質量%未満のポリビニルアセタールまたはメタノールに溶解させた場合の溶解分が10〜40質量%であるポリビニルアセタールとを、99:1〜1:99の比率で混合する方法;メタノールに溶解させた場合の溶解分が10〜40質量%であるポリビニルアセタールと、メタノールに溶解させた場合の溶解分が0質量%以上10質量%未満のポリビニルアセタールとを99:1〜1:99の比率で混合する方法;メタノールに溶解させた場合の溶解分が10〜40質量%であるポリビニルアセタールを任意の比率で2種類以上混合する方法などが挙げられる。
本発明で使用するポリビニルアセタール(B)のポリビニルアセタールの平均残存水酸基量は15〜24モル%であり、18.3〜21.7モル%であることが好ましく、18.5〜21.5モル%であることがより好ましい。平均アセタール化度は特に限定されないが、66〜78モル%が好ましく、67〜77モル%がより好ましく、68〜76モル%がさらに好ましい。また平均残存ビニルエステル基量は0.1〜16モル%であることが好ましく、3〜14モル%であることがより好ましく、4〜12モル%であることがさらに好ましい。これらの値が上記範囲内であることで、遮音性に優れる積層体を得ることができる。
本発明のアセタール化反応に用いるアルデヒドは特に限定されないが、従来公知の炭素数1〜8のアルデヒドでアセタール化することが好ましく、中でも炭素数4〜6のアルデヒドが好ましく、とりわけn−ブチルアルデヒドが好ましく用いられる。本発明においては、アルデヒドを2種類以上併用して得られるポリビニルアセタールを使用することもできる。
次に、本発明の積層体を構成するA層およびB層のそれぞれに含まれる可塑剤について説明する。本発明で使用する可塑剤は、従来公知の可塑剤を使用できる。ポリビニルアセタール(A)、ポリビニルアセタール(B)との相溶性、ポリビニルアセタール(A)、ポリビニルアセタール(B)への可塑化効果に優れる観点から、とりわけトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、オリゴエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエートなどの2価アルコールと1価カルボン酸とのジエステル化合物、またアジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ(2−ブトキシエチル)などの1価アルコールと2価カルボン酸とのジエステル化合物を1種類単独でまたは2種類以上を併用することが好ましい。中でも、A層に含まれる可塑剤は、可塑剤中の80〜100質量%、好ましくは85〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%がトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエートであるものが好ましい。可塑剤中の80〜100質量%がトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエートである可塑剤をA層に使用して得られる積層体は、力学強度やガラスへの接着性および当該積層体を含む合わせガラスの遮音性能に優れる。また、B層に含まれる可塑剤は、可塑剤中の80〜100質量%、好ましくは85〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%がトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエートであるものが好ましい。可塑剤中の80〜100質量%がトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエートである可塑剤をB層に使用して得られる積層体は、力学強度やガラスへの接着性、また当該積層体を含む合わせガラスの遮音性能に優れる。
本発明の積層体を構成するA層は、前記ポリビニルアセタール(A)100質量部に対して、30〜50質量部の可塑剤を含有する。可塑剤の含有量は、ポリビニルアセタール(A)100質量部に対して、31〜47質量部であることが好ましく、32〜45質量部であることがより好ましい。可塑剤の含有量が前記範囲内であると、積層体の力学強度に優れ、また、本発明の積層体を使用して合わせガラスを作製する際の加工性に優れ、ガラスとの接着性が優れる傾向にある。
また、本発明の積層体を構成するB層は、前記ポリビニルアセタール(B)100質量部に対して、40〜70質量部の可塑剤を含有する。可塑剤の含有量は、50〜70質量部であることが好ましく、51〜68質量部であることがより好ましく、52〜66質量部であることがさらに好ましい。可塑剤の含有量が前記範囲内であると、得られる積層体の遮音性や力学強度に優れる傾向にある。
温度変化が著しい環境においてもA層およびB層の接着性をより優れたものとできる点から、本発明の積層体を構成するA層またはB層は、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、トリエチレングリコールモノ2−エチルブタノエート、2−エチルヘキサン酸(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチルなどの水酸基を含有するカルボン酸エステルをさらに含有することが好ましい。温度変化が著しい環境下での接着性の向上および透明性に優れる観点から、A層における水酸基を含有するカルボン酸エステルの含有量は、ポリビニルアセタール(A)100質量部に対して0.1〜3質量部が好ましく、0.15〜1.0質量部がより好ましく、0.2〜0.8質量部がさらに好ましい。また、温度変化が著しい環境下での接着性の向上および透明性に優れる観点から、B層における水酸基を含有するカルボン酸エステルの含有量は、ポリビニルアセタール(B)100質量部に対して0.1〜4質量部が好ましく、0.15〜3質量部がより好ましく、0.2〜2.5質量部がさらに好ましい。
上記2−エチルヘキサン酸(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル等のカルボン酸エステルは、A層とB層の界面付近において、残存水酸基量の異なるポリビニルアセタール間の相溶化剤として作用すると推測される。このため、A層またはB層が2−エチルヘキサン酸(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチルなどのカルボン酸エステルを含む場合、A層とB層の層間接着性がさらに向上すると考えられる。
また、本発明の積層体であって2−エチルヘキサン酸(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチルなどのカルボン酸エステルが含有されていると、当該積層体を多層押出成形によって成形する場合に発生するオフスペック品や製造過程で得られるトリム等を原料とする合わせガラス用中間膜(リサイクル中間膜)の製造において、新たに相溶化剤等の添加剤を加えることなく透明性に優れる合わせガラス用中間膜を得ることができる。このように外部からの添加剤が不要である点は、特に押し出し機を用いてリサイクル中間膜を製造する場合、サイドフィーダーなどの設備を必要としないので好適である。
本発明の積層体を構成するA層またはB層は、本発明の主旨に反しない限り、それぞれ酸化防止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、その他添加剤を含んでいても良い。
A層またはB層が酸化防止剤を含有する場合、その種類は特に限定されないが、例えば、従来公知のフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤又は硫黄系酸化防止剤などを用いることができる。これらの中でもフェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。これらの酸化防止剤は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の含有量は特に限定されないが、A層またはB層を構成する組成物に対して0.0001〜5質量%であることが好ましく、0.001〜1質量%であることがより好ましい。酸化防止剤の含有量が0.0001質量%より少ないと十分な効果が得られないことがあり、また、酸化防止剤の含有量が5質量%より多くても格段の効果は望めない。
A層またはB層が紫外線吸収剤を含有する場合、その種類は特に限定されないが、例えば、従来公知のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤などを使用できる。これらの紫外線吸収剤は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。紫外線吸収剤の含有量は特に限定されないが、A層またはB層を構成する組成物の質量に対して0.0001〜5質量%であることが好ましく、0.001〜1質量%であることがより好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.0001質量%より少ないと十分な効果が得られないことがあり、また5質量%より多くても格段の効果は望めない。
また、本発明の積層体を合わせガラス用中間膜など、ガラスとの接着性を適切に調節する必要がある用途に使用する場合、A層またはB層を構成するポリビニルアセタール組成物には接着性調整剤が含有されていてもよい。接着性調整剤としては、従来公知のものが使用可能であるが、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、2−エチルブタン酸、2−エチルヘキサン酸などの有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などが用いられ、これらは2種類以上を併用してもよい。接着性調整剤の含有量は、ポリビニルアセタール組成物の質量に対して0.0001〜1質量%であることが好ましく、0.0005〜0.1質量%がより好ましく、0.001〜0.03質量%がさらに好ましい。
本発明の積層体の構成は特に限定されないが、A層/B層、A層/B層/A層、B層/A層/B層、A層/B層/A層/B層/A層といった、A層とB層が積層される構成を有していれば良いが、本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合には、ガラスとの接着性を最適化する観点から、積層体の最も外側の層の少なくとも1層、好ましくは2層がA層であると良い。
本発明の積層体は従来公知の方法で作製できる。例えば、押出製膜法、キャスト製膜法、プレス製膜法などによって、A層、B層を個別に製膜し、次いでそれらを積層する方法;また共押出法によりA層とB層を製膜と同時に積層する方法(多層押出製膜法)などが挙げられる。
本発明の積層体を構成するA層およびB層の厚さは特に限定されないが、A層の厚さは0.05〜0.8mmであることが好ましく、0.15〜0.6mmであることがより好ましく、0.2〜0.5mmであることがさらに好ましい。A層の厚さが0.05mmよりも薄くなると、本発明の積層体の力学強度が不十分となることがあり、A層の厚さが0.8mmを超えると、本発明の積層体の柔軟性が不十分となり、例えば合わせガラス中間膜として使用する際に十分な耐衝撃性を発現しないことがある。また、B層の厚さは0.01〜0.8mmであることが好ましく、0.05〜0.4mmであることがより好ましく、0.07〜0.3mmであることがさらに好ましい。B層の厚さが0.01mmよりも薄くなると、好ましい遮音性能を発現しないことがあり、B層の厚さが0.8mmを超えると、力学強度が不十分となる傾向にある。
また、本発明の積層体を生産する際に発生するトリムやオフスペック品を原料としてリサイクル品を製造した場合、新たに、相溶化剤等の添加剤を加えることなく、従来のものよりも透明性に優れるリサイクル品を得ることができる。
本発明の積層体は、2枚のガラスに挟んで積層することで、合わせガラス用中間膜として使用できる。その際に使用するガラスは特に限定されないが、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、熱線吸収板ガラスなどの無機ガラスのほか、従来公知の有機ガラス等が使用できる。これらの合わせガラスとして使用できるガラスは無色または有色でも、さらには透明または非透明のいずれであってもよい。これらのガラスは1種類を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。2種類以上を併用する場合、とりわけフロート板ガラスなどの無機ガラスと、アクリルやポリカーボネートなどの有機ガラスを併用する合わせガラスを温度変化のある環境で使用すると、表裏両面からの熱が伝わる速度に差が出るために、本発明の合わせガラスに含まれる積層体の層の界面で、各層の熱膨張率差による応力が発生し、結果、層間剥離が発生しやすくなる傾向にある。本発明の積層体は層間接着性に優れるため、このような合わせガラスにおいても層間剥離が生じにくいので好ましい。
本発明の合わせガラスで使用するガラスの厚さは限定されず、例えば厚さ0.5〜20mmの従来公知のガラスを使用できる。
また、積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合、積層体が吸水すると層間剥離の問題が発生しやすい。通常、合わせガラス用中間膜はその含水率を0.5質量%程度に調整して使用することが多いが、合わせガラスの端部を耐水性シール剤で処理していないものは、その端部の近辺の合わせガラス用中間膜の含水率が1.0質量%より高くなることがある。本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として用いた場合は、端部がシールされていない合わせガラスを長期間使用する場合であっても、高い接着性を保持することができ、好適に使用できる。その理由は必ずしも明らかではないが、合わせガラス用中間膜の含水率が高くなり、ポリビニルアセタール分子間の水素結合がある程度切断されても、本発明の積層体においては、A層とB層の界面で各層に含まれるポリビニルアセタールが互いに相溶していることにより、層間の接着性を保持できるためと推測される。
本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合、積層体の最表面(ガラスと接着させる面)の形状は特に限定されないが、ガラスとラミネートする際の取り扱い性(泡抜け性)を考慮すると、積層体の最表面にメルトフラクチャー、エンボスなど、従来公知の方法で凹凸構造を形成したものが好ましい。
本発明の合わせガラスは従来公知の方法で製造できる。例えば、真空ラミネーター装置、真空バッグ、真空リング、ニップロールなどの装置を用いる方法が挙げられる。また、前記方法で仮圧着後に、得られた仮圧着体をオートクレーブに投入する方法も、付加的に行なうことができる。
真空ラミネーター装置を用いる場合、例えば、1×10−6〜3×10−2MPaの減圧下、100〜200℃、特に130〜160℃の温度で合わせガラスを製造できる。真空バッグまたは真空リングを用いる方法は、例えば、欧州特許第1235683号明細書に記載されており、例えば約2×10−2MPaの圧力下、130〜145℃で合わせガラスを製造できる。
ニップロールを用いる場合、例えば、本発明の積層体のA層又はB層それぞれを構成するポリビニルアセタール組成物の流動開始温度以下の温度で1回目の仮圧着をし、次いで、流動開始温度に近い条件で圧着する方法が挙げられる。具体的には、例えば、本発明の積層体のA層又はB層を構成するポリビニルアセタール組成物からなるシートを赤外線ヒーターなどで30〜70℃に加熱後にロールで脱気し、次いで50〜120℃に加熱後にロールで圧着してガラスに接着または仮接着させる方法が挙げられる。また、A層及びB層の仮圧着をした後に付加的に行なわれることがあるオートクレーブ工程は、合わせガラスの厚さや構成によっても異なるが、例えば、1.0〜1.5MPaの圧力下、130〜145℃の温度で、0.5〜3時間行う。
本発明の積層体を含む合わせガラスは、その層間接着性が特に優れる。本発明の合わせガラスを、1日の最高気温と最低気温の差が15〜25℃の雰囲気で、且つ、最低気温が−20〜−10℃の雰囲気で、30日間にわたって使用した場合でも、透明性が保たれる。したがって、本発明の合わせガラスは、特に、そのような温度差の大きい環境下で用いられる合わせガラスとして好適である。
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
(PVB−1の調製)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた10L(リットル)のガラス製容器に、イオン交換水8100g、ポリビニルアルコール(PVA−1:粘度平均重合度1700、けん化度99モル%)660gを仕込み(PVA濃度7.5%)、内容物を95℃に昇温して完全に溶解させた。次に、120rpmで攪拌下、5℃まで約30分かけて徐々に冷却した後、ブチルアルデヒド384gと20%の塩酸540mLを添加し、ブチラール化反応を150分間行った(ポリビニルアセタールの析出は、ブチルアルデヒド添加終了後であった)。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を添加して残存する酸を中和し、さらに過剰の水で洗浄、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−1)を得た。得られたPVB−1の特性をJIS K6728に従って測定したところ、平均アセタール化度は69モル%、残存酢酸ビニル基の含有量は1モル%、平均残存水酸基の含有量は30モル%であった。測定結果を表1に示す。
(PVB−2の調製)
PVB−1の調製において、ブチルアルデヒドの使用量を395gに変更した以外は同様にしてPVB−2を得た。なお、ポリビニルアセタールの析出は、ブチルアルデヒド添加終了後に起こった。PVB−2の平均アセタール化度は71モル%、残存酢酸ビニル基の含有量は1モル%、平均残存水酸基の含有量は28モル%であった。測定結果を表1に示す。
(PVB−3の調製)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた10Lのガラス製容器に、イオン交換水8100g、ポリビニルアルコール(PVA−2:粘度平均重合度1700、けん化度90モル%)723gを仕込み(PVA濃度8.2%)、内容物を95℃に昇温して完全に溶解させた。次に、120rpmで攪拌下、5℃まで約30分かけて徐々に冷却した後、ブチルアルデヒド395gと20%の塩酸540mLを添加し、ブチラール化反応を150分間行った(ポリビニルアセタールの析出は、ブチルアルデヒド添加終了後であった)。その後、60分かけて50℃まで昇温し、50℃にて120分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を添加して残存する酸を中和し、さらに過剰の水で洗浄、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−3)を得た。得られたPVB−3の特性をJIS K6728に従って測定したところ、平均アセタール化度は71モル%、残存酢酸ビニル基の含有量は9モル%、平均残存水酸基の含有量は20モル%であった。測定結果を表1に示す。
(PVB−4の調製)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた10Lのガラス製容器に、イオン交換水8100g、ポリビニルアルコール(PVA−3:粘度平均重合度1700、けん化度93モル%)705gを仕込み(PVA濃度8.0%)、内容物を95℃に昇温して完全に溶解させた。次に120rpmで攪拌下、8℃まで約30分かけて徐々に冷却後、ブチルアルデヒド415gと20%の塩酸660mLを添加し、ブチラール化反応を150分間行った。その後、60分かけて68℃まで昇温し、68℃にて220分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を添加して残存する酸を中和し、さらに過剰の水で洗浄し、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−4)を得た。得られたPVB−4の特性をJIS K6728に従って測定したところ、平均アセタール化度は74モル%、残存酢酸ビニル基の含有量は7モル%、平均残存水酸基の含有量は19モル%であった。測定結果を表1に示す。
(PVB−5の調製)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた10Lのガラス製容器に、イオン交換水8100g、PVA−2(粘度平均重合度1700、けん化度90モル%)723gを仕込み(PVA濃度8.2%)、内容物を95℃に昇温して完全に溶解させた。次に120rpmで攪拌下、17℃まで約30分かけて徐々に冷却した後、ブチルアルデヒド250gと30%の硝酸500mLを添加し、ブチラール化反応を100分間行った(この反応中に、ポリビニルアセタールが析出した)。次いで、ブチルアルデヒド145gを添加して17℃で50分間反応を行った後、60分かけて67℃まで昇温し、67℃にて120分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を添加して残存する酸を中和し、さらに過剰の水で洗浄、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−5)を得た。得られたPVB−5の特性をJIS K6728に従って測定したところ、平均アセタール化度は71モル%、残存酢酸ビニル基の含有量は9モル%、平均残存水酸基の含有量は20モル%であった。測定結果を表1に示す。
(PVB−6の調製)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた10Lのガラス製容器に、イオン交換水8100g、PVA−3(粘度平均重合度1700、けん化度93モル%)705gを仕込み(PVA濃度8.0%)、内容物を95℃に昇温して完全に溶解させた。次に120rpmで攪拌下、18℃まで約30分かけて徐々に冷却した後、ブチルアルデヒド300gと30%の硝酸550mLを添加し、ブチラール化反応を100分間行った(この反応中に、ポリビニルアセタールが析出した)。次いで、ブチルアルデヒド115gを添加して18℃で50分間反応を行った後、60分かけて68℃まで昇温し、68℃にて220分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄後、過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を添加して残存する酸を中和し、さらに過剰の水で洗浄し、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−6)を得た。得られたPVB−6の特性をJIS K6728に従って測定したところ、平均アセタール化度)は74モル%、残存酢酸ビニル基の含有量は6モル%、平均残存水酸基の含有量は20モル%であった。測定結果を表1に示す。
(ポリビニルアセタール1gをメタノール100gに溶解させたときの溶解分測定)
PVB−1〜PVB−6の溶解分を以下の方法に従い測定した。まず、メタノール100gを撹拌下、各粒子または各かたまりの長径が3mm以下であるポリビニルアセタール1gを塊状にならないように添加し、25℃で72時間、撹拌した。その後、適当な大きさの吸引瓶にブフナー漏斗を取り付けてJIS P3801において5種Aに分類されるろ紙をセットし、あらかじめろ紙にメタノールを浸み込ませた。得られた溶液(未溶解分を含む)をろ紙上に注ぎ、アスピレーターを使用して減圧下(差圧0.010±0.002MPa)で吸引ろ過した。注いだ溶液の95%以上がろ過されたら、さらにメタノール100mLをろ紙上に注ぎ、ろ紙上に残存する未溶解分を洗浄した。ろ液が出なくなったら、ろ液を回収し、ろ液に含まれるメタノールをエバポレーターを使用して減圧下で除いた後、残存する固体の質量を測定して溶解分の割合(百分率)を算出した。溶解分の割合は、(ろ液に含まれていた固体の質量/メタノールに添加したサンプルの質量)×100で計算した。測定結果を表1に示す。
Figure 0006033753
(実施例1)
100質量部のPVB−1、39質量部の3GO、0.3質量部の2−エチルヘキサン酸(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチルを150℃で、3分間、ラボプラストミルで溶融混練した後、プレス製膜法によって厚さ0.4mmのシート−Aを得た。また、80質量部のPVB−3、20質量部のPVB−1、60質量部の3GO、0.6質量部の2−エチルヘキサン酸(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチルを150℃で、3分間、ラボプラストミルで溶融混練した後、プレス製膜法によって厚さ0.1mmのシートBを得た。シート−A、シート−B、シート−Aをこの順番に重ね、熱プレスにより接着して積層体−1を得た。また、上記PVB−1〜PVB−7と同様の方法に従って、シートBに含まれるポリビニルアセタール1gをメタノール100gに溶解させたときの溶解分を測定した。測定結果を表2に示す。
(ガラスへの接着性評価)
10cm×20cmの大きさにカットした積層体−1を2枚の10cm×20cm×2mm厚フロートガラスで挟み、ニップロールで仮接着後、オートクレーブにて140℃、1.2MPaの条件で60分間処理をして合わせガラスとした。得られた合わせガラスのパンメル試験を実施したところ、パンメル値は9であった。
(合わせガラスの損失係数評価)
積層体−1を、厚さ3mmのフロートガラスで挟み、ニップロールで仮接着後、オートクレーブにて140℃、1.2MPaの条件下で60分間処理して合わせガラスとした。得られた合わせガラスを加振機(EMIC社製、小型振動発生機512−A)により加振し、その際の周波数応答関数をFFTアナライザー(小野測器社製、DS−2100)にて検出、サーボ解析ソフト(小野測器社製、DS−0242)を使用して2000Hzにおける損失係数を算出した。なお、測定は20℃の雰囲気下で実施した。損失係数の大きいものほど、合わせガラスの遮音性能が優れることを表す。
(サイクル試験1)
積層体−1を30cm×30cmの大きさに切断し、これを2枚の30cm×30cm×2mmのガラスに挟み、ニップロールで仮接着後、オートクレーブにて140℃、1.2MPaの条件で60分間処理をして合わせガラスとした。得られた合わせガラスを、40℃、90%RHで10時間保持し、40℃から−40℃までを2時間で冷却し(湿度は成り行き)、次いで、−40℃で10時間保持し(湿度は成り行き)、−40℃から40℃までを2時間で昇温する(湿度は成り行き)処理を1サイクルとし、当該サイクルを50サイクル繰り返した。処理後、合わせガラス中のA層とB層の層間剥離(端部、中央部)の様子を確認した。
(サイクル試験2)
積層体−1を30cm×30cmの大きさに切断し、これを30cm×30cm×2mmのガラスと30cm×30cm×2mmのガラスに挟み、ニップロールで仮接着後、オートクレーブにて140℃、1.2MPaの条件で60分間処理をして合わせガラスとした。得られた合わせガラスを40℃、90%RHで2時間保持し、40℃から−40℃までを1時間で冷却し、−40℃で2時間保持し、次いで、−40℃から40℃までを1時間で昇温する処理を1サイクルとし、当該サイクルを50サイクル繰り返した。処理後、合わせガラス中のA層とB層の層間剥離(端部、中央部)の様子を確認した。
(模擬リサイクル試験)
積層体−1を、ラボプラストミルを使用して60rpmで150℃の条件で、5分間溶融混練し、得られた混練物をプレス製膜法によって製膜し、厚さ0.8mmのシートを得た。当該シートを厚さ3mmのフロートガラスで挟み、ニップロールで仮接着後、オートクレーブにて140℃、1.2MPaの条件で60分間処理をして、合わせガラスとした。当該合わせガラスのヘイズを評価したところ、9.2%であった。
(実施例2)〜(実施例15)、(比較例1)〜(比較例8)
表2及び表3に示す構成、処方で積層体−2〜積層体−15、また比較例積層体−1〜比較例積層体−8を作製し、実施例1と同様の方法で評価を行った。評価結果を表4に示す。

Figure 0006033753
Figure 0006033753
Figure 0006033753

表4の結果から、本願発明の規定を満たす積層体は、合わせガラス用中間膜として使用した場合に、ガラスとの接着性や力学強度や遮音性能に優れ、温度変化が著しい環境下で長期間使用された場合でも層間剥離が発生しにくいことが分かる。
本発明の積層体は、合わせガラス用中間膜として使用した場合にガラスとの接着性や力学強度および遮音性能に優れ、温度変化の著しい環境下で長期間使用しても層間剥離が生じにくいため、合わせガラス用中間膜として好適である。また、本発明の積層体を生産する際に発生するトリムやオフスペック品を原料とした場合に、従来のものよりも透明性に優れるリサイクル品が得られる。

Claims (10)

  1. 平均残存水酸基量が27〜33モル%であり、且つ、25℃で1gをメタノール100gに溶解させたときの溶解分が70〜100質量%であるポリビニルアセタール(A)100質量部に対して、可塑剤30〜50質量部を含有するA層と、平均残存水酸基量が15〜24モル%であり、且つ、25℃で1gをメタノール100gに溶解させたときの溶解分が10〜40質量%であるポリビニルアセタール(B)100質量部に対して、可塑剤40〜70質量部を含有するB層とを備える積層体。
  2. A層に含まれる可塑剤中80〜100質量%がトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエートである、請求項1記載の積層体。
  3. B層に含まれる可塑剤中80〜100質量%がトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエートである、請求項1又は2記載の積層体。
  4. A層が、2−エチルヘキサン酸(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチルを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. B層が、ポリビニルアセタール(B)100質量部に対して0.1〜4質量部の2−エチルヘキサン酸(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチルを含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の積層体を2枚のガラスの間に挟んで積層してなる合わせガラス。
  7. 2枚のガラスのうち一方が無機ガラスであり、他方が有機ガラスである、請求項6記載の合わせガラス。
  8. 1日の最高温度と最低温度の差が15〜25℃の雰囲気で30日使用した後におけるヘイズが1%以下である、請求項6または7に記載の合わせガラス。
  9. 平均残存水酸基量が27〜33モル%であり、且つ、25℃で1gをメタノール100gに溶解させたときの溶解分が70〜100質量%であるポリビニルアセタール(A)100質量部に対して、30〜50質量部の可塑剤を含有する成形体と、平均残存水酸基量が15〜24モル%であり、且つ、25℃で1gをメタノール100gに溶解させたときの溶解分が10〜40質量%であるポリビニルアセタール(B)100質量部に対して、40〜70質量部の可塑剤を含有する成形体とを溶融混練し、得られた混練物を製膜することで得られるシート。
  10. 平均残存水酸基量が27〜33モル%であり、且つ、25℃で1gをメタノール100gに溶解させたときの溶解分が70〜100質量%であるポリビニルアセタール(A)100質量部に対して、可塑剤30〜50質量部を含有するA層と、平均残存水酸基量が15〜24モル%であり、且つ、25℃で1gをメタノール100gに溶解させたときの溶解分が10〜40質量%であるポリビニルアセタール(B)100質量部に対して、可塑剤40〜70質量部を含有するB層とを備える積層体におけるA層を、ポリビニルアセタール(A)と可塑剤を含有する成形体として用い、B層を、ポリビニルアセタール(B)と可塑剤を含有する成形体として用いた、請求項9記載のシート。
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