JP3860661B2 - 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合わせガラス用中間膜、及び、その中間膜を用いた合わせガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、合わせガラスは、自動車のフロントガラス用やサイドガラス用として、或いは、建築物の窓ガラス用等として広く使用されている。上記合わせガラスの代表例としては、少なくとも二枚のガラスの間に、可塑化されたポリビニルブチラール樹脂のような可塑化されたポリビニルアセタール樹脂からなる合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させて製せられるものが挙げられる。
【0003】
このような合わせガラスは、これに衝撃が加えられるとガラスは破損するものの、ガラス間に介在させた中間膜は容易に破損せず、又、ガラスは破損後においても中間膜に貼着したままであるため、その破片が飛散することが少なく、従って、自動車や建築物の内部にある人体がガラスの破片によって傷害を受けることを防止する機能を有する。
【0004】
この場合、合わせガラスとしての機能を十分に満足するためには、中間膜とガラスとの接着力が高ければ高いほど良いわけではなく、この接着力をある適正な範囲内に調整することが必要である。
【0005】
上記接着力の適正な範囲内への調整は、例えば、自動車事故等においては運転者や乗客等がガラスへ衝突する時の衝撃吸収や貫通防止のために必要であり、又、例えば、建築物においては外部からの飛来物の貫通防止やガラスの飛散防止のために必要である。
【0006】
即ち、中間膜とガラスとの接着力が小さい場合には、ガラスが中間膜から剥がれ、その破片が飛散し易くなるという問題が発生し、逆に、中間膜とガラスとの接着力が大きい場合には、ガラスと中間膜とが同時に破損して、人体や外部からの飛来物等が貫通し易くなるという問題が発生する。
【0007】
これに対し、中間膜とガラスとの接着力が適正な範囲内にある場合には、ガラスの破損が広範囲にわたって起こると共に、ガラスが破損すると同時に中間膜とガラスとの部分的な界面剥離が起こり、且つ、中間膜が延伸するという現象が生じるため、衝撃吸収効果や貫通防止効果が大きくなる。
【0008】
上記に鑑み、従来より、中間膜とガラスとの接着力を適正な範囲内に調整するために、中間膜用の接着力調整剤が種々検討されてきた。
【0009】
例えば、特公昭44−32185号公報では、「0.1〜0.8%の水分を含有し、6〜22炭素原子のモノカルボン酸と、4〜12炭素原子のジカルボン酸と、2〜6炭素原子の脂肪族モノアミノモノカルボン酸と、4〜5炭素原子の脂肪族モノアミノジカルボン酸と、くえん酸及びこれらの混合物から選んだ少なくとも一つの有機酸を樹脂100重量部につき0.01〜3重量部含有せしめた、成形ポリビニルアセタール樹脂よりなる合わせガラス用中間膜」が提案されており、又、特公昭48−5772号公報では、「少なくとも2枚のガラスを可塑化ポリビニルアセタール樹脂組成物で貼り合わせたガラスにおいて、該可塑化ポリビニルアセタール樹脂組成物中に炭素数10〜22の脂肪族カルボン酸のナトリウム金属塩を含有せしめたことを特徴とする合わせガラス」が提案されており、さらに、特公昭53−18207号公報では、「モノカルボン酸又はジカルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と変性シリコンオイルとが含有されるか若しくは付着された可塑化ポリビニルアセタール樹脂中間膜によって少なくとも2枚のガラスが貼り合わされていることを特徴とする合わせガラス」が提案されている。
【0010】
上記三つの提案では、いずれも接着力調整剤として、中間膜中に含有される可塑剤に溶解し易いことから比較的炭素数が大きいカルボン酸もしくはその金属塩を用いている。
【0011】
しかし、接着力調整剤として炭素数の大きいカルボン酸もしくはその金属塩を用いると、中間膜とガラスとの接着力が時間経過(経時)とともに変化するという問題点がある。即ち、初期の接着力は適正であっても、経時とともに次第に接着力が低下し、衝撃を受けた時にガラスが剥離し易くなる。この接着力低下を防止するためには、中間膜を例えば40〜50℃の雰囲気下で1〜2ケ月間保管して熟成する必要があるが、中間膜は粘着性や自着性等を有するため、上記のような雰囲気下で長期間保管することは現実的には困難であり、又、仮に熟成を行ったとしても、接着力の経時低下を抑制することは出来るが皆無にすることは出来ず、上記問題点は依然として残る。
【0012】
上記問題点に対応するため、特開平5−186250号公報では、「ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、炭素数が12以下の脂肪族モノ又はジカルボン酸のアルカリ又はアルカリ土類金属塩及び有機酸を含有する樹脂組成物より形成されている合わせガラス用中間膜」が提案されており、又、特公平2−41547号公報では、「トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタン酸エステル及びテトラエチレングリコール−ジ−n−ヘプタン酸エステルから成るグループより選択した相溶する量の加水分解性エステルによって可塑化し且つ接着力調整剤を含有するポリビニルブチラールシートにおいて、接着力調整剤はアルカリ又はアルカリ土類金属ギ酸塩から成り且つシートはその100万部当り10当量未満の、滴定によって測定された、酸の濃度を有していることを特徴とするポリビニルブチラールシート」が提案されており、さらに、特表平6−502594号公報では、実施例で接着力調整剤として酢酸カリウムを添加した中間膜が用いられている。
【0013】
上記三つの提案では、接着力調整剤として、炭素数の大きいカルボン酸もしくはその金属塩を用いる場合の前記問題点を解消するため、比較的炭素数が小さいカルボン酸もしくはその金属塩を用いている。
【0014】
しかし、接着力調整剤として炭素数の小さいカルボン酸もしくはその金属塩を用いると、中間膜とガラスとの経時接着力低下の問題点は解消されるものの、中間膜の耐湿性が不十分となり、その結果、合わせガラスの周縁部(端部)に吸湿による白化現象を起こし易くなるという別の問題点が発生する。
【0015】
即ち、中間膜は通常の雰囲気(湿度)下においては吸湿性が高いため、合わせガラスに加工する場合、例えば、相対湿度25%(25%RH)の雰囲気下で含水率が0.45重量%程度となるように調湿して合わせ加工を行うのが一般的である。ところが、通常合わせガラスの周縁部(端部)は剥き出しの状態であるため、高湿度雰囲気下では中間膜が吸湿し、含水率が2〜3重量%程度にまで上昇する。この時、中間膜中に微小な結晶として存在する酢酸カリウムや酢酸マグネシウムあるいはギ酸カリウム等のような炭素数の小さいカルボン酸の金属塩の周囲に水が集まり、白化現象を惹起する。又、白化現象を低減するために、炭素数の小さいカルボン酸もしくはその塩の添加量を減少させると、中間膜とガラスとの接着力が適正な範囲を逸脱し、合わせガラスの衝撃吸収性や耐貫通性等が不十分となる。
【0016】
上述したように、接着力調整剤として、炭素数の大きいカルボン酸もしくはその金属塩を用いると、中間膜とガラスとの経時接着力低下が起こり、逆に、炭素数の小さいカルボン酸もしくはその金属塩を用いると、合わせガラスの周縁部(端部)に白化現象が発生する。
【0017】
一方、近年、合わせガラスの用途が拡大しており、主として防犯のために自動車のサイドガラスに合わせガラスを使用する動きや各種建築物に合わせガラスを使用する動きが盛んになっている。
【0018】
これら比較的新しい合わせガラスの用途においては、合わせガラスの周縁部(端部)を剥き出しの状態で使用する場合も増えており、白化現象の防止に対する要望がますます強くなっている。
【0019】
しかし、前述したように、中間膜とガラスとの接着力が初期及び経時後のいずれにおいても適正な範囲内に保持され、従って、衝撃吸収性や耐貫通性などの合わせガラスとして必要な基本性能に優れ、且つ、高湿度雰囲気下においても白化現象の発生が少ない合わせガラスは実用化されていないのが現状である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決するものであり、その目的とするところは、中間膜とガラスとの接着力が初期及び経時後のいずれにおいても適正な範囲内に保持されており、従って、衝撃吸収性や耐貫通性などの合わせガラスとして必要な基本性能に優れ、且つ、湿度の高い雰囲気下に長期間放置された場合でも合わせガラスの周縁部(端部)に白化現象を起こすことが少ない合わせガラスを得るに適する合わせガラス用中間膜、及び、その中間膜を用いて製せられた合わせガラスを提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明(以下、「第1発明」と記す)による合わせガラス用中間膜は、可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜に、炭素数1〜4のカルボン酸の金属塩及び炭素数5〜28のカルボン酸の金属塩が含有されてなる合わせガラス用中間膜であって、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対し、前記炭素数1〜4のカルボン酸の金属塩の添加量が0.01〜0.02重量部であり、かつ、前記炭素数5〜28のカルボン酸の金属塩の添加量が0.01〜0.037重量部であることを特徴とする。
【0022】
又、請求項2に記載の発明(以下、「第2発明」と記す)による合わせガラスは、少なくとも一対のガラス間に、上記第1発明による合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなることを特徴とする。
【0023】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0024】
第1発明による合わせガラス用中間膜を構成する可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜(以下、単に「樹脂膜」と記す)の主成分であるポリビニルアセタール樹脂の調製方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)を温水に溶解し、得られた水溶液を所定の温度、例えば0〜95℃に保持しておいて、所要の酸触媒及びアルデヒドを加え、攪拌しながらアセタール化反応を進行させ、次いで反応温度を上げて熟成することにより反応を完結させ、その後、中和、水洗及び乾燥を行ってポリビニルアセタール樹脂の粉末を得る方法が採用される。
【0025】
上記ポリビニルアセタール樹脂の調製方法において、PVAとしては、平均重合度500〜5000のものが好ましく、平均重合度1000〜2500のものがより好ましい。PVAの平均重合度が500未満であると、樹脂膜の強度が弱くなり過ぎて、得られる合わせガラスの耐貫通性が低下することがあり、逆に、PVAの平均重合度が5000を超えると、樹脂膜の成形が難しくなることがあり、しかも樹脂膜の強度が強くなり過ぎて、得られる合わせガラスの衝撃吸収性や耐貫通性等が低下することがある。
【0026】
又、上記で得られるポリビニルアセタール樹脂のビニルアセテート成分は30モル%以下に設定するのが好ましく、そのためにPVAの鹸化度は70モル%以上のものが好適に用いられる。PVAの鹸化度が70モル%未満であると、ポリビニルアセタール樹脂の透明性や耐熱性等が低下することがあり、又、反応性が低下することもある。尚、上記PVAの平均重合度及び鹸化度は、例えば、JIS K−6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠して測定することが出来る。
【0027】
第1発明において、ポリビニルアセタール樹脂を得るのに使用するアルデヒドとしては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素数が3〜10、好ましくは4〜8、のアルデヒドが挙げられ、好適に用いられる。
【0028】
このようなアルデヒドとしては、特に限定されるものではないが、例えば、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド等の脂肪族、芳香族、脂環族のアルデヒドが挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0029】
アルデヒドの炭素数が3未満であると、樹脂膜の成形性が不十分となることがあり、逆に、アルデヒドの炭素数が10を超えると、アセタール化の反応性が低下し、しかも反応中に樹脂のブロックが発生し易くなり、樹脂の合成に困難を伴うことがある。上記炭素数が3〜10のアルデヒドのなかでも炭素数が4〜8のn−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド等の1種もしくは2種以上がより好適に用いられる。
【0030】
上記炭素数が4〜8のアルデヒドのなかでも、炭素数が4のn−ブチルアルデヒドでアセタール化して得られるものが特に好ましい。n−ブチルアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニルブチラール樹脂の使用により、樹脂膜の接着強度が強くなり、又、耐候性にも優れ、しかも樹脂の製造も容易となる。
【0031】
こうして得られるポリビニルブチラール樹脂は、ビニルブチラール成分とビニルアルコール成分とビニルアセテート成分とから構成されている。上記各成分量は、例えば、JIS K−6728「ポリビニルブチラール試験方法」や核磁気共鳴法(NMR)に準拠して測定することが出来る。
【0032】
尚、ポリビニルブチラール樹脂以外のポリビニルアセタール樹脂の場合は、ビニルアルコール成分量とビニルアセテート成分量とを測定し、残りのビニルアセタール成分量は100から上記両成分量を差し引くことにより算出することが出来る。
【0033】
又、上記各種ポリビニルアセタール樹脂の平均アセタール化度は、一般に40〜75モル%が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の平均アセタール化度が40モル%未満であると後述する可塑剤との相溶性が低下して、耐貫通性の確保に必要な量の可塑剤の混合が難しくなることがあり、逆に、75モル%を超える平均アセタール化度の樹脂を得るには長時間の反応時間を要し、プロセス上好ましくない。
【0034】
第1発明による合わせガラス用中間膜に用いられる可塑剤としては、この種の中間膜に用いられている従来公知の可塑剤で良く、特に限定されるものではないが、例えば、一塩基酸エステル、多塩基酸エステル等の有機系可塑剤や、有機リン酸系、有機亜リン酸系等のリン酸系可塑剤等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0035】
一塩基酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、トリエチレングリコールと酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)、デシル酸等の有機酸との反応によって得られるグリコール系エステルや、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールと上記の如き有機酸との反応によって得られるグリコール系エステル等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0036】
多塩基酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の有機酸と炭素数4〜8の直鎖状もしくは分枝状アルコールとの反応によって得られるエステル等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0037】
有機リン酸系可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスファイト等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0038】
上記各種可塑剤のなかでも、例えば、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート(3G7)、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコール−ジ−n−オクトエート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(4GH)、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、テトラエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート(4G7)、ジヘキシルアジペート(DHA)、ジベンジルフタレート等の1種もしくは2種以上がより好適に用いられる。
【0039】
ポリビニルアセタール樹脂(以下、「ポリビニルブチラール樹脂を含むポリビニルアセタール樹脂」を意味する)に対する上記可塑剤の添加量は、特に限定されるものではないが、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対し、可塑剤20〜60重量部であることが好ましく、30〜50重量部であることがより好ましい。
【0040】
ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する可塑剤の添加量が20重量部未満であると、得られる中間膜の耐貫通性が低下することがあり、逆に、60重量部を超えると、可塑剤がブリードアウトして、得られる中間膜の光学歪みが大きくなったり、透明性や接着性が低下することがある。
【0041】
第1発明による合わせガラス用中間膜は、上述したポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とから構成される可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜中に、炭素数1〜4のカルボン酸の金属塩と炭素数5〜28のカルボン酸の金属塩とが含有されてなる。
【0042】
上記カルボン酸の金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸等の脂肪族カルボン酸や芳香族モノカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等の芳香族カルボン酸等を酸成分とし、アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛等を金属成分として得られる塩が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0043】
上記酸成分としての炭素数1〜4のカルボン酸の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸、エタン酸、プロピオン酸、ブタン酸(酪酸)等の直鎖状モノカルボン酸が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0044】
又、上記酸成分としての炭素数5〜28のカルボン酸の具体例としては、特に限定されるものではないが、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸等の直鎖状モノカルボン酸、2−エチルブタン酸(2−エチル酪酸)、2−エチルヘキサン酸等の分枝状モノカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等のジカルボン酸、モノブチルアジピン酸等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0045】
上記金属成分としての金属の具体例としては、特に限定されるものではないが、ナトリウム、カリウム等の周期表第I族に属するアルカリ金属やマグネシウム、カルシウム等の周期表第II族に属するアルカリ土類金属あるいは亜鉛等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられるが、なかでもマグネシウムがより好適に用いられる。
【0046】
上記酸成分と金属成分とから得られる炭素数1〜4のカルボン酸の金属塩の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、エタン酸ナトリウム、エタン酸カリウム、エタン酸マグネシウム、エタン酸カルシウム、エタン酸亜鉛、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸亜鉛、ブタン酸ナトリウム、ブタン酸カリウム、ブタン酸マグネシウム、ブタン酸カルシウム、ブタン酸亜鉛等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられるが、なかでも酢酸マグネシウムやプロピオン酸マグネシウムのようなマグネシウム塩がより好適に用いられる。
【0047】
上記炭素数1〜4のカルボン酸の金属塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0048】
又、上記酸成分と金属成分とから得られる炭素数5〜28のカルボン酸の金属塩の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、2−エチルブタン酸ナトリウム、2−エチルブタン酸カリウム、2−エチルブタン酸マグネシウム、2−エチルブタン酸カルシウム、2−エチルブタン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム、2−エチルヘキサン酸カルシウム、2−エチルヘキサン酸亜鉛等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられるが、なかでも2−エチルブタン酸マグネシウムや2−エチルヘキサン酸マグネシウムのようなマグネシウム塩がより好適に用いられる。
【0049】
上記炭素数5〜28のカルボン酸の金属塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0050】
第1発明による合わせガラス用中間膜においては、上述した炭素数1〜4のカルボン酸の金属塩〔以下、「カルボン酸の金属塩(A)」と記す〕と炭素数5〜28のカルボン酸の金属塩〔以下「カルボン酸の金属塩(B)」と記す〕とが併用された状態で含有されていることが必要である。
【0051】
カルボン酸の金属塩(A)のみが含有され、カルボン酸の金属塩(B)が含有されていない場合には、得られる中間膜の耐湿性が不十分となり、その結果、得られる合わせガラスの周縁部(端部)に吸湿による白化現象が起こり易くなり、逆にカルボン酸の金属塩(B)のみが含有され、カルボン酸の金属塩(A)が含有されていない場合には、得られる中間膜とガラスとの接着力が時間経過(経時)とともに低下する現象が生じる。
【0052】
可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜に対する上記カルボン酸の金属塩(A)及びカルボン酸の金属塩(B)の添加量は、特に限定されるものではないが、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対し、カルボン酸の金属塩(A)及びカルボン酸の金属塩(B)がそれぞれ0.01〜0.5重量部であることが好ましく、0.02〜0.2重量部であることがより好ましい。
【0053】
ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記カルボン酸の金属塩(A)又はカルボン酸の金属塩(B)の添加量が0.01重量部未満であると、接着力調整効果を十分に得られないことがあり、逆にポリビニルアセタール樹脂100重量部に対するカルボン酸の金属塩(A)又はカルボン酸の金属塩(B)の添加量が0.5重量部を超えると、得られる中間膜の接着力が低くなり過ぎたり、耐水性や透明性等が低下することがある。
【0054】
第1発明による合わせガラス用中間膜には、必須成分である上述のポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、カルボン酸の金属塩(A)及びカルボン酸の金属塩(B)以外に、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、カルボン酸の金属塩(A)及びカルボン酸の金属塩(B)以外の例えば変性シリコーンオイルのような接着力調整剤、中間膜とガラスとの接着力の経時低下をより防止するための例えば微粉シリカのような無機充填剤、耐候性を向上させるための紫外線吸収剤や光安定剤、例えば押出機中での熱劣化を防止するための酸化防止剤、界面活性剤、着色剤など合わせガラス用中間膜に一般的に用いられている公知の添加剤の1種もしくは2種以上が含有されていても良い。
【0055】
変性シリコーンオイル系接着力調整剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、特公昭55−29950号公報で開示されているようなエーテル変性シリコーンオイル、エステル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アミン変性シリコーンオイル等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0056】
可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜に対する上記変性シリコーンオイル系接着力調整剤の添加量は、特に限定されるものではないが、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対し、変性シリコーンオイル系接着力調整剤0.005〜0.5重量部であることが好ましく、0.02〜0.2重量部であることがより好ましい。
【0057】
微粉シリカ系無機充填剤の組成は、特に限定されるものではなく、ガラスの主成分である二酸化ケイ素を主成分とし、これに酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化ジルコニウム、酸化カリウム、酸化ボロン等の通常の各種ガラスに含有されている各種成分の1種もしくは2種以上が含有されたものであっても良い。
【0058】
微粉シリカ系無機充填剤の平均粒子径は、特に限定されるものではなく、100μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
【0059】
微粉シリカ系無機充填剤の形状は、特に限定されるものではなく、球状、板状、繊維状等のいずれの形状であっても良く、又、ポリビニルアセタール樹脂中や可塑剤中への分散性を向上させるために、表面処理が施されたものであっても良い。
【0060】
可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜に対する上記微粉シリカ系無機充填剤の添加量は、平均粒子径によっても異なり特に限定されるものではないが、添加された微粉シリカ系無機充填剤の表面積の合計が中間膜の全表面積の1/10以上となるような量であることが好ましい。
【0061】
紫外線吸収剤としては、特に限定されるものではないが、ベンゾトリアゾール系のもの、例えば、チバガイギー社製の商品名「チヌビンP」、商品名「チヌビン320」、商品名「チヌビン326」、商品名「チヌビン328」等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0062】
光安定剤としては、特に限定されるものではないが、ヒンダードアミン系のもの、例えば、旭電化工業社製の商品名「アデカスタブLA−57」等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0063】
酸化防止剤としては、特に限定されるものではないが、フェノール系のもの、例えば、住友化学工業社製の商品名「スミライザーBHT」、チバガイギー社製の商品名「イルガノックス1010」等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0064】
界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0065】
第1発明による合わせガラス用中間膜の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、必須成分である上述のポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、カルボン酸の金属塩(A)及びカルボン酸の金属塩(B)の各所定量と、必要に応じて添加される各種添加剤の1種もしくは2種以上を配合し、これを均一に混練りした後、押出法、カレンダー法、プレス法、キャスティング法、インフレーション法等によりシート状に製膜して可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜を成形し、これを中間膜とすれば良い。
【0066】
上記樹脂膜は、単層で中間膜とされても良いし、2枚以上が積層された状態で中間膜とされても良い。又、中間膜は単層で用いられても良いし、2枚以上が積層された状態で用いられても良い。
【0067】
上記中間膜の全体の膜厚は、特に限定されるものではないが、合わせガラスとして最小限必要な衝撃吸収性や耐貫通性、耐候性等を考慮すると、実用的には通常の合わせガラス用中間膜における膜厚と同様に、一般に0.3〜1.6mmの範囲であることが好ましい。
【0068】
次に、第2発明による合わせガラスは、少なくとも一対のガラス間に、上述した第1発明による合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなる。
【0069】
上記ガラスは、通常の無機透明ガラスのみならず、ポリカーボネート板、ポリメチルメタクリレート板などの有機透明ガラスも包含する。
【0070】
上記ガラスの種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、熱線吸収板ガラス、着色された板ガラス等の各種無機ガラス又は有機ガラスが挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。又、ガラスの厚みは、用途によって適宜選択されれば良く、特に制限されるものではない。
【0071】
第2発明による合わせガラスの製造方法は、特別なものではなく、通常の合わせガラスの場合と同様の製造方法が採用される。例えば、二枚の透明なガラス板の間に、第1発明による合わせガラス用中間膜を介在させ、これをゴムバッグに入れ、減圧吸引しながら約70〜110℃の温度で予備接着し、次いで、オートクレーブもしくはプレスを用いて、約120〜150℃の温度で、約10〜15kg/cm2 の圧力で本接着を行い、一体化させることにより所望の合わせガラスを得ることが出来る。
【0072】
【作用】
第1発明による合わせガラス用中間膜は、可塑化されたポリビニルアセタール樹脂の膜に、接着力調整剤として、炭素数が1〜4と比較的小さいカルボン酸の金属塩と炭素数が5〜28と比較的大きいカルボン酸の金属塩とが併用された状態で含有されているので、中間膜とガラスとの接着力が初期及び経時後のいずれにおいても適正な範囲内に保持されており、従って、初期及び経時後のいずれにおいても衝撃吸収性や耐貫通性等の合わせガラスとして必要な基本性能に優れ、且つ、湿度の高い雰囲気下に長期間放置された場合でも合わせガラス周縁部(端部)に白化現象を起こすことが少ない合わせガラスを得るに適する。
【0073】
又、第2発明による合わせガラスは、上記第1発明による合わせガラス用中間膜を用いて製せられるので、初期及び経時後のいずれにおいても、衝撃吸収性や耐貫通性などの合わせガラスとして必要な基本性能に優れ、且つ、湿度の高い雰囲気下に長期間放置された場合でも周縁部(端部)に白化現象を起こすことが少ない。
【0074】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」は「重量部」を意味する。
【0075】
(実施例1)
【0076】
(1)ポリビニルアセタール樹脂の調製
純水2890gに、平均重合度1700、鹸化度98.9モル%のポリビニルアルコール275gを加えて加温溶解した。反応系を12℃に温度調節し、35重量%の塩酸触媒201gとn−ブチルアルデヒド148gを加え、この温度を保持して反応物を析出させた。その後、反応系を45℃で3時間保持して反応を完了させ、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を汎用な中和剤である水酸化ナトリウム水溶液で中和し、さらに過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂を得た。得られたポリビニルブチラール樹脂の平均重合度は1700、ブチラール化度は65モル%、残存アセチル基量は1モル%、残存ビニルアルコール成分量は34モル%であった。
【0077】
(2)合わせガラス用中間膜の製造
上記で得られたポリビニルブチラール樹脂100部に対し、可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)40部、カルボン酸の金属塩(A)として酢酸マグネシウム0.013部(Mg濃度15ppm)、カルボン酸の金属塩(B)として2−エチルブタン酸マグネシウム0.037部(Mg濃度25ppm)、紫外線吸収剤及び酸化防止剤を添加し、攪拌混合した後、押出機で製膜して厚み0.76mmの可塑化されたポリビニルブチラール樹脂膜(合わせガラス用中間膜)を得た。
【0078】
(3)合わせガラスの製造
上記で得られた合わせガラス用中間膜を、恒温恒湿室(20℃−65%RH)で含水率が0.4〜0.5重量%となるように調湿した後、フロートガラス(厚み2.4mm)2枚の間に挟み込み、ロール法で予備接着した。次いで、予備接着された積層体をオートクレーブ中で温度140℃、圧力13kg/cm2 の条件で本接着して、合わせガラスを得た。
【0079】
(4)評価
上記で得られた合わせガラスの性能(▲1▼パンメル値、▲2▼耐湿性)を以下の方法で評価した。その結果は表2に示すとおりであった。
【0080】
▲1▼パンメル値:−18±0.6℃の温度下に16時間放置して調温した合わせガラスを頭部が0.45Kgのハンマーで叩いて、ガラスの粒子径が6mm以下となるまで粉砕した。次いで、ガラスが部分剥離した後の中間膜の露出度を予めグレード付けした限度見本で判定し、その結果を下記表1に示す判定基準に従ってパンメル値として表した。尚、パンメル値は初期及び50℃−4週間放置後の2条件について求めた。上記パンメル値が大きいほど中間膜とガラスとの接着力も大きく、パンメル値が小さいほど中間膜とガラスとの接着力も小さい。
【0081】
【表1】
Figure 0003860661
【0082】
▲2▼耐湿性:合わせガラスを50℃−95%RHの雰囲気下に放置し、4週間後に取り出して、白化している部分の距離(白化距離:mm)を合わせガラスの周縁部(端部)から測定した。
【0083】
(実施例2)
合わせガラス用中間膜の製造において、カルボン酸の金属塩(A)として酢酸マグネシウム0.017部(Mg濃度20ppm)及びカルボン酸の金属塩(B)として2−エチルヘキサン酸マグネシウム0.027部(Mg濃度15ppm)を添加したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0084】
(実施例3)
合わせガラス用中間膜の製造において、カルボン酸の金属塩(A)としてプロピオン酸マグネシウム0.02部(Mg濃度20ppm)及びカルボン酸の金属塩(B)として2−エチルブタン酸マグネシウム0.03部(Mg濃度20ppm)を添加したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0085】
(比較例1)
合わせガラス用中間膜の製造において、カルボン酸の金属塩(A)として酢酸マグネシウム0.033部(Mg濃度40ppm)のみを添加し、カルボン酸の金属塩(B)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0086】
(比較例2)
合わせガラス用中間膜の製造において、カルボン酸の金属塩(A)を添加せず、カルボン酸の金属塩(B)として2−エチルブタン酸マグネシウム0.059部(Mg濃度40ppm)のみを添加したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0087】
(比較例3)
合わせガラス用中間膜の製造において、カルボン酸の金属塩(A)として酢酸マグネシウム0.05部(Mg濃度60ppm)のみを添加し、カルボン酸の金属塩(B)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0088】
(比較例4)
合わせガラス用中間膜の製造において、カルボン酸の金属塩(A)を添加せず、カルボン酸の金属塩(B)として2−エチルブタン酸マグネシウム0.148部(Mg濃度100ppm)のみを添加したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0089】
(比較例5)
合わせガラス用中間膜の製造において、カルボン酸の金属塩(A)として酢酸マグネシウム0.029部(Mg濃度35ppm)のみを添加し、カルボン酸の金属塩(B)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0090】
(比較例6)
合わせガラス用中間膜の製造において、カルボン酸の金属塩(A)を添加せず、カルボン酸の金属塩(B)として2−エチルヘキサン酸マグネシウム0.063部(Mg濃度35ppm)のみを添加したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0091】
(比較例7)
合わせガラス用中間膜の製造において、カルボン酸の金属塩(A)として酢酸マグネシウム0.045部(Mg濃度55ppm)のみを添加し、カルボン酸の金属塩(B)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0092】
(比較例8)
合わせガラス用中間膜の製造において、カルボン酸の金属塩(A)を添加せず、カルボン酸の金属塩(B)として2−エチルヘキサン酸マグネシウム0.18部(Mg濃度100ppm)のみを添加したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0093】
(比較例9)
合わせガラス用中間膜の製造において、カルボン酸の金属塩(A)としてプロピオン酸マグネシウム0.04部(Mg濃度40ppm)のみを添加し、カルボン酸の金属塩(B)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0094】
(比較例10)
合わせガラス用中間膜の製造において、カルボン酸の金属塩(A)としてプロピオン酸マグネシウム0.065部(Mg濃度65ppm)のみを添加し、カルボン酸の金属塩(B)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0095】
(比較例11)
合わせガラス用中間膜の製造において、カルボン酸の金属塩(A)を添加せず、カルボン酸の金属塩(B)として2−エチルブタン酸マグネシウム0.162部(Mg濃度110ppm)のみを添加したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0096】
実施例2及び3、及び、比較例1〜11で得られた13種類の合わせガラスの性能(▲1▼パンメル値、▲2▼耐湿性)を実施例1の場合と同様にして評価した。その結果は表2に示すとおりであった。
【0097】
【表2】
Figure 0003860661
【0098】
表2から明らかなように、本発明による合わせガラス用中間膜を用いて製せられた実施例1〜3の合わせガラスは、初期及び経時後のいずれにおいても適正なパンメル値、即ち中間膜とガラスとの適正な接着力、を保持していた。又、50℃−95%RHの雰囲気下に4週間放置した後でも合わせガラス周縁部に白化現象を殆ど起こさなかった。
【0099】
これに対し、炭素数1〜4のカルボン酸の金属塩〔カルボン酸の金属塩(A)〕のみを含有させ、炭素数5〜28のカルボン酸の金属塩〔カルボン酸の金属塩(B)〕を含有させなかった比較例1、3及び7の合わせガラスは、50℃−95%RHの雰囲気下に4週間放置した時点で周縁部(端部)に白化現象を起こしていた。
【0100】
同じくカルボン酸の金属塩(A)のみを含有させ、カルボン酸の金属塩(B)を含有させなかった比較例5及び9の合わせガラスは、初期のパンメル値が大き過ぎる、即ち中間膜とガラスとの初期接着力が大き過ぎると共に、50℃−95%RHの雰囲気下に4週間放置した時点で周縁部(端部)に白化現象を起こしていた。
【0101】
同じくカルボン酸の金属塩(A)のみを含有させ、カルボン酸の金属塩(B)を含有させなかった比較例10の合わせガラスは、50℃−4週間放置した時点でパンメル値が低下しており、中間膜とガラスとの接着力の経時低下が認められた。
【0102】
又、カルボン酸の金属塩(A)を含有させず、カルボン酸の金属塩(B)のみを含有させた比較例2及び6の合わせガラスは、初期及び50℃−4週間放置後のパンメル値が大き過ぎた、即ち中間膜とガラスとの接着力が大き過ぎた。
【0103】
同じくカルボン酸の金属塩(A)を含有させず、カルボン酸の金属塩(B)のみを含有させた比較例4、8及び11の合わせガラスは、50℃−4週間放置した時点でパンメル値が極端に低下しており、中間膜とガラスとの接着力が消失していた。
【0104】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明による合わせガラス用中間膜は、初期及び経時後のいずれにおいても中間膜とガラスとの接着力が適正な範囲に保持されており、且つ、耐湿性に優れているので、衝撃吸収性や耐貫通性などの合わせガラスとして必要な基本性能に優れ、且つ、湿度の高い雰囲気下に長期間放置された場合でも周縁部(端部)に殆ど白化現象を起こさない合わせガラスを得るに適する。
【0105】
又、本発明による合わせガラスは、上記合わせガラス用中間膜を用いて製せられるので、初期及び経時後のいずれにおいても優れた衝撃吸収性や耐貫通性等を有しており、且つ、湿度の高い雰囲気下に長期間放置された場合でも周縁部(端部)に白化現象を殆ど起こさない。従って、自動車のフロントガラス用やサイドガラス用、或いは、建築物の窓ガラス用等として好適に用いられる。

Claims (2)

  1. 可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜に、炭素数1〜4のカルボン酸の金属塩及び炭素数5〜28のカルボン酸の金属塩が含有されてなる合わせガラス用中間膜であって、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対し、前記炭素数1〜4のカルボン酸の金属塩の添加量が0.01〜0.02重量部であり、かつ、前記炭素数5〜28のカルボン酸の金属塩の添加量が0.01〜0.037重量部であることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
  2. 少なくとも一対のガラス間に、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなることを特徴とする合わせガラス。
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