JP2015046589A - 積層セラミック電子部品 - Google Patents

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保弘 奥井
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達也 小島
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Abstract

【課題】 高温負荷寿命および絶縁抵抗をさらに向上させた積層セラミック電子部品を提供すること。【解決手段】 内部電極層3と誘電体層2とが交互に積層された積層体を有する積層セラミック電子部品であって、誘電体層2が、一般式ABO3で表される主成分および希土類成分Rを含む誘電体磁器組成物からなり、誘電体層2には、希土類成分Rを含む偏析相5が存在する。一対の内部電極層3に挟まれる誘電体層2を厚み方向に6等分して6つの領域に分割した場合に、誘電体層2の略中央部に位置する2つの中央領域2b内に存在する前記R偏析相に比較して、誘電体層における一対の内部電極層3にそれぞれ接する2つの近傍領域2a内に存在する前記R偏析相が2.0倍以上の割合で存在する。【選択図】図3A

Description

本発明は、電極層と誘電体層が交互に積層された積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品に関する。
近年、電子機器の小型化、高密度化に伴い、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品の小型化、大容量化および信頼性の向上が求められている。このため、積層セラミック電子部品の誘電体層の積層数の増加および誘電体層自体の薄層化と、積層セラミック電子部品の信頼性の向上との両立が図られている。
引用文献1には、誘電体層中の粒界相にγ―YSiである結晶相を存在させることにより、薄層化しても高温負荷試験における信頼性を向上できる誘電体磁器および積層型電子部品が記載されている。さらに、誘電体磁器の比誘電率および誘電損失を高めることができることが記載されている。
しかしながら、特許文献1に示す従来の積層セラミック電子部品では、高温負荷試験の温度および電圧が85℃および9.5Vであり、さらに高温および高電圧での高温負荷寿命に課題があると共に、より絶縁抵抗が高いものが求められている。
特開2002−265260号公報
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、その目的は、さらに高温負荷寿命および絶縁抵抗を向上させた積層セラミック電子部品を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る積層セラミック電子部品は、
内部電極層と誘電体層とが交互に積層された積層体を有する積層セラミック電子部品であって、
前記誘電体層が、一般式ABO(AはBa、SrおよびCaから選択される少なくとも1種、BはTi、ZrおよびHfから選択される少なくとも1種)で表される主成分と、希土類成分R(RはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる少なくとも1種)とを含む誘電体磁器組成物からなり、
前記誘電体層には、前記希土類成分Rを含むR偏析相が存在し、
一対の前記内部電極層に挟まれる前記誘電体層を厚み方向に6等分して6つの領域に分割した場合に、
前記誘電体層の略中央部に位置する2つの中央領域内に存在する前記R偏析相に比較して、
前記誘電体層における一対の前記内部電極層にそれぞれ接する2つの近傍領域内に存在する前記R偏析相が2.0倍以上の割合で存在することを特徴とする。
本発明の積層セラミック電子部品の誘電体層には、希土類成分Rを含む偏析相が存在し、かつ、Rを含む偏析相が誘電体層の中でも内部電極層の近傍に偏在している。このことにより誘電損失δおよび比誘電率εを低下させることなく、高温負荷寿命および絶縁抵抗を向上させることができる。
好ましくは、前記誘電体層が、さらに珪素Siを含む副成分を含み、
前記誘電体層には、前記珪素Siを含むSi偏析相が、前記R偏析相に少なくとも一部で共存して存在し、
前記R偏析相および/または前記Si偏析相が存在する領域の面積に対して、前記R偏析相および前記Si偏析相が共存する共存領域の面積の割合を示すSi・R共存率が35%以上である。
Si・R共存率が35%以上であることにより、本発明の作用効果がさらに向上する。
好ましくは、前記誘電体層には、前記主成分ABOに前記希土類成分Rが少なくとも表面に固溶した誘電体粒子が存在する。
さらに好ましくは、前記誘電体層には、前記主成分ABOに、前記希土類成分Rが、粒子表面から粒径に対して15%以上の範囲で固溶した誘電体粒子が存在し、
所定観察視野内の誘電体粒子の数全体に対して、前記15%以上の範囲で固溶した誘電体粒子の割合が、70%以上である。
15%以上固溶している誘電体粒子の割合が多いことにより、本発明の作用効果がさらに向上する。
好ましくは、前記内部電極層には不連続部が存在し、前記希土類成分Rを含む偏析相が前記不連続部に存在する。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る誘電体層の要部拡大概略断面図である。 図3Aは、本発明の一実施形態に係る偏析相が誘電体層の内部電極近傍領域に偏在している状態を表す誘電体層の断面図である。 図3Bは、図3Aに対して偏析相が誘電体層中に略均等に存在している状態を表す誘電体層の断面図である。 図4は、誘電体層中に希土類成分が固溶した誘電体粒子が存在している状態を表す誘電体層の断面図である。 図5は、図4に示す希土類成分が固溶した誘電体粒子の拡大断面図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
<積層セラミックコンデンサ1>
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と、内部電極層3と、が交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。この素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよい。
<誘電体層2>
誘電体層2は、誘電体磁器組成物から構成されている。該誘電体磁器組成物は、主成分として、一般式ABO(Aは、Ba、CaおよびSrからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、Bは、Ti、ZrおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1つである)で表され、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物から成る主成分を含有する。さらに、副成分として、希土類成分R(RはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる少なくとも1種)の酸化物と、必要に応じて、Siを含む酸化物と、を含有する。なお、酸素(O)量は、上記式の化学量論組成から若干偏倚してもよい。
本実施形態において、主成分を構成する化合物は、好ましくは組成式(Ba1−x−y CaSr)TiOで表される。すなわち、Bサイト原子はTiで構成される。
本実施形態では、Bサイト原子はTiのみであるが、不純物量程度であれば、Ti以外の元素(たとえばZrやHf)がBサイト原子に含まれていてもよい。この場合、Bサイト原子100原子%に対し、Ti以外の原子の含有量が0.3原子%以下であれば不純物量とみなすことができる。
また、Aサイト原子(Ba、SrおよびCa)と、Bサイト原子(Ti)と、のモル比は、A/B比として表され、本実施形態では、A/B比は、0.98〜1.02であることが好ましい。なお、xおよびyは、いずれも任意の範囲であるが、以下の範囲であることが好ましい。
本実施形態では、上記式中xは、好ましくは0≦x≦0.5である。xはCa原子数を表し、xを上記範囲とすることにより、容量温度係数や比誘電率を制御することができる。本実施形態においては、必ずしもCaを含まなくてもよい。
本実施形態では、上記式中yは、好ましくは0≦y≦0.5である。yはSr原子数を表し、yを上記範囲とすることにより、室温での比誘電率を向上させることができる。本実施形態においては、必ずしもSrを含まなくてもよい。
本実施形態では、誘電体層に副成分としてRの酸化物を必ず含有する。Rの酸化物の含有量は、所望の特性に応じて決定すればよいが、ABO100モルに対して、R換算で、好ましくは0.03〜1.5モルである。R元素は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、Y、Dy、GdおよびHoからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、Yが特に好ましい。
本実施形態では、誘電体層に副成分としてSiを含む酸化物を含有することが好ましい。Siを含む酸化物の含有量は、所望の特性に応じて決定すればよいが、ABO100モルに対して、SiO換算で、好ましくは0.01〜0.10モル、さらに好ましくは0.01〜0.05モルである。なお、Siを含む酸化物としては、Si酸化物単独でも良いが、Siと他の金属元素(たとえば、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属)との複合酸化物等であってもよい。本実施形態では、SiとBaおよびCaとの複合酸化物である(Ba,Ca)SiOが特に好ましい。
本実施形態では、上記の誘電体磁器組成物は、さらに、所望の特性に応じて、その他の副成分を含有してもよい。
たとえば、本実施形態に係る誘電体磁器組成物には、Mn、MgおよびCrから選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物が含有されていてもよい。該酸化物の含有量は、ABO100モルに対して、各酸化物換算で、0.02〜0.30モルであることが好ましい。
また、本実施形態に係る誘電体磁器組成物には、V、Ta、Nb、MoおよびWから選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物が含有されていてもよい。該酸化物の含有量は、ABO100モルに対して、各酸化物換算で、0.02〜0.30モルであることが好ましい。
誘電体層2の厚みは、特に限定されず、所望の特性や用途等に応じて適宜決定すればよいが、好ましくは2.0〜10μm、さらに好ましくは2.8〜4.0μm程度が好ましい。また、誘電体層2の積層数は、特に限定されないが、20以上であることが好ましく、より好ましくは50以上、特に好ましくは100以上である。
<偏析相5>
図2は、図1に示す積層セラミックコンデンサ1の断面における中央部分S1における断面の拡大概略図である。本実施形態では、中央部分S1における断面について偏析相の有無等を観察したが、観察部分は積層セラミックコンデンサの中央部分に限定されず、内部電極層3の重なり始め部分や内部電極層3の引出部分であってもよい。
図2に示すように、誘電体層2の内部には、偏析相5が存在している。偏析相5はRおよび/またはSiを主成分として含む。特に、本実施形態の誘電体層2の内部には、少なくとも、Rを含む偏析相5が必ず存在する。Rを含む偏析相5は、さらにSiを含んでも良い。また、Siを主成分とする偏析相5が存在しても良い。
偏析相5の有無は、たとえば電子顕微鏡(SEM)の2次電子像もしくは反射電子像にて、電極や誘電体と比較して、コントラストの違いから確認できる。異なるコントラストを有するか否かの判断は、目視により行ってもよいし、画像処理を行うソフトウェア等により判断してもよい。また、この偏析相5の主成分がRおよび/またはSiであることは、たとえば電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて確認する事ができる。また、簡易的にはエネルギー分散型検出器(EDS)を用いて確認することもできる。本実施形態の偏析相5は、主成分が、Rおよび/またはSiであり、その他の微量成分を含んでも良いが、微量成分は、偏析相5の全体に対して、15モル%以下である。
本実施形態では、図2および図3Aに示すように、Rを含む偏析相5が内部電極層の近傍に多く存在している。具体的には、図2および図3Aに示すように、誘電体層2の断面を厚み方向に6等分して、近傍領域2a、連絡領域2c、中央領域2bに分割した場合に、2つの中央領域2bに存在するRを含む偏析相5に対して、2つの近傍領域2aに存在するRを含む偏析相5が2.0倍以上の偏析割合で存在する。
これに対し、図3Bに示すように、Rを含む偏析相5が誘電体層2に略均等に存在し、中央領域2bに存在するRを含む偏析相5に対して、近傍領域2aに存在するRを含む偏析相5が2.0倍未満の偏析割合となる従来例も考えられる。本実施形態では、中央領域2bに存在するRを含む偏析相5に対して、近傍領域2aに存在するRを含む偏析相5の偏析割合が2.0倍以上の所定範囲であることから、誘電損失δおよび誘電率ε(または温度特性)を悪化させることなく、高温負荷寿命および絶縁抵抗を向上させることができる。
なお、本実施形態では、連絡領域2cに存在するRを含む偏析相5の存在割合には特に限定はないが、近傍領域2aより存在割合が低く、中央領域2bより存在割合が高くなるのが好ましい。
本実施形態では、誘電体層2には、Siを含む偏析相5が、Rを含む偏析相5に共存して存在することが好ましい。具体的には、Rおよび/またはSiが偏析している領域に対して、RとSiが両方ともに偏析している領域の割合を表すSi・R共存率が35%以上であることが好ましい。
Si・R共存率は以下の方法により算出する。まず、誘電体層2の断面をSTEM−EDSマッピング分析を行い、Rの分析画像およびSiの分析画像を得る。分析画像の個々のpixelをコントラスト強度により0〜90に分類する。具体的には、コントラスト強度が最も小さいもの(検出なし)を0とし、最も強度が大きいものを90とする。そして、コントラスト強度が15未満のものを各元素が存在しない部分とし、コントラスト強度が15以上75未満のものを固溶している部分とし、コントラスト強度が75以上のものを偏析部とする。そして、Rの分析画像およびSiの分析画像から偏析部を抽出した画像を、RとSiのそれぞれについて作成する。Rの偏析部を抽出した画像と、Siの偏析部を抽出した画像とを重ねあわせたときに、Rおよび/またはSiが偏析している部分に対して、RとSiの両方が偏析している部分の割合をSi・R共存率とする。
<誘電体粒子6>
本実施形態に係る誘電体粒子6としては、主成分粒子(ABO粒子)単独であっても良く、主成分粒子(ABO粒子)に対し、Rが固溶(拡散)した粒子であってもよい。ただし、本実施形態に係る誘電体粒子6の大部分は、図2および図4に示すように、コアシェル粒子6aであり、全固溶粒子6bも含まれるが、主成分粒子(ABO粒子)単独の誘電体粒子はほとんど含まれない。
コアシェル粒子6aは、図5に示すように、主成分に少なくともRが拡散した領域を示すシェル60と、実質的に主成分のみで構成されるコア62とからなるコアシェル構造を有する。コアシェル粒子6aには、シェル60の厚みが厚いものと、薄いものとが存在する。また、全固溶粒子6bは、主成分粒子(ABO粒子)に対し、少なくともRが中心まで固溶(拡散)した誘電体粒子である。
本実施形態においては、たとえば5.0×10.0μmの観察視野の範囲内において、誘電体粒子のトータル数に対して、シェル60の厚みが大きい特定の誘電体粒子6の数の割合が、70%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上である。シェル60の厚みが大きい特定の誘電体粒子とは、主成分に少なくともRが拡散した領域を示すシェル60の厚さが誘電体粒子6の粒径の15%以上を占めるコアシェル粒子6aであり、全固溶粒子6bも含まれる。
本実施形態では、上記割合は、観察視野の範囲にて、誘電体粒子の個数およびRが粒径の15%以上固溶している誘電体粒子の個数を測定して計算することにより求められる。誘電体層の断面について、STEM−EDSマッピング分析を行い、マッピング画像よりRが固溶している誘電体粒子の個数および15%以上固溶している誘電体粒子の個数を目視にて数えることができる。
なお、図2および図4では、説明の容易化のために、誘電体層2における誘電体粒子6を疎らに記載してあるが、実際には、誘電体粒子6は、もっと密に配置され、これらの粒子間に粒界(図示省略)が形成され、誘電体粒子6とは別に偏析相5が存在する。
誘電体粒子6の結晶粒子径は、誘電体層2の厚さなどに応じて決定すればよい。なお、誘電体粒子6の結晶粒子径は、特に限定されないが、0.2〜1μm程度が好ましい。誘電体粒子6の結晶粒子径は、通常用いられる方法により測定される。たとえば、素子本体10を誘電体層2および内部電極層3の積層方向に切断し、その断面において誘電体粒子の平均面積を測定し、円相当径として直径を算出し1.27倍した値を結晶粒子径とする。そして、結晶粒子径を200個以上の誘電体粒子について測定し、得られた結晶粒子径の累積度数分布から累積が50%となる値を平均結晶粒子径(単位:μm)とする。
<内部電極層3>
内部電極層3に含有される導電材は特に限定されないが、本実施形態では、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
図2に示すように、内部電極層3を拡大すると、内部電極が形成されるべき部分に、内部電極が形成されていない部分(不連続部3a)が存在する場合がある。この不連続部3aは、たとえば焼成時において、導電材粒子(主にNi粒子)が粒成長により球状化した結果、隣接していた導電材粒子との間隔が開き、導電材が存在しなくなることなどで形成される。
図2に示す断面においては、この不連続部3aにより、内部電極層3は不連続であるように見えるが、不連続部3aは内部電極層3の主面に点在している。したがって、図2に示す断面では内部電極層3が不連続となっていても、他の断面においては連続しており、内部電極層3の導通は確保されている。不連続部3aは、理想長さ(たとえば焼成前の内部電極層3の長さ)に対して、通常3〜35%の割合で内部電極層3に形成される。
本実施形態においては、不連続部3aに位置する偏析相5を有することにより、積層セラミックコンデンサ1の機械的強度がさらに向上するので、不連続部3aに位置する偏析相5が存在することが好ましい。
<外部電極4>
外部電極4に含有される導電材は特に限定されないが、本発明では安価なNi,Cuや、これらの合金を用いることができる。外部電極4の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
<積層セラミックコンデンサ1の製造方法>
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
まず、誘電体層を形成するための誘電体原料を準備し、これを塗料化して、誘電体層用ペーストを調製する。
誘電体原料として、まずABOの原料と、Rの酸化物の原料と、必要であればSiを含む酸化物の原料と、その他の副成分原料を準備する。これらの原料としては、上記した成分の酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができるが、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、たとえば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。本実施形態では、主成分であるABOが、RやSiなどの添加成分で被覆されたコート材の誘電体原料を用いることが好ましい。
なお、ABOの原料は、いわゆる固相法の他、各種液相法(たとえば、シュウ酸塩法、水熱合成法、アルコキシド法、ゾルゲル法など)により製造されたものなど、種々の方法で製造されたものを用いることができる。
さらに、誘電体層に、上記の主成分および副成分以外の成分が含有される場合には、該成分の原料として、上記と同様に、それらの成分の酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができる。また、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物を用いることができる。
誘電体原料中の各化合物の含有量は、焼成後に上述した誘電体磁器組成物の組成となるように決定すればよい。塗料化する前の状態で、誘電体原料の粒径は、通常、平均粒径0.50〜0.80μm程度である。
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。バインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法などに応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
また、誘電体層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶解させた水系ビヒクルと、誘電体原料とを混練すればよい。水溶性バインダは特に限定されず、たとえば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いればよい。
内部電極層用ペーストは、上記したNiやNi合金からなる導電材、あるいは焼成後に上記したNiやNi合金となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製すればよい。また、内部電極層用ペーストには、共材が含まれていてもよい。共材としては特に制限されないが、主成分と同様の組成を有していることが好ましい。
外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、たとえば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10重量%以下とすることが好ましい。
印刷法を用いる場合、誘電体層用ペーストおよび内部電極層用ペーストを、PET等の基板上に印刷、積層し、所定形状に切断した後、基板から剥離してグリーンチップとする。
また、シート法を用いる場合、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層し、所定形状に切断してグリーンチップとする。
焼成前に、グリーンチップに脱バインダ処理を施す。脱バインダ条件としては、昇温速度を好ましくは5〜300℃/時間、保持温度を好ましくは180〜400℃、温度保持時間を好ましくは0.5〜24時間とする。また、脱バインダ処理における雰囲気は、空気もしくは還元性雰囲気とする。
脱バインダ後、グリーンチップの焼成を行う。本実施形態の焼成工程では、昇温速度を好ましくは200℃/時間以上とする。焼成時の保持温度は、誘電体材料組成にもよるが、好ましくは1250〜1350℃である。また、その保持時間は、誘電体材料組成にもよるが、好ましくは0.5〜1.5時間である。このような焼成条件を採用することにより、希土類を含む偏析相を内部電極近傍に偏在させやすくなる。
焼成時の雰囲気は、還元性雰囲気とすることが好ましく、雰囲気ガスとしてはたとえば、NとHとの混合ガスを加湿して用いることができる。
また、焼成時の酸素分圧は、内部電極層用ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定されればよいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、雰囲気中の酸素分圧は、1.0×10−8〜1.0×10−2Paとすることが好ましい。降温速度は、好ましくは50℃/時間以上である。
本実施形態では、焼成後の素子本体に対し、アニール処理(誘電体層の酸化処理)を行うことが好ましい。具体的には、アニール処理における保持温度は、好ましくは950〜1250°C、さらに好ましくは1060〜1250°Cであり、保持時間は、好ましくは0.1〜4時間である。また、酸化処理時の雰囲気は、加湿したNガス(酸素分圧:1.0×10−3〜1.0Pa)とすることが好ましい。
上記した脱バインダ処理、焼成および酸化処理において、Nガスや混合ガス等を加湿する場合には、たとえばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は5〜75℃程度が好ましい。
脱バインダ処理、焼成および酸化処理は、連続して行なっても、独立に行なってもよい。
焼成条件および酸化処理条件を上記のように制御することで、Rを主成分として含む偏析相を近傍領域に偏在させることが容易になる。特に、偏析相を近傍領域に偏在させるためには、焼成時の保持温度を、通常設計よりも高く設定することが重要である。
上記のようにして得られたコンデンサ素子本体に、たとえばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを塗布して焼成し、外部電極4を形成する。そして、必要に応じ、外部電極4の表面に、めっき等により被覆層を形成する。
このようにして製造された本実施形態の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
上述した実施形態では、焼成条件を制御することにより、Rを主成分として含む偏析相を、内部電極との近傍領域2aに多く偏在させているが、本発明は、この方法に限定されず、たとえば下記の方法によっても、Rを主成分として含む偏析相を、内部電極との近傍領域2aに多く偏在させることができる。
まず、誘電体層を多層構造とし、内部電極に接する誘電体層に含まれるRを主成分とする酸化物の量を、内部電極に接しない誘電体層に含まれるRを主成分とする酸化物の量よりも多くすることで、内部電極の近傍領域2aにRを含む偏析相を多く偏在させることができる。
また、内部電極用ペースト中にRを主成分とする酸化物を含ませておくことによっても、内部電極の近傍領域2aにRを含む偏析相を多く偏在させることができる。焼成工程において、内部電極層から誘電体層へRを主成分とする酸化物が拡散することにより、内部電極の近傍領域に偏析相が生じるためである。
また上述した実施形態では、本発明に係る積層型セラミック電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る積層型セラミック電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、上記構成を有する電子部品であれば何でも良い。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
<実験例1>
まず、主成分であるABOの原料としてBaTiO粉末を準備した。また、副成分の原料としては、希土類成分Rの原料としてY、Siを含む副成分として(Ba0.6 Ca0.4 )SiO(以下BCGともいう)粉末をそれぞれ準備した。
次に、上記で準備したBaTiO粉末(平均粒子径:0.5μm)と副成分の原料とをボールミルで15時間湿式粉砕し、乾燥して誘電体原料(副成分でコートされたチタン酸バリウム粒子)を得た。なお、各副成分の添加量は、焼成後の誘電体磁器組成物において主成分であるBaTiO100モルに対して、BCGがSi換算で0.025モル、YがY換算で1.0モルとなるようにした。
次いで、得られた誘電体原料:100重量部と、ポリビニルブチラール樹脂:10重量部と、可塑剤としてのジオクチルフタレート(DOP):5重量部と、溶媒としてのアルコール:100重量部とをボールミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペーストを得た。
また、上記とは別に、Ni粉末:44.6重量部と、テルピネオール:52重量部と、エチルセルロース:3重量部と、ベンゾトリアゾール:0.4重量部とを、3本ロールにより混練し、スラリー化して内部電極層用ペーストを作製した。
そして、上記にて作製した誘電体層用ペーストを用いて、PETフィルム上にグリーンシートを形成した。次いで、この上に内部電極層用ペーストを用いて、電極層を所定パターンで印刷した後、PETフィルムからシートを剥離し、電極層を有するグリーンシートを作製した。次いで、電極層を有するグリーンシートを複数枚積層し、加圧接着することによりグリーン積層体とし、このグリーン積層体を所定サイズに切断することにより、グリーンチップを得た。
次いで、得られたグリーンチップについて、脱バインダ処理、焼成および酸化処理を下記条件にて行って、焼結体としての素子本体を得た。
脱バインダ処理条件は、昇温速度:15℃/時間、保持温度:280℃、温度保持時間:8時間、雰囲気:空気中とした。
焼成条件は、昇温速度:200〜2000℃/時間、保持温度:1280〜1320℃とし、保持時間を0.5〜1.5時間とし、降温速度:200〜2000℃/時間、雰囲気ガス:加湿したN+H混合ガス(酸素分圧が1.0×10−10 〜1.0×10−7Pa)とした。
アニール処理条件は、昇温速度:250℃/時間、保持温度:950〜1250°C、好ましくは1060〜1250°C、保持時間:2時間、降温速度:150℃/時間、雰囲気ガス:加湿したNガス(酸素分圧:1.0×10−3Pa)とした。
なお、焼成および酸化処理の際の雰囲気ガスの加湿には、ウェッターを用いた。
次いで、得られた素子本体の端面をサンドブラストにて研磨した後、外部電極としてCuを塗布し、図1に示す積層セラミックコンデンサの試料を得た。得られたコンデンサ試料のサイズは、1.6mm×0.8mm×0.8mmであり、誘電体層の厚みが3μm、内部電極層の厚みが1.5μmであった。また、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は80とした。
得られたコンデンサ試料について、偏析相の割合、偏析相におけるSi・Y共存率、誘電体粒子数、15%以上固溶している誘電体粒子数、高温負荷寿命、誘電損失、絶縁抵抗および比誘電率εの測定を、それぞれ下記に示す方法により行った。
<Yの偏析の有無についての判定方法>
得られたコンデンサ試料を、誘電体層に垂直な断面で切断した。断面のうち、Yの偏析の有無を判定する箇所について、STEM−EDSマッピング分析を行った。7.0μm×7.4μm四方のマッピング分析結果を、0.027μm/pixelのドットに分割し、個々のpixelでのコントラストデータを数値化した。具体的には、コントラスト強度が最も小さいもの(検出なし)を0とし、最も強度が強いものを90として、コントラストデータを90段階に分類した。Yのコントラスト強度が75未満のドットにはYが偏析していない状態とし、75以上のドットにはYが偏析している状態とした。
<Yの偏析相の割合の計算方法>
上記「Yの偏析の有無についての判定方法」に従い判定した全ドットに占めるYのコントラスト強度75以上のドットの割合を、Yの偏析の有無を判定する箇所におけるYの偏析相の割合とした。
<誘電体層の内部電極近傍領域における偏析相の割合(a)の測定方法>
まず、誘電体層を厚み方向に6等分した。そして、6等分した各領域について上記「Yの偏析の有無についての判定方法」に基づき偏析の有無を判定した。この判定を、全部で5列について行った。すなわち、6×5の計30か所において偏析の有無を判定した。厚み方向に6等分した各領域のうち、内部電極に接する2領域(10か所)を誘電体層の内部電極近傍領域とし、誘電体層の略中央部の2領域(10か所)を誘電体層の中央領域とした。内部電極近傍領域10か所についてYの偏析相の割合を算出し、平均して上記(a)の割合(%)を測定した。
<誘電体層の中央領域における偏析相の割合(b)の測定方法>
上記中央領域10か所について、内部電極近傍領域10か所と同様にしてYの偏析相の割合を算出し、平均して上記(b)の割合(%)を測定した。
<偏析相におけるSi・Y共存率の測定方法>
上記「Yの偏析の有無の判定」と同様の方法で「Siの偏析の有無の判定」も行った。そして、(SiとYの両方が偏析しているドット数)×100/(SiとYのうち一つ以上が偏析しているドット数)により、Si・Yの共存率を求めた。
<Rが固溶している誘電体粒子の個数>
Rが固溶している誘電体粒子の個数および15%以上固溶している誘電体粒子の個数を測定する箇所について、STEM−EDSマッピング分析を行った。Rが固溶している誘電体粒子の個数は、Rが固溶している誘電体粒子が視野内に30個以上入るように視野を定めて、該視野内のRが固溶している誘電体粒子の個数を目視にて数えた。
<Rが15%以上固溶している誘電体粒子の個数>
上記視野内について、Yの特性X線を定量分析して、Yについてのマッピング画像を得た。得られたマッピング画像を処理し、誘電体粒子においてYが拡散した領域(シェル)を目視にて特定した。誘電体粒子の粒径を求め、Yが拡散した領域の厚みが前記粒径の15%以上である誘電体粒子を、15%以上固溶している誘電体粒子として、その個数を目視にて数えた。
<内部電極層の不連続部への偏析相の有無>
コンデンサ試料を誘電体層2および内部電極層3に対して垂直な面で切断した。この切断面を電子顕微鏡(SEM)の2次電子像もしくは反射電子像を撮影した。内部電極層3の不連続部3aへの偏析相5の有無は、電極や誘電体と比較して、コントラストの違いから確認できた。
<高温負荷寿命(HALT)>
コンデンサ試料に対し、180℃にて、12.7V/μmの電界下で直流電圧の印加状態に保持し、寿命時間を測定することにより、高温負荷寿命を評価した。本実施例においては、印加開始から絶縁抵抗が一桁落ちるまでの時間を寿命と定義した。また、本実施例では、上記の評価を20個のコンデンサ試料について行い、その平均値を高温負荷寿命とした。評価基準は20時間以上を良好とした。
<誘電損失(tanδ)>
誘電損失(tanδ)は、コンデンサ試料に対し、基準温度25℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1kHz、入力信号レベル(測定電圧)0.5Vrmsの条件下で測定した。誘電損失は低い方が好ましく、本実施例では4.0%以下を良好とした。
<IR(絶縁抵抗)>
コンデンサ試料に対し、絶縁抵抗計(アドバンテスト社製R8340A)を用いて、20℃において16V/μmの直流電圧を、コンデンサ試料に1分間印加した後の絶縁抵抗IRを測定した。本実施例では、好ましくは7.0×10(Ω)、より好ましくは1.0×10(Ω)以上とした。
<比誘電率ε>
比誘電率εは、コンデンサ試料に対し、基準温度25℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1.0Vrmsの条件下で測定された静電容量から算出した(単位なし)。比誘電率は高い方が好ましく、本実施例では、比誘電率εが3000以上であれば良好とした。
Figure 2015046589
表1より、誘電体層の内部電極近傍領域2aにおける偏析相の割合をa、中央領域2bにおける偏析相の割合をbとした場合にa/bが2.0以上である本願の実施例(試料番号3〜6)においては、a/bが2.0未満である本願の比較例(試料番号1、2)と比較して特に高温負荷寿命および絶縁抵抗が良好であった。
Figure 2015046589
表2は、a/bは2.0以上を維持しながら、全誘電体粒子に占める15%以上固溶している誘電体粒子の割合(d/c)を変化させた結果を表している。この場合、高温負荷寿命、誘電損失、絶縁抵抗、比誘電率εは全て良好範囲内であったが、その中でもd/cが0.70以上(70%以上)である試料番号4〜6は、0.70未満(70%未満)である試料番号11、12と比較して誘電損失および絶縁抵抗が良好であった。
<実験例2>
Yの添加量をY換算で0.03〜1.5モルの範囲で変化させた以外は実験例1と同条件で試験を行い、実験例1と同様な結果が得られることを確認した。
<実験例3>
(Ba0.6Ca0.4)SiOの添加量をSi換算で0.01〜0.10モルの範囲で変化させた以外は実験例1と同条件で試験を行い、実験例1と同様な結果が得られることを確認した。
<実験例4>
(Ba0.6Ca0.4)SiOを用いるかわりに、(Ba0.6Ca0.4)SiO以外の(Ba,Ca)SiO、MSiO(Mはアルカリ金属またはBa、Ca以外のアルカリ土類金属)、またはSiOを用いる点以外は実験例1と同条件で試験を行い、実験例1と同様な結果が得られることを確認した。
<実験例5>
希土類成分Rとして、Y以外の希土類元素を用いる点以外は、実験例1と同条件で試験を行い、実験例1と同様な結果が得られることを確認した。
1…積層セラミックコンデンサ
2…誘電体層
2a…近傍領域
2b…中央領域
2c…連絡領域
3…内部電極層
3a…不連続部
4…外部電極
5…偏析相
6…誘電体粒子
6a…コアシェル粒子
6b…全固溶粒子
60…シェル
62…コア
10…コンデンサ素子本体

Claims (5)

  1. 内部電極層と誘電体層とが交互に積層された積層体を有する積層セラミック電子部品であって、
    前記誘電体層が、一般式ABO(AはBa、SrおよびCaから選択される少なくとも1種、BはTi、ZrおよびHfから選択される少なくとも1種)で表される主成分と、希土類成分R(RはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる少なくとも1種)とを含む誘電体磁器組成物からなり、
    前記誘電体層には、前記希土類成分Rを含むR偏析相が存在し、
    一対の前記内部電極層に挟まれる前記誘電体層を厚み方向に6等分して6つの領域に分割した場合に、
    前記誘電体層の略中央部に位置する2つの中央領域内に存在する前記R偏析相に比較して、
    前記誘電体層における一対の前記内部電極層にそれぞれ接する2つの近傍領域内に存在する前記R偏析相が2.0倍以上の割合で存在することを特徴とする積層セラミック電子部品。
  2. 前記誘電体層が、さらに珪素Siを含む副成分を含み、
    前記誘電体層には、前記珪素Siを含むSi偏析相が、前記R偏析相に少なくとも一部で共存して存在し、
    前記R偏析相および/または前記Si偏析相が存在する領域の面積に対して、前記R偏析相および前記Si偏析相が共存する共存領域の面積の割合を示すSi・R共存率が35%以上である請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
  3. 前記誘電体層には、前記主成分ABOに前記希土類成分Rが少なくとも表面に固溶した誘電体粒子が存在する請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品。
  4. 前記誘電体層には、前記主成分ABOに、前記希土類成分Rが、粒子表面から粒径に対して15%以上の範囲で固溶した誘電体粒子が存在し、
    所定観察視野内の誘電体粒子の数全体に対して、前記15%以上の範囲で固溶した誘電体粒子の割合が、70%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品。
  5. 前記内部電極層には不連続部が存在し、前記希土類成分Rを含むR偏析相が前記不連続部に存在することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
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