JP6277071B2 - 水硬性セメント組成物の製造方法及び解体コンクリート微粉末のスクリーニング方法 - Google Patents
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Description
ポルトランドセメントの含有量低減のために、高炉スラグ微粉末にセッコウとアルカリ刺激材を添加したセメントが、高硫酸塩スラグセメントとして古くから知られており、高硫酸塩スラグセメントは、高い強度を発現することが知られている。高硫酸塩スラグセメントの水和反応に必要なアルカリ刺激材としては、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等の工業原料がある。高硫酸塩スラグセメントは、高炉スラグ微粉末の含有量が80質量%〜90質量%と高く二酸化炭素の削減効果はきわめて大きい。
しかしながら、解体コンクリート微粉末は、原料となるコンクリートの組成、コンクリート硬化体が置かれた環境、解体までの期間などにより、アルカリ刺激材としての性能が一定ではなく、好適な水酸化カルシウム含有量を有する解体コンクリート微粉末を所定の量で効率よく得るという点については、なお、改良の余地があった。
解体コンクリートから得られる骨材については、コンクリート用骨材にリサイクルすることが試みられており、さらに、骨材回収後の解体コンクリート由来の微粒物についても、再生セメントの製造に用いることが提案されてはいるが(例えば、特許文献2参照)、セメント硬化体から得られる微粒物については、その組成物が一定ではないことから、これをアルカリ刺激材として使用した場合、得られるセメント組成物は、十分な強度の硬化体が得られない懸念があった。
<1> 高炉スラグ70質量%〜95質量%と、セッコウ5質量%〜30質量%とを含み、高炉スラグとセッコウとの合計含有量が100質量%である混合物Aを調製することと、得られた混合物A、及び粉末度が3000以上17000以下の解体コンクリート微粉末を含有する混合物Bを調製することと、を含み、得られた混合物B10質量部に対して水100質量部含有する水分散物を調製し、得られた水分散物の上澄みのpHを測定したとき、上澄み液のpHが11.0〜12.2となるように、混合物B中の前記解体コンクリート微粉末の含有量を3質量%〜50質量%の範囲で調整する水硬性セメント組成物の製造方法である。
<2> 前記解体コンクリート微粉末として、解体コンクリート微粉末を単独で含む水分散物を調製し、得られた水分散物の上澄み液のpHを測定したとき、測定されたpHが互いに異なる2種以上の解体コンクリート微粉末を組み合わせて用いる、<1>に記載の水硬性セメント組成物の製造方法である。
<3> 前記水硬性セメント組成物の製造方法により製造された水硬性セメント組成物を用いて得られたセメント硬化体の、材齢3日の圧縮強さが7.5N/mm2以上である、<1>又は<2>に記載の水硬性セメント組成物の製造方法である。
なお、以下、本明細書においては、本発明の製造方法により製造された水硬性セメント組成物を用いて得られるセメント硬化体を、「特定セメント硬化体」と称することがある。
<水硬性セメント組成物の製造方法>
本発明の水硬性セメント組成物の製造方法は、高炉スラグ70質量%〜95質量%と、セッコウ5質量%〜30質量%とを含み、高炉スラグとセッコウとの合計含有量が100質量%である混合物Aを調製することと、得られた混合物A、及び粉末度が3000以上17000以下の解体コンクリート微粉末を含有する混合物Bを調製することを含み、
得られた混合物B10質量部に対して水100質量部含有する水分散物を調製し、得られた水分散物の上澄みのpHを測定したとき、上澄み液のpHが11.0〜12.2となるように、混合物B中の前記解体コンクリート微粉末の含有量を3質量%〜50質量%の範囲で調整する水硬性セメント組成物の製造方法である。
本発明の製造方法により得られた水硬性セメント組成物で作製されたセメント硬化体は初期強度が良好であることも一つの特徴である。
さらに、本発明の解体コンクリート微粉末のスクリーニング方法によれば、煩雑な分析等を行なうことなく、入手した解体コンクリート微粉末がアルカリ刺激材として好適か否かを簡易に判断することができ、解体コンクリート微粉末の再利用に有用である。
〔高炉スラグ70質量%〜95質量%と、セッコウ5質量%〜30質量%とを含み、高炉スラグとセッコウとの合計含有量が100質量%である混合物Aを調製すること〕
本発明の水硬性セメント組成物の製造方法では、まず、高炉スラグ70質量%〜95質量%と、セッコウ5質量%〜30質量%との混合物Aを調製する。混合物Aにおける、高炉スラグとセッコウとの合計含有量が100質量%である。本工程を、以下、混合物A調製工程と称することがある。
混合物Aに含まれる高炉スラグには特に制限はなく、汎用の高炉スラグを使用することができる。高炉スラグとしては、粉末度が3000cm2/g〜13000cm2/gの微粉末であることが好ましく、粉末度が4000cm2/g〜8000cm2/gの微粉末がより好ましい。
高炉スラグの粉末度はJIS R 5201(1997年)記載のセメントの粉末度の測定方法に準じて測定することができる。粉末度は、高炉水砕スラグを粉砕する時の粉砕方法、粉砕条件や粉砕後の分級により制御することができる。
高炉スラグの粉末度が、上記範囲であることで、得られる水硬性セメント組成物の硬化反応が良好に進行し、反応が急速に進行して発熱量が増加したり、乾燥収縮が大きくなったり、得られる成形体におけるクラックの発生や寸法安定性が低下したり、などの問題の発生が抑制される。
本発明の製造方法に用いうるセッコウは、例えば、二水セッコウ、無水セッコウ、半水セッコウのいずれでもよく、これらの一種又は二種以上を用いることができるが、これらの中では無水セッコウが好ましい。
混合物Aにおける高炉スラグとセッコウとの混合物中には、高炉スラグとセッコウとが、70:30〜95:5の範囲で含まれることを要し、80:20〜90:10の範囲であることが好ましい。
混合物Aの調製方法には特に制限はなく、粉体の混合に用いられる公知の方法を適宜使用することができる。混合物Aの調製に用いられる装置としては、プロシェアミキサー、ナウターミキサー、傾胴ミキサー、オムニミキサー、V型ミキサーなどが挙げられる。
本工程では、混合物A調製工程を経て得られた混合物Aに、さらに、粉末度が3000以上17000以下の解体コンクリート微粉末を含有させ、混合物Bを調製する。本工程を、以下、混合物B調製工程と称することがある。
コンクリートの建造物、構造物を解体し、再利用に供するために骨材などを分離した際に廃材として得られる解体コンクリート微粉末は、当初のコンクリートの組成、建造物、構造物等の置かれた環境、経時期間等の影響により、さまざまな組成のものがある。
本発明者らは、解体コンクリート微粉末を高炉スラグに対するアルカリ刺激材として使用したセメント組成物において、解体コンクリート微粉末の組成に拘らず、所望のアルカリ刺激材としての機能を発現しうるスクリーニング方法、水硬性セメント組成物の製造方法を見出したものである。
解体コンクリート微粉末の粉末度が上記範囲であると、十分なアルカリ刺激効果が得られ、モルタルやコンクリートに使用した時も好適な流動性が達成される。
粉末度が高いほど微粉末の比表面積が大きくなるため反応性が高くなり、特定セメント硬化体の形成に使用した場合に硬化体の強度の増加につながることが期待される。一方、解体コンクリート微粉末の粉末度が高すぎる場合には、取扱い性が低下するとともに、コンクリート材料として用いた場合にセメント組成物と水とを含むペーストを調製した場合、粘性が高くなり、流動性を低下させる懸念がある。
解体コンクリートを粉砕し、骨材を分離して解体コンクリート微粉末を得る手段としては、特に制限はなく、公知の方法を適用できる。
解体コンクリート微粉末を得る手段としては、例えば、解体コンクリート塊をジョークラッシャーやインペラーブレーカー等の破砕機を用いて破砕する方法、加熱を行わない機械擦りもみ方式を利用する方法、加熱すりもみ方式を利用する方法などが挙げられる。
このなかで、ジョークラッシャーやインペラーブレーカー等の破砕機を用いて破砕する方法においては、骨材も破砕されるため、解体コンクリートに由来する微粉末の純度が低くなる可能性がある。そのため、解体コンクリート微粉末を得る手段としては、加熱を行わない機械擦りもみ方式を利用する方法、加熱すりもみ方式を利用する方法が好適である。
本発明に使用しうる竪型偏心ロータ式再生骨材製造装置としては、例えば、特公平6−30755公報等に記載されている装置が挙げられる。また、遊星ミルとしては特許第5283574号公報に記載の連続遊星ミルが挙げられる。
加熱を行わない機械すりもみ方式により解体コンクリート微粉末を得る具体的な方法としては、特開2012−121764号公報に、また、加熱すりもみ方式を用いた解体コンクリート微粉末の製造方法としては、特開2003−104763公報に詳細に記載され、当該公報に記載の方法を本発明にも好適に用いることができる。
混合物Bにおける解体コンクリート微粉末の含有量については、後述する。
混合物B調製工程において、混合物B中の前記解体コンクリート微粉末の含有量を3質量%〜50質量%の範囲で調整するが、本発明においては、解体コンクリート微粉末の含有量調整の基準として、混合物Bの水分散物を調製し、得られた水分散物の上澄みのpHを測定して、上澄み液のpHが11.0〜12.2の範囲になるという基準を採用し、この基準に従い混合物Bにおける解体コンクリート微粉末の含有量を調整する。
上澄み液のpHが11.0未満であると、特定セメント硬化体の初期強度の発現が不十分になる懸念があり、pHが12.2を超えるとアルカリ刺激材としての影響が強すぎ、得られる特定セメント硬化体の初期強度は高くなるものの、長期強度の発現が不十分になる可能性がある。上澄み液のpHは、11.3〜11.9であることがより好ましい。
pHを測定するための混合物Bの水分散物は、混合物B(セメント組成物)10質量部と水100質量部とを混合することで調製することができる。混合物Bと水とを容器中に入れ、30秒間撹拌し、撹拌終了後、1時間静置して得られる上澄み液をpHの測定に使用する。
上澄み液のpHの測定は、公知のpHメータなどを用いて常法により行なうことができる。本明細書においては、測定装置として、pHメータF−53(商品名:(株)堀場製作所製)を用いて常温(25℃)で測定した値を採用している。
本発明の水硬性セメント組成物の製造方法に用いる解体コンクリート微粉末は、1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。
既述のように、混合物Bの水分散物の上澄み液のpHが小さすぎても、大きすぎても均一な強度の特定セメント硬化体を得る水硬性セメント組成物は得難い。
アルカリ刺激性の強い解体コンクリート微粉末では、少量の添加でpHが12.2を超えてしまったり、反対に、例えば、骨材粉砕物などが混合され、セメント硬化体由来の粉末含有量が少ない解体コンクリート微粉末では、50質量%以下の添加では、pHが11.0に達しなかったりすることがある。
そのような場合には、2種以上の互いに異なる解体コンクリート微粉末、より具体的には、解体コンクリート微粉末を単独で含む水分散物を調製し、得られた水分散物の上澄み液のpHを測定したとき、測定されたpHが互いに異なる2種以上の解体コンクリート微粉末を組み合わせて使用することができる。
本発明の製造方法に使用する解体コンクリート微粉末を単独で含む水分散物、即ち、解体コンクリート微粉末10質量部と水100質量部とを容器に入れ、30秒間撹拌して水分散物を調製する。水分散物は、撹拌終了後、1時間静置して、上澄み液のpHを測定すればよい。解体コンクリート微粉末の水分散物の上澄み液のpHを測定することで、該解体コンクリート微粉末のアルカリ刺激性の強度を推定できる。
このため、アルカリ刺激性の互いに異なる2種以上の解体コンクリート微粉末を併用し、その種類と含有比率とを調整することで、混合物Bに対する含有量が3質量%〜50質量%の範囲において、混合物Bの上澄み液のpHを11.0〜12.2の範囲に調製すればよい。
本発明の製造方法では、例えば、得られる硬化体の使用目的に応じて、高炉スラグ、セッコウ、解体コンクリート微粉末の含有量が予め決定された水硬性セメント組成物に適用することもできる。即ち、当該含有量に従い、混合物A、混合物Bを調製し、本発明の製造方法に従って上澄み液のpHを測定したとき、pHの範囲が11.0〜12.2の範囲にあることにより、当該組成の水硬性セメント組成物を用いて、所期の目的を達成しうるセメント硬化体を形成しうることが確認される。
本発明の水硬性セメント組成物の製造方法により製造された水硬性セメント組成物を用いて得られた特定セメント硬化体の、材齢3日の圧縮強さは7.5N/mm2以上であることが好ましく、10N/mm2以上であることがより好ましい。また、材齢28日の圧縮強さは40N/mm2以上であることが好ましく、42.5N/mm2以上であることがより好ましい。
ここで、セメント硬化体の圧縮強さは、JIS R 5201に定める方法で、水硬性セメント組成物を用いてモルタルを作製し、作製されたモルタルを用いて得られた硬化体に対して、上記JISに記載の標準的な測定方法により測定することができる。
材齢3日の圧縮強さは7.5N/mm2以上であることにより、セメント硬化体を作製した際に適切に養生することで、材齢3日で十分な脱型強度を得ることができる。
本発明の製造方法により得られた水硬性セメント組成物は、所定のアルカリ刺激性を有するアルカリ刺激材を含有することで、強度のばらつきのない特定セメント硬化体を形成しうる。また、特定セメント硬化体は、材齢3日の圧縮強さのみならず、既述のように、材齢28日の長期の圧縮強さにも優れるものとなる。
本発明の製造方法によれば、種々の物性の解体コンクリート微粉末をリサイクルに供することができるため、結果として多くの解体コンクリート微粉末をリサイクルに供することができる。
本発明の解体コンクリート微粉末のスクリーニング方法は、高炉スラグ70質量%〜95質量%と、セッコウ5質量%〜30質量%とを含み、高炉スラグとセッコウとの合計含有量が100質量%である混合物Aを調製し、得られた混合物Aと、粉末度が3000以上17000以下の解体コンクリート微粉末を全固形分中3質量%〜50質量%と、を含有する混合物Bを調製すること、及び、得られた混合物B10質量部に対して水100質量部含有する水分散物を調製し、得られた水分散物の上澄みのpHを測定したとき、上澄み液のpHが11.0〜12.2の範囲となるか否かを確認することにより、前記解体コンクリート微粉末が水硬性セメントの調製に使用しうるか否かを判断すること、を含む。
従って、本発明の解体コンクリート微粉末のスクリーニング方法を適用することで、組成や入手環境の異なる多くの解体コンクリート微粉末が、水硬性セメント組成物におけるアルカリ刺激材として使用しうるか否かを簡易に判定できる。
混合物A及び混合物Bの詳細、調製方法、上澄み液の調製方法、pHの測定方法は、既述の本発明の水硬性セメント組成物の製造方法におけるのと同様である。
混合物Aにおける高炉スラグの含有量は好ましくは70質量%〜95質量%、より好ましくは80質量%〜90質量%である。言い換えれば、本発明に使用される高炉スラグとセッコウとの混合物中には、高炉スラグとセッコウとが質量比で、70:30〜95:5の範囲で含まれることを要し、80:20〜90:10の範囲であることが好ましい。
本発明の製造方法により得られる水硬性セメント組成物を用いることで、初期圧宿強さが良好であり、且つ、均一な圧縮強さの硬化体が得られる。従って、強いアルカリ性を必ずしも必要としないコンクリート構造体、即ち、防錆処理した鉄やステンレス綱などの補強材を用いた構造物や防錆処理した鉄やステンレス綱などの枠材を用いたプレキャストコンクリート成形体などの製造に好適に用いられる。
本発明のセメント組成物には、上記必須成分に加え、通常、セメント組成物に用いられる各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。
1.解体コンクリート微粉末[1]の調製
築52年の建物解体時に発生した解体コンクリートから、50mmアンダーに破砕した解体コンクリートを、まず、特公平6−30755公報に記載の竪型偏心ロータ式再生骨材製造装置で処理し、粗骨材を回収した。次に5mmアンダーの解体コンクリート細粒を、特許第5283574号公報に記載の連続遊星ミルで処理し、細骨材を回収した。次に、細骨材回収後に残留する0.6mm以下の解体コンクリート粉末を、開孔径75μmのふるいを用いて粒径75μm以下の微粉末を抽出し、解体コンクリート微粉末[1]を得た。
解体コンクリート微粉末[1]で用いた築52年の建物解体時に発生した解体コンクリートに代えて、材齢6ヶ月のコンクリート硬化体を用いた以外は、実施例1と同様にして解体コンクリート微粉末[2]を得た。
材齢6ヶ月のコンクリート硬化体を解体コンクリートから、50mmアンダーに破砕した解体コンクリートを、まず、特公平6−30755公報に記載の竪型偏心ロータ式再生骨材製造装置で処理し、粗骨材を回収した。次に5mmアンダーの解体コンクリート細粒を、特許第5283574号公報に記載の連続遊星ミルで処理し、エアセパレーターで細骨材と微粉末に分離した。この微粉末を回収して解体コンクリート微粉末[3]を得た。
解体コンクリート微粉末[1]の調製に用いた築52年の建物解体時に発生した解体コンクリートに代えて、築42年の建物解体時に発生した解体コンクリートを用いた以外は、実施例1と同様にして解体コンクリート微粉末[4]を得た。
解体コンクリート微粉末[1]の調製に用いた、50mmアンダーに破砕した解体コンクリートを、ジョークラッシャーにより5mmアンダーに破砕した後、これをダブルロールクラッシャーで全量0.6mmアンダーに破砕し、解体コンクリート微粉末[5]を得た。
解体コンクリート微粉末の粉末度、及び密度は、JIS R 5201(1997年)記載のセメントの粉末度、及び密度の測定方法に準じて測定した。
上記解体コンクリート微粉末のうち、解体コンクリート微粉末[5]は粉末度において、本発明の範囲外の微粉末である。
解体コンクリート微粉末以外の使用した材料は以下に記載するとおりである。
<高炉スラグ>
粉末度:4110cm2/g、密度:2.91g/cm3
<無水セッコウ>
粉末度:3510cm2/g
次に、混合物Aと解体コンクリート微粉末とを含む混合物B100質量%に対して、解体コンクリート微粉末を下記表2に記載の含有量となるように用いて混合物Bを調製した。
得られた混合物B10質量部と蒸留水100質量部とを容器に入れて常温(25℃)で30秒間撹拌混合して得られた懸濁液を1時間静置し、上澄み液のpHを、pHメータF−53((株)堀場製作所製)を用いて測定した。結果を下記表2に示す。なお、混合物Bは水硬性セメント組成物であることから、表2中では、「セメント組成物」と表記する。
ここでは、混合物B(セメント組成物)の懸濁液の上澄み液のpHが本発明に規定する11.0〜12.2の範囲外等の各比較例についても、水硬性セメント組成物を調製し、実施例と同様に評価した。
高炉スラグと無水セッコウ、および解体コンクリート微粉末を用いた、実施例1〜12および比較例1〜12の24種類の水硬性セメント組成物(水/セメント比:50%)を製造した。
得られた水硬性セメント組成物を用いて、JIS R 5201に定める方法でモルタルを作製して、その圧縮強さを測定した。結果を下記表2に示す。
また、解体コンクリート微粉末量が混合物Bに対して3質量%〜50質量%の範囲にあっても、混合物Bの水分散物の上澄み液のpHが11.0〜12.2の範囲外の比較例2〜4、比較例10〜12は、材齢3日圧宿強さあるいは材齢28日圧宿強さが著しく低くなっている。
なお、実施例11と比較例2〜3との対比より、単独では、水硬性セメントに使用し難い微粉末[4]は、微粉末[2]と併用することで、本発明の効果を奏することから、本発明の製造方法によれば、水硬性セメント組成物の製造における解体コンクリート微粉末の適用範囲が拡がることが期待できる。
比較例6、7は、解体コンクリート微粉末の含有量が範囲外であり、圧宿強さが十分発現していない。
比較例8、9は、セッコウの含有量が範囲外であり、圧宿強さが十分発現していないことがわかる。
比較例5は、混合物Bの水分散物の上澄み液のpHが11.0〜12.2の範囲内にあり、かつ、解体コンクリート微粉末の含有量が、混合物Bに対して3質量%〜50質量%の範囲にあるが、解体コンクリート微粉末の粉末度が低いため圧縮強さが劣っている。
Claims (4)
- 高炉スラグ70質量%〜95質量%と、セッコウ5質量%〜30質量%とを含み、高炉スラグとセッコウとの合計含有量が100質量%である混合物Aを調製することと、
得られた混合物A、及び粉末度が3000以上17000以下の解体コンクリート微粉末を含有する混合物Bを調製することと、を含み、
得られた混合物B10質量部に対して水100質量部含有する水分散物を調製し、得られた水分散物の上澄みのpHを測定したとき、上澄み液のpHが11.0〜12.2となるように、混合物B中の前記解体コンクリート微粉末の含有量を3質量%〜50質量%の範囲で調整する水硬性セメント組成物の製造方法。 - 前記解体コンクリート微粉末として、解体コンクリート微粉末を単独で含む水分散物を調製し、得られた水分散物の上澄み液のpHを測定したとき、測定されたpHが互いに異なる2種以上の解体コンクリート微粉末を組み合わせて用いる、請求項1に記載の水硬性セメント組成物の製造方法。
- 前記水硬性セメント組成物の製造方法により製造された水硬性セメント組成物を用いて得られたセメント硬化体の、材齢3日の圧縮強さが7.5N/mm2以上である、請求項1又は請求項2に記載の水硬性セメント組成物の製造方法。
- 高炉スラグ70質量%〜95質量%と、セッコウ5質量%〜30質量%とを含み、高炉スラグとセッコウとの合計含有量が100質量%である混合物Aを調製し、得られた混合物Aと、粉末度が3000以上17000以下の解体コンクリート微粉末を全固形分中3質量%〜50質量%と、を含有する混合物Bを調製すること、及び、
得られた混合物B10質量部に対して水100質量部含有する水分散物を調製し、得られた水分散物の上澄みのpHを測定したとき、上澄み液のpHが11.0〜12.2の範囲となるか否かを確認することにより、前記解体コンクリート微粉末が水硬性セメントの調製に使用しうるか否かを判断すること、
を含む、水硬性セメント組成物に用いる解体コンクリート微粉末のスクリーニング方法。
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