JP2015042733A - 加圧式ボールペン用水性インキ組成物及び加圧式ボールペン - Google Patents

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Abstract


【課題】筆記性に優れると共に、十分に立体感を備えた筆跡を描くことができる水性インキ組成物を得る。
【解決手段】樹脂エマルションを樹脂固形分で5重量%以上含有する加圧式ボールペン用水性インキ組成物、及びその水性インキ組成物を収納した加圧式ボールペン。
【選択図】図1

Description

本発明は加圧式ボールペン用水性インキ組成物及び加圧式ボールペンに関するものである。
特許文献1には、立体感がある筆跡を得ることができるボールペン用樹脂エマルション含有インキ組成物であって、その粘度が500〜10000mP・aの範囲である水性インキ組成物が、特許文献2には、粘度が1000〜40000cpの水性インキ組成物が記載されている。
特許文献3には、先端に筆記チップが設けられて内部に該筆記チップに供給するインキ組成物及びフォロアが収容されかつ後端の閉塞された、ガス低透過性あるいはガス不透過性を示す材質からなるチューブ体と、該チューブ体内に封入された加圧ガスとからなるガス加圧式筆記具が記載されている。
特許文献4には、先端にボールペンのチップを有し、後方のインキ組成物収容部にインキ組成物とインキ組成物に追随するフォロアが充填され、さらにその後方にポンピング式の加圧機構が設けられている加圧式のボールペンが記載されている。
特許文献5には、先端にボールが回転可能に装着され内部にインキ組成物が充填された芯部材と、該芯部材を支持するペンハウジングとを備えたボールペンであって、上記ペンハウジングの内部に設けられ、少なくとも使用者が上記ペンハウジングのグリップ部を握ったとき、外部に対して気密状態となる気密室と、上記ペンハウジングのグリップ部に設けられ、該グリップ部を握った使用者の指の熱を上記気密室内の空気に伝える伝熱部と、上記気密室内にて膨張した空気を上記芯部材内の上記インキ組成物の端面に作用させるため、上記気密室と上記芯部材の内部とを連通して形成された連通路とを備えたことを特徴とするボールペンが記載されている。
特許文献6には、本体軸筒内に、媒体が収容された媒体収容管を保持させ、この媒体収容管の開口後端部の後方に、使用時に、本体軸筒の後端部に設けたノック機構のノック操作に連動して、媒体収容管の開口後端部内を加圧する加圧ポンプ機構を設けるとともに、媒体収容管の開口後端部と加圧ポンプ機構との間に、媒体収容管内における媒体残量の減少に影響されることなく、ノック操作時における媒体収容管の開口後端部内の加圧力を、実質的に一定に維持しうるようにした圧力調整機構を備え、この圧力調整機構を、媒体収容管の開口後端部と加圧ポンプ機構との間に連通させて設けた通気路と、この通気路に連通させて設けられ、かつ加圧ポンプ機構から媒体収容管の開口後端部に向けて圧送される余剰な加圧空気によって膨出可能な空気溜り部と、この空気溜り部を非使用時における加圧ポンプ機構の通気状態において圧潰変形状態となるように圧潰方向に付勢する付勢手段とより構成したことを特徴とする文房具が記載されている。
特許文献7には、軸筒と、軸筒内で軸方向に移動可能に配設されて、軸筒の先端より突出した位置と、軸筒内に退没した位置とに移動可能となった先端供給部を有し、液体を収容する液体収容管と、前記液体収容管を前後に移動可能な回転カム機構であって、前進位置と後退位置との間を移動可能となった回転カムを備え、該回転カムは、回転カムの軸方向の移動及び回転により前進位置と後退位置とが切り替えられるようになった回転カム機構と、軸筒内に設けられ、前記先端供給部が突出した位置にあるときに圧縮されて前記液体収容管内を加圧可能となった加圧空間と、を備えた液体供給具において、前記回転カムは、前記加圧空間から軸方向前方方向の力を受けることが可能となっていることを特徴とする液体供給具が記載されている。
特許文献8には、インキ組成物収容管に直接インキ組成物を収容するボールペンにおいて、室温硬化性シリコーンゴムを用いたインキ組成物追従体が記載されている。
特許文献5〜7記載の発明は、ボールペン等の筆記具において、インキ組成物収容部に収納されたインキ組成物とその後端に位置するフォロアに対して、加圧手段もしくは指の熱による気体の膨張によって、インキ組成物収容部の先端に向けてインキ組成物を加圧する発明であるが、該フォロアとしてはその材質を特に限定することはない。
また、特許文献8記載の発明は、ボールペンのインキ組成物収容部のインキ組成物の後端に位置させるフォロアとして特定の樹脂のものを採用する発明であり、特許文献9記載の発明は同じくフォロアとしてシリコーンオイルが使用された発明であり、特許文献10記載の発明はフォロアとしてシリコンゴムを採用し得る発明であるが、そのボールペンはインキ組成物を加圧する形式のものではない。
特許文献11には、先端にチップ部を備え、かつ該チップ部に供給されるインキ組成物が内部に充填されてなるインキ組成物収容筒であって、該インキ組成物収容筒内部に充填されたインキ組成物の後端に硬化型オイルを設け、さらに後方に該硬化型オイルを押圧するための押圧手段を設けてなるインキ組成物収容筒であり、該押圧手段がバネ又は錘であるとき、該押圧手段と硬化型オイルの間に断面が平面の円筒形状の押圧部材を設けることが記載されている。
特開2009−197235号公報 特開平10−236065号公報 特開2003−291580号公報 特開2006−264129号公報 特開2009−285985号公報 特開2010−105309号公報 特開2010−125715号公報 特開平11−115368号公報 特開2001−080272号公報 特開2004−106485号公報 特開2012−131071号公報
本発明は筆記性に優れ、十分に立体感を備えた筆跡を描くことができる水性インキ組成物を得ることを課題とする。
そして、特許文献1及び2に記載されているように、立体的な筆跡を形成することを目的として、高粘度のインキ組成物を使用することまでは公知であるものの、従来は、インキ組成物を加圧する機構を有しないために、チップ部における目詰まりが発生しやすくなる傾向があった。
そのようなインキ組成物を用いてボールペンとするために、上記の各特許文献に記載されたインキ組成物収容部を備えたボールペン等を採用すると、インキ組成物収容部内のインキ組成物の後方に設けたフォロア側より加圧させることによって、インキ組成物をインキ組成物チップ部側に押し出し、円滑にインキ組成物をボールペン等のチップ部に供給しようとしても、該フォロアはシール性が不十分であるなどの理由から、十分にインキ組成物に追従できないことがあった。
また加圧を行わないボールペンでは、高粘度のインキ組成物の場合には筆記部に向けて十分な量のインキ組成物を供給できないことがあった。
さらに特許文献11は、押圧部材を硬化型オイルと押圧手段との間に設けることにより、インキ組成物を使用すると共に減少するインキ組成物収容筒内部のインキ組成物を均一に押圧して、インキ組成物収容筒内部のインキ組成物が減少しても均一の塗布量となるようにインキ組成物を使用できるようにする方法が開示されている。しかしながら、実際には使用するにつれて硬化型オイルがインキ組成物と共に吐出部方向に移動すると、その硬化型オイルはその後端面が平面ではなく凹面となる。この凹面の周縁部でかつインキ組成物収容筒内壁と接する部分に集中的に押圧部材が接することにより、該周縁部がさらにインキ組成物収容筒内壁に押しつけられるようになり、結果的に硬化型オイルは押圧部材によって均一に押圧されなくなる。
そのため、インキ組成物収容筒間におけるインキ組成物の流出量の大きなばらつき、あるいはインキ組成物を使用するにつれて、硬化型オイルが均一に押圧されないために、インキ組成物の流出量に不規則な増減やむらが発生することが懸念される。
この問題は、本発明の水性インキ組成物の粘度が高粘度化するほど顕著であり、そのような高粘度のインキ組成物に対し、単に加圧式ボールペンを使用すればよいとは到底いえない。
1.樹脂エマルションを樹脂固形分で5重量%以上含有する加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
2.樹脂エマルションの樹脂のガラス転移温度が30℃未満である1に記載の加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
3.樹脂エマルションの樹脂のガラス転移温度が10℃未満である2に記載の加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
4.光輝性顔料を含有する1〜3のいずれかに記載の加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
5.光輝性顔料が金属被覆樹脂フィルム粉またはアルミニウム粉又はパール顔料またはこれらの混合物である4に記載の加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
6.界面活性剤を含有する1〜5のいずれかに記載の加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
7.界面活性剤がポリエーテル変性シリコーンオイル及び/又はジアルキルスルホコハク酸塩及び/又はリン酸エステル系界面活性剤である1〜6のいずれかに記載の加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
8.白色顔料を含有する1〜7のいずれかに記載の加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
9.粘度が1,000〜50,000mPa・s(TVE型粘度計、3゜R14コーン、0.5rpm)である1〜8のいずれかに記載の加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
10.先端にチップ部を備え、かつ該チップ部に供給されるインキ組成物が内部に充填されてなるインキ組成物収容筒であって、該インキ組成物収容筒内部に充填されたインキ組成物の後端に、インキ組成物を押圧するための押圧手段を設けてなるインキ組成物収容筒に、1〜9のいずれかに記載のインキ組成物を充填してなる加圧式ボールペン。
11.該インキ組成物収容筒内部に充填されたインキ組成物の後端に硬化型オイルを設け、さらに後方に押圧部材を介して該硬化型オイルを押圧するための押圧手段を設けてなる10に記載の加圧式ボールペン。
12.該硬化型オイルが硬化型シリコーンである11に記載の加圧式ボールペン。
13.押圧手段が、圧縮空気、ばね、錘である10〜12のいずれかに記載の加圧式ボールペン。
14.押圧部材の硬化型オイル側の面が凸面に形成されている11〜13のいずれかに記載の加圧式ボールペン。
本発明によれば、筆記性に優れると共に、十分に立体感を備えた筆跡を描くことができる水性インキ組成物を得ることができる。そのため、その水性インキ組成物に光輝材を配合させておくことにより、得られた筆跡は十分な立体感に加えて光輝性を示すことになる。得られた筆跡の光輝性は、筆跡のインクの表面近く、あるいは筆跡のインク底部近く等から反射されてなることにより、単に光輝材を配合したインキ組成物による筆跡よりも、深みがある光輝性を発揮することができる。
さらにその水性インキ組成物に白色顔料及び/又は白色樹脂粒子を配合しておくことにより、得られた筆跡は十分に隠蔽性を発揮することができるので、例えば黒色の用紙等に筆記した場合でも、用紙の黒色を十分に隠ぺいするので、インクによる筆跡自体は用紙の色を反映することがない。そのため、パステルカラー等の淡い色のインクを用いて黒色の用紙に筆記した場合であっても、筆跡は用紙の色を反映すること無く、淡い色の筆跡とすることができる。
また、水性インキ組成物にポリエーテル変性シリコーンオイル及び/又はジアルキルスルホコハク酸塩を配合させておくことにより、例えばポリエチレンやポリプロピレンのような親水性が低く、撥水性を呈するような材料からなる表面に筆記した場合であっても、円滑に筆記することができ、しかも、立体感がある筆跡とすることが可能になる。この性質は、水性インキ組成物に光輝材や白色顔料及び/又は白色樹脂粒子を配合した場合であっても同様である。
加えて、本発明のチップ部を備えたインキ組成物収容筒内の水性インキ組成物は、樹脂エマルションを含有し、それが特に高粘度であっても十分にチップ部に供給されると共に、硬化型オイルが崩れずに水性インキ組成物に追従し、しかも該硬化型オイルは弾力性を有するので加圧をしても水性インキ組成物が後方に漏れることがない。そのうえ異なるインキ組成物収容筒間での水性インキ組成物の吐出量のばらつきを防止でき、使用するにつれて該水性インキ組成物が不均一に押圧されることがなく、均一に水性インキ組成物を吐出することが可能であるという効果を発揮する。
本発明にて使用するインキ組成物筒の模式図。 本発明による効果に関する模式図。
本発明の加圧式ボールペン用水性インキ組成物は樹脂エマルションを必須成分として含有するインキ組成物である。
以下に本発明について順に説明する。
(樹脂エマルション)
本発明の加圧式ボールペン用水性インキ組成物にて使用される樹脂エマルションは、それを使用する温度において造膜性を有し、さらに、十分に立体感のある筆跡を形成させるための成分である。
樹脂エマルションとしては、アクリル系樹脂エマルション、スチレン−アクリル系樹脂エマルション、酢酸ビニル系樹脂エマルション、ウレタン系樹脂エマルション、アルキッド系樹脂エマルション、スチレンブタジエン系樹脂エマルション、アクリロニトリルブタジエン系樹脂エマルション等を用いることができ、アクリル系樹脂エマルションを好適に用いることができる。
樹脂エマルションの樹脂はガラス転移温度が30℃未満であることが好ましく、25℃未満がより好ましく、10℃未満が更に好ましい。そして、仮に30℃以上であると、造膜性が劣るので筆跡が十分に立体を形成することができない可能性がある。
また、樹脂エマルションは2種以上を混合して用いることもでき、その場合には2種類以上の樹脂エマルションの樹脂のガラス転移温度の計算値が30℃未満であることが好ましく、25℃未満がより好ましく、10℃未満が更に好ましい。本発明における2種類以上の樹脂エマルションの樹脂のガラス転移温度の計算値は式1によって求めた値とする。
<式1>
1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2・・・・wn/Tgn
Tg:2種類以上の樹脂エマルションの樹脂のガラス転移温度の計算値
Tg1,Tg2,…Tgn:エマルション1,2…nを構成する樹脂のガラス転移温度(K)
w1,w2,…wn:エマルション1,2…nの重量分率
上記式1は、各エマルションを構成する樹脂のガラス転移温度をTg1、Tg2、…Tgn(K)とし、各エマルションの重量分率を、w1、w2、…wnとしており、(w1+w2+…+wn=1)である。
そのような樹脂エマルションは、本発明のインキ組成物中においてその樹脂固形分で5〜50重量%、好ましくは10〜45重量%、さらに好ましくは20〜40重量%含有するように配合される。
本発明のインキ組成物中に含有される樹脂エマルションが、その樹脂固形分で5重量%未満であるとインキ組成物により得られた筆跡は十分な立体感を得られず、50重量%を超えるとインキ組成物の貯蔵安定性が低下する。
(粘性調整剤)
本発明のインキ組成物には、粘性調整剤を配合させることができる。
使用される粘性調整剤としては、一般的に使用されているものでよく、微生物産系多糖類及びその誘導体、例えばキサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン(レオザン)、ダイユータンガム、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体等の粘性調整剤を用いることができる。また、半合成セルロース系高分子、架橋性アクリル酸重合体、アルカリ増粘型アクリル系樹脂、ウレタン会合型増粘剤、N−ビニルアセトアミド系樹脂、無機質微粒子等の粘性調整剤を使用することができる。
このような、樹脂エマルションを含有し、かつ粘性増粘剤を必要に応じてインキ組成物に配合させることにより、粘度を1,000〜50,000mPa・s、好ましくは5,000〜30,000mPa・s (TVE型粘度計、3゜R14コーン、0.5rpm)とすることができる。
インキ組成物の粘度が1,000mPa・s未満であると、筆記時にインキ組成物が過剰に流出することになり、的確に文字を書くことができず、50,000mPa・sを超えるとインキ組成物の流出量が不足して、立体的な筆跡を得ることができない。インキ組成物中に粘性調整剤を0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%となるように配合することができる。
(光輝材)
本発明のインキ組成物には、光輝性を発揮した意匠性を向上させることを目的として、光輝材を配合することもできる。
使用できる光輝材としては、従来から知られているものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、金属や金属酸化物で被覆されたガラスフレーク、アルミニウム粉やブロンズ粉などの金属等の無機粒子、パール顔料、樹脂フィルムの破砕物、アルミニウムをポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂やシリカ等の無機化合物で被覆し、必要に応じてさらに破砕してなる光輝材等が好ましく用いられる。
インキ組成物中に光輝材を0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%となるように配合することができる。配合量が0.01重量%未満では、筆跡に十分に光輝性を付与することができず、50重量%を超えるとペン先で目詰まりを起こすことがある。
(着色材)
本発明のインキ組成物には、上記の光輝材とは別に顔料や染料の着色材を含有させることができる。使用できる着色材としては筆記具用インキ組成物に使用できるものであれば時に限定されることはない。
インキ組成物中の着色材の含有量は任意で良いが、含有量が多すぎると上記光輝材による筆跡の光輝効果を阻害する可能性があり、含有量が少なすぎると筆跡を十分に着色することができない。
(白色顔料)
白色顔料としては、無機白色顔料、白色樹脂粒子、最低造膜温度(MFT)が50℃以上の樹脂エマルションを採用することができる。
無機白色顔料としては、二酸化チタン、アルミナ、タルク、窒化ホウ素等の白色を呈することができる各種無機顔料を採用できる。
白色樹脂粒子としては、白色球状樹脂粒子、扁平状白色樹脂粒子、中空状白色樹脂粒子等の各種形状を有するものを使用することができる。ここで使用することができる樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等、水性媒体に分散可能な樹脂であればよい。そしてその樹脂が白色を呈するように、上記無機白色顔料を混合させることができる。
最低造膜温度(MFT)が50℃以上の樹脂エマルションとしては、モビニール972(ニチゴーモビニール社製、MFT100℃以上)、ニカゾールFX806C(日本カーバイト社製、MFT80℃以上)を採用することができ、このような温度の最低造膜温度を有する樹脂を有するエマルションを使用することにより、樹脂エマルション自体を白色とすることができる。
本発明において、インキ組成物中に白色顔料を含有させる際の含有量としては、インキ組成物中の固形分で0.01〜40重量%、好ましくは0.1〜20重量%であり、さらに好ましくは、2.0〜15.0重量%である。
40重量%を超えると、ペン先にて目詰まりが生じやすくなり、さらに貯蔵安定性が低下する恐れがある。また0.01重量%未満の時には、濃色の筆記面に筆記した際に筆跡の視認性が低下する恐れがある。
(リン酸エステル系界面活性剤)
本発明にて使用できるリン酸エステル系界面活性剤は、特にアルミニウムを含む光輝材と併用することによって、その光輝材の腐食を防止することができる。
そのようなリン酸エステル系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのリン酸モノエステルまたはジエステルまたはトリエステルまたはそれらのナトリウム、カリウム、バリウムまたはアルカノールアミン塩からなる化合物群から選ばれるリン酸エステル系化合物の誘導体を使用することができる。
リン酸エステル系界面活性剤の含有量としては、インキ組成物中の光輝材の重量に対して1重量%以上500重量%未満とすることが好ましく、さらに好ましくは10重量%以上100重量%未満である。
リン酸エステル系界面活性剤の含有量が光輝材の重量に対して500重量%を超えると、筆記時にインキ組成物が裏移りしたり、ペン先からインキ組成物が過剰に落ちる恐れがある。また1重量%未満であると、光輝材の腐食を防止することが出来ない。
(ポリエーテル変性シリコーンオイル)
本発明において、インキ組成物中にポリエーテル変性シリコーンオイルを添加することにより、インキ組成物の表面張力を下げることができる。そしてその結果としてポリプロピレンやポリエチレン等の疎水性表面に対しても、インキ組成物をはじくことなく筆記することができる。
本発明において使用することができるポリエーテル変性シリコーンオイルは、ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性メチルポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリグリセリン変性メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体などであり、好ましくはポリエーテル変性ジメチルポリシロキサンである。
(ジアルキルスルホコハク酸塩)
本発明において、インキ組成物中にジアルキルスルホコハク酸塩を添加することにより、インキ組成物の表面張力を下げることができる。そしてその結果としてポリプロピレンやポリエチレン等の疎水性表面に対しても、インキ組成物をはじくことなく筆記することができる。
本発明において使用することができるジアルキルスルホコハク酸塩としては、2−エチルヘキシスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等であり、その中でもジオクチルスルホコハク酸ナトリウムが好適である。
本発明のインキ組成物におけるポリエーテル変性シリコーンオイル及びジアルキルスルホコハク酸塩の配合量としては、いずれも全固形分中の固形分で0.01〜5重量%であり、好ましくは0.1〜1.0重量%である。ポリエーテル変性シリコーンオイル及びジアルキルスルホコハク酸塩の配合量が0.01重量%未満であるとポリプロピレンやポリエチレン等の疎水性表面に筆記した場合において、インキ組成物がはじかれてしまい筆記することが困難になる。またこれらの配合量が5重量%を超えると、インキ組成物が裏移りしたり、ペン先からインキ組成物が過剰に落ちる恐れがある。
(溶媒)
本発明のインキ組成物は、水性インキ組成物ではあるが、有機溶剤も含有させることができる。
そのような有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、これらのモノアルキルエーテル及びモノアルキルエーテルアセテートから選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。具体例として、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル等を挙げることができる。
(その他成分)
本発明による水性インキ組成物は、必要に応じて、他に揺変剤、防腐剤、防黴剤、湿潤剤、分散剤、消泡剤、潤滑剤等の各種添加剤を適宜に含有していてもよい。
本発明のインキ組成物は、加圧式ボールペン用インキ組成物として使用されるが、一例として図1の記載を基にしつつ順に説明する。
まず、本発明のインキ組成物が収納されるインキ組成物収容筒は、特に高粘度のインキ組成物を、より確実にインキ組成物収容筒先端に備えられたチップに向けて供給することができるよう、該インキ組成物の後端に設けられた硬化型オイルをさらに後方から押圧するようにしたインキ組成物収容筒を採用でき、加圧式ボールペンはこのようなインキ組成物収容筒を有する。
[加圧式ボールペン]
本発明の加圧式ボールペンにて使用される加圧式ボールペン用のインキ組成物収容筒は、内部に筆記具用インキ組成物を充填させるものである。
図1に示すように、本発明において使用される加圧式ボールペン用水性インキ組成物3は、インキ組成物収容筒1内に充填された場合において、必要に応じて後端に設けた硬化型オイル5を介して後方から押圧されることにより、チップ部2に供給されて吐出されるものである。
このため、本発明のインキ組成物は、筆跡を立体的にするために高粘度であっても、加圧されることによってチップ部に供給されるのに適切な程度の流動性を備えることが必要である。
具体的には、図1に示される塗布具において、インキ組成物収容筒1は、その先端にチップ部2が設けられ、その内部にはインキ組成物3が充填され、該インキ組成物3の後端にはポリブテン等から形成された逆流止め4を介して、フォロアとして硬化型オイル5が設けられている。そして、ばね7等の押圧手段によって押圧部材6が押圧され、該硬化型オイル5がチップ部2に向けて押圧されることによって該インキ組成物3がチップ部から対象物に向けて吐出される。このとき、該押圧部材6の前面であり硬化型オイル5と接する側の面は平面形状を有していても良く、あるいは図に示すように凸面形状を有していてもよい。
なお、必要に応じて上記の逆流止めやフォロアを採用しないこともできる。
該インキ組成物収容筒1は、公知の樹脂あるいは金属からなるものであり、その大きさについても、用途に応じた公知の大きさのものである。
インキ組成物収容筒1の先端に備えられたチップ部2としては、公知のボールペンに使用されるチップ部が採用される。
そして加圧式ボールペンとしては、上記の各用途に使用されるために必要な公知の形状を有する塗布具を選択することができる。
[硬化型オイル]
本発明において使用される硬化型オイル5は、2液硬化型シリコーン等の硬化型シリコーンが好ましく、縮合反応により硬化するシリコーンとしては、少なくとも2個のシラノール基を有するオルガノポリシロキサンと、スズ系等の硬化触媒を含有するものを使用でき、付加反応により硬化するシリコーンとしては、1分子あたり少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと、1分子あたり少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有する有機ケイ素化合物と、白金含有触媒等の付加反応触媒を含有するものを使用できる。
さらに硬化型オイル5には、シリカや炭酸カルシウム等の充填剤、着色剤、潤滑剤、安定剤等の公知の添加剤を配合することができる。
本発明はこのような硬化型オイル5を採用することによって、塗布具の使用期間を通じて硬化型オイル5の形状が崩れて変化することがなく、硬化型オイル5をインキ組成物収容筒1内のインキ組成物3に追従させることができる。また、インキ組成物収容筒1の内壁と硬化型オイル5との間の摩擦を低減させるため、硬化型オイル5に潤滑剤等の添加剤を配合することによって、使用時において硬化型オイル5から該添加剤が浸みだして、より円滑に硬化型オイル5がインキ組成物3に追従することができる。
硬化型オイル5は、適切な範囲の弾力性を有するので、インキ組成物収容筒1の内壁に密着することができ、インキ組成物3を確実にシールすることができるから、インキ組成物3が硬化型オイル5の後方に漏れることがない。
[押圧手段]
本発明にて使用される押圧手段は、上記の硬化型オイル5を押圧部材6を介して押圧する手段であれば問わないが、公知の加圧式ボールペンに採用される対象物を押圧することができる手段、加圧空気、ばね、錘等の手段、またはこれらを組み合わせてなる手段を採用できる。
図1に示すように、中でもばね7による押圧は、気体による押圧よりもインキ組成物収容筒1内部のインキ組成物3の残量による押圧力の変化が小さいことから、塗布具の使用期間中を通じて安定的に押圧部材6を押圧でき、インキ組成物3をチップ部2に供給できるので好ましい。また、気体による押圧も押圧部材6の後端側の面を均等に押圧することができるため好ましい。なお、気体による押圧及びばね7による押圧の場合、その他のいずれの場合にも、該押圧手段7と硬化型オイル5との間に、押圧力を均一化させるために押圧部材6を設けることが望ましい。
押圧手段として、加圧された気体による押圧手段を採用する場合には、図示しないものの、例えばボールペンのノック機構に連動する加圧機構を設けたり、硬化型オイル5の後方に予め加圧気体を充填しておき、インキ組成物収容筒1本体の後端を蓋により密封することによって、常にインキ組成物3をチップ部2に向けて押圧するようにしてもよい。
また、ばね7による押圧手段を採用する場合には、押圧部材6の後端とインキ組成物収容筒1の後端を密封する蓋との間にばねを圧縮状態にて位置させることによって、インキ組成物3を押圧することができる。
押圧手段として錘を使用する場合には、図示はしないが、硬化型オイル5の後端側の面に直接か、あるいは上記の押圧部材6を介して、インキ組成物3をチップ部2側に向けて押圧できるように、インキ組成物収容筒1内に該インキ組成物収容筒の軸方向に移動自在となるように錘を挿入しておくことができる。錘の材質は、求められる押圧の程度によって決定され、そのオイルや溶媒に対して不溶性であって、反応性を有さないものであることが必要である。
通常の筆記具等の塗布具は使用時においてチップ部2を下方に向けるので、該インキ組成物収容筒1内の押圧部材6の後端側、または押圧部材6を使用しない場合には、硬化型オイル5の後端側に挿入された該錘は、自重により下方、つまりチップ部2側に移動して、その自重によって硬化型オイル5を介してインキ組成物3を、チップ部2に向けて押圧することができる。
錘を使用した場合、塗布具の使用につれてインキ組成物収容筒1内のインキ組成物3が減少しても、上記のばねや加圧による押圧手段のように押圧力自体が低下することがなく、塗布具の使用期間を通じて一定の押圧力をインキ組成物に与えることができる。
このような優れた特性を有する反面、塗布具の角度によって、インキ組成物に係る押圧力が変化することになり、塗布具を水平に向けたり、塗布具を水平よりも上向きとしたときにはインキ組成物に係る押圧力は0となるので、チップ部2に向けたインキ組成物3の供給が円滑になされないことに注意を要する。
[押圧部材]
本発明にて使用される押圧部材としては、図1に示す押圧部材6のように、押圧手段7と硬化型オイル5との間に位置し、その硬化型オイル5側の面は球面、三角錐、面取りをした円筒形状等の凸部形状を有することが必要である。
このような凸面形状とすることにより硬化型オイル5がどのように押圧されるのかを図2に示す。
図2の(a)〜(c)は従来の平面の押圧部材による硬化型オイルを押圧する図であり、(a)は押圧開始前である。(a)においては押圧部材6の表面に硬化型オイル5が密着しているが、インキ組成物を使用してインキ組成物収容筒内のインキ組成物の量が減少すると、(b)に示すように、そのインキ組成物収容筒内のインキ組成物の体積減少により、インキ組成物に接する硬化型オイルも矢印方向に移動し、硬化型オイルの後端面αに凹部を形成するようになる。そのためその凹部と押圧部材6の表面との間に空間が生じる傾向がある。
その状態で、インキ組成物を使用すると、硬化型オイル5と押圧部材6が移動した時、(c)に示すように、押圧部材6は硬化型オイル5の後端部の凹部を押し潰すようにして、該凹部の周縁部をさらに周縁部に向けて力を加えることになり、結果的にインキ組成物収容筒内の内壁面に向けて硬化型オイル5を押圧する。そのため、インキ組成物の使用に伴う硬化型オイル5の移動が円滑になされず、硬化型オイル5を介してインキ組成物を均一に押圧することが困難になる。
しかしながら、(d)に示すように、本発明の押圧部材6の硬化型オイル側の面は、球面、三角錐面等の凸部形状に形成されているので、インキ組成物を使用する前においても押圧部材6と硬化型オイル5との密着は、その凸部形状に沿ってなされている。
その結果、インキ組成物を使用して、インキ組成物収容筒内のインキ組成物の体積が減少し、それにつれて硬化型オイル5と押圧部材6が矢印方向に移動した場合においても(e)に示すように、押圧部材6と硬化型オイル5とは依然として押圧部材6の前面の凸部形状に沿うことになる。
その結果、上記(a)〜(c)の図に示すように、インキ組成物の使用につれて、硬化型オイル5がインキ組成物収容筒内において円滑に移動されないという現象は生じない。そして、インキ組成物3を使用しても、押圧手段7による押圧力を確実にインキ組成物に伝達でき、使用期間を通じて安定的にインキ組成物を使用することができる。
そしてそのような押圧部材としては、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂等の樹脂製または金属製の、押圧手段による圧力を受けても変形しない材料から任意に選択して使用することができる。
(実施例1)
[インキ組成物]
実施例にて使用するインキ組成物を以下のようにして製造した。
樹脂エマルションA70重量部、粘性調整剤3.0重量部、湿潤剤5.0重量部、界面活性剤0.5重量部、防腐剤0.5重量部、及びイオン交換水を加えて100重量部とし、ディゾルバーにより1時間撹拌して所望のインキ組成物を得た。
同様に以下の表1に記載の組成となるように、実施例2〜27、及び比較例1〜8のインキ組成物を製造し、これらをばね加圧式ボールペンに充填した。
そしてこれらの結果を以下に示す。
(評価)
<粘度>
TVE-25L粘度計(東機産業社製)、3゜R14コーン、0.5rpmの条件にて測定
<筆跡の立体感>
◎…筆跡を指で触った時に十分な盛り上がりが感じられる
○…筆跡を指で触った時に盛り上がりが感じられる
×…筆跡を指で触った時に盛り上がりが感じられない
<文字書きのしやすさ>
○…文字が潰れずに書ける
×…文字が潰れて判読できない

樹脂エマルションA…商品名「ポリゾールPSA−SE1300N」(昭和高分子社製)
ガラス転位温度-50℃、固形分50%
樹脂エマルションB…商品名「ニカゾールA−02K」(日本カーバイド社製)ガラス転位温度0℃、固形分46%
粘性調整剤…キサンタンガム
蛍光顔料分散体…ルミコールNKW−C2117E(日本蛍光化学社製)
光輝材B…商品名「エルジーネオ#325シルバー」(尾池イメージング社製)
湿潤剤…プロピレングリコール
界面活性剤…商品名「フォスファノールRS−710」(東邦化学製)
防腐剤…1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン
本発明に沿った例である実施例1〜8のインキ組成物によるボールペンは、いずれの性質も良好であり筆跡の立体性と、文字の書きやすさが共に優れていた。
これに対して、樹脂エマルションAの含有量が少ない比較例1によれば筆跡の立体感に乏しく、筆跡を指でさわっても盛り上がりを感じることがなかった。
さらに、比較例2のように水性インキ組成物の粘度が低く、わずか500mP・sである場合には、低粘度過ぎるために、筆跡が立体的に盛り上がるものの、筆記時の文字の書きやすさが良好ではないという結果であった。
<筆跡のひび割れ>
コクヨ社製「キャンパスノート(ノ-3AN)」の表紙に「株式会社サクラクレパス」と筆記し、乾燥後の筆跡を目視で評価した。
○…筆記線にひび割れがみられない
△…筆記線に若干のひび割れがみられる
×…筆記線にひび割れがみられ、指で触ると筆跡が剥がれ落ちる

樹脂エマルションA…商品名「モビニールLDM7520」(日本合成化学社製)ガラス転位温度4℃、固形分50%
樹脂エマルションB…商品名「プライマルAC−2235」(ダウケミカル社製)ガラス転位温度18℃、固形分47%
樹脂エマルションC…商品名「プライマルPR−29」(ダウケミカル社製)ガラス転位温度14℃、固形分43%
樹脂エマルションD…商品名「プライマルAC−3001」(ダウケミカル社製)ガラス転位温度32℃、固形分50%
粘性調整剤…プライマルASE−60(ダウケミカル社製)
pH調整剤…水酸化ナトリウム
他の成分は表1に記載の成分と同じ。
本発明に基づく実施例9〜14によれば、樹脂のガラス転移温度が30℃未満の樹脂エマルションまたは樹脂のガラス転移温度の計算値が30℃未満の2種類の樹脂エマルションを使用することにより筆記線にひび割れがみられないか、もしくは、若干のひび割れが見られる程度である。また樹脂のガラス転移温度が30℃以上の樹脂エマルションのみを使用した比較例3によると筆記線にひび割れが生じた。
(評価)
<黒画用紙上での視認性>
黒画用紙上に「株式会社サクラクレパス」と筆記し、乾燥後の筆跡を目視で評価した。
◎…筆跡がはっきりと視認できる
○…筆跡が視認できる
×…筆跡を視認しにくい

白色顔料分散体…「KR−380」(チタン工業製)の50重量%溶液
白色顔料…「セラフYFA2050」(キンセイマテック社製)
白色中空樹脂球…「ローペイクHP−1055」(ダウケミカル社製)
粘性調整剤…プライマルASE−60(ダウケミカル社製)
pH調整剤…水酸化ナトリウム
他の成分は表1に記載の成分と同じ。
本発明に沿った例である実施例15〜20のインキ組成物によるボールペンは、いずれも黒画用紙上に筆記した際の筆跡の視認性が良好であった。これに対して、本発明のインキ組成物ではない比較例4及び5のインキ組成物によるボールペンは、筆跡を視認しにくく、視認性が不良であった。
これらの例によると、本発明において白色顔料をインキ組成物に配合した場合には、そうでない場合と比較して、インキ組成物本来の色の筆跡を例え黒色の筆記面に対しても得ることができることがわかる。
(評価)
<光輝材の防食による貯蔵安定性>
ボールペンを50℃で30日間貯蔵し、貯蔵前後の筆跡の状態を目視で比較した。
○…筆跡全般にわたり均一であり、変化が見られない
△…インキ組成物流出量が低下しており、筆記しにくい
×…筆跡の光輝感が低下していた

光輝材A…「アルペーストWXM0620」(東洋アルミニウム社)
粘性調整剤…プライマルASE−60(ダウケミカル社製)
pH調整剤…水酸化ナトリウム
他の成分は表1に記載の成分と同じ。
本発明に沿った例である実施例21〜24のインキ組成物によるボールペンは、長期に保存した後においても良好な状態で保存されているので、均一で、変化のない安定した筆跡を得ることができる。しかしながら、リン酸エステル系界面活性剤を含有しない比較例6及び7によると、光輝材の腐食を防止できず、結果的に筆跡の光輝感が低下しており、安定して貯蔵されなかったことが解る。
(評価)
<ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)表面への筆記性>
それぞれの材料からなる表面に手書きで筆記した際の筆記線の状態を目視で評価した。
○…筆記線にハジキがみられない
×…筆記線にハジキがみられる

ポリエーテル変性シリコーンオイル…「KF−6011」(信越シリコーン社製)
他の成分は表1に記載の成分と同じ。
本発明に沿った例である実施例25〜27のインキ組成物によるボールペンは、PPやPEからなる表面に対して良好に筆記できることがわかる。しかしながら、ポリエーテル変性シリコーンオイルやジオクチルスルホコハク酸Naを含有しない比較例8によると、PPやPEへの筆記性が十分ではなく、筆跡がはじかれることがわかる。
1・・・インキ組成物収容筒
2・・・チップ部
3・・・インキ組成物
4・・・逆流止め
5・・・硬化型オイル
6・・・押圧部材
7・・・ばね

Claims (14)

  1. 樹脂エマルションを樹脂固形分で5重量%以上含有する加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
  2. 樹脂エマルションの樹脂のガラス転移温度が30℃未満である請求項1に記載の加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
  3. 樹脂エマルションの樹脂のガラス転移温度が10℃未満である請求項2に記載の加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
  4. 光輝性顔料を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
  5. 光輝性顔料が金属被覆樹脂フィルム粉またはアルミニウム粉又はパール顔料またはこれらの混合物である請求項4に記載の加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
  6. 界面活性剤を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
  7. 界面活性剤がポリエーテル変性シリコーンオイル及び/又はジアルキルスルホコハク酸塩及び/又はリン酸エステル系界面活性剤である請求項1〜6のいずれかに記載の加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
  8. 白色顔料を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
  9. 粘度が1,000〜50,000mPa・s(TVE型粘度計、3゜R14コーン、0.5rpm)である請求項1〜8のいずれかに記載の加圧式ボールペン用水性インキ組成物。
  10. 先端にチップ部を備え、かつ該チップ部に供給されるインキ組成物が内部に充填されてなるインキ組成物収容筒であって、該インキ組成物収容筒内部に充填されたインキ組成物の後端に、インキ組成物を押圧するための押圧手段を設けてなるインキ組成物収容筒に、請求項1〜9のいずれかに記載のインキ組成物を充填してなる加圧式ボールペン。
  11. 該インキ組成物収容筒内部に充填されたインキ組成物の後端に硬化型オイルを設け、さらに後方に押圧部材を介して該硬化型オイルを押圧するための押圧手段を設けてなる請求項10に記載の加圧式ボールペン。
  12. 該硬化型オイルが硬化型シリコーンである請求項11に記載の加圧式ボールペン。
  13. 押圧手段が、圧縮空気、ばね、錘である請求項10〜12のいずれかに記載の加圧式ボールペン。
  14. 押圧部材の硬化型オイル側の面が凸面に形成されている請求項11〜13のいずれかに記載の加圧式ボールペン。
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