JPH08119687A - 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents

合わせガラス用中間膜及び合わせガラス

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JPH08119687A
JPH08119687A JP24916894A JP24916894A JPH08119687A JP H08119687 A JPH08119687 A JP H08119687A JP 24916894 A JP24916894 A JP 24916894A JP 24916894 A JP24916894 A JP 24916894A JP H08119687 A JPH08119687 A JP H08119687A
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JP
Japan
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carboxylic acid
laminated glass
acid
metal salt
interlayer film
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JP24916894A
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Tomohiro Fukai
知裕 深井
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高湿度下における周辺部の白化及び接着力低
下が抑えられ、かつ中間膜製造時におけるカルボン酸金
属塩のビルドアップが低減された合わせガラス用中間膜
及びそれを用いた合わせガラスを提供する。 【構成】 ポリビニルブチラール樹脂100部、可塑剤
20〜60部、カルボン酸金属塩0.001〜0.1部
及びカルボン酸化合物0.001〜0.1部を含有する
樹脂組成物からなる合わせガラス用中間膜において、カ
ルボン酸化合物の25℃、水中での酸解離指数の値が、
カルボン酸金属塩を構成するカルボン酸の酸解離指数の
値以上であることを特徴とする合わせガラス用中間膜、
及びそれを用いた合わせガラス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐湿性に優れ、且つ中
間膜製造時のカルボン酸金属塩の金型等への付着堆積
(ビルドアップ)が低減された合わせガラス用中間膜及
びそれを用いた合わせガラスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】合わせガラス(積層安全ガラス)は、建
築物の窓ガラスや自動車のフロントガラス用等に広く使
用されている。この合わせガラスの代表的なものとし
て、可塑化されたポリビニルブチラール樹脂組成物から
なる中間膜を一対のガラス板間に介装して貼り合わせた
ものがある。
【0003】この様な合わせガラスは、外部から衝撃が
加えられるとガラス部分は破損するとしても、ガラスの
間に介装せしめられた中間膜は容易には破損しない。ま
た、ガラスの破損後においてもガラスは中間膜に貼着し
た状態であるため、その破片が飛散することが少ない。
従って、車両や建造物の中の人体がガラスの破片により
傷害を受けるのを防止することができる。
【0004】この様な合わせガラスとしての機能を満足
するためには、中間膜とガラスとの接着力をある範囲内
に調整する必要がある。例えば、ガラス板と中間膜との
接着力が小さ過ぎる合わせガラスでは、外部からの衝撃
によってガラスが中間膜から剥がれて飛散してしまう。
一方、接着力が大き過ぎる場合には、ガラス板と中間膜
が同時に割れてしまう。
【0005】従って、中間膜とガラスとの接着力をある
範囲内に調整することは、自動車のフロントガラス等に
用いる場合では、衝突事故等の際に運転者及び乗客がガ
ラスへ衝突した時の衝撃を吸収したり、貫通を防止する
為に必要であり、また建築物の窓ガラス等に用いる場合
では、外部からの飛来物に対して貫通を防止したり、ガ
ラスの飛散を防止する為に必要である。
【0006】そこで、従来から中間膜とガラス板との接
着力を所定の範囲に設定できるように、中間膜用の調整
添加剤が種々検討されており、今日では主にカルボン酸
の金属塩、特に経時変化の小さい炭素数の少ないものが
添加剤として用いられている。このカルボン酸金属塩を
中間膜に含有させると、特に中間膜成型時及びオートク
レーブの中のような高温において、中間膜中からカルボ
ン酸金属塩が膜表面にブリードして多く集まり、その水
吸収性の為に中間膜とガラスの界面とに水分を多く保持
することによって接着力を低下させる。従って、カルボ
ン酸金属塩の接着力調整効果は、膜中と膜表面とのカル
ボン酸金属塩の分布状態を変化させるか、あるいは水分
量を変更することによって調整させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、接着力調整
剤(カルボン酸金属塩)を含有した中間膜は、耐湿性に
問題がある。すなわち、湿度の高い状態に放置した場
合、合わせガラスの周辺部分に白化が生ずる。また、周
辺部に接着力の低下する部分が生じる。白化は、本来透
明であることが重要な品質である合わせガラスにおいて
は重大な問題である。また、周辺部の接着力低下は、周
辺からのガラスと中間膜の剥離を引き起こすので、やは
り大きな問題となる。
【0008】上記の弊害を低減するために、接着力調整
剤の含有量を減少させることも考えられるが、この場合
には、初期の接着力が大きくなりすぎ、衝撃により合わ
せガラスが貫通しやすくなるという問題が生じる。
【0009】また、合わせガラス中間膜を例えば押し出
し成型機によってシート状に成型する場合、カルボン酸
金属塩は押し出し前又は押し出し中に一般に水溶液とし
て樹脂組成物中に混合され成型されるが(例えば、特公
平2−41547号参照)、このような方法では、例え
ばポリビニルブチラール樹脂のような樹脂組成物へのカ
ルボン酸金属塩の分散性が充分でないため、多量のカル
ボン酸金属塩を添加する必要がある。さらに、多量のカ
ルボン酸金属塩を添加すると、一部のカルボン酸金属塩
は、押し出し成型機の内壁、スクリュー表面、金型内壁
等の樹脂流路壁に付着堆積するという現象(以下「ビル
ドアップ」と言う。)を引き起こす。この付着物が中間
膜の厚み変化、流れスジ、ゴミ、異物などの発生原因に
なり、押し出し成型機、金型などの内壁の分解掃除を頻
繁に行わなければならないという問題を生じていた。
【0010】このようなカルボン酸金属塩の添加による
問題点を解決する方法として、特公昭44−32185
号では、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸化
合物を単独でポリビニルブチラール樹脂に添加すること
によって接着力調整効果を持たせる方法が開示されてい
るが、これらのカルボン酸化合物は多量に添加しなけれ
ば調整効果がなく、このため中間膜の熱安定性を損なう
といった新たな問題点も生じていた。
【0011】本発明は、これらの欠点に鑑み発明された
ものであり、高湿度下における周辺部の白化及び接着力
低下が抑えられ、かつ中間膜製造時のカルボン酸金属塩
のビルドアップが低減された合わせガラス用中間膜及び
それを用いた合わせガラスを提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を達成するための手段】本発明の請求項1記載の
合わせガラス用中間膜は、ポリビニルブチラール樹脂1
00部、可塑剤20〜60部、カルボン酸金属塩0.0
01〜0.1部及びカルボン酸化合物0.001〜0.
1部を含有してなる合わせガラス用中間膜であって、カ
ルボン酸化合物の25℃、水中での酸解離指数の値が、
カルボン酸金属塩を構成するカルボン酸の酸解離指数の
値以上であることを特徴とする。
【0013】本発明の請求項2記載の合わせガラス用中
間膜は、請求項1記載の合わせガラス用中間膜におい
て、変性シリコンオイルを含むことを特徴とする。
【0014】本発明の請求項3記載の合わせガラスは、
請求項1又は請求項2記載の合わせガラス用中間膜がガ
ラス板間に挟着されていることを特徴とする。
【0015】次に、本発明をさらに詳細に説明する。
【0016】本発明に用いられるポリビニルブチラール
樹脂としては、従来より合わせガラス用中間膜に用いら
れる種類のものが使用でき、より具体的には、ブチラー
ル化度60〜70モル%、重合度1000〜2000の
ポリビニルブチラールが好適に使用される。
【0017】本発明に用いられる可塑剤としては、エチ
レングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プ
ロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4
−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、
1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレー
ト、1,2−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレ
ート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレー
ト、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキソエー
ト、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレー
ト、トリエチレングリコールジ−2−エチルペントエー
ト、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキソエー
ト、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレー
ト、ジエチレングリコールジカプリエート、トリエチレ
ングリコールジカプリエート等が挙げられる。
【0018】これら可塑剤の添加量は、本発明において
ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対して20〜
60重量部の範囲が好ましい。可塑剤の部数が20部未
満であると、ポリビニルブチラール樹脂の可塑化効果が
不十分のため成型ができなくなる。また、60重量部を
超えると相溶しなくなり、可塑剤が分離してしまうた
め、好ましくない。より好ましくは、30部〜50部の
範囲である。
【0019】本発明に用いられるカルボン酸金属塩とし
ては、炭素数が12以下の脂肪族モノまたはジカルボン
酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩が好ましく用い
られる。金属成分としては、Mg、Na、K等、またカ
ルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン
酸、カプリル酸、オクタン酸、コハク酸、アジピン酸等
が挙げられる。好ましいカルボン酸金属塩の例として
は、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸カ
リウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸ナト
リウム、カプロン酸マグネシウム、カプロン酸ナトリウ
ム、2−エチルカプロン酸マグネシウム、2−エチルカ
プロン酸ナトリウム、カプリル酸マグネシウム、カプリ
ル酸ナトリウム、オクタン酸マグネシウム、コハク酸マ
グネシウム、コハク酸ナトリウムなどが挙げられるが、
これらの中でも酢酸カリウム、酢酸マグネシウムが好ま
しい。
【0020】カルボン酸金属塩の添加量は、0.001
〜0.1部であることが好ましい。カルボン酸金属塩の
添加量が0.001部未満であると、接着力調整効果が
なくなるので、好ましくない。また、0.1部を超える
と、耐湿性向上、ビルドアップ低減の効果を損なうの
で、好ましくない。より好ましい添加量は、0.005
〜0.05部である。
【0021】本発明に用いられるカルボン酸化合物は、
少量の添加量で大きな接着力調整効果を得るために、2
5℃(室温付近)、水中での酸解離指数が、カルボン酸
金属塩を構成するカルボン酸の酸解離指数の値以上のも
のが用いられる。なお、脂肪族モノカルボン酸の酸解離
指数は、解離段が1のため酸解離指数は1定数である
が、ジカルボン酸は解離段が2のため、酸解離指数は2
定数ある。この場合は、高次(解離段2)の酸解離指数
を選定基準として設定すればよい。
【0022】具体的なカルボン酸化合物としては、例え
ばプロピオン酸、吉草酸、イソ吉草酸、酪酸、イソ酪
酸、2−エチル酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタ
ン酸、ノナン酸、デカン酸などの脂肪族モノカルボン酸
類やコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジ
カルボン酸や、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸
などの芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
【0023】カルボン酸化合物の添加量は、0.001
〜0.1部の範囲が好ましい。添加量が0.001部未
満であると、耐湿性向上、ビルドアップ低減の効果が得
られない。また、0.1部を超えると、中間膜の曇りや
着色を引き起こすため、好ましくない。より好ましい添
加量は、0.005〜0.05部である。
【0024】カルボン酸金属塩として酢酸金属塩を使用
する場合は、酢酸の25°C、水中での酸解離指数が
4.760mol/dm3であるので、この値より大き
い酸解離指数を有する吉草酸(4.84)、へプタン酸
(4.89)、ヘキサン酸(4.86)、プロピオン酸
(4.89)、酪酸(4.817)などのモノカルボン
酸類やアジピン酸(5.296)、スベリン酸(5.3
27)、フタル酸(5.408)、アゼライン酸(5.
333)、グルタル酸(5.272)、コハク酸(5.
635)などのジカルボン酸化合物が好適に利用でき
る。また、他のカルボン酸金属塩を利用する際も、同様
に併用するカルボン酸化合物を選定することができる。
【0025】本発明に用いられる変性シリコンオイルと
しては、エーテル変性シリコンオイル、エポキシ変性シ
リコンオイル、エステル変性シリコンオイル、アミン変
性シリコンオイル、α−メチルスチレン変性シリコンオ
イル、α−オレフィン変性シリコンオイル、アルコール
変性シリコンオイル、フッ素変性シリコンオイル、メル
カプト変性シリコンオイル、カルボキシル変性シリコン
オイル及びその共変性タイプ(例えばエーテルエポキシ
変性シリコンオイル)等が挙げられる。これらは、一般
にはポリシロキサンに変性すべき化合物を反応せしめて
得られる粘調な液体である。
【0026】変性シリコンオイルの添加量は、接着力を
調整するために必要な量を添加すればよいが、経験的に
カルボン酸金属塩と同量程度の添加量が好ましい。カル
ボン酸金属塩の添加量より多くなりすぎると、パンメル
値の経時変化を引き起こすため、好ましくない。
【0027】本発明の合わせガラス用中間膜に用いられ
る樹脂組成物は、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、染
料等の各種添加剤を含有しても良く、従来公知のものが
使用可能である。
【0028】
【作用】中間膜を湿度の高い雰囲気に置くと、周辺部は
中間膜が空気と接触しているために水分率が高くなる。
カルボン酸金属塩を含む場合には、その添加量に応じて
白化が進む。これは、カルボン酸金属塩が膜中で微小な
結晶として存在し、これを中心として水分が凝集して光
を散乱するためと考えられる。
【0029】従って、カルボン酸金属塩の量を減らすこ
とで周辺からの白化距離を短くすることができるが、接
着力調整の為に所定の量を入れる必要がある。本発明の
合わせガラス用中間膜に用いられる樹脂組成物は、酢酸
マグネシウム、脂肪族飽和カルボン酸化合物の2者で接
着力調整しているため、酢酸マグネシウムの添加量を従
来に比べて少なくすることができ、この2者を併用する
ことによって非常に大きな調整効果を発揮する。また、
変性シリコンオイルを添加することにより、さらに酢酸
マグネシウムの添加量を少なくすることができる。これ
により、上記耐湿性を改善でき、かつ、カルボン酸金属
塩が付着することにより発生するビルドアップも低減で
きると考えられる。
【0030】本発明に用いられるカルボン酸化合物は、
25℃(室温付近)、水中での酸解離指数を、カルボン
酸金属塩を構成するカルボン酸の酸解離指数の値以上に
設定することにより、少量の添加量で大きな接着力調整
効果を得ることができる。以下、その理由を説明する。
【0031】合わせガラスのガラスと樹脂の接着力は、
ガラスと樹脂の界面に存在するカルボン酸金属塩から遊
離した金属イオンの存在量によって制御される。すなわ
ち、金属イオンの存在量が多いほど金属イオンが水分子
を吸着し(水和し)、この水分子がガラスと樹脂との水
素結合による接着力を切断することによって接着力が低
下する。よって、遊離金属イオンの量を多くすれば接着
力は低下し、少なくすれば接着力は上昇する。通常はカ
ルボン酸金属塩の添加量を増減することで遊離金属イオ
ン量を調整しているが、高湿度下における白化、剥離や
ビルドアップなどの問題が発生する。よって、少ないカ
ルボン酸金属塩の添加量で接着力調整効果を引き出す必
要がある。
【0032】次に、少ないカルボン酸金属塩の添加量で
接着力調整効果を引き出すための手段について、カルボ
ン酸金属塩として酢酸カリウムを使用した場合を例にし
て説明する。酢酸カリウムは、樹脂中に混合された場
合、樹脂中の水分と接触し、以下のように電離すると考
えられる。 CH3COOK + H2O → CH3COO- + H+ + K+
OH-
【0033】この反応は平衡反応であるため、左辺の酢
酸カリウムは十分電離せずにそのまま残留している。遊
離カリウムイオンを増やすには、この平衡反応を右にず
らす必要があるが、この為には右辺の物質量を減らして
やればよい。この方法として、酸を添加して水酸イオン
を減少させ、平衡反応をずらすことが考えられる。しか
し、このとき添加した酸の酸解離指数が小さいと、右辺
の水酸基だけでなく、下記反応で酢酸イオンに対しても
作用し、酢酸量が増加する。この結果、平衡反応が左に
ずれ、遊離カリウムイオンが減少してしまう。 CH3COO- + H+ → CH3COOH
【0034】酢酸イオンに大きな影響を与えずに、水酸
イオンと反応する必要最少限のプロトンを放出する為に
は、酢酸より酸解離指数が大きい、すなわち酢酸より解
離しにくく酢酸イオンが影響を受けにくい酸を添加すれ
ばよい。なお、酸解離指数(pKa)は、酢酸の場合は
平衡反応式を CH3COOH + H2O → CH3COO- + H3O+ とすれば、 (但し、( )は活量を表す。)で定義され、酢酸の電
離しやすさを表す酸解離定数の逆数の対数値で表され
る。
【0035】以上より、少量のカルボン酸金属塩の添加
で大きな接着力調整効果を発現するためには、酸解離指
数の値が、カルボン酸金属塩中のカルボン酸の酸解離指
数の値以上の物質を添加すればよいことがわかる。
【0036】
【実施例】次に、実施例によって本発明に係る合わせガ
ラス用中間膜及び合わせガラスをさらに詳細に説明す
る。
【0037】実施例及び比較例の合わせガラス用中間膜
及び合わせガラスをそれぞれ後述する方法によって作製
し、得られた合わせガラスのパンメル値、白化距離、剥
離距離及びビルドアップについて評価した。
【0038】パンメル値は、ガラス板と中間膜との接着
力が所定の範囲にあるかどうかを判定するための値であ
り、その数値は3〜6であることが望ましい。1以下で
は剥離しやすく、8以上では耐貫通性が小さくなる。パ
ンメル値は、以下に示す方法で求められる。まず、合わ
せガラスを−18℃±0.6℃の温度に16時間放置し
て調整し、これを頭部の重量が0.45kgのハンマー
で打ってガラスの粒径が6mm以下になるまで粉砕し、
ガラスが部分剥離した後の中間膜の露出度をあらかじめ
グレード付けした限度見本(表1参照)で判定する。
【0039】
【表1】
【0040】白化距離及び剥離距離は、白化部分及び剥
離部分の幅をそれぞれ合わせガラスの周辺から測定した
ものである。また、ビルドアップは、押し出し成型機の
内壁等に付着堆積したカルボン酸金属塩の厚さを測定し
たものである。
【0041】実施例1 表2に示すように、ポリビニルブチラール樹脂として、
ブチラール化度65モル%、アセチル化度1モル%、残
存ビニルアルコール34モル%で、重合度1700のポ
リビニルブチラール樹脂100部、可塑剤としてトリエ
チレングリコールジ−2−エチルブチレート40部に対
し、酢酸マグネシウム(酢酸の酸解離指数:4.760
mol/dm3 )0.015部、カルボン酸化合物とし
てヘキサン酸(酸解離指数:4.86)を0.05部配
合し、ライカイ機を用いて混合した。この際、酢酸マグ
ネシウムは16.7%水溶液として混合した。なお、以
下の表2及び表3に示した量は全て固形分の量を示す。
【0042】
【表2】
【0043】得られた樹脂組成物を、図1に示す押し出
し成型機を用いてシート状に成型した。この押し出し成
型機は、スクリュー2を内部に有する押し出し機本体1
と、金型3と、本体1と金型3とを接続するための接続
部4とを有している。本体1の一端部には原料供給口5
が設けられ、本体1の周囲には複数のヒーターH1〜H
5が配置されている。ヒーターH1〜H5の温度は、2
5〜220℃まで金型3側に近いものほど順次高くなっ
ている。
【0044】具体的には、樹脂組成物を原料供給口5に
投入し、金型3に押し出してシート状に成型した。この
シートの厚みは0.76mmであった。押し出し量とし
ては、200kg/Hrで実施した。
【0045】得られたシートをガラス板間に挟み込み、
ロール法で予備接着した。次いで、140℃のオートク
レーブで13kg/cm2 の圧力で圧着して合わせガラ
スを得た。得られた合わせガラスのパンメル値を測定し
たところ、5〜6の間(所定の3〜6の範囲内にあ
る。)であった。また、この合わせガラスを60℃の条
件で2週間放置し、経時変化を見る目的で再度パンメル
試験を実施したところ、その値は5〜6の間であり、経
時変化がほとんどないことがわかった。
【0046】同様にして得た合わせガラスを、50℃、
湿度100%で2週間放置した。周辺からの白化距離は
約3mm程度にとどまり、良好な結果が得られた。その
後、直ちにパンメル試験を行ったところ、パンメル値が
0の部分は周辺から約4mmまでであり、これも良好な
結果であった。また、上記押し出し成型条件で押し出し
成型機を10日間連続運転した結果、図1における接続
部4の壁に付着堆積した酢酸マグネシウムの厚さは35
μmと比較的少なく、良好な結果が得られた。以上の結
果を表3に示した。
【0047】
【表3】
【0048】実施例2 表2に示したように、ポリビニルブチラール樹脂とし
て、ブチラール化度65モル%、アセチル化度1モル
%、残存ビニルアルコール34モル%で重合度1700
のポリビニルブチラール樹脂100部、可塑剤としてト
リエチレングリコールジ−2−エチルブチレート40部
に対し、酢酸マグネシウム0.015部、カルボン酸化
合物としてオクタン酸(酸解離指数:4.894)を
0.05部配合し、ライカイ機を用いて混合した。この
後、実施例1と同様にして中間膜を作製し、評価を行っ
た結果、表3に示すように、パンメル値、白化距離、剥
離距離及びビルドアップともに良好な結果が得られた。
【0049】実施例3 カルボン酸金属塩として酢酸カリウム、カルボン酸化合
物としてヘキサン酸を、それぞれ表2に示す量で配合し
た以外は、実施例1と同様の方法でシートを成型し、評
価を実施した。その結果、表3に示すように、パンメル
値、白化距離、剥離距離及びビルドアップともに良好な
結果が得られた。
【0050】実施例4 カルボン酸金属塩として酢酸カリウム、ジカルボン酸化
合物としてアジピン酸(酸解離指数:5.296)を、
それぞれ表2に示す量で配合した以外は、実施例1と同
様の方法でシートを成型し、評価を実施した。その結
果、表3に示すように、パンメル値、白化距離、剥離距
離及びビルドアップともに良好な結果が得られた。
【0051】実施例5 カルボン酸金属塩として酢酸カリウム、ジカルボン酸化
合物としてアゼライン酸(酸解離指数:5.333)
を、それぞれ表2に示す量で配合した以外は、実施例1
と同様の方法でシートを成型し、評価を実施した。その
結果、表3に示すように、パンメル値、白化距離、剥離
距離及びビルドアップともに良好な結果が得られた。
【0052】実施例6 カルボン酸金属塩として酢酸マグネシウム、カルボン酸
化合物としてヘキサン酸、変性シリコンオイル(信越化
学工業社製、F328S)を、それぞれ表2に示す量で
配合した以外は、実施例1と同様の方法でシートを成型
し、評価を実施した。その結果、表3に示すように、パ
ンメル値、白化距離、剥離距離及びビルドアップともに
良好な結果が得られた。
【0053】実施例7 カルボン酸金属塩として酢酸マグネシウム、カルボン酸
化合物としてオクタン酸、変性シリコンオイル(信越化
学工業社製、F328S)を、それぞれ表2に示す量で
配合した以外は、実施例1と同様の方法でシートを成型
し、評価を実施した。その結果、表3に示すように、パ
ンメル値、白化距離、剥離距離及びビルドアップともに
良好な結果が得られた。
【0054】実施例8 カルボン酸金属塩として酢酸マグネシウム、ジカルボン
酸化合物としてアジピン酸、変性シリコンオイル(信越
化学工業社製、F328S)を、それぞれ表2に示す量
で配合した以外は、実施例1と同様の方法でシートを成
型し、評価を実施した。その結果、表3に示すように、
パンメル値、白化距離、剥離距離及びビルドアップとも
に良好な結果が得られた。
【0055】実施例9 カルボン酸金属塩としてオクタン酸マグネシウム(オク
タン酸の酸解離指数:4.894)、カルボン酸化合物
としてアジピン酸を、それぞれ表2に示す量で配合した
以外は、実施例1と同様の方法でシートを成型し、評価
を実施した。その結果、表3に示すように、パンメル
値、白化距離、剥離距離及びビルドアップともに良好な
結果が得られた。
【0056】比較例1 表2に示したように、ポリビニルブチラール樹脂とし
て、ブチラール化度65モル%、アセチル化度1モル
%、残存ビニルアルコール34モル%で重合度1700
のポリビニルブチラール樹脂100部、可塑剤としてト
リエチレングリコールジ−2−エチルブチレート40部
に対し、酢酸マグネシウム0.025部、変性シリコン
オイル(信越化学工業社製、F328S)0.025部
を配合し、ライカイ機を用いて混合した。この後、実施
例1と同様に中間膜を作製し、評価を行った。その結
果、表3に示すように、パンメル値5(経時変化な
し)、白化距離6mm、剥離距離8mmと良好であった
が、ビルドアップが200μmと大きな値を示した。
【0057】比較例2〜5 酢酸マグネシウムを表2に示す量で配合した以外は、実
施例1同様の方法でシートを成型し、評価を実施した。
その結果を表3に示した。
【0058】比較例6 カルボン酸金属塩として酢酸マグネシウム、カルボン酸
化合物としてヘキサン酸を、それぞれ表2に示す量で配
合した以外は、実施例1と同様の方法でシートを成型
し、評価を実施した。その結果を表3に示した。
【0059】比較例7 カルボン酸金属塩としてオクタン酸マグネシウム(オク
タン酸の酸解離指数:4.894)、カルボン酸化合物
としてヘキサン酸(酸解離指数:4.862)を、それ
ぞれ表2に示す量で配合した以外は、実施例1と同様の
方法でシートを成型し、評価を実施した。その結果を表
3に示した。
【0060】
【発明の効果】以上説明した通り本発明は、酸解離指数
が所定の範囲内に設定されたカルボン酸化合物を用いる
ことにより、少量の添加量で大きな接着力調整効果が得
られるので、耐湿時の周辺部の白化及び接着力低下が抑
えられる。また、中間膜製造時のカルボン酸金属塩のビ
ルドアップを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】押し出し成型機の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 本体 2 スクリュー 3 金型 4 接続部 5 原料供給口 H1〜H5 ヒータ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルブチラール樹脂100部、可
    塑剤20〜60部、カルボン酸金属塩0.001〜0.
    1部及びカルボン酸化合物0.001〜0.1部を含有
    してなる合わせガラス用中間膜であって、カルボン酸化
    合物の25℃、水中での酸解離指数の値が、カルボン酸
    金属塩を構成するカルボン酸の酸解離指数の値以上であ
    ることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の合わせガラス用中間膜に
    変性シリコンオイルが含まれていることを特徴とする合
    わせガラス用中間膜。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の合わせガラ
    ス用中間膜がガラス板間に挟着されてなることを特徴と
    する合わせガラス。
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