JP2015101854A - 排水システムの配管構造およびこの配管構造の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】床スラブSを貫通するように設けられた鋳鉄製集合継手1aの下端に、熱膨張性黒鉛を厚み方向の樹脂層中に含み、前記熱膨張性黒鉛の熱膨張によって閉塞する性能を有する耐火性樹脂管からなる耐火性樹脂短管2aを接続し、この耐火性樹脂短管2aと下の階の鋳鉄製集合継手1aと、ゴム輪付き受口31を備えたゴム輪受口付片受直管3aを介して接続し、排水立管部を形成するようにした。
【選択図】 図1
Description
すなわち、上記単管式排水システムは、立管路を構成する管継手に設けた旋回羽根で排水を旋回させ、空気と水を分離することで、管内の圧力変動を抑制し、排水性能を高めて、従来古くからある2管式排水システムとは異なり、通気立て管を設けず1本の排水立管路が排水路と通気管とを兼ねるようになっている。
そして、上記集合継手は、排水立管の残部を構成する接続配管によって上下階の集合継手と連結されている。
また、昨今(特に、最近5年程度の間)においては、施工性向上の観点で、膨張性黒鉛を管厚み方向の層中に含み、火災時の熱によって膨張性黒鉛が膨張する耐火樹脂管(例えば、積水化学工業株式会社製耐火VPパイプ)と、鋳鉄製の集合継手とを、縮径金具を介してフランジ接続(メカニカル接続)する構造(特許文献1)、火災時に膨張する樹脂を内蔵した金属製のアダプターが付属した押し輪で、鋳鉄製の集合継手と樹脂管をメカニカル接続する構造(特許文献2)、集合継手の差し口を、膨張部材を内在した金属製のカバーを設けた受け口パイプに挿入する構造(特許文献3)等のように、火災時に立て管内を閉塞させる技術が提案されている。
しかし、上記特許文献1,2の構造の場合、集合継手の下部と管を高所にてフランジ接続する必要があった。また、特許文献3の構造の場合、集合継手の下部と管の接続はゴム輪接続で容易であるが、高所にて金属製の筒をスラブ下面にアンカーボルトで固定する必要があった。
また、最近では長期優良化対応として、径年後の配管の更生を想定した配管構造が要求されることがある。各階で配管を切断することなく、管を取り外す必要があり、各社から製品が出されている(特許文献4,5参照)。
すなわち、かかる構成とすることによって、メカニカル接続を解除することで樹脂短管を容易に交換可能となる。
本発明において、熱膨張剤としては、特に限定されないが、熱膨張性黒鉛やガラス質の熱膨張性粒子等が挙げられ、熱膨張性黒鉛が好適である。
すなわち、かかる構成とすることによって、火災による熱によって接続立管部の上下方向のいずれの場所においても熱膨張剤が熱膨張して閉塞状態とすることが可能になり、火災発生階から他の階への延焼防止効果を高めることができる。
また、リング状弾性シール材とは、受口に嵌合された管の周囲に水密嵌合して接続状態を保つことができるものであれば、その材質や形状は特に限定されないが、例えば、EPDMなどの合成ゴムや、熱可塑性樹脂エラストマー等で形成されたものが好適である。
また、金属製筒状体と前記樹脂短管との環状のすき間に充填される耐火熱膨張性材料としては、火災時の熱によって熱膨張して、他の階への延焼が防止できるように樹脂短管を閉塞させることができれば、特に限定されないが、例えば、積水化学工業株式会社の商品名耐火VPパイプを短尺にカットしたもの、積水化学工業株式会社の商品名フィブロック、ニチアス株式会社製の商品名パーモフレックス等の市販の材料を用いることができる。
(1)接続立管部がすべて樹脂配管材によって形成されているので、金属製の配管材を用いる場合に比べ、軽量で狭いパイプスペースでの接続立管部の施工性に優れている。
(2)接続立管部が、前記金属製管継手の下端に接続された樹脂短管と、この樹脂短管に接続されるリング状弾性シール材内装受口を備えた樹脂製管継手とを少なくとも含む複数の樹脂配管材が上下方向に接続されて形成されているので、以下のようにして、樹脂短管と下の階の金属製管継手の上端に接続された立管部材の上端部との接続を、高所作業しなくても行える。
すなわち、下の階の床スラブを貫通するように金属製管継手を床スラブに固定した状態で、樹脂短管と金属製管継手の上端とを接続するリング状弾性シール材内装受口を備えた樹脂製管継手を
上の階の床スラブの金属製管継手を貫通させる貫通孔を受口が下方から臨むように金属製管継手に接続する。つぎに、上の階の金属製管継手の下端に予め樹脂短管を接続してユニット化しておくとともに、得られた継手ユニットを、上の階の床スラブ側から樹脂短管側を先頭にして床スラブに設けられた貫通孔に挿入し、樹脂短管の下端を受口に嵌合させてリング状弾性シール材によって水密に接続する。その後、貫通孔周りにモルタルを充填し、金属製管継手を床スラブに固定する。そして、この作業を繰り返し、上層階に向かって排水立管路を形成していく。したがって、作業者がすべて床スラブ上にのって作業を行うことができ、高所作業が不要になり、施工時の安全性を確保できるとともに、狭いパイプスペースでの施工性も向上する。
(3)樹脂製管継手がリング状弾性シール材内装受口を備えているので、フランジ接続のように高所でボルトを取り外したりする手間がなく、各階毎に容易に樹脂製管継手を樹脂短管から取り外せ、将来の更新時においても、パイプを切断する作業を行うことなく、接続立管部を分解して簡単に取り外すことができる。
(4)樹脂短管が、熱膨張剤を厚み方向の樹脂層中に含み、前記熱膨張剤の熱膨張によって閉塞する耐火性樹脂管であるので、火災発生時にこの樹脂短管が熱膨張剤の膨張によって閉塞し、他の階の人が避難完了するまでの所定時間以上(例えば、1時間以上)火災発生階から他の階への延焼を防止することができる。
(1)接続立管部がすべて樹脂配管材を用いて形成されているので、金属製の配管材を用いる場合に比べ、軽量で狭いパイプスペースでの接続立管部の施工性に優れている。
(2)接続立管部が、前記金属製管継手の下端に接続された樹脂短管と、この樹脂短管に接続されるリング状弾性シール材内装受口を備えた樹脂製管継手とを少なくとも含む複数の樹脂配管材が上下方向に接続されて形成されているので、以下のようにして、樹脂短管と下の階の金属製管継手の上端に接続された立管部材の上端部との接続を、高所作業しなくても行える。
すなわち、下の階の床スラブを貫通するように金属製管継手を床スラブに固定した状態で、樹脂短管と金属製管継手の上端とを接続するリング状弾性シール材内装受口を備えた樹脂製管継手を上の階の床スラブの金属製管継手を貫通させる貫通孔を受口が下方から臨むように金属製管継手に接続する。つぎに、上の階の金属製管継手の下端に予め樹脂短管を接続してユニット化しておくとともに、得られた継手ユニットを、上の階の床スラブ側から樹脂短管側を先頭にして床スラブに設けられた貫通孔に挿入し、樹脂短管の下端を受口に嵌合させてリング状弾性シール材によって水密に接続する。その後、貫通孔周りにモルタルを充填し、金属製管継手を床スラブに固定する。そして、この作業を繰り返し、上層階に向かって排水立管路を形成していく。したがって、作業者がすべて床スラブ上にのって作業を行うことができ、高所作業が不要になり、施工時の安全性を確保できるとともに、狭いパイプスペースでの施工性も向上する。
(3)樹脂製管継手がリング状弾性シール材内装受口を備えているので、フランジ接続のように高所でボルトを取り外したりする手間がなく、各階毎に容易に樹脂製管継手を樹脂短管から取り外せ、将来の更新時においても、パイプを切断する作業を行うことなく、接続立管部を分解して簡単に取り外すことができる。
(4)樹脂短管の金属製管継手の下端から突出した部分の上端部が、金属製筒状体によって囲繞されていて、金属製筒状体と前記樹脂短管との間に熱膨張性樹脂材料が充填されているので、火災発生時に熱膨張性樹脂材料が膨張することによって樹脂短管が閉塞する。したがって、他の階の人が避難完了するまでの所定時間以上(例えば、1時間以上)火災発生階から他の階への延焼を防止することができる。
図1および図2は、本発明の配管構造の第1の実施の形態をあらわしている。
すなわち、耐火性樹脂短管2aは、ボルト17によって締め付けリング13を集合継手1aの下端フランジ部12に締め付けることによって、合成ゴム製の押し輪18が圧縮によって縮径することにより、耐火性樹脂短管2aの上端部が集合継手1aの下端に水密に固定された状態となっている。
すなわち、落下防止手段15は、ばね鋼製の線材を曲げ加工するとともに焼入れ加工することによって形成されていて、図5および図6に示すように、平面視Uの字状をした係止部15aと、係止部15aを挟んで両側に設けられた1対の円弧状をした押圧部15bと、両押圧部15bの端部から外側に延出する1対の拡径レバー部15cとを備え、係止部15aがリング本体14に設けられた係止孔14aを介してリング本体14の外側に突出するとともに、両拡径レバー部15cが他の係止孔14bを介して外側に突出した状態でリング本体14に支持されている。
リング状弾性シール材内装受口付片受直管3aは、通常の排水管に用いられている塩化ビニル樹脂管(VPパイプ)でも構わないし、少なくとも立管構成部である直管部32が、耐火性樹脂短管2aと同様の層構成(例えば、積水化学工業株式会社製耐火VPパイプ)で形成されているものでも構わない。
受口31内には、図示していないが、リング状弾性シール材が内装されている。
また、リング状弾性シール材内装受口付片受直管3aは、直管部32の下端が集合継手1aの上部受口11内に嵌合し、上部受口11内のリング状弾性シール材11aによって集合継手1aと水密に接続されている。
なお、図1中、16は横枝管接続口、4は横枝管である。
(1)集合継手1aに予め工場等で押し輪18および締め付けリング13を用いて耐火性樹脂短管2aが接続して継手ユニットとしておく。
(2)下の階の床スラブS上にいる作業者が、下の階の床スラブSを貫通するように先に取り付けられた集合継手1aの上部受口11にリング状弾性シール材内装受口付片受直管3aの直管部32を嵌合させるとともに、図3に示すように、リング状弾性シール材内装受口付片受直管3aの受口31を上の階の床スラブSの貫通孔Hを臨むように配置する。
(3)上記継手ユニットを、図3に示すように、上の階の床スラブS上にいる作業者(前述の作業者と同じ作業者でもよい)が、樹脂短管2a側を先頭にして上の階の床スラブSの貫通孔11に通し、リング状弾性シール材内装受口付片受直管3aの受口31に嵌合させる。
(4)貫通孔11にモルタルMを充填し、集合継手1aを床スラブSに固定する。
(5)上記(2)〜(4)を繰り返して排水立管路を形成する。
(1)金属製の集合継手1aに耐火性樹脂短管2aが接続されているので、もし火災が発生しても、火災の熱によって熱膨張性黒鉛が膨張して耐火性樹脂短管2aが閉塞する。したがって、他の階の人が避難完了できるまでの間、集合継手1aの内部を通って、他の階への延焼することを防止することができる。
(2)耐火性樹脂短管2aとリング状弾性シール材内装受口付片受直管3aによって接続されるので、高所で押し輪18を用いたメカニカル接続の必要がなく、かつ、狭いパイプスペースで行う必要がない。したがって、施工性と施工管理が向上するとともに、作業員の安全性も確保できる。
(3)耐火性樹脂短管2aと下側の階の集合継手1aとがリング状弾性シール材内装受口付片受直管3aによって接続されているので、劣化や排水立管部分に詰まり等の不具合が生じた場合に、高所でメカニカル接続を解除するという作業をしなくても、直管部32から上部受部11を押し上げて取りはずし、図4に示すように、リング状弾性シール材内装受口付片受直管3aを下方に押し下げれば、樹脂短管2aから受口31が容易に離脱し、下の階からの作業でリング状弾性シール材内装受口付片受直管3aを容易に取り除ける。すなわち、更新作業を容易に行える。また、更新作業をいずれの階でも平行して行うことができ、更新作業の効率化を図ることができる。
(4)耐火性樹脂短管2aの長さは自由に設定できるため、床スラブSの厚みや集合継手1aの設置位置に応じた対応が可能となる。
(5)予め耐火性樹脂短管2aが工場で集合継手1aに接続されているので、集合継手1aと耐火性樹脂短管2aとの接続部の接続不良を工場の出荷前に検査可能であり、集合継手1aと耐火性樹脂短管2aと接続部での接続強度ならびに止水性を確実に確保できる。
(6)集合継手1a部分以外が、すべて樹脂の配管材で形成され、軽量であるため施工性に優れる。
(7)締め付けリング13がリング本体14に係止された落下防止手段15を備え、この落下防止手段15の押圧部15bが耐火性樹脂短管2aの周面にばね力によって押圧状態に保たれているので、火災が発生し、耐火性樹脂短管2aが軟化してくると、押圧部15bがさらにバネ力によって耐火性樹脂短管2aの周面に食い込む。したがって、落下防止手段15およびリング本体14を介して耐火性樹脂短管2aが集合継手1aに支持された状態が確保され、火災が発生し、耐火性樹脂短管2aの押し輪18より上の部分や押し輪18が焼失したり、熱変形したりしても落下することがなく、より延焼防止性能が高い。
なお、リング状弾性シール材内装受口付片受直管3aの直管部32を耐火性樹脂管で形成しておくと、この直管部を天井配管等の場合、天井などの防火区画貫通部として用いることもできる。
図8に示すように、この配管構造Bは、樹脂短管2bが塩化ビニル樹脂製VPパイプからなり、この樹脂短管2bがステンレス鋼によって形成された締め付け金具19のフランジ部19aを集合継手1bの下端フランジ部12に締め付けることによって押し輪18により集合継手1bに接続固定されている。
そして、筒部19bと、樹脂短管2bとの環状のすき間には、シート状の耐火熱膨張材料(例えば、積水化学工業株式会社の商品名フィブロック)19cが管の径方向に積層された状態で充填されている。
また、上記第1の実施の形態では、締め付けリングがリング本体に係止された落下防止手段を備えていたが、上記以外の形状の落下防止手段を設けるようにしても構わないし、落下防止手段はなくても構わない。
B 配管構造
1a 集合継手
11 上部受口
11a リング状弾性シール材
12 下端フランジ部
13 締め付けリング
14 リング本体
14a 係止孔
14b 係止孔
15 落下防止手段
15a 係止部
15b 押圧部
15c 拡径レバー部
16 横枝管接続口
17 ボルト
18 押し輪
19 締め付け金具
19a フランジ部
19b 筒部
19c 耐火熱膨張材料
2a 耐火性樹脂短管
2b 樹脂短管
3a リング状弾性シール材内装受口付片受直管
3b リング状弾性シール材内装受口付片受直管
31 受口
32 直管部
33 受口
4 横枝管
S 床スラブ
M モルタル
H 貫通孔
Claims (8)
- 各階の床スラブを上下に貫通するように金属製管継手が設けられ、上下の金属製管継手が接続立管部を介して接続されている排水システムの配管構造において、
前記接続立管部が、前記金属製管継手の下端に接続された樹脂短管と、この樹脂短管に接続されるリング状弾性シール材内装受口を備えた樹脂製管継手とを少なくとも含む複数の樹脂配管材が上下方向に接続されて形成されるとともに、
前記樹脂短管が、熱膨張剤を厚み方向の樹脂層中に含み、前記熱膨張剤の熱膨張によって閉塞する耐火性樹脂管であることを特徴とする排水システムの配管構造。 - リング状弾性シール材内装受口を備えた樹脂製管継手がやりとり継手である請求項1に記載の排水システムの配管構造。
- 金属製管継手と、樹脂短管とが押し輪によってメカニカル接続されている請求項1または請求項2に記載の排水システムの配管構造。
- 樹脂短管に加え、接続立管部を構成する他の樹脂配管材の立管構成部が熱熱膨張剤を厚み方向の樹脂層中に含み、前記熱膨張剤の熱膨張によって閉塞する耐火性樹脂管で形成されている請求項1〜請求項3のいずれかに記載の排水システムの配管構造。
- 各階の床スラブを上下に貫通するように金属製管継手が設けられ、上下の金属製管継手が接続立管部を介して接続されている排水システムの配管構造において、
前記接続立管部が、前記金属製管継手の下端に接続された樹脂短管と、この樹脂短管に接続されるリング状弾性シール材内装受口を備えた樹脂製管継手とを少なくとも含む複数の樹脂配管材が上下方向に接続されて形成されるとともに、
前記樹脂短管の金属製管継手の下端から突出した部分の上端部が、金属製筒状体によって囲繞されていて、金属製筒状体と前記樹脂短管との環状のすき間に耐火熱膨張性材料が充填されていることを特徴とする排水システムの配管構造。 - リング状弾性シール材内装受口を備えた樹脂製管継手がやりとり継手である請求項5に記載の排水システムの配管構造。
- 金属製管継手が、集合継手である請求項1〜請求項6のいずれかに記載の排水システムの配管構造。
- 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の排水システムの配管構造の施工方法であって、
金属製管継手の下端に予め樹脂短管を接続した継手ユニットを、
前記樹脂短管側を先頭にして床スラブ上から床スラブに設けられた貫通孔に挿入し、
床スラブ下方で下の階の金属製管継手に接続されたリング状弾性シール材内装受口を備えた樹脂製管継手の受口に樹脂短管の下端部を水密嵌合させる工程を上層階に向かって繰り返すことを特徴とする施工方法。
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