JP6559551B2 - フッ素溶出量を低減した二水石膏の製造方法 - Google Patents
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廃石膏ボードから原料となる二水石膏を回収する方法は特に限定されず、公知の方法を採用すれば良いが、一般的には、廃石膏ボードを破砕してボード紙と分離する破砕工程、前記破砕工程で分離された廃石膏を焼成する焼成工程、前記焼成工程で焼成された廃石膏を粉砕する粉砕工程からなる。
上記廃石膏ボードを破砕してボード紙と分離する破砕工程においては、、廃石膏ボードの処理方法は特に制限されないが、好適な方法を例示すれば、以下の方法が挙げられる。
そして、かかる廃石膏粉末は、公知の分離手段により、ボード原紙と容易に分離することが可能である。かかる分離手段としては、例えば、振動式、回転式の篩が挙げられる。かかる篩い目の大きさは、廃石膏粉末が通過でき、ボード原紙が通過し得なない大きさを選択すればよい。
本発明において、前記方法によって分離された廃石膏粉末は、適宜の装置により焼成を行い、半水石膏および/またはIII型無水石膏を得る。焼成装置は連続式でもバッチ式でも良い。この際の加熱温度は、100℃〜300℃が好ましく、150℃〜200℃が特に好ましい。焼成する手段は、特に制限されないが、一般には、熱風乾燥機、スチームチューブドライヤー等の装置が使用される。また、この焼成工程は乾式であることが好ましいが、湿式焼成を採用してもよい。
本発明において、上記焼成した石膏は、適宜の装置により粉砕して粒度を調整することが好ましい。粉砕後の大きさとしては、好ましくは全累積細孔容積が1ml/g以下、より好ましくは0.5〜1mL/gとなるようにする。この全累積細孔容積は、細孔径1nm〜1mmの範囲の細孔について水銀ポロシメータによって測定した累積細孔容積である。粒径で表すと、レーザー回折・散乱式粒度分布計で測定した体積平均粒径で、0.5〜30μm、更には1〜20μm程度になるまで粉砕される。粉砕する手段は、特に制限されないが、一般には、ボールミル、ピンミル、高速回転衝撃粉砕機等の装置が使用される。
本発明においては、上記例のようにして得た半水石膏及び/又はIII型無水石膏を晶析により二水石膏へと変換する。具体的には、水の存在する晶析反応槽内に半水石膏及び/又はIII型無水石膏を加えると、当該半水石膏及び/又はIII型無水石膏は一旦溶解し、再度析出してくる。この際、反応系の温度を90℃以下にしておけば、析出してくる結晶は二水石膏となる。二水石膏の種結晶を反応系に存在させておくと、より効率的に二水石膏の析出が起きる。種結晶の量は半水石膏及び/又はIII型無水石膏100質量部に対して20〜100質量部が好ましい。
本発明においては、リン酸一水素カルシウム二水和物をフッ素除去剤として使用し、上記晶析反応槽に共存させる点に最大の特徴を有する。晶析反応槽へのリン酸一水素カルシウム二水和物の添加は、二水石膏の析出が完了する前であれば良いが、特に好ましくは二水石膏の析出が開始すると同時またはその前である。これにより、フッ素を含む石膏の溶解により溶出したフッ素の除去が十分に行われる。従って、多段式の連続反応槽により晶析反応を行う場合には、リン酸一水素カルシウム二水和物は第1槽に添加することが好ましい。また晶析反応を連続式で行う場合には、晶析反応槽中で後述する好ましい濃度となるように、リン酸一水素カルシウム二水和物も連続式で加えることが好ましい。
本発明においては、上記方法により製造された二水石膏を含むスラリーは、該二水石膏と水とが分離回収されて製品となる。水との分離方法は公知の固液分離方法を適宜採用すればよいが、好ましくはろ過である。ろ過する手段は特に制限されないが、フィルタープレス、ベルトフィルター等のろ過機が好適に使用される。
細田企画製プラスターボシリーズにて廃石膏ボードの破砕、廃石膏粉末とボード原紙との分離し、得られた廃石膏粉末を180℃の熱風乾燥機で焼成して半水石膏及び/又はIII型無水石膏とした後、ホソカワミクロン製粉砕機(ACMパルベライザ)で粉砕した。
実施例1において、180℃の熱風乾燥機で得られた廃石膏粉末のフッ素溶出量をH3環告第46号に従い測定した。結果を表1に示す。測定の結果、4.8mg/Lのフッ素溶出量が得られた。
実施例1において、リン酸一水素カルシウム二水和物を添加せずに晶析反応を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。晶析反応により、体積平均粒径が63μmの粒径の大きな二水石膏が得られた。得られた二水石膏のフッ素溶出量を測定の結果、2.4mg/Lであり、実施例1の結果よりも高い値が得られた。
比較例2において、得られた二水石膏100質量部に対して、リン酸一水素カルシウム二水和物を5質量部添加して混合した二水石膏のフッ素溶出量をH3環告第46号に従い測定した。結果を表1に示す。測定の結果、フッ素溶出量は0.6mg/Lとなり、実施例1よりも高い値が得られた。
Claims (1)
- 廃石膏ボードから回収した二水石膏を半水石膏及び/又はIII型無水石膏へ変換する工程、水及び二水石膏の種結晶の存在する晶析反応槽内に半水石膏及び/又はIII型無水石膏を加えて溶解した後、二水石膏を析出させる工程、及び該二水石膏と水とを分離する工程を含む二水石膏粉末の製造方法において、晶析反応槽内にリン酸一水素カルシウム二水和物を共存させることを特徴とする、フッ素溶出量の低減された二水石膏粉末の製造方法。
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