JP2016011426A - 表面処理金属粒子の製造方法 - Google Patents

表面処理金属粒子の製造方法 Download PDF

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英和 森山
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敏之 小林
Toshiyuki Kobayashi
敏之 小林
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季 山田
武俊 籠瀬
Taketoshi Kagose
武俊 籠瀬
博紀 中根
Hironori Nakane
博紀 中根
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Abstract

【課題】保存安定性に優れ、インクジェット方式の液滴吐出において安定的に吐出可能な光硬化型インクを提供すること。【解決手段】本発明の光硬化型インクは、インクジェット方式の液滴吐出に供される光硬化型インクであって、金属粒子の表面をリン酸エステル系化合物の被膜により被覆してなる表面処理金属粒子と、重合性化合物と、を含み、遊離したリン酸エステル系化合物の含有率が0.01質量%未満であるものである。また、金属粒子は、鱗片状をなしているのが好ましく、その構成材料は、アルミニウムであるのが好ましい。また、リン酸エステル系化合物は、脂肪酸トリグリセリドリン酸エステルであるのが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、光硬化型インクに関するものである。
金属光沢を有する印刷物には、金属特有の優れた美感、質感を背景にした高い需要がある。
従来、金属光沢を有する印刷物を作製する際には、アルミニウム粒子等の金属粒子を含むインキによるグラビア印刷やスクリーン印刷等の他、金属箔を用いた箔押し印刷や熱転写印刷等が知られている。
しかしながら、これらの印刷法は、大規模または高価な装置が必要な上、印刷後に廃棄されるインキや金属箔も少なくないため、ランニングコストが高い。さらに印刷時の騒音が大きい等の課題も抱えている。
近年、これらの課題を解消する印刷法としてインクジェット印刷の利用が拡大している。インクジェット印刷は、紙等の印刷面にインクを吐出し、定着させる方式であるため、インクの使用量が少ない。一方、インクを吐出するという原理上、インクの粘性を抑える必要がある。しかしながら、インクの粘性が低下することにより、吐出したインクが滲み易くなり、高精細な印字結果を得ることが難しくなる。特に、インクの吸収性が低い印刷面(例えば紙以外の媒体)に印刷するときには、その傾向が強くなるので、インクジェット印刷用のインクには十分な速乾性が求められる。
そこで、上記の課題を解決すべく、光の照射により硬化する光硬化型インクが提案されている。例えば、特許文献1には、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類からなる重合性化合物と、光重合開始剤とを含む紫外線硬化型インクジェットインク組成物が開示されている。光硬化型インクを吐出するとともに光を照射すれば、吐出された光硬化型インクが滲み始める前に硬化させることができるため、高精細な印字結果が得られる。
このような背景から、インクジェット印刷により光硬化型インクを吐出することで金属光沢を有する印刷物を作製する技術の実用化が期待されており、金属成分を含む光硬化型インクの開発が進められている。この光硬化型インクには、金属粒子、重合性反応物、光重合開始剤等が含まれ、このインクから得られる印刷物は金属粒子に起因する光沢を有するものとなる。
ところが、金属粒子を含む光硬化型インクは、その安定性において問題を抱えている。具体的には、光硬化型インクがゲル化する問題が挙げられる。これらの問題があると、インクジェット方式の液滴吐出により光硬化型インクを安定的に吐出することができない。
特開2008−280383号公報
本発明の目的は、保存安定性に優れ、インクジェット方式の液滴吐出において安定的に吐出可能な光硬化型インクを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の光硬化型インクは、インクジェット方式の液滴吐出に供される光硬化型インクであって、
金属粒子の表面をリン酸エステル系化合物の被膜により被覆してなる表面処理金属粒子と、
重合性化合物と、を含み、
遊離した前記リン酸エステル系化合物の含有率が0.01質量%未満であることを特徴とする。
これにより、保存安定性に優れ、インクジェット方式の液滴吐出において安定的に吐出可能な光硬化型インクが得られる。
本発明の光硬化型インクでは、前記リン酸エステル系化合物は、脂肪酸トリグリセリドリン酸エステルであることが好ましい。
脂肪酸のトリグリセリドは、分子構造が嵩高く細長いため、分子間相互作用が強く働く。このため、脂肪酸トリグリセリドリン酸エステルが金属粒子の表面に結合されることにより、均一かつ緻密な被膜が形成される。その結果、金属粒子の表面と重合性化合物との接触頻度が抑えられることとなり、金属粒子の触媒としての機能が抑制される。
本発明の光硬化型インクでは、前記脂肪酸は、リシノール酸であることが好ましい。
リシノール酸は、分子鎖が長いため、分子間相互作用がより顕著に働く。
本発明の光硬化型インクでは、前記金属粒子は、鱗片状をなしていることが好ましい。
これにより、当該光硬化型インクを用いて製造された記録物は、一定の向きに配置された金属粒子に基づいて、優れた光反射特性を有するものとなり、金属材料が本来有している金属光沢感を十分に発現したものとなる。よって、得られた記録物は、美感、質感において特に優れたものとなる。
本発明の光硬化型インクでは、前記金属粒子の構成材料は、アルミニウムであることが好ましい。
これにより、金属光沢性の特に高い記録物を製造可能であり、かつ、保存安定性の高い光硬化型インクが得られる。
本発明の光硬化型インクでは、前記金属粒子の平均粒径は、500nm以上2μm以下であることが好ましい。
これにより、光硬化型インクを用いて製造される記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものにしつつ、金属粒子の表面積が最適化され、光硬化型インクの保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
本発明の光硬化型インクでは、前記重合性化合物として、フェノキシエチル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
これにより、光硬化型インクの保存安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の光硬化型インクの反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
本発明の光硬化型インクでは、前記重合性化合物として、前記フェノキシエチルアクリレートに加え、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、および、4−ヒドロキシブチルアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
これにより、光硬化型インクの保存安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の光硬化型インクの反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
本発明の光硬化型インクでは、前記重合性化合物として、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートおよびアミノアクリレートのいずれか一方を含むことが好ましい。
これにより、光硬化型インクの保存安定性をより優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
≪光硬化型インク≫
まず、本発明の光硬化型インクについて説明する。
本発明の光硬化型インクは、例えば液滴吐出装置により吐出され、これに光を照射して硬化させることで被膜(印刷物)を形成し得るインクである。
本発明の光硬化型インクは、金属粒子と重合性化合物とを含むものである。
このような光硬化型インクを保存するとき、従来は、十分に脱気処理を施した上で、遮光された気密容器内に封入した状態(例えばインクパックの状態)で保存していた。しかしながら、金属粒子は、重合性化合物の重合反応を促進する触媒として機能するため、これにより保存中のインクがゲル化(硬化)することがあった。また、この重合反応においては、酸素が重合禁止効果を有しているため、脱気処理を施したことによって、かえって重合反応が促進されるという問題があった。すなわち、従来の光硬化型インクは、保存安定性が低いという問題を抱えており、そのため保存後にインクジェット方式の液滴吐出に供したとしても、安定した吐出を行うことができなかった。
そこで、本発明者は、上記のような問題を解決する目的で鋭意研究を行った結果、金属粒子としてその表面をリン酸エステル系化合物の被膜により被覆してなる表面処理金属粒子を用い、かつ、光硬化型インク中において遊離したリン酸エステル系化合物の含有率が0.01質量%未満となるよう設定することにより、上記問題を確実に解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
このように、金属粒子を含む光硬化型インクであっても上記のような条件を満たすことで、光硬化型インクの重合反応を長期にわたって抑制することができ、良好な状態で長期間保存することができる。その結果、光硬化型インクの吐出安定性が低下するのを防止することができる。
特に、リン酸エステル系化合物は、金属粒子の表面に対して共有結合性の結合を生じるため、強固な被膜を形成することができる。このため、この被膜によって金属粒子の表面と重合性化合物との接触頻度が抑えられることとなり、上述した触媒としての機能が抑制される。その結果、光硬化型インクのゲル化を確実に抑制することができる。
なお、光硬化型インク中において遊離したリン酸エステル系化合物の含有率が前記範囲から外れると、遊離したリン酸エステル系化合物が多くなり過ぎ、その余剰分が金属粒子同士を結合させるよう振る舞う。このため、光硬化型インク中に金属粒子同士が凝集した凝集体が生じることとなる。凝集体が生じると、光硬化型インクの流動性が低下し、インクジェット方式の液滴吐出において吐出安定性が低下する。
一方、遊離したリン酸エステル系化合物の含有率を前記範囲内に設定することにより、表面処理金属粒子同士が結合するのを抑制し、凝集体が生じるのを防止することができる。これにより、光硬化型インクは、インクジェット方式の液滴吐出において安定的に吐出し得るものとなる。
また、遊離したリン酸エステル系化合物の含有率が高すぎると、吐出された光硬化型インクを透過する光の透過率が低下するため、光硬化型インクの内部に到達する光量が減少する。しかしながら、前記含有率が前記範囲内に設定されていると、この光量の減少が抑制されるため、光硬化型インクの内部においても十分な光量が得られる。その結果、光硬化型インクは、硬化性の高いものとなり、少ない積算光量であっても十分に硬化し得るものとなる。
なお、遊離したリン酸エステル系化合物の含有率は、好ましくは0.0001質量%以上0.008質量%以下とされ、より好ましくは0.0003質量%以上0.005質量%以下とされる。遊離したリン酸エステル系化合物の含有率が前記下限値を上回ることにより、金属粒子の表面がより露出し難くなり、上述した触媒としての機能がより抑制される。これは、遊離したリン酸エステル系化合物が一定量存在していることにより、金属粒子の表面を被覆しているリン酸エステル系化合物が脱離したとしても、その脱離部分に対して、遊離したリン酸エステル系化合物が再結合し、金属粒子表面の露出を防止するためであると推察される。すなわち、遊離したリン酸エステル系化合物の含有率が前記範囲内であれば、光硬化型インクの保存安定性と吐出後の硬化性とを高度に両立することができる。
また、遊離したリン酸エステル系化合物の含有率は、例えば、各種クロマトグラフィー等により測定することができる。
以下、光硬化型インクの各構成成分について説明する。
(表面処理金属粒子)
上述したように、本発明の光硬化型インクは、金属粒子の表面をリン酸エステル系化合物の被膜により被覆してなる表面処理金属粒子を含んでいる。
表面処理金属粒子中の金属粒子は、金属を含む粒子であればいかなるものでもよく、その構成材料としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、銀、金、白金、スズ、亜鉛、インジウム、チタン、銅のような金属の単体あるいはこれらの合金、混合物が挙げられる。また、光硬化型インク中に含まれる金属粒子は、2種以上の粒子を混合したものであってもよい。
これらのうち、金属粒子の構成材料は、アルミニウムであるのが好ましい。アルミニウムは光輝性に優れていることから、光硬化型インクは、金属光沢性の特に高い記録物を製造し得るものとなる。さらに、アルミニウムは、リン酸エステル系化合物との結合性が特に高い金属である。アルミニウム粒子の表面とリン酸エステル系化合物との間は、強固な共有結合で結ばれるため、リン酸エステル系化合物が脱離し難くなる。その結果、金属粒子の表面を覆う被膜が強化され、光硬化型インクの保存安定性をより高めることができる。
金属粒子の形状としては、特に限定されず、略球状、鱗片状、針状等の形状が挙げられる。このうち、光硬化型インク中に含まれる金属粒子は、鱗片状をなしているのが好ましい。このような形状の金属粒子は、インクジェット法により記録媒体上に液滴として吐出されたとき、自ずと、その主面が記録媒体の表面形状に沿うように配置されることとなる。その結果、得られた記録物は、一定の向きに配置された金属粒子に基づいて、優れた光反射特性を有するものとなり、金属材料が本来有している金属光沢感を十分に発現したものとなる。よって、得られた記録物は、美感、質感において特に優れたものとなる。
本発明において鱗片状とは、平板状、湾曲板状等のように、所定の角度から観察した際(平面視した際)の面積が、当該観察方向と直交する角度から観察した際の面積よりも大きい形状のことをいい、特に、投影面積が最大となる方向から観察した際(平面視した際)の面積S1[μm2]と、当該観察方向と直交する方向のうち観察した際の面積が最大となる方向から観察した際の面積S0[μm2]に対する比率(S1/S0)が、好ましくは2以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは8以上である形状のことをいう。なお、この値には、例えば、任意の10個の金属粒子について評価し、それらの平均値が採用される。
金属粒子の平均粒径は、500nm以上2μm以下であるのが好ましく、800nm以上1.8μm以下であるのがより好ましい。これにより、光硬化型インクを用いて製造される記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものにしつつ、金属粒子の表面積が最適化され、光硬化型インクの保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。なお、本発明において、平均粒径とは、個数基準の平均粒径のことをいい、投影面積が最大となる方向から観察した際の面積S1と同一の面積を有する真円の直径の平均値のことをいう。
光硬化型インク中の金属粒子の含有量は、0.1質量%以上5質量%以下であるのが好ましく、0.5質量%以上3質量%以下であるのがより好ましい。これにより、光硬化型インクを用いて製造される記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものにしつつ、金属粒子による触媒作用が著しく増大するのを抑制されることとなる。その結果、前述の光沢感や高級感と保存安定性とを高度に両立し得る光硬化型インクが得られる。
このような金属粒子は、いかなる方法で製造されたものであってもよく、例えば、インゴット等を粉砕することにより得られた粗大粉末を所望の粒径まで粉砕する粉砕法、蒸着等の気相成膜法等によりフィルム上に形成した金属膜を前記フィルムから剥離・粉砕させる方法(特に、液体中において剥離・粉砕を行い、前記液体中に分散させる方法)、化学的な造粒法等の方法により製造することができる。また、各種アトマイズ法により製造された金属粉末を用いるようにしてもよい。
アトマイズ法は、溶融金属(溶湯)を水やガス等の冷却剤に衝突させ、微粉化して製造する方法である。このため、粒径の揃った金属粒子が得られる。したがって、アトマイズ法で製造された金属粒子を用いることにより、均一性の高い記録物を製造可能な光硬化型インクが得られる。また、アトマイズ法では、粗大粒子が発生し難いので、光硬化型インクの吐出安定性をより高めることができる。
なお、アトマイズ法の中でも冷却剤として水を用いる水アトマイズ法で製造された金属粒子が特に好ましく用いられる。水アトマイズ法では、溶融金属と水とが衝突した際に、微粉化された溶融金属の表面が急速かつ均一に酸化することとなる。その結果、得られた金属粒子の表面には、均一な酸化被膜が形成されることとなり、前述した金属粒子による触媒作用が抑制されることとなる。なお、水との接触時間は一瞬であり、形成される酸化被膜は極薄いものなので、酸化被膜が金属粒子の光沢感に影響を及ぼすことはほとんどない。このため、水アトマイズ法を用いることにより、光硬化型インクの保存安定性に寄与するとともに、光沢感に優れた記録物を製造可能な金属粒子を得ることができる。
また、均一な酸化被膜が形成されることにより、金属粒子とリン酸エステル系化合物との密着性が向上する。このため、リン酸エステル系化合物が脱離し難くなり、遊離したリン酸エステル系化合物の発生が抑制される。
また、金属粒子を鱗片状にするためには、アトマイズ法で金属粒子を製造した後、圧延処理を施すようにすればよい。圧延処理としては、例えば、ロール圧延、ボールミル、スタンプミル等を用いた処理が用いられる。
一方、本発明の光硬化型インクに含まれる表面処理金属粒子は、上記金属粒子の表面をリン酸エステル系化合物の被膜で被覆してなるものである。
被膜の厚さは、特に限定されないが、例えば1nm以上10nm以下程度とされる。
上記リン酸エステル系化合物としては、リン酸とアルコールとが脱水縮合してなるエステルであればいかなる構造を有するものも用いることができる。具体的には、O=P(OH)3で表わされるリン酸中の水素原子のうち、全部または一部が有機基で置換された構造である。金属粒子の表面とリン酸エステル系化合物とが反応すると、この構造において二重結合が開裂し、酸素原子を介して金属粒子の表面とリン原子とが共有結合で結ばれる。その結果、リン酸エステル系化合物は、金属粒子の表面に形成された強固な被膜を形成することができる。
また、本発明においてリン酸エステル系化合物とは、上記構造を有する化合物のみを含むものの他、その塩のみを含むもの、これらの双方を含むものを指す。
このようなリン酸エステル系化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルまたはその塩、脂肪酸グリセリドリン酸エステルまたはその塩等が挙げられる。
このうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルのモノエステル体は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2016011426
[式中、R1はアルキル基、アルキレン基またはフェニル基であり、nは2〜10の整数である。]
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルのジエステル体は、下記一般式(2)で表される。
Figure 2016011426
[式中、R1はアルキル基、アルキレン基またはフェニル基であり、nは2〜10の整数である。]
ここで、上記一般式(1)および一般式(2)において、R1のアルキル基の炭素原子数は、8〜18であるのが好ましく、12であるのがより好ましい。
このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルとしては、例えば、NIKKOL DDP−2、DDP−4、DDP−6、DDP−10、TLP−4、TCP−5、TDP−2、TDP−6、TDP−8、TDP−10(以上、日光ケミカルズ(株)製)、プライサーフ AL、A210D、A−208B、A219B(以上、第一工業製薬(株)製)、アデカコールCS−1361E(ADEKA社製)、フォスファノール RD−720(東邦化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルの塩としては、上記一般式(1)および一般式(2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルのナトリウム塩、カリウム塩、モノエタノールアミン塩等が挙げられる。
このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルの塩としては、例えば、NIKKOL DLP−10、DOP−8NV(以上、日光ケミカルズ(株)製)、プライサーフM−208F、M−208B(以上、第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
一方、脂肪酸グリセリドリン酸エステルにおける脂肪酸グリセリドは、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ジヒドロキシ酸等の各種脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドである。このうち、脂肪酸のトリグリセリドのリン酸エステルが好ましく用いられ、リシノール酸のトリグリセリドのリン酸エステルがより好ましく用いられる。脂肪酸のトリグリセリドは、分子構造が嵩高く細長いため、分子間相互作用が強く働く。このため、脂肪酸トリグリセリドリン酸エステルが金属粒子の表面に結合されることにより、均一かつ緻密な被膜が形成される。その結果、金属粒子の表面と重合性化合物との接触頻度が抑えられることとなり、金属粒子の触媒としての機能が抑制される。その結果、光硬化型インクのゲル化を抑制することができる。また、リシノール酸は、分子鎖が長いため、前記分子間相互作用がより顕著に働く。
脂肪酸グリセリドリン酸エステルのモノエステル体は、下記一般式(3)で表される。
Figure 2016011426
[式中、R2はリン酸とエステルを形成している脂肪酸グリセリドの残基である。]
また、脂肪酸グリセリドリン酸エステルのジエステル体は、下記一般式(4)で表される。
Figure 2016011426
[式中、R2はリン酸とエステルを形成している脂肪酸グリセリドの残基である。]
なお、下記化学式(5)には、脂肪酸グリセリドの一例(リシノール酸トリグリセリド)を示す。
Figure 2016011426
このような脂肪酸グリセリドリン酸エステルは、例えば、脂肪酸グリセリドとオキシハロゲン化リンとを反応させ、次いで加水分解する方法、ホスフェートとオキシハロゲン化リンを反応させてピロリン酸エステルを生成させた後、加水分解する方法、脂肪族グリセリドとリン酸化物とを反応させる方法等により製造されるが、このうち脂肪族グリセリドとリン酸化物とを反応させる方法が好ましく用いられ、リン酸化物としては五酸化二リンが好ましく用いられる。この場合、脂肪族グリセリド1molに対して、五酸化二リンを0.2mol以上1mol以下の割合で反応させるのが好ましい。また、反応させる際には、脂肪族グリセリドとリン酸化物との混合物を撹拌しつつ、40℃以上120℃以下の温度で10分以上300分以下の時間加熱するのが好ましい。
また、脂肪族グリセリドリン酸エステルの塩としては、上記一般式(3)および一般式(4)で表わされる脂肪族グリセリドリン酸エステルのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩等が挙げられる。
このような脂肪族グリセリドリン酸エステルの塩は、例えば、脂肪族グリセリドリン酸エステルと過塩基性スルホネート金属塩とを反応させる方法等により製造される。一例として、脂肪族グリセリドリン酸エステルのアルカリ金属塩を製造する場合は、過塩基性スルホネートのアルカリ金属塩が用いられる。
(重合性化合物)
上述したように、本発明の光硬化型インクは、光の照射により重合し、硬化する成分である重合性化合物を含んでいる。このような成分を含むことにより、光硬化型インクを用いて製造される記録物の耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を優れたものとすることができる。重合性化合物は、液状をなすものであり、光硬化型インクにおいて、金属粒子を分散する分散媒として機能するものであるのが好ましい。これにより、別途、記録物の製造過程において除去(蒸発)される分散媒を用いる必要がなく、記録物の製造においても、分散媒を除去する工程を設ける必要がないため、記録物の生産性を特に優れたものとすることができる。また、分散媒として一般に有機溶媒として用いられているものを使用する必要がないため、揮発性有機化合物(VOC)の発生を防止することができ、環境保全あるいは安全性の観点から有用である。また、重合性化合物を含むことにより、様々な記録媒体(基材)に対する、光硬化型インクを用いて形成される印刷部の密着性を優れたものとすることができる。すなわち、重合性化合物を含むことにより、光硬化型インクは、メディア対応性に優れたものとなる。
重合性化合物としては、光の照射により重合する成分であればよく、例えば、各種モノマー、各種オリゴマー(ダイマー、トリマー等を含む。)等を用いることができるが、光硬化型インクは、重合性化合物として、少なくともモノマー成分を含むものであるのが好ましい。モノマーは、オリゴマー成分等に比べて、一般に低粘度の成分であるため、光硬化型インクの吐出安定性を特に優れたものとする上で有利である。
具体的には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸のような不飽和カルボン酸を含むものが好ましく用いられる。より具体的には、イソボニルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、PO変性ノニルフェノールアクリレート、EO変性ノニルフェノールアクリレート、EO変性2エチルヘキシルアクリレート、EO変性ノニルフェノールアクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、EO変性フェノールアクリレート、EO変性クレゾールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、ポリエチレングリコール300ジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピパレートジアクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、ポリエチレングリコール600ジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、PO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル等が挙げられる。
中でも、4−ヒドロキシブチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルが好ましい。
特に、光硬化型インクは、重合性化合物としてフェノキシエチル(メタ)アクリレートを含むものであるのが好ましい。これにより、光硬化型インクの保存安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の光硬化型インクの反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
また、光硬化型インクは、重合性化合物として、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに加え、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、および、4−ヒドロキシブチルアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましい。これにより、光硬化型インクの保存安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の光硬化型インクの反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
また、光硬化型インクは、重合性化合物として、モノマー以外に、オリゴマーを含むものとしてもよい。特に多官能のオリゴマーを含むものであるのが好ましい。これにより、光硬化型インクの保存安定性を優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。なお、本発明では、重合性化合物の中でも、分子の骨格中に繰り返し構造を有し、分子量が600以上のものをオリゴマーと呼ぶ。オリゴマーとしては、繰り返し構造がウレタンであるウレタンオリゴマー、繰り返し構造がエポキシであるエポキシオリゴマー等が好ましく用いられる。
また、光硬化型インクは、前記重合性化合物として、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートおよびアミノアクリレートのいずれか一方を含むのが好ましい。これにより、光硬化型インクの保存安定性をより優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。
光硬化型インク中の重合性化合物の含有量は、40質量%以上80質量%以下であるのが好ましく、45質量%以上75質量%以下であるのがより好ましい。
(その他の成分)
本発明の光硬化型インクは、上述した以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、光重合開始剤、スリップ剤(レベリング剤)、分散剤、重合促進剤、重合禁止剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、着色剤、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
光重合開始剤は、紫外線等のエネルギー線が照射されることにより、活性化してラジカルやカチオン等の活性種を発生し、上記重合性化合物の重合反応を開始させ得るものであれば特に限定されない。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができるが、光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤は、紫外線領域に吸収ピークを有していることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物等が挙げられる。
これらの中でも、重合性化合物への溶解性および硬化性の観点から、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物を併用することがより好ましい。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、およびビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられ、これらのうちから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
光硬化型インク中における光重合開始剤の含有量は、0.5質量%以上10質量%以下であるのが好ましい。光重合開始剤の含有量が前記範囲であると、硬化速度が十分大きく、かつ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色がほとんどなくなる。
光硬化型インクがスリップ剤を含むものであると、レベリング作用により記録物の表面が平滑になり、耐擦性が向上する。
スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤を用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
光硬化型インクが分散剤を含むものであると、金属粒子の分散性を優れたものとすることができ、光硬化型インクの保存安定性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、エポキシ樹脂等が挙げられる。
光硬化型インクが重合禁止剤を含むものであると、保存中の光硬化型インクにおいて重合性化合物の重合反応に対する禁止効果が発現し、保存安定性を高めることができる。
重合禁止剤としては、特に限定されない該、例えば、p−ハイドロキノン、p−メトキシフェノールのようなフェノール系の重合禁止剤、p−ベンゾキノン、2,5−ジ−tert−ブチルベンゾキノンのようなキノン系の重合禁止剤等を用いることができる。
光硬化型インク中における重合禁止剤の含有量は、0.05質量%以上1質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下であるのがより好ましい。重合禁止剤の含有量が前記範囲であると、保存中の重合反応を確実に抑制する一方、印刷後に硬化させる際の硬化速度が著しく低下するのを防止することができる。
なお、重合禁止剤が重合禁止作用を発揮するためには、酸素が必要になる場合が多い。したがって、重合禁止剤を含む光硬化型インクを、空気との接触を避けた状態で保存した場合、重合禁止作用が発揮されず、保存中に光硬化型インクが硬化してしまう。これに対し、重合禁止剤を含む光硬化型インクに前述した濃度の酸素を溶存させることにより、金属粒子による触媒機能を抑え込む作用のみならず、重合禁止剤による重合禁止作用もが長期にわたって発揮され、光硬化型インクを気密容器内で特に安定して保存することができる。
また、本発明の光硬化型インクは、記録物の製造工程において除去(蒸発)される有機溶剤を含まないものであるのが好ましい。これにより、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を効果的に防止することができる。
本発明の光硬化型インクの室温(20℃)での粘度は、20mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上15mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による液滴吐出を好適に行うことができる。
≪光硬化型インクの製造方法≫
次に、本発明の光硬化型インクを製造する方法について説明する。
まず、金属粒子を分散媒に分散し、分散液を調製する。
分散媒としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンのような芳香族炭化水素、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸メトキシブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートのようなエステル類またはエーテルエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、メシチ ルオキサイド、メチルイソアミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、エチルアミルケトン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジイソブチルケトンのようなケトン類、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
このうち、分散媒としてはエステル類が好ましく用いられ、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートがより好ましく用いられる。このような分散媒を用いることにより、金属粒子とリン酸エステル系化合物とを効率よく結合させることができる。
また、分散液中の金属粒子の含有率は、特に限定されないが、1質量%以上10質量%以下程度であるのが好ましい。
次いで、分散液中にリン酸エステル系化合物を添加する。そして、分散液を撹拌した後、分離操作により金属粒子を分離、回収する。これにより、表面処理金属粒子が得られる。
分散液中のリン酸エステル系化合物の含有率は、特に限定されないが、0.1質量%以上5質量%以下程度であるのが好ましく、0.2質量%以上2質量%以下程度であるのがより好ましい。
また、撹拌時間は好ましくは0.1時間以上10時間以下とされ、撹拌時の分散液の温度は好ましくは10℃以上50℃以下とされる。
また、分離操作には、濾過、遠心分離、沈降・浮上分離等の各種固液分離操作が用いられるが、好ましくは遠心分離が用いられる。分離操作の際には、分散液中から金属粒子のほぼ全てが分離された後、できるだけすぐに分離を停止するよう操作するのが好ましい。例えば遠心分離の場合、分離操作を停止するまでの時間は、金属粒子の沈降係数、遠心分離機のローターの最大半径、最小半径、ローターの単位時間当たりの回転数、ローターの角速度等の条件に基づき、公知の遠心理論によって算出される。具体的には、遠心理論から算出された理論上の必要時間を1としたとき、遠心分離の操作時間は1.2以下にするのが好ましく、1.1以下にするのがより好ましい。遠心分離の操作時間を前記範囲内にすれば、分散液に加わる遠心力を最小限に抑えることができ、リン酸エステル系化合物の脱離を抑制することができる。その結果、光硬化型インクに混入する遊離したリン酸エステル系化合物の含有率を前記範囲内に確実に抑えることができる。また、分離効率の観点から、遠心分離の操作時間は0.8以上であるのが好ましく、0.9以上であるのがより好ましい。
また、光硬化型インク中における遊離したリン酸エステル系化合物の含有率を下げる場合には、遠心分離の操作時間を短くすればよく、反対に上げる場合には、操作時間を長くするか、あるいはリン酸エステル系化合物を添加するようにすればよい。
なお、分離操作の前には超音波処理等を施してもよく、分離操作後には減圧乾燥等の乾燥処理を施してもよい。
その後、得られた表面処理金属粒子と、重合性化合物と、その他の成分とを混合し、光硬化型インクを調製する。
≪記録物≫
次に、本発明の光硬化型インクを用いて製造される記録物について説明する。
この記録物は、上述したような光硬化型インクを記録媒体上に付与し、その後、光を照射することにより製造されたものである。このような記録物は、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)を有するものとなる。
上述したように、本発明に係る光硬化型インクは、重合性化合物を含むものであり、記録媒体に対する密着性に優れるものである。このため、光硬化型インクを付与する記録媒体は、いかなるものであってもよく、吸収性または非吸収性のいずれを用いてもよく、例えば、紙(普通紙、インクジェット用専用紙等)、プラスチック材料、金属、セラミックス、木材、貝殻等を用いることができる。
また、記録物は、いかなる用途のものであってもよく、例えば、装飾品やそれ以外に適用されるものであってもよい。記録物の具体例としては、コンソールリッド、スイッチベース、センタークラスタ、インテリアパネル、エンブレム、センターコンソール、メーター、銘板等の車両用内装品、各種電子機器の操作部(キースイッチ類)、装飾性を発揮する装飾部、指標、ロゴ等の表示物等が挙げられる。
液滴吐出方式(インクジェット法の方式)としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができるが、光硬化型インクの変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
インクジェット法による光硬化型インクの吐出は、公知の液滴吐出装置を用いて行うことができる。
インクジェット法により吐出された光硬化型インクは、光の照射により硬化する。
光源には、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、紫外線レーザーダイオード(UV−LD)等が用いられる。中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV−LED)および紫外線レーザーダイオード(UV−LD)が好ましい。
照射される光は、重合性化合物に重合反応を起こし得るエネルギーの光であれば特に限定されないが、例えば、紫外線等が好ましく用いられる。また、光の波長は、200nm以上450nm以下程度であるのが好ましく、350nm以上450nm以下程度であるのがより好ましい。光の波長が前記範囲であれば、光硬化型インクの硬化時間を十分に短くしつつ、均一に硬化させることができる。
また、被照射部における照射強度は、10mW/cm2以上2000mW/cm2以下であるのが好ましく、20mW/cm2以上1500mW/cm2以下であるのがより好ましい。照射強度が前記範囲内であれば、光硬化型インクをムラなく均一に、かつ確実に硬化させることができる。なお、光照射は通常、光硬化型インクの吐出後、すぐに開始されるが、その際、照射強度を前記範囲内で低くすることにより、その分、照射時間を長くとることができる。これにより吐出された光硬化型インク中で金属粒子が配向するのに必要な時間が確保される。その結果、例えば鱗片状をなす金属粒子の主面が記録媒体の表面に沿うように配向され、パターン(印刷部)の光反射性を高めることができる。照射時間は、照射強度によって異なるものの、0.1秒以上60秒以下程度であるのが好ましく、0.5秒以上30秒以下程度であるのがより好ましい。
また、光照射による照射エネルギー(積算光量)は、5mJ/cm2以上1000mJ/cm2以下であるのが好ましく、10mJ/cm2以上800mJ/cm2以下であるのがより好ましい。照射エネルギーが前記範囲内であれば、光硬化型インクをムラなく均一に、かつ確実に硬化させることができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.光硬化型インクを封入したインクパックの製造
(サンプルNo.1)
まず、水アトマイズ法によりアルミニウム粉末を製造した。次いで、ジルコニアビーズ(直径:5mm)を用いた遊星ボールミルに得られたアルミニウム粉末を投入し、アルミニウム粉末を鱗片状に加工した。なお、得られた平板状アルミニウム粒子は、平均粒径D50が0.8μmであった。
次いで、得られた平板状アルミニウム粒子をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートに5質量%の割合で分散させ、分散液を調製した。
次いで、得られた分散液に、リシノール酸トリグリセリドリン酸エステルを0.5質量%の割合で添加した。そして、この分散液を室温で1時間撹拌し、その後、遠心分離により表面処理を施した平板状アルミニウム粒子を回収した。
次に、下記の成分を含む光硬化型インクを用意した。
<光硬化型インクの組成>
・表面処理金属粒子
:リシノール酸トリグリセリドリン酸エステル処理を施した平板状アルミニウム粒子
・重合性化合物
:フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)
:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル((株)日本触媒製)
:トリプロピレングリコールジアクリレート
:ジプロピレングリコールジアクリレート
:4−ヒドロキシブチルアクリレート
・光重合開始剤
:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン(株)製、IRGACURE819)
:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(Lambson社製、speedcure TPO)
:2,4ジエチルチオキサントン(Lambson社製、speedcure DETX)
・重合禁止剤
:p−メトキシフェノール
・レベリング剤
:シリコーン系表面調整剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、UV−3500)
得られた光硬化型インクについて、遊離したリン酸エステル系化合物の含有率を測定すべく、まず、遠心分離により固液分離を行った。そして、得られた液体について、液体クロマトグラフィーにより、遊離したリン酸エステル系化合物の含有率を測定した。測定結果を表1に示す。
次いで、光硬化型インクに脱気処理を施し、空気を巻き込まないようにして容器内に封入した。これにより、インクパックを得た。なお、使用した容器は、以下に示す外装用フィルム2枚を重ね、その外縁部を熱溶着により封止することで製造されたものである。
<外装用フィルムの構成>
・層構成 :3層構造フィルム
第1層(最内層):ポリプロピレンフィルム(平均厚さ60μm)
第2層(中間層):アルミニウム層(平均厚さ10μm)
第3層(最外層):ナイロンフィルム(平均厚さ15μm)
・酸素透過度 :0[cc/m2・day・atm]
・水蒸気透過度:0[g/m2・day]
(サンプルNo.2〜24)
インクパック中の光硬化型インクの調製に用いる原料の種類、比率、および光硬化型インクにおける遊離したリン酸エステル系化合物の含有率を、それぞれ表1または表2に示すように変更した以外は、それぞれ、サンプルNo.1と同様にしてインクパックを得た。
なお、表1および表2においては、フェノキシエチルアクリレートを「PEA」、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルを「VEEA」、トリプロピレングリコールジアクリレートを「TPGDA」、ジプロピレングリコールジアクリレートを「DPGDA」、N−ビニルカプロラクタムを「VC」、ベンジルメタクリレートを「BM」、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートを「DMTCDDA」、アミノアクリレートを「AA」、ウレタンアクリレートを「UA」、Irgacure 819(チバ・ジャパン社製)を「ic819」、Speedcure TPO(ACETO社製)を「scTPO」、Speedcure DETX(Lambson社製)を「scDETX」、UV−3500(ビックケミー社製)を「UV3500」、p−メトキシフェノールを「pMP」、4−ヒドロキシブチルアクリレートを「HBA」で示した。また、リシノール酸トリグリセリドリン酸エステルを「E1」、リシノール酸ジグリセリドリン酸エステルを「E2」、オレイン酸トリグリセリドリン酸エステルを「E3」、リノール酸トリグリセリドリン酸エステルを「E4」、リノレン酸トリグリセリドリン酸エステルを「E5」、ジヒドロキシ酸トリグリセリドリン酸エステルを「E6」で示した。
Figure 2016011426
Figure 2016011426
2.インクパックの評価
2.1.粘度評価
各サンプルNo.で得られたインクパック中の光硬化型インクについて、加熱前後における粘度変化を以下のようにして評価した。
まず、各インクパックに封入する光硬化型インクの25℃における初期粘度をPhysica社製の粘度計MCR−300により測定した。その結果、初期粘度はいずれも3mPa・s以上15mPa・s以下の範囲内の値であった。
次いで、光硬化型インクを容器内に封入し、得られたインクパックを60℃の温度で5日間加熱した。そして、加熱後の光硬化型インクの粘度を再び測定した。その上で、加熱前の粘度(初期粘度)を1としたときの加熱後の粘度の相対値を算出し、これを以下の評価基準に基づいて評価した。
<粘度の評価基準>
◎◎:加熱後の粘度の相対値が1.05未満である
◎ :加熱後の粘度の相対値が1.05以上1.1未満である
○ :加熱後の粘度の相対値が1.1以上1.5未満である
△ :加熱後の粘度の相対値が1.5以上2未満である
× :加熱後の粘度の相対値が2以上である
××:加熱途中で完全硬化してしまう
2.2.硬化性評価
各サンプルNo.で得られたインクパック中の光硬化型インクについて、加熱前後における硬化性変化を以下のようにして評価した。
まず、加熱前の光硬化型インクをガラス基板上に滴下し、ピーク波長365nmの紫外線を照射して滴下した組成物が硬化するまでの時間を測定した。なお、照射強度は20mW/cm2とした。
次いで、各インクパックを60℃の温度で5日間加熱した。そして、加熱後の光硬化型インクについて上述したようにして硬化時間を測定した。その上で、加熱前の硬化時間を1としたときの加熱後の硬化時間の相対値を算出し、これを以下の評価基準に基づいて評価した。
<硬化時間の評価基準>
◎◎:加熱後の硬化時間の相対値が1.05未満である
◎ :加熱後の硬化時間の相対値が1.05以上1.1未満である
○ :加熱後の硬化時間の相対値が1.1以上1.5未満である
△ :加熱後の硬化時間の相対値が1.5以上2未満である
× :加熱後の硬化時間の相対値が2以上である
××:パック中でインクが硬化し、評価できない
一方、別の各インクパックを60℃の温度で10日間加熱した。そして、上記と同様にして加熱後の硬化時間を評価した。
また、さらに別の各インクパックを60℃の温度で60日間加熱した。そして、上記と同様にして加熱後の硬化時間を評価した。
2.3.液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
各サンプルNo.で得られたインクパック中の光硬化型インクについて、下記に示すような試験による評価を行った。
まず、各インクパックを60℃の温度で5日間加熱した。
次いで、チャンバー(サーマルチャンバー)内に、液滴吐出装置を設置するとともに、加熱した各サンプルNo.のインクパックを用意した。そして、液滴吐出装置のピエゾ素子の駆動波形を最適化した後、25℃、55%RHの環境下で、液滴吐出ヘッドのノズルから、2000000発(2000000滴)の光硬化型インクの液滴の連続吐出を行った。そして、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の5段階の基準に従ってそのズレ量dの平均値を評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されており、吐出安定性が高いと言える。
<吐出安定性の評価基準>
A:ズレ量dの平均値が0.09μm未満である
B:ズレ量dの平均値が0.09μm以上0.15μm未満である
C:ズレ量dの平均値が0.15μm以上0.18μm未満である
D:ズレ量dの平均値が0.18μm以上0.22μm未満である
E:ズレ量dの平均値が0.22μm以上である
以上、2.1〜2.3の評価結果を表3に示す。
Figure 2016011426
表3に示すように、実施例に相当する光硬化型インクでは、(2.1)において長期の加熱処理を施したとしても、著しい粘度上昇を伴うことがなかった。また、(2.3)において加熱後のインクパックを液滴吐出装置のインク供給系に接続し、封入していた光硬化型インクの吐出を行ったところ、実施例に相当するいずれの光硬化型インクについても安定的に吐出可能であることが認められた。特に、金属粒子を覆う脂肪酸グリセリドリン酸エステルとして、脂肪酸の中でもリシノール酸が好ましく、グリセリドの中でもトリグリセリドが好ましいことがそれぞれ認められた。
また、参考例に相当する光硬化型インクには、金属粒子が含まれていないため、保存中の粘度上昇は生じなかった。そして、各実施例に相当する光硬化型インクでは、金属粒子を含むにもかかわらず、参考例に相当する光硬化型インクと同程度の保存安定性を実現していることが認められた。
一方、比較例に相当する光硬化型インクについて、(2.3)において5日加熱後のインクパックを液滴吐出装置のインク供給系に接続し、封入していた光硬化型インクの吐出を行ったところ、いずれのインクを吐出した場合でもノズルのつまりが発生した。すなわち、比較例に相当する光硬化型インクは、いずれも吐出安定性に問題があった。
また、(2.2)の評価の結果、実施例および参考例に相当する光硬化型インクは、いずれも10日間保存した後でも、保存前とほとんど変わらない優れた硬化性を示した。
一方、比較例に相当する光硬化性インクは、いずれも硬化性が低かった。これは、光硬化性インク中において遊離したリン酸エステル系化合物が、光硬化性インクを透過する紫外線の透過率を低下させ、内部における硬化性が低下したためであると推察される。

Claims (8)

  1. インクジェット方式の液滴吐出に供される光硬化型インクであって、
    金属粒子の表面をリン酸エステル系化合物の被膜により被覆してなる表面処理金属粒子と、
    重合性化合物と、を含み、
    遊離した前記リン酸エステル系化合物の含有率が0.01質量%未満であり、
    前記リン酸エステル系化合物は、脂肪酸トリグリセリドリン酸エステルであることを特徴とする光硬化型インク。
  2. 前記脂肪酸は、リシノール酸である請求項1に記載の光硬化型インク。
  3. 前記金属粒子は、鱗片状をなしている請求項1または2に記載の光硬化型インク。
  4. 前記金属粒子の構成材料は、アルミニウムである請求項1ないし3のいずれかに記載の光硬化型インク。
  5. 前記金属粒子の平均粒径は、500nm以上2μm以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の光硬化型インク。
  6. 前記重合性化合物として、フェノキシエチル(メタ)アクリレートを含む請求項1ないし5のいずれかに記載の光硬化型インク。
  7. 前記重合性化合物として、前記フェノキシエチルアクリレートに加え、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、および、4−ヒドロキシブチルアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1ないし6のいずれかに記載の光硬化型インク。
  8. 前記重合性化合物として、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートおよびアミノアクリレートのいずれか一方を含む請求項1ないし7のいずれかに記載の光硬化型インク。
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