JP2005014389A - インクジェット紙用石膏スラリー - Google Patents
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Abstract
【課題】インクの吸収性が良く、印刷インクの滲み現象を生じない高画像濃度で発色性の良い安価なインクジェット紙を得ることができるインクジェット紙用の石膏スラリーを得る。
【解決手段】平均粒子径3〜15μmの石膏と平均粒子径0.5〜20μmのシリカを、石膏/シリカ質量比で90/10〜50/50の割合で含有することを特徴とするインクジェット紙用石膏スラリーである。本発明のインクジェット紙用石膏スラリーは、インクジェット紙用に適する塗工スラリーであり、塗工した紙へのインクの吸収性が早く、しかも印刷インクの滲み現象を生じないという特徴を有する。また、シリカ等の原料に代えて石膏という安価な原料を使用したことで、安価にインクジェット紙を製造することに好適である。また本発明の石膏スラリーの使用により、高画像濃度で発色性の良いインクジェット紙を得ることができる。
【選択図】 なし
【解決手段】平均粒子径3〜15μmの石膏と平均粒子径0.5〜20μmのシリカを、石膏/シリカ質量比で90/10〜50/50の割合で含有することを特徴とするインクジェット紙用石膏スラリーである。本発明のインクジェット紙用石膏スラリーは、インクジェット紙用に適する塗工スラリーであり、塗工した紙へのインクの吸収性が早く、しかも印刷インクの滲み現象を生じないという特徴を有する。また、シリカ等の原料に代えて石膏という安価な原料を使用したことで、安価にインクジェット紙を製造することに好適である。また本発明の石膏スラリーの使用により、高画像濃度で発色性の良いインクジェット紙を得ることができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット紙用石膏スラリーに関し、更に詳しくは、インクの吸収性が良く、印刷インクの滲み現象を生じない高画像濃度で発色性の良い安価なインクジェット紙を得ることができるインクジェット紙用の石膏スラリーに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、記録時の騒音が少なく、カラー化が容易であること、更には高速記録が容易であり、プリンター本体機器が安価に製造できることなどにより、広い分野で利用されるようになっている。
しかし、インクジェット記録方式の高速化、高精細化などの性能向上に伴い、受像体である記録用紙に対してもより高度な特性が要求されるようになっている。この様な特性には、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合でもインクの流れ出しや滲み現象を生じないことなどがある。特にカラー記録の場合には、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの単色記録だけでなく、これらの色剤の多重記録がされるため、インクの付着量が更に多くなり、上記特性を満足することは一層難題となる。
【0003】
また、従来より紙用塗工液としてシリカや炭酸カルシウム等の無機多孔性物質を水スラリー化してこれを紙の表面改質に使用する方法が知られている。しかし、シリカのみを塗工液に使用すると紙質が堅くなり、紙を切断した際に粉散りが多く発生するという問題がある。また、炭酸カルシウムのみの使用では、インクの吸収性が悪く、通気性が低いためにインクの速乾性が低く、インクジェット用としては不向きであるだけでなく、処理した紙の価格が高くなり経済的に不利であるため満足できるものではなかった。
【0004】
この様な技術背景の基に、インクジェット用記録用紙に係る問題を解決するため、従来より多くのインクジェット紙用の材料技術が提案されている。例えば、インクジェット記録用紙の受容層に平均粒子径が20nm以下のシリカ微細粒子と水溶性アルミニウム化合物を含有させたインクジェット記録用シートに関する技術が開示されている。(特許文献1参照)
また、インクジェット記録媒体のインク吸収層に、窒素吸着法で求めた細孔径分布に於ける細孔直径が1〜200nmのケイ素、アルミニウム、ジルコニウム等の金属酸化物からなる無機多孔性物質と、シリカ及びラテックスポリマーを含有させる技術が開示されている。(特許文献2参照)
しかし、特許文献1及び2の技術は、インク顔料の保持をアルミニウムやラテックスポリマーとの反応等によって保持しようとするものであり、インクの吸収速度は速いもののその保持容量が少なく、前述のような多色記録には適さないという問題がある。
【0005】
更に別の技術として、粒径が0.1〜1μmの重質炭酸カルシウムをインクジェット記録シート用材料として塗工液に使用する技術が開示されている。(特許文献3参照)
しかし、特許文献3の技術は、印刷インクの保持量ではある程度優れるものの、インクの吸収速度とインクの乾燥性の問題が残り、滲みの問題即ち、印字ドットの横方向への拡散が多いという問題があり、また塗工材料としては高価である。
【0006】
更に、紙用填料として、平均粒子径が5μm以下の石膏と炭酸カルシウムを含有した石膏水スラリーが知られている。(特許文献4参照)
しかし、このような石膏水スラリーは、填料として使用されるものであって、インクジェット紙用の塗工液として使用してもインクの滲みの問題は解消できない。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−309157号公報
【特許文献2】
特開2002−144715号公報
【特許文献3】
特開2002−234247号公報
【特許文献4】
特開2000−1313号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは前述のような状況に於いて、インクジェット紙用に適する塗工スラリーとして、インクの吸収性が早く、しかも印刷インクの滲み現象を生じない、高画像濃度で発色性の良い安価なインクジェット紙を得ることができる材料として、石膏とシリカに着目し鋭意検討を重ねた。即ち、シリカは従来より紙用塗工材料として使用されているが、シリカのみの使用ではスラリーの濃度を高くすることに限界があり、また紙質が堅くなるため紙を切断した際の粉散りが多くなる問題がある。
【0009】
また、石膏はスラリーの濃度を高くすることができ、紙質も柔らかくでき紙を切断した際の紙粉も発生し難いものの、今までは紙の填料として使用されていたに留まり、インクジェット紙用の塗工材料として本格的に検討されたことはなかった。
石膏のみの使用では、石膏の粒子径が小さくなる程インクの保持量が少なくなり、反対に粒子径が大きくなる程インク保持量は向上するものの、依然としてインクの滲みの現象が解消されないためと思われる。
本発明者らは、このような状況に於いて、シリカに代えて安価なスラリー原料として石膏を使用する方法について検討を重ねた結果、石膏とシリカの粒度の関係に於いて、特定範囲の粒度条件下で特徴的にインクジェット紙用の塗工材料として優れた石膏スラリーが得られることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成したものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は平均粒子径3〜15μmの石膏と平均粒子径0.5〜20μmのシリカを、石膏/シリカ質量比で90/10〜50/50の割合で含有することを特徴とするインクジェット紙用石膏スラリーに関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する石膏の種類としては、無水石膏、半水石膏、二水石膏等であるが、より好ましくは二水石膏である。また、これら石膏は、天然石膏、排脱石膏、チタン石膏等の副生石膏等、産出状態に関係なくこれを使用することができる。
また、インクジェット記録方式は、インク顔料あるいは染料としてイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの顔料インクを使用し、白色は印刷用紙の白色に依存するため、本発明で使用する石膏の白色度に関しては、出来るだけ白色度が高いことが望ましく、その白色度は80以上であることが必要である。
尚、本発明で云う白色度とは、ハンター白色度(JIS P8123「紙パルプのハンター白色度試験方法」で定義される白色度)を云う。
【0012】
このような石膏は、水に分散しスラリー状化しながら粉砕を行い、その平均粒子径を3〜15μmとなるように湿式粉砕を行う。また粉砕時の石膏の濃度は、粉砕効率の面で50質量%以上で行うことが望ましい。
湿式粉砕の方法としては、石膏を水スラリー化し、これをアぺックスミル、コーポミル、パールミル、ダイヤモンドファインミル、ビスコミル等のビーズ充填式湿式粉砕機等の粉砕機を使用して行えばよい。
【0013】
次いで、本発明で使用するシリカとしては、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸アルカリ塩と硫酸等の鉱酸との反応によって得られる沈降性シリカが最も推奨されるが、ゲル状シリカであってもよい。
また、シリカの白色度に関しても石膏と同様の理由により、その白色度は80以上であることが必要である。
更に、シリカの粒子径に関しては、平均粒子径が0.5〜20μmのものを使用する。
このシリカの平均粒子径の調整方法としては、例えば沈降性シリカの製造時に調整することもできるし、製造後の沈降性シリカ粉末を適当な乾式粉砕機を用いて粉砕を行い、目的とする平均粒子径に調整してもよい。
尚、本発明で云う平均粒子径とは、レーザー式粒度分布計(Leeds+Northrup社製,マイクロトラックHRA型)によって測定される平均粒子径を云う。
【0014】
本発明では、上記のようにして製造した平均粒子径3〜15μmの石膏スラリーにシリカを撹拌を行いながら添加し、シリカを含有する石膏スラリーを調製する。この場合の混合割合は、石膏とシリカとが石膏/シリカ質量比で90/10〜50/50の割合となるように石膏スラリーにシリカを添加することが重要である。
即ち、石膏とシリカの割合が石膏/シリカ質量比で90/10よりも石膏量が多くなると、インクの滲み現象が発生するようになり、反対に石膏/シリカ質量比が50/50よりもシリカ量が多くなると、紙に塗工した際の紙質が堅くなるだけでなく、スラリー状態の維持が困難となるため、スラリーの固形分濃度を低くせざるを得ず、スラリーの低濃度化により塗工コストが高くなるためインクジェット用塗工スラリーとして不適となる。
また、混合時の石膏とシリカとの水スラリー中の濃度は、通常は固形分濃度を50質量%以上で行うことが、スラリーの粉砕、輸送効率等の面で望ましい。
【0015】
このような本発明の石膏スラリーは、紙への塗工時に、固形分濃度が30質量%程度になるようにスラリーを水等で希釈して使用する。
通常、シリカのみを塗工スラリーに使用すると、この濃度は25質量%程度が上限となる。また塗工時の石膏スラリー粘度は、2000mPa・s以下であることが望ましい。即ち、塗工時の石膏スラリーの粘度が2000mPa・sを越えると紙への塗工面が不均一となり、インクジェット用紙面のインクの付着が不均一となることで好ましくない。
【0016】
本発明は、このように平均粒子径3〜15μmの石膏と平均粒子径0.5〜20μmのシリカを、石膏/シリカ質量比で90/10〜50/50の割合で含有する石膏スラリーをインクジェット紙用の石膏スラリーとして使用することにより、優れたインクジェット用紙を得ることができる。
即ち、本発明の石膏スラリーの特徴は、これを使用することにより、インクの吸収性が早く、しかも印刷インクの滲み現象を生じない、高画像濃度で発色性の良い安価なインクジェット紙を得ることができることにある。本発明の石膏スラリーが、何故このような効果を発現するかについて、その理由は定かでないが、概ね次のような理由によるものと推定される。
スラリー中石膏の粒子径は、平均粒子径3〜15μmである。通常、この粒子径の石膏のみを使用した場合には、インクジェットでのインクの吸収量は多いものの、インクの滲み現象は解消しない。即ち、これは印字ドットの縦方向への拡散は多いが、横方向への拡散も多いためと推定される。しかし、これに平均粒子径0.5〜20μmのシリカを加えたことにより、石膏粒子とシリカ粒子とが相互に充填された層を形成し、印字ドットの横方向の拡散が少なくなり、縦方向への拡散のみが生じることによるものと推定される。
【0017】
本発明では、石膏粒子の粒度の幅が更に狭くなる程、この効果はより顕著なものとなり、石膏の粒子径に於いて、2〜13μmの石膏が、全石膏量に対して80質量%以上であれば、よりインクの滲みが少なくなる。
【0018】
本発明のインクジェット紙用石膏スラリーは、その使用時即ち、紙への塗工時に適当な分散剤を添加して使用することは一向に差し支えなく、このような分散剤としては、縮合りん酸塩、ポリアクリル酸塩等が挙げられるが、本発明の最も推奨する分散剤は、カルボキシメチルセルロース、クエン酸ナトリウム、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物等である。
【0019】
本発明の石膏スラリーは、上記のような分散剤の他、必要に応じて結合剤、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、顔料、顔料分散剤、発泡剤、離型剤、浸透剤、湿潤剤、滑剤、染料、蛍光増白剤等の各種助剤などを添加しておいてもよい。
また、本発明インクジェット紙用石膏スラリーの紙への塗工方法としては、特段制限はなく、通常製紙工業に於いて行われている塗工手段、ロールコーター、ゲートロール、サイズプレス、バーコーター等を使用して塗工を行えばよい。
更に、本発明石膏スラリーを使用する紙の種類に関しても特段制限はなく、セルロースパルプを主原料とした酸性紙、中性紙、コート紙の他、合成紙、ラミネート紙等に使用することができる。
【0020】
【実施例】
以下に本発明の実施例を掲げ更に具体的に説明を行うが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、実施例に於いて、%は特に断らない限り全て質量%を云う。
【0021】
[実施例1]
塩基性塩化アルミニウム製造時に副生した石膏粉末(平均粒子径40μm,白色度82)を原料として使用し、石膏スラリーを製造した。
石膏粉末2200gとカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学(株)製,1105)22gを混合し、これに水1765gとクエン酸ナトリウム13gを加えよく混合した。
次いで、これをビーズ式湿式粉砕機(神鋼パンテック(株)社製,コボールミル)に入れ粉砕を行った。尚、この時の石膏スラリーの濃度は55%であった。
同様の操作を行い、粉砕時間をそれぞれ10〜60分とすることにより、各平均粒子径の異なる石膏スラリーを得た。
別に、シリカ粉末(平均粒子径22μm,多木化学(株)製ゼオシール1100V,白色度95)を用い、粉砕機(中央化工機(株)製,振動ボールミル)によって粉砕時間をそれぞれ10〜60分とすることにより各平均粒子径の異なるシリカ粉末を得た。
【0022】
次に、表1に示した割合で各平均粒子径の異なる前記石膏スラリーとシリカ粉末とを混合した。
尚、混合方法は、各平均粒子径の石膏スラリー63.6gに水45.9gを加え、これにシリカ粉末15.4gと消泡剤(サンノプコ社製,SN−DEFOAMER444)0.1gを加え、ホモジナイザーで10000rpm、15分間攪拌する方法により行った(石膏/シリカ質量比70/30)。
【0023】
このようにして得られた塗工液を、塗工機(AUTOMATIC FILM APPLICATOR(YASUDA SEIKI製))により、ワイヤーバーRDS20#を使用してPPC用紙に塗工した。尚、塗工量(固形分量)は17g/m2とした。塗工した紙を乾燥した後、これをヒューレット・パッカード製プリンター(DESKJET 5551)で印刷を行い、印刷10分後のインキの滲み状態を目視観察した。結果を表1に示した。
【0024】
【表1】
【0025】
[実施例2]
塩基性塩化アルミニウム製造時に副生した石膏粉末(平均粒子径40μm,白色度82)を原料として使用し、石膏スラリーを製造した。
石膏粉末2200gとカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学(株)製,1105)22gを混合し、これに水1765gとクエン酸ナトリウム13gを加えよく混合した。
次いで、これをビーズ式湿式粉砕機(神鋼パンテック(株)社製,コボールミル)に入れ40分間粉砕を行った。尚、この時の石膏スラリーの濃度は55%であり、平均粒子径は8.2μmであった。
別に、シリカ粉末(平均粒子径22μm,多木化学(株)製ゼオシール1100V,白色度95)を用い、粉砕機(中央化工機(株)製,振動ボールミル)によって30分間粉砕を行い、平均粒子径8.5μmのシリカ粉末を得た。
【0026】
次に、表2に示した割合で上記石膏スラリーとシリカ粉末とを混合した。
尚、混合方法は、石膏スラリー中の石膏固形分量と粉末シリカ量とをそれぞれ表2の割合となるように混合し、これに水を加え全量125gとなるようにスラリーを調製し、これに消泡剤(サンノプコ社製,SN−DEFOAMER444)0.1gを加え、ホモジナイザーで10000rpm、15分間攪拌する方法により行った。
【0027】
このようにして得られた塗工液を、塗工機(AUTOMATIC FILM APPLICATOR(YASUDA SEIKI製))により、ワイヤーバーRDS20#を使用してPPC用紙に塗工した。尚、塗工量(固形分量)は17g/m2とした。塗工した紙を乾燥した後、これをヒューレット・パッカード製プリンター(DESKJET 5551)で印刷を行い、印刷10分後のインキの滲み状態を目視観察した。
結果を表2に示した。
【0028】
【表2】
【0029】
[実施例3]
排煙脱硫処理後に副生した石膏粉末(平均粒子径100μm,白色度80)を原料として使用し、石膏スラリーを製造した。
石膏粉末2200gとカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学(株)製,1105)22gを混合し、これに水1765gとクエン酸ナトリウム13gを加えよく混合した。
次いで、これをビーズ式湿式粉砕機(神鋼パンテック(株)社製,コボールミル)に入れ粉砕を行った。粉砕時間は80分、粉砕機回転数は750rpmとした。尚、この時の石膏スラリーの濃度は55%であった。粉砕後の石膏スラリーの石膏粒子径を測定した結果、平均粒子径は8.5μmであり、粒子径2〜13μmの石膏の含量は全石膏量に対して85%であった。
別に、シリカ粉末(平均粒子径22μm,多木化学(株)製ゼオシール1100V)を用い、粉砕機(中央化工機(株)製,振動ボールミル)によって粉砕を30分間行うことにより平均粒子径8.5μmのシリカ粉末を得た。
また同様に、上記石膏粉末をビーズ式湿式粉砕機に入れ、粉砕機回転数1500rpmで30分間粉砕を行い石膏スラリーを得た。粉砕後の石膏スラリーの石膏粒子径を測定した結果、平均粒子径は8.2μmであり、粒子径2〜13μmの石膏の含量は全石膏量に対して73%であった。
これらの粉砕石膏を用い、石膏とシリカの含量が石膏:シリカ質量比で70/30となるように混合し、石膏スラリー液を調製した。
尚、混合方法は、各粉砕方法の異なる石膏スラリーに水を加え、これらにそれぞれシリカ粉末と消泡剤(サンノプコ社製,SN−DEFOAMER444)0.1gを加え、ホモジナイザーで10000rpm、15分間攪拌する方法により行った。
【0030】
このようにして得られた塗工液を、塗工機(AUTOMATIC FILM APPLICATOR(YASUDA SEIKI製))により、ワイヤーバーRDS20#を使用してPPC用紙に塗工した。尚、塗工量(固形分量)は17g/m2とした。塗工した紙を乾燥した後、これをヒューレット・パッカード製プリンター(DESKJET 5551)で印刷を行い、印刷10分後のインキの滲み状態を目視観察した。
結果を表3に示した。
【0031】
【表3】
【0032】
【発明の効果】
本発明のインクジェット紙用石膏スラリーは、インクジェット紙用に適する塗工スラリーであり、塗工した紙へのインクの吸収性が早く、しかも印刷インクの滲み現象を生じないという特徴を有する。また、炭カル等の原料に代えて石膏という安価な原料を使用したことで、安価にインクジェット紙を製造することに好適である。また本発明の石膏スラリーの使用により、高画像濃度で発色性の良いインクジェット紙を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット紙用石膏スラリーに関し、更に詳しくは、インクの吸収性が良く、印刷インクの滲み現象を生じない高画像濃度で発色性の良い安価なインクジェット紙を得ることができるインクジェット紙用の石膏スラリーに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、記録時の騒音が少なく、カラー化が容易であること、更には高速記録が容易であり、プリンター本体機器が安価に製造できることなどにより、広い分野で利用されるようになっている。
しかし、インクジェット記録方式の高速化、高精細化などの性能向上に伴い、受像体である記録用紙に対してもより高度な特性が要求されるようになっている。この様な特性には、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合でもインクの流れ出しや滲み現象を生じないことなどがある。特にカラー記録の場合には、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの単色記録だけでなく、これらの色剤の多重記録がされるため、インクの付着量が更に多くなり、上記特性を満足することは一層難題となる。
【0003】
また、従来より紙用塗工液としてシリカや炭酸カルシウム等の無機多孔性物質を水スラリー化してこれを紙の表面改質に使用する方法が知られている。しかし、シリカのみを塗工液に使用すると紙質が堅くなり、紙を切断した際に粉散りが多く発生するという問題がある。また、炭酸カルシウムのみの使用では、インクの吸収性が悪く、通気性が低いためにインクの速乾性が低く、インクジェット用としては不向きであるだけでなく、処理した紙の価格が高くなり経済的に不利であるため満足できるものではなかった。
【0004】
この様な技術背景の基に、インクジェット用記録用紙に係る問題を解決するため、従来より多くのインクジェット紙用の材料技術が提案されている。例えば、インクジェット記録用紙の受容層に平均粒子径が20nm以下のシリカ微細粒子と水溶性アルミニウム化合物を含有させたインクジェット記録用シートに関する技術が開示されている。(特許文献1参照)
また、インクジェット記録媒体のインク吸収層に、窒素吸着法で求めた細孔径分布に於ける細孔直径が1〜200nmのケイ素、アルミニウム、ジルコニウム等の金属酸化物からなる無機多孔性物質と、シリカ及びラテックスポリマーを含有させる技術が開示されている。(特許文献2参照)
しかし、特許文献1及び2の技術は、インク顔料の保持をアルミニウムやラテックスポリマーとの反応等によって保持しようとするものであり、インクの吸収速度は速いもののその保持容量が少なく、前述のような多色記録には適さないという問題がある。
【0005】
更に別の技術として、粒径が0.1〜1μmの重質炭酸カルシウムをインクジェット記録シート用材料として塗工液に使用する技術が開示されている。(特許文献3参照)
しかし、特許文献3の技術は、印刷インクの保持量ではある程度優れるものの、インクの吸収速度とインクの乾燥性の問題が残り、滲みの問題即ち、印字ドットの横方向への拡散が多いという問題があり、また塗工材料としては高価である。
【0006】
更に、紙用填料として、平均粒子径が5μm以下の石膏と炭酸カルシウムを含有した石膏水スラリーが知られている。(特許文献4参照)
しかし、このような石膏水スラリーは、填料として使用されるものであって、インクジェット紙用の塗工液として使用してもインクの滲みの問題は解消できない。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−309157号公報
【特許文献2】
特開2002−144715号公報
【特許文献3】
特開2002−234247号公報
【特許文献4】
特開2000−1313号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは前述のような状況に於いて、インクジェット紙用に適する塗工スラリーとして、インクの吸収性が早く、しかも印刷インクの滲み現象を生じない、高画像濃度で発色性の良い安価なインクジェット紙を得ることができる材料として、石膏とシリカに着目し鋭意検討を重ねた。即ち、シリカは従来より紙用塗工材料として使用されているが、シリカのみの使用ではスラリーの濃度を高くすることに限界があり、また紙質が堅くなるため紙を切断した際の粉散りが多くなる問題がある。
【0009】
また、石膏はスラリーの濃度を高くすることができ、紙質も柔らかくでき紙を切断した際の紙粉も発生し難いものの、今までは紙の填料として使用されていたに留まり、インクジェット紙用の塗工材料として本格的に検討されたことはなかった。
石膏のみの使用では、石膏の粒子径が小さくなる程インクの保持量が少なくなり、反対に粒子径が大きくなる程インク保持量は向上するものの、依然としてインクの滲みの現象が解消されないためと思われる。
本発明者らは、このような状況に於いて、シリカに代えて安価なスラリー原料として石膏を使用する方法について検討を重ねた結果、石膏とシリカの粒度の関係に於いて、特定範囲の粒度条件下で特徴的にインクジェット紙用の塗工材料として優れた石膏スラリーが得られることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成したものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は平均粒子径3〜15μmの石膏と平均粒子径0.5〜20μmのシリカを、石膏/シリカ質量比で90/10〜50/50の割合で含有することを特徴とするインクジェット紙用石膏スラリーに関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する石膏の種類としては、無水石膏、半水石膏、二水石膏等であるが、より好ましくは二水石膏である。また、これら石膏は、天然石膏、排脱石膏、チタン石膏等の副生石膏等、産出状態に関係なくこれを使用することができる。
また、インクジェット記録方式は、インク顔料あるいは染料としてイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの顔料インクを使用し、白色は印刷用紙の白色に依存するため、本発明で使用する石膏の白色度に関しては、出来るだけ白色度が高いことが望ましく、その白色度は80以上であることが必要である。
尚、本発明で云う白色度とは、ハンター白色度(JIS P8123「紙パルプのハンター白色度試験方法」で定義される白色度)を云う。
【0012】
このような石膏は、水に分散しスラリー状化しながら粉砕を行い、その平均粒子径を3〜15μmとなるように湿式粉砕を行う。また粉砕時の石膏の濃度は、粉砕効率の面で50質量%以上で行うことが望ましい。
湿式粉砕の方法としては、石膏を水スラリー化し、これをアぺックスミル、コーポミル、パールミル、ダイヤモンドファインミル、ビスコミル等のビーズ充填式湿式粉砕機等の粉砕機を使用して行えばよい。
【0013】
次いで、本発明で使用するシリカとしては、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸アルカリ塩と硫酸等の鉱酸との反応によって得られる沈降性シリカが最も推奨されるが、ゲル状シリカであってもよい。
また、シリカの白色度に関しても石膏と同様の理由により、その白色度は80以上であることが必要である。
更に、シリカの粒子径に関しては、平均粒子径が0.5〜20μmのものを使用する。
このシリカの平均粒子径の調整方法としては、例えば沈降性シリカの製造時に調整することもできるし、製造後の沈降性シリカ粉末を適当な乾式粉砕機を用いて粉砕を行い、目的とする平均粒子径に調整してもよい。
尚、本発明で云う平均粒子径とは、レーザー式粒度分布計(Leeds+Northrup社製,マイクロトラックHRA型)によって測定される平均粒子径を云う。
【0014】
本発明では、上記のようにして製造した平均粒子径3〜15μmの石膏スラリーにシリカを撹拌を行いながら添加し、シリカを含有する石膏スラリーを調製する。この場合の混合割合は、石膏とシリカとが石膏/シリカ質量比で90/10〜50/50の割合となるように石膏スラリーにシリカを添加することが重要である。
即ち、石膏とシリカの割合が石膏/シリカ質量比で90/10よりも石膏量が多くなると、インクの滲み現象が発生するようになり、反対に石膏/シリカ質量比が50/50よりもシリカ量が多くなると、紙に塗工した際の紙質が堅くなるだけでなく、スラリー状態の維持が困難となるため、スラリーの固形分濃度を低くせざるを得ず、スラリーの低濃度化により塗工コストが高くなるためインクジェット用塗工スラリーとして不適となる。
また、混合時の石膏とシリカとの水スラリー中の濃度は、通常は固形分濃度を50質量%以上で行うことが、スラリーの粉砕、輸送効率等の面で望ましい。
【0015】
このような本発明の石膏スラリーは、紙への塗工時に、固形分濃度が30質量%程度になるようにスラリーを水等で希釈して使用する。
通常、シリカのみを塗工スラリーに使用すると、この濃度は25質量%程度が上限となる。また塗工時の石膏スラリー粘度は、2000mPa・s以下であることが望ましい。即ち、塗工時の石膏スラリーの粘度が2000mPa・sを越えると紙への塗工面が不均一となり、インクジェット用紙面のインクの付着が不均一となることで好ましくない。
【0016】
本発明は、このように平均粒子径3〜15μmの石膏と平均粒子径0.5〜20μmのシリカを、石膏/シリカ質量比で90/10〜50/50の割合で含有する石膏スラリーをインクジェット紙用の石膏スラリーとして使用することにより、優れたインクジェット用紙を得ることができる。
即ち、本発明の石膏スラリーの特徴は、これを使用することにより、インクの吸収性が早く、しかも印刷インクの滲み現象を生じない、高画像濃度で発色性の良い安価なインクジェット紙を得ることができることにある。本発明の石膏スラリーが、何故このような効果を発現するかについて、その理由は定かでないが、概ね次のような理由によるものと推定される。
スラリー中石膏の粒子径は、平均粒子径3〜15μmである。通常、この粒子径の石膏のみを使用した場合には、インクジェットでのインクの吸収量は多いものの、インクの滲み現象は解消しない。即ち、これは印字ドットの縦方向への拡散は多いが、横方向への拡散も多いためと推定される。しかし、これに平均粒子径0.5〜20μmのシリカを加えたことにより、石膏粒子とシリカ粒子とが相互に充填された層を形成し、印字ドットの横方向の拡散が少なくなり、縦方向への拡散のみが生じることによるものと推定される。
【0017】
本発明では、石膏粒子の粒度の幅が更に狭くなる程、この効果はより顕著なものとなり、石膏の粒子径に於いて、2〜13μmの石膏が、全石膏量に対して80質量%以上であれば、よりインクの滲みが少なくなる。
【0018】
本発明のインクジェット紙用石膏スラリーは、その使用時即ち、紙への塗工時に適当な分散剤を添加して使用することは一向に差し支えなく、このような分散剤としては、縮合りん酸塩、ポリアクリル酸塩等が挙げられるが、本発明の最も推奨する分散剤は、カルボキシメチルセルロース、クエン酸ナトリウム、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物等である。
【0019】
本発明の石膏スラリーは、上記のような分散剤の他、必要に応じて結合剤、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、顔料、顔料分散剤、発泡剤、離型剤、浸透剤、湿潤剤、滑剤、染料、蛍光増白剤等の各種助剤などを添加しておいてもよい。
また、本発明インクジェット紙用石膏スラリーの紙への塗工方法としては、特段制限はなく、通常製紙工業に於いて行われている塗工手段、ロールコーター、ゲートロール、サイズプレス、バーコーター等を使用して塗工を行えばよい。
更に、本発明石膏スラリーを使用する紙の種類に関しても特段制限はなく、セルロースパルプを主原料とした酸性紙、中性紙、コート紙の他、合成紙、ラミネート紙等に使用することができる。
【0020】
【実施例】
以下に本発明の実施例を掲げ更に具体的に説明を行うが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、実施例に於いて、%は特に断らない限り全て質量%を云う。
【0021】
[実施例1]
塩基性塩化アルミニウム製造時に副生した石膏粉末(平均粒子径40μm,白色度82)を原料として使用し、石膏スラリーを製造した。
石膏粉末2200gとカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学(株)製,1105)22gを混合し、これに水1765gとクエン酸ナトリウム13gを加えよく混合した。
次いで、これをビーズ式湿式粉砕機(神鋼パンテック(株)社製,コボールミル)に入れ粉砕を行った。尚、この時の石膏スラリーの濃度は55%であった。
同様の操作を行い、粉砕時間をそれぞれ10〜60分とすることにより、各平均粒子径の異なる石膏スラリーを得た。
別に、シリカ粉末(平均粒子径22μm,多木化学(株)製ゼオシール1100V,白色度95)を用い、粉砕機(中央化工機(株)製,振動ボールミル)によって粉砕時間をそれぞれ10〜60分とすることにより各平均粒子径の異なるシリカ粉末を得た。
【0022】
次に、表1に示した割合で各平均粒子径の異なる前記石膏スラリーとシリカ粉末とを混合した。
尚、混合方法は、各平均粒子径の石膏スラリー63.6gに水45.9gを加え、これにシリカ粉末15.4gと消泡剤(サンノプコ社製,SN−DEFOAMER444)0.1gを加え、ホモジナイザーで10000rpm、15分間攪拌する方法により行った(石膏/シリカ質量比70/30)。
【0023】
このようにして得られた塗工液を、塗工機(AUTOMATIC FILM APPLICATOR(YASUDA SEIKI製))により、ワイヤーバーRDS20#を使用してPPC用紙に塗工した。尚、塗工量(固形分量)は17g/m2とした。塗工した紙を乾燥した後、これをヒューレット・パッカード製プリンター(DESKJET 5551)で印刷を行い、印刷10分後のインキの滲み状態を目視観察した。結果を表1に示した。
【0024】
【表1】
【0025】
[実施例2]
塩基性塩化アルミニウム製造時に副生した石膏粉末(平均粒子径40μm,白色度82)を原料として使用し、石膏スラリーを製造した。
石膏粉末2200gとカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学(株)製,1105)22gを混合し、これに水1765gとクエン酸ナトリウム13gを加えよく混合した。
次いで、これをビーズ式湿式粉砕機(神鋼パンテック(株)社製,コボールミル)に入れ40分間粉砕を行った。尚、この時の石膏スラリーの濃度は55%であり、平均粒子径は8.2μmであった。
別に、シリカ粉末(平均粒子径22μm,多木化学(株)製ゼオシール1100V,白色度95)を用い、粉砕機(中央化工機(株)製,振動ボールミル)によって30分間粉砕を行い、平均粒子径8.5μmのシリカ粉末を得た。
【0026】
次に、表2に示した割合で上記石膏スラリーとシリカ粉末とを混合した。
尚、混合方法は、石膏スラリー中の石膏固形分量と粉末シリカ量とをそれぞれ表2の割合となるように混合し、これに水を加え全量125gとなるようにスラリーを調製し、これに消泡剤(サンノプコ社製,SN−DEFOAMER444)0.1gを加え、ホモジナイザーで10000rpm、15分間攪拌する方法により行った。
【0027】
このようにして得られた塗工液を、塗工機(AUTOMATIC FILM APPLICATOR(YASUDA SEIKI製))により、ワイヤーバーRDS20#を使用してPPC用紙に塗工した。尚、塗工量(固形分量)は17g/m2とした。塗工した紙を乾燥した後、これをヒューレット・パッカード製プリンター(DESKJET 5551)で印刷を行い、印刷10分後のインキの滲み状態を目視観察した。
結果を表2に示した。
【0028】
【表2】
【0029】
[実施例3]
排煙脱硫処理後に副生した石膏粉末(平均粒子径100μm,白色度80)を原料として使用し、石膏スラリーを製造した。
石膏粉末2200gとカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学(株)製,1105)22gを混合し、これに水1765gとクエン酸ナトリウム13gを加えよく混合した。
次いで、これをビーズ式湿式粉砕機(神鋼パンテック(株)社製,コボールミル)に入れ粉砕を行った。粉砕時間は80分、粉砕機回転数は750rpmとした。尚、この時の石膏スラリーの濃度は55%であった。粉砕後の石膏スラリーの石膏粒子径を測定した結果、平均粒子径は8.5μmであり、粒子径2〜13μmの石膏の含量は全石膏量に対して85%であった。
別に、シリカ粉末(平均粒子径22μm,多木化学(株)製ゼオシール1100V)を用い、粉砕機(中央化工機(株)製,振動ボールミル)によって粉砕を30分間行うことにより平均粒子径8.5μmのシリカ粉末を得た。
また同様に、上記石膏粉末をビーズ式湿式粉砕機に入れ、粉砕機回転数1500rpmで30分間粉砕を行い石膏スラリーを得た。粉砕後の石膏スラリーの石膏粒子径を測定した結果、平均粒子径は8.2μmであり、粒子径2〜13μmの石膏の含量は全石膏量に対して73%であった。
これらの粉砕石膏を用い、石膏とシリカの含量が石膏:シリカ質量比で70/30となるように混合し、石膏スラリー液を調製した。
尚、混合方法は、各粉砕方法の異なる石膏スラリーに水を加え、これらにそれぞれシリカ粉末と消泡剤(サンノプコ社製,SN−DEFOAMER444)0.1gを加え、ホモジナイザーで10000rpm、15分間攪拌する方法により行った。
【0030】
このようにして得られた塗工液を、塗工機(AUTOMATIC FILM APPLICATOR(YASUDA SEIKI製))により、ワイヤーバーRDS20#を使用してPPC用紙に塗工した。尚、塗工量(固形分量)は17g/m2とした。塗工した紙を乾燥した後、これをヒューレット・パッカード製プリンター(DESKJET 5551)で印刷を行い、印刷10分後のインキの滲み状態を目視観察した。
結果を表3に示した。
【0031】
【表3】
【0032】
【発明の効果】
本発明のインクジェット紙用石膏スラリーは、インクジェット紙用に適する塗工スラリーであり、塗工した紙へのインクの吸収性が早く、しかも印刷インクの滲み現象を生じないという特徴を有する。また、炭カル等の原料に代えて石膏という安価な原料を使用したことで、安価にインクジェット紙を製造することに好適である。また本発明の石膏スラリーの使用により、高画像濃度で発色性の良いインクジェット紙を得ることができる。
Claims (3)
- 平均粒子径3〜15μmの石膏と平均粒子径0.5〜20μmのシリカを、石膏/シリカ質量比で90/10〜50/50の割合で含有することを特徴とするインクジェット紙用石膏スラリー。
- 粒子径2〜13μmの石膏が、全石膏量に対して80質量%以上である請求項1記載のインクジェット紙用石膏スラリー。
- 石膏とシリカの白色度が共に80以上である請求項1又は2記載のインクジェット紙用石膏スラリー。
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