JP2008201991A - 水性インキ組成物およびその製造方法、ならびに筆記具 - Google Patents

水性インキ組成物およびその製造方法、ならびに筆記具 Download PDF

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Abstract

【課題】金属粉顔料と水との反応がより防止された、保存安定性の高い、水性メタリックインキ組成物を提供する。
【解決手段】金属粉顔料および水を少なくとも含むインキ組成物であって、下記化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物およびその塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル系化合物を含む、水性インキ組成物を提供する。
Figure 2008201991

(式中、Rは、炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基であり、Rは、水素またはR(OCHCH(Rは、炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基である)であり、nは0〜3である)
【選択図】なし

Description

本発明は、金属顔料を含む水性インキ組成物、およびその製造方法、ならびこの水性インキ組成物を用いた筆記具に関する。
アルミニウム粉顔料または真鍮粉顔料等を含み、筆跡をメタリック調にすることができるインキ組成物は、既に知られており、実用に供されている(例えば、特許文献1)。また、メタリック調の筆跡の周囲にさらに輪郭線を生じさせる、二重発色の筆跡が得られるような、二重発色インキ組成物も提案され、実用に供されている(例えば、特許文献2)。これらのインキ組成物は、例えば、ボールペンの形態で提供される。
特開2002−194261号公報 特開2002−60666号公報
金属粉顔料を含み、溶剤として水を含む、いわゆる水性インキ組成物においては、金属と水との反応を防止する必要がある。金属が水と反応すると、金属粉顔料の変色、および水素ガスの発生を招くことがある。さらに、二重発色インキ組成物においては、金属と水との反応が、着色剤(特に水溶性の染料)の変色を招くことがある。金属粉顔料および着色剤が変色すると、筆跡の色および質感が所望のものでなくなるという不都合がある。また、インキ組成物をインキ収容管に充填して、この管に栓をした状態で(即ち、筆記具として)、長期間保存したときに、水素ガスが発生すると、栓のゆるみ又は外れが生じることがある。
これらの問題が生じ得ることは、既に知られている。そのため、金属粉顔料は、一般的に、耐水性処理を施してから、水性インキ組成物の製造に供される(例えば、特許文献1の0013)。しかしながら、耐水性処理を施した金属粉顔料を使用しても、なお、金属と水との反応が生じる場合のあることがわかった。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、金属粉顔料と水との反応がより抑制された、保存安定性に優れた水性インキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者らが検討したところ、特定のリン酸エステル化合物および/またはその塩がインキ組成物に含まれると、アルミニウムと水の反応を抑制するのに効果的であることを見出し、本発明を案出するに至った。即ち、本発明は、金属粉顔料および水を少なくとも含むインキ組成物であって、下記化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物およびその塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル系化合物を含む、水性インキ組成物を提供する。
Figure 2008201991
(式中、Rは、炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基であり、Rは、水素またはR(OCHCH(Rは、炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基である)であり、nは0〜3である)
本発明の水性インキ組成物において、金属粉顔料は、予め耐水性処理されているものであってよい。その場合、本発明の水性インキ組成物には、金属粉顔料に予め含まれている耐水性処理剤に加えて、前記特定のリン酸エステル系化合物が含まれることとなる。ここで、「リン酸エステル系化合物」とは、インキ組成物が上記化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物のみを含む場合には、当該リン酸エステル化合物を指し、インキ組成物が上記化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物の塩のみを含む場合には、当該塩を指し、インキ組成物が、上記化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物とその塩の両方を含む場合には、両方の化合物を指す。
リン酸エステル系化合物は、インキ組成物中、0.01質量%〜2.0質量%含まれることが好ましい。リン酸エステル系化合物の含有量が少なすぎると、金属粉顔料と水との反応を十分に抑制することができず、含有量が多くても、得られる効果に変わりはない。
本発明の水性インキ組成物は、二重発色インキ組成物であってよい。その場合、水性インキ組成物は、着色剤をさらに含む。
本発明の水性インキ組成物は、筆記具のインキとして好ましく用いられる。よって、本発明は、本発明の水性インキ組成物をインキとする筆記具もまた、提供する。筆記具は、好ましくはボールペンである。
本発明は、上記本発明の水性インキ組成物の製造方法として、
水に、上記化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物およびその塩から選択される少なくとも1種の化合物を分散させること、
前記リン酸エステル系化合物を分散させた水に、金属粉顔料を分散させること、および
他の成分を、前記リン酸エステル系化合物と金属粉顔料とを分散させた水に分散させること
を含む、水性インキ組成物の製造方法を提供する。この製造方法によれば、水中にて、リン酸エステル系化合物が金属粉顔料と良好に接触して、金属粉顔料の耐水性をより向上させることができる。よって、この製造方法は、耐水性処理が施されているにもかかわらず、水性インキ組成物としたときに、十分な耐水性を示さない金属粉顔料を用いて、インキ組成物を製造する場合に好ましく適用される。
本発明はまた、水性インキ組成物に含まれる金属粉顔料の耐水性を向上させる方法として、
水に、上記化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物およびその塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル系化合物を分散させること、
前記リン酸エステル系化合物を分散させた水に、金属粉顔料を分散させること、および
水性インキ組成物に含まれる他の成分を、前記リン酸エステル系化合物と金属粉顔料とを分散させた水に分散させることを含む、水性インキ組成物に含まれる金属粉顔料の耐水性処理方法を提供する。この処理方法は、特に予め耐水性処理が施されているにもかかわらず、水性インキ組成物としたときに、十分な耐水性を示さない金属粉顔料を用いて水性インキ組成物を製造する場合に、金属粉顔料の耐水性を向上させる方法として、好ましく用いられる。
本発明の水性インキ組成物は、特定のリン酸エステル系化合物により、金属粉顔料の耐水性がより向上され、金属粉顔料と水との反応がより抑制されたものである。よって、本発明の水性インキ組成物は、金属粉顔料と水との反応に起因する変色および水素ガスの発生が生じにくく、保存安定性に優れている。本発明の水性インキ組成物をインキとして用いる筆記具(特にボールペン)は、長期間にわたって、一定の質の筆跡を与え、また、栓のゆるみや外れが生じにくいので、利用者が不便を感じることなく、安心して使用可能である。また、本発明の水性インキ組成物の製造方法は、特定のリン酸エステル系化合物と金属粉顔料とを最初に水に分散させることを特徴とする。この特徴により、本発明の製造方法は、特定のリン酸エステル系化合物により、金属粉顔料の耐水性が効果的に向上した、水性インキ組成物を得ることを可能にする。
本発明の水性インキ組成物は、金属粉顔料および水を少なくとも含むインキ組成物であって、特定のリン酸エステル系化合物を含む。以下、本発明の水性インキ組成物に含まれる成分を説明する。
(リン酸エステル系化合物)
本発明の水性インキ組成物は、金属粉顔料の耐水性を向上させて、金属粉顔料と水との反応を防止するために、下記化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物およびその塩から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
Figure 2008201991
化学式(1)において、Rは、炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基であり、Rは、水素またはR(OCHCH(Rは、炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基である)であり、nは0〜3である。即ち、化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物は、リン酸のアルキルもしくはアルケニル、またはアルキル基もしくはアルケニル基にエチレンオキシドを付加したものの、モノエステルまたはジエステルである。
は、炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基であり、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基であり、より好ましくは炭素数10〜13のアルキル基である。炭素数を6〜18とすべき理由として、次の理由が考えられるが、これらの理由により、本発明は制限されないことに留意されたい。まず、炭素数が6未満であると、金属粉顔料を保護する油性部分が短くなるため、金属粉顔料を保護する能力が低くなると考えられる。炭素数が18を越えると、分子の嵩が大きいため、金属粉顔料の表面に吸着しにくくなると考えられる。Rはまた、直鎖型および分岐型のいずれであってもよく、好ましくは直鎖型である。Rが直鎖型であると、リン酸エステル化合物の立体障害が小さくなり、衝突が起きにくく、より密に金属粉顔料の表面を保護して、耐水性を向上させ得ると考えられる。Rとして、具体的には、例えば、オクチル、デシル、トリデシル、ラウリル、セチル、ステアリル、オレイル、およびヘキサデシルが挙げられ、Rとして、ラウリルが特に好ましい。
は、水素またはR(OCHCHである。Rが水素であると、化学式(1)の化合物は、モノエステルであり、RがR(OCHCHであると、化学式(1)の化合物は、ジエステルである。RがR(OCHCHであるとき、RとRは、同一であってよく、あるいは異なっていてよい。Rの好ましい形態および炭素数等は、先にRに関連して説明したとおりであるから、その説明を省略する。
化学式(1)において、nは、0〜3の整数である。nが0であるとき、化合物はアルキルまたはアルケニルのリン酸エステル化合物である。nが1〜3であるとき、化合物はアルキル基もしくはアルケニル基にエチレンオキシドを付加したもののエステル化合物である。nが3を越えると、金属粉顔料と、アルキル基またはアルケニル基との間の距離が大きくなり、リン酸エステル化合物による十分な耐水性向上の効果が得られにくくなる。nは好ましくは2以下であり、より好ましくは1〜2である。
本発明においては、化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物として、Rの異なるものを2種以上混合して使用してよく、また、モノエステルとジエステルの混合物を使用してよい。一般に、化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物は、モノエステルとジエステルの混合物として得られる。
本発明においては、化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物と塩基との中和物である、塩を用いてよい。リン酸エステル化合物の塩は、製造時の溶解が容易であることによる。リン酸の酸素原子と対を形成する陽イオンは、特に限定されず、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオンおよびマグネシウムイオン等の金属イオン、アンモニウムイオン、ならびに有機塩基イオンであってよい。陽イオンは、1価の陽イオンであってよく、または2価の陽イオンであってよい。陽イオンは好ましくは、イオン解離のし易さから、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンである。化学式(1)で示される化合物において、RがR(OCHCHである場合には、その塩は、ジアルキルリン酸エステル塩となり、Rが水素である場合には、その塩は、モノアルキルリン酸エステル塩となる。リン酸エステル化合物の塩は、例えば、リン酸エステル化合物を、水酸化ナトリウムまたはトリエタノールアミンで中和することにより得られる。
本発明において使用できるリン酸エステル系化合物は、より具体的には、「フォスファノールML−220」(R=R=C1225、n=2、モノ(R=H):ジ(R=R(OCHCH)=7:3、HLB=12.5)、「フォスファノールML−200」(R=R=C1225、n=0、モノ:ジ=7:3、HLB=10.0)、「フォスファノールSM−172」(R=R=C17、n=0、モノ:ジ=1:1、HLB=10.5)、「フォスファノールED−200」(R=R=C17、n=1、モノ:ジ=1:1、HLB=11.4)、「フォスファノールRL−210」(R=R=C1837、n=2、モノ:ジ=1:1、HLB=5.4)、「フォスファノールRS−410」(R=R=C1327、n=3、モノ:ジ=1:1、HLB=9.0)、「フォスファノールGF−339(R=R=C13〜C1021の混合、n=0、モノ:ジ=1:1、HLB=10.0)、「フォスファノールGF−199」(R=R=C1225、n=0、モノ:ジ=1:1、HLB=5.5)、「フォスファノールGF−185」(R=R=C1327、n=0、モノ:ジ=1:1、HLB=5.2)、「フォスファノールRL−310」(R=R=C1837、n=3、モノ:ジ=1:1、HLB=5.7)(以上、東邦化学工業(株)製)、「ニッコールDDP−2」(R=R=C1225〜C1531の混合物、n=2、HLB=6.5)(以上、日光ケミカルズ(株)製)等ならびにそれらの塩である。特に、「フォスファノールML−220」および/またはその塩が好ましく用いられる。
本発明の水性インキ組成物は、化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物を、0.01質量%〜2.0質量%含むことが好ましく、0.01質量%〜1.0質量%含むことがより好ましく、0.02質量%〜0.5質量%含むことがさらにより好ましい。化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物の塩を含む場合には、当該塩の割合が上記範囲内にあることが好ましく、あるいは当該塩とリン酸エステル化合物の両方を含む場合には、それらを合わせた質量の割合が上記範囲内にあることが好ましい。よって、化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物および/またはその塩を、例えば、水溶液としてインキ組成物を製造する場合には、インキ全体に含まれるリン酸エステル系化合物および水の量を考慮して、水溶液の投入量を調節する。
本発明に従って、上記特定のリン酸エステル系化合物をインキ組成物中に含有させることにより、金属粉顔料と水との反応に起因する変色および水素ガスの発生が抑制される理由は、次のように考えられる。通常、金属粉顔料において、金属粉は、鱗片状の粒子として重なった状態で存在する。水性インキ組成物の製造の際には、通常、撹拌を伴い、この撹拌の際に、互いに重なっていた粒子が剥離する、又は粒子が割れる等して、金属粉顔料が予め耐水性処理されているとしても、耐水性処理が施されていない面が露出することがあると考えられる。そのような面が露出すると、耐水性が低下し、上記のような問題が発生すると考えられる。上記特定のリン酸エステル系化合物は、この新たに露出する耐水性処理が施されていない面に耐水性を効果的に付与するものと推測される。もっとも、この推測により本発明が影響を受けるものではない。
(金属粉顔料)
金属粉顔料としては、金属光沢を有するものであれば特に制限されず、例えば、アルミニウム系顔料、真鍮系顔料等を使用できる。アルミニウム系顔料としては、例えば「アルペーストWJP−U75C」、「アルペーストWE1200」、「アルペーストWXM7675」、「アルペーストWXM0630」、「アルペーストWXM0650」、「アルペーストWXM0620」(以上、東洋アルミニウム(株)製)、「1110W」、「2172SW」(以上、昭和アルミニウムパウダー(株)製)、「アルミペーストAW」、「アルミペーストFW」(以上、旭化成ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。また、「F500RG−W」、「F500BG−W」、「F701GR−W」、「F701RE−W」(以上、昭和アルミニウムパウダー(株)製)等の着色アルミニウム系顔料も使用できる。アルミニウム系顔料は、リーフィングタイプであっても、ノンリーフィングタイプであってもよい。
真鍮系顔料としては、例えば「BS−605」、「BS−607」(以上、東洋アルミニウム(株製)、「ブロンズパウダーP−555」、「ブロンズパウダーP−777」(以上、中島金属箔粉工業(株)製)等が挙げられる。
金属粉顔料は、前記例示した顔料を1種のみ使用してよく、または2種以上混合して使用してよい。金属粉顔料の平均粒径は、顔料の種類に応じて適宜選定することができ、通常は5〜50μm程度とすればよい。
本発明においては、予め耐水性処理が施された金属粉顔料を使用してよい。耐水性処理は、公知の方法で実施できる。例えば、耐水性処理は、リン酸含有溶液を用いて実施できる。耐水性処理された金属粉顔料も市販されており、そのような市販品を使用してよい。具体的には、上記「アルペーストWXM0650」、「アルペーストWXM0620」(いずれも東洋アルミニウム(株)製)等が、耐水性処理が施されたアルミニウム粉顔料として、好ましく使用できる。
金属粉顔料は、水性インキ組成物に、好ましくは2質量%〜15質量%含まれ、より好ましくは1質量%〜10質量%含まれる。金属粉顔料の含有量が少なすぎると、筆記具にしたときに、筆跡の光輝感が不足し、また、隠蔽性が不足して、メタリック調の筆跡が得られないことがある。金属粉顔料の含有量が多すぎると、固形分が多くなり、筆記具にしたときに、ペン先からの流出性が低下することがあり、さらには、ペン先が詰まることがある。
(水)
本発明の水性インキ組成物は、金属粉顔料および他の成分を分散および/または溶解させるための分散媒および/または溶剤として機能する、水を含む。水として、通常用いられる水、例えば、イオン交換水および蒸留水等を使用することができる。水の含有量は特に限定されず、金属粉顔料および他の成分の含有量、および得ようとする粘度に応じて、適宜選択される。例えば、水の含有量は、1質量%〜80質量%の範囲内であってよく、好ましくは20質量%〜70質量%程度である。
本発明の水性インキ組成物は、金属粉顔料および水の他に、通常用いられる成分を含んでよい。以下、通常、用いられる成分について説明する。
(増粘剤)
本発明の水性インキ組成物は、インキに所望の粘度を付与して、金属粉顔料の分散を確保するための増粘剤を含んでよい。増粘剤として、例えば、
・微生物産系多糖類またはその誘導体である、プルラン、ウェランガム、キサンタンガム(またはザンサンガム)、レオザンおよびラムザンガム等;
・水溶性植物系多糖類またはその誘導体である、グァーガム、ローカストビーンガム、およびペクチン等;
・水溶性動物系多糖類またはその誘導体である、ゼラチン、およびカゼイン等;
・セルロース系誘導体である、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)ならびにヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類のナトリウム塩およびアンモニウム塩等;
・デンプン質誘導体である、デンプン、カチオンデンプン、デキストリン、変性デキストリン、およびデンプングリコール酸ナトリウム等;
・ビニル系合成高分子である、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、およびポリビニルエーテル等;
・アクリル系合成高分子である、ポリアクリル酸ナトリウム、およびカルボキシビニルポリマー等;
・その他の合成高分子である、ポリエチレンオキシド、およびメトキシエチレンマレイン酸共重合体等
を例示できる。水性インキ組成物には、これらから選択される1種または2種以上の増粘剤が含まれてよい。
本発明の水性インキ組成物は、増粘剤を、好ましくは0.15質量%〜0.50質量%含み、より好ましくは0.20質量%〜0.40質量%含む。増粘剤の含有量が少なすぎると、金属粉顔料の分散性が低下し、金属粉顔料が沈降することがある。増粘剤の含有量が多すぎると、インキ組成物の粘度が高くなり、筆記具にしたときにペン先からの流出性が低下することがある。
(着色剤)
本発明の水性インキ組成物は、着色剤を含んでよい。着色剤は、水性インキ組成物中にて、良好に溶解または分散する限りにおいて、特に限定されず、染料および顔料のいずれであってよい。水性インキ組成物を、二重発色インキ組成物とする場合も同様である。着色剤としての染料は、例えば、水溶性の染料であってよい。着色剤としての顔料は、無機顔料または有機顔料であってよい。具体的には、着色剤として、例えば、顔料(例えば、酸化チタン、ジンクホワイト、カーボンブラック、銅フタロシアニン系、スレン系、アゾ系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、イソインドレノン系、アゾメチン系の顔料や、蛍光顔料、エチレンビスメラミン、およびエチレンビスメラミン誘導体等)、染料(アントラキノン系染料、メチン系染料、カルボニウム系染料、および金属錯塩系染料等)、プラスチックピグメントを顔料又は染料により着色した着色剤等を用いてよい。着色剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用してよい。さらに、着色剤とともに又はこれに加えて、ガラスフレークおよびパール顔料のような、光輝剤を使用してよい。
本発明の水性インキ組成物は、着色剤を含む場合、着色剤を、好ましくは0.05質量%〜15質量%含み、より好ましくは1〜10質量%含む。着色剤の含有量が少なすぎると、例えば、二重発色インキ組成物の場合に、十分な二重発色効果が得られないことがあり、二重発色インキ組成物でない場合でも、着色剤の発色が十分でないことがある。着色剤の含有量が多すぎると、流動性および粘度に悪影響が生じることがある。もっとも、着色剤の含有量は、これらの範囲に限定されず、使用する着色剤の種類に応じて、適宜選択してよい。本発明の水性インキ組成物は、光輝剤を含む場合には、光輝剤の量は特に限定されないが、例えば、0.5質量%〜20質量%であってよい。
(水溶性有機溶剤)
本発明の水性インキ組成物は、水溶性有機溶剤を含んでよい。水溶性有機溶剤は、ペン先での乾燥防止とインキの凍結防止のために添加され、また、特に、二重発色インキ組成物とする場合には、染料の浸透効果を高くするために用いられる。水溶性有機溶剤は、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン等の多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル類である。これらの有機溶剤は1種または2種以上を混合して使用してよい。
水溶性有機溶剤の含有量は特に限定されず、水溶性有機溶剤の種類等に応じて、適宜選択される。例えば、水溶性有機溶剤の含有量は、1質量%〜50質量%の範囲内であってよく、好ましくは5質量%〜30質量%程度である。水溶性有機溶剤の含有量が少なすぎると、インキ組成物が乾燥しやすく、筆記具とする場合に、目詰まりが起こり、筆記性が低下することがあり、また、良好な二重発色効果が得られないことがある。水溶性有機溶剤の含有量が多すぎると、筆跡ないし塗膜が乾燥しにくくなる。
(その他の成分)
本発明の水性インキ組成物は、必要に応じて、上記以外の成分を含んでよい。具体的には、潤滑剤として、ポリオキシエチレンアルカリ金属塩、ジカルボン酸アミド、またはN−オレイルサルコシン塩等を添加してよく、湿潤剤として、多価アルコールまたはその誘導体(グリセリン等)を添加してよく、防錆剤として、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、またはジシクロヘキシルアンモニウムナイトレート等を添加してよく、防腐・防錆剤として、ベンゾイソチアゾリン系化合物、ペンタクロロフェノール系化合物、またはクレゾール等を添加してよく、防カビ剤として、パラオキシ安息香酸メチル、アモルデンHS(商品名、大和化学工業(株)製)を添加してよい。その他、各種の分散剤(例えば、水溶性アクリル樹脂、水溶性マレイン酸樹脂、水溶性スチレン−アクリル共重合体、水溶性スチレン−マレイン酸共重合体)、消泡剤、レベリング剤、凝集防止剤、pH調整剤、および界面活性剤を添加してよい。
本発明の水性インキ組成物の粘度は、特に限定されず、例えば、1000mPa・s〜10000mPa・sの粘度を有してよい。ここで、水性インキ組成物の粘度は、ELD型粘度計を用い、3°(R14)コーン 回転数0.5rpm(20℃)の条件下で測定した値として示す。粘度をこの範囲内にすることにより、優れた筆記性と経時安定性を有する筆記具を、例えばボールペンの形態で提供することができる。粘度は、増粘剤および水により調整することができる。
本発明の水性インキ組成物は、好ましくは、各種筆記具のインキとして用いられる。筆記具は、例えば、インキをペン先から滲出させる、マーカー及びサインペンのような中芯式筆記具、またはボールペンの形態であることが好ましく、ボールペンであることがより好ましい。ボールペンは、インキを装填したインキ収容管が軸内に設けられ、小さい球を装着したペン先から、インキを滲出させて筆記を行う筆記具である。中芯式筆記具は、インキ収容部として繊維束が収束された中芯、および中芯に貯蔵されたインキを流出するペン先(チップ)を有し、ペン先として、例えば、ボール、繊維、プラスチック芯、ブラシ状物、または筆状物を備える筆記具である。
筆記具は、公知の部材を使用して、組み立てることができる。例えば、ボールペンは、公知の材料で公知の寸法に形成されたインキ収容管に、インキを装填して、公知の材料から成る公知の構造のボールペンチップとともに、公知の組立方法で組み立てて作製できる。インキ収容管は、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン等の合成樹脂製パイプ、または金属製パイプである。ボールペンチップは、通常のものであってよく、ボール直径とボールハウス内径との差が、例えば、0.01mm以上のものを使用できる。インキとして、二重発色インキ組成物を使用する場合には、その差が、0.03mm以上、特に0.03mm〜0.04mmであるボールペンチップを使用することが好ましい。ボール直径とボールハウス内径との差を0.03mm以上と大きくすることによって、良好な二重発色効果が得られる。
中芯式筆記具は、繊維束が収束された中芯(インキ収容部)を用意し、これにインキを充填して、ペン先とともに、公知の組立方法で組み立てて作製できる。
次に、本発明の水性インキ組成物の製造方法を説明する。本発明の製造方法は、
水に上記化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物およびその塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル系化合物を分散させること、
リン酸エステル系化合物を分散させた水に、金属粉顔料を分散させること、および
他の成分を、リン酸エステル系化合物と金属粉顔料とが分散した水に分散させること
を含む。本発明の製造方法においては、上記順序に従って、リン酸エステル系化合物、金属粉顔料、および他の成分を、水に分散させることが重要である。この順序に従う限りにおいて、分散、脱法、および濾過は、常套的な方法を用いて実施できる。例えば、金属粉顔料以外の成分は、1度に投入してよく、又は順次投入してよい。
リン酸エステル系化合物の分散は、リン酸エステル系化合物を溶解した水溶液を水に分散させることにより実施してよい。その場合、最終的に得られる水性インキ組成物において、リン酸エステル系化合物の含有量および水の含有量が所望のものとなるように、水溶液の濃度および水溶液の添加量を調節する必要がある。
本発明の製造方法においては、リン酸エステル系化合物を分散させた水に金属粉顔料を投入した後、撹拌を、30分〜2時間程度実施することが好ましい。この程度の時間の間、撹拌することにより、分散される金属粉顔料の表面に十分にリン酸エステル系化合物を付着させて、耐水性を付与することができる。
上記本発明の製造方法は、水性インキ組成物に含まれる金属粉顔料の耐水性処理方法として実施してよい。即ち、金属粉顔料が水性インキ組成物に含まれると、十分な耐水性を示さないときに、その耐水性を向上させるために、実施してよい。
水性インキ組成物を構成する成分として、以下のものを用意した。
(金属粉顔料)
金属粉顔料1:
「アルペーストWXM0650」(東洋アルミニウム(株)製)
リーフィングタイプ、平均粒径7μm、
アルミニウム粉約60〜80質量%
金属粉顔料2:
「アルペーストWXM0620」(東洋アルミニウム(株)製)
リーフィングタイプ、平均粒径15μm、
アルミニウム粉約60〜80質量%
(リン酸エステル化合物)
・リン酸エステル化合物1:
フォスファノールML−220」(東邦化学工業(株)製)
=R=C1225、n=2、モノ:ジ=7:3、HLB=12.5
・リン酸エステル化合物2:
「フォスファノールSM−172」(東邦化学工業(株)製)
=R=C17、n=0、モノ:ジ=1:1、HLB=10.5
・リン酸エステル化合物3:
「フォスファノールGF−199」(東邦化学工業(株)製)
=R=C1225、n=0、モノ:ジ=1:1、HLB=5.5
・リン酸エステル化合物4:
「フォスファノールED−200」(東邦化学工業(株)製)
=R=C17、n=1、モノ:ジ=1:1、HLB=11.4
・リン酸エステル化合物5:
「フォスファノールRS−410」(東邦化学工業(株)製)
=R=C1327、n=3、モノ:ジ=1:1、HLB=9.0
・リン酸エステル化合物6:
「ニッコールDLP−10」(日光ケミカルズ(株)製)
=R=C1225のジエステル化合物、n=10、HLB=17.0
・リン酸エステル化合物7:
「ニッコールDDP−6」(日光ケミカルズ(株)製)
=R=C1225〜C1531、n=6、HLB=9.0
※R=Rが、C1225、C1327、1429、C1531のものの混合
・リン酸エステル化合物8:
「ニッコールTDP−10」(日光ケミカルズ(株)製)
1225O(CHCHO)10〜C1531O(CHCHO)10のトリエステル化合物の混合物、HLB=14.0
・リン酸エステル化合物9:
「フォスファノールPE−510」(東邦化学工業(株)製)
=R=フェノール、n=0、モノ:ジ=1:1
・リン酸エステル化合物10:
「フォスファノールRD−720」(東邦化学工業(株)製)
=R=C1837、n=7、モノ:ジ=1:1、HLB=14.4
・リン酸エステル化合物11:
「フォスファノールGB−520」(東邦化学工業(株)製)
=R=C1837、n=7、モノ:ジ=1:1、HLB=6.9
(着色剤)
・着色剤1:ACID YELLOW 73(保土谷化学工業(株)製、商品名「ウラニンコンク」)
・着色剤2:ACID RED 289(ダイワ化成(株)製)
・着色剤3:ACID BLUE 104(ダイワ化成(株)製、商品名「ACID BLUE PI CONC」)
・着色剤4:ACID GREEN 16(ダイワ化成(株)製)
・着色剤5:Pigment Red(大日本インキ化学工業(株)製、「シムラファーストレッド 4127」)
(顔料分散剤)
・商品名「ジョンクリル」(ジョンソンポリマー(株)製、アクリル酢酸ビニルエマルジョン)
(増粘剤)
・商品名「K7C233」(三晶(株)製、ラムザンガム)
(防カビ剤)
・商品名「コートサイドH」、日本エンバイロケミカルズ(株)製)
(防腐剤)
・ベンゾイソチアゾリン−3−オン(商品名「プロクセルXL−2」、アーチケミカルズ社製)
(有機溶剤)
・有機溶剤1:「ダウアノールDPNP」(ダウケミカル日本(株)製、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル)
・有機溶剤2:「ダウアノールDPM」(ダウケミカル日本(株)製、ジプロピレングリコールメチルエーテル)
・有機溶剤3:グリセリン
・有機溶剤4:エチレングリコール
(防錆剤)
ベンゾトリアゾール(BTA)
(pH調整剤)
トリエタノールアミン
上記成分を用いて、表1および2に示す組成の二重発色用の水性インキ組成物を製造した。まず、所定量の水に、リン酸エステル化合物の水溶液(10%水溶液)を、イオン交換水に分散させた。次いで、金属粉顔料を、投入して、室温(約20℃)で1時間撹拌した。それから、残りの成分を投入して、室温(約20℃)で、さらに1時間撹拌した。
実施例1〜3は、着色剤の種類を変えた例である。実施例4は、二重発色のために、着色剤を浸透させる溶剤の種類を変えた例である。実施例6〜9は、リン酸エステル化合物の種類を変更した例である。実施例10は、pH調整剤を添加しない例である。実施例11は、着色剤として顔料を使用した例である。比較例1〜6は、リン酸エステル化合物の種類を変更した例である。
得られた水性インキ組成物を、ポリプロピレン製の瓶に入れて、栓をし、70℃にて保存した。保存後、瓶の外観を観察し、さらに、インキ組成物を濾紙に滴下して、色相の変化等を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:70℃で1週間保存しても、染料の脱色、アルミニウム粉顔料の変色、およびインキの噴出しのいずれも観察されない。
△:70℃で保存を開始してから、2日後〜1週間後に、染料の脱色、アルミニウム粉顔料の変色、およびインキの噴出しのいずれかが僅かに観察された。
×:70℃で1日間保存した後、染料の脱色、アルミニウム粉顔料の変色、およびインキの噴出しのいずれかが観察された。
Figure 2008201991
Figure 2008201991
実施例1〜11はいずれも、高温に曝しても、アルミニウム粉顔料と水とが反応せず、あるいは反応したとしても僅かであり、良好な保存安定性を示した。一方、nの数が3を越えるリン酸エステル化合物またはトリエステルを使用した比較例1〜6は、保存安定性が低かった。
本発明の水性インキ組成物は、保存安定性に優れており、メタリック調の筆跡または塗膜を与える、各種筆記具または印刷用のインキとして有用である。

Claims (9)

  1. 金属粉顔料および水を少なくとも含むインキ組成物であって、下記化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物およびその塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル系化合物を含む、水性インキ組成物。
    Figure 2008201991
    (式中、Rは、炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基であり、Rは、水素またはR(OCHCH(Rは、炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基である)であり、nは0〜3である)
  2. 金属粉顔料が予め耐水性処理されているものである、請求項1に記載の水性インキ組成物。
  3. リン酸エステル系化合物を、0.01質量%〜2.0質量%含む、請求項1に記載の水性インキ組成物。
  4. 着色剤をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性メタリックインキ組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインキ組成物をインキとして用いる筆記具。
  6. 水に、化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物およびその塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル系化合物を分散させること、
    前記リン酸エステル系化合物を分散させた水に、金属粉顔料を分散させること、および
    他の成分を、前記リン酸エステル系化合物と金属粉顔料とが分散した水に分散させること
    を含む、水性インキ組成物の製造方法。
    Figure 2008201991
    (式中、Rは、炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基であり、Rは、水素またはR(OCHCH(Rは、炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基である)であり、nは0〜3である)
  7. 金属粉顔料が予め耐水性処理されているものである、請求項6に記載の製造方法。
  8. 水に、化学式(1)で示されるリン酸エステル化合物およびその塩から選択される少なくとも1種のリン酸エステル系化合物を分散させること、
    前記リン酸エステル系化合物を分散させた水に、金属粉顔料を分散させること、および
    水性インキ組成物に含まれる他の成分を、前記リン酸エステル系化合物と金属粉顔料とを分散させた水に分散させること
    を含む、水性インキ組成物に含まれる金属粉顔料の耐水性処理方法。
    Figure 2008201991
    (式中、Rは、炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基であり、Rは、水素またはR(OCHCH(Rは、炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基である)であり、nは0〜3である)
  9. 金属粉顔料が予め耐水性処理されているものである、請求項8に記載の耐水性処理方法。
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