JP2012229152A - 石膏ボード廃材からの石膏成形体用原料の石膏粉末の製造方法 - Google Patents

石膏ボード廃材からの石膏成形体用原料の石膏粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】石膏ボード廃材から得た石膏を原料として成形体を製造する場合、そのままでは強度の低いものしか得られず、従来は、化学的な処理を行って高強度の成形体が製造可能な原料粉末としていた。この化学的処理を不要とする製造方法を提供する。
【解決手段】石膏ボード廃材中の二水石膏に対して機械的な圧縮や衝撃型粉砕機などによる微粉砕等の高い機械的応力を付与して微細構造を破壊するとともに、焼成を行って半水石膏とする。この半水石膏化後の粉末の吸油量を65ml/100gとなるように前記機械的応力を付与することにより、少ない混合水量でも良好なスラリー流動性を有する石膏となり、よって高強度な成形体が得られる。このような結果を得るためには、例えば、機械的な圧縮による場合には廃石膏に対して100〜500MPa程度の面圧力、あるいは20〜100kN/cmの線圧力を付与すればよい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、廃石膏ボードから、石膏成形体を製造するために用いられる石膏粉末を製造する方法に係わる。詳しくは、石膏ボード廃材中の二水石膏を原料として、吸油量の低い半水石膏を製造することによって、廃石膏ボードを原料とした場合でも高強度な成形体を作成することが可能な原料石膏の製造技術を提供するものである。
石膏ボード廃材(廃石膏ボード)の発生量は、年間約150万tであり、この内、約50万tは生産時や家屋等の新築内装工事の端材で、石膏ボードメーカーがリサイクルを行っている。また、残りの約100万tが、家屋等の建造物の改装・解体工事で排出され、埋立処分されている。このような石膏ボード廃材の発生量は年々増加する傾向にあり、埋立地の不足、環境問題の点から石膏ボード廃材の有効なリサイクル方法が求められている。
ここで、一般的に石膏を原料として石膏ボードなどの成形体を製造する場合、まず二水石膏を焼成(か焼)し、一旦半水石膏にした後、この半水石膏と水を混合したスラリーを、所定の型に流し込み、再び二水石膏とさせて硬化させる。石膏ボード廃材中の二水石膏(以下これを廃石膏という)を原料として、成形体を製造する場合、前記スラリーの流動性を保持させるために、多くの水が必要となり、結果として強度の低い成形体しか製造することができないという問題がある。また、通常の原料石膏(副産石膏や天然石膏由来のもの)に対して、廃石膏由来の半水石膏を混合して用いる場合もある。しかしこの場合でも、石膏ボードとして所定の強度を得るためには最大でも廃石膏由来の粉末は10質量%程度までしか混合できず、処理量の点でなお問題があった。この問題を解決するために、本発明者らは、これまでに多くの方法を提案してきた(特許文献1〜3参照)。
しかしながら、これらの方法は、石膏を再結晶化させる反応装置およびその前後の付帯装置が必要であり、採算性を確保するために、比較的大きな設備を建設する必要があり、初期投資が大きくなる。
特開2006−273599号公報 特開2009−40638号公報 特開2010−013304号公報
従って、本発明の目的は、大掛かりな化学反応設備を使用することなく、廃石膏ボードを原料として、石膏ボードなどの石膏成形体の製造原料とできる原料石膏粉末を提供することにある。
本発明者等は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた。その結果、前記スラリーの流動性の低下は、廃石膏が多くの細孔を持った構造体(図3参照)であり、一般的な粉砕を行ったり、か焼により半水石膏化したりしてもこの微細構造を維持するため、この部分がスラリーを調製した際に水をすばやく吸収してしまい、結果として流動性を低下させることに原因があることを見出した。そしてさらに検討を進めた結果、廃石膏に対して高い機械的応力を付与することにより、化学的処理によらずとも該微細構造を破壊できることを見出し、さらなる検討を進め本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、廃石膏ボードから、石膏成形体製造用の原料石膏粉末を製造する方法であって、廃石膏ボードに機械的応力を付与する工程、及び、廃石膏ボードを形成している二水石膏を焼成して半水石膏とする工程とを含み、これら両工程完了後に得られる半水石膏が吸油量(JIS K5101−13−1)65ml/100g以下の粉末となっていることを特徴とする前記製造方法である。
本発明の方法によれば、従来では低強度の成形体しか製造できなかったか、あるいは高強度成形体を得るために通常の原料石膏に対して混合する際には少量しか用いることのできなかった廃石膏を、湿式処理設備を用いて再結晶化させる必要が無く、乾式で簡便に、高強度の成形体が製造可能な原料石膏粉末とすることができる。
なおここで、粉体をスラリー化した際の流動性を評価する指標の一つとして、JIS K5101−13−1に示される吸油量の測定が挙げられる。一般的に、この吸油量が少ない粉体ほど、少ない水の量でスラリーの流動性が保たれる。その結果として高強度の成形体が得られる。従来の方法で廃石膏ボードから得られる廃石膏粉末は、0.5〜5mm程度の粒径で、60〜120ml/100g程度の吸油量の測定結果となる。一方で、石膏ボードなどの成形体の原料として使用される、排煙脱硫石膏やリン酸石膏などの各種副産二水石膏は、一般的に10〜80μm程度の粒径で、30〜40ml/100g程度の吸油量の測定結果となる。
本発明で示すように、廃石膏に対して圧縮または微粉砕等の機械適応力を付与することで、吸油量を一般的な副産二水石膏等なみに低減することができる。これは、前記処理を行うことによって、廃石膏の細孔構造が破壊される効果によるものと考えている。実際、吸油量を低減させた廃石膏をか焼して作成した半水石膏は、各種副産二水石膏をか焼して作成した半水石膏と同量の混合水量で、良好なスラリーの流動性を発揮する。結果として、高強度な成形体を作成することが可能となるため、石膏ボードのような強度が規格化された用途にも使用することが可能となる。
機械的な圧縮による場合の、圧縮圧と吸油量の一例を示す図。 ジェット式粉砕機により廃石膏を粉砕した場合の、粉砕後粒径と吸油量を示す図。 廃石膏の構造を示す電子顕微鏡写真の一例。
本発明において対象となる廃石膏ボードとしては、一般には、石膏ボードの生産工程、建築現場の施行工程で発生する端材、残材としての石膏ボードや、改装・解体工事で建築廃材として発生する石膏ボードなどの石膏ボード廃材から得られるものが挙げられる。
当該廃石膏ボードに対して機械的応力を付与する方法は、後述する焼成工程と合わせ、得られる半水石膏粉末の吸油量が65ml/100g以下となる方法であれば特に制限されるものではない。具体的には機械的な圧縮や、高速での粉砕部材への叩きつけ、あるいはこれらを複合した方法などが挙げられる。また一度の処理で所望の吸油量にならない場合には、機械的応力の付与を複数回繰り返して行ってもよい。より好ましい吸油量は50ml/100g以下、特に好ましくは40ml/100g以下である。一方、吸油量を25ml/100g未満とすることは極めて困難であり、機械的応力付与等のコストも勘案すると30ml/100g以上で十分である。
また本発明においては、廃石膏(二水石膏)のままで機械的応力を付与してもよいし、焼成(か焼)して半水石膏にしてから応力付与を行ってもよい。下記表1に示すように、機械的応力を付与した二水石膏を焼成して半水石膏とすると、もとの二水石膏と比較して、得られる半水石膏の吸油量は1.4〜1.5倍程度多くなる(図1では実線→○印に相当)。よって二水石膏のままで機械的応力を付与する場合には、該二水石膏粉末の吸油量は45ml/100g以下とすることが好ましく、35ml/100g以下とすることがより好ましく、27ml/100g以下とすることが特に好ましい。
Figure 2012229152
なお、先に焼成を行って半水石膏としておけば、その後の機械的応力の付与では吸油量が減少する方向にしか変化しないため、前記したとおり65ml/100g以下、好ましくは50ml/100g以下、特に40ml/100g以下となるまで機械的応力を付与すればよい(図1中の△印)。
また機械適応力の付与により、通常、ボード状或いは大塊状の廃石膏ボードも粉砕されて粉末状になるが、当該機械的応力付与に先立って、廃石膏ボードに対して粉砕処理を施しておくことも好ましい。
即ち、廃石膏ボードは通常、廃石膏に加えボード原紙を含んでいるが、粉砕処理、特に最大粒径が1〜3mm程度となる粗粉砕処理を行うことにより、ボード原紙の大部分は比較的大きな紙の状態を保持し、一方で廃石膏は粉体となり、これらを容易にふるい分離することができるため、最終的に得られる原料石膏粉末中に該紙成分が混入することを防止しやすくなる。粗粉砕の方法を具体的に例示すると、2軸スクリューに巻きこむ方法や、ローラー圧縮による方法等が挙げられる。なおこの粗粉砕の際の応力は最大でも数MPaもあれば十分である。
本発明における機械的応力付与の方法のうち機械的圧縮を行う方法について、以下、詳しく説明する。図1(実線)に示すように、廃石膏ボード由来の廃石膏(二水石膏)は、これを圧縮する圧力を高くするに従い、該圧縮後の廃石膏の吸油量は低下する(なお図1における圧縮圧は、油圧プレスにより廃石膏に付与した最高圧力を示す)。
また図示されているように、圧縮圧が100MPa辺りまでは、圧縮圧に比しての吸油量の減少割合が大きい。このため圧縮圧は、100MPa以上とすることが好ましく、150MPa以上とすることがより好ましい。一方で、圧縮圧力を高くするに従い、処理コストが高くなる。また500MPaを超えるような部分では圧縮圧に比しての吸油量の減少割合があまり大きくない。このため、圧縮応力を付与する場合には500MPa程度までで十分であり、多くの場合400MPa以下でよい。
上記方法では面圧力をかけたが、線圧力をかけて圧縮する方法でもよい。その場合、上記と同じ観点から、20kN/cm以上とすることが好ましく、20〜100kN/cmとすることがより好ましく、40〜80kN/cmとすることが更に好ましい。
廃石膏又は廃石膏を焼成して得た半水石膏を圧縮する方法は、小規模であれば油圧プレスを用いる方法が挙げられる。工業的には、圧力の掛かったロール間に粉体を導入する方法(線圧力がかけられる)が連続的に多量に処理でき好ましい。このような工業的装置としては、機器名称をブリケッティングマシンやローラーコンパクターとして販売されているものが該当する。
また機械的な応力を付与する方法として、高速での粉砕部材への叩きつけを主たる応力付与方法とする装置としては、衝撃式粉砕機やジェット式粉砕機が挙げられる。具体的には、衝撃式粉砕機としては高速で回転するハンマ、ピン、羽根等で被粉砕物を叩くタイプのミルが挙げられ、ジョット式粉砕機としては、ノズルから高圧で噴出する空気または蒸気に被粉砕物を巻き込み、被粉砕物どうし、または衝撃板に衝突させるタイプのミルが挙げられる。粉砕の方法は、乾式、湿式いずれの方法でもよい。
なお上記のような粉砕機を用いて機械適応力を付与する際には、廃石膏又は廃石膏を焼成して得た半水石膏の形態は、当該粉砕処理を行う機器に投入可能な形態であれば良く、特に制限されない。一般的には、前記、紙と石膏を分離する際の粗粉砕工程で、約3mm以下の粉体となるため、これを用いるのが好ましい。
機械的応力を付与する方法として、粉砕機としてジェット式粉砕機を用い、廃石膏ボードを粗粉砕して得た廃石膏粉末を該ジェット式粉砕機で微粉砕した際の粒径と、吸油量の関係を図2に示す。図2における平均粒径は、レーザー回折散乱式の粒度分布計で測定した50%体積累積径を示す。粉砕の程度が進むに従い、吸油量は低下する。本実験では吸油量42ml/100gまで廃石膏の吸油量を低減できていることがわかる。前記機械的な圧縮を行った際の実験結果から、この吸油量42ml/100gの微粉砕廃石膏(二水石膏)を焼成して半水石膏にすると吸油量は60ml/100g程度になると予測できる。
微粉砕するに従い、処理コストが高騰することや一度に処理できる量を考慮すると、このような高速での粉砕部材への叩きつけによるよりも、前記した機械的な圧縮による方が、本発明における機械的応力の付与方法としては好ましい。
本発明において、上記した如き機械的応力の付与及び焼成によって得た半水石膏は、石膏成形体の製造用の原料石膏粉末として使用するものである。当該石膏成形体としては、石膏ボード、陶磁器型材、金属鋳造用鋳型等が挙げられる。
ここで石膏ボードを例に挙げると、スラリーの十分な流動性と、成型後の強度を両立させるためには、半水石膏としての吸油量が概ね50ml/100g以下である必要があり、好ましくは25〜40ml/100gである。
前述のとおり、極めて高い機械的応力を付与することにより、廃石膏ボードを原料とし、単独で吸油量が50ml/100g以下の半水石膏粉末を得ることも可能であるが、反面、機械的応力を付与するコストも指数関数的に増大してしまう。
従ってこのようなコストなどを勘案すると、圧縮や微粉砕によりある程度まで吸油量を低減させた廃石膏を、吸油量の低い排煙脱硫石膏などの副産石膏と混合して使用するのが好適である。
具体的には、通常、石膏ボード原料として使用される排煙脱硫石膏、リン酸石膏、チタン石膏、製塩石膏等の副産二水石膏や天然石膏、或いは前記特許文献1乃至3の方法で得た二水石膏は、いずれも吸油量が40ml/100g以下、通常は35ml/100g以下、代表的には30〜33ml/100g程度である(いずれも二水石膏での値)。
従って第一の方法としては、本発明の方法により、機械的応力の付与と焼成により吸油量を65ml/100g以下とした半水石膏粉末と、上記吸油量の少ない副産二水石膏等を焼成して得た半水石膏とを混合し、混合粉末としての吸油量を50ml/100g以下となるようにする方法である。代表的な副産二水石膏等を用いる場合、本発明の如く高い機械的応力を付与して吸油量を低減させていない粉砕しただけの廃石膏では、最大でも10質量%程度しか添加できないが、65ml/100gにしただけで混合可能量が最大20〜45質量%と著しく増大する。
第二の方法としては、機械的応力の付与により廃石膏を吸油量が45ml/100g以下の粉末とし、この廃石膏(二水石膏)粉末と、前記副産二水石膏等とを混合して得た二水石膏の混合粉末を焼成して半水石膏の粉末を得る方法である。
なおいずれの方法においても、用いる副産二水石膏等は焼成して半水石膏とした場合に、その吸油量が45ml/100g以下となるものを用いることが好ましく、40ml/100g以下となるものを用いることがより好ましい。なお一般的な副産二水石膏等は上記吸油量の範囲に入るのが通常である。また該副産二水石膏等は、必要に応じて、異なる由来のもの等を混合して物性調製を行ったものを用いることも可能である。
本発明の製造方法で得られる原料石膏粉末の粒径は、石膏成形体の用途等に応じて適宜決定すればよいが、例えば石膏ボード用の原料粉末とする場合には、レーザー回折散乱式粒度分布計で測定した50%体積累積径が10〜80μmであることが好ましい。この観点からも、高速での粉砕部材への叩きつけによるよりも、機械的な圧縮による方が機械的応力の付与方法としては好ましい。なお、当該粒径にするために、必要に応じて、前記機械的な圧縮の後、ボールミル等による粉砕を行うことができる。
以下、本発明を更に具体的に説明するため、実施例を示すが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、吸油量は、JIS K5101−13−1に従い求めた。平均粒径は、前記と同様にレーザー回折散乱式粒度分布計で測定した50%体積累積径を示す。また、曲げ強度は、JIS A6904に従って測定した。
また、以下の実施例および比較例で使用した廃石膏は、石膏ボード廃材を粗粉砕し、目開き3mmのふるいで、紙をふるい上、廃石膏をふるい下に分離したものを用いた。
副産二水石膏の代表として、平均粒径45μmの排煙脱硫石膏を用いて評価した。使用した廃石膏の吸油量は、90ml/100g、排煙脱硫石膏の吸油量は、33ml/100gであった。この排煙脱硫石膏を焼成し半水石膏とした後、これをボールミルで体積平均粒径10μmまで粉砕した。この半水石膏の吸油量は37ml/100gであった。この排煙脱硫石膏由来の半水石膏50重量部と水50重量部を混合して作成した成形体の曲げ強度は、2.2N/mmであった。
実施例1
廃石膏を、内径φ31mm、高さ15mmの塩化ビニル製リングに充填し、280MPaで圧縮した。その後、この廃石膏を粗粉砕し、目開き1mmのふるい下に分離したものを所定量作成した。この廃石膏の吸油量は36ml/100gであった。
この廃石膏50質量部と、排煙脱硫石膏50質量部を混合し、これを焼成して半水石膏とした後、これをボールミルで平均粒径10μmまで粉砕した。この半水石膏の吸油量は、38ml/100gであった。この半水石膏50重量部と水50重量部を混合して作成した成形体の曲げ強度は、2.2N/mmであった。
実施例2
廃石膏を、内径φ13mm、高さ5mmの塩化ビニル製リングに充填し、1200MPaで圧縮した。その後、この廃石膏を粗粉砕し、目開き1mmのふるい下に分離したものを所定量作成した。この廃石膏の吸油量は22ml/100gであった。
この廃石膏を焼成して半水石膏とした後、ボールミルで平均粒径10μmまで粉砕した。この半水石膏の吸油量は37ml/100gであった。この半水石膏50重量部と水50重量部を混合して作成した成形体の曲げ強度は、2.2N/mmであった。
実施例3
廃石膏を気流式粉砕機で、平均粒径1.2μmまで粉砕した。この廃石膏の吸油量は、42ml/100gであった。この廃石膏50質量部と、排煙脱硫石膏50質量部を混合し、これを焼成して半水石膏とした後、これをボールミルで平均粒径10μmまで粉砕した。この半水石膏の吸油量は、39ml/100gであった。この半水石膏50重量部と水50重量部を混合して作成した成形体の曲げ強度は、2.1N/mmであった。
比較例1
廃石膏を焼成して半水石膏とし、これをボールミルで平均粒径10μmに粉砕した。この半水石膏の吸油量は115ml/100gであった。この半水石膏50質量部と水を50質量部混合してスラリーを作成したが、流動性が悪いため成形が不可能であった。そこで、この半水石膏30質量部と水70質量部を混合し成形体を作成したが、この成形体の曲げ強度は、0.55N/mmであった。
比較例2
廃石膏を50質量部、排煙脱硫石膏を50質量部混合した後、焼成して半水石膏とし、これをボールミルで平均粒径10μmに粉砕した。この半水石膏の吸油量は62ml/100gであった。この半水石膏50質量部と水を50質量部混合してスラリーを作成したが、流動性が悪いため成形が不可能であった。そこで、この半水石膏40質量部と水60質量部を混合し成形体を作成したが、この成形体の曲げ強度は、0.90N/mmであった。
実施例4
原料廃石膏を、ブリケッティングマシーン(古川産機システムズ(株)(Furukawa Industrial Machinery Systems Co.,Ltd.)製、型式名「K−205」)を用い、ロール支持圧力を40kN/cmの線圧力として圧縮成形した。ここで、ロールの直径は520mmφ、ロール幅は120mmであり、ロールポケット形状としては37mm×21mmのアーモンド形を用いた。
圧縮成形後の廃石膏につき、目開き7mmのふるいを通過するまで解砕機による粗粉砕を行った。得られた紛体を130℃において2時間焼成して半水石膏とした後、ボールミルにより平均粒径16μmまで粉砕した。この粉砕後の半水石膏の吸油量は45mL/100gであった。
上記粉砕後の半水石膏60質量部と、排煙脱硫石膏を130℃において2時間焼成して得た半水石膏40質量部とを混合し、ボールミルにより平均粒径12μmまで粉砕した。この粉砕後の半水石膏混合物の吸油量は36mL/100gであった。
上記粉砕後の半水石膏混合物50質量部と水50質量部とを混合して成形した成形体の曲げ強度は2.3N/mmであった。
実施例5
原料廃石膏を、実施例5において使用したブリケッティングマシーンを用い、ロール支持圧力を80kN/cmの線圧力として圧縮成形した。
圧縮成形後の廃石膏につき、目開き7mmのふるいを通過するまで解砕機による粗粉砕を行った。得られた紛体を130℃において2時間焼成して半水石膏とした後、ボールミルにより平均粒径12μmまで粉砕した。この粉砕後の半水石膏の吸油量は38mL/100gであった。
上記粉砕後の半水石膏50質量部と水50質量部とを混合して成形した成形体の曲げ強度は2.3N/mmであった。

Claims (3)

  1. 廃石膏ボードから、石膏成形体製造用の原料石膏粉末を製造する方法であって、廃石膏ボードに機械的応力を付与する工程、及び、廃石膏ボードを形成している二水石膏を焼成して半水石膏とする工程とを含み、これら両工程完了後に得られる半水石膏が吸油量(JIS K5101−13−1)65ml/100g以下の粉末となっていることを特徴とする前記製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法で得られた半水石膏からなる原料石膏粉末と、吸油量が40ml/100g以下の二水石膏を焼成して得た半水石膏粉末(請求項1の製造方法で得られたものを除く)とを混合して、吸油量が50ml/100g以下の混合粉末とすることを特徴とする石膏成形体製造用石膏粉末の製造方法。
  3. 廃石膏ボードに機械的応力を付与して吸油量(JIS K5101−13−1)が45ml/100g以下の二水石膏の粉末を得、これと、吸油量が40ml/100g以下の二水石膏粉末(廃石膏ボードに機械的応力を付与して吸油量を低減させたものを除く)とを混合し、ついで該混合粉末を焼成して二水石膏を半水石膏へと変換し、吸油量が50ml/100g以下の混合粉末を得ることを特徴とする石膏成形体製造用石膏粉末の製造方法。
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