JP6113645B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた3L(リットル)のガラス製容器に、イオン交換水2000g、ポリビニルアルコール(PVA−1)(粘度平均重合度1700、けん化度99モル%)200gを仕込み(PVA濃度9.1%)、内容物を95℃に昇温して完全に溶解させた。次に、120rpmで攪拌下、7℃まで約30分かけて徐々に冷却した後、ブチルアルデヒド114gと35%の塩酸70gを添加し、ブチラール化反応を30分間行った。その後、60分かけて60℃まで昇温し、60℃にて120分間保持した後、直ちに冷水浴で冷却した。ポリビニルアセタール樹脂をイオン交換水で洗浄した後、水酸化ナトリウム水溶液で残存する酸触媒を中和し、さらにイオン交換水で洗浄し、脱水し、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−1)を得た。得られたPVB−1をJIS K6728−1977(以下、JIS K6728と表わす)にしたがって測定したところ、表1に示すとおり、平均アセタール化度は69モル%、平均残存ビニルエステル基量は1モル%、平均残存水酸基量は30モル%であった。
PVB−1の調製において、ブチルアルデヒド使用量を119gに変更した以外は同様にして反応を行い、PVB−2を得た。得られたPVB−2をJIS K6728にしたがって測定したところ、表1に示すとおり、平均アセタール化度は72モル%、平均残存ビニルエステル基量は1モル%、平均残存水酸基量は27モル%であった。
PVB−1の調製において、PVA−1をPVA−2(粘度平均重合度1700、けん化度92モル%)200gに、また、ブチルアルデヒド使用量を120gに変更し、さらに6℃でブチラール化反応を実施した後、68℃まで70分かけて昇温し、68℃で110分反応を行った以外は同様にして、PVB−3を得た。得られたPVB−3をJIS K6728にしたがって測定したところ、表1に示すとおり、平均アセタール化度は74モル%、平均残存ビニルエステル基量は6モル%、平均残存水酸基量は20モル%であった。
PVB−3の調製において、PVA−2をPVA−3(粘度平均重合度1700、けん化度89モル%)200gに、また、ブチルアルデヒド使用量を117gに変更し、さらに5℃でブチラール化反応を実施した後、65℃まで70分かけて昇温し、65℃で140分反応を行った以外は同様にして、PVB−4を得た。得られたPVB−4をJIS K6728にしたがって測定したところ、表1に示すとおり、平均アセタール化度は75モル%、平均残存ビニルエステル基量は9モル%、平均残存水酸基量は16モル%であった。
(積層体の作製)
100質量部のPVB−1、可塑剤(Ap)として39質量部のトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、分散剤(Ad)として0.3質量部のトリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、および80ppmの酢酸マグネシウム4水和物と80ppmの2−エチル酪酸マグネシウムをラボプラストミルで160℃、8分間混練した。得られた混練物を厚さ0.38mmの型枠で160℃、50kg/cm2の条件で30分間プレスして厚さ0.38mmのシートAを得た。一方、100質量部のPVB−3、可塑剤(Bp)として60質量部のトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、および分散剤(Bd)として0.2質量部のトリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエートをラボプラストミルで160℃、8分間混練した。得られた混練物を厚さ0.15mmの型枠で160℃、50kg/cm2の条件で30分間プレスして厚さ0.15mmのシートBを得た。シートA及びシートBを、シートA/シートB/シートAの順に重ね、厚さ0.9mmの型枠で135℃、10kg/cm2の条件でプレスして積層し、得られた積層体をさらに2枚のエンボスシートで挟んでプレスして、A層(0.38mm)/B層(0.14mm)/A層(0.38mm)からなり、十点平均粗さRzが35μmの積層体−1を得た。
上記で得られた積層体−1を恒温恒湿器内で、35℃、80%RHの雰囲気で10時間調湿した。調湿した積層体−1をさらに下記(a)、(b)、(c)のそれぞれの条件で調湿を行い、以下の三段階の基準で調湿時間を評価したところ「18時間」であった。
(条件)
条件(a):23℃、28%RHで18時間処理
条件(b):29℃、55%RHで18時間処理後、続いて23℃、28%RHで18時間処理
条件(c):32℃、68%RHで18時間処理後、続いて29℃、55%RHで18時間処理し、さらに続いて26℃、40%RHで18時間処理し、最後に続いて23℃、28%RHで18時間処理
(基準)
「18時間」:条件(a)で積層体が白濁および層間剥離を起こさず、含水率が0.7%以下になっているもの
「36時間」:条件(a)では白濁や層間剥離が生じてしまうが、条件(b)で積層体が白濁および層間剥離を起こさず、含水率が0.7%以下になっているもの
「72時間」:条件(a)及び条件(b)のいずれでも白濁や層間剥離が生じてしまうが、条件(c)で積層体が白濁または層間剥離を起こさず、含水率が0.7%以下になっているもの
上記で得られた積層体−1を23℃、28%RHで5日間乾燥した後、35℃、80%RHでの雰囲気で処理した。積層体−1の処理を開始してから12時間後、24時間後、48時間後に目視で確認し、12時間後に可塑剤ブリードが無く、24時間後に可塑剤ブリードが発生しているものを「12時間」、24時間後に可塑剤ブリードが無く、48時間後に可塑剤ブリードが発生しているものを「24時間」、48時間後にも可塑剤ブリードが無いものを「48時間」として評価したところ、「48時間」であった。
30cm×30cmの積層体−1を23℃、28%RHの雰囲気下で5日間保管して調湿した(このとき積層体−1の含水率=0.49%)。この積層体−1を速やかに2枚のフロートガラス(30cm×30cm×2.2mm)で挟み、これを115℃に加熱後、ニップロールを用いて仮接着した。得られた仮接着体をオートクレーブに入れて135℃、1.2MPaの条件で60分間処理して合わせガラス−1を得た。得られた合わせガラス−1は積層体とガラスとの間に気泡が残存していなかった。
合わせガラス−1を60℃の熱水で12時間処理した後、23℃、28%RHの雰囲気下で108時間処理した(この処理を1サイクルとする)。当該処理を10回繰り返した後、合わせガラスの各端部から、積層体に含まれる成分抽出による欠点(ガラスと合わせガラス用中間膜の剥がれ、中間膜の層間の剥がれ)の発生の有無を目視により確認し、「無し」、「若干有」、「有」の3段階で評価したところ、「無し」であった。
得られた合わせガラス−1を、50℃、95%RHの雰囲気に2週間放置した後、端部からの白化距離を測定したところ、1mm未満であった。なお、白化距離は、合わせガラスの端部から連続して白化している部分の距離を白化距離として測定した。
合わせガラス−1を−18℃の温度で24時間放置した後、頭部の重さが0.45kgのハンマーで打って、ガラスの粒子径が6mm以下になるまで粉砕した。中間膜から剥離したガラス片を振り落とし、中間膜の露出度(%)をもとに、表2に示す基準にしたがってパンメル値を求めた。この場合、パンメル値が大きいほど可塑化フィルムのガラス板に対する接着性が高いことを示す。ここで、露出度は、中間膜の全体の面積に対する、ガラス片が剥がれて中間膜が露出した部分の面積の割合である。前記合わせガラス−1を試料としたもののパンメル値(以下、「吸水、乾燥前パンメル」と称する)と、積層体−1を23℃、80%RHで10時間処理後、23℃、28%RHで5日間処理した以外は、上記実施例1における(合わせガラスの作製)と同様の方法で作製した合わせガラスを試料としたもののパンメル値(以下、「吸水、乾燥後パンメル」と称する)とをそれぞれ求めた。「吸水、乾燥前パンメル」と「吸水、乾燥後パンメル」の差(表中、「パンメル差」と称する)が小さいものほど、積層体の作製後の調湿、吸水過程によらず、安定したガラスとの接着性を発現することを示す。
実施例1の(積層体の作製)において、エンボスシートの種類を変更した以外は同様にして、A層(0.38mm)/B層(0.14mm)/A層(0.38mm)からなり、十点平均粗さが10μmの積層体−1(Rz10)、また十点平均粗さが80μmの積層体−1(Rz80)を作製した。
積層体−1、積層体−1(Rz10)および積層体−1(Rz80)をそれぞれ、23℃、28%RHで5日間調湿し、厚さ2mmのガラス2枚に挟んだ後、真空袋内に入れて−0.095気圧に減圧後、減圧下に135℃に加熱して120分処理して、それぞれ合わせガラスV−1、合わせガラスV−1(Rz10)および合わせガラスV−1(Rz80)を作製した。これら合わせガラスについて脱気不足による気泡の残存を目視で確認したところ、合わせガラスV−1(Rz10)のみ気泡の残存が見られた。またそれぞれの合わせガラスに含まれる積層体の含水率を測定したところ、合わせガラスV−1に含まれる積層体では0.40%、合わせガラスV−1(Rz10)に含まれる積層体では0.48%、合わせガラスV−1(Rz80)では0.13%であり、合わせガラスV−1(Rz80)では、合わせガラス作製の工程で含水率が著しく低下していた。なお含水率は、各合わせガラスの端部から1cmよりも離れている部分をハンマーで叩いてガラスを割って速やかに積層体を取り出し、当該サンプル0.5gを株式会社三菱化学アナリティック製カールフィッシャー水分計(KF−200(容量法水分計)とVA−200(水分気化装置)を組み合わせて使用)を用いて、200℃で10分間加熱し、その間に気化した水分を定量することで測定した。
以上から積層体−1、積層体−1(Rz10)、積層体−1(Rz80)では、十点平均粗さが35μmであった積層体−1が脱気性、含水率調節性の両立の観点で好適であった。
なお、後述の実施例16、18および20で同様の評価を行った結果、いずれの場合にも十点平均粗さ35μmの積層体が、脱気性、含水率調節性の両立の観点で特に好適な結果を示した。
表3および表5に示すようにA層およびB層の組成を変更した以外は実施例1と同様にして積層体及び合わせガラスを作製し、同様に評価した。結果を表4および表6に示す。
Claims (16)
- 平均残存水酸基量がX(モル%)であるポリビニルアセタール(A)、可塑剤(Ap)及び分散剤(Ad)を含むA層と、平均残存水酸基量がY(モル%)であるポリビニルアセタール(B)及び可塑剤(Bp)を含み、分散剤(Bd)を含んでいても良いB層とを備え、
X≧Yであり、
A層は、さらに、ポリビニルアセタール(A)に対してマグネシウム塩10〜800ppmを含み、
A層中の可塑剤(Ap)の含有量に対する分散剤(Ad)の含有量の質量比が、B層中の可塑剤(Bp)の含有量に対する分散剤(Bd)の含有量の質量比より大きく、
可塑剤(Ap)がm価アルコール(mは2〜4の自然数を表す)1分子と炭素数8〜20の一価カルボン酸m分子とのエステル化反応で得られる化学構造を有するエステル化合物であり、
分散剤(Ad)が可塑剤(Ap)の少なくとも1つのエステル結合を加水分解して得られる化学構造を有しかつ(m−1)〜1個の水酸基と1〜(m−1)個のエステル結合を有する化合物であり、
可塑剤(Bp)がn価アルコール(nは2〜4の自然数を表す)1分子と炭素数8〜20の一価カルボン酸n分子とのエステル化反応で得られる化学構造を有するエステル化合物であり、
分散剤(Bd)が可塑剤(Bp)の少なくとも1つのエステル結合を加水分解して得られる化学構造を有しかつ(n−1)〜1個の水酸基と1〜(n−1)個のエステル結合を有する化合物である、
積層体。 - マグネシウム塩が、炭素数2〜8のカルボン酸のマグネシウム塩である、請求項1に記載の積層体。
- マグネシウム塩が、炭素数2〜4のカルボン酸のマグネシウム塩の1種以上と、炭素数5〜8のカルボン酸のマグネシウム塩の1種以上とを含む、請求項1または2に記載の積層体。
- m価アルコールが、縮合度が3〜20のエチレングリコールの縮合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
- n価アルコールが、縮合度が3〜20のエチレングリコールの縮合体である、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
- ポリビニルアセタール(A)の平均残存水酸基量Xが20〜40モル%である、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
- ポリビニルアセタール(B)の平均残存水酸基量Yが10〜35モル%であり、平均残存ビニルエステル基量が0.01〜25モル%である、請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
- A層におけるポリビニルアセタール(A)100質量部に対する可塑剤(Ap)の含有量が、B層におけるポリビニルアセタール(B)100質量部に対する可塑剤(Bp)の含有量より少ない、請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
- A層における可塑剤(Ap)の含有量がポリビニルアセタール(A)100質量部に対して20〜60質量部である、請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
- B層における可塑剤(Bp)の含有量がポリビニルアセタール(B)100質量部に対して30〜80質量部である、請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
- 前記一価カルボン酸が、カルボキシル基に隣接する炭素にカルボニル基以外の有機基が少なくとも2つ結合したカルボン酸である、請求項1〜10のいずれかに記載の積層体。
- 三層以上の層からなる積層体であり、積層体の外層の二層のうち少なくとも一層がA層である、請求項1〜11のいずれかに記載の積層体。
- 少なくとも一方の表面に凹凸構造を有する、請求項1〜12のいずれかに記載の積層体。
- 前記凹凸構造を有する表面は、少なくとも一つの表面の十点平均粗さRzが20〜45μmである、請求項13記載の積層体。
- 含水率が、0.3質量%以上0.5質量%未満である、請求項1〜14のいずれかに記載の積層体。
- 請求項1〜15のいずれかに記載の積層体を含む合わせガラス。
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