JP2015051920A - 二水石膏の連続式改質方法及び該方法で改質された改質二水石膏 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原料とする二水石膏を焼成して半水石膏にする半水化工程と、該半水石膏を水性スラリー中で水和・再結晶化させて、原料とする二水石膏とは別の結晶形態の改質二水石膏とする再結晶化工程とを有し、該再結晶化工程において、再結晶化反応槽中で、水性スラリーを均一になるように撹拌しつつ一定の温度に保持し、かつ、再結晶化反応槽への半水石膏の供給量、及び、再結晶化反応槽から再結晶化した改質二水石膏を抜き出す抜き出し量が実質的に等量になるよう制御し、連続して又は間歇して半水石膏の供給及び再結晶化した改質二水石膏の抜き出しを行う二水石膏の連続式改質方法である。
【選択図】図1
Description
本発明の二水石膏の改質方法では、改質の対象とする原料石膏の平均粒径が30μm以下のものであるとより有益である。これは、特に、平均粒径が30μm以下であるような小さな結晶からなる二水石膏は、焼成して焼石膏製品の原料とした場合に必要とする混水量が著しく増加するため、使用できる用途が制限されるという問題があり、用途の拡大が可能な二水石膏に改質する技術の開発が待望されていたことによる。このような平均粒径が30μm以下であるような原料石膏を改質して、従来は容易に得ることができなかった60μmを超える、特に平均粒径が64μm以上の大きな結晶からなる、さらには純度の高い粒径の揃った二水石膏に連続処理によって改質できれば、種々の用途に広く使用できるようになり、工業上、非常に有用である。
本発明の二水石膏の改質方法では、まず、半水化工程で上記したような原料石膏を焼成して半水石膏にするが、焼成方法は特に限定されない。焼成温度は一般的には100℃〜250℃であるが、特に限定されない。しかし、半水化工程で、原料石膏が確実に焼成されて、その全てが中間体である半水石膏となるようにすること、例えば、得られる半水石膏の化合水が8%以下となるようにすることが好ましい。本発明で使用できる原料石膏の半水化方法としては、例えば、縦型焼成釜、回転式焼成釜、直火式焼成釜、間接加熱式焼成釜などを用い、乾式焼成してβ型半水石膏を得る方法や、加圧した気体水または液体水との接触反応下で転移させてα型半水石膏を得る加圧水溶液法などの湿式焼成(加圧焼成)する方法があるが、本発明では、乾式及び湿式のどちらの方法も使用できる。また、その場合、乾式焼成又は加圧焼成の操作は、連続的に行っても、バッチ焼成方式で行ってもよい。操業上、連続して安定した状態での改質を行うためには連続式焼成が好ましいが、連続式で半水石膏を得る際に、乾式焼成又は加圧焼成の操作を繰り返して、乾式焼成または加圧焼成を多段的に行うように構成した連続焼成方式とすることが好ましい。焼成装置を1基のみで連続焼成を行なうと、供給する原料石膏の一部が二水石膏のままでショートパスしてしまうことが確率的に避けられない。これに対して、二水石膏の焼成を多段式で行うように構成すれば、半水化工程で、原料石膏をより確実に半水石膏にできる。より具体的には、焼成する釜の中は撹拌機で混合されているので、連続して供給している原料石膏がそのまま、焼成された半水石膏に一部混じって出てきてしまうことがあるが、これを次の釜内で焼成するように構成することで、原料石膏の半水化をより十分に行うことが可能になる。その結果、このような構成にすることで、原料石膏をより確実に半水石膏にすることができる。
原料石膏を、気体水または液体水との接触反応下でα型半水石膏に転移させる加圧水溶液法(加圧焼成)では、カルボン酸塩類等を媒晶剤として添加することが知られているが、本発明の方法においても好適に使用できる。この際に使用するカルボン酸塩類としては、グルコン酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、リンゴ酸、アクリル酸及びポリカルボン酸又はこれらの塩が挙げられる。また、その添加量は、供給する半水石膏に対して0.1〜2.0質量%の範囲となるようにすることが好ましい。本発明者らの検討によれば、このような方法で、原料石膏をα型半水石膏に転移させて、得られる半水石膏を含む溶液(以下、半水石膏スラリー又はスラリーと呼ぶ)をそのまま次の再結晶工程へと送り再結晶化すると、特に平均粒径の大きな純度の高い結晶化した改質二水石膏を簡便に得ることができる。したがって、乾式焼成した場合のように、原料石膏を半水石膏に転移させる際にカルボン酸塩類等を使用しない場合においては、次の再結晶化工程で使用する再結晶化反応槽の半水石膏スラリー中に、上記に挙げたようなカルボン酸塩類を、上記の濃度で含有させるように構成することが好ましい。
本発明者らの検討によれば、再結晶化する条件を同じにして比較した場合に、最終的に得られる改質二水石膏の平均粒径などの特性は、本発明の方法において中間体として経由させることを要する半水石膏の粒径や特性によって影響を受ける。具体的には、前記した加圧水溶液法によれば、得られたα型半水石膏の平均粒径は30μm以上となるが、このような30μm以上のα型半水石膏を中間体として経由させた場合に、再結晶化される改質二水石膏は、より大きな平均粒径をもつ結晶となる。また、30μm以下のα型半水石膏を経由して再結晶化した改質二水石膏は、平均粒径が30μm以上のα型半水石膏を経由した場合よりは劣るものの、β型半水石膏を経由させた場合よりも大きな結晶粒径の二水石膏に改質できる。いずれにしても、本発明の原料石膏の改質方法で特に重要なことは、改質させる対象物である天然石膏や副生石膏も、改質後の結晶もどちらも二水石膏であるが、これらの中間体として、一旦半水石膏に確実になるように構成することにある。すなわち、天然石膏や副生石膏の二水石膏を一旦確実に半水石膏とし、これを本発明で規定する条件にしたがって再結晶化して二水石膏にすれば、60μmよりも大きい、特に平均粒径が64μm以上の大きな粒径の結晶からなる、黒ずみのない粒径の揃った高純度の改質二水石膏になる。前記したように、本発明においては、先に挙げたような方法で原料石膏を半水石膏とすればよいが、この際の半水石膏を、化合水が8%以下のものとすることが好ましい。これよりも化合水が多いと、原料石膏がそのまま残留していることになり、黒ずみの原因となる不純物が多くなるのに加え、再結晶化で得られる改質二水石膏の平均粒径も小さくなる傾向があるので好ましくない。
(撹拌)
本発明の二水石膏の改質方法では、上記したような方法で天然石膏や副生石膏などの二水石膏を確実に半水石膏とし、該半水石膏を下記に述べるような条件で再結晶化して改質二水石膏にする。具体的には、第1に、前記のようにして得た半水石膏または半水石膏スラリーを再結晶化するために再結晶化反応槽に導入し、該スラリーが、固形分と液分が分離しないよう均一になるように撹拌しつつ、一定の温度に保持して改質二水石膏にする。撹拌は、再結晶化反応槽中のスラリーをできるだけ均一にすることができれば、いずれの方法で行ってもよい。具体的には、半水石膏の濃度にもよるが、例えば、撹拌羽根を用いる方法がある。このようにしてスラリーを均一にすれば、スラリーの滞留時間にばらつきがなくなり、より粒径の揃った改質二水石膏にすることができる。なお、先に挙げた特許文献4でも石膏スラリーを撹拌しながら半水石膏から二水石膏への水和反応をさせているが、粒径が大きくなった二水石膏を晶析装置の下部から排出させているため、撹拌はゆっくりと行う必要があり、本発明でいうスラリーが均一になるような撹拌を行うことはない。
本発明の二水石膏の改質方法を構成する再結晶化工程で使用する半水石膏を含むスラリーの濃度(固形分濃度)は、質量基準で、10〜50質量%、好ましくは25〜40質量%とするとよい。スラリー濃度が高過ぎると、再結晶化工程で行う撹拌を均一な状態で行うことが困難になるので好ましくない。一方、スラリー濃度が薄過ぎると、効率のよい経済的な処理ができなくなるので好ましくない。
本発明においては、半水石膏をスラリー中で水和・再結晶させるが、その際、スラリー温度を80℃よりも高い温度で、かつ、90℃以下の温度にすることが好ましい。80℃以下の温度で長時間再結晶化を続けると、得られる改質二水石膏の平均粒径が安定せず変動し、粒径の揃ったものを安定して得ることができにくくなるので、好ましくない。なお、溶液温度は70℃程度であっても、平均粒径が60μmよりも大きな改質二水石膏を得ることができるが、上記と同様に粒径の揃ったものを安定して得ることができにくくなるので、好ましくない。また、70℃よりも低温であると、再結晶化は容易にできるものの、平均粒径が60μm以上のより大きな粒径の改質二水石膏に安定してすることが困難であり、小さな粒径の結晶となり易い。またこの場合は、安定して嵩比重の大きい緻密な結晶とすることも難しくなる。一方、溶液温度が90℃を超えた温度とすると、再結晶化に要する時間が著しく長くなる傾向がある。このため、所定時間内でその全てを改質二水石膏にすることが難しく、半水石膏のまま多くが残留してしまい、経済的に良好な改質を行うことができにくくなるので、好ましくない。
本発明では、再結晶化工程における再結晶化反応槽への半水石膏の供給量(仕込み量)と、再結晶化反応槽から再結晶化した二水石膏の抜き出し量が実質的に等量になるように制御しながら、連続又は間歇して半水石膏の供給及び再結晶化した改質二水石膏の抜き出しを行うことを要する。何故なら、半水石膏の供給量が再結晶化した改質二水石膏の抜き出し量より多ければ、再結晶化反応槽よりスラリーがオーバーフローするので、スラリーを再利用又は処理するための設備が別途必要となる。また、半水石膏の供給量が再結晶化した改質二水石膏の抜き出し量より少なければ、いずれ再結晶化反応槽が空となり、連続的に改質を行うことが不可能になる。また、前記制御方法は特に限定されるものではないが、例えば、抜き出す改質二水石膏を含むスラリーの濃度を測定し、抜き出したスラリー重量から改質二水石膏の重量を算出し、抜き出した改質二水石膏の重量に相当する半水石膏を投入する方法がある。
本発明において、原料石膏を乾式焼成又は加圧焼成して得られた半水石膏を再結晶化して改質二水石膏にする方法は、連続式であっても、バッチ式であっても可能である。しかし、バッチ式再結晶化は、手順が煩雑である上に、バッチごとに再結晶化する二水石膏の粒径が安定せず、安定して大きな結晶の二水石膏を得ることが難しく、生産性に劣るという問題がある。本発明の二水石膏の連続式改質方法では、半水石膏を二水石膏に再結晶化する工程を連続的に行うため、より容易に安定した状態で連続改質を行うことができる。また、本発明で行う連続式再結晶化は、再結晶化反応を段階的に行う多段槽方式とすることが好ましい。なお、ここでいうバッチ式再結晶化とは、一回の再結晶化反応ごとに処理を区切り、再結晶化反応が終了するごとに反応槽内の二水石膏スラリーの50%以上の量を抜き出し、次に、再結晶化反応させる半水石膏スラリーと入れ替える方式を指す。また、連続式再結晶化とは、半水石膏の供給と、再結晶させた二水石膏の抜き出しを、間断なく一定に行なうか、或いは間歇的に、上記の供給と抜き出しを行なう方式を意味する。本発明では、先に述べたように、半水石膏の供給量及び二水石膏の抜き出し量が実質的に等量になるようにする。より好ましくは、その場合に、一時間当りの半水石膏の供給量及び二水石膏の抜き出し量が、全反応槽内の全石膏量の20%以下の量であるような方式、すなわち、石膏の再結晶化反応槽内の滞留時間が5時間以上となる構成とすればよい。かかる構成によれば、天然石膏や副生石膏や廃石膏など既存の二水石膏を、連続処理によって、粒径が大きく、純度の高い、粒径の揃った別の結晶形態の二水石膏に、安定して効率よく改質することができる。
本発明においては、再結晶化反応槽内の半水石膏スラリーが均一になるように撹拌しながら再結晶化することを要するため、改質二水石膏を抜き出す方法は特に限定されない。例えば、スラリーをオーバーフローさせる方法でも、再結晶化槽内の水位又はスラリー重量をコントロールしながら再結晶化反応槽のいずれかの箇所からスラリーを引き抜く方法であっても、いずれでもよい。
さらに、本発明では、再結晶化反応槽中に、種晶となる二水石膏を僅かな量、連続または間歇して添加することが好ましい。具体的な添加量としては、供給する半水石膏に対して0.01質量%以上5質量%未満の範囲で、より好ましくは、0.05〜2.0質量%の範囲で添加することが好ましい。このようにすれば、より安定して、上記優れた改質二水石膏を得ることが可能になる。本発明においては、必ずしも種晶を添加しなくてもよいが、本発明者らの検討によれば、種晶を添加しない場合は、改質二水石膏の粒径が揃わない傾向があり、過剰な量の種晶を添加すると、改質二水石膏の粒径が小さくなる傾向があるので、より高品位の製品を得るためには若干量の種晶を添加することが好ましい。
本発明のより好ましい形態としては、上記に加えて下記のように構成することが挙げられる。
本発明の二水石膏の改質方法では、さらに、再結晶化工程で再結晶化した改質二水石膏スラリーを再結晶化反応槽から抜き出した後に、不溶性不純物の少ない、粒径の大きい改質二水石膏を分別する工程を設け、改質二水石膏を水中で撹拌及び静置し、その沈降速度の速い大きい結晶を分別する方法を実施することがより好ましい。また、その際に、上記のようにして分別した改質二水石膏を脱水・洗浄して最終生成物とする脱水洗浄工程をさらに設けることが好ましい(図1参照)。このように構成すれば、不溶性不純物の少ない、黒ずみの少ない、従来は一般的でなかった60μmよりも大きい、特に、平均粒径が64μm以上の大きな粒径の、粒径が揃った、高純度の改質二水石膏をより安定して得ることができる。具体的な分別方法については後述する。なお、この分別方法は、天然石膏や各種の副生石膏及び廃石膏などの原料石膏から白い石膏を得る技術として、本発明の二水石膏の改質技術と切り離して利用することもできる。
本発明の二水石膏の改質方法においては、前記したように、上記いずれの場合にも、加圧焼成による半水化反応槽及び/又は再結晶化反応槽のスラリー中に、グルコン酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、リンゴ酸、アクリル酸及びポリカルボン酸又はこれらの塩から選ばれるカルボン酸塩類が含有された状態とすることが好ましい。添加する量としては、半水石膏に対して0.1〜2.0質量%、0.1〜1.0質量%、さらには0.1〜0.7質量%の範囲とすることが好ましい。本発明者らの検討によれば、これらのカルボン酸塩類は、結晶形状調整剤として機能すると考えられ、これらのカルボン酸塩類を添加しないと、特に、連続して改質操作をした場合などに、所望する平均粒径のものを安定して得ることができなくなる場合がある。また、その添加量は、少な過ぎると、改質した二水石膏のアスペクト比が大きくなり、多過ぎると、再結晶化が遅くなると共に薬剤にかかるランニングコストも上昇し、経済的でないという問題もある。結晶調整剤の具体的な添加方法としては、原料石膏を加圧焼成して半水石膏を得る場合には、石膏100質量部に対して、上記したようなカルボン酸塩類を0.1〜2.0質量部の範囲で加圧焼成釜またはその前の原料石膏スラリーに添加すればよい。また、原料石膏を乾式でβ焼成して半水石膏を得る場合には、直接再結晶化反応槽のスラリーに添加すればよい。
また、再結晶化処理をするために反応槽に導入する半水石膏スラリーは、そのpHを7.0±2.0、さらには、7.0±1.5とすることが好ましい。石膏製品に要求される物性の一つにpHがあり、中性近辺のものを望まれることが多い。これに対して、カルボン酸を含む化合物を媒晶剤に使用してα型半水石膏に転移させる際には、溶液のpHをアルカリ側にすると媒晶剤としての効果が出やすい。したがって、製品の品質を考慮すると、改質して得られる石膏原料のpHが中性近辺となるように、上記したような範囲に半水石膏スラリーのpHを調整することが好ましい。
本発明の二水石膏の改質方法の再結晶化工程では、再結晶化反応槽中に、界面活性剤及び/又は消泡剤を1種以上、合計で、0.01〜0.2質量%の範囲で含有させてもよい。この際に使用することができる界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルフォン酸系界面活性剤、アルキルサルフェート系界面活性剤、アルキルエーテルサルフェート系界面活性剤、リグニンスルフォン酸系界面活性剤、ナフタレンスルフォン酸系界面活性剤、ビスフェノール系界面活性剤、ポリカルボン酸系界面活性剤が挙げられる。また、同様に使用できる消泡剤としては、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル型消泡剤、鉱油配合型消泡剤、シリコーン系消泡剤、エマルジョン型消泡剤が挙げられる。このような界面活性剤又は消泡剤を添加すると、再結晶化が終了した後に二水石膏を取り出す際に、黒ずみの原因となるような不純物である汚れ成分を好適に分離することができる。本発明者らの検討によれば、アルキルベンゼンスルフォン酸系界面活性剤やポリカルボン酸系界面活性剤には、結晶調整剤としての効果もあり、これらを併用することで、先に述べた別に添加する結晶調整剤の量を節減できるという利点もある。
本発明の二水石膏の改質方法では、前記したように、上記のような再結晶化工程の後に、再結晶化した二水石膏を分別する工程を設け、平均粒径の大きい改質二水石膏を分別し、さらに、石膏製品の原料としてより価値を高めるために、下記のような処理をすることが好ましい。先にも述べた通り、この分別方法は、白い石膏を得る技術として、本発明の二水石膏の改質技術と切り離して利用することもできる。以下、この分別方法について説明する。再結晶化工程の終了後、改質二水石膏を含有するスラリーから、下記に述べるような水簸法によって、汚れ成分を除去することができる。再結晶化工程で半水石膏を再結晶化することによって、原料石膏に含まれていた可溶性或いは不溶性の不純物は、改質二水石膏と分離されて、スラリーに混合された状態になっている。原料石膏に含まれる不溶性不純物は、多くの場合、平均粒径が30μm以下の微細なもので、改質二水石膏と比較すると沈降速度が小さいため、水簸法を用いることによってスラリー中から不溶性の不純物を良好な状態で分別することが可能である。さらに、水簸法の回数を繰り返すことにより、より純度の高い改質二水石膏を得ることができる。液体サイクロンを利用して分別する方法もあるが、本発明者らの検討によれば、改質二水石膏と、不溶性の不純物が混合した状態の石膏スラリーから、不溶性の不純物のみを分別する方法としては不向きである。これに対し水簸法では、平均粒径の大きな改質二水石膏の結晶の沈降速度が不溶性の不純物よりも早いという沈降速度の差を利用することで、上澄み水を排出することで、不純物を分別除去できる。この場合、同時に平均粒径の小さい改質二水石膏の結晶も一部不純物側に分別されるので、得られる改質二水石膏の平均粒径は更に大きくできる。また、分別されて排出された上澄み水は、半水石膏化工程や再結晶化工程で使用する水として戻して再利用するように構成することができる(図1参照)。このようにすれば、再度、改質処理が行われて、平均粒径の小さい改質二水石膏が、石膏製品の原料として好適な所望の粒径の改質二水石膏に改質される。また、上澄み水を排出した後に残った平均粒径の大きな改質二水石膏の結晶は、再度水を加えてスラリー化し、その後に、遠心分離機、フィルタープレス等の公知の方法で処理して水を分離することで、石膏製品の原料として好適な所望の粒径の改質二水石膏からなる石膏原料になる。また、上記の水を分離する際に、脱水前又は脱水中に清澄な水で洗浄することによって可溶性の不純物を除くことができる(脱水・洗浄工程)。
本発明の二水石膏の改質方法では、半水化工程で、天然石膏や副生石膏の原料石膏中の二水石膏を確実に半水石膏とし、その後に再結晶化工程で、半水石膏を水和・再結晶化して平均粒径の大きい改質二水石膏にし、改質二水石膏を取り出して石膏製品用として好適な石膏原料とすることができる。そして、この一連の工程を連続して行うことができる。図1及び2に、その一例のシステムの概要を示した。例示したシステムでは、半水化工程では2つの反応槽を用い、再結晶化工程では3つの反応槽を用いる。これらの反応槽を用い、図1に示したような手順で、一旦半水石膏にしたものを水和・再結晶化させて全てを改質二水石膏とし、これを分離槽へと導入して、先に述べたような水簸法で、大きな粒径の改質二水石膏を分離する。図1に示したように、この上澄み水は、原料とする二水石膏を溶解するためのスラリー水として、または乾式で焼成した半水石膏を再結晶化する際のスラリー水などとして循環使用することができる。本発明の好ましい形態では、再結晶化工程で再結晶化する際のスラリーの温度条件を80℃よりも高くするために多くの熱エネルギーが必要であるが、上記のようにして温水を回収使用することは、このようなシステム全体の省エネルギーになるので好ましい。さらに、この上澄み水には、α型半水石膏への転移に必要な媒晶剤や再結晶化の際に必要なカルボン酸塩なども含まれているので、これを回収してスラリー水に使用すれば、これらの薬剤の使用量を節減することができるので、ランニングコストを節減でき、経済的である。さらに、上記のようにして繰り返し使用すれば、排水による水質汚染も防ぐことができ、環境保護の面からも有用である。なお、上澄み水を使用した場合は、上澄み水中における上記したような薬剤濃度を所定の方法で分析し、必要量を適宜に添加するように構成すればよい。回収した上澄み水は、既知の沈殿槽、シックナー、濾過機などを経由されることで、不溶性の不純物を分離するように構成することもできる(図1参照)。
本発明の二水石膏の改質方法は、特に、原料石膏を、簡便に、平均粒径が64μm以上で、かつ、軽装嵩密度が0.8以上の結晶化した改質二水石膏にする方法として特に有用である。また、本発明の二水石膏の改質方法によれば、図5に示したような、改質二水石膏の結晶のアスペクト比が5以下の粒径が揃ったものが容易に得られる。本発明者らの検討によれば、半水石膏の再結晶化は、制御をしない場合や、制御がうまくいかない場合には、再結晶化して得られる改質二水石膏のアスペクト比が5を超え、極端な針状結晶が生成する。針状結晶になると、石膏原料の嵩密度が小さくなると共に、このような石膏原料を焼成して焼石膏製品を製造する場合に、必要とする混水量が著しく増加するなどの不具合が生じるので、良好な石膏原料とはいえないものになる。上記にいう改質二水石膏のアスペクト比とは、結晶の長径を短径で除した値のことで、本発明の改質二水石膏のように、平均粒径が60μm以上あれば、倍率100倍程度の光学顕微鏡で容易に観察できる(図5参照)。本発明の二水石膏の改質方法は、改質二水石膏結晶の軽装嵩密度が、0.8以上、さらには0.9以上であることが好ましい。軽装嵩密度はアスペクト比とも関連するが、高い嵩密度を要求される用途もあり、本発明の二水石膏の改質方法は、特に、原料となる二水石膏を、平均粒径が64μm以上で、かつ、軽装嵩密度が0.9以上の結晶化した改質二水石膏にする方法として有用である。改質二水石膏の軽装嵩密度の値が高い場合は、二水石膏の容積を減少できるので、搬送や保存する場合における工業上のメリットもある。なお、二水石膏結晶の軽装嵩密度とは、一定容積の容器に乾燥した二水石膏を突き詰めないで入れた場合の質量のことで、軽装見掛密度、軽装嵩比重、軽装単位容積質量(重量)ということもある。なお、本発明によって得られる改質二水石膏は、用途によっては、脱水・洗浄せずに、再結晶化工程で再結晶化された後、再結晶化反応槽から抜き出したスラリーを石膏製品とすることもできる。
改質する原料として、平均粒径28μmに粉砕した、白色度71、純度95.5%の天然石膏を用意した。先ず、これを2時間程度かけて、150℃のドライヤーで乾式焼成することで、化合水5.2%のβ型半水石膏とした。次に、上記で得られた半水石膏800gと、80.3℃に調整したグルコン酸ナトリウム0.5%溶液1,800gとを、撹拌機及びヒーター付き3リットルの反応槽中でスラリーが均一になるように混合撹拌し、さらに、改質する原料である平均粒径28μmに粉砕した天然石膏20gを加えた。そして80.3℃を維持しながら24時間、上記と同様の条件で撹拌を続けた。その結果、スラリー中の石膏が全て二水石膏に再結晶化していることを確認した。その後、1時間当り、上記半水石膏160gと80.3℃に調整したグルコン酸ナトリウム0.5%溶液360g、改質する原料である平均粒径28μmに粉砕した天然石膏4gをそれぞれを連続して24時間加え、再結晶化処理を行なった。なお、反応槽内のスラリーは、石膏の滞留時間が計算上約5.9時間(一時間当りの抜き出し量の槽内スラリー全量に対する割合(以下、「抜き出し比率」という。)16.9%)となるように抜き出した。抜き出したスラリーから、水簸法で沈降速度の早い固形物を分別し、分別した固形物を40℃で乾燥した。
改質する原料として、平均粒径32μm、純度98.5%の排煙脱硫石膏を用意した。先ず、これを2時間程度かけて、150℃のドライヤーで乾式焼成することで、化合水6.3%のβ型半水石膏とした。得られた半水石膏800gと、83.0℃に調整したマレイン酸0.5%溶液2,000gとを、撹拌機及びヒーター付きの3リットルの反応槽中で、スラリーが均一になるように混合し、さらに、改質する原料である平均粒径32μmの排脱石膏10gを加え、83.0℃を維持しながら24時間、上記と同様の条件で撹拌を続けた。その結果、スラリー中の石膏が全て二水石膏に再結晶化していることを確認した。その後、1時間当り、上記半水石膏160gと、83.0℃に調整したマレイン酸0.5%溶液400g、改質する原料である平均粒径32μmの排脱石膏2gをそれぞれ連続して24時間加え、再結晶化処理を行なった。なお、反応槽内のスラリーは、石膏の滞留時間が計算上約5.4時間(一時間当りの抜き出し比率18.5%)となるように、抜き出した。抜き出したスラリーから、水簸法で沈降速度の早い固形物を分別し、分別した固形物を40℃で乾燥した。
改質する原料として、平均粒径37μm、純度98.6%のリン酸石膏を用意した。先ず、これを2時間程度かけて、150℃のドライヤーで乾式焼成することで、化合水6.1%のβ型半水石膏とした。得られた半水石膏800gと、84.8℃に調整したコハク酸0.5%溶液2000gとを、撹拌機及びヒーター付きの3リットルの反応槽中でスラリーが均一になるように混合し、さらに、改質する原料である平均粒径37μmのリン酸石膏20gを加え、84.8℃を維持しながら24時間、上記と同様の条件で撹拌を続けた。その結果、スラリー中の石膏が全て二水石膏に再結晶化していることを確認した。その後、1時間当り、上記半水石膏160gと84.8℃に調整したコハク酸0.5%溶液400g、改質する原料である平均粒径37μmのリン酸石膏4gをそれぞれ連続して24時間加え、再結晶化処理を行なった。なお、反応槽内のスラリーは、石膏の滞留時間が計算上約5.4時間となるように、(一時間当りの抜き出し比率18.5%)抜き出した。抜き出したスラリーから、水簸法で沈降速度の早い固形物を分別し、分別した固形物を40℃で乾燥した。
改質する原料として、平均粒径22μm、白色度72、純度99.1%の中和石膏を用意し、下記のようにして連続処理を行った。図3に、本実施例で原料とした中和石膏の光学顕微鏡写真を図示したが、大きな結晶は認められなかった。先ず、この原料を、0.5%のコハク酸ナトリウム溶液に入れて混合し、原料を35%含有するスラリーを作成した。次に、このスラリーを、滞留時間が2時間となるように、130℃に加圧調整したオートクレーブ内に、定量供給・定量抜き出しを24時間行なった。上記処理後、オートクレーブから抜き出されてくる原料について調べたところ、固形分は、化合水6.1%のα型半水石膏であり、また、このような半水石膏が連続して得られることを確認した。図4に、上記で得られたα型半水石膏の光学顕微鏡写真を図示した。また、スラリーのpHは、7.2であった。
改質する原料として、平均粒径23μmの中和石膏を用意し、実施例4と同様の方法でα型半水石膏を得た。そして、85.4℃に調整したヒーター及び撹拌機付きの反応槽に連続的に定量供給し、これに、改質原料である中和石膏を、供給する半水石膏に対して0.6%になるように連続的に加えてスラリーが均一になるように撹拌しながら、供給する半水石膏スラリーの滞留時間が8.0時間(一時間当りの抜き出し比率12.5%)となるように調整して、再結晶化処理をした。このようにして24時間連続して定量供給を続けた後、反応槽から抜き出されるスラリーから、水簸法で沈降速度の早い固形物を分別した。
改質する原料として、純度97.2%、平均粒径25μmのポリ塩化アルミニウム副産石膏を用意した。先ず、この原料に、0.2%のコハク酸ナトリウムと0.1%のポリアルキレングリコール系ポリカルボン酸界面活性剤を溶解した溶液を加えて混合し、35%スラリーを作成した。次に、0.4%の水酸化カルシウムを添加して、このスラリーのpHを9.5に調整した、そして、このスラリーを、滞留時間が2時間となるように、130℃に調整したオートクレーブ内に定量供給・定量抜き出しをした。上記処理後、オートクレーブから抜き出されてくる石膏について調べたところ、化合水6.2%のα型半水石膏であり、このような半水石膏が連続的に得られることが確認された。
ナフタレンスルフォン酸系界面活性剤を、焼成前のスラリーに0.1%濃度となるように添加した以外は全て実施例4と同じ方法及び条件で、平均粒径22μmの中和石膏の改質を行った。実施例4と同様に、24時間連続して定量供給を続けた後、反応槽から抜き出されるスラリーから、水簸法で沈降速度の早い固形物を分別した。
市販のポリエーテル系消泡剤を、焼成前のスラリーに0.1%濃度となるように添加した以外は全て実施例4と同じ方法及び条件で、平均粒径22μmの中和石膏の改質を行った。実施例4と同様に、24時間連続して定量供給を続けた後、反応槽から抜き出されるスラリーから、水簸法で沈降速度の早い固形物を分別した。
実施例4において、再結晶化処理の際に種晶として加える、改質原料である中和石膏の添加量を2%に変えた以外は全て実施例4と同じ方法及び条件で、平均粒径22μmの中和石膏の改質を行った。実施例4と同様に、24時間連続して定量供給を続けた後、反応槽から抜き出されるスラリーから、水簸法で沈降速度の早い固形物を分別し、分別した固形物を40℃で乾燥した。この乾燥品についてX線回折で調べたところ、全て二水石膏であり、化合水よりその純度が99.2%に向上したことを確認した。また、その平均粒径を測定したところ、処理前が22μmであったのに対して平均粒径が87μmであり、他の実施例と比べて劣るものの、大きなものに改質されていた。また、その軽装嵩比重は1.1であり、アスペクト比は約2であった。
実施例4において、再結晶化処理の際に種晶として加える、改質原料である中和石膏の添加量を4.8%に変えた以外は全て実施例4と同じ方法及び条件で、平均粒径22μmの中和石膏の改質を行った。実施例4と同様に、24時間連続して定量供給を続けた後、反応槽から抜き出されるスラリーから、水簸法で沈降速度の早い固形物を分別し、分別した固形物を40℃で乾燥した。この乾燥品についてX線回折で調べたところ、全て二水石膏であり、化合水よりその純度は99.1%であった。また、その平均粒径を測定したところ、処理前が22μmであったのに対して平均粒径は64μmであり、他の実施例と比べて劣るものの、大きな粒径のものに改質されていた。軽装嵩比重は1.0、アスペクト比は約2であった。
実施例4において、原料の35%スラリーを作成する際に加えたコハク酸ナトリウム溶液の濃度を0.1%とした以外は、全て実施例4と同じ方法及び条件で、平均粒径22μmの中和石膏の改質を行った。水簸法で沈降速度の早い固形物を分別し、分別した固形物を40℃で乾燥した。この乾燥品についてX線回折で調べたところ、全て二水石膏であり、化合水よりその純度が99.2%に向上したことを確認した。また、その平均粒径を測定したところ、処理前が22μmであったのに対して平均粒径は101μmであり、大きなものに改質されていた。しかし、その軽装嵩比重が0.7と軽く、アスペクト比は約7と大きく、石膏原料としての品質は、他の実施例で得たものに比べて劣っていた。
実施例4において、再結晶化処理の際に種晶として加える中和石膏の添加量を10%に変えた以外は全て実施例4と同じ方法及び条件で、平均粒径22μmの中和石膏の改質を行った。実施例4と同様に、24時間連続して定量供給を続けた後、反応槽から抜き出されるスラリーから、水簸法で沈降速度の早い固形物を分別し、分別した固形物を40℃で乾燥した。この乾燥品についてX線回折で調べたところ、全て二水石膏であった。また、その平均粒径は43μmであり、本発明が所望するような大きなものには改質されていなかった。また、その軽装嵩比重は1.0、アスペクト比は約2であった。
実施例7において、再結晶化反応槽のスラリー温度を60.3℃に維持した以外は、全て実施例7と同じ方法及び条件で、平均粒径22μmの中和石膏の改質を行った。実施例4と同様に、24時間連続して定量供給を続けた後、反応槽から抜き出されるスラリーから、水簸法で沈降速度の早い固形物を分別し、分別した固形物を40℃で乾燥した。この乾燥品についてX線回折で調べたところ、全て二水石膏であり、化合水よりその純度が99.1%であった。また、その平均粒径を測定したところ、処理前が22μmであったのに対して50μmと、実施例の場合と比較して小さく、軽装嵩比重を調べたところ0.7と軽かった。ハンター白色度は87であり、特に白色の石膏に適した原料であった。
実施例3において、再結晶化反応槽のスラリー温度を92.0℃に維持した以外は、全て実施例3と同じ方法及び条件で、平均粒径37μmのリン酸石膏の改質を行った。水簸法で沈降速度の早い固形物を分別し、分別した固形物を40℃で乾燥した。この乾燥品の化合水は11.0%で、X線回折で調べたところ、半水石膏のピークが大きく残っており、再結晶化が終了していないことが確認された。
実施例3において、再結晶化反応槽のスラリー温度を60.3℃に維持した以外は、全て実施例3と同じ方法及び条件で、平均粒径37μmのリン酸石膏の改質を行った。水簸法で沈降速度の早い固形物を分別し、分別した固形物を40℃で乾燥した。この乾燥品についてX線回折で調べたところ、全て二水石膏であったが、その平均粒径は51μmと実施例の場合と比較して小さく、その軽装嵩比重も0.7と軽かった。
実施例3において、再結晶化反応槽のスラリー温度を70.1℃に維持した以外は全て実施例3と同じ方法及び条件で、平均粒径37μmのリン酸石膏の改質を行った。水簸法で分別した固形物を40℃で乾燥した乾燥品についてX線回折で調べたところ、全て二水石膏であった。また、平均粒径は58μmと実施例の場合と比較して小さかった。さらに、軽装嵩比重は0.9であった。
実施例4において、供給する半水石膏スラリーの滞留時間が3.5時間(一時間当りの抜き出し比率28.6%)となるように調整して、再結晶化処理をした以外は全て実施例4と同じ方法及び条件で、平均粒径22μmの中和石膏の改質を行った。実施例4と同様に、24時間連続して定量供給を続けた後、反応槽から抜き出されるスラリーから、水簸法で沈降速度の早い固形物を分別し、分別した固形物を40℃で乾燥した。そして、X線回折で調べたところ、二水石膏と半水石膏が混在していて、再結晶化が終了していないことが確認された。
Claims (17)
- (a)出発原料とする二水石膏を湿式焼成又は乾式焼成して半水石膏にする半水化工程、
(b)上記半水石膏を再結晶化反応槽内の水性スラリーへ供給する仕込み工程、
(c)上記半水石膏を水和・再結晶化させて上記原料とする二水石膏とは別の結晶形態である改質二水石膏とする再結晶化工程、
(d)上記改質二水石膏の一部を上記再結晶化反応槽より抜き出す抜き出し工程を有し、
少なくとも上記(b)乃至(d)の工程を連続的又は間歇的に行うこと、
上記(b)の仕込み工程における半水石膏の供給量と、上記(d)の抜き出し工程における改質二水石膏の抜き出し量とが実質的に等量であること、
上記(c)の再結晶化工程において、再結晶化反応槽中で水性スラリーが固液分離しないよう均一になるように攪拌しつつ一定の温度に保持すること、
を特徴とする二水石膏の連続式改質方法。 - 前記(b)の仕込み工程における半水石膏の供給量と、前記(d)の抜き出し工程における上記改質二水石膏の抜き出し量がいずれも、一時間当り、前記再結晶化反応槽内の全石膏量の20%以下である請求項1に記載の二水石膏の連続式改質方法。
- 前記(c)の再結晶化工程における再結晶化反応槽中における水性スラリーの温度が、80℃よりも高く、かつ、90℃以下の温度である請求項1又は2に記載の二水石膏の連続式改質方法。
- 前記(c)の再結晶化工程における再結晶化反応槽中に、種晶となる二水石膏を、再結晶化反応槽へ供給する半水石膏に対して0.01質量%以上5質量%未満の範囲で、連続または間歇して添加する請求項1〜3のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法。
- 前記種晶として添加する二水石膏の平均粒径が、30μm以下である請求項4に記載の二水石膏の連続式改質方法。
- 前記(a)の半水化工程において湿式焼成を行う場合の水性スラリー中、又は前記(c)の再結晶化工程における水性スラリー中の少なくとも一方に、前記原料とする二水石膏中に含まれる黒ずみ成分を除去するための界面活性剤及び/又は消泡剤を、前記原料とする二水石膏に対して0.01〜0.2質量%の範囲で添加する請求項1〜5のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法。
- 前記界面活性剤が、アルキルベンゼンスルフォン酸系界面活性剤、アルキルサルフェート系界面活性剤、アルキルエーテルサルフェート系界面活性剤、リグニンスルフォン酸系界面活性剤、ナフタレンスルフォン酸系界面活性剤、ビスフェノール系界面活性剤及びポリカルボン酸系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項6記載の二水石膏の連続式改質方法。
- 前記消泡剤が、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル型消泡剤、鉱油配合型消泡剤、シリコーン系消泡剤及びエマルジョン型消泡剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載の二水石膏の連続式改質方法。
- さらに、前記(c)の再結晶化工程において、再結晶化した二水石膏スラリーを再結晶化反応槽から抜き出した後に、(e)不溶性不純物の少ない、粒径の大きい二水石膏を分別する分別工程、を設けた請求項1〜8のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法。
- 前記(e)の分別工程において、再結晶化した二水石膏スラリーを再結晶化反応槽から抜き出した後に、不溶性不純物の少ない、粒径の大きい二水石膏を分別する工程として、二水石膏を水中で撹拌及び静置し、その沈降速度の速い大きい結晶を分離する工程と、上記で分別した二水石膏を脱水・洗浄して最終生成物とする脱水洗浄工程とを設ける請求項9に記載の二水石膏の連続式改質方法。
- 前記(a)の半水化工程において、焼成装置を2基以上使用する多段式で、乾式焼成又は湿式焼成を連続的に行う請求項1に記載の二水石膏の連続式改質方法。
- 前記(c)の再結晶化工程において、再結晶化反応槽を2基以上直列につないで、再結晶化を多段式に行う請求項1〜11のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法。
- 前記(a)の半水化工程で湿式焼成を行う場合の水性スラリー中、又は前記(c)の再結晶化工程における水性スラリー中の少なくとも一方に、グルコン酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、リンゴ酸、アクリル酸及びポリカルボン酸又はこれらの塩からなる群から選択されるいずれか1種若しくは2種以上の媒晶剤を、二水石膏に対して0.1〜2.0質量%の範囲で添加する請求項1〜11のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法。
- 前記原料とする二水石膏の平均粒径が、30μm以下の大きさである請求項1〜12のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法。
- 前記改質二水石膏の平均粒径が64μm以上である請求項1〜14のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法。
- 前記改質二水石膏の軽装嵩密度が0.8以上である請求項1〜15のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法。
- 請求項1〜16のいずれか1項に記載の二水石膏の連続式改質方法で改質されてなることを特徴とする二水石膏。
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