図1乃至図3は、本発明を適用したコンバインの側面図、平面図及び正面図である。図示に示された作業車両の一種であるコンバイン(さらに具体的には、自脱式コンバイン)は、左右一対のクローラ式走行装置1L,1Rを有する走行機体2と、該走行機体2の前部に昇降駆動可能に連結されて穀稈の刈取作業を行う前処理部3とを備えている。
上記走行機体2は、左右のクローラ式走行装置1L,1Rに支持されたシャシーフレーム(機体フレーム)2aと、該シャシーフレーム2a上の進行方左(以下、単に「左」)側部分に設置された脱穀装置5と、該シャシーフレーム2a上の進行方右(以下、単に「右」)側部分に設置されたグレンタンク4と、該シャシーフレーム2a上におけるグレンタンク4の前方に近接配置された操縦席6と、グレンタンク4の後側に配置されたオーガ7とを備えている。
脱穀装置5の左右外側側部(具体的には左側部)には前後方向のフィードチェーン8が配置され、脱穀装置5内におけるフィードチェーン8の左右内側側方に位置する部分には、図示しない脱穀室が形成され、脱穀装置5内の脱穀室直下には図示しない選別室が配置形成されている。
グレンタンク4は、脱穀装置5の脱穀処理及び選別処理によって得られる籾等の穀粒を収容する容器である。
オーガ7は、シャシーフレーム2aから直上に突出して自身の軸回りに回動する縦筒11と、縦筒11の上端部に上下揺動自在に支持された排出筒12とを備え、該排出筒12の先端部には、下方に開放された排出口7aが形成される。該オーガ7は、縦筒11の軸回り回動によって水平旋回されるとともに、排出筒12の上下揺動によって昇降され、上記排出口7aの前後左右位置及び上下位置が調整され、この排出口7aを介して、グレンタンク4内から縦筒11及び排出筒12を介して搬送された穀粒が外部に排出される。
上記前処理部3は、正面視で、走行機体2の左端から操縦席6の中途部に至る範囲を占めている。この前処理部3は、下降状態において、走行機体2の前進走行中、圃場の穀稈を引起して後方に引込みながら、刈刃13によって根元側が切断されて刈取られ、該刈取られた穀稈が走行機体2の脱穀装置5側まで後方搬送される。
ちなみに、エンジン(図示しない)は、走行機体2における座席16の直下に収容され、エンジン動力によって、左右のクローラ式走行装置1L,1R、前処理部3、脱穀装置5及びオーガ7等の各部が駆動される。
該構成のコンバインでは、前処理部3を下降させた状態で駆動させながら走行機体2を前進走行させ、圃場の穀稈の刈取作業を行う。前処理部3で刈取られて後方搬送された穀稈の株元側が、フィードチェーン8に渡される。フィードチェーン8に株元側が保持された穀稈は、穂先側が脱穀室に挿入された状態で、該フィードチェーン8により、後方搬送される。
この後方搬送過程において、扱室内で前後方向の軸回りに回転駆動される扱胴によって扱降されて(脱穀処理されて)排藁となった穀稈は、そのままの状態で、後方から機外に排出されるか、或いは、切断処理された後に、後方から機外に排出される。
また、上記脱穀処理によって、穀稈から分離された処理物は、直下の選別室に落下する。落下した処理物は、選別室で揺動選別及び風選され、籾等の穀粒と、それ以外の排出物とに分別され、穀粒は、揚穀ラセンを内装し且つ脱穀装置5の内側側面に沿って配設された上下方向に延びる揚穀筒14(図7及び図8参照)によって、グレンタンク4内に搬送収容される一方で、排出物は、走行機体2の後端側から機外に排出される。
次に図1乃至図6に基づき操縦席6の構成を説明する。
操縦席6は、オペレータが着座する上記した座席16と、該座席16の前方をカバーするフロントカバー17と、座席16の左右一方側側方(図示する例では左側方)をカバーするサイドカバー18と、座席16とフロントカバー17の間において該フロントカバー17の下端側の高さに形成されて操縦席16の床面となる水平面状のフロアステップ19と、座席16の左右他方側側方を開放させることにより構成されオペレータが乗降する乗降口6aと、フロントカバー17の上端部に形成されたフロントパネル21と、サイドカバー18の上端部に形成されたサイドパネル22とを有している。
上記フロントパネル21の上面前部の左右外寄り部分には、前後揺動によって、前処理部3の昇降操作を行うとともに、左右揺動によって、走行機体2の操向操作(旋回操作)を行うレバー操作具であるマルチレバー(昇降レバー、操向レバー)24が上方に突出した状態で設置されている。
図4乃至図6は、サイドパネルの要部正面図、要部側面図及び要部平面図である。上記サイドパネル22は、座席16の真横側に位置して前後方向に延びる本体部26と、本体部26の前端部からフロントカバー17側に延出された延出部27と、本体部26及び延出部27における座席16から遠い側(外側)の側方及び前方の一部をカバーする壁部28と、壁部28からさらに外側側方に凸状に一体的に張出して前後方向に延びる張出部29とを一体で有している。
また、該サイドパネル22は、本体部26の後端部から後方に延びる後部パネル30と、上記延出部27のフロントパネル21側の端部からさらにフロントパネル21側に延びて上記フロントカバー17の直上(フロントパネル21)に至る着脱体31とを、上述した本体部26、延出部27、壁部28及び張出部29とは、別体で備えている。
本体部26は、上面がフラットな水平面状をなし、揺動操作可能な主変速レバー(変速レバー)32、副変速レバー(変速レバー)33及びアクセルレバー34が上方に突出した状態で設置されている。本体部26には、主変速レバー32、副変速レバー33及びアクセルレバー34を、それぞれ各別に挿通させて揺動案内するガイド孔26a,26b,26cが穿設されている。
エンジン31からの動力は、図示しないHST→走行トランスミッションの順に伝動され、クローラ式走行装置1L,1Rに伝えられるが、主変速レバー32は、HSTを介して、走行変速操作を行う走行変速操作具の一種であり、副変速レバー33は、走行トランスミッションを介して、走行変速操作を行う走行変速操作具の一種である。
主変速レバー32は、サイドパネル22の本体部26の左右における座席16寄り部分に配置され、前後方向の中立位置に位置している場合には、HSTがニュートラル状態になり、左右揺動操作が可能な状態になる。この主変速レバー32を、左右一方側(図示する例では右側)に傾斜させると、上記中立位置の前方に位置する範囲である前進範囲での揺動操作が可能になる一方で、左右他方側に傾斜させると、上記中立位置の後方に位置する範囲である後進範囲での揺動操作が可能になる。主変速レバー32の前進範囲での前後揺動操作によって、前進走行時の増減速を行う一方で、主変速レバー32の後進範囲での前後揺動操作によって、後進走行時の増減速を行う。
また、この主変速レバー32のグリップ部32aにおける座席16側側面には、モーメンタリ式の押し操作具である強制掻込スイッチ36が設置される。ちなみに、このコンバインでは、走行速度の増減速に連動して前処理部3及びフィードチェーン8の駆動速度を増減させるか、或いは車体の前進走行時に前処理部3及びフィードチェーン8が刈取・搬送駆動されるように、前処理部3の駆動を車体の前進走行に連動させる車速連動制御を行うが、モーメンタリ式の押しボタンスイッチである強制掻込スイッチ36を押し操作している最中は、強制掻込制御が実行され、車速に関係無く、前処理部3及びフィードチェーン8が所定速度で駆動される一方で、該押し操作を解除すると、車速連動制御に自動復帰する。ちなみに、前処理部3及びフィードチェーン8の駆動速度を増減させる場合には、エンジンから前処理部3及びフィードチェーン8への動力伝動経路の途中に、無段階変速を行うHSTを設ける。
副変速レバー33は、図4及び図5に示す通り、本体部32の左右における座席16から遠い部分に配置され、前後揺動によって、走行トランスミッションの変速切換操作を行う。
アクセルレバー34は、本体部26における副変速レバー33の真後ろ側に配置され、前後揺動によって、エンジンの回転数を、調整操作する。
後部パネル30は、上述した通り、サイドパネル22の後部側を構成し、この後部パネル30には、クラッチ操作レバー37及びナローガイド操作レバー38が、前後揺動操作可能に、上方に突出した状態で、左右に並べて設けられている。具体的には、このクラッチ操作レバー37及びナローガイド操作具38は、後部パネル30のガイド孔30a,30bにそれぞれ挿通され、前後方向に揺動案内される。
クラッチ操作レバー37は、前後揺動によって、エンジンから脱穀装置5、フィードチェーン8又は前処理部3等への動力伝動(作業系への動力伝動)の断続操作を行う。
ナローガイド操作レバー38は、前後揺動によって、前処理部3の左右一方側又は両側の側面の下端側に設置されるナローガイド39の作用姿勢と格納姿勢の切換操作を行う。作用姿勢に切換えられたナローガイド39は、前処理部3から外側側方に突出して、前処理部3の左右方向における刈取範囲外の立植穀稈を、走行機体2の左右外側に分草する。
上述したサイドパネル22における延出部27及び着脱体31とには、それぞれメーターパネル41と、操作パネル42とが嵌込み設置され、メーターパネル41のメータ表示によって、車速等の情報をオペレータが取得可能になり、操作パネル42の図示しない操作具を操作することによって、各種制御の設定操作等を行う。
該構成のサイドパネル22は、シャシーフレーム2aに立設されたサイド側支持フレーム(支持フレーム)43によって、下面側から下支えされている。また、このサイド側支持フレーム43は、サイドカバー18の座席16側の側面に沿い、この支持フレーム43には該サイドカバー18も取付固定されている。
次に図4乃至図8に基づき操縦席6のフレーム構造について詳述する。
図7,図8は、操縦席のフレーム構造を示す側面図及び斜視図である。シャシーフレーム2aの右寄り部分は、左寄り部分よりも前方に突出して操縦側フレーム44を構成しており、シャシーフレーム2aの一部を構成する上記操縦側フレーム44上に操縦席6が立設されている。
操縦側フレーム44の前端部には、フロント側支持フレーム(支持フレーム)46が立設され、操縦側フレーム44のサイドカバー18側の側部には、上述の支持フレーム43が立設されている。
サイド側支持フレーム43は、操縦側フレーム44から上方に突設された平断面視チャネル状の支柱47と、支柱47の上端部側に固設されて前後方向に延びる縦フレーム(縦フレーム部)48とを有し、該支持フレーム43は、平面視で、前後方向に一直線状に延びる形状に成形されている。一方、フロント側支持フレーム46は、正面視で逆U字状をなすメインフレーム49と、メインフレーム49の上下方向中途側に固設され且つ左右方向の延びる横フレーム51とを有している。
縦フレーム48は、平面視で、前後方向の一直線状に延び、その前端部はフロント側支持フレーム46側に至る位置まで延出される一方で、その後端部は後部パネル30の後部側に至る位置まで延出されている。これを言換えると、該縦フレーム48は、サイドパネル21の直下に、該サイドパネル21の前後方向の全体又は略全体に亘って形成されている。
一方、横フレーム51のサイドカバー18側の端部は、縦フレーム48の前端部側に近接する位置まで延出され、この横フレーム51及び縦フレーム48の互いに近接する端部同士は、連結具52によって連結固定されている。
上記フロント側支持フレーム46には、上記フロントカバー17及びフロントパネル21が取付支持されている。
上記サイド側支持フレーム43の縦フレーム48は、金属製の角パイプから構成され、該縦フレーム48の後端部及び中途部に至る範囲は、水平な前後一直線状に延びるとともに、それ以外の部分である前端部は、前方に向かって下方に傾斜するように、上記後端部及び中途部に対して下方に屈曲形成されている。
縦フレーム48の上記形状によって、該縦フレーム48の上面には、前方に下方傾斜した単一の傾斜面48aと、フラットな前後方向の単一の水平面(配置面)48bとが、前後に連続的に並べられた状態で配置形成され、この傾斜面48a及び水平面48bは、サイド側支持フレーム43の上面を形成している。
この縦フレーム48の前後方向中途部には、支持具53が固着されている。支持具53の上面は、上記水平面48bよりも高い位置に形成され、この支持具53の該上面側には、サイドパネル22の張出部29と、後部パネル30の前端部とが載置支持され、ボルト固定される一方で、サイドパネル22の延出部27は、連結具52側に設置された支持ブラケット54の上端面によって受止められ、該支持ブラケット54にボルト固定されている。
そして、このサイドパネル22における本体部26及び後部パネル30の下面と、上記水平面48bとの間には、隙間S1が形成されるとともに、サイドパネル22の延出部27の下面と、上記傾斜面48aとの間には、配線スペースS2が形成される。この隙間S1及びスペースS2を介して、各種配線や配索を行うが、詳細は、後述する。
また、縦フレーム48の後端部には、連結具56を介して、脱穀装置5の枠体の一部を構成する後壁55が連結固定されている他、走行機体2の後部を構成する左右方向の後部フレー57の中途部と、縦フレーム48の後端部とは、上記連結具56及び前後方向の連結フレーム58を介して、互いに連結固定されている。
上記縦フレーム48の上記水平面48bの前端側には、上述の主変速レバー32及び副変速レバー33が左右振分配置されている。具体的には、縦フレーム48の運転席側(内側)側部側には、主変速レバー32の基端部が支持され、反対側(外側)側部側には、副変速レバー33の基端部が支持されている。
ちなみに、主変速レバー32は、その基端側が主変速側連係機構59を介して、HSTのトラニオン軸(図示しない)と機械的に連結され、該主変速レバー32の上記揺動操作によってHSTの正逆転切換及び無段階の増減速を行う。また、主変速側連係機構59側には、主変速レバー32の前後の揺動位置を検出するポテンショメータである変速操作検出センサ61が設けられている。さらに、主変速レバー32の中途部は、縦フレーム48側に固定されたガイドプレート62のガイド孔62aに挿通され、上述のような揺動案内がされる。
この他、副変速レバー33の基端側は、副変速側連係機構63を介して、走行トランスミッションと機械的に連結され、副変速レバー33の前後揺動操作によって、走行トランスミッションの走行変速切換を行う。
また、縦フレーム48の水平面48bの中途部における外側側部側には、アクセルレバー34が前後揺動自在に支持されている。
さらに、縦フレーム48の後部における外側側部側には、クラッチ操作レバー37が、前後揺動可能に支持され、内側側部には、ナローガイド操作レバー38が、揺動操作可能に支持されている。ちなみに、クラッチ操作レバー37の基端側には、クラッチ操作レバー37の前後揺動操作位置を検出するポテンショメータである断続操作検出センサ64が設けられている。
すなわち、レバー操作具である主変速レバー32、副変速レバー33、アクセルレバー34、クラッチ操作レバー37及びナローガイド操作レバー38は、支持フレーム43の縦フレーム48における水平面48bの左寄り部分と、右寄り部分とに振分け配置されている。
なお、サイド側支持フレーム43の座席16と反対側(外側)の側部側(具体的には、支柱47の外側側面)には、脱穀クラッチ66(図11参照)及び作業クラッチ67(図11参照)を個別に断続作動させるクラッチ操作機構68が、ユニット化され且つ枠体に沿って格納状態で、設置されている。
脱穀クラッチ66は、テンションプーリからなり、脱穀装置5へのエンジン動力の伝動を断続する一方で、作業クラッチ67は、テンションプーリからなり、脱穀装置5側に伝動された動力を、フィードチェーン8及び前処理部3等に断続伝動させる。
ちなみに、上記クラッチ操作機構68を介した脱穀クラッチ66及び作業クラッチ67の断続制御は、マイコン等から制御される制御ユニット(制御部)69(図9参照)によって行われ、この制御ユニット69の入力側には、断続操作検出センサ64と、変速操作検出センサ61とが接続されている。
そして、制御ユニット69は、断続操作検出センサ64の検出結果に基づいて、脱穀クラッチ66及び作業クラッチ67の断続制御を行うとともに、変速操作検出センサ61の検出結果に基づいて、作業クラッチ67の断続等による上述の車速連動制御を行う。なお、前処理部3及びフィードチェーン8の駆動速度を制御する場合は、上述した通り、HSTを設け、このHSTの変速制御を、制御ユニット69によって行わせる。
次に、図4、図5及び図9に基づき、操縦席6の配線構造及び配索構造について説明する。
図9は、操縦席の配線構造に示す要部斜視図である。図示するものでは、上記隙間S1は、フロントパネル21及びサイドパネル22に設置された操作具、該操作具の操作を検出する検出センサ、表示パネル部への配線を行うスペース、或いは、操作具への機械的連結機構の配索を行うスペースとなる。
ここで、配線を行う操作具としては、上記主変速レバー32(具体的には、主変速レバー32の強制掻込スイッチ36)と、操作パネル42(具体的には、操作パネル42に設置された各種操作具)とがあり、操作具の操作を検出する検出センサとしては、変速操作検出センサ61及び断続操作検出センサ64等があり、表示パネル部としては、メーターパネル41がある。ちなみに、図示する例では、操作具への機械的連結機構の配索を、上記隙間S1を利用して行う構成については示されていないが、このような配索を行う対象としては、主変速側連係機構59や副変速側連係機構63等が想定される。
また、支持フレーム43の前部上面(具体的には、縦フレーム48の前部上面)と、サイドパネル22の延出部27及び着脱体31との間には、傾斜面48aの傾斜によって、広い配線スペースS2が確保され、この配線スペースS2を介して、フロントパネル21又はサイドパネル22(図示する例では、サイドパネル22の延出部27及び着脱体31)に設置された表示パネル部であるメーターパネル41への配線や、操作具である操作パネル42への配線が、フロントパネル21又はサイドパネル22(図示する例では、サイドパネル22の延出部27及び着脱体31)の下面側から行われる。
なお、これらの配線に用いる導線を束ねたハーネス(接続線)71は、水平面48b上及び傾斜面48a上を前後方向に配線されて横フレーム51まで至り、横フレーム51側では、該横フレーム51に沿って配線されてマルチレバー24側まで左右方向に配線されている。
上記ハーネス71は、該マルチレバー24の基端側に設置され且つマルチレバー24の操向操作位置及び昇降操作位置を検出するポテンショメータ等の操作位置検出センサ(図示しない)にも接続されている他、横フレーム51の直下に配置された上述の制御ユニット69にも分岐して配線されている。
また、上記ハーネス71は、縦フレーム48における上記支持具53の真後ろに配置された左右方向の配線フレーム72に絡めて係合されて保持されるとともに、複数のクランプ73によって、縦フレーム48及び横フレーム51に保持されている。
なお、図示する例では、サイドパネル22の延出部27及び着脱体31に設置されたメーターパネル41及び操作パネル42への配線用の空間として、配線スペースS2を利用したが、フロントパネル21を、操縦席6の左右幅の略全体に亘り形成するタイプの機体では、上記メーターパネル41及び操作パネル42等が、フロントパネル22に設置される構造になるため、この場合、上記配線スペースS2は、フロントパネル22に設置されるメーターパネル41及び操作パネル42への配線用の空間として利用される。
ちなみに、図示する例では、連結具52から上方に突出した支持ブラケット54の前面側にハーネス71を配線しているが、ハーネス72を、支持ブラケット54の背面側に配線し、支持ブラケット54によって、ハーネス72の前方の一部を保護するようにしもよい。
該ハーネス71の配線構造によれば、縦フレーム48の左右に振分け配置されたレバー操作具である主変速レバー32、副変速レバー33、アクセルレバー34、クラッチ操作レバー37及びナローガイド操作レバー38への配線によって、ハーネス71が配置面48bの左右両側に配線されることになるため、該ハーネス71が配置面48bから落ちることが防止され、クランプ73等の保持手段が補助的に機能するに留まり、場合によっては省略も可能になる。
また、ハーネス71の左右に振分け配置されて水平面48bよりも上方に突出した主変速レバー32、副変速レバー33、アクセルレバー34、クラッチ操作レバー37及びナローガイド操作レバー38及びガイドプレート62等は、それ自体が、ハーネス71の水平面48b上からの落下を防止する壁部として機能している。
次に、図2乃至図5並びに図10及び図11に基づき、クラッチ操作機構68の構成を説明する。
図10(A),(B)は、クラッチ操作機構の構成示す斜視図及び分解斜視図である。クラッチ操作機構68は、厚み方向が左右方向を向けられた板状のベース部材74に各種部品を取付けることにより構成されている。このベース部材74は、支持具53の外側側面にボルト固定されるとともに、支柱47の外側側部に固着された上下の支持ブラケット76,77にボルト固定され、これによって、クラッチ操作機構68は、支持フレーム43と一体的に形成されている。
該取付構成によって、支持フレーム43の側面はボックス状をなし、該支持フレーム43の剛性確保が容易になるとともに、支持フレーム43への前後のボルト固定を解除すれば、ベース部材74をまるごと取外すことが可能であるため、メンテナンス性が向上する。
また、このクラッチ操作機構68は、正面視において、脱穀装置5と前処理部3とが幅方向で重複する部分に配置される。さらに、該クラッチ操作機構68は、前処理部3の上記刈刃13の後方に位置するとともに、前処理部3における脱穀装置5の真正面近傍に配置され且つ扱深さを変更する扱深搬送体78の側方に配置されている。
該配置構成によって、クラッチ操作機構68は、前処理部3との干渉が低減される他、クラッチ操作機構68から脱穀装置3側の脱穀クラッチ66及びクラッチ操作機構68から前処理部3側の刈取クラッチ67に向けて、一直線状に最短で機械的に連結させることが可能になる。
ちなみに、前処理部3が2条刈である場合には、左右スライド移動可能に、走行機体2に支持されるが、クラッチ操作機構68が上記左右スライドの邪魔になることも防止される。一方、前処理部3が3条以上の刈取数である場合には、この前処理部3を左右スライドさせる機構は原則として搭載しない。
さらに、このクラッチ操作機構68の直上は、サイドパネル22の張出部29によって、略全体がカバーされた状態になるとともに、クラッチ操作機構68の前方及び側方は、該サイドパネルから吊下げ支持されたフレキシブルに変更可能なカバー体79によって、カバーされている。また、このカバー体79は、クラッチ操作機構68の他、変速操作検出センサ61及び断続操作検出センサ64等のセンサ類や、主変速側連係機構59や副変速側連係機構63等の機構等もカバーして保護し、泥水や藁屑等から保護している。
図11は、脱穀クラッチ、作業クラッチ及びクラッチ操作機構の構成を示す側面図である。脱穀クラッチ66は、上下揺動する作動アーム81の先端部に回転自在に支持され、作業アーム81の上下揺動によるテンションの付与の有無を切換えることによって、動力伝動が断続される。ちなみに、脱穀クラッチ66は、自身及び作動アーム81の自重によって、動力切断側に付勢されている。
作業クラッチ67は、前後揺動する作動アーム82の先端部に回転自在に支持され、作業アーム82の前後揺動によるテンションの付与の有無を切換えることによって、動力伝動が断続される。ちなみに、作業クラッチ67は、弾性部材83によって動力切断側に付勢されている。
クラッチ操作機構68は、制御ユニット69によって駆動が制御されるアクチュエータである電動モータ84と、電動モータ84からの回転動力がギヤボックス86を介してギヤ伝動されて回転作動するセクタギヤ87と、セクタギヤ87と同一支点で別体回動する作動アーム88と、作動アーム88と同一支点で一体回動する操作アーム89と、ポテンショメータから構成されて且つセクタギヤ87の少なくとも所定の範囲の回動位置を検出する断続状態検出センサ91と、これらの部材を支持する上述したベース部材74とを備えている。
セクタギヤ87には、ワイヤ等の脱穀側連係機構92を介して、脱穀クラッチ66の作動アーム81と機械的に連結されている。また、セクタギヤ87から側方に一体的に突出形成された操作ピン87aと、操作アーム89との接当によって、作動アーム88が回動され、この作動アーム88は、リンク機構93を介して、作動クラッチ67の作動アーム82と機械的に連結されている。
すなわち、セクタギヤ87の全作動範囲(脱穀クラッチ作動範囲)で、脱穀クラッチ66の作動アーム81が上下揺動され、セクタギヤ87の全作動範囲中における操作ピン87aと操作アーム98が接当する作動範囲(作業クラッチ作動範囲)で、作業クラッチ67の作動アーム82が前後揺動される。ちなみに、上記断続状態検出センサ91は、この作業クラッチ作動範囲内でのセンタギヤ87の回動位置は、少なくとも検出可能に構成されている。
そして、この脱穀クラッチ作動範囲及び作業クラッチ作動範囲を適切に設置することにより、脱穀クラッチ66と作業クラッチ67が共に切断される状態と、脱穀クラッチ66が接続され且つ作業クラッチ67の切断される状態と、脱穀クラッチ66と作業クラッチ67が共に接続される状態との切換を行い、この3つの状態を、断続状態検出センサ91によるセクタギヤ87の回動位置検知によって、検出させる。
ちなみに、この電動モータ84及び断続状態検出センサ91と、制御ユニッ69との電気的接続も、上記ハーネス71を介して配線によって、行われる。