JP4908817B2 - 石こう硬化体の安定化処理方法および安定化処理装置 - Google Patents

石こう硬化体の安定化処理方法および安定化処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、排煙脱硫石こうおよび廃石こうボード(リサイクル石こう)などから製造される半水石こうおよび無水石こうの安定化処理方法および安定化処理装置に関し、より詳細には、半水石こうまたは無水石こうが含有している微量の有害物質であるフッ素を難溶化して、石こう硬化体における環境へのフッ素の溶出を抑制する石こう硬化体の安定化処理方法および安定化処理装置に関するものである。
排煙脱硫石こうおよびリサイクル石こうである廃石こうボードなどには、環境規制物質として指定されている微量の環境有害元素が含まれている場合が多く、有効利用時または埋立て処理時に問題となる。特に2001年に土壌環境基準に追加されたフッ素の溶出量が規制値を超える場合が問題となる。
一般に石こうは、半水石こうまたは無水石こうを原料とする石こうボード、セルフレベリング材および壁材など、二水石こうを原料とするセメント原料など、ならびに土壌改良剤として大量に使用されている。特に石こう硬化体は、安価で耐火性に優れるため、建築物の内装材として、年間約470万トン(2003年度)が使用されており、建設物解体時の廃石こう硬化体は86万トン(2004年度)になると推計されている。建築物解体時の廃石こう硬化体は、ほとんどが他の産業廃棄物とともに埋立て処理されている。したがって、廃石こう硬化体が水に溶出して土壌を汚染する物質を含んでいると、土壌汚染の問題となる。
工場内の端材、ならびに建設現場の廃材および端材として発生した石こう硬化体は、壁紙などの付着物が除去され、釘およびビスなどの金属が除去され、水漏れしないよう管理されていたことを確認した後、石こう硬化体製造工場に原料として受入れられ、リサイクル工程にまわされる。リサイクル工程では、廃石こうは、一次破砕で石こうと紙などに分離され、粒度調整のため2次粉砕され、再度原料として取込まれている。
ところが、石こう硬化体原料の約4〜5割を占める、排煙脱硫石こうなどの副産石こうの多くはフッ素を含有するため、フッ素が、環境中に溶け出してくる問題がある。
このような問題に鑑み、半水石こうのスラリに消石灰などのカルシウム化合物を添加し、フッ素をフッ化カルシウムとして、石こうに固定する技術がある。しかしながら、フッ化カルシウムのフッ素としての溶解度は8ppm程度であり、フッ素の場合、土壌環境基準として溶出量が0.8mg/L以下に定められていることから、石こうからのフッ素の溶出量を低減するために充分に有効な技術とはいえない。
このような問題に鑑み、石こうに関してフッ素の溶出量を0.8mg/L以下に低減しようとする方法として、以下の(1)〜(3)のような従来の技術がある。
(1)二水石こうのスラリまたは半水石こうのスラリに、アルカリを添加してpHを9以上に上げて、その後、リン酸類、および/または、酸を添加して、pHの下げ幅が1以上、下げたpHが6以上になるよう調整することによって溶出するフッ素を低下させた後、ろ過して石こうを得る技術(たとえば特許文献1参照)。
(2)ろ過した二水石こうを、硫酸バンドを含む弱酸性の洗浄水で洗浄し、フッ素を洗浄液中に溶出除去しようとする技術(たとえば特許文献2参照)。
(3)ろ過した二水石こうに、リン酸およびアルカリ剤を加えて、石こうなどの固形物とともに混練機を用いて機械的混練と養生によって、二水石こうのフッ素溶出量を低減させようとする技術(たとえば特許文献3参照)。
特開2003−206133号公報 特開2004−299962号公報 特願2004−305833号公報
上記の従来の技術では、以下の課題が残っている。
引用文献1および2の技術では、半水石こうまたは無水石こうを原料とした、石こう硬化体として使われる際、半水石こうのまたは無水石こうの内部に存在するフッ素の溶出の防止が不充分である。すなわち、特許文献1の技術では、スラリにアルカリを添加してpHを9以上まで上げ、その後、リン酸類および/または酸をスラリに添加して、スラリのpHを6近くまで低下させることから、石こうへのフッ素固定に有効なリン酸水素カルシウム二水和物が選択的に生成されず、アパタイト系化合物などの不純物が多く生成されてしまうので、石こうへのフッ素固定が不充分となってしまう。
また特許文献1の技術では、アルカリを添加して石こうのスラリのpHを9まで上げることから、多量のアルカリが必要であり、その後リン酸類および/または酸を添加して、pHを6付近まで低下させることから、石こうのスラリに残存したアルカリを中和するために、リン酸および/または酸がさらに多く必要となり、石こうの純度が低下するとともに、石こう硬化体の純度も低下する。
特許文献2の技術では、ろ過した二水石こうを、硫酸バンドを含む弱酸性の洗浄水によって洗浄し、フッ素を洗浄液中に溶出してフッ素溶出量を減じようとするものであるが、洗浄液中に溶出するフッ素は、石こう結晶の表面層の石こうとともに溶け出したものに限られるので、焼成した半水石こうまたは無水石こうから水和によって生成される微細粒の石こうとなる際には、石こう粒子内部から溶出するフッ素を固定することができず、石こう硬化体のフッ素溶出量は環境基準値を超えてしまう。
特許文献3の技術では、機械的混練によって、リン酸、アルカリ物質を二水石こう粒子表面に分散させ、フッ素を固定する方法であり、機械的混練で多大なエネルギを使い、かつリン酸、アルカリ物質の分散が不充分であるので、焼成した半水石こうを水和し石こう硬化体とした場合にフッ素の固定は不充分となる。
引用文献1〜3の技術は、二水石こうにおけるフッ素の安定化に対しては、或る程度有効な方法ではある。しかしながら、半水石こうまたは無水石こうでは水和して微細な結晶と成ることによって、内部のフッ素が結晶表面に出て液中に溶出するので、石こう硬化体におけるフッ素の固定が不充分となる。したがって、半水石こうまたは無水石こうの水和生成物である石こう硬化体におけるフッ素の溶出量の低減に有効とは言えない。以上のことから、いずれの従来の技術も、半水石こうまたは無水石こうが水和して生成される石こう硬化体における安定化の課題が解決されていない。
本発明の目的は、リン酸類およびアルカリ物質の添加量を最小限として、無水石こうまたは半水石こうを用いて生成される石こう硬化体からのフッ素の溶出量を環境基準値以下にすることができる石こう硬化体の安定化処理方法および安定化処理装置を提供することである。
本発明は、半水石こうまたは無水石こうのスラリに、このスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を加えて撹拌した後、水素イオン濃度指数(pH)が6.0以上かつ8.6未満となるようにアルカリのカルシウム化合物を加えて撹拌して、石こう硬化体を作製することを特徴とする石こう硬化体の安定化処理方法である。
本発明に従えば、たとえば石こう硬化体製造時の水和処理工程、および地盤改良前の土砂を含む水溶液スラリに廃石こうを添加する工程などにおいて、フッ素を含有する半水石こうまたは無水石こうのスラリに、リン酸類を加えて撹拌した後、アルカリ物質を加えて撹拌する。以後、半水石こうまたは無水石こうのスラリを、石こうのスラリと記載する場合がある。石こうのスラリに含まれる半水石こうまたは無水石こうは、フッ素を含有する、天然または人工的に合成した石こうを、焼成したものであればよい。
前記リン酸類としては、リン酸とカチオンとの反応により生成した酸性のリン酸塩でもよいし、リン酸自体でもよい。たとえば、次亜リン酸、亜リン酸、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸などの酸、さらに、リン酸水素カルシウムおよびリン酸水素アルミニウムなどである。この中では、リン酸処理水として水に溶解する酸が望ましい。特に効果があるのは、リン酸である。
前記アルカリ物質としては、アルカリのカルシウム化合物ならいずれでもよい。アルカリのカルシウム化合物としては、消石灰(水酸化カルシウム)、炭酸カルシウム、ドロマイト、セメントおよび鉄鋼高炉スラグ粉などが適用可能である。
まず石こうのスラリに、この石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を加えて撹拌することによって、石こうのスラリとリン酸類とが混合し、石こうのスラリを、酸性とすることができる。その後、リン酸類が撹拌された石こうのスラリに、アルカリ物質を加えて撹拌すると、石こうスラリとアルカリ物質とが混合されて、酸性となっている石こうのスラリに、固体のアルカリ物質が徐々に溶け出して、水素イオン濃度指数を6.0〜8.6の範囲まで徐々に上昇させることができ、リン酸水素カルシウム二水和物が生成しやすい。逆に、石こうのスラリにアルカリ物質を加えて、石こうのスラリをアルカリ性にした後、アルカリ物質が加えられた石こうのスラリにリン酸類を加えて撹拌させると、リン酸類を加えた瞬間に、石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0〜8.6にまで下がり反応が終ってしまうので、リン酸水素カルシウム二水和物が生成されるが、副生物のアパタイト化合物も生成されてしまい、リン酸水素カルシウム二水和物の生成量が少なくなってしまう。
リン酸水素カルシウム二水和物は難溶性であり、このリン酸水素カルシウム二水和物が石こうの粒子を外囲するように膜状に形成される。石こうに含まれるフッ素と、リン酸水素カルシウム二水和物とが反応して、フッ化リン酸カルシウムが生成されることによって、フッ素が石こうに固定され、半水石こうまたは無水石こうに含まれるフッ素が石こうの粒子から外部に溶出する量を低減することができる。
前記石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類が、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部未満であると、充分な量のリン酸水素カルシウム二水和物が生成されず、石こう硬化体におけるフッ素の溶出量を環境基準値である0.8mg/L以下に低減することができない。また石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類が、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて15重量部以上であると、石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0未満と低くなり、生成される石こう硬化体の強度が低くなる。石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類は、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満に選ぶことによって、石こう硬化体におけるフッ素の溶出量を環境基準値である0.8mg/L以下に低減することができ、かつ石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0を超えて中性に近づき、生成される石こう硬化体の強度が低下してしまうことが防止される。
またアルカリ物質を加えて撹拌した後の、石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0未満あるいは8.6以上であれば、フッ素の安定化効果が不充分であるとともに、石こう硬化体の強度が低くなる。したがって、アルカリ物質を加えて撹拌した後の石こうのスラリのイオン濃度指数は、6.0以上かつ8.6未満とする。
石こうのスラリに加えて撹拌するリン酸類およびアルカリ物質の量は、スラリに含まれるフッ素の含有量と、アルカリ物質を撹拌した後の石こうのスラリの水素イオン濃度指数よって決定されるが、前述したように、リン酸類およびアルカリ物質を石こうのスラリに加えて撹拌することによって、リン酸類およびアルカリ物質の添加量を最小限として、無水石こうまたは半水石こうを用いて生成される石こう硬化体からのフッ素の溶出量を環境基準値以下にすることができる。
また本発明は、半水石こうまたは無水石こうのスラリに、このスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリのカルシウム化合物を加えて撹拌して得られる溶液を、水素イオン濃度指数が6.0以上かつ8.6未満となるように加えて撹拌して、石こう硬化体を作製することを特徴とする石こう硬化体の安定化処理方法である。
本発明に従えば、半水石こうまたは無水石こうのスラリに、前記リン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌して得られる溶液を、水素イオン濃度指数が6.0以上かつ8.6未満となるように撹拌することによって、前述した石こうのスラリに前記リン酸類を加えて撹拌した後、アルカリ物質を加えて撹拌して、石こう硬化体を作製する場合と同様に、リン酸水素カルシウム二水和物が石こうの粒子を外囲するように膜状に形成され、石こうに含まれるフッ素と、リン酸水素カルシウム二水和物とが反応して、フッ化リン酸カルシウムが生成されることによって、フッ素が石こうに固定され、半水石こうまたは無水石こうに含まれるフッ素が石こうの粒子から外部に溶出する量を低減することができる。
前記石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類が、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部未満であると、充分な量のリン酸水素カルシウム二水和物が生成されず、石こう硬化体におけるフッ素の溶出量を環境基準値である0.8mg/L以下に低減することができない。また石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類が、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて15重量部以上であると、石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0未満と低くなり、生成される石こう硬化体の強度が低くなる。石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類は、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満に選ぶことによって、石こう硬化体におけるフッ素の溶出量を環境基準値である0.8mg/L以下に低減することができ、かつ石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0を超えて中性に近づき、生成される石こう硬化体の強度が低下してしまうことが防止される。
またリン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌して得られる溶液を撹拌した後の、石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0未満あるいは8.6以上であれば、フッ素の安定化効果が不充分であるとともに、石こう硬化体の強度が低くなる。したがって、リン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌して得られる溶液を加えて撹拌した後の石こうのスラリのイオン濃度指数は、6.0以上かつ8.6未満とする。
前述したように、リン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌し、この溶液を石こうのスラリに加えて撹拌することによって、リン酸類およびアルカリ物質の添加量を最小限として、無水石こうまたは半水石こうを用いて生成される石こう硬化体からのフッ素の溶出量を環境基準値以下にすることができる。
また本発明は、半水石こうまたは無水石こうのスラリに、このスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌して得られるリン酸水素カルシウム二水和物を、水素イオン濃度指数が6.0以上、かつ8.6未満となるように加えて撹拌して、石こう硬化体を作製することを特徴とする石こう硬化体の安定化処理方法である。
本発明に従えば、半水石こうまたは無水石こうのスラリに、前記リン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌して得られるリン酸水素カルシウム二水和物を、水素イオン濃度指数が6.0以上、かつ8.6未満となるよう加えて撹拌することによって、リン酸水素カルシウム二水和物が石こうの粒子を外囲するように膜状に形成され、石こうに含まれるフッ素と、リン酸水素カルシウム二水和物とが反応して、フッ化リン酸カルシウムが生成されることによって、フッ素が石こうに固定され、半水石こうまたは無水石こうに含まれるフッ素が石こうの粒子から外部に溶出する量を低減することができる。
前記石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類が、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部未満であると、充分な量のリン酸水素カルシウム二水和物が生成されず、石こう硬化体におけるフッ素の溶出量を環境基準値である0.8mg/L以下に低減することができない。また石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類が、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて15重量部以上であると、石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0未満と低くなり、生成される石こう硬化体の強度が低くなる。石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類は、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満に選ぶことによって、石こう硬化体におけるフッ素の溶出量を環境基準値である0.8mg/L以下に低減することができ、かつ石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0を超えて中性に近づき、生成される石こう硬化体の強度が低下してしまうことが防止される。
またリン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌して得られるリン酸水素カルシウム二水和物を加えて撹拌した後の、石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0未満あるいは8.6以上であれば、フッ素の安定化効果が不充分であるとともに、石こう硬化体の強度が低くなる。したがって、リン酸水素カルシウム二水和物を加えて撹拌した後の石こうのスラリの水素イオン濃度指数は、6.0以上かつ8.6未満とする。
前述したように、リン酸水素カルシウム二水和物を石こうのスラリに加えて撹拌することによって、リン酸類およびアルカリ物質の添加量を最小限として、無水石こうまたは半水石こうを用いて生成される石こう硬化体からのフッ素の溶出量を環境基準値以下にすることができる。
リン酸水素カルシウム二水和物を、石こうのスラリに加えて撹拌することによって、石こうのスラリ内でリン酸水素カルシウム二水和物が生成される場合と比較して、石こう硬化体を作製する処理時間を短くすることができる。
また本発明は、半水石こうまたは無水石こうのスラリに、このスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を加えて撹拌するリン酸類撹拌手段と、
リン酸類撹拌手段によってリン酸類が撹拌された前記スラリの水素イオン濃度指数が6.0以上かつ8.6未満となるようにアルカリのカルシウム化合物を加えて撹拌するアルカリ物質撹拌手段とを含むことを特徴とする石こう硬化体の安定化処理装置である。
また本発明は、半水石こうまたは無水石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリのカルシウム化合物を加えて撹拌して溶液を生成する溶液生成手段と、
前記溶液生成手段によって生成された溶液を、水素イオン濃度指数が6.0以上かつ8.6未満となるように前記スラリに加えて撹拌する溶液撹拌手段とを含むことを特徴とする石こう硬化体の安定化処理装置である。
また本発明は、半水石こうまたは無水石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌してリン酸水素カルシウム二水和物を生成するリン酸水素カルシウム二水和物生成手段と、
リン酸水素カルシウム二水和物生成手段によって生成されたリン酸水素カルシウム二水和物を、水素イオン濃度指数が6.0以上かつ8.6未満となるように前記スラリに加えて撹拌する溶液撹拌手段とを含むことを特徴とする石こう硬化体の安定化処理装置である。
本発明に従えば、前述した石こう硬化体の安定化処理方法を実現することができる。これらの装置では、前述した石こう硬化体の安定化処理方法を実現するために、特別な設備を必要とせず、従来からの設備を用いて装置を作製することができる。
また本発明は、半水石こうの粉末または無水石こうの粉末に、この粉末に含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を含むリン酸水素カルシウム二水和物の粉末を加えて混合することを特徴とする安定化した石こう硬化体となる石こう粉末の製造方法である。
本発明に従えば、フッ素の溶出量が環境基準値を上回らないように、加えて混合されるリン酸水素カルシウム二水和物の粉末の量を調整することによって、フッ素の溶出量が環境基準値を下回るような石こう硬化体を容易に作製することができる。
また本発明は、半水石こうの粉末または無水石こうの粉末に含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上、かつ15重量部未満のリン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌してリン酸水素カルシウム二水和物を得るリン酸水素カルシウム二水和物生成手段と、
前記粉末に、リン酸水素カルシウム二水和物生成手段によって生成されたリン酸水素カルシウム二水和物を加えて混合する混合手段とを含むことを特徴とする安定化した石こう硬化体となる石こう粉末の製造装置である。
本発明に従えば、前述した石こう粉末の製造方法を実現することができる。
本発明によれば、石こうのスラリ内でフッ素を安定化させるためのリン酸水素カルシウム二水和物を生成することによって、安定化処理に用いられるリン酸類またはリン酸類溶液およびアルカリ物質の量を最小限として、フッ素の溶出量が環境基準値を下回る安定化した石こう硬化体を製造することができる。
また本発明によれば、事前に合成したリン酸水素カルシウム二水和物を石こうのスラリに供給することによって、安定化処理に用いられるリン酸類またはリン酸類溶液およびアルカリ物質の量を最小限として、フッ素の溶出量が環境基準値を下回る安定化した石こう硬化体を製造することができる。リン酸水素カルシウム二水和物を、石こうのスラリに撹拌することによって、石こうのスラリ内でリン酸水素カルシウム二水和物が生成される場合と比較して、処理時間を短くすることができる。
また本発明によれば、前述した石こう硬化体の安定化処理方法を実現することができる。これらの装置では、前述した石こうの安定化処理方法を実現するために、特別な設備を必要とせず、従来からの設備を用いて装置を作製することができる。
また本発明によれば、フッ素の溶出量が環境基準値を上回らないように、混合されるリン酸水素カルシウム二水和物の粉末の量を調整することによって、フッ素の溶出量が環境基準値を下回るような石こう硬化体を容易に作製することができる。
また本発明によれば、前述した石こう粉末の製造方法を実現することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は下記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、適宜変更して実施することが可能なものである。
図1は、本発明の第1の実施の形態の安定化処理装置1を系統的に示す図である。まず以下で称する石こうについての説明をする。石こうとしては、天然でも人工的に合成したものでもいずれでもよい。合成された石こうとしては種々あるが、たとえば、リン酸製造時に副生するチタン石こう、建設廃棄物などリサイクルを目的に石こうボードから紙と分別した廃石こう(リサイクル石こう)などがある。本発明は、石こう硬化体から溶出するフッ素の溶出量を低下させるためのものであるから、フッ素を含有する副産石こうに使用するのが一般的である。しかし、天然石こうでもフッ素を含有するものであれば、同じように適応できる。
石こう硬化体の原料、すなわち処理対象物である半水石こう(CaSO・1/2HO)または無水石こう(CaSO)は、フッ素を含有する二水石こう(CaSO・2HO)を焼成し、粉砕して、その粒度を調整したものである。半水石こうまたは無水石こうの粒径は、150μm(マイクロメートル)以下に選ばれる。二水石こうを、半水石こうまたは無水石こうとする方法は、炉で加熱したもの、キルンなどの循環型の炉で加熱したものなどいずれでもよい。加熱する温度は、通常110〜300℃であればよい。
安定化処理装置1は、スラリ撹拌槽2、リン酸類撹拌手段3およびアルカリ物質撹拌手段4を含んで構成される。スラリ撹拌槽2は、半水石こうまたは無水石こうのスラリを収容し、この半水石こうまたは無水石こうのスラリを撹拌する。以後、半水石こうまたは無水石こうのスラリを、石こうのスラリと記載する。リン酸類供給手段3は、石こうのスラリにリン酸類を加えて撹拌する。アルカリ物質撹拌手段4は、リン酸類が撹拌された石こうのスラリに、アルカリ物質を加えて撹拌する。
まず半水石こうまたは無水石こうをスラリ撹拌槽2に収容し、スラリ撹拌槽2に水(HO)を供給して、撹拌する。スラリ撹拌槽2には、石こうのスラリを撹拌する撹拌装置が設けられており、これによって半水石こうまたは無水石こうと水とが撹拌される。半水石こうまたは無水石こうをスラリとする水は、半水石こうまたは無水石こうの供給量から必要量となる量を供給する。石こうのスラリの濃度は、20重量パーセント〜30重量パーセント(wt%)程度である。
リン酸類撹拌手段3は、リン酸類撹拌槽5およびリン酸類供給部6を含んで構成される。スラリ撹拌槽2で撹拌された石こうのスラリは、リン酸類撹拌槽5に収容される。リン酸類撹拌槽5に石こうのスラリを収容した後、リン酸類供給部6によってリン酸類撹拌槽5にリン酸類溶液あるいはリン酸類粉末を供給する。リン酸類撹拌槽5には、石こうのスラリに、リン酸類供給部6から供給されるリン酸類溶液あるいはリン酸類粉末を撹拌する撹拌装置が設けられる。リン酸類撹拌手段3によって石こうのスラリにリン酸類が加えられて撹拌されて、これらが混合される。
前記リン酸類としては、リン酸とカチオンとの反応により生成した酸性のリン酸塩でもよいし、リン酸自体でもよい。たとえば、次亜リン酸、亜リン酸、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸などの酸、さらに、リン酸水素カルシウムおよびリン酸水素アルミニウムなどである。この中では、リン酸処理水として水に溶解する酸が望ましい。特に効果があるのは、リン酸である。
アルカリ物質撹拌手段4は、アルカリ物質撹拌槽7およびアルカリ物質供給部8を含んで構成される。リン酸類撹拌槽5でリン酸類が撹拌された石こうのスラリは、アルカリ物質撹拌槽7に収容される。アルカリ物質撹拌槽7に石こうのスラリを収容した後、アルカリ物質供給部8によってアルカリ物質撹拌槽7にアルカリ物質を供給する。アルカリ物質撹拌槽7には、リン酸類が撹拌された石こうのスラリに、アルカリ物質供給部8から供給されるアルカリ物質を撹拌する撹拌装置が設けられる。アルカリ物質撹拌手段4によって、リン酸類と混合された石こうのスラリに、アルカリ物質を加えて撹拌して、これらを混合する。
前記アルカリ物質としては、アルカリのカルシウム化合物ならいずれでもよい。アルカリのカルシウム化合物としては、消石灰(水酸化カルシウム)、炭酸カルシウム、ドロマイト、セメントおよび鉄鋼高炉スラグ粉などが適用可能である。
アルカリ物質撹拌槽7で、リン酸類が撹拌された石こうのスラリと、アルカリ物質とを撹拌した後、硬化処理することによって、石こう硬化体が生成される。硬化処理では、リン酸類およびアルカリ物質が撹拌された石こうのスラリを、静置する。静置することによって、石こうのスラリに含まれる半水石こうまたは無水石こうは水和して個化する。
本実施の形態におけるリン酸類およびアルカリ物質の量の供給方法について以下に説明する。まずリン酸類供給手段3は、石こうのスラリに、この石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を加えて撹拌する。これによって、石こうのスラリを、酸性とすることができる。その後、リン酸類が撹拌された石こうのスラリに、アルカリ物質を加えて撹拌すると、酸性となっている石こうのスラリに、固体のアルカリ物質が徐々に溶け出して、水素イオン濃度指数を6.0〜8.6の範囲まで徐々に上昇させることができ、リン酸水素カルシウム二水和物(CaHPO・2HO)が生成しやすい。
リン酸水素カルシウム二水和物は難溶性であり、このリン酸水素カルシウム二水和物が石こうの粒子を外囲するように膜状に形成される。石こうに含まれるフッ素と、リン酸水素カルシウム二水和物とが反応して、フッ化リン酸カルシウム(Ca10(PO)が生成されることによって、フッ素が石こうに固定され、半水石こうまたは無水石こうに含まれるフッ素が石こうの粒子から外部に溶出する量を低減することができる。
前記石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類が、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部未満であると、充分な量のリン酸水素カルシウム二水和物が生成されず、石こう硬化体におけるフッ素の溶出量を環境基準値である0.8mg/L以下に低減することができない。また石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類が、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて15重量部以上であると、石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0未満と低くなり、生成される石こう硬化体の強度が低くなる。石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類は、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満に選ぶことによって、石こう硬化体におけるフッ素の溶出量を環境基準値である0.8mg/L以下に低減することができ、かつ石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0を超えて中性に近づき、生成される石こう硬化体の強度が低下してしまうことが防止される。
リン酸類供給部6は、石こうのスラリのpHを下げる際のリン酸類を石こうのスラリに添加するとき、リン酸類をそのまま添加してもよいし、水などに希釈して添加してもよい。リン酸類の添加後、撹拌を充分にする必要がある。たとえば撹拌時間は、5分程度に選ばれる。
アルカリ物質供給部8は、アルカリ物質撹拌槽7における石こうのスラリのpHを検知しておいて、pHが6.0以上かつ8.6未満になるように、石こうのスラリにアルカリ物質を供給する。石こうのスラリのpHの検知は、pH測定装置によって行われる。アルカリ物質を撹拌した後の、石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0未満あるいは8.6以上であれば、フッ素の安定化効果が不充分であるとともに、石こう硬化体の強度が低くなる。したがって、アルカリ物質を撹拌した後の石こうのスラリのイオン濃度指数は、6.0以上かつ8.6未満とする。
石こうのスラリに加えて撹拌するリン酸類の量は、スラリに含まれるフッ素の含有量と、アルカリ物質を撹拌した後の石こうのスラリの水素イオン濃度指数よって決定されるが、前述したように、リン酸類およびアルカリ物質を石こうのスラリに加えて撹拌することによって、リン酸類およびアルカリ物質の添加量を最小限として、無水石こうまたは半水石こうを用いて生成される石こう硬化体からのフッ素の溶出量を環境基準値以下にすることができる。
リン酸類の供給量は、基本的には石こうのスラリの水素イオン濃度指数によって制御するが、石こうのスラリおよび供給するリン酸類の性状が安定している場合、石こうのスラリに対して一定な割合で供給してもよい。アルカリ物質の量は、リン酸類の量に対して必要な割合で供給する。リン酸類としてリン酸、アルカリ物質として消石灰を使用する場合は、望ましくは消石灰の量はリン酸に対して1/2量を基準として供給する。すなわちリン酸1重量部に対して消石灰1/2重量部とする。
本実施の形態では、石こうのスラリから石こう硬化体を製造するまでの各工程は、20℃〜30℃程度の常温で行われる。
本実施の形態では、スラリ撹拌槽2、リン酸類撹拌槽5およびアルカリ物質撹拌槽7をそれぞれ別々の撹拌槽によって実現しているが、同じ撹拌槽で機能を分けて使用することを妨げるものではなく、すなわち本発明の他の実施の形態において、これらスラリ撹拌槽2、リン酸類撹拌槽5およびアルカリ物質撹拌槽7を1つの撹拌槽によって実現してもよい。
図2は、本発明の第2の実施の安定化処理装置10を系統的に示す図である。本実施の形態において、前述第1の実施の形態の安定化処理装置1と同様の構成については、同様の参照符号を付して、その説明を省略する場合がある。本実施の形態において、石こうのスラリ、リン酸類およびアルカリ物質は、前述した実施の形態の同様である。
安定化処理装置10は、スラリ撹拌槽2および溶液撹拌手段11を含んで構成される。溶液撹拌手段11は、第1撹拌槽12、第2撹拌槽13、リン酸類供給部6およびアルカリ物質供給部8を含んで構成される。第1撹拌槽12には、スラリ撹拌槽2で撹拌された石こうのスラリが収容される。
リン酸類供給部6は、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を含むリン酸類溶液、または前記リン酸類の粉末と水とを、第2撹拌槽13に供給する。アルカリ物質供給部8は、第2撹拌槽13にアルカリ物質を供給する。第2撹拌槽13には、リン酸類供給部6から供給されるリン酸類溶液、または前記リン酸類の粉末と水と、アルカリ物質供給部8から供給されるアルカリ物質とを撹拌する撹拌装置が設けられる。第2撹拌槽13では、リン酸類供給部6から供給されるリン酸類と、アルカリ物質供給部8から供給されるアルカリ物質とが加えられて混合されることによって、これらが反応し、リン酸水素カルシウム二水和物を含む溶液が生成される。
第2撹拌槽13で生成された前記溶液は、第1撹拌槽12に収容される石こうのスラリに供給される。第1撹拌槽12には、石こうのスラリと、第2撹拌槽13から供給される溶液とを撹拌する撹拌装置が設けられ、石こうのスラリと第2撹拌槽13から供給される溶液とが加えられて撹拌されて混合される。
第1撹拌槽12で石こうのスラリに第2撹拌槽13から供給される溶液を加えて撹拌した後、硬化処理することによって、石こう硬化体が生成される。
半水石こうまたは無水石こうのスラリに、前記リン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌して得られる溶液を、水素イオン濃度指数が6.0以上かつ8.6未満となるように加えて撹拌することによって、前述した石こうのスラリに前記リン酸類を加えて撹拌した後、アルカリ物質を加えて撹拌して、石こう硬化体を作製する場合と同様に、リン酸水素カルシウム二水和物が石こうの粒子を外囲するように膜状に形成され、石こうに含まれるフッ素と、リン酸水素カルシウム二水和物とが反応して、フッ化リン酸カルシウムが生成されることによって、フッ素が石こうに固定され、半水石こうまたは無水石こうに含まれるフッ素が石こうの粒子から外部に溶出する量を低減することができる。
前記石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類が、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部未満であると、充分な量のリン酸水素カルシウム二水和物が生成されず、石こう硬化体におけるフッ素の溶出量を環境基準値である0.8mg/L以下に低減することができない。また石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類が、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて15重量部以上であると、石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0未満と低くなり、生成される石こう硬化体の強度が低くなる。石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類は、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満に選ぶことによって、石こう硬化体におけるフッ素の溶出量を環境基準値である0.8mg/L以下に低減することができ、かつ石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0を超えて中性に近づき、生成される石こう硬化体の強度が低下してしまうことが防止される。
またリン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌して得られる溶液を加えて撹拌した後の、石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0未満あるいは8.6以上であれば、フッ素の安定化効果が不充分であるとともに、石こう硬化体の強度が低くなる。したがって、リン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌して得られる溶液を撹拌した後の石こうのスラリのイオン濃度指数は、6.0以上かつ8.6未満とする。
前述したように、リン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌し、この溶液を石こうのスラリに加えて撹拌することによって、リン酸類およびアルカリ物質の添加量を最小限として、無水石こうまたは半水石こうを用いて生成される石こう硬化体からのフッ素の溶出量を環境基準値以下にすることができる。
本実施の形態では、石こうのスラリから石こう硬化体を製造するまでの各工程は、20℃〜30℃程度の常温で行われる。
本実施の形態では、スラリ撹拌槽2および第1撹拌槽12をそれぞれ別々の撹拌槽によって実現しているが、同じ撹拌槽で機能を分けて使用することを妨げるものではなく、すなわち本発明の他の実施の形態において、これらスラリ撹拌槽2および第1撹拌槽12を1つの撹拌槽によって実現してもよい。
図3は、本発明の第3の実施の形態の安定化処理装置20を系統的に示す図である。本実施の形態において、前述の第1および第2の実施の形態の安定化処理装置1,10と同様の構成については、同様の参照符号を付して、その説明を省略する場合がある。本実施の形態において、石こうのスラリ、リン酸類およびアルカリ物質は、前述した実施の形態の同様である。
安定化処理装置20は、スラリ撹拌槽2および溶液撹拌手段21を含んで構成される。溶液撹拌手段21は、第1撹拌槽12、第2撹拌槽13、リン酸類供給部6、アルカリ物質供給部8およびろ過機22を含んで構成される。
第2撹拌槽13で撹拌された溶液は、ろ過機22に供給される。ろ過機22は、第2撹拌槽13で撹拌されて生成された溶液をろ過して、固形分とろ過水とに分離する。固形分には、リン酸水素カルシウム二水和物が含まれる。前述の第2の実施の形態では、第2撹拌槽13で撹拌された溶液が第1撹拌槽12に供給されるが、本実施の形態では、第2撹拌槽13で撹拌された溶液をろ過して得られる固形分のみが、第1撹拌槽12に供給される。
リン酸水素カルシウム二水和物の製造方法について述べる。まず第2撹拌槽13においてリン酸10重量部を水10000重量部に加えて十分に撹拌する。これに消石灰5重量部を添加し、さらに常温で30分撹拌する。次にろ過機22において、このスラリを孔径0.45μmのメンブレンフィルタによって吸引ろ過し、ろ過物を45℃で24時間乾燥することによってリン酸水素カルシウム二水和物を得ることができる。
第1撹拌槽12で石こうのスラリに、ろ過機22から供給されるリン酸水素カルシウム二水和物を加えて撹拌した後、硬化処理することによって、石こう硬化体が生成される。
半水石こうまたは無水石こうのスラリに、前記リン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌して得られるリン酸水素カルシウム二水和物を、水素イオン濃度指数が6.0以上、かつ8.6未満となるよう撹拌することによって、リン酸水素カルシウム二水和物が石こうの粒子を外囲するように膜状に形成され、石こうに含まれるフッ素と、リン酸水素カルシウム二水和物とが反応して、フッ化リン酸カルシウムが生成されることによって、フッ素が石こうに固定され、半水石こうまたは無水石こうに含まれるフッ素が石こうの粒子から外部に溶出する量を低減することができる。
前記石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類が、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部未満であると、充分な量のリン酸水素カルシウム二水和物が生成されず、石こう硬化体におけるフッ素の溶出量を環境基準値である0.8mg/L以下に低減することができない。また石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類が、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて15重量部以上であると、石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0未満と低くなり、生成される石こう硬化体の強度が低くなる。石こうのスラリに加えて撹拌されるリン酸類は、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満に選ぶことによって、石こう硬化体におけるフッ素の溶出量を環境基準値である0.8mg/L以下に低減することができ、かつ石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0を超えて中性に近づき、生成される石こう硬化体の強度が低下してしまうことが防止される。
またリン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌して得られるリン酸水素カルシウム二水和物を加えて撹拌した後の、石こうのスラリの水素イオン濃度指数が6.0未満あるいは8.6以上であれば、フッ素の安定化効果が不充分であるとともに、石こう硬化体の強度が低くなる。したがって、リン酸水素カルシウム二水和物を撹拌した後の石こうのスラリのイオン濃度指数は、6.0以上かつ8.6未満とする。
前述したように、リン酸水素カルシウム二水和物を石こうのスラリに加えて撹拌することによって、リン酸類およびアルカリ物質の添加量を最小限として、無水石こうまたは半水石こうを用いて生成される石こう硬化体からのフッ素の溶出量を環境基準値以下にすることができる。
本実施の形態では、リン酸水素カルシウム二水和物を、石こうのスラリに加えて撹拌することによって、石こうのスラリ内でリン酸水素カルシウム二水和物が生成される場合と比較して、石こう硬化体を作製する処理時間を短くすることができる。
また安定化処理装置20において、ろ過機22によって生成されるろ過水を、水和工程の水としてスラリ撹拌槽2に供給して使用してもよい。この場合、ろ過機22からのろ過水は、石こうのスラリ量に対して必要量となるように供給する。
本実施の形態では、石こうのスラリから石こう硬化体を製造するまでの各工程は、20℃〜30℃程度の常温で行われる。
図4は、本発明の第4の実施の形態の石こう粉末の製造装置30を系統的に示す図である。本実施の形態において、前述の第2および第3の実施の形態の安定化処理装置10,20と同様の構成については、同様の参照符号を付して、その説明を省略する場合がある。本実施の形態において、石こうのスラリ、リン酸類およびアルカリ物質は、前述した実施の形態の同様である。
石こう粉末の製造装置30は、リン酸水素カルシウム二水和物生成手段31および混合手段32を含んで構成される。リン酸水素カルシウム二水和物生成手段31は、撹拌槽34、リン酸類供給部6、アルカリ物質供給部8、ろ過機22および乾燥機33を含んで構成される。撹拌槽34は、前述した第2撹拌槽13と同様な構成である。
ろ過機22によって得られたリン酸水素カルシウム二水和物の固形物は、乾燥機33に与えられる。乾燥機33は、与えられたリン酸水素カルシウム二水和物の固形物を乾燥して、混合手段32に与える。
混合手段32は、半水石こうの粉末または無水石こうの粉末と、乾燥機33から与えられる乾燥したリン酸水素カルシウム二水和物とを加えて混合する。これによって石こう硬化体となると安定化する半水石こうの粉末または無水石こうの粉末が生成される。
半水石こうの粉末または無水石こうの粉末と混合されるリン酸水素カルシウム二水和物には、半水石こうの粉末または無水石こうの粉末に含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類が含まれる。フッ素の溶出量が環境基準値を上回らないように、混合されるリン酸水素カルシウム二水和物の粉末の量を調整することによって、フッ素の溶出量が環境基準値を下回るような石こう硬化体を容易に作製することができる。
本実施の形態では、リン酸類溶液とアルカリ物質とを撹拌して、この溶液をろ過する工程は、20℃〜30℃程度の常温で行われる。
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
以下の実施例においては、原料となる半水石こうまたは無水石こうとしては、排煙脱硫装置から発生した排脱石こうを焼成した半水石こうを用いた。脱硫石こうの分析値を表1に示す。表1は、脱硫石こう(二水石こう)中のフッ素含有量とフッ素溶出量とフッ素溶出液の水素イオン濃度指数とを表す。
Figure 0004908817
表1において、石こう中のフッ素含有量は、45℃で、24時間乾燥した石こうにおけるものである。またフッ素溶出量は、溶出試験(環境庁告示第46号)に準拠した。
石こうなどのフッ素含有量は、JIS R 9101に準拠し、水蒸気蒸留の留出液を使い、緩衝溶液(全イオン強度調節液)を加えて、pH=5.0〜5.5に調整した後、フッ化物イオン電極を用いて電位を測定した。
石こうのフッ素溶出量は溶出試験においては、試料50g以上を純水を溶媒に500mL以上(pH=5.8〜6.3)とし、1L程度のポリエチレン製の容器に入れる。毎分約200回、水平に振とう(振とう幅4cm以上5cm以下、室温約20℃)を6時間行い、10〜30分放置した後、毎分約3000回転で20分間遠心分離し、上澄み液をろ紙孔径0.45μmのメンブレンフィルタを使って吸引ろ過した。ろ液中のフッ素濃度をフッ素イオン電極で測定した。イオン電極法は、JIS R 9101によった。
試験に供した半水石こうは、次の方法で調整した。上記の排脱石こうを適量とって、混練機にて混練し、45℃で、一夜間(24時間以上)乾燥した。その後、乾燥機によって、170℃で、2時間焼成した後、取出し、空気中で常温下、24時間以上、養生して半水石こうとした。二水石こうから半水石こうに調整したときの水分減少量は20.8%であった。
(実施例1)
標準混水量(石こうに対して71wt%)の蒸留水(142g)に、所定量のリン酸(1.0g)および消石灰(0.5g)を入れて撹拌した後、半水石こう(約200g)を投入して、1日静置し、石こう硬化体とした。生成された石こう硬化体を45℃で、24時間以上乾燥した後、粉砕して、2mmメッシュで篩ったものについて、溶出試験(環境庁告示第46号)を行った。石こう硬化体の溶出液のpH7.2で、フッ素溶出量は0.6[mg/L]となった。
(実施例2)
まず標準混水量(石こうに対して71wt%)の蒸留水(142g)をビーカにとって、所定量のリン酸(1.6g)を入れ撹拌し、pHを安定させる。次に所定量の消石灰(0.8g)をとってビーカに入れ、pHを安定させた溶液を使った。この溶液に、半水石こう(約200g)を投入して、1日静置し、石こう硬化体とした。石こう硬化体を45℃で、24時間以上乾燥した後、粉砕し、2mmメッシュで篩ったものについて、溶出試験(環境庁告示第46号)を行った。ここでリン酸および消石灰の換算濃度については、二水石こうを基準として計算した。処理条件と溶出試験の結果を表2に示す。石こう硬化体の溶出液のpHは7.3で、フッ素溶出量は0.2[mg/L]となった。
表2は、本実施例における石こう硬化体前処理条件と、石こう硬化体溶出試験結果とを示す。
Figure 0004908817
(実施例3)
標準混水量(石こうに対して71%)の蒸留水(142g)をビーカにとって、リン酸水素カルシウム二水和物(試薬)を所定量(0.8g)とって撹拌し、pHを安定させる。この溶液に、半水石こう(約200g)を投入し、撹拌した後、1日静置して、石こう硬化体とした。石こう硬化体を45℃で、24時間以上乾燥した後、粉砕し、2mmメッシュで篩ったものについて、溶出試験(環境庁告示第46号)を行った。石こう硬化体の溶出液のpHは7.4で、フッ素溶出量は0.6[mg/L]となった。
(比較例1)
実施例の一つの方法で石こうのスラリにリン酸および消石灰を加えないで、石こう硬化体を製造した。石こう硬化体を45℃で、24時間以上乾燥した後、粉砕し、2mmメッシュで篩ったものについて、溶出試験(環境庁告示第46号)を行った。石こう硬化体の溶出液のpHは8.5で、フッ素溶出量は3.9[mg/L]となった。
(比較例2)
二水石こうにリン酸(0.6wt%)、消石灰(0.3wt%)を機械的に混練した後、45℃で、24時間以上乾燥した。この二水石こうについて溶出試験(環境庁告示第46号)を行った。二水石こうの溶出液のpHは6.4で、フッ素溶出量は0.2[mg/L]以下となった。次に、この二水石こうを乾燥機で170℃、2時間焼成して、半水石こうにして常温で、24時間以上養生した。標準混水量(石こうに対して71%)の蒸留水(142g)のビーカ中に、半水石こう(約200g)を投入し、混練後、1日静置し、石こう硬化体とした。石こう硬化体を45℃で、24時間以上乾燥した後、粉砕し、2mmメッシュで篩ったものについて、溶出試験(環境庁告示第46号)を行った。石こう硬化体の溶出液のpHは7.5で、フッ素溶出量は1.2[mg/L]となった。
以上のように、本実施例では作製された石こう硬化体からのフッ素溶出量を環境基準値である0.8[mg/L]以下に抑制することができた。
前述した実施例2の手順で、アルカリ物質である消石灰を、リン酸の半分程度の量で、なおかつアルカリ物質を加えた後の溶液のpHが8.3程度となるように添加して作製された石こう硬化体を45℃で、24時間以上乾燥した後、粉砕し、2mmメッシュで篩ったものについて、溶出試験(環境庁告示第46号)を行ってフッ素の溶出量を測定した結果から、石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ12重量部未満のリン酸類を、石こうスラリに加えて撹拌することによって、フッ素の溶出量を確実に環境基準値以下にすることができ、また石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を、石こうのスラリに加えて撹拌することによっても、フッ素の溶出量をより確実に環境基準値以下とすることができることがわかった。
本発明の第1の実施の形態の安定化処理装置1を系統的に示す図である。 本発明の第2の実施の形態の安定化処理装置10を系統的に示す図である。 本発明の第3の実施の形態の安定化処理装置20を系統的に示す図である。 本発明の第4の実施の形態の石こう粉末の製造装置30を系統的に示す図である。
符号の説明
1,10,20 安定化処理装置
2 スラリ撹拌槽
3 リン酸類撹拌手段
4 アルカリ物質撹拌手段
5 リン酸類撹拌槽
6 リン酸類供給部
7 アルカリ物質撹拌槽
8 アルカリ物質供給部
11,21 溶液撹拌手段
12 第1撹拌槽
13 第2撹拌槽
22 ろ過機
30 石こう粉末の製造装置
31 リン酸水素カルシウム二水和物生成手段
32 混合機
33 乾燥機
34 撹拌槽

Claims (8)

  1. 半水石こうまたは無水石こうのスラリに、このスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を加えて撹拌した後、水素イオン濃度指数が6.0以上かつ8.6未満となるようにアルカリのカルシウム化合物を加えて撹拌して、石こう硬化体を作製することを特徴とする石こう硬化体の安定化処理方法。
  2. 半水石こうまたは無水石こうのスラリに、このスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリのカルシウム化合物を加えて撹拌して得られる溶液を、水素イオン濃度指数が6.0以上かつ8.6未満となるように加えて撹拌して、石こう硬化体を作製することを特徴とする石こう硬化体の安定化処理方法。
  3. 半水石こうまたは無水石こうのスラリに、このスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌して得られるリン酸水素カルシウム二水和物を、水素イオン濃度指数が6.0以上、かつ8.6未満となるように加えて撹拌して、石こう硬化体を作製することを特徴とする石こう硬化体の安定化処理方法。
  4. 半水石こうまたは無水石こうのスラリに、このスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を加えて撹拌するリン酸類撹拌手段と、
    リン酸類撹拌手段によってリン酸類が撹拌された前記スラリの水素イオン濃度指数が6.0以上かつ8.6未満となるようにアルカリのカルシウム化合物を加えて撹拌するアルカリ物質撹拌手段とを含むことを特徴とする石こう硬化体の安定化処理装置。
  5. 半水石こうまたは無水石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリのカルシウム化合物を加えて撹拌して溶液を生成する溶液生成手段と、
    前記溶液生成手段によって生成された溶液を、水素イオン濃度指数が6.0以上かつ8.6未満となるように前記スラリに加えて撹拌する溶液撹拌手段とを含むことを特徴とする石こう硬化体の安定化処理装置。
  6. 半水石こうまたは無水石こうのスラリに含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌してリン酸水素カルシウム二水和物を生成するリン酸水素カルシウム二水和物生成手段と、
    リン酸水素カルシウム二水和物生成手段によって生成されたリン酸水素カルシウム二水和物を、水素イオン濃度指数が6.0以上かつ8.6未満となるように前記スラリに加えて撹拌する溶液撹拌手段とを含むことを特徴とする石こう硬化体の安定化処理装置。
  7. 半水石こうの粉末または無水石こうの粉末に、この粉末に含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上かつ15重量部未満のリン酸類を含むリン酸水素カルシウム二水和物の粉末を加えて混合することを特徴とする安定化した石こう硬化体となる石こう粉末の製造方法。
  8. 半水石こうの粉末または無水石こうの粉末に含まれるフッ素1重量部に対して、リンの含有量が同一となるように換算したリン酸相当重量にて2重量部以上、かつ15重量部未満のリン酸類を含むリン酸類溶液にアルカリ物質を加えて撹拌してリン酸水素カルシウム二水和物を得るリン酸水素カルシウム二水和物生成手段と、
    前記粉末に、リン酸水素カルシウム二水和物生成手段によって生成されたリン酸水素カルシウム二水和物を混合する混合手段とを含むことを特徴とする安定化した石こう硬化体となる石こう粉末の製造装置。
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