JP2015105391A - 鉛フリーはんだ合金粉の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Inを含有する鉛フリーはんだ合金粉を、粒度分布の幅を狭く製造することができる鉛フリーはんだ合金粉の製造方法を提供する。
【解決手段】Agを3.0〜4.0質量%、Biを0.1〜1.0質量%、Inを4.0〜8.0質量%、Cuを0.25〜1.0質量%含有し、残部が不可避不純物を除いてSnである熔湯を、回転するディスク上に供給し、遠心力により噴霧させることによって粉末化する。
【選択図】図2
【解決手段】Agを3.0〜4.0質量%、Biを0.1〜1.0質量%、Inを4.0〜8.0質量%、Cuを0.25〜1.0質量%含有し、残部が不可避不純物を除いてSnである熔湯を、回転するディスク上に供給し、遠心力により噴霧させることによって粉末化する。
【選択図】図2
Description
本発明は、回路基板のリフロー実装時に部品と基板とを接合するのに用いるソルダーペーストの構成部材である鉛フリーはんだ合金粉の製造方法に関する。
近年の電子機器の高性能化に伴い、一枚の回路基板上に様々な機能を有する複数の電子部品を搭載することが求められ、回路基板の高集積化が進んでいる。
このような高集積回路基板の実装においては、表面実装(Surface MountTechnology, SMT)工法が用いられている。SMT工法は、はんだ合金粉を含むソルダーペーストを、基板表面に設けた基板電極上にスクリーン印刷により供給し、印刷したソルダーペースト上に電子部品を搭載後、はんだ合金の融点以上にリフロー加熱してソルダーペーストを溶融させて接合する工法である。
SMT工法で用いられるソルダーペーストは、通常、直径が100μm以下の数10μmの球形のはんだ合金粉と液状成分であるフラックスとで構成されている。
現在、はんだ合金粉としては、融点やはんだ付け性に加え、強度や長期信頼性が必要な用途で、Sn−3.5質量%Ag−0.5質量%Biの組成にさらにInを4〜8質量%含ませたSn−Ag−Bi−In系などの鉛フリーはんだ合金粉が使用されている。なお、この鉛フリーはんだ合金粉は、Ag、Bi、Inを含む以外に、不可避不純物元素を除いて残部はSnである。
このように、Inを4〜8質量%の範囲内で含むはんだ合金粉を使用することで、部品と基板との間に、強度や長期信頼性に優れたはんだ接合部を形成することができる。
ところで、一般的な鉛フリーはんだ合金粉の製造方法としては、遠心噴霧法が用いられている。
遠心噴霧法は、数万rpm程度の高速度で回転するディスク上に、融点より数十℃高い温度まで加熱して溶融させた合金の熔湯を、毎分数kg程度の割合で直径数mmのノズルから供給し、遠心力により噴霧、凝固させて粉末化する製法である。
鉛フリーはんだ合金粉の直径の分布である粒度分布は、印刷時の品質に大きな影響を及ぼす重要なパラメータである。
粒度分布の幅が広い場合、印刷量のばらつきが大きくなり、実装時の不良率の上昇や、実使用中の長期信頼性の低下などに繋がる。そのため、ソルダーペースト毎にはんだ合金粉について所定の粒度分布が規定されている。
ソルダーペーストに用いられる一般的なはんだ合金粉は、所定の粒度分布にするために、はんだ合金粉を製造した後に分級し、所定の粒度分布から外れた規格外の粒径のはんだ合金粉を除去して用いられている。
規格外の粒径のはんだ合金粉は使用できないため製造ロスとなり、収率の低下やエネルギーの浪費、コスト増加に繋がる。
そのため、はんだ合金粉の製造工程では、所定の平均粒径で粒度分布の幅をより狭くしたはんだ合金粉を製造することがエネルギー、コストの観点から必要である。
しかしながら、Sn−Ag−Bi−In系などのInを数質量%含有する鉛フリーはんだ合金粉を製造するにあたっては、ディスクへの熔湯の供給から噴霧、凝固までの工程において、凝固開始から完全に凝固するまでの時間が長く凝固挙動が不安定である。具体的には、飛び散った熔湯が、変形した状態で固相化したり、更なるサテライト等の微粒子を形成したり、飛び散った複数の熔湯同士が、互いに合一化することで直径が増加したりする。このようにして、Sn−Ag−Bi−In系の鉛フリーはんだ合金粉については、粒度分布の幅が広くなったり、球状でない異形粉が多く生成される傾向があり、収率面で問題があった。
従来、はんだ合金粉の製造方法として、はんだ合金粉を製造する途中で、ディスクの回転数を所定の回転数に対して±10%以内の範囲内を条件として上昇または下降させる制御を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来のはんだ合金粉の製造方法では、ディスクの回転数制御により製造中の平均粒径の変動をある程度制御することはできるが、粒度分布の幅を広げたり、狭めたりすることはできない。そこで、特にInを数質量%含有する鉛フリーはんだ合金粉では、共晶組成に近いはんだ合金粉と比較して粒度分布の幅が広くなるという課題があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、Inを含有する鉛フリーはんだ合金粉を、粒度分布の幅を狭く製造することができる鉛フリーはんだ合金粉の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る鉛フリーはんだ合金粉の製造方法は、Agを3.0〜4.0質量%、Biを0.1〜1.0質量%、Inを4.0〜8.0質量%、Cuを0.25〜1.0質量%含有し、残部が不可避不純物を除いてSnである熔湯を、回転するディスク上に供給し、遠心力により噴霧させることによって粉末化することを特徴とする。
前記鉛フリーはんだ合金粉の製造方法において、前記熔湯が、Cuを0.5〜0.75質量%含有することが好ましい。
前記鉛フリーはんだ合金粉の製造方法において、前記熔湯が、Agを3.5質量%、Biを0.5質量%含有することが好ましい。
本発明によれば、Inを含有する鉛フリーはんだ合金粉を、さらに所定量のCuを含有させることによって、粒度分布の幅を狭く製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明に係る鉛フリーはんだ合金粉の製造方法では、遠心噴霧法を使用する。この際、熔湯である金属溶融物としては、Sn、Ag、Bi、Inを含有する組成のはんだ合金粉に、さらに所定量のCuを含有させたものを用いる。はんだ合金粉を構成する各元素の好ましい含有率については後述する。なお、鉛フリーはんだ合金粉には、Pbは実質的には含有されない。また鉛フリーはんだ合金粉には、不可避的に不純物が含有され得るが、この不可避不純物は本発明の効果を損なわない範囲内であれば含有されていてもよい。不可避不純物の具体例としては、特に限定されないが、Sb、Ni、Zn、Al等が挙げられる。
Sn−Ag−Bi−In系はんだ合金に添加する元素としてCuを選定した理由は以下のとおりである。
まず、Sn−Ag−Bi−In系はんだ合金にCuを所定量添加すると、後述するように液相線温度を低くすることができるからである。
次に、Snと共晶組成を持つ他の元素と比較して、Sn−Ag−Bi−In系はんだ合金粉の機械的特性に大きな影響を及ぼさず、従来の方法で製造したSn−Ag−Bi−In系はんだ合金粉と同様のはんだ付け用途で用いることができるからである。
以上の理由から、Sn−Ag−Bi−In系はんだ合金に添加する元素としてCuが好ましい。
次に、Sn−Ag−Bi−In系はんだ合金にCuを添加することによる融点に対する影響について説明する。
図2はSn−Cu系合金に関するSn−Cu二元状態図である。
純Sn(Cu含有率0質量%)にCuを添加していくと、共晶組成であるSn−0.75質量%Cuに近づくため液相線温度が低くなり、液相線と固相線との間の幅が小さくなる。
さらにCuを添加していくと、共晶組成から離れて液相線温度が高くなり、Sn−1.0質量%Cu付近で純Snの液相線温度と同等になる。
このことから、Sn−Ag−Bi−In系はんだ合金においても、Cuを0.25〜1.0質量%添加するようにすれば、Sn−Cu系合金の共晶組成に近づけて、液相線と固相線との間の幅を小さくすることができる。
このように、液相線と固相線との間の幅を小さくすることで、凝固開始から完全に凝固するまでの時間が短くなるため、凝固挙動を安定化することができる。そして、凝固挙動が安定化することで、遠心噴霧法によりはんだ合金の各粒の直径を所望の値に近づけることが容易となり、粒度分布の狭いはんだ合金粉の収率を向上させることができる。
なお、Sn−Ag−Bi−In系はんだ合金にCuを1.0質量%を超えて添加する場合、液相線温度の上昇が著しく、はんだ付け時のリフロー加熱温度が上昇する。リフロー加熱温度の上昇は電子部品や回路基板の耐熱性に影響を及ぼすため、従来のSMT工法が適用できなくなり、Sn−Ag−Bi−In系はんだ合金粉として不適である。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
まず、Sn−Ag−Bi−In系はんだ合金として、Sn−3.5質量%Ag−0.5質量%Bi−6.0質量%Inを選定し、このはんだ合金にさらにCuを0.25〜1.5質量%添加した合金のインゴットを作製した。そして、このインゴットについて示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry, DSC)により、液相線及び固相線の温度を測定した。その結果を図3に示す。
Cuを含有しない場合(Cu含有率0質量%)、液相線温度は209℃、固相線温度は200℃であり、両者の差が9℃であったのに対し、Cu含有率を0.25質量%、0.5質量%、0.75質量%と含有することで液相線温度が低下し、これらのCu含有率で液相線温度と固相線温度との差はそれぞれ8℃、5℃、2℃と小さくなっていった。
しかしながら、Cu含有率が0.75質量%より大きくなると液相線温度は上昇に転じる。そして、Cu含有率が1.0質量%、1.25質量%の場合には、液相線と固相線との間の幅がそれぞれ7℃、19℃となり、Cu含有率が0.75質量%の場合と比較して大きくなることが確認された。
また、Cu含有率が1.25質量%の場合、液相線温度が219℃であり、Cu含有率が0質量%の場合の液相線温度209℃と比較して上昇することが確認された。
上記の結果から、Cu含有率を0.25〜1.0質量%に変化させたインゴットを作製し、このインゴットを溶融させることで熔湯を作製し、この熔湯を用いて遠心噴霧法による鉛フリーはんだ合金粉を製造した。
図1は遠心噴霧法を使用する際に適用可能な遠心噴霧装置1の一例を示すものである。遠心噴霧装置1は、チャンバ2を備えている。このチャンバ2内は必要に応じて排気して、窒素、アルゴン等の不活性ガスを充填できるようにしてある。チャンバ2内には、円盤状のディスク3が設置されている。このディスク3は、モーター4に接続されてその駆動により高速回転させることができるように構成されている。ディスク3の回転数は必要に応じて調整できるようにしてある。ディスク3の回転数を調整することによって、得ようとする鉛フリーはんだ合金粉の平均粒径を制御することができる。チャンバ2の天井部には、容器5が設けられている。この容器5は、熔湯6を貯留することができるように構成されている。熔湯6は、例えば溶融炉(図示省略)でインゴット等を溶融し、上記の容器5に導入される。あるいは容器5にヒーター(図示省略)を設けておき、容器5内にインゴット等を入れた後、ヒーターでこのインゴット等を加熱溶融して熔湯6を作製するようにしてもよい。容器5の底部にはノズル7が設けられている。このノズル7は、容器5内の熔湯6をディスク3の上面の中心に滴下して供給することができるように構成されている。ノズル7からの熔湯6の供給量は必要に応じて調整できるようにしてある。チャンバ2の底面には、回収部8が設けられている。この回収部8は、製造された鉛フリーはんだ合金粉を回収することができるように構成されている。
上記の遠心噴霧装置1を用いて、次のようにして各実施例及び比較例の鉛フリーはんだ合金を製造した。
表1〜表4に示す組成のはんだ合金7kgを270℃で加熱溶融して熔湯6を作製した。各実施例のはんだ合金は、Sn−Ag−Bi−In−Cu系であるが、各比較例のはんだ合金は、Cuを含有しないSn−Ag−Bi−In系である。なお、表1〜表4には、はんだ合金におけるAg、Bi、In、Cuの含有率を記載しており、残部は不可避不純物を除いてSnである。
上記の熔湯6を容器5に貯留し、チャンバ2内を排気すると共に、チャンバ2内に窒素を充填した。チャンバ2内を窒素雰囲気下にした後、容器5内の熔湯6をノズル7から1kg/分の供給量で、高速回転するディスク3の上面の中心に滴下して供給した。ディスク3としては、材質が炭素鋼であり、直径30mmの円盤状のものを用いた。ディスク3の回転数は、表1〜表4に示すように40000rpm又は50000rpmである。
ディスク3上に滴下された熔湯6は、遠心力によりディスク3の端縁から熔滴9となって噴霧され飛散した。飛散した熔滴9は、チャンバ2内の窒素により急冷されて凝固し、粉末化してチャンバ2の底面に落下して堆積した。この堆積した粉末が鉛フリーはんだ合金粉10であり、回収部8から回収した。
上記のようにして製造した鉛フリーはんだ合金粉について、レーザー回折粒度測定装置(日機装株式会社製「MT3300EX」)を用いて粒度分布を測定した。
粒度分布の測定結果より、平均粒径及び収率を算出し、粒度分布の幅の広さを評価した。なお、本明細書において平均粒径とは、積算粒子量が50%になる粒子径であるメディアン径(D50)を意味する。
表1に各実施例及び比較例のはんだ合金の組成と遠心噴霧の際のディスクの回転数、得られた鉛フリーはんだ合金粉の平均粒径及び収率を示す。
本実施形態における収率は、一般的なはんだ合金粉の粒度幅の規格が20μm程度であることから、製造された鉛フリーはんだ合金粉のうち、平均粒径±10μmの粒径であるはんだ合金粉の割合とした。
実施例1−1〜実施例1−4は、Sn−Ag−Bi−In−Cu系のはんだ合金において、Cu含有率を0.25〜1.0質量%の範囲内で変化させたものである。比較例1は、Cuを含有しないSn−Ag−Bi−In系のはんだ合金である。
図4は、遠心噴霧法により得られた実施例1−3及び比較例1の鉛フリーはんだ合金粉の粒度分布を図示したものである。
図4から明らかなように、比較例1に比べて実施例1−3の方が粒度分布の幅が狭くなっている。
実施例1−1〜実施例1−4及び比較例1の鉛フリーはんだ合金粉の平均粒径は同程度であるが、収率は各実施例の方が比較例1に比べて高いことから、各実施例の方が粒径分布の幅が狭いことが分かる。
さらに、各鉛フリーはんだ合金粉の品質を評価するため、実施例1−1〜実施例1−4及び比較例1をふるいにかけ、20〜40μmのはんだ合金粉に分級し、一般的なフラックス材料を、はんだ合金粉及びフラックス材料の合計に対して10質量%となるように混練して、ソルダーペーストを製造した。
上記のソルダーペーストを用い、厚さ150μmのメタルマスクを用いて、240℃ピーク温度のリフロー加熱により、10個の2125サイズのチップ抵抗を回路基板にSMT工法により実装した。
その結果、比較例1では、チップ抵抗の脇に数10μmのはんだボールの発生が見られた。このはんだボールは、電子機器の使用中の振動などにより脱離した場合に短絡の原因となり得る。
これに対して、実施例1−1及び実施例1−4では短絡の原因となり得るほどのはんだボールの発生は見られず、特に実施例1−2及び実施例1−3でははんだボールの発生はほとんど又は全く見られなかった。
上記の理由については、以下のように考えられる。
はんだボールは、ソルダーペーストの印刷時のバラツキやダレが影響して発生すると言われているが、特にはんだ合金粉の粒度分布の幅が広い場合に発生しやすい。
そのため、比較例1に比べて実施例1−1〜実施例1−4の方が収率が高く、粒度分布の幅が狭いはんだ合金粉であるため、印刷時のバラツキやダレが小さくなったと考えられる。
これらの結果から、Sn−Ag−Bi−In系のはんだ合金にさらにCuを0.25〜1.0質量%含有させることによって、液相線と固相線との間の幅を小さくすることが有効であることが確認された。さらにCu含有率を0.5〜0.75質量%にして液相線と固相線との間の幅を5℃以下にすることが好ましいことも確認された。
次に、鉛フリーはんだ合金粉の平均粒径を制御するパラメータであるディスクの回転数によらずに、本発明の効果である粒度分布の幅が狭い鉛フリーはんだ合金粉を製造できることを次のようにして確認した。すなわち、実施例1−3におけるディスクの回転数を40000rpmに変化させて、鉛フリーはんだ合金粉(実施例2)を製造した。
また、比較例2として、実施例2においてCuを含有させないようにした鉛フリーはんだ合金粉も製造した。
表2に実施例2及び比較例2のはんだ合金の組成と遠心噴霧の際のディスクの回転数、得られた鉛フリーはんだ合金粉の平均粒径及び収率を示す。
実施例1−3では平均粒径が33.5μmであったのに対して、実施例2では平均粒径が40.4μmとなり、ディスクの回転数を調整することによって平均粒径を制御することができることが確認できた。すなわち、ディスクの回転数を上げると、平均粒径の小さな鉛フリーはんだ合金粉が得られ、ディスクの回転数を下げると、平均粒径の大きな鉛フリーはんだ合金粉が得られる。
実施例2及び比較例2の鉛フリーはんだ合金粉の平均粒径は同程度であるが、収率は実施例2の方が高いことから、粒径分布の幅も狭いことが分かる。
さらに上記と同様にして、各鉛フリーはんだ合金粉の品質を評価した。その結果、比較例2では、チップ抵抗の脇に数10μmのはんだボールの発生が見られた。
これに対して、実施例2では見られなかった。
以上の実施例から、ディスクの回転数を調整することによって、所望の平均粒径(特に100μm以下)の鉛フリーはんだ合金粉を粒度分布の幅を狭くして製造できることが確認された。
次に、実施例1−1〜実施例1−4及び比較例1において、In含有率を4.0質量%に変更した場合の鉛フリーはんだ合金粉(実施例3−1〜実施例3−4及び比較例3)を製造した。
表3に、実施例3−1〜実施例3−4及び比較例3のはんだ合金の組成と遠心噴霧の際のディスクの回転数、得られた鉛フリーはんだ合金粉の平均粒径及び収率を示す。
実施例3−1〜実施例3−4及び比較例3の鉛フリーはんだ合金粉の平均粒径は同程度であるが、収率は各実施例の方が比較例3に比べて高いことから、各実施例の方が粒径分布の幅が狭いことが分かる。
さらに上記と同様にして、各鉛フリーはんだ合金粉の品質を評価した。その結果、比較例3では、チップ抵抗の脇に数10μmのはんだボールの発生が見られた。
これに対して、実施例3−1及び実施例3−4では短絡の原因となり得るほどのはんだボールの発生は見られず、特に実施例3−2及び実施例3−3でははんだボールの発生はほとんど又は全く見られなかった。
この結果から、In含有率が4.0質量%の場合でも、Cuを0.25〜1.0質量%含有させることで、同様に粒度分布の幅を狭くして、鉛フリーはんだ合金粉を製造することができることが確認された。
次に、実施例1−1〜実施例1−4及び比較例1において、In含有率を8.0質量%に変更した場合の鉛フリーはんだ合金粉(実施例4−1〜実施例4−4及び比較例4)を製造した。
表4に、実施例4−1〜実施例4−4及び比較例4のはんだ合金の組成と遠心噴霧の際のディスクの回転数、得られた鉛フリーはんだ合金粉の平均粒径及び収率を示す。
実施例4−1〜実施例4−4及び比較例4の鉛フリーはんだ合金粉の平均粒径は同程度であるが、収率は各実施例の方が比較例4に比べて高いことから、各実施例の方が粒径分布の幅が狭いことが分かる。
さらに上記と同様にして、各鉛フリーはんだ合金粉の品質を評価した。その結果、比較例4では、チップ抵抗の脇に数10μmのはんだボールの発生が見られた。
これに対して、実施例4−1及び実施例4−4では短絡の原因となり得るほどのはんだボールの発生は見られず、特に実施例4−2及び実施例4−3でははんだボールの発生はほとんど又は全く見られなかった。
以上の結果から、In含有率が4.0〜8.0質量%の場合には、Cuを0.25〜1.0質量%含有させることで、粒度分布の幅を狭くして、鉛フリーはんだ合金粉を製造することができることが確認された。
また、本実施形態で製造した鉛フリーはんだ合金粉を用いてはんだ付けを行ったところ、強度、耐熱性などのはんだ接合部の信頼性に関わる特性について低下は見られなかった。具体的にはJISZ2241に準拠した引張試験において引張強さを評価した。このことから従来のInを4〜8質量%含有するSn−Ag−Bi−In系はんだ合金と同様の用途で使用することができることが確認できた。
また、本実施形態において、鉛フリーはんだ合金粉において、Ag含有率を3.5質量%、Bi含有率を0.5質量%としたが、Ag含有率は3.0〜4.0質量%、Bi含有率は0.1〜1.0質量%の範囲内であればよい。この範囲内であれば、鉛フリーはんだ合金粉の融点、はんだ付け性、信頼性などには影響しない。
また、本実施形態において、Sn−Ag−Bi−In系にCuを加えた5元系の鉛フリーはんだ合金粉について説明したが、本発明の効果を損なわない範囲内でさらに他の元素を含有する6元系以上の鉛フリーはんだ合金粉としてもよい。
平均粒径が20〜50μmの鉛フリーはんだ合金粉を製造できる点で、ディスクの回転数は30000〜60000rpmであることが好ましく、より好ましくは40000〜50000rpmである。そのため本実施形態では、ディスクの回転数は40000〜50000rpmとした。
従来、Sn−Ag−Bi−In系のはんだ合金は、強度や長期信頼性に優れたはんだ接合部を形成できるという利点があるが、遠心噴霧法を利用しても、粒度分布の幅の狭いものが得られないという欠点があった。
しかし、本願の発明者らは、上述のようにSn−Ag−Bi−In系のはんだ合金にさらにCuを0.25〜1.0質量%含有させることで、液相線と固相線との間の幅を小さくすることができることを見出した。そして、使用する鉛フリーはんだ合金粉の液相線と固相線との違い、すなわち液相から固相に至るまでの温度域が狭いことを利用して、凝固挙動が安定化することを確認した。これにより、遠心噴霧法において、飛び散った熔湯が、変形した状態で固相化したり、更なるサテライト等の微粒子を形成したり、飛び散った複数の熔湯同士が互いに合一化することで直径が増加することを抑えることができる。
しかもSn−Ag−Bi−In系のはんだ合金にCuを含有させる場合、その含有率を0.25〜1.0質量%とすれば、共晶組成に近づき、はんだ合金の接合時及び接合後の特性を大きく変化させることなく、液相線と固相線との間の幅を小さくすることができる。
このように、本発明によれば、Inを数%含有する鉛フリーはんだ合金粉を、さらに所定量のCuを含有させることによって、粒度分布の幅を狭く製造することができる。
本発明によれば、平均粒径100μm以下の粒度分布の幅の狭い鉛フリーはんだ合金粉を製造することができ、ソルダーペーストに用いるはんだ合金粉の製造方法や、その他の用途のはんだ合金粉の製造方法にも適用できる。
3 ディスク
6 熔湯
10 鉛フリーはんだ合金粉
6 熔湯
10 鉛フリーはんだ合金粉
本発明に係る鉛フリーはんだ合金粉の製造方法は、Agを3.0〜4.0質量%、Biを0.1〜1.0質量%、Inを4.0〜8.0質量%、Cuを0.25〜1.0質量%含有し、残部が不可避不純物を除いてSnの合金のインゴットであり、かつ液相線温度と固相線温度の温度差ΔT(℃)が0<ΔT<7を満たす前記インゴットを溶融させることで熔湯を作製し、前記熔湯を、回転するディスク上に供給し、遠心力により噴霧させることによって粉末化することを特徴とする。
前記鉛フリーはんだ合金粉の製造方法において、前記インゴットの液相線温度と固相線温度の温度差ΔT(℃)が0<ΔT≦5を満たすことが好ましい。
前記鉛フリーはんだ合金粉の製造方法において、前記インゴットが、Agを3.5質量%、Biを0.5質量%、Cuを0.5〜0.75質量%含有することが好ましい。
Claims (3)
- Agを3.0〜4.0質量%、Biを0.1〜1.0質量%、Inを4.0〜8.0質量%、Cuを0.25〜1.0質量%含有し、残部が不可避不純物を除いてSnである熔湯を、回転するディスク上に供給し、遠心力により噴霧させることによって粉末化することを特徴とする鉛フリーはんだ合金粉の製造方法。
- 前記熔湯が、Cuを0.5〜0.75質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の鉛フリーはんだ合金粉の製造方法。
- 前記熔湯が、Agを3.5質量%、Biを0.5質量%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の鉛フリーはんだ合金粉の製造方法。
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