JP2008038093A - 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、接着力調整剤及びハイドロタルサイトを含有する合わせガラス用中間膜であって、前記ハイドロタルサイトの含有量が、前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、0.08重量部以上である合わせガラス用中間膜。
【選択図】 なし
Description
ところが、このような合わせガラス用中間膜とガラス板との界面に金属コーティング層を有する合わせガラスには、金属コーティング層中に銀色の斑点が発生してしまうという問題があった。
しかしながら、酸化マグネシウムや酸化亜鉛をポリビニルアセタール樹脂に添加し、ポリビニルアセタール樹脂からなる合わせガラス用中間膜とした場合、該合わせガラス用中間膜とガラス板との界面に金属コーティング層を有する合わせガラスでは、金属コーティング層中に銀色の斑点が発生してしまうという問題は解決されなかった。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、従来の合わせガラス用中間膜に配合されている物質に由来する微量成分、特に残留イオン成分が金属コーティング層中の銀色の斑点の発生に影響を与えていると仮定し、該残留イオン成分を吸着可能な物質を含有させることで、銀色の斑点の抑制作用を発現させることができるのかについて検討した。その結果、本発明者らは、残留イオン成分をインターカレーション可能な化合物を合わせガラス用中間膜中に存在させることで、耐貫通性に優れるとともに、銀色の斑点の発生を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂であれば特に限定されるものではないが、ポリビニルブチラール樹脂が好適である。また、必要に応じて2種以上のポリビニルアセタール樹脂を併用してもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度の好ましい下限は40%、好ましい上限は85%であり、より好ましい下限は60%、より好ましい上限は75%である。
上記原料となるポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られ、鹸化度80〜99.8モル%のポリビニルアルコールが一般的に用いられる。
また、上記ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は200、好ましい上限は3000である。200未満であると、得られる合わせガラスの耐貫通性が低下することがあり、3000を超えると、樹脂膜の成形性が悪くなり、しかも樹脂膜の剛性が大きくなり過ぎ、加工性が悪くなることがある。より好ましい下限は500、より好ましい上限は2000である。
上記有機リン酸系可塑剤としては特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
本発明の合わせガラス用中間膜において、上記接着力調整剤は、本発明の合わせガラス用中間膜の製造過程において、上述したマトリックス樹脂や可塑剤からなる混合物中に、上記接着力調整剤の有機酸塩として添加される。具体的には、例えば、上記接着力調整剤がマグネシウムイオンの場合、酢酸マグネシウム、ヘプタン酸マグネシウム、オクタン酸マグネシウム、ノナン酸マグネシウム、デカン酸マグネシウム等の有機酸塩の水溶液として添加される。
上述したように、製造された本発明の合わせガラス用中間膜中には残留イオン成分が残存している。しかしながら、上記残留イオン成分を上記ハイドロタルサイトがインターカレーションするため、本発明の合わせガラス用中間膜から残留イオン成分が拡散することがない。従って、本発明の合わせガラス用中間膜を、銀層等の金属コーティング層が設けられたガラス板間に挟持して製造した熱線反射合わせガラスや低反射合わせガラスは、上記金属コーティング層に残留イオン成分が拡散することはなく、銀色の斑点が発生することを抑制することができる。
また、上記3価の金属イオンとしては、例えば、アルミニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ガリウム等が挙げられる。
本発明の合わせガラス用中間膜において、上記表面処理されたハイドロタルサイトの含有量としては、上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.28重量部である。0.28重量部未満であると、上記表面処理されたハイドロタルサイトの層間にアニオンをインターカレーションすることによるアニオン交換能が低下し、残留イオン成分を充分にインターカレーションすることができず、本発明の合わせガラス用中間膜を用いて熱線反射合わせガラスや低反射合わせガラスを製造したときに、銀色の斑点が発生してしまうことがある。
本発明の合わせガラスは、本発明の合わせガラス用中間膜と、前記合わせガラス用中間膜を挟持する2枚のガラス板とを有する合わせガラスであって、少なくとも一方の前記ガラス板と合わせガラス用中間膜との界面に、銀層等の金属コーティング層が設けられている合わせガラスである。
(1)ポリビニルブチラール樹脂の合成
純水2890重量部に、平均重合度1700、鹸化度99.2モル%のポリビニルアルコール275重量部を加えて加熱溶解した。この反応系を15℃に温度調節し、35重量%の塩酸201重量部とn−ブチルアルデヒド157重量部とを加え、この温度を保持して反応物を析出させた。その後、反応系を60℃で3時間保持して反応を完了させ、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を汎用な中和剤である水酸化ナトリウム水溶液で中和し、更に、過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂を得た。この樹脂の平均ブチラール化度は68.5モル%であった。
得られたポリビニルブチラール樹脂100重量部に対して、トリエチレングリコール−ジ−エチレンブチレート(3GO)40重量部、マグネシウムの酢酸水溶液(濃度15重量%)0.3重量部、ハイドロタルサイト(協和化学社製、キョーワード2100)0.08重量部を添加し、プラスト機にて混練し、押出機により金型よりシート状に押し出して、厚さ745μmの合わせガラス用中間膜を得た。
得られた合わせガラス用中間膜を、その一方の面から金属コーティング層が施されたフロートガラス(縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)、もう一方の面から金属コーティング層の施されていないフロートガラス(縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)で挟み込み、これをゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブンに移し、更に90℃で30分間保持しつつ真空プレスした。このようにして予備圧着された合わせガラスをオートクレーブ中で135℃、圧力1.2MPaの条件で20分間圧着を行い、合わせガラスを得た。
ハイドロタルサイトの添加量を0.28重量部とした以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜を製造し、該合わせガラス用中間膜を用いた以外は、実施例1と同様にして合わせガラスを製造した。
表面処理を行ったハイドロタルサイト(協和化学社製、DHT−4A2)を使用し、添加量を0.42重量部とした以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜を製造し、該合わせガラス用中間膜を用いた以外は、実施例1と同様にして合わせガラスを製造した。
ハイドロタルサイトを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜を製造し、該合わせガラス用中間膜を用いて実施例1と同様にして合わせガラスを製造した。
ハイドロタルサイトの添加量を0.07重量部とした以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜を製造し、該合わせガラス用中間膜を用いた以外は、実施例1と同様にして合わせガラスを製造した。
(比較例3)
ハイドロタルサイトの代わりに、酸化マグネシウムを0.42重量部添加した以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜を製造し、該合わせガラス用中間膜を用いた以外は、実施例1と同様にして合わせガラスを製造した。
実施例1〜3及び比較例1〜3で製造した合わせガラスの銀色の斑点の有無を目視で確認した後、100℃のドライオーブンに入れ、24時間、48時間、60時間、120時間、200時間経過後における銀色の斑点の有無を目視にて確認した。結果を表1に示す。なお、表1中、「◎」は、5cm四方内に銀色の斑点が確認されなかったことを示し、「○」は、5cm四方内に1mm以上の銀色の斑点が確認されず1mm以下の銀色の斑点も3個以下であったことを示し、「×」は、5cm四方内に1mm以上の銀色の斑点又は、1mm未満の銀色の斑点が4個以上確認されたことを示す。
実施例1〜3及び比較例、1〜3で製造した合わせガラス用中間膜を透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEM−2100)で観察し、100μm四方内の1μm以上の粒子の個数を数え、以下の基準により分散性の評価を行った。結果を表1に示す。
◎:1μm以上の粒子が確認されなかった
○:1μm以上の粒子が確認された
×:10μm以上の粒子が確認された
Claims (3)
- ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、接着力調整剤及びハイドロタルサイトを含有する合わせガラス用中間膜であって、前記ハイドロタルサイトの含有量が、前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、0.08重量部以上であることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
- ハイドロタルサイトは、表面処理されていることを特徴とする請求項1記載の合わせガラス用中間膜。
- 請求項1又は2記載の合わせガラス用中間膜と、前記合わせガラス用中間膜を挟持する2枚のガラス板とを有する合わせガラスであって、少なくとも一方の前記ガラス板と合わせガラス用中間膜との界面に、金属コーティング層が設けられていることを特徴とする合わせガラス。
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