JP2015103431A - 試料導入装置および荷電粒子線装置 - Google Patents

試料導入装置および荷電粒子線装置 Download PDF

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Abstract

【課題】容易に試料を試料室に導入することができる試料導入装置、および荷電粒子線装置を提供する。
【解決手段】試料導入装置100は、予備排気室2と、試料ホルダー10と、試料ホルダー10を移動させる駆動部30と、制御部90と、を含み、制御部90は、駆動部30を制御して、試料保持部12が予備排気室2に位置している状態の試料ホルダー10を支持するように支持部20を移動させて停止させる第1処理と、支持部20が停止した位置に基づいて、試料保持部12を試料室1に移動させることが可能か否かを判定する第2処理と、試料保持部12を試料室1に移動可能と判定した場合に、試料保持部12が予備排気室2から試料室1に移動するように、試料ホルダー10を支持した支持部20を移動させる第3処理と、を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、試料導入装置および荷電粒子線装置に関する。
透過電子顕微鏡等の荷電粒子線装置では、一般的に、観察や分析の対象となる試料は、試料ホルダーによって保持される。試料ホルダーを透過電子顕微鏡の試料室に挿入することにより、試料ホルダーに保持されている試料は試料室に導入される(例えば特許文献1参照)。
ここで、透過電子顕微鏡の試料室は真空状態である。そのため、試料ホルダーを試料室に挿入する際には、試料室と外部との圧力差によって、試料ホルダーには試料室に引き込まれる力が加わる。この引き込まれる力が試料ホルダーに加わることによって、試料ホルダーが試料室に急激に引き込まれて、試料ホルダーに保持されている試料の破損や、試料室の真空度の悪化等を招く恐れがある。したがって、ユーザーは、試料ホルダーが試料室に急激に引き込まれないように試料ホルダーを支持しながら、試料ホルダーを試料室に挿入しなければならない。
特開平8−293278号公報
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、容易に試料を試料室に導入することができる試料導入装置を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記試料導入装置を含む荷電粒子線装置を提供することにある。
(1)本発明に係る試料導入装置は、
荷電粒子線装置の試料室に試料を導入するための試料導入装置であって、
予備排気を行うための予備排気室と、
前記試料を保持可能な試料保持部を有する試料ホルダーと、
前記試料ホルダーを移動させる駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記駆動部を制御して、前記試料保持部が前記予備排気室に位置している状態の前記試料ホルダーを支持するように支持部を移動させて停止させる第1処理と、
前記支持部が停止した位置に基づいて、前記試料保持部を前記試料室に移動させることが可能か否かを判定する第2処理と、
前記試料保持部を前記試料室に移動可能と判定した場合に、前記駆動部を制御して、前記試料保持部が前記予備排気室から前記試料室に移動するように、前記試料ホルダーを支持した前記支持部を移動させる第3処理と、
を行う。
このような試料導入装置では、例えば長さが適切でない試料ホルダーが試料室に導入さ
れることを防ぐことができる。したがって、例えば長さが適切でない試料ホルダーが試料室に導入されることによって、荷電粒子線装置の構成部材(ゴニオメーターや、対物レンズを構成しているポールピース等)が破壊されることを防ぐことができる。
さらに、このような試料導入装置では、試料保持部が予備排気室から試料室に移動するように、試料ホルダーを支持する支持部を移動させる駆動部を含んで構成されているため、容易に試料を試料室に導入することができる。
(2)本発明に係る試料導入装置において、
前記制御部は、
前記第1処理において前記支持部が所定の位置で停止した場合に、前記試料保持部を前記試料室に移動させることが可能と判定し、
前記第1処理において前記支持部が前記所定の位置で停止しなかった場合に、前記試料保持部を前記試料室に移動させることができないと判定してもよい。
このような試料導入装置では、例えば長さが適切でない試料ホルダーが試料室に導入されることを防ぐことができる。
(3)本発明に係る試料導入装置において、
前記試料ホルダーは、切欠き部を有し、
前記支持部は、前記試料ホルダーを支持したときに、前記切欠き部に嵌め合わされる嵌合部を有していてもよい。
このような試料導入装置では、例えば試料ホルダーに切欠き部がない場合に対して、支持部が試料ホルダーを支持する位置(所定の位置)を異ならせることができる。したがって、例えば誤って切欠き部がない試料ホルダー(適切でない試料ホルダー)が試料室に導入されることを防ぐことができる。
(4)本発明に係る試料導入装置において、
前記試料ホルダーの前記切欠き部は、2つ設けられ、
2つの前記切欠き部は、前記試料ホルダーの軸に関して対称に設けられていてもよい。
このような試料導入装置では、支持部は試料ホルダーをバランスよく支持することができる。
(5)本発明に係る試料導入装置において、
前記駆動部は、前記支持部に接続されたエアーシリンダーを有し、
前記制御部は、前記第1処理において、前記エアーシリンダー内の圧力に基づいて、前記支持部を停止させてもよい。
このような試料導入装置では、制御部は支持部に試料ホルダーを支持させることができる。
(6)本発明に係る試料導入装置において、
前記駆動部は、前記支持部に接続されたエアーシリンダーを有し、
前記制御部は、前記第1処理において、前記エアーシリンダーにおける気体の流量に基づいて、前記支持部を停止させてもよい。
このような試料導入装置では、制御部は支持部に試料ホルダーを支持させることができる。
(7)本発明に係る試料導入装置において、
前記駆動部は、前記第3処理において前記試料室と外部との圧力差によって前記試料ホルダーに加わる第1の力とは反対方向の力であって、前記第1の力よりも小さい第2の力を前記試料ホルダーに作用させてもよい。
このような試料導入装置では、試料室と外部(大気圧)との圧力差によって試料ホルダーに加わる第1の力によって試料ホルダーが試料室に急激に引き込まれることを防ぐことができる。
(8)本発明に係る試料導入装置において、
前記試料ホルダーを回転させるゴニオメーターと、
前記予備排気室と前記試料室とを隔てる仕切弁と、
を含み、
前記制御部は、さらに、前記ゴニオメーターを回転させて、前記仕切弁を開く処理を行ってもよい。
このような試料導入装置では、容易に試料を試料室に導入することができる。
(9)本発明に係る試料導入装置において、
前記駆動部は、さらに、前記試料保持部が前記試料室から前記予備排気室に移動するように、前記試料ホルダーを移動させてもよい。
このような試料導入装置では、容易に、試料を試料室から予備排気室に移動させることができる。したがって、容易に、試料を試料室から取り出すことができる。
(10)本発明に係る荷電粒子線装置は、
本発明に係る試料導入装置を含む。
このような荷電粒子線装置によれば、本発明に係る試料導入装置を含むため、容易に試料を試料室に導入することができる。
本実施形態に係る荷電粒子線装置の構成を説明するための図。 本実施形態に係る試料導入装置の構成を説明するための図。 本実施形態に係る試料導入装置の試料ホルダーを模式的に示す斜視図。 本実施形態に係る試料導入装置の支持部を模式的に示す平面図。 本実施形態に係る試料導入装置の支持部、ロッド、および試料ホルダーを模式的に示す斜視図。 本実施形態に係る試料導入装置のエアーシリンダーを模式的に示す断面図。 本実施形態に係る試料導入装置の動作を説明するための模式図。 本実施形態に係る試料導入装置の動作を説明するための模式図。 本実施形態に係る試料導入装置の動作を説明するための模式図。 本実施形態に係る試料導入装置の動作を説明するための模式図。 本実施形態に係る試料導入装置の動作を説明するための模式図。 本実施形態に係る試料導入装置の制御部の処理の一例を示すフローチャート。 本実施形態に係る試料導入装置の制御部の処理の一例を示すフローチャート。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.荷電粒子線装置の構成
まず、本実施形態に係る荷電粒子線装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る荷電粒子線装置1000の構成を説明するための模式図である。
本実施形態に係る荷電粒子線装置1000は、本発明に係る試料導入装置を含む。ここでは、荷電粒子線装置が、本実施形態に係る試料導入装置100を含んで構成されている場合について説明する。なお、図1では、試料導入装置100を簡略化して図示している。
荷電粒子線装置1000は、図1に示すように、電子線源1001と、集束レンズ1002と、試料導入装置100と、対物レンズ1004と、中間レンズ1005と、投影レンズ1006と、撮像部1008と、鏡筒1010と、を含んで構成されている。ここでは、荷電粒子線装置1000が、透過電子顕微鏡(TEM)である例について説明する。なお、図1では、試料ホルダー10が試料室1に挿入されている状態、すなわち試料保持部12(試料S)が試料室1に位置している状態を図示している。
電子線源(荷電粒子線源)1001は、電子線EBを発生させる。電子線源1001は、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線EBを放出する。電子線源1001として、公知の電子銃を用いることができる。電子線源1001として用いられる電子銃は特に限定されず、例えば熱電子放出型や、熱電界放出型、冷陰極電界放出型などの電子銃を用いることができる。
集束レンズ1002は、電子線源1001の後段に配置されている。集束レンズ1002は、電子線源1001で発生した電子線EBを集束して、試料Sに照射するためのレンズである。集束レンズ1002は、例えば、複数のレンズ(図示せず)を含んで構成されていてもよい。
試料室1には、試料ホルダー10によって試料Sが保持されている。試料室1は、鏡筒1010内の空間である。試料室1は、真空状態に維持される。ここで真空状態とは、大気よりも圧力の低い状態をいう。試料室1において、試料Sに荷電粒子線(電子線EB)が照射される。
試料導入装置100は、試料Sを試料室1に導入するための装置である。試料導入装置100は、試料ホルダー10を移動させて、試料Sを保持する試料保持部12を予備排気室2から試料室1に移動させることができる。また、試料導入装置100は、試料ホルダー10を移動させて、試料保持部12を試料室1から予備排気室2に移動させることができる。
試料導入装置100は、試料Sを試料室1に保持し、試料室1における試料Sの位置決めを行う試料ステージとしても機能する。図示の例では、試料導入装置100は、対物レンズ1004の横から試料ホルダー10(試料S)を挿入するサイドエントリーステージを構成している。試料導入装置100の詳細については後述する。
対物レンズ1004は、集束レンズ1002の後段に配置されている。対物レンズ10
04は、試料Sを透過した電子線EBで結像するための初段のレンズである。
対物レンズ1004は、図示はしないが、上部磁極(ポールピースの上極)、および下部磁極(ポールピースの下極)を有している。対物レンズ1004では、上部磁極と下部磁極との間に磁場を発生させて電子線EBを集束させる。上部磁極と下部磁極とは、試料保持部12を挟んで配置されている。すなわち、試料Sは、上部磁極と下部磁極との間に配置される。試料室1は、上部磁極と下部磁極との間の空間を含む。
中間レンズ1005は、対物レンズ1004の後段に配置されている。投影レンズ1006は、中間レンズ1005の後段に配置されている。中間レンズ1005および投影レンズ1006は、対物レンズ1004によって結像された像をさらに拡大し、撮像部1008上に結像させる。
撮像部1008は、投影レンズ1006によって結像された像(電子顕微鏡像または電子回折図形)を撮影する。撮像部1008は、例えば、デジタルカメラである。撮像部1008は、撮影した電子顕微鏡像や電子回折図形の情報を出力する。撮像部1008が出力した電子顕微鏡像や電子回折図形の情報は、画像処理部(図示せず)で処理されて表示部(図示せず)に表示される。表示部は、例えば、CRT、LCD、タッチパネル型ディスプレイなどである。
荷電粒子線装置1000は、図示の例では、除振機1011を介して架台1012上に設置されている。
図2は、試料導入装置100を模式的に示す図である。図2では、試料導入装置100を上方から(電子線EBの進行方向に向かって)見た模式図である。なお、図2では、試料ホルダー10が試料室1に挿入されている状態を図示している。
試料導入装置100は、図2に示すように、予備排気室2と、試料ホルダー10と、支持部20と、駆動部30と、ゴニオカバー40と、ゴニオメーター50と、試料ホルダー挿入管60と、仕切弁(バルブ)70と、レバー80と、制御部90(図1参照)と、を含んで構成されている。
予備排気室2は、試料ホルダー10を試料室1に導くために予備排気を行うための空間である。予備排気とは、試料Sを試料室1に導入する際に、予備排気室2を所与の圧力まで排気することをいう。予備排気を行うことで、試料室1の真空度の低下を抑制しつつ、試料Sを試料室1に導入することができる。
予備排気室2は、大気圧から所与の圧力まで排気されることができる。例えば、予備排気室2は、バルブ(図示せず)を介して、真空排気装置に接続されており、このバルブを開くことにより、予備排気室2は排気される。例えば、ユーザーが、ゴニオカバー40に設けられている試料ホルダー交換スイッチ49を押すことで、予備排気が開始される。
予備排気室2は、試料ホルダー挿入管60内の空間である。予備排気室2と試料室1とは、仕切弁70を介して接続されている。予備排気室2は、仕切弁70を開くことにより、試料室1と連通する。仕切弁70は、試料室1と予備排気室2とを隔てるための真空隔壁として用いられる真空弁である。仕切弁70は、ゴニオメーター50に固定されたギヤ72に固定されており、試料ホルダー挿入管60を回転させることによりギヤ72が回転し、仕切弁70が開閉する。
図3は、試料ホルダー10を模式的に示す斜視図である。
試料ホルダー10は、棒(ロッド)状の部材である。試料ホルダー10は、試料保持部12と、シャフト部13と、グリップ部14と、を含んで構成されている。
シャフト部13の長手方向の一方の端部には、試料保持部12が設けられている。また、シャフト部13の長手方向の他方の端部には、グリップ部14が設けられている。試料保持部12は、試料Sを保持することができる。試料保持部12は、図示はしないが、試料Sをネジの締め付けによって固定してもよいし、試料Sをばねにより押し付けて固定してもよい。グリップ部14は、例えば、ユーザーが試料ホルダー10を把持するための部分である。グリップ部14の径は、シャフト部13の径よりも大きい。
グリップ部14には、図3に示すように、切欠き部15が設けられている。切欠き部15は、グリップ部14のシャフト部13側の面に設けられている。切欠き部15と嵌合部24が嵌め合わされることによって、試料ホルダー10は支持部20によって支持される。
切欠き部15は、図示の例では、2つ設けられている。2つの切欠き部15は、試料ホルダー10の軸(試料ホルダー10の中心軸)に関して対称に設けられている。すなわち、2つの切欠き部15は、試料ホルダー10の軸に直交する直線上に配置されており、当該軸との距離が互いに等しい。
切欠き部15は、試料ホルダー10が支持部20によって支持されたときに、支持部20の嵌合部24と嵌め合わせることができるように形成されている。切欠き部15は、試料ホルダー10において、支持部20と接する部分である。切欠き部15を構成する面が嵌合部24を構成する面と接することで、試料ホルダー10は支持部20で支持される。
なお、図示の例では、切欠き部15が2つ設けられているが切欠き部15の数は特に限定されず、例えば1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
図2の例では、試料室1と外部(大気圧)との圧力差によって、試料ホルダー10には試料室1に引き込まれる力が作用している。試料ホルダー10は、この力によってレバー80に押しつけられている。レバー80は、軸82を回転中心とするてこ式のレバーである。レバー80は、例えば、モーター(図示せず)の駆動により動作することができる。レバー80によって、試料ホルダー10を試料ホルダー10の軸方向に移動させることができる。
支持部20は、試料ホルダー10を支持することができる。支持部20は、試料ホルダー10の試料保持部12、シャフト部13を通すための貫通孔22が設けられた板状の部材である。支持部20は、駆動部30に接続されている。支持部20は、駆動部30のロッド31に固定されている。支持部20は、ロッド31の直線運動に伴って、直線的に移動する。図2の例では、支持部20は、初期位置P1に位置しているが、支持部20は、ロッド31の直線運動により、初期位置P1から、位置P2(図8参照)、位置P3(図10参照)、位置P4(図9参照)に移動することができる。これにより、試料保持部12(試料S)を予備排気室2から試料室1に移動させたり、試料保持部12を試料室1から予備排気室2に移動させたりすることができる。
図4は、支持部20を模式的に示す平面図である。
支持部20には、図4に示すように、嵌合部24が設けられている。嵌合部24は、支持部20が試料ホルダー10を支持したときに、試料ホルダー10の切欠き部15に嵌め
合わされるように設けられている。嵌合部24の数は、試料ホルダー10の切欠き部15の数と等しい。図示の例では、2つの切欠き部15に対応して2つの嵌合部24が設けられている。嵌合部24は、貫通孔22の中心に関して対称に設けられている。嵌合部24は、例えば、貫通孔22を規定する支持部20の面の一部が突出した部分である。
駆動部30は、支持部20を移動させることによって支持部20に支持された試料ホルダー10を移動させる。本実施形態では、駆動部30は、エアーシリンダー30aと、エアーシリンダー30aに圧縮空気を供給する供給部(圧縮空気供給ユニット、図示せず)と、を含んで構成されている。エアーシリンダー30aは、例えば、圧縮空気のエネルギーを直線運動に変換する機械要素である。エアーシリンダー30aは、ロッド31を有しており、支持部20は、ロッド31に接続されている。エアーシリンダー30aが伸縮することによってロッド31が直線運動し、支持部20を移動させることができる。
図5は、支持部20、ロッド31、および試料ホルダー10を模式的に示す斜視図である。なお、図5は、試料ホルダー10が予備排気室2に挿入されている状態における、支持部20、ロッド31、および試料ホルダー10を図示している。
試料導入装置100は、4つのエアーシリンダー30aを有しており、図5に示すように、この4つのエアーシリンダー30aのロッド31が支持部20に接続されている。
図6は、エアーシリンダー30aを模式的に示す断面図である。エアーシリンダー30aは、ロッド31と、シリンダーチューブ302と、ピストン303と、第1ポート304と、第2ポート306と、を含んで構成されている。
エアーシリンダー30aでは、ロッド31の端部に設けられたピストン303がシリンダーチューブ302内を区画することによって、第1圧力室308aおよび第2圧力室308bが形成されている。第1圧力室308aでは、第1ポート304によって圧縮空気の供給、排気が行われる。第2圧力室308bでは、第2ポート306によって圧縮空気の供給、排気が行われる。
エアーシリンダー30aでは、供給部(圧縮空気供給ユニット)から送り込まれた圧縮空気を第1ポート304から第1圧力室308aに供給すると、第1圧力室308aが加圧され、ロッド31が伸びる。一方、供給部から送り込まれた圧縮空気を第2ポート306から第2圧力室308bに供給すると、第2圧力室308bが加圧され、ロッド31が縮退する。
駆動部30に空気を供給する供給部は、第1圧力室308aの圧力および第2圧力室308bの圧力を測定する圧力計を有している。後述する制御部90は、当該圧力計の測定結果から、第1圧力室308aの圧力の情報および第2圧力室308bの圧力の情報を取得している。
ここで、ロッド31を伸ばして支持部20を移動させている際に、支持部20と試料ホルダー10とが接触して、試料ホルダー10が支持部20によって支持されると、第1圧力室308aの圧力が上昇する。そのため、後述するように、制御部90は、試料ホルダー10を支持するように支持部20を移動させる処理において、第1圧力室308aの圧力が所定の圧力以上になった場合に、支持部20が試料ホルダー10を支持したものとして、支持部20の移動を停止させる。
駆動部30は、試料保持部12が予備排気室2から試料室1に移動するように、支持部20を移動させる。このとき、駆動部30は、試料室1と外部(大気圧)との圧力差によ
って試料ホルダー10に加わる力F1とは反対方向の力であって、力F1より小さい力F2を、試料ホルダー10に作用させる(図10参照)。これにより、試料ホルダー10が急激に試料室1に引き込まれることを防ぐことができ、試料ホルダー10を所望の速度で移動させて、試料保持部12を予備排気室2から試料室1に移動させることができる。
また、駆動部30は、試料保持部12が試料室1から予備排気室2に移動するように、支持部20を移動させる。このとき、駆動部30は、力F1とは反対方向の力であって、力F1より大きい力F3を、試料ホルダー10に作用させる(図11参照)。これにより、試料ホルダー10が急激に試料室1に引き込まれることを防ぐことができ、試料ホルダー10を所望の速度で移動させて、試料保持部12を試料室1から予備排気室2に移動させることができる。
エアーシリンダー30aには、支持部20の位置を検出するためのセンサー32,34,35,36が設けられている。
センサー32は、支持部20が、試料ホルダー10を支持する位置P2(図8参照)に位置しているか否かを検出するためのセンサーである。センサー32は、例えば、ロッド31の長さが、支持部20が位置P2に位置する長さになったときに検出信号を出力する。
センサー34は、支持部20が、初期位置P1(図7参照)に位置しているか否かを検出するためのセンサーである。センサー34は、例えば、ロッド31の長さが、支持部20が初期位置P1に位置する長さになったときに検出信号を出力する。
センサー35は、支持部20が、試料保持部12が試料室1に導入される位置P4(図9参照)に位置しているか否かを検出するためのセンサーである。センサー35は、例えば、ロッド31の長さが、支持部20が位置P4に位置する長さになったときに検出信号を出力する。
センサー36は、支持部20が、試料ホルダー10のピン16が試料ホルダー挿入管60の溝に移動する位置P3(図10参照)に位置しているか否かを検出するためのセンサーである。センサー36は、例えば、ロッド31の長さが、支持部20が位置P3に位置する長さになったときに検出信号を出力する。
センサー32,34,35,36の検出位置を調整することで、支持部20の移動範囲(位置P1、位置P2、位置P3、位置P4)を設定することができる。
ゴニオメーター50は、試料ホルダー挿入管60に挿入された試料ホルダー10を回転(傾斜)させることができる。ゴニオメーター50が試料ホルダー10を回転(傾斜)させることにより、試料保持部12が回転(傾斜)し、試料Sを電子線EBに対して傾斜させることができる。ゴニオメーター50は、制御部90(図1参照)によって制御される。また、ゴニオメーター50の回転角度(傾斜角度)の検出は、ポテンショメーター(図示せず)によって行われる。なお、ゴニオメーター50の回転角度(傾斜角度)の検出は、エンコーダー等の回転を検出可能な検出器で行ってもよい。
ゴニオメーター50には、予備排気可否センサー94が設けられている。予備排気可否センサー94は、予備排気を行うことが可能か否かを判定するためのセンサーである。予備排気可否センサー94は、試料ホルダー10から突出しているピン16(図3参照)によって押されることで予備排気が可能と判定する。
ゴニオカバー40は、試料ホルダー10、支持部20、駆動部30、およびゴニオメーター50を収容する容器である。ゴニオカバー40は、蓋部42と筐体44とで構成されている。蓋部42は、開閉可能に設けられている。蓋部42には、蓋部42の開閉を検知するための開閉検知センサー46が設けられている。また、蓋部42および筐体44には、蓋部42を閉じた状態で固定するためのフック48が設けられている。また、ゴニオカバー40には、制御部90の処理を開始させるための試料ホルダー交換スイッチ49が設けられている。
制御部90は、駆動部30およびゴニオメーター50を制御して、試料ホルダー10の試料保持部12を予備排気室2から試料室1に移動させる試料導入処理を行う。さらに、制御部90は、駆動部30およびゴニオメーター50を制御して、試料ホルダー10の試料保持部12を試料室1から予備排気室2に移動させる試料取り出し処理を行うことができる。
制御部90は、試料導入処理において、駆動部30を制御して、試料保持部12が予備排気室2に位置している状態の試料ホルダー10を支持するように支持部20を移動させて停止させる第1処理と、支持部20が停止した位置に基づいて、試料保持部12を試料室1に移動させることが可能か否かを判定する第2処理と、試料保持部12を試料室1に移動可能と判定した場合に、試料保持部12が予備排気室2から試料室1に移動するように、試料ホルダー10を支持した支持部20を移動させる第3処理と、を行う。
制御部90は、第1処理では、駆動部30を制御して、初期位置P1(図7参照)から支持部20を移動させて、エアーシリンダー30a内の圧力に基づいて、支持部20を停止させる。具体的には、制御部90は、第1圧力室308aの圧力が所定の値以上になった場合に、支持部20の移動を停止させる。これにより、支持部20によって試料ホルダー10を支持することができる。
制御部90は、上述のように、支持部20が停止した位置に基づいて、試料保持部12を試料室1に移動させることが可能か否かを判定する第2処理を行う。
例えば、荷電粒子線装置の試料ホルダーには様々な種類があり、試料ホルダーの長さや、形状が異なるものがある。試料導入装置100では、長さや形状が適切でない試料ホルダーを試料室1に導入した場合、ゴニオメーター50や、対物レンズ1004を構成しているポールピース等を破壊してしまう場合がある。そのため、試料導入装置100では、第2処理において、制御部90が試料ホルダーを試料室1に導入可能か否か、すなわち、試料保持部12を試料室1に移動させることが可能か否かを判定する。
具体的には、制御部90は、第2処理では、第1処理において支持部20が位置P2(所定の位置)で停止した場合に、試料保持部12を試料室1に移動させることが可能と判定する。一方、制御部90は、支持部20が位置P2で停止しなかった場合に、試料保持部12を試料室1に移動させることができないと判定する。
なお、位置P2は、試料保持部12が予備排気室2に位置している状態の試料ホルダー10(長さや形状が適切な試料ホルダー)の切欠き部15の位置に設定されている。すなわち、位置P2は、試料保持部12が予備排気室2に位置している状態の試料ホルダー10(長さや形状が適切な試料ホルダー)が、第1処理において、支持部20に支持される位置である。第1処理において、位置P2は、試料ホルダー10の切欠き部15と支持部20の嵌合部24とが嵌め合わされる位置である。位置P2は、センサー32の位置によって設定される。
制御部90は、例えば、支持部20を停止させたときに、センサー32からの出力信号が入力された場合には、試料保持部12を試料室1に移動させることが可能と判定する。一方、制御部90は、支持部20を停止させたときに、センサー32からの出力信号が入力されなかった場合には、試料保持部12を試料室1に移動させることができないと判定する。
制御部90は、第3処理では、試料保持部12を試料室1に移動可能と判定した場合に、試料保持部12が予備排気室2から試料室1に移動するように、試料ホルダー10を支持した支持部20を移動させる。
一方、制御部90は、試料保持部12を試料室1に移動させることができないと判定した場合に、試料保持部12が予備排気室2から試料室1に移動するように、試料ホルダー10を支持した支持部20を移動させる処理を行わない。例えば、制御部90は、試料保持部12を試料室1に移動させることができないと判定した場合に、試料ホルダー10を支持させずに支持部20を初期位置P1に移動させる処理を行う。
制御部90は、センサー32,34,35,36の出力信号を受けて駆動部30を制御して、支持部20を移動および停止させる処理を行うことができる。
制御部90の機能は、例えば、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
2. 試料導入装置の動作
次に、本実施形態に係る試料導入装置100の動作について図面を参照しながら説明する。図7〜図11は、試料導入装置100の動作を説明するための模式図である。
(1)試料ホルダーの試料室への導入手順
まず、試料ホルダー10を試料室1に導入する際の試料導入装置100の動作について説明する。
図7に示すように、ユーザーによって蓋部42が開かれると、開閉検知センサー46がONとなり、予備排気可否センサー94が有効になる。そして、ユーザーが、試料ホルダー10を支持部20の貫通孔22、および試料ホルダー挿入管60に挿入して、試料ホルダー10(試料保持部12)を予備排気室2に導入する。このとき、ゴニオメーター50は、右回りに90度回転している状態であり、試料ホルダー10は、0度の状態で、試料ホルダー挿入管60に挿入される。
試料ホルダー10が試料ホルダー挿入管60に挿入されて試料保持部12が予備排気室2に導入されると、図7に示すように、試料ホルダー10から突出しているピン16が予備排気可否センサー94を押し、予備排気可否センサー94をONにする。そして、ユーザーが試料ホルダー交換スイッチ49を押すことで、予備排気室2において、予備排気が開始される。また、試料ホルダー交換スイッチ49が押されることで、制御部90が以下に説明する試料導入処理を開始する。このとき、支持部20は、図7に示すように、初期位置P1に位置している。
図12は、試料ホルダー10を試料室1に導入する際の試料導入装置100の制御部90の処理の一例を示すフローチャートである。以下に示す、制御部90の処理S10〜S16は、例えば、自動シーケンスで行われる。
まず、制御部90は、駆動部30を制御して、試料ホルダー10を支持するように支持
部20を移動させる(ステップS10)。これにより、図8に示すように、ロッド31が伸び、支持部20は初期位置P1から位置P2に向かって移動する。
そして、制御部90は、第1圧力室308a(図6参照)の圧力が所定の値以上になった場合に、支持部20を停止させる。したがって、支持部20が試料ホルダー10に接触して支持部20が試料ホルダー10を支持すると、エアーシリンダー30aの第1圧力室308aの圧力が上昇して所定の圧力値以上になり、制御部90は、支持部20を停止させる。
このとき、支持部20の嵌合部24(図5参照)は試料ホルダー10の切欠き部15に嵌めこまれており、試料ホルダー10の軸まわりの回転が抑制される。試料ホルダー10には、予備排気室2と外部(大気圧)との圧力差によって予備排気室2に引き込まれる力f1が加わっている。
次に、制御部90は、支持部20が停止した位置に基づいて、試料保持部12を試料室1に移動させることが可能か否かを判定する(ステップS11)。
制御部90は、支持部20が位置P2(所定の位置)で停止した場合に、試料保持部12を試料室1に移動させることが可能と判定する。一方、制御部90は、支持部20が位置P2で停止しなかった場合に、試料保持部12を試料室1に移動させることができないと判定する。
制御部90は、試料保持部12を試料室1に移動させることができないと判定した場合(ステップS12でNOの場合)、駆動部30を制御して、支持部20を初期位置P1に移動させる処理を行う(ステップS13)。これにより、図7に示すように、支持部20は初期位置P1に戻り、試料保持部12を試料室1に移動させることなく処理が終了する。
一方、制御部90は、試料保持部12を試料室1に移動させることが可能と判定した場合(ステップS12でYESの場合)、ゴニオメーター50を回転させ、図9に示すように、試料室1と予備排気室2とを隔てる仕切弁70を開く処理を行う(ステップS14)。
具体的には、制御部90は、まず、ゴニオメーター50を左回り25度回転させる処理を行う。次に、制御部90は、駆動部30を制御して、支持部20を位置P2から位置P4まで移動させる。センサー35は、位置P4に調整されており、制御部90は、センサー35の出力信号に基づいて、支持部20を位置P4に移動させる処理を行う。
これにより、試料ホルダー10のピン16が試料ホルダー挿入管60の溝に移動し、試料ホルダー10と試料ホルダー挿入管60とが一体となり、試料ホルダー挿入管60の回転が規制される。
次に、制御部90は、ゴニオメーター50を制御して、ゴニオメーター50を左回りに65度回転させる処理を行う。このとき、試料ホルダー挿入管60の回転が規制されているため、ギヤ72は、ゴニオメーター50の回転とともに試料ホルダー挿入管60との相対角度を変化させる。これにより、ギヤ72が回転して仕切弁70が開き、予備排気室2と試料室1とが連通する。予備排気室2と試料室1とが連通すると、試料ホルダー10には、試料室1と外部(大気圧)との圧力差によって試料室1に引き込まれる力F1が加わる。
次に、制御部90は、駆動部30を制御して、図10に示すように、試料保持部12が予備排気室2から試料室1に移動するように、支持部20を移動させる処理を行う(ステップS15)。
センサー36は、位置P3に調整されており、制御部90は、センサー36の出力信号に基づいて、駆動部30を位置P3に移動させる処理を行う。ここで、駆動部30は、力F1とは反対方向の力であって、力F1より小さい力F2を、試料ホルダー10に作用させる。これにより、ロッド31が縮退して、支持部20が位置P4(図9参照)から位置P3に移動し、試料保持部12が予備排気室2から試料室1に移動する。図10の例では、試料ホルダー10がレバー80に突き当たるまで支持部20を移動させている。
次に、制御部90は、駆動部30を制御して、図2に示すように、支持部20が試料ホルダー10から離れるように、支持部20を移動させる処理を行う(ステップS16)。センサー34は、初期位置P1に調整されており、制御部90は、センサー34の出力信号に基づいて、駆動部30を初期位置P1に移動させる処理を行う。これにより、ロッド31は、さらに縮退し、支持部20は試料ホルダー10から切り離されて初期位置P1に戻る。
図2に示すように、支持部20が試料ホルダー10から切り離されることにより、試料ホルダー10は、レバー80による移動、ゴニオメーター50による回転(傾斜)が可能になる。制御部90は、この処理(ステップS16)の後、処理を終了する。そして、ユーザーが、ゴニオカバー40の蓋部42を閉じる。
以上の工程により、試料ホルダー10を試料室1に挿入する、すなわち、試料Sを試料室1に導入することができる。
なお、制御部90は、処理S10,S13,S14,S15,S16において、あらかじめ設定していた時間が過ぎた場合には、処理を中断する。これにより、安全に試料Sを試料室1に導入することができる。
(2)試料ホルダーの試料室からの取り出し手順
次に、試料ホルダー10を試料室1から取り出す際の試料導入装置100の動作について説明する。
図2に示す試料ホルダー10が試料室1に挿入された状態において、ユーザーが蓋部42を開く。そして、ユーザーは、試料ホルダー交換スイッチ49を押す。試料ホルダー交換スイッチ49が押されることで、制御部90が以下に説明する試料取り出し処理を開始する。
図13は、試料ホルダー10を試料室1から取り出す際の試料導入装置100の制御部90の処理の一例を示すフローチャートである。以下に示す、制御部90の処理S20、S21、S22、S23は、例えば、自動シーケンスで行われる。
制御部90は、駆動部30を制御して、図11に示すように、試料保持部12が試料室1から予備排気室2に移動するように、支持部20を移動させる処理を行う(ステップS20)。
このとき、駆動部30は、試料室1と外部(大気圧)との圧力差によって試料ホルダー10に加わる力F1とは反対方向の力であって、力F1より大きい力F3を、試料ホルダー10に作用させる。センサー35は、位置P4に調整されており、制御部90は、セン
サー35の出力信号に基づいて、支持部20を位置P4に移動させる処理を行う。これにより、ロッド31が伸びて、支持部20を初期位置P1(図2参照)から位置P4に移動させて、試料保持部12を試料室1から予備排気室2に移動させる。
次に、制御部90は、図9に示すように、ゴニオメーター50を回転させて、試料室1と予備排気室2とを隔てる仕切弁70を開く処理を行う(ステップS21)。
具体的には、制御部90は、まず、ゴニオメーター50を制御して、ゴニオメーター50を右回り65度回転させる処理を行う。これにより、仕切弁70が閉じて、試料室1と予備排気室2とが隔てられる。次に、制御部90は、駆動部30を制御して、支持部20を位置P4から位置P2に移動させる処理を行う。さらに、ゴニオメーター50を制御して、ゴニオメーター50を右回りに25度回転させる。このとき、試料ホルダー10のピン16が予備排気可否センサー94を押し、予備排気可否センサー94をONにする。これにより、予備排気室2のリークが開始される(ステップS22)。予備排気室2のリークは、例えば、予備排気室2に窒素ガス等の不活性ガスを供給することで行われる。
リークの完了後、ユーザーは、試料ホルダー10を引き抜くことができる。試料ホルダー10を引き抜くとき、試料ホルダー10のピン16が予備排気可否センサー94をオフにする。制御部90は、駆動部30を制御して、図示はしないが、支持部20が初期位置P1に戻るように、支持部20を移動させる処理を行う(ステップS23)。より具体的には、センサー34は、初期位置P1に調整されており、制御部90は、センサー34の出力信号に基づいて、支持部20を初期位置P1に移動させる処理を行う。制御部90は、この処理(ステップS23)の後、処理を終了する。
以上の工程により、試料ホルダー10を試料室1から取り出す、すなわち、試料Sを試料室1から取り出すことができる。
なお、制御部90は、処理S20,S21,S22,S23において、あらかじめ設定していた時間が過ぎた場合には、処理を中断する。また、制御部90は、エアーシリンダー30aへの空気の供給量に大きな増減が発生した場合にも、処理を中断する。これにより、安全に試料Sを試料室1から取り出すことができる。
ここでは、制御部90が自動シーケンスで、試料保持部12の試料室1から予備排気室2への移動、および試料保持部12の予備排気室2から試料室1への移動を行う場合について説明したが、試料導入装置100では、自動シーケンスを行わず、ユーザーが試料ホルダー10を移動させることにより、手動で試料保持部12の予備排気室2から試料室1への移動、および試料保持部12の試料室1から予備排気室2への移動を行うこともできる。
本実施形態に係る試料導入装置100および荷電粒子線装置1000は、例えば、以下の特徴を有する。
試料導入装置100では、制御部90は、駆動部30を制御して、試料保持部12が予備排気室2に位置している状態の試料ホルダー10を支持するように支持部20を移動させて停止させる第1処理と、支持部20が停止した位置に基づいて、試料保持部12を試料室1に移動させることが可能か否かを判定する第2処理と、試料保持部12を試料室1に移動可能と判定した場合に、試料保持部12が予備排気室2から試料室1に移動するように、試料ホルダー10を支持した支持部20を移動させる第3処理と、を行う。これにより、例えば長さが適切でない試料ホルダーが試料室1に導入されることを防ぐことができる。
したがって、例えば、長さが適切でない試料ホルダーを用いて試料Sを試料室1に導入することによって、ゴニオメーター50や、対物レンズ1004を構成しているポールピース等が破壊されることを防ぐことができる。
さらに、試料導入装置100では、試料保持部12(試料S)が予備排気室2から試料室1に移動するように、試料ホルダー10を支持する支持部20を移動させる駆動部30を含んで構成されているため、容易に試料Sを試料室1に導入することができる。
試料導入装置100では、制御部90は、第2処理では、第1処理において支持部20が所定の位置で停止した場合に、試料保持部12を試料室1に移動させることが可能と判定し、第1処理において支持部20が前記所定の位置で停止しなかった場合に、試料保持部12を試料室1に移動させることができないと判定する。これにより、例えば長さが適切でない試料ホルダーが試料室1に導入されることを防ぐことができる。
試料導入装置100では、試料ホルダー10は、切欠き部15を有し、支持部20は、試料ホルダー10を支持したときに、切欠き部15に嵌め合わされる嵌合部24を有している。これにより、例えば試料ホルダー10に切欠き部15がない場合と比べて、支持部20が試料ホルダー10を支持する位置P2(図8参照)を異ならせることができる。例えば試料ホルダー10に切欠き部15がない場合には、図8に示す位置P2よりも手前(切欠き部15の深さの分だけ手前)で支持部20が試料ホルダー10を支持する。したがって、例えば誤って切欠き部15がない試料ホルダー(長さや形状が適切でない試料ホルダー)が試料室1に導入されることを確実に防ぐことができる。
試料導入装置100では、試料ホルダー10の切欠き部15は、2つ設けられ、2つの切欠き部15は、試料ホルダー10の軸に関して対称に設けられている。また、支持部20の嵌合部24は、2つ設けられ、2つの嵌合部24は、貫通孔22の中心に関して対称に設けられている。これにより、支持部20は試料ホルダー10をバランスよく支持することができる。
試料導入装置100では、駆動部30は、支持部20に接続されたエアーシリンダー30aを有し、制御部90は、エアーシリンダー30a内の圧力に基づいて、支持部20を停止させる。これにより、制御部90は支持部20に試料ホルダー10を支持させることができる。
試料導入装置100では、駆動部30は、第3処理において試料室1と外部(大気圧)との圧力差によって試料ホルダー10に加わる第1の力F1とは反対方向の力であって、第1の力F1よりも小さい第2の力F2を試料ホルダー10に作用させる。これにより、試料室1と外部(大気圧)との圧力差によって試料ホルダー10に加わる第1の力F1により、試料ホルダー10が、試料室1に急激に引き込まれることを防ぐことができる。
試料導入装置100では、試料ホルダー10を回転させるゴニオメーター50と、予備排気室2と試料室1とを隔てる仕切弁70と、を含み、制御部90は、さらに、ゴニオメーター50を回転させて、仕切弁70を開く処理を行う。これにより、容易に予備排気室2と試料室1とを隔てる仕切弁70を開くことができる。したがって、試料導入装置100によれば、容易に試料Sを試料室1に導入することができる。
試料導入装置100では、さらに、駆動部30が、試料保持部12が試料室1から予備排気室2に移動するように、支持部20を移動させるため、容易に、試料Sを試料室1から予備排気室2に移動させることができる。したがって、試料導入装置100によれば、
容易に、試料Sを試料室1から取り出すことができる。
荷電粒子線装置1000によれば、試料導入装置100を含んで構成されているため、上述のように、容易に試料Sを試料室1に導入することができる。さらに、長さや形状が適切でない試料ホルダーを用いて試料Sを試料室1に導入することによって、ゴニオメーター50や、対物レンズ1004を構成しているポールピース等が破壊されることを防ぐことができる。
3. 変形例
次に、本実施形態に係る試料導入装置100の変形例について説明する。なお、上述した試料導入装置100の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
(1)第1変形例
まず、第1変形例について説明する。上述した試料導入装置100の制御部90は、エアーシリンダー30a内(例えば第1圧力室308a)の圧力に基づいて、支持部20を停止させていたが、エアーシリンダー30aにおける気体の流量に基づいて、支持部20を停止させてもよい。
具体的には、例えば、制御部90は、図5に示すエアーシリンダー30aの第2ポート306から排出される圧縮空気の流量が所定の量以下になった場合に支持部20が試料ホルダー10を支持したものとして、支持部20を停止させる。支持部20が試料ホルダー10を支持した場合、ピストン303は停止し、第2圧力室308bから排出される圧縮空気の量が少なくなる、または圧縮空気が排出されなくなる。そのため、制御部90は支持部20が試料ホルダー10を支持したものとすることができる。これにより、制御部90は支持部20に試料ホルダー10を支持させることができる。
(2)第2変形例
次に、第2変形例について説明する。上述した試料導入装置100では、制御部90は、エアーシリンダー30a内(例えば第1圧力室308a)の圧力に基づいて、支持部20を停止させていたが、支持部20の位置をモニターするセンサー等によって支持部20を停止させてもよい。すなわち、例えば、当該センサーによって支持部20を停止させてもよい。
また、例えば、試料ホルダー10と支持部20とが接したときに信号を出力するセンサー等を用いて、支持部20を停止させてもよい。
(3)第3変形例
次に、第3変形例について説明する。上述した試料導入装置100の例では、駆動部30が、図2に示すように、エアーシリンダー30aを含んで構成されている場合について説明したが、駆動部30はこれに限定されず、例えば、ロッド31を動作させる電動アクチュエーターを含んで構成されていてもよい。
(4)第4変形例
次に、第4変形例について説明する。上述した試料導入装置100の例では、駆動部30は、図2に示すように、ゴニオカバー40内に収容されていたが、ゴニオカバー40の外に配置されていてもよい。
(5)第5変形例
次に、第5変形例について説明する。上述した実施形態では、試料導入装置100を、
透過電子顕微鏡に適用した場合について説明したが、試料導入装置100は、透過電子顕微鏡に限らず、その他の荷電粒子線装置に適用することができる。荷電粒子線装置としては、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)、走査透過電子顕微鏡(STEM)等の電子顕微鏡、集束イオンビーム(FIB)装置、電子ビーム露光装置等が挙げられる。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…試料室、2…予備排気室、10…試料ホルダー、12…試料保持部、13…シャフト部、14…グリップ部、15…切欠き部、16…ピン、20…支持部、22…貫通孔、24…嵌合部、30…駆動部、30a…エアーシリンダー、31…ロッド、32,34,35,36…センサー、40…ゴニオカバー、42…蓋部、44…筐体、46…開閉検知センサー、48…フック、49…試料ホルダー交換スイッチ、50…ゴニオメーター、60…試料ホルダー挿入管、70…仕切弁、72…ギヤ、80…レバー、82…軸、90…制御部、94…予備排気可否センサー、100…試料導入装置、302…シリンダーチューブ、303…ピストン、304…第1ポート、306…第2ポート、308a…第1圧力室、308b…第2圧力室、1000…荷電粒子線装置、1001…電子線源、1002…集束レンズ、1004…対物レンズ、1005…中間レンズ、1006…投影レンズ、1008…撮像部、1010…鏡筒、1011…除振機、1012…架台

Claims (10)

  1. 荷電粒子線装置の試料室に試料を導入するための試料導入装置であって、
    予備排気を行うための予備排気室と、
    前記試料を保持可能な試料保持部を有する試料ホルダーと、
    前記試料ホルダーを移動させる駆動部と、
    前記駆動部を制御する制御部と、
    を含み、
    前記制御部は、
    前記駆動部を制御して、前記試料保持部が前記予備排気室に位置している状態の前記試料ホルダーを支持するように支持部を移動させて停止させる第1処理と、
    前記支持部が停止した位置に基づいて、前記試料保持部を前記試料室に移動させることが可能か否かを判定する第2処理と、
    前記試料保持部を前記試料室に移動可能と判定した場合に、前記駆動部を制御して、前記試料保持部が前記予備排気室から前記試料室に移動するように、前記試料ホルダーを支持した前記支持部を移動させる第3処理と、
    を行う、試料導入装置。
  2. 請求項1において、
    前記制御部は、前記第2処理では、
    前記第1処理において前記支持部が所定の位置で停止した場合に、前記試料保持部を前記試料室に移動させることが可能と判定し、
    前記第1処理において前記支持部が前記所定の位置で停止しなかった場合に、前記試料保持部を前記試料室に移動させることができないと判定する、試料導入装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記試料ホルダーは、切欠き部を有し、
    前記支持部は、前記試料ホルダーを支持したときに、前記切欠き部に嵌め合わされる嵌合部を有している、試料導入装置。
  4. 請求項3において、
    前記試料ホルダーの前記切欠き部は、2つ設けられ、
    2つの前記切欠き部は、前記試料ホルダーの軸に関して対称に設けられている、試料導入装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    前記駆動部は、前記支持部に接続されたエアーシリンダーを有し、
    前記制御部は、前記第1処理において、前記エアーシリンダー内の圧力に基づいて、前記支持部を停止させる、試料導入装置。
  6. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    前記駆動部は、前記支持部に接続されたエアーシリンダーを有し、
    前記制御部は、前記第1処理において、前記エアーシリンダーにおける気体の流量に基づいて、前記支持部を停止させる、試料導入装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、
    前記駆動部は、前記第3処理において前記試料室と外部との圧力差によって前記試料ホルダーに加わる第1の力とは反対方向の力であって、前記第1の力よりも小さい第2の力を前記試料ホルダーに作用させる、試料導入装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項において、
    前記試料ホルダーを回転させるゴニオメーターと、
    前記予備排気室と前記試料室とを隔てる仕切弁と、
    を含み、
    前記制御部は、さらに、前記ゴニオメーターを回転させて、前記仕切弁を開く処理を行う、試料導入装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項において、
    前記駆動部は、さらに、前記試料保持部が前記試料室から前記予備排気室に移動するように、前記試料ホルダーを移動させる、試料導入装置。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の試料導入装置を含む、荷電粒子線装置。
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