JP2015117141A - 遮音性に優れる積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】含水率を変化させた場合に遮音性の変化が起こらない、合わせガラス用中間膜として用いられるポリビニルアセタール積層体を提供する。【解決手段】平均残存水酸基量25〜45モル%で、可塑剤Aを含むポリビニルアセタールAと、平均残存水酸基量10〜35モル%で、可塑剤Bを含むポリビニルアセタールBとの積層体であって、可塑剤Aは両末端にエステル基を有するポリオキシエチレン(化合物I)を含み、可塑剤Bは化合物Iおよび一端がエステル基で、他端が水酸基であるポリオキシエチレン(化合物II)であり、(可塑剤Aは化合物IIを含有しても良い)可塑剤Aの水酸基価が、可塑剤Bの水酸基価より小さく、積層体の少なくとも一方の表面の十点平均粗さが10〜80μmである、積層体。【選択図】なし

Description

本発明はポリビニルアセタールを含有する積層体に関する。
ポリビニルアセタール及び可塑剤を含むシートは、ガラスとの接着性や透明性、また力学強度に優れることから合わせガラス用中間膜として広範に利用されている。
合わせガラス用中間膜は通常、少量の水を含んだ状態で使用される。合わせガラス用中間膜の含水率は合わせガラスの製造工程の種類によって適宜選択する必要がある。例えば、合わせガラスを大規模で生産する場合には、その生産性の高さから、ガラスと合わせガラス用中間膜を重ねたものをニップロールで仮接着し、オートクレーブで加熱、加圧して本接着する方法が広く用いられている。この方法は一連の工程に減圧処理工程を含まないことから、合わせガラスの製造時に水が揮発して合わせガラス用中間膜中で発泡するリスクが低い。従って、この方法では、調湿工程簡略化の観点から合わせガラス用中間膜の含水率は比較的高め(例えば0.4〜0.7%程度)に調整されたものが用いられる。
一方、オートクレーブは高価であるため、特に大型で高価な装置の導入が困難な場合には、合わせガラスの生産にバキュームバッグまたは真空ラミネーターが用いられる。これらの方法ではガラスと合わせガラス用中間膜を重ねたものを減圧下に熱処理して合わせガラスを製造するため、合わせガラス用中間膜中で水が発泡し気泡となって外観が損なわれるリスクが高い。従って、合わせガラス製造時の歩留まり性向上の観点から、通常、合わせガラス用中間膜の含水率は比較的低め(例えば、0.01〜0.3%程度)に調整したものが使用される。
近年、生活環境の質の向上を目的として、遮音、防音に関する関心が高まっている。特に自動車、鉄道、飛行機などの乗り物や、住居、商業ビルなどの建築物においては、窓ガラスからの音の侵入が問題になるため、遮音性合わせガラス用中間膜を用いた遮音性合わせガラスが使用されるケースが増えている。遮音性合わせガラス用中間膜としては、力学強度またはガラスとの接着性の発現を目的とした可塑剤含有量の低い層と、遮音性の発現のための可塑剤含有量の高い層とが積層された多層中間膜が一般的に使用されている(特許文献1、2参照)。
ところで、遮音性合わせガラス用中間膜においては、それを使用する合わせガラスの遮音性が含水率により変化することが知られている(特許文献3参照)。前記した多層中間膜の含水率を0.01〜0.3%程度に調整して合わせガラスを製造すると、含水率を0.4〜0.7%に調整した場合に比べて、遮音性が低下する。
また、合わせガラス用中間膜は一般的に可塑剤を含有するが、合わせガラスの端部で該中間膜がむき出しとなった部分に付着した水により可塑剤が抽出され、ガラスと該中間膜が剥離したり気泡が生じたりして合わせガラスの外観が損なわれる場合があった。また可塑剤の種類によっては、前記合わせガラスの製造の際に減圧工程を経る場合や、合わせガラスを長期使用した場合に、合わせガラス端部から可塑剤が揮発することがあった。
ところで、合わせガラスを作製する際には、両側にガラスとの間に合わせガラス用中間膜を配したのち、全体を加熱および圧着することで、合わせガラス用中間膜を溶融し流動させて、ガラスと合わせガラス用中間膜の隙間を充填することが行なわれている。しかしながら合わせガラス用中間膜の形状によっては、空気抜けが十分でなく、合わせガラスの端部に気泡が発生するなどにより不良品となることがあった。
特開2007−331959号公報 国際公開第2010/038801号 国際公開第2010/008053号
本発明は上記課題を解決するものであり、積層体に含まれる可塑剤が水によって抽出されにくく、且つ揮発しにくく、合わせガラス用中間膜として用いた場合に、含水率を変化させても遮音性の変化が起こらない積層体を提供することを目的とする。また、優れた遮音性能を発現することのできる含水率に調整することが容易な積層体を提供することを目的とする。さらには、合わせガラスを作製する際の泡抜け性に優れる積層体を提供することを目的とする。
本発明によれば、上記の目的は、平均残存水酸基量25〜45モル%のポリビニルアセタール(A)と、一般式(I):
Figure 2015117141
(式中、RおよびRは同一でも異なっていてもよい炭素数7〜11の炭化水素基を表し、mは3〜10の自然数を表す。)で示される化合物(I)を含み、一般式(II):
Figure 2015117141
(式中、RはRまたはRのいずれかと同一である。nは3〜10の自然数を表す。)で示される化合物(II)を含有してもよい可塑剤(A)とを含むA層と、平均残存水酸基量10〜35モル%のポリビニルアセタール(B)と、前記化合物(I)、および前記化合物(II)を含有する可塑剤(B)とを含むB層との積層体であって、可塑剤(A)の水酸基価(HV(A))が、可塑剤(B)の水酸基価(HV(B))より小さく、積層体の少なくとも一方の表面の十点平均粗さが10〜80μmである積層体を提供することで好適に達成される。
可塑剤(B)の水酸基価(HV(B))が0.1〜20mgKOH/gであることが好ましい。
可塑剤(A)の水酸基価(HV(A))が0〜15mgKOH/gであることが好ましい。
ポリビニルアセタール(A)100質量部に対する可塑剤(A)の含有量をW質量部、ポリビニルアセタール(B)100質量部に対する可塑剤(B)の含有量をW質量部とするとき、W≦Wであることが好ましい。
が20〜50質量部であることが好ましい。
が30〜80質量部であることが好ましい。
mとnは同一であることが好ましい。
とRは同一であることが好ましい。
及びRは3−ヘプチル基であることが好ましい。
3層以上の層から構成され、最外層の双方がA層であることが好ましい。
積層体の厚さが0.1〜2.4mmであることが好ましい。
ポリビニルアセタール(A)の平均残存水酸基量が、ポリビニルアセタール(B)の平均残存水酸基量より7モル%以上大きいことが好ましい。
本発明によると、上記の目的は、前記積層体を含む合わせガラスを提供することで好適に達成される。
本発明によれば、積層体に含まれる可塑剤が水によって抽出されにくく且つ揮発しにくく、合わせガラス用中間膜として用いた場合に、含水率を変化させても遮音性の変化が起こらない積層体を提供できる。また、優れた遮音性能を発現することのできる含水率に調整することが容易な積層体を提供することを目的とする。さらには、合わせガラスを作製する際の泡抜け性に優れる積層体を提供できる。
まず、本発明の積層体を構成するA層およびB層がそれぞれ含有するポリビニルアセタール(A)およびポリビニルアセタール(B)について説明する。
ポリビニルアセタール(A)の平均残存水酸基量は25〜45モル%であり、25〜40モル%であることが好ましく、25〜35モル%であることがより好ましい。平均残存水酸基量が25モル%未満であると、積層体の力学強度やガラスとの接着性が低下する場合があり、また平均残存水酸基量が45モル%を超えると、A層における可塑剤(A)に含まれる化合物(I)との相溶性が低下する場合がある。ポリビニルアセタール(A)のアセタール化度は、50〜74モル%であることが好ましく、60〜74モル%であることがより好ましく、65〜74モル%であることがさらに好ましい。ポリビニルアセタール(A)のアセタール化度が50モル%未満のものは、A層における可塑剤(A)に含まれる化合物(I)との相溶性が低下する場合があり、また74モル%を超えると、積層体の力学強度が不十分となる場合がある。ポリビニルアセタール(A)の平均残存ビニルエステル基量は、0.01〜5モル%であることが好ましく、0.01〜4モル%であることがより好ましく、0.01〜3モル%であることがさらに好ましい。平均残存ビニルエステル基量が0.01モル%未満のポリビニルアセタールは工業的に安価に生産することが困難である。ポリビニルアセタール(A)の平均残存ビニルエステル基量が5モル%を超えると、積層体を長期間にわたって使用した時にビニルエステル基の加水分解によってポリビニルアセタール(A)の平均残存水酸基量が増加し、化合物(I)との相溶性が経時的に変化する場合がある。
本発明で使用するポリビニルアセタール(B)の平均残存水酸基量は10〜35モル%であり、13〜30モル%であることが好ましく、15〜25モル%であることがより好ましい。平均残存水酸基量が10モル%未満のポリビニルアセタールは工業的に安価に生産することが困難である。ポリビニルアセタール(B)の平均残存水酸基量が35モル%を越えると、B層における可塑剤(B)に含まれる化合物(I)との相溶性が低下する場合がある。ポリビニルアセタール(B)のアセタール化度は60〜85モル%であることが好ましく、65〜82モル%であることがより好ましく、69〜78モル%であることがさらに好ましい。ポリビニルアセタール(B)のアセタール化度が60モル%未満であると、B層における可塑剤(B)に含まれる化合物(I)との相溶性が低下する場合がある。アセタール化度が85モル%を超えるポリビニルアセタールは工業的に安価に生産することが困難である。また、ポリビニルアセタール(B)の平均残存ビニルエステル基量は、0.01〜20モル%であることが好ましく、0.5〜16モル%であることがより好ましく、4〜13モル%であることがさらに好ましい。平均残存ビニルエステル基量が0.01モル%未満のポリビニルアセタールは工業的に安価に生産することが困難である。また、平均残存ビニルエステル基量が20モル%を超えるものは、長期間にわたって使用した時に加水分解によってポリビニルアセタール(B)の平均残存水酸基量が増加し、化合物(I)との相溶性が経時的に著しく変化することがある。
ポリビニルアセタール(A)とポリビニルアセタール(B)の平均残存水酸基量の関係は特に限定されないが、ポリビニルアセタール(A)の平均残存水酸基量がポリビニルアセタール(B)の平均残存水酸基量より7モル%以上大きいことが好ましく、8モル%以上大きいことがより好ましく、9モル以上大きいことがさらに好ましい。平均残存水酸基量が上記関係を満たす場合は、可塑剤の水による抽出がより起こりにくいものとなる。
本発明で使用するポリビニルアセタール(A)およびポリビニルアセタール(B)は、ポリビニルアルコールを原料として製造される。ポリビニルアルコールは従来から公知の手法によって得ることができる。すなわち、ビニルエステル化合物を重合し、得られた重合体をけん化することによって得ることができる。ビニルエステル化合物を重合する方法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法など、従来から公知の方法を適用できる。これらの重合方法で用いられる重合開始剤としてはアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤などを適宜使用できる。けん化反応は、従来から公知のアルカリ触媒又は酸触媒を用いて、重合体のビニルエステル基を加アルコール分解又は加水分解させることで行われる。中でも、メタノールを溶剤として用い、苛性ソーダ(NaOH)を触媒として用いるけん化反応が簡便であり最も好ましい。
ビニルエステル化合物としては、例えばギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニルなど従来から公知のカルボン酸ビニルエステルが挙げられるが、酢酸ビニルが好ましい。
また、ポリビニルアルコールは本発明の主旨に反しない限り、ビニルエステル化合物と、ビニルエステル化合物と共重合可能な単量体とを共重合させた共重合体をけん化させて得られる変性ポリビニルアルコールを使用することもできる。ビニルエステル化合物と共重合可能な単量体は、通常、ビニルエステル化合物に対して10モル%未満の割合で用いられる。
本発明で使用するポリビニルアセタールの原料となるポリビニルアルコールの粘度平均重合度は特に限定されず、用途に応じて適宜選択できるが、通常150〜3000が好ましく、800〜2500がより好ましく、1000〜2000がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの粘度平均重合度が150より低いと得られる積層体の力学強度が不足する傾向となり、3000より高いと得られる積層体の取り扱い性、特に合わせガラス用中間膜として使用する場合の合わせガラス製造の容易さが低下する傾向となる。
本発明で使用するポリビニルアセタールは従来から公知の方法で製造できる。例えば、次のような反応条件下で沈殿法により製造できる。まず濃度3〜40質量%のポリビニルアルコール水溶液を80〜100℃の温度範囲で保持した後、10〜60分かけて徐々に冷却する。温度が−10〜30℃まで低下したところで、アルデヒドおよび酸触媒を添加し、温度を一定に保ちながら、30〜300分間アセタール化反応を行う。その際、アセタール化度が一定水準に達したポリビニルアセタールが析出する。その後、反応液を30〜300分かけて30〜80℃の温度まで昇温し、その温度を10〜500分保持する。次に、反応溶液に塩基性の化合物を添加することで酸触媒を中和して水洗し、乾燥することによりポリビニルアセタールが得られる。
アセタール化反応に用いる酸触媒としては特に限定されず、酢酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸又は硝酸、硫酸、塩酸等などの無機酸のいずれも使用可能であり、特に塩酸、硫酸、硝酸が好ましく用いられる。
アセタール化反応に用いるアルデヒドは特に限定されないが、炭素数1〜8のアルデヒドでアセタール化することが好ましい。中でも炭素数4〜6のアルデヒドを用いることが好ましく、n−ブチルアルデヒドを用いることが特に好ましい。本発明においては、アルデヒドを2種類以上併用して得られるポリビニルアセタールを使用することもできる。
次に一般式(I):
Figure 2015117141
で示される、A層の可塑剤(A)およびB層の可塑剤(B)がそれぞれ含有する化合物(I)について説明する。
式中、RおよびRは同一でも異なっていてもよい炭素数7〜11の炭化水素基を表す。炭化水素基の炭素数は7〜10であることがより好ましく、7〜9であることがより好ましい。炭素数が7未満であると化合物(I)の揮発性が高くなり問題となる場合があり、炭素数が11を超えると化合物(I)とポリビニルアセタールとの相溶性が低下したり、化合物(I)のポリビニルアセタールへの可塑化効果が低下したりする場合がある。
炭化水素基は直鎖状でも分岐構造を有していてもよく、不飽和結合を有していてもよい。また、炭化水素基中の水素原子の一部が水素原子以外の他の原子や置換基で置換されていてもよい。R及びRの具体例としては、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、イソデカニル基、3−ヘプチル基などのアルキル基;3−ヘプト−3−エン基などのアルケニル基;1−クロロオクチル基などが挙げられる。中でも、分岐構造を有する炭化水素基であると加水分解を受けにくい点で好ましく、特にR、Rが共に3−ヘプチル基であると、ポリビニルアセタールとの相溶性、ポリビニルアセタールへの可塑化効果の観点からも特に好ましい。
とRは同一である方が、化合物(I)を安価に得られる観点から好ましい。A層における可塑剤(A)が含有する化合物(I)とB層における可塑剤(B)が含有する化合物(I)は同一であっても異なっていても良いが、入手容易性などの観点から同一であることが好ましい。なお、A層における可塑剤(A)及びB層における可塑剤(B)が含有する化合物(I)は1種類単独でも、2種類以上を混合したものでも良い。
また、mは3〜10、好ましくは3〜8、さらに好ましくは3〜4の自然数を表す。このような化合物(I)は低極性であり、A層と水が接触した場合に抽出されにくい点で好適である。mが3未満であると化合物(I)の揮発性が高くなり問題になることがあり、mが10を超えると化合物(I)とポリビニルアセタールとの相溶性が低下したり、化合物(I)のポリビニルアセタールへの可塑化効果が低下したりすることがある。
化合物(I)の具体例としては、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、オクタエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジ2−オクタノエート、トリエチレングリコールジドデカノエートなどが挙げられる。中でも、ポリビニルアセタールとの相溶性に優れ、ポリビニルアセタールへの可塑化効果に優れ、かつ容易に加水分解されない点で、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエートが好ましい。
A層における化合物(I)の含有量Wa1は、ポリビニルアセタール(A)100質量部に対して20〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは25〜47質量部であり、さらに好ましくは30〜45質量部である。ポリビニルアセタール(A)100質量部に対してWa1が20質量部未満であると、得られる積層体を合わせガラスに使用した場合に十分な柔軟性が発現しにくくなる傾向がある。一方、Wa1が50質量部を超えると、得られる積層体を合わせガラスに使用した場合に十分な力学強度が発現しにくくなる傾向がある。
B層における化合物(I)の含有量Wb1は、ポリビニルアセタール(B)100質量部に対し30〜80質量部であることが好ましく、より好ましくは40〜80質量部であり、さらに好ましくは50〜80質量部である。ポリビニルアセタール(B)100質量部に対してWb1が30質量部未満であると、得られる積層体を合わせガラスに使用した場合に十分な遮音性が発現しにくくなる傾向がある。一方、Wb1が80質量部を超えると、B層においてポリビニルアセタール(B)と化合物(I)との相溶性が低下して、得られる積層体の透明性が損なわれたり、十分な力学強度が発現しにくくなったりする傾向がある。
また、本発明においては、(Wb1−Wa1)>0であることが好ましく、より好ましくは40>(Wb1−Wa1)>7であり、さらに好ましくは40>(Wb1−Wa1)>15であり、最適には40>(Wb1−Wa1)>20である。(Wb1−Wa1)>0であると、積層体を合わせガラスに使用した際に十分な遮音性がより良好に発現する。ただし、(Wb1−Wa1)が40以上であると遮音性が不十分となる場合がある。
本発明のA層における可塑剤(A)が任意で含有し、B層における可塑剤(B)が含有する一般式(II):
Figure 2015117141
で示される化合物(II)について説明する。
式中、RはRまたはRのいずれかと同一であり、nは3〜10の自然数を表す。化合物(II)は、化合物(I)の化学構造と類似し、化合物(I)との相溶性に優れるため、積層体が水と接した場合にも抽出されにくく、例えば積層体を合わせガラス用中間膜として長期間使用する場合にも好適である。上記観点から、化合物(I)のmと化合物(II)のnが同一であることが特に好ましい。
化合物(II)の具体例としては、トリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、オクタエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールモノ2−オクタノエート、トリエチレングリコールモノドデカノエートなどがあげられる。中でも、本発明で使用する好適な化合物(I)がトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエートであるので、化合物(II)としてトリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエートを用いるのが好ましい。
A層における可塑剤(A)に含有される化合物(II)の含有量Wa2はポリビニルアセタール(A)100質量部に対して0〜2.5質量部が好ましく、0.005〜2.2質量部がより好ましく、0.035〜2質量部がさらに好ましい。Wa2が上記範囲内であると、水分量が変化した場合であっても積層体とガラスとの接着性が変化しにくい。また、積層体を合わせガラス用中間膜に使用した際、積層体が水に接しても化合物(II)が水に抽出されにくい。
また、B層における可塑剤(B)に含有される化合物(II)の含有量Wb2は0.01〜3質量部が好ましく、0.02〜2.4質量部がより好ましく、0.1〜2.2質量部がさらに好ましい。Wb2が0.01質量部より少ないと、積層体の含水率を変化させたときに遮音性が低下することがある。また、Wb2が3質量部より多いと、例えば積層体を合わせガラス用中間膜に使用した際に、積層体が水に接すると化合物(II)の一部が水に抽出され、合わせガラスに外観上の欠点が生じることがある。
A層における可塑剤(A)が化合物(II)を含有する場合、A層における可塑剤(A)が含有する化合物(II)とB層における可塑剤(B)が含有する化合物(II)は同一でも異なっていても良いが、入手容易性などの観点から同一であることが好ましい。また、A層における可塑剤(A)が化合物(II)を含有する場合、A層及びB層のそれぞれが含有する化合物(II)は、1種類単独でも2種類以上を混合したものでも良い。
本発明の積層体において、可塑剤(A)の水酸基価(HV(A))は、可塑剤(B)の水酸基価(HV(B))より小さい。可塑剤(A)と可塑剤(B)の水酸基価がこのような条件を満たすことによって、本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用した場合、幅広い含水率で優れた遮音性能を発現する。
可塑剤(A)の水酸基価(HV(A))は、可塑剤(B)の水酸基価(HV(B))よりも小さければ、特に限定されるものではないが、0〜15mgKOH/gであることが好ましく、0〜10mgKOH/gであることがより好ましく、0〜7.5mgKOH/gであることがさらに好ましい。水酸基価(HV(A))が15mgKOH/gを超えると積層体が吸水しやすくなり、また、積層体を長期間使用した場合に可塑剤(A)に含まれる成分が水により抽出されることがある。
他方、可塑剤(B)の水酸基価(HV(B))は、可塑剤(A)の水酸基価(HV(A))より大きければ、特に限定されるものではないが、0.1〜20mgKOH/gであることが好ましく、0.5〜15mgKOH/gであることがより好ましく、1〜10mgKOH/gであることがさらに好ましい。水酸基価(HV(B))が20mgKOH/gを超えると積層体が吸水しやすくなり、また、積層体を長期間使用した場合に可塑剤(B)に含まれる成分が水により抽出されることがある。なお可塑剤(A)の水酸基価HV(Ap)および可塑剤(B)の水酸基価HV(Bp)は、JIS K1557に従って測定される。
A層における可塑剤(A)の含有量Wは、可塑剤(A)と可塑剤(B)との水酸基価が上記関係を満たすように調整すれば特に限定されるものではないが、ポリビニルアセタール(A)100質量部に対して20〜50質量部が好ましく、25〜47質量部がより好ましく、30〜45質量部がさらに好ましい。可塑剤(A)の含有量Wが20質量部未満である場合は、本発明の積層体の柔軟性が不十分となることがあり、50質量部を超える場合は、本発明の積層体の力学強度が不十分となることがある。
B層における可塑剤(B)の含有量Wは、可塑剤(A)と可塑剤(B)との水酸基価が上記関係を満たすように調整すれば特に限定されるものではないが、ポリビニルアセタール(B)100質量部に対して30〜80質量部が好ましく、40〜80質量部がより好ましく、50〜80質量部がさらに好ましい。可塑剤(B)の含有量Wが30質量部未満である場合は、本発明の積層体の遮音性能が不十分となることがあり、80質量部を超える場合は、本発明の積層体の力学強度が不十分となることがある。
A層における可塑剤(A)の含有量Wと、B層における可塑剤(B)の含有量Wとは、W≦Wであることが好ましい。WはWよりも10質量部以上多いことがより好ましく、14質量部以上多いことがさらに好ましい。W≦Wである場合は、本発明の積層体が合わせガラス用中間膜に求められる十分な力学強度を有しつつ、優れた遮音性能を発現する傾向にある。
本発明の積層体は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、その他添加剤をさらに含有していても良い。
本発明の積層体が含有していてもよい酸化防止剤の種類に特に限定はない。例えば、従来から公知のフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などを使用できる。中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤は単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。酸化防止剤を含有させる場合、その量は特に限定されないが、積層体の質量に対して通常0.0001〜5質量%、好ましくは0.001〜1質量%の範囲である。0.0001質量%より少ないと酸化防止剤としての十分な効果が得られないことがあり、また5質量%より多くしても格段の効果は望めない。
本発明の積層体が含有していてもよい紫外線吸収剤の種類に特に限定はない。例えば、従来から公知のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤などを使用できる。紫外線吸収剤は単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。紫外線吸収剤を含有させる場合、その量は特に限定されないが、積層体の質量に対して通常0.0001〜5質量%、好ましくは0.001〜1質量%の範囲である。0.0001質量%より少ないと紫外線吸収剤としての十分な効果が得られないことがあり、また5質量%より多くしても格段の効果は望めない。
本発明の積層体は合わせガラス用中間膜として特に好適に使用される。その場合、ガラスと接着する層には接着性調整剤が添加されていることが好ましい。接着性調整剤としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、2−エチルブタン酸、2−エチルヘキサン酸などの有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などが用いられ、これらは2種類以上が添加されていてもよい。特にガラスと接着する層がA層である場合、含水率が変化した場合にも接着性が変化しない積層体を得る観点から、A層に酢酸マグネシウム、酢酸マグネシウム4水和物、ブタン酸マグネシウム、2−エチルブタン酸マグネシウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウムなどのマグネシウム塩が添加されていることが好ましく、A層に酢酸マグネシウム4水和物が添加されていることが好ましい。
接着性調整剤の添加量は、合わせガラスの耐貫通性および合わせガラス破損時のガラス片飛散防止性の観点から、ポリビニルアセタール(A)100質量部に対して0.001〜0.1質量部が好ましく、0.005〜0.08質量部がより好ましく、0.01〜0.06質量部がさらに好ましく、0.03〜0.055質量部が特に好ましい。
本発明の積層体を製造する方法は特に限定されず、従来公知の方法を適用できる。例えばA層を構成する成分、B層を構成する成分をそれぞれ押出機で溶融混練し引き続き多層製膜機で共押出する方法;溶融混練後に熱プレスまたはキャストなどで個別に作製したA層およびB層を重ねて必要に応じて熱プレス等により接着して積層する方法などが挙げられる。
本発明の積層体は、合わせガラス用中間膜として使用することができる。かかる場合に、広範な含水率で一定の特性を発現するため、ニップロールで仮接着後にオートクレーブで本接着する合わせガラス用中間膜の含水率を比較的高めに調節する方法でも、バキュームバッグまたは真空ラミネータを用いて減圧下で熱処理する合わせガラス中間膜の含水率を比較的低めに調節する方法でも合わせガラスを製造できる。本発明の積層体の含水率は0.01〜1.0質量%が好ましく、0.02〜0.9質量%がより好ましく、0.03〜0.8質量%がさらに好ましい。本発明の積層体の含水率が0.01質量%未満であるものは、そのような含水率に調節することに長大な時間を要するので好ましくなく、また、本発明の積層体の含水率が1.0質量%を超えるものは、積層体のガラスとの接着性、透明性が変化することがあり、好ましくない。
本発明の積層体におけるA層およびB層の厚さに特に限定はない。
A層の厚さは通常0.05〜1.2mmが好ましく、0.07〜1mmがより好ましく、0.1〜0.6mmがさらに好ましく、0.12〜0.5mmが特に好ましい。0.05mmよりも薄いと本発明の積層体の力学強度が低下する傾向となり、例えば合わせガラス中間膜としての使用に不十分な場合がある。1.2mmよりも厚いと本発明の積層体の柔軟性が不十分となる傾向となり、例えば合わせガラス中間膜としての使用において、得られる合わせガラスの安全性が低下する場合がある。
B層の厚さは通常0.01〜1mmが好ましく、0.02〜0.6mmがより好ましく、0.05〜0.4mmがさらに好ましい。0.01mmよりも薄いと本発明の積層体を中間膜とする合わせガラスの遮音性能が低下することがあり、1mmよりも厚くしても本発明の積層体の力学強度や遮音性能がそれ以上向上しない傾向にある。
本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合、積層体が3層以上の層から構成され、最外層が共にA層であることが、積層体とガラスとの接着性を適切に調節できる観点から好ましい。最外層が共にA層である積層体の例としては、A層/B層/A層、A層/B層/A層/B層/A層などが挙げられる。A層が2層以上含まれる場合、それぞれの層の厚さは同一でも異なっていても良く、またB層が2層以上含まれる場合、それぞれの層の厚さは同一でも異なっていても良い。
本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合、積層体の厚さに特に限定はないが、通常0.1〜2.4mmが好ましく、0.3〜1.8mmがより好ましく、0.3〜1.2mmがさらに好ましい。積層体の厚さが0.1mmよりも薄いと力学強度が不十分になる傾向にあり、2.4mmよりも厚いと柔軟性が不十分となりやすく、また、優れた遮音性能を発現する含水率に容易に調整できなくなる傾向にある。
本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合のガラス材質は特に限定されず、フロート板ガラス、熱強化ガラス、化学強化ガラスなどの無機ガラス;ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネートなどの有機ガラスなどの従来公知のガラスを使用できる。これらは無色もしくは有色、または透明もしくは非透明のいずれでもよく、また2種以上を併用してもよい。ガラスの厚さに特に限定はないが、通常20mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましい。
本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合、積層体の最表面の形状は特に限定されないが、合わせガラスを製造する際の取り扱い性(例えばラミネートにおける泡抜け性)を考慮すると、積層体の最表面にメルトフラクチャーやエンボスなどの従来から公知の方法で凹凸構造を形成したものが好ましい。
積層体の表面粗さは、レーザー顕微鏡から得られる十点平均粗さRzにより求められる。十点平均粗さRzは粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高の絶対値の平均値との和を求め、この値をマイクロメートル(μm)で表したものをいい、JIS B0601(1994)に従う。
本発明の積層体は、少なくとも一方の表面の十点平均粗さ(Rz)は10〜80μmである。十点平均粗さ(Rz)は15〜70μmであることが好ましく、20〜60μmであることがより好ましい。十点平均粗さ(Rz)が10μm未満では、積層体を用いた合わせガラスの作製において泡抜け性が良好ではなく、また、十点平均粗さ(Rz)が80μmを超えると、本発明の積層体を使用して合わせガラスを作製した際、所望の含水率に容易に調整できなくなる。
このような十点平均粗さ(Rz)の範囲を満たす積層体を得る方法は特に制限されないが、例えば、積層体の最表面にメルトフラクチャーやエンボスなどの従来から公知の方法で凹凸構造を形成することができる。
本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として用いて合わせガラスを製造する方法は特に限定されず、例えば真空ラミネーター装置やバキュームバッグを用いた減圧工程を経る方法;ニップロールで仮接着した後にオートクレーブで処理する減圧工程を経ない方法など、従来公知の方法が挙げられる。
真空ラミネーター装置を用いる場合の作製条件の一例を示すと、1×10−6〜3×10−2MPaの減圧下、100〜200℃、好ましくは130〜160℃の温度で10〜300分処理してガラスと合わせガラス用中間膜がラミネートされる。バキュームバッグを用いる場合は、例えば、2×10−4〜3×10−2MPaの圧力下、130〜145℃で10〜300分処理してラミネートされる。これら減圧工程を経る方法で合わせガラスを作製する場合には、積層体の含水率は0.01〜0.3質量%にしたものを用いることが、ラミネート中に積層体中で気泡が発生することを防ぐ観点から好ましい。
ニップロールで仮接着した後にオートクレーブで処理する方法におけるニップロールの運転条件の一例は、ガラスと積層体を赤外線ヒーターなどで50〜120℃に加熱した後、ロールで圧着して仮接着させる。オートクレーブ処理する工程は、例えば1.0〜1.5MPaの圧力下、130〜145℃の温度で30〜200分実施される。このような減圧工程を経ない方法で合わせガラスを作製する場合には、積層体の調湿(乾燥)工程を簡略化する観点から、積層体の含水率は0.4〜0.7質量%程度にしたものを使用することが好ましい。
以下、実施例などにより本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
(PVB−1の調製)
還流冷却器、温度計、イカリ型攪拌翼を備えた5L(リットル)のガラス製容器に、イオン交換水4050g、ポリビニルアルコール(PVA−1)(粘度平均重合度1700、けん化度99モル%)330gを仕込み(PVA濃度7.5%)、内容物を95℃に昇温して完全に溶解させた。次に120rpmで攪拌下、5℃まで約30分かけて徐々に冷却後、ブチルアルデヒド188gと35%の塩酸140gを添加し、ブチラール化反応を30分間行った。その後、60分かけて60℃まで昇温し、60℃にて120分間保持した後、室温まで冷却した。ポリビニルアセタール樹脂をイオン交換水で洗浄した後、水酸化ナトリウム水溶液で残存する塩酸を中和し、さらにイオン交換水で洗浄し、脱水し、乾燥してポリビニルブチラール(PVB−1)を得た。得られたPVB−1の特性をJIS K6728−1977(以下、JIS K6728と表わす)にしたがって測定したところ、表1に示すとおり、平均アセタール化度は69モル%、平均残存酢酸ビニル基量(平均残存ビニルエステル基量)は1モル%、平均残存水酸基量は30モル%であった。
(PVB−2の調製)
PVB−1の調製において、ブチルアルデヒド使用量を194gに変更した以外は同様にして反応を行い、PVB−2を得た。得られたPVB−2の特性をJIS K6728にしたがって測定したところ、表1に示すとおり、平均アセタール化度は71モル%、平均残存酢酸ビニル基量は1モル%、平均残存水酸基量は28モル%であった。
(PVB−3の調製)
PVB−1の調製において、PVA−1をPVA−2(粘度平均重合度1700、けん化92モル%)330gに、ブチルアルデヒド使用量を198gに変更し、さらに5℃でブチラール化反応を実施した後、67℃まで70分かけて昇温し、67℃で120分反応を行った以外は同様にして、PVB−3を得た。得られたPVB−3の特定をJIS K6728にしたがって測定したところ、表1に示すとおり、平均アセタール化度は74モル%、平均残存酢酸ビニル基量は9モル%、平均残存水酸基量は17モル%であった。
(PVB−4の調製)
PVB−3の調製において、PVA−2をPVA−3(粘度平均重合度1700、けん化90モル%)330gに、ブチルアルデヒド使用量を204gに変更し、さらに5℃でブチラール化反応を実施した後、67℃まで70分かけて昇温し、67℃で120分反応を行った以外は同様にして、PVB−4を得た。得られたPVB−4の特性をJIS K6728にしたがって測定したところ、表1に示すとおり、平均アセタール化度は74モル%、平均残存酢酸ビニル基量は7モル%、平均残存水酸基量は19モル%であった。
Figure 2015117141
(実施例1)
(積層体の作製)
100質量部のPVB−1、可塑剤(A)として化合物(I)であるトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート39質量部、および化合物(II)であるトリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート0.1質量部を、ラボプラストミルで160℃、8分間混練した。得られた混練物を厚さ0.38mmの型枠で160℃、50kg/cmの条件で30分間プレスして厚さ0.38mmのシートAを得た。なお、可塑剤(A)の水酸基価HV(A)は0.5mgKOH/gであった。
一方、100質量部のPVB−3、可塑剤(B)として化合物(I)であるトリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート62質量部、および化合物(II)であるトリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート0.6質量部をラボプラストミルで160℃、8分間混練した。得られた混練物を厚さ0.15mmの型枠で160℃、50kg/cmの条件で30分間プレスして厚さ0.15mmのシートBを得た。なお、可塑剤(B)の水酸基価HV(B)は1.9mgKOH/gであった。
シートA及びシートBを、シートA/シートB/シートAの順に重ね、厚さ0.91mmの型枠で135℃、10kg/cmの条件でプレスして積層し、得られた積層体をさらに2枚のエンボスシートで挟んでプレスして、A層(0.38mm)/B層(0.14mm)/A層(0.38mm)からなり、十点平均粗さRz=35μmの積層体−1を得た。
(十点平均粗さ(Rz)の測定)
JIS B0601(1994)、JIS B0031(1994)に従って、積層体−1について、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製、VK−X200)から得られる十点平均粗さRzを求めた。十点平均粗さRzは粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高の絶対値の平均値との和を求め、この値をマイクロメートル(μm)で表した。
(バキュームバッグを用いた低含水率合わせガラスの作製)
30cm×30cmの積層体−1を23℃、5〜15%RHに調節したデシケーター内に5日間保管して調湿(乾燥)した。調湿後の積層体−1を速やかに2枚のフロートガラス(30cm×30cm×2.2mm)で挟み、これをバキュームバッグに入れ、バキュームバッグ内を室温で3×10−3MPaに減圧し、その減圧度を保持しながら30分かけて135℃にまで加熱し、135℃で2時間保持して合わせガラス−1(V)を得た。得られた合わせガラス−1(V)における積層体−1の含水率は0.12%であった。また合わせガラス−1(V)には、ガラスと積層体−1との間に気泡は残存しておらず、泡抜け性は良好であった。なお、含水率は合わせガラス−1(V)の端部から1cmよりも離れている部分をハンマーで叩いてガラスを割って速やかに積層体−1を取り出し、当該サンプル0.5gを株式会社三菱化学アナリティック製カールフィッシャー水分計(KF−200(容量法水分計)とVA−200(水分気化装置)を組み合わせて使用)を用いて、200℃で10分間加熱し、その間に気化した水分を定量することで測定した。
(ニップロールで仮接着後に、オートクレーブで本接着する、高含水率合わせガラスの作製)
30cm×30cmの積層体−1を23℃、50〜70%RHの雰囲気下で5日間保管して調湿した。調湿後の積層体−1(含水率0.68%:前記と同じカールフィッシャー水分計を使用し、同じ方法で測定)を速やかに2枚のフロートガラス(30cm×30cm×2.2mm)で挟み、これを80℃に加熱後、ニップロールを用いて仮接着した。得られた仮接着体をオートクレーブにいれ、135℃、1.2MPaの条件で60分処理して合わせガラス−1(NA)を得た。得られた合わせガラス−1(NA)における積層体−1の含水率は0.62%であり、合わせガラス作製前後での含水率の変化は0.06%であった。合わせガラス用中間膜の含水率の変化が小さい場合、積層体作製時に目的とする含水率を調整すればよく、含水率の調整が容易である。なお、含水率は合わせガラス−1(V)と同様の方法で求めた。
(遮音性測定)
合わせガラス−1(V)、合わせガラス−1(NA)をそれぞれ2.5cm×30cmの大きさに切断し、25℃雰囲気下で加振機(EMIC社製、小型振動発生機512−A)により加振し、その際の周波数応答関数をFFTアナライザー(小野測器社製、DS−2100)にて検出し、サーボ解析ソフト(小野測器社製、DS−0242)を使用して3000Hzにおける損失係数を算出した。損失係数の大きいものほど合わせガラスの遮音性能が優れることを表す。
(実施例2〜15、比較例1〜5)
表2に示すようにA層及びB層の組成を変更した以外は実施例1と同様にして積層体及び合わせガラスを作製した。得られた合わせガラスについて実施例1と同様に評価した。結果を表3に示す。
(比較例6)
積層体−1を作製する方法において、エンボスシートの代わりに平滑なPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを使用して比較例積層体−6を得た。比較例積層体−6の十点平均粗さは3μm以下であった。得られた比較例積層体−6を実施例−1と同様に評価したところ、泡抜け性が不良であり、合わせガラスの端部に気泡が残っていた。結果を表3に示す。
(比較例7)
積層体−1を作製する方法において、エンボスシートを別のものに交換して比較例積層体−7を得た。比較例積層体−7の十点平均粗さは120μm以下であった。得られた比較例積層体−7を実施例−1と同様に評価した。結果を表3に示す。
本発明の積層体を合わせガラス用中間膜として使用する場合、真空ラミネーターやバキュームバッグによって低めの含水率で作製したもの、またニップロールで仮接着後にオートクレーブにより高めの含水率で作製したもの、いずれにおいても同等の優れた特性を発現させることが可能である。また、本発明の積層体は、優れた遮音性能を発現することのできる含水率に調整することが容易であり、また、合わせガラスを作製する際の泡抜け性に優れる。
Figure 2015117141
Figure 2015117141
本発明の積層体は、積層体に含まれる可塑剤が水によって抽出されにくく、且つ揮発しにくく、合わせガラス用中間膜として用いた場合に、含水率を変化させても遮音性の変化が起こらない。また、本発明の積層体は、優れた遮音性能を発現することのできる含水率に調整することが容易である。さらに、本発明の積層体は、合わせガラスを作製する際の泡抜け性に優れる。

Claims (13)

  1. 平均残存水酸基量25〜45モル%のポリビニルアセタール(A)と、一般式(I):
    Figure 2015117141
    (式中、RおよびRは同一でも異なっていてもよい炭素数7〜11の炭化水素基を表し、mは3〜10の自然数を表す。)で示される化合物(I)を含有し、一般式(II):
    Figure 2015117141
    (式中、RはRまたはRのいずれかと同一である。nは3〜10の自然数を表す。)で示される化合物(II)を含有してもよい可塑剤(A)とを含むA層と、
    平均残存水酸基量10〜35モル%のポリビニルアセタール(B)と、前記化合物(I)、および前記化合物(II)を含有する可塑剤(B)とを含むB層との積層体であって、
    可塑剤(A)の水酸基価(HV(A))が、可塑剤(B)の水酸基価(HV(B))より小さく、積層体の少なくとも一方の表面の十点平均粗さが10〜80μmである、積層体。
  2. 可塑剤(B)の水酸基価(HV(B))が0.1〜20mgKOH/gである、請求項1記載の積層体。
  3. 可塑剤(A)の水酸基価(HV(A))が0〜15mgKOH/gである、請求項1または2に記載の積層体。
  4. ポリビニルアセタール(A)100質量部に対する可塑剤(A)の含有量をW質量部、ポリビニルアセタール(B)100質量部に対する可塑剤(B)の含有量をW質量部とするとき、W≦Wである、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. が20〜50質量部である、請求項4に記載の積層体。
  6. が30〜80質量部である、請求項4または5に記載の積層体。
  7. mとnが同一である、請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
  8. とRが同一である、請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
  9. 及びRが3−ヘプチル基である、請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
  10. 3層以上の層から構成され、最外層の双方がA層である請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
  11. 厚さが0.1〜2.4mmである、請求項1〜10のいずれかに記載の積層体。
  12. ポリビニルアセタール(A)の平均残存水酸基量が、ポリビニルアセタール(B)の平均残存水酸基量より7モル%以上大きい、請求項1〜11のいずれかに記載の積層体。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の積層体を含む合わせガラス。
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