JP2015045409A - 内燃機関及びコネクティングロッド - Google Patents

Abstract

【課題】組立てが容易で、摩耗にも強い圧縮比を調整可能なコネクティングロッド及びそれを使用した内燃機関【解決手段】コネクティングロッド１０は、クランクシャフトに接続するためのクランクピン軸受アイ１１と、シリンダーのピストンに接続するためのコネクティングロッド軸受アイ１２と、コネクティングロッドの実効長を調整するための偏心要素調整装置１３とを有する。偏心要素調整装置１３は、偏心要素レバー１４と協働する偏心要素と、偏心要素レバー１４と係合する偏心要素ロッド１５、１６とを有する。偏心要素レバー１４は少なくとも１つの偏心要素レバーセグメントを有し、偏心要素の軸方向においてコネクティングロッド軸受アイ１２の前後に配置され、偏心要素に固定される。【選択図】図１

Description

本発明は、内燃機関及び内燃機関用コネクティングロッドに関する。

図１は特許文献１に開示された、コネクティングロッドにより圧縮比を調整可能な内燃機関の詳細を示す図である。図１はクランクピン軸受アイ１１とコネクティングロッド軸受アイ１２とを有するコネクティングロッド１０を示し、クランクピン軸受アイ１１はコネクティングロッド１０を図示しないクランクシャフトに接続し、コネクティングロッド軸受アイ１２はコネクティングロッド１０を図示しない内燃機関のシリンダピストンに接続する。偏心要素調整装置１３はコネクティングロッド１０に付属し、偏心要素調整装置１３は図示しない偏心要素と偏心要素レバー１４と偏心要素ロッド１５、１６とを有する。

偏心要素レバー１４は、コネクティングロッド軸受アイ１２の中心１７に対して偏心した軸心１８を持つボアホールを有し、偏心要素レバー１４のボアホールは偏心要素を収容し、偏心要素の穿孔はピストンピンを収容している。偏心要素調整装置１３は実効的なコネクティングロッド長ｌ_ｅｆｆを調整するために用いられ、クランクピン軸受アイ１１の中心１９から偏心要素レバー１４のボアホールの軸心１８軸受への距離がコネクティングロッド長として定義される。偏心要素レバー１４を回転して実効的なコネクティングロッド長ｌ_ｅｆｆを変化させるために、偏心要素調整装置１３のコネクティングロッド１５、１６を動かすことができる。ピストン２０、２１はそれぞれ偏心要素ロッド１５、１６に付随し、これらピストンは油圧室２２、２３内で動かせるように支持されている。油圧が油圧室２２、２３加えられ、その油圧が偏心要素ロッド１５、１６にそれぞれ付随するピストン２０、２１を押圧する。ここで、偏心要素ロッド１５、１６が動くかどうかは油圧室２２、２３内のオイルの容量に応じたものとなる。

偏心要素調整装置１３の調整は、内燃機関の動作サイクル中に偏心要素調整装置１３に影響を与える内燃機関の質量及び負荷力の力により開始される。動作サイクル中、偏心要素調整装置１３に加わる力の実効的な方向は連続的に変化する。調整動作は、作動油が満たされ偏心要素ロッド１５、１６に力を加えるピストン２０、２１によりサポートされ、ここで、ピストン２０、２１は、偏心要素調整装置１３に様々な実効的な方向に加わる力に基づき偏心要素調整装置１３がリセットされるのを防ぐ。

ピストン２０、２１と協働する偏心要素ロッド１５、１６は偏心要素レバー１４の両端に接続されている。ピストン２０、２１をそれぞれ収容している油圧室２２、２３には、クランクピン軸受アイ１１からオイル管路２４、２５を介して油圧が印可されうる。逆止弁２６、２７は、油圧室２２、２３からオイル管路２４、２５への作動油の逆流を防止する。コネクティングロッド１０の穿孔２８内には切替弁２９が収容されており、その機能は特許文献１より公知である。ここで切替弁２９の切替位置は、油圧室２２、２３のどちらに作動油が満たされているか、どちらが空かにより決定され、これにより偏心要素調整装置の調整方向、即ち、回転方向が決定される。こうして油圧室２２、２３は、切替弁２９に通じるオイル管路３０、３１を介して穿孔２８と接続する。図１は付勢装置３２、バネ装置３３、切替弁２９の制御ピストン３４を模式的に示している。これら切替弁２９の構成要素の機能は特許文献１から公知である。

上記したように、油圧室２２、２３にそれぞれサポートされているピストン２０、２１に力を加える作動油はクランクピン軸受アイ１１からそれぞれオイル管路２４、２５を介して油圧室２２、２３に供給される。ここで、コネクティングロッド１０は図１に示さないクランク軸にクランクピン軸受アイ１１を系合し、それによりコネクティングロッド軸受の軸受胴３５がクランク軸のクランク軸軸受ピンとクランクピン軸受アイとの間に配置される。

特許文献２は更に調整可能な圧縮比を有する内燃機関の詳細を開示し、それによれば、偏心要素ロッドが係合する偏心要素レバーをコネクティングロッド軸受アイのスロット状凹部に挿入することが知られている。搭載のために、内歯を有するボアホールを備えた偏心要素レバーをコネクティングロッド軸受アイのスロット状凹部に挿入する。外歯を有する偏心要素は続いて偏心要素レバーのボアホールに挿入される。偏心要素と偏心要素レバーは互いに内歯、外歯の歯合を介して接続される。このような互いに内歯、外歯の歯合を介する偏心要素と偏心要素レバーの接続は、生産組立がきわめて複雑になり、しいては摩耗を生じさせることとなる。

独国特許出願公開第１０２０１００１６０３７号明細書 独国特許出願公開第１０２００５０５５１９９号明細書

本発明の目的は、従来技術の欠点を克服する新規な内燃機関及び新規なコネクティングロッドを提供することである。

本発明によれば、偏心要素レバーは少なくとも１つの偏心要素レバーセグメントを有し、偏心要素レバーセグメント又はその各々は、偏心要素の軸方向においてコネクティングロッド軸受アイの前側及び／又は後側に配置され、偏心要素レバーセグメント又はその各々は偏心要素に固定される。

本発明により、初めて、偏心要素を偏心要素レバーの偏心要素レバーセグメント又はその各々に固定し、偏心要素と偏心要素レバーとの歯合を省略できることとなった。これにより、生産、組み立ての複雑さ及び磨耗しやすさを解消した。

偏心要素レバーは２つの偏心要素レバーセグメントを有するのが都合がよく、２つの内の第1の偏心要素レバーセグメントは、偏心要素の軸方向においてコネクティングロッド軸受アイの前側に配置され、第２の偏心要素レバーセグメントは、偏心要素の軸方向においてコネクティングロッド軸受アイの後側に配置され、それによりコネクティングロッド軸受アイは２つの偏心要素レバーセグメントの間に配置される。

偏心要素が２つの偏心要素レバーセグメントを有し、その間にコネクティングロッド軸受アイが配置されると、コネクティングロッドの実効長を調整するときに偏心要素レバーの都合の良い変移が可能となる。

本発明の有効な実施例によれば、偏心要素は肩部を有する外観を備え、その肩部は偏心要素の偏心要素レバーへの挿入深さを規定する。偏心要素のこの肩部は組み立てを容易にする。

本発明の有効な実施例によれば、偏心要素レバーの偏心要素レバーセグメント又はその各々は偏心要素と溶接される。偏心要素レバーの偏心要素レバーセグメント又はその各々を偏心要素に溶接することにより、特に、構成が単純になり磨耗に強くなる。

本発明の有利な実施例は従属請求項及び以下の記載から明らかとなる。本発明の実施例を、図面を参照して説明するが、本発明はそれに限定されるものでは無い。

公知の調整可能な圧縮比を有する内燃機関の詳細を示す図である。 本発明による調整可能な圧縮比を有する内燃機関の詳細を示す図である。 図２の詳細を示す図である。 図２の別の詳細を示す図である。 図４のサブアセンブリの分解図である。 図２の代替例の詳細を示す図である。 図６のアセンブリの上面図である。 本発明による内燃機関の他の詳細を示す図である。 図２の別の代替例の詳細を示す図である。 図９のサブアセンブリの分解図である。 図２の別の代替例の詳細を示す図である。

調整可能な圧縮比を有する内燃機関は少なくとも１つ、有利には複数のシリンダーを有する。各シリンダーは、コネクティングロッド１０を介して内燃機関のクランクシャフトに接続されたピストンを有する。各コネクティングロッド１０は、その一端側にコネクティングロッド軸受アイ１２を、他端側にクランクピン軸受アイ１１を有する。また各コネクティングロッド１０は、クランクシャフトのクランクシャフト軸受ピンをそのクランクピン軸受アイ１１と係合させ、それによりコネクティングロッド軸受胴がクランクシャフト軸受ピンとクランクピン軸受アイとの間に配置され、これらのコネクティングロッド軸受胴とクランクシャフト軸受ピンとの間に潤滑油膜が生ずる。

圧縮比を調整可能な内燃機関は、各コネクティングロッド１０の実効的なコネクティングロッド長さを調整するために、各コネクティングロッド１０の部分に偏心要素調整装置１３を有する。偏心要素調整装置１３は、偏心要素ロッドと協働する、油圧室与えられる油圧に応じて圧縮比を調整するために動作する、偏心要素３６、偏心要素レバー１４及び偏心要素ロッド１５、１６を有する。偏心要素ロッド１５、１６と協働する油圧室へは、各コネクティングロッドのクランクピン軸受アイ１１から作動油を供給できる。偏心要素調整装置の調整は内燃機関の質量及び負荷力の力（衝撃）により開始される。

偏心要素レバー１４は偏心要素３６を収容するためのボアホールを有し、偏心要素３６はピストンピンを収容するために使用される穿孔を有する。偏心要素レバー１４は少なくとも1つの偏心要素レバーセグメントを有し、図１から図５に示す実施例においては２つの偏心要素レバーセグメント３８、３９が示され、それらは偏心要素３６の軸方向においてコネクティングロッド軸受アイ１２の前後両側に配置されている。従って、コネクティングロッド軸受アイ１２は、図２から明らかなように、２つの偏心要素レバーセグメント３８、３９の間に配設される。

偏心要素レバー１４の偏心要素レバーセグメントは偏心要素３６で固定される。図３は接続部４０を点線で示し、それは偏心要素３６の周囲に円周方向に沿って配置され、図示されたように偏心要素レバーセグメント３８と偏心要素３６との間にある。

偏心要素３６と偏心要素レバー１４の偏心要素レバーセグメント３８とは接続部４０で溶接により互いに固定されると都合が良い。続けて図１から図５の実施例に示すように、偏心要素レバーセグメント３８、３９は偏心要素３６の軸方向においてコネクティングロッド軸受アイ１２の前後に配置され、この偏心要素３６は偏心要素レバーセグメント３８、３９に、特に溶接により固定される。

図２から図５の実施例において、偏心要素レバー１４の偏心要素レバーセグメント３８、３９は、それぞれ横方向の両端部が互いに接続ボルト４１、４２により接続されている。偏心要素ロッド１５、１６は接続ボルト４１、４２で回動可能にリンクされている。即ち、図２から図５の実施例において、２つの偏心要素レバーセグメント３８、３９を接続する接続ボルト４１、４２と偏心要素ロッド１５、１６との間に送りリンクが形成される。

図６及び図７は本発明の実施例を示し、偏心要素レバー１４は１つの又は一体の部品として構成され、従って、偏心要素レバーの２つの偏心要素レバーセグメント３８，３９は１つの又は一体の部品として構成されている。偏心要素ロッド１５、１６は、１つの又は一体の偏心要素レバー１４の両端部に、即ち送りリンクにより偏心要素ロッド１５、１６がリンクされた接続ボルト４１、４２に、回動可能にリンクされている。

１つの又は一体の偏心要素レバー１４を有する本発明の他の実施例を図９及び図１０に示す。ここでは２つの偏心要素ロッド１５、１６は、それぞれ偏心要素レバー１４の両端部にボールジョイント４３、４４を介して係合している。

図１１は本発明の実施例を示し、この実施例では偏心要素レバー１４は、偏心要素３６の軸方向においてコネクティングロッド軸受アイ１２の前後一方側に配置された、１つのみの偏心要素レバーセグメント３８を有する。即ち、偏心要素３６は偏心要素レバーセグメント３８に、特に溶接により固定されている。

偏心要素３６は、偏心要素レバーセグメント３８、３９のボアホールに挿入され、更にコネクティングロッド軸受アイ１２のボアホールに挿入されて、これらのボアホールを貫通する。図８からよくわかるように、図８に示された詳細は上記各実施例に使用し得る。また図８に示すように、偏心要素３６は、有利にはその周囲に溶接により構成された接続部４０により、偏心要素レバーセグメント３８、３９に接続される。

コネクティングロッド軸受アイ１２と偏心要素レバーセグメント３８、３９のボアホール内にある偏心要素３６の規定された位置を定めるために、偏心要素３６は肩部４５を有する輪郭を備える。この肩部４５はコネクティングロッド軸受アイ１２の外側の輪郭と接触するストップを有し、それにより偏心要素レバー１４及びコネクティングロッド軸受アイ１２に対する偏心要素３６の相対位置が規定される。

図８からわかるように、偏心要素レバーセグメント３９のボアホールは偏心要素レバーセグメント３８のそれより大きく、これらボアホールの内径は偏心要素３６の肩部の外径に適合する。

本発明は、調整可能な圧縮比を有する内燃機関コネクティングロッド１０の単純な組立及び製造を容易にする。

偏心要素３６は溶接により偏心要素レバー１４に固定され、これにより有利にはトルク伝達がなされ、摩耗が減少される。

偏心要素レバー１４はコネクティングロッド１０内のスロット状の凹部にはもはや挿入されず、偏心要素レバー１４の偏心要素レバーセグメント３８、３９又はその各々が偏心要素３６の軸方向においてネクティングロッド１０の前後側に位置決めされる。そのため偏心要素３６を偏心要素レバー１４及びコネクティングロッド１０に挿入後は、偏心要素３６は偏心要素レバー１４に、特に溶接により固定されうる。

１０ コネクティングロッド
１１ クランクピン軸受アイ
１２ コネクティングロッド軸受アイ
１３ 偏心要素調整装置
１４ 偏心要素レバー
１５、１６ 偏心要素ロッド
３６ 偏心要素
３８、３９ 偏心要素レバーセグメント
４０ 接続部
４１、４２ 接続ボルト
４３、４４ ボールジョイント
４５ 肩部

Claims (8)

1. 少なくとも１つのシリンダーと、少なくとも１つのコネクティングロッド（１０）が係合したクランクシャフトと、を有する圧縮比を調整可能な内燃機関であって、
   前記少なくとも１つのコネクティングロッド（１０）は、前記クランクシャフトに接続するためのクランクピン軸受アイ（１１）と、前記少なくとも１つのシリンダーのピストンに接続するためのコネクティングロッド軸受アイ（１２）と、コネクティングロッドの実効的な長さを調整するための偏心要素調整装置（１３）とを有し、
   前記偏心要素調整装置（１３）は、偏心要素レバー（１４）と協働する偏心要素（３６）と、前記偏心要素レバー（１４）と係合する偏心要素ロッド（１５、１６）とを有し、
   前記偏心要素ロッド（１５、１６）には、前記偏心要素ロッドと相互作用する油圧室（２２、２３）内の油圧が印加され、
   前記偏心要素レバー（１４）は少なくとも１つの偏心要素レバーセグメント（３８、３９）を有し、
   前記少なくとも１つの偏心要素レバーセグメント（３８、３９）は、前記偏心要素（３６）の軸方向において前記コネクティングロッド軸受アイ（１２）の前後側に配置され、
   前記少なくとも１つの偏心要素レバーセグメント（３８、３９）は前記偏心要素（３６）に固定された、
   内燃機関。
2. 前記偏心要素レバー（１４）は２つの前記偏心要素レバーセグメント（３８、３９）を有し、
   第1の偏心要素レバーセグメント（３８）は前記偏心要素（３６）の軸方向において前記コネクティングロッド軸受アイ１２の前側に配置され、第２の偏心要素レバーセグメント（３８）は前記偏心要素（３６）の軸方向において前記コネクティングロッド軸受アイ（１２）の後側に配置され、それにより前記コネクティングロッド軸受アイ（１２）は前記２つの偏心要素レバーセグメント（３８、３９）の間に配置される、
   請求項１に記載の内燃機関。
3. 前記２つの偏心要素レバーセグメント（３８、３９）は個別の部品として構成され、前記偏心要素ロッド（１５、１６）がそれぞれ枢動可能にリンクされた接続ボルト（４１、４２）を介して互いに接続された、請求項２に記載の内燃機関。
4. 前記２つの偏心要素レバーセグメント（３８、３９）は、前記偏心要素ロッド（１５、１６）がそれぞれ枢動可能にリンクされた１つの又は一体の偏心要素レバー（１４）として提供される、請求項２に記載の内燃機関。
5. 前記偏心要素（３６）は肩部（４５）を有する外観を備え、前記肩部（４５）は前記偏心要素（３６）の前記偏心要素レバー（１４）への挿入深さを制限する、請求項１から４のいずれか１つに記載の内燃機関。
6. 前記偏心要素レバー（１４）の前記少なくとも１つの偏心要素レバーセグメント（３８、３９）は前記偏心要素（３６）と溶接されている、請求項１から５のいずれか１つに記載の内燃機関。
7. コネクティングロッドの実効長を調整するための偏心要素調整装置（１３）を有するコネクティングロッドであって、
   前記偏心要素調整装置（１３）は、偏心要素レバー（１４）と協働する偏心要素（３６）と、前記偏心要素レバー（１４）と係合する偏心要素ロッド（１５、１６）とを有し、
   前記偏心要素レバー（１４）は少なくとも１つの偏心要素レバーセグメント（３８、３９）を有し、
   前記少なくとも１つの偏心要素レバーセグメント（３８、３９）は、前記偏心要素（３６）の軸方向において前記コネクティングロッド軸受アイ（１２）の前側及び／又は後側に配置され、
   前記少なくとも１つの偏心要素レバーセグメント（３８、３９）は前記偏心要素（３６）に固定された、
   コネクティングロッド。
8. 前記コネクティングロッドは請求項２から請求項６のいずれかにより構成された、請求項７に記載のコネクティングロッド。
   
   
   

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