JP2018051526A - 金属粒子分散体及びその製造方法 - Google Patents

金属粒子分散体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018051526A
JP2018051526A JP2016193700A JP2016193700A JP2018051526A JP 2018051526 A JP2018051526 A JP 2018051526A JP 2016193700 A JP2016193700 A JP 2016193700A JP 2016193700 A JP2016193700 A JP 2016193700A JP 2018051526 A JP2018051526 A JP 2018051526A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
general formula
metal
dispersion
phosphoric acid
carbon atoms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016193700A
Other languages
English (en)
Inventor
雄介 斉藤
Yusuke Saito
雄介 斉藤
番戸 博友
Hirotomo Bando
博友 番戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nicca Chemical Co Ltd
Original Assignee
Nicca Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nicca Chemical Co Ltd filed Critical Nicca Chemical Co Ltd
Priority to JP2016193700A priority Critical patent/JP2018051526A/ja
Publication of JP2018051526A publication Critical patent/JP2018051526A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】水と水以外の液体のどちらを分散媒として用いた場合にも、単独で、金属粒子を良好に分散させることが可能な分散剤を見出し、これを用いた金属粒子分散体の提供。
【解決手段】式(1)で表されるリン酸モノエステル化合物、式(2)で表されるリン酸ジエステル化合物及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種の化合物と、金属粒子と、分散媒とを少なくとも含有する金属粒子分散体。式(1)で表されるリン酸モノエステル化合物、式(2)で表されるリン酸ジエステル化合物及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種の化合物の存在下の分散媒中、金属塩と還元剤を反応させ、生成された金属粒子が前記分散媒に分散された金属粒子分散体を得るステップを少なくとも含む金属粒子分散体の製造方法。
Figure 2018051526

【選択図】なし

Description

本発明は、金属粒子分散体及びその製造方法に関する。
金属粒子を配合した金属粒子分散体は、金属粒子を分散媒に分散し、必要に応じてバインダーや分散剤、粘度調整剤などの添加剤を更に配合した、一般にコーティング剤、塗料、ペースト、インキなどの組成物を含む総称である。このような金属粒子分散体は、その金属粒子の性質を活用して、例えば導電パスを確保するため、あるいは帯電防止、電磁波遮蔽又は金属光沢を付与するためなどの種々の用途に用いられている。例えば、金属粒子分散体をスクリーン印刷やインクジェット印刷等により基材に回路配線のパターンを印刷し、金属粒子を焼結させることにより回路パターンを形成する手法がプリント配線基板の製造に応用されつつある。
さらに、金属粒子は微細化することにより、劇的に融点が低下することが知られている。これは、金属粒子の粒径が小さくなるのに伴って、粒子の比表面積が増加し、表面エネルギーが増大することによるものである。この効果を利用すれば、金属粒子同士の焼結を従来よりも低温で進行させることができるため、微細な金属粒子を容易に製造できる方法の開発(特許文献1)とともに、従来用いることが困難であった耐熱性の低い樹脂基材に対しても印刷による回路形成が可能となるとの期待が高まっている。しかしながら、金属粒子は粒径が小さいほど分散体の分散性が不良となるという問題があった。
また、インクジェット用インクやフレキシブル配線用インク等の用途において、金属粒子を分散させる分散媒には水やその他の種々の液体が用いられている。一般的に水は他の液体よりも表面張力が高いことが多く、分散媒に用いた場合、分散挙動が他の液体とは異なる。さらに、前述の通り金属粒子の分散性は極めて不安定であるため、分散媒に水と水以外の液体のどちらを使用するかによって粒子表面と分散媒間の界面エネルギーを考慮しつつ、その都度最適な分散剤を選択する必要があった。したがって、分散媒が水であった場合にも水以外の液体であった場合にも金属粒子を良好に分散させることが可能な分散剤が望まれていた。
これまでに、金属粒子の分散性や分散安定性を向上させるために、分散剤として高分子化合物を用いた技術が提案されている(特許文献2、特許文献3)。
また、高分子ではない化合物を用いた技術としては、分散安定化のために界面活性剤(脂肪酸塩、アルキルアミン塩等)を用いた金属微粒子の非水分散液(特許文献4)や、低分子量の硫黄化合物を保護コロイドとして用いた金属コロイド溶液(特許文献5)が提案されている。非水分散液の分散安定性に関して、メルカプトカルボン酸及び/又はその塩とカチオン界面活性剤を使用することにより、低極性非水溶媒にも金属粒子を分散させることが可能となることが提案されている(特許文献6)。
国際公開第2016/031695号 国際公開第2011/048876号 国際公開第2014/061750号 特開平05−271718号公報 国際公開第2002/013999号 特開2008−127679号公報
分散剤として高分子化合物を用いると、金属粒子分散体を回路配線パターン形成用として用いた場合、特に低温で焼成したときや短時間で焼成したときに、金属膜に当該高分子分散剤が残存することがあり、得られた基板の体積抵抗率が高くなり、導電性基材として十分な性能が得られない場合があった。
界面活性剤(脂肪酸塩、アルキルアミン塩等)を用いた金属微粒子の非水分散液では、分散媒に水を用いた時には分散できない場合があった。また、低分子量の硫黄化合物を保護コロイドとして用いた金属コロイド溶液では、水性溶媒中では金属粒子は高度の分散安定性を有するが、トルエン、ベンゼン等の極性の小さい非水溶媒中では十分な分散安定性が得られ難い。さらに、メルカプトカルボン酸及び/又はその塩とカチオン界面活性剤を使用することにより、低極性非水溶媒にも金属粒子を分散させる場合、2種の化合物を用い、水性溶媒と非水溶媒においてそれらの構造を変化させて使用するため、工程が煩雑となるという問題があった。
よって、本発明は、金属粒子の粒径が小さいときでも、水と水以外の液体のどちらを分散媒として用いた場合にも、単独で、金属粒子を良好に分散させることが可能な分散剤を見出し、これを用いた金属粒子分散体を提供することを目的とする。
本発明の一つの態様では、下記一般式(1)
Figure 2018051526
(一般式(1)中、AOは炭素数2〜3のアルキレンオキシ基を表し、aは6〜15の整数を表し、Rは炭素数8〜15のアルキル基を表す。)
で表されるリン酸モノエステル化合物、下記一般式(2)
Figure 2018051526
(一般式(2)中、AO及びAOは、同じであっても異なってもよい炭素数2〜3のアルキレンオキシ基を表し、b及びcは、同じであっても異なってもよい6〜15の整数を表し、R及びRは、同じであっても異なってもよい炭素数8〜15のアルキル基を表す。)
で表されるリン酸ジエステル化合物及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、金属粒子と、分散媒とを少なくとも含有する金属粒子分散体を提供する。
本発明の別の態様では、下記一般式(1)
Figure 2018051526
(一般式(1)中、AOは炭素数2〜3のアルキレンオキシ基を表し、aは6〜15の整数を表し、Rは炭素数8〜15のアルキル基を表す。)
で表されるリン酸モノエステル化合物、下記一般式(2)
Figure 2018051526
(一般式(2)中、AO及びAOは、同じであっても異なってもよい炭素数2〜3のアルキレンオキシ基を表し、b及びcは、同じであっても異なってもよい6〜15の整数を表し、R及びRは、同じであっても異なってもよい炭素数8〜15のアルキル基を表す。)
で表されるリン酸ジエステル化合物及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の存在下で分散媒中、金属塩と還元剤を反応させ、生成された金属粒子が前記分散媒に分散された金属粒子分散体を得るステップを少なくとも含む金属粒子分散体の製造方法を提供する。
本発明によれば、金属粒子の粒径が小さいときでも(例えば、平均粒子径が100nm未満のとき)、水と水以外の液体のどちらを分散媒として用いた場合にも、金属粒子を良好に分散させることが可能な金属粒子分散体を提供できる。
静電噴霧を用いて金属粒子分散体を得るときに使用する装置の一例である。
リン酸エステル化合物として、下記一般式(1)で表されるリン酸モノエステル化合物、下記一般式(2)で表されるリン酸ジエステル化合物及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることができる。
Figure 2018051526
一般式(1)と一般式(2)において、AO、AO及びAOは、同じであっても異なってもよい炭素数2〜3のアルキレンオキシ基を表し、例えばエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、テトラメチレンオキシ等が挙げられ、分散性がより優れるという観点からエチレンオキシ基が好ましい。a、b及びcは、同じであっても異なってもよい6〜15の整数を表し、分散性がより優れるという観点から6〜10がより好ましい。R、R及びRは、同じであっても異なってもよい炭素数8〜15のアルキル基を表し、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、分散性がより優れるという観点から炭素数10〜14が好ましい。
OとAO、bとc、RとRは、一般式(2)で表されるリン酸ジエステル化合物の合成における副生物の減少の観点から、それぞれ同一であることが好ましい。また、AOとAOとAO、aとbとc、RとRとRは、一般式(1)で表されるリン酸モノエステル化合物と一般式(2)で表されるリン酸ジエステル化合物の所望の割合の混合物を同時に合成する観点から、それぞれ同一であることが好ましい。
一般式(1)表されるリン酸モノエステル化合物又はその塩としては、好ましくは、ポリオキシエチレンドデシルエーテルのリン酸モノエステル(Rがn−ドデシル基、AOがエチレンオキシ基、a=7又は8)、ポリオキシエチレントリデシルエーテルのリン酸モノエステル(Rがn−トリデシル基、AOがエチレンオキシ基、a=7又は8)、ポリオキシエチレンテトラデシルエーテルのリン酸モノエステル(Rがn−テトラデシル基、AOがエチレンオキシ基、a=7又は8)又はそれらの塩が挙げられる。
一般式(2)表されるリン酸ジエステル化合物又はその塩としては、好ましくは、ポリオキシエチレンドデシルエーテルのリン酸ジエステル(RとRがそれぞれn−ドデシル基、AOとAOがエチレンオキシ基、b=c=7又は8)、ポリオキシエチレントリデシルエーテルのリン酸ジエステル(RとRがそれぞれn−トリデシル基、AOとAOがエチレンオキシ基、b=c=7又は8)、ポリオキシエチレンテトラデシルエーテルのリン酸ジエステル(RとRがそれぞれn−テトラデシル基、AOとAOがエチレンオキシ基、b=c=7又は8)又はそれらの塩が挙げられる。
塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩又はアミン塩が挙げられ、具体例としては、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、モノ、ジもしくはトリアルキルアミン(アルキル基の炭素数1〜4)、モノ、ジもしくはトリアルカノールアミン(ヒドロキシアルキル基の炭素数1〜4)等との塩が挙げられる。
一般式(1)表されるリン酸モノエステル化合物と式(2)表されるリン酸ジエステル化合物とそれらの塩からなる群により選ばれる2種以の化合物の混合物としては、例えば、上述した一般式(1)表されるリン酸モノエステル化合物の例と一般式(2)表されるリン酸ジエステル化合物の例とそれらの塩の例からなる群より選ばれる2種以上の化合物の任意の組合せが挙げられるが、好ましくはリン酸(O=P(OH))が持つ3個の水素原子のうちの1個又は2個を置換する置換基が全て同じとなる組合せであり、すなわち、RとRとRが全て同じであり、AOとAOとAOが全て同じであり、aとbとcが全て同じである組合せである。
一般式(1)で表されるリン酸モノエステル化合物及び一般式(2)で表されるリン酸ジエステル化合物は、従来公知の方法で製造することができる。例えば、五酸化二リンと、炭素数8〜15の1価アルコール1モルに炭素数2又は3のアルキレンオキサイドを6〜15モル付加した付加物とを、五酸化二リン1モルに対し付加物を2〜3モルの割合で反応させることにより得ることができる。必要に応じて水を加え、加水分解反応を並行させてもよい。反応条件としては60〜70℃で2〜4時間が挙げられる。一般式(1)で表されるリン酸モノエステル化合物の塩及び一般式(2)で表されるリン酸ジエステル化合物の塩も、従来公知の方法で製造することができる。
本発明の金属粒子分散体においては、一般式(1)で表されるリン酸モノエステル化合物もしくはその塩、又は一般式(2)で表されるリン酸ジエステル化合物もしくはその塩のいずれを使用してもよいが、分散性がより優れるという観点から、一般式(1)で表されるリン酸モノエステル化合物もしくはその塩と、一般式(2)で表されるリン酸ジエステル化合物もしくはその塩を併用して用いることが好ましく、両者の比率が質量比で50:50〜95:5が好ましく、70:30〜90:10であることがより好ましい。
金属粒子分散体における一般式(1)で表されるリン酸モノエステル化合物、一般式(2)で表されるリン酸ジエステル化合物及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の含有量としては、適宜調整され得るが、金属粒子に対する質量比率で0.1〜5.0の範囲であることが好ましい。0.1以上であると分散性がより優れ、5を超えて使用しても過剰分の効果が得られ難い傾向がある。使用量に対して発現される分散性の兼ね合いから0.3〜1.0の範囲がより好ましい。
金属粒子分散体に用いられる金属粒子としては、金属種や粒子径には特に制限はなく、用途に応じて適宜選択することができる。
金属種としては、例えば鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の周期表VIII族や銅、銀、金の周期表IB族の金属が挙げられる。中でも、電極又は回路配線パターン形成用の金属分散体に用いるには、パラジウム、白金、銅、銀、金が導電性がより高いという観点から好ましく、導電性とコストのバランスから銀、銅がより好ましい。
金属粒子は、1種の金属のみから構成されていてもよく、合金であったりコアシェル構造等の積層構造となっていたりするなど2種以上の金属から構成されていてもよい。また、例えば金属粒子の表面が酸化されて金属酸化物となっていてもよい。また、金属粒子には、製法上不可避の酸素、異種金属等の不純物が含まれていてもよく、あるいは、金属粒子の急激な酸化防止のために必要に応じて予め酸素、金属酸化物や有機化合物などが含まれていてもよい。
金属粒子の粒子径は適宜調整され得るが、例えば平均粒子径が1nm〜10μmであることが好適である。多方面の用途に用いることができるという観点から平均粒子径は1nm〜1μmがより好適であり、一般にナノ粒子と呼ばれる1〜100nmが特に好適であり、50nm以下がさらに好適である。
金属粒子分散体における金属粒子の含有量は、適宜調整され得るが、金属粒子分散体中に、0.01〜40質量%という量が挙げられる。
金属粒子分散体に用いる分散媒としては、特に制限されず、例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどの炭素数1〜8の脂肪族アルコール系、メトキシアルコール、エトキシアルコール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、3−メトキシプロパノールなどのモノ、ジ又はトリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(アルキレングリコールの炭素数1〜4、アルキル基の炭素数1〜4)などのエーテルアルコール系、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸3−メトキシブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのアルコキシ基(炭素数1〜4)等の置換基を有していてもよい炭素数1〜4の脂肪族カルボン酸と炭素数1〜4の脂肪族アルコールとのエステル系、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどの炭素数3〜10のケトン系、2−メトキシエチルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアセテート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセテートなどの酢酸と上記エーテルアルコール系とのエステルであるエーテルアルコールアセテート系、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1−エトキシ−2−(2−メトキシエトキシ)エタンなどのモノ、ジ又はトリアルキレングリコールジアルキルエーテル(アルキレングリコールの炭素数1〜4、アルキル基の炭素数1〜4)、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド系、γ−ブチロラクトンなどのラクトン系、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの芳香族炭化水素系、モノテルペン化合物(例えば、リモネン、水添リモネン、β−ピネン、ミルセン、テレピネン、カンフェン、トリシクレン、ターピネオール等のテルペン炭化水素等)、セスキテルペン化合物、ジテルペン化合物、トリテルペン化合物などのテルペン系、n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタンなどの炭素数6〜10の飽和炭化水素系などが挙げられる。分散媒は、好ましくは、一般式(1)で表されるリン酸モノエステル及び/又は一般式(2)で表されるリン酸ジエステルを溶解できる分散媒を選択する。分散媒は、分散媒中、一般式(1)で表されるリン酸モノエステル及び/又は一般式(2)で表されるリン酸ジエステルの存在下、金属塩と還元剤を反応させる場合、好ましくは、一般式(1)で表されるリン酸モノエステル及び/又は一般式(2)で表されるリン酸ジエステルと、金属塩と還元剤を溶解できる分散媒を選択する。
中でも、水、エーテルアルコール系、エステル系、エーテルアルコールアセテート系、エーテル系、テルペン系を用いることが、分散性がより優れるという観点から好ましい。
得られた金属粒子分散体は、分散性が高く、分散媒を交換することが可能である。例えば、第1の金属粒子分散体である金属粒子の水分散体を得た後、例えば水の蒸発や、遠心分離により水を除去後、水以外の分散媒を追加して第2の金属粒子分散体を得ることができる。第1金属粒子分散体の調製に用いた第1分散媒を、第2金属粒子分散体の調製に用いる第2分散媒で交換する際、第1分散媒の除去に蒸発を用いるのであれば、第1分散媒は、第1金属粒子分散体中に存在するリン酸エステル化合物が同時に蒸発することを避けるため、リン酸エステル化合物の沸点より低いことが好ましい。このような分散媒の交換により得られた第2金属粒子分散体においても優れた分散性を有する。
第1分散媒と第2分散媒の組合せの例としては、水とエーテルアルコール系、水とエステル系、水とエーテルアルコールアセテート系、水とテルペン系が好ましく、水と2−ブトキシエタノール(エチレングリコールモノブチルエーテル(EGMB))、水と酢酸ブチル、水と2−エトキシエチルアセテート、水とジエチルエーテル、水とリモネン等が挙げられる。なお、第1分散媒又は第2分散媒は、1種の分散媒を単独で用いても良いが、製造上の理由等により他の少量の分散媒を含む混合物を使用することもでき、他の分散媒は混合分散媒中、好ましくは20質量%以下の含有量である。
上記組合せの例では、いずれか一方を第1分散媒として用い、他方を第2分散媒としてもよい。汎用性が高いという点において、特に好ましくは、最終的に金属粒子の水以外の分散体を得る場合には、第1分散媒として水を用い、第2分散媒として水以外の分散媒を用いる。
得られた金属粒子分散体の分散性は、第1の金属粒子分散体である金属粒子の水分散体を得た後、水を除去して水以外の分散媒を追加して第2の金属粒子分散体を得て、第1金属粒子分散体中の第1金属粒子の平均粒子径と、第2金属粒子分散体中の第2金属粒子の平均粒子径とを測定し、その変化から評価できる。金属粒子分散体の用途に応じて金属粒子分散体中の金属粒子の好ましい平均粒子径は変動する。例えば、電極又は回路配線パターン形成用金属分散体等のように、配線の微細化等の観点からできるだけ小さい平均粒子径が好ましい場合は、第2金属粒子分散体中の第2金属粒子の平均粒子径は、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下である。また、第2金属粒子の平均粒子径/第1金属粒子の平均粒子径の比で表される変化率ができるだけ小さいことが分散体の安定性の点等から好ましい用途では、当該変化率は、好ましくは5以下である。
なお、金属粒子分散体の金属粒子の平均粒子径は、電気泳動光散乱法(レーザードップラー法)を用いて得ることができ、例えば粒径測定システム(ELSZ−1000、大塚電子社製)を用いて測定できる。
金属粒子分散体には、金属粒子、一般式(1)又は一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物、分散媒の他に、その他の溶媒や分散剤、樹脂、バインダー、増粘剤、可塑剤、防カビ剤等を、必要に応じて適宜配合することもできる。樹脂やバインダーは、塗布物と基材との密着性を一層向上させることができる。例えば、金属粒子分散体を電極又は回路配線パターン形成用等の導電性金属粒子分散体として使用する際、バインダーとしてはエポキシ樹脂等の硬化性樹脂を用いることが好ましく、その含有量としては金属粒子の1〜20質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましい。
次に、金属粒子と、一般式(1)又は一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物と、分散媒とを少なくとも含む金属粒子分散体の製造方法について述べる。
金属粒子分散体の製造方法として、金属粒子と、一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物と、分散媒とを混合し、金属粒子を分散媒に分散させることにより、金属粒子分散体を得る方法が挙げられる。
金属粒子は市販されているものを用いてもよいし、公知の方法を用いて製造してもよい。例えば、メカノケミカル法などにより金属粉を粉砕する物理的な方法、化学気相法(CVD法)や蒸着法、スパッタ法、熱プラズマ法、レーザー法のような化学的な乾式法、熱分解法、化学還元法、電気分解法、超音波法、レーザーアブレーション法、超臨界流体法、マイクロ波合成法等による化学的な湿式法等を用いて金属粒子を得ることができる。
混合方法としては、特に制限はなく、分散媒に、金属粒子と、一般式(1)で表されるリン酸モノエステル化合物及び/又は一般式(2)で表されるリン酸ジエステル化合物とを、同時又は一方ずつ添加してもよいし、予め金属粒子及び分散媒を含む分散液と、一般式(1)で表されるリン酸モノエステル化合物及び/又は一般式(2)で表されるリン酸ジエステル化合物及び分散媒を含む分散液又は溶液とを調製し、両者を混合してもよい。
また、金属粒子分散体の製造方法として、分散媒中、一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるリン酸エステル化合物の存在下、金属塩と還元剤を反応させて金属粒子を析出させ、前記分散媒に金属粒子を分散させた金属粒子分散体を得る工程を少なくとも含む方法が挙げられる。本法は、分散性がより優れるという観点からより好ましい。
金属塩としては、例えば、前記金属の塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩等を用いることができ、具体的には例えば塩化白金酸、塩化白金酸カリウム、塩化白金酸アンモニウム、塩化金酸、塩化金酸ナトリウム、塩化金酸アンモニウム、硝酸銀、アンモニア性硝酸銀、硫酸銅、硝酸銅、塩化鉄、硫酸ニッケル、塩化パラジウム、酢酸コバルト等が挙げられる。
還元剤としては公知のものを用いることができ、例えばヒドラジン又はその水和物、ヒドラジン系化合物(例えば、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン等)、脂肪族アルデヒド類(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド等)、芳香族アルデヒド類(例えば、ベンズアルデヒド等)、及び複素環式アルデヒド類等のアルデヒド類、1級アミン類(例えば、ブチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、エチレンジアミン等)、2級アミン類(例えば、ジブチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン等)、及び3級アミン類(例えば、トリブチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等)等のアミン類、アミノアルデヒド類(例えば、アミノアセトアルデヒド等)、アルカノールアミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、還元糖(例えば、ショ糖、トレパース、マルトース、ラクトース等)、金属水素化合物(例えば、水素化ホウ素ナトリウム等)、低次無機酸素酸(例えば、亜硫酸、亜硝酸、次亜硝酸、亜リン酸、次亜リン酸等)、並びに低次無機酸素酸の塩(例えば、ナトリウム等のアルカリ金属塩)、有機酸(例えば、クエン酸、ギ酸、アスコルビン酸)、モノ又はポリアルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等のアルキレン基の炭素数が2〜4のもの)等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いてもよい。汎用性の観点から、ヒドラジン又はその水和物、或いは水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素化合物が好ましい。
還元剤の使用量としては適宜調整され得るが、好ましくは、金属塩との反応における化学当量(化学量論量、ストイキオメトリ)の1〜50倍という量が挙げられる。還元剤の使用量が1当量未満では還元反応が十分に進行し難い場合があり、50当量を超えても差し支えないがコストが高くなる。
金属塩と還元剤の反応は任意の温度で行うことができ、5〜90℃の範囲の温度であれば反応が進み易いので好ましい。得られる金属粒子の分散性の観点から15〜50℃の範囲の温度であることがより好ましい。
さらに、金属粒子分散体の製造方法として、静電噴霧を用いて金属粒子分散体を得る製造方法が挙げられる。具体的には、前記金属塩と前記還元剤を反応させて前記金属粒子分散体を得るステップが、前記金属塩と前記還元剤のいずれか一方を第1の液体に溶解又は分散させ、前記金属塩と前記還元剤の他方と、前記一般式(1)で表されるリン酸モノエステル化合物、前記一般式(2)で表されるリン酸ジエステル化合物及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを前記分散媒として選択する第2の液体に溶解又は分散させ、前記第2の液体の相及び前記低誘電率液体の相を2相分離するように重ねて配置し、ノズルの噴霧口を、前記低誘電率液体の相中に配置するか、又は前記2相から前記低誘電率液体の相側に離れた位置で前記低誘電率液体の相の液面に向けるように配置し、かつ電極を前記第2の液体の相中に配置した状態で、前記ノズル及び前記電極間に電位差を与えることにより帯電すると共に前記金属塩と前記還元剤のいずれか一方を溶解又は分散させた前記第1の液体の液滴を、前記ノズルの噴霧口から静電噴霧し、前記第2の液体の相で前記金属塩と前記還元剤を反応させ、前記金属粒子が前記分散媒として選択された前記第2の液体の相中に分散された前記金属粒子分散体を得る段階を少なくとも含む金属粒子分散体の製造方法である。
分散媒は、好ましくは、一般式(1)で表されるリン酸モノエステル、一般式(2)で表されるリン酸ジエステル及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を溶解するものであり、さらに好ましくは金属塩及び還元剤を溶解するものである。
本法は、使用した金属塩の量に対し高い収率で金属粒子が得られ、分散性やより優れるという観点からさらに好ましい。
静電噴霧を用いて微細な金属粒子を得る方法は、特許文献1に詳細に記載されている。金属粒子分散体は、例えば図1に示す装置を用いて製造できる。密閉可能であっても、上方を開口してもよい容器6の内部に、低誘電率液体LL及び第2の液体L2を収容する。図1では、低誘電率液体LLから成る相(以下、「低誘電率液体相」とも呼ぶ。)P1は容器6の上部に配置され、第2の液体L2から成る相(以下、「第2の液体相」という)P2は容器6の下部に配置されており、低誘電率液体相P1と第2の液体相P2とは、界面を境に互いに分離した状態で重なっている。第1の液体L1は、液滴の状態で、第1の液体L1を静電噴霧可能に構成されたエレクトロスプレーノズル(以下、「ノズル」とも呼ぶ。)1の噴霧口1aから噴霧される。噴霧口1aと間隔を空けて第2の液体L2内に配置される電極4は、ノズル1の噴霧口1aと距離W1の間隔を空けて対向している。電源5は、ノズル1及び電極4のそれぞれに電気的に接続され、図1では、ノズル1に正電位を、電極4に負電位をもたらすように構成されているが、ノズル1に負電位を、電極4に正電位をもたらすように構成されていてもよい。図1では、ノズル1の噴霧口1aは、低誘電率液体相P1中にて界面Bと距離W2の間隔を空けて配置するが、低誘電率液体相P1の上方に低誘電率液体相P1の液面から距離W3(図示せず)の間隔を空けて当該液面に向けるように配置してもよい。第1の液体L1に金属塩と還元剤のいずれか一方(以下、「第1の物質」とも呼ぶ。)を溶解又は分散させ、分散媒として選択された第2の液体L2に一般式(1)で表されるリン酸物エステル及び/又は一般式(2)で表されるリン酸ジエステルと共に金属と還元剤の他方(以下、「第2の物質」とも呼ぶ。)を溶解又は分散させておく。第1及び第2の液体L1、L2は互いに相溶であることが好ましい。
ノズル1の噴霧口1a及び電極4間の距離W1は、好ましくは1cm以上、好ましは2cm以上であると好ましい。ノズル1の噴霧口1aと、低誘電率液体相P1及び第2の液体相P2の界面との距離W2は、容器容量、電位差などにより適宜調整し得るが、上記距離W1よりも小さな値であれば、1cm以上が好ましく、2cm以上がより好ましい。距離W2の上限は、例えば、容量を10Lとするビーカーの場合、電位を調整することにより20cmとすることができ、容器容量、電位差などに対応して適宜調整し得る。
ノズル1側の電位は−30kV以上かつ30kV以下の範囲とするとよく、電極4側の電位もまた−30kV以上かつ30kV以下の範囲とするとよい。
第2の物質を第2の液体L2に溶解又は分散させた場合は、液滴が、電場勾配に沿って低誘電率液体相P1を通って第2液体相P2に移動し、第1及び第2の物質が反応して、第1及び第2の物質の反応生成物が第2の液体相P2中にて生成され、第2の液体相P2中にて反応生成物の分散液が得られる。第2の液体相P2を低誘電率液体相P1から分離し、第2の液体相P2にて得られた分散液を回収できる。
第2の物質を低誘電率液体L1に溶解又は分散させた場合は、液滴が低誘電率液体相P1を通過する際に第1及び第2の物質が反応して、第1及び第2の物質の反応生成物が低誘電率液体相P1中にて生成され、低誘電率液体相P1中にて反応生成物の分散液が得られる。低誘電率液体相P1を第2の液体相P2から分離し、低誘電率液体相P1にて得られた分散液を回収できる。
低誘電率液体LLは、第1及び第2の液体L1、L2と相溶しない有機溶剤系となっているとよい。さらに、低誘電率液体LLは、非水溶性の有機溶媒となっていると好ましい。低誘電率液体LLの比誘電率は、25以下、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下であるとよい。一例として、低誘電率液体LLは、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカンなどのノルマルパラフィン系炭化水素、イソオクタン、イソデカン、イソドデカンなどのイソパラフィン系炭化水素、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、デカリンなどのシクロパラフィン系炭化水素、流動パラフィン、ケロシンなどの炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;クロロホルム、四塩化炭素などの塩素系溶媒;パーフルオロカーボン、パーフルオロポリエーテル、ハイドロフルオロエーテルなどのフッ素系溶媒;1−ブタノール(比誘電率17.51)、1−ペンタノール(比誘電率13.90)、1−オクタノール(比誘電率10.30)などのアルコール系溶媒;並びにこれらのうち2種類以上の混合物であるとよい。一例として、イソパラフィンは、出光興産株式会社製のIPソルベント1016、又はIPクリーンLX(登録商標)、丸善石油化学株式会社製のマルカゾールR、エクソンモービル社製のアイソパーH(登録商標)、アイソパーE(登録商標)、又はアイソパーL(登録商標)などであるとよい。また、低誘電率液体LLの比誘電率は、第1及び第2の液体L1、L2の比誘電率よりも低くなっていると好ましい。
第1及び第2の液体L1、L2は、好ましくは互いに相溶する水溶液系又は水溶性であるとよい。一例として、第1及び第2の液体L1、L2に用いられる溶媒は、水、分散媒の例として上述したアルコール系、エーテルアルコール系、エステル系、エーテルアルコールアセテート系、エーテル系、非プロトン性アミド系、テルペン系、又はこれらのうちの2種類以上の混合物であるとよく、中でも、水、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、又はこれらのうち2種類以上の混合物であるとさらによい。特に、第1及び第2の液体L1、L2は、水であるか、又は水とエタノール、DMF、アセトンなどの水溶性の溶媒との水溶液であるとよい。また、第1及び第2の液体L1、L2に用いられる溶媒が同種であると好ましい。
このようにして得られた金属粒子分散体は、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の方法により、基板に塗布した後、塗布物を適当な温度で加熱焼成して電極、回路配線パターンを得ることができ、得られた導電性基板は、焼結後の有機成分の残存が抑制され、優れた導電性を有する。このような導電性基板を用いた電子部材としては、表面抵抗の低い電磁波シールド用フィルム、導電膜、フレキシブルプリント配線板などに有効に利用することができる。また、例えば金属光沢を基材に付与するためのコーティング剤や塗料としても用いられる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。得られた金属粒子分散体の分散性は、分散媒の交換による金属粒子の平均粒子径の変化により評価した。
実施例1
<銀粒子分散体の製造>
図1と同様な装置を用いた。電極が底部に装備されたディスポーザブルカップ(容量:200mL)に、分散剤として、リン酸モノエステル化合物(一般式(1)においてRが炭素数12のn−ドデシル基であり、AOが炭素数2のエチレンオキシ基であり、aが7であるもの)及びリン酸ジエステル化合物(一般式(2)においてR及びRが炭素数12のn−ドデシル基であり、AO及びAOがともに炭素数2のエチレンオキシ基であり、b及びcが7であるもの)の混合物(質量比85:15)0.4gと還元剤としてヒドラジン一水和物2mLを純水97.6gに溶解し、低誘電率液体としてイソパラフィン(IP1620、出光興産社製)100mLを加え、イソパラフィン相が上となる二相に分離することを確認した。噴霧口をイソパラフィン中に水の界面からの距離が2cmの位置(W1=5.5cm、W2=2.0cm)に設置し、ディスポーザブルカップ内の液体をマグネチックスターラーで撹拌しながら、30mLシリンジを用いて1M硝酸銀水溶液を高電圧下(正極(噴霧口側):3.0kV、負極(電極側):−2.0kV)にて、0.1mL/minの速度で10.0mL静電噴霧した。噴霧口として使用したシリンジ針はガラス製の内径100μmのものを使用した。尚、静電噴霧による銀粒子分散体の合成は特許文献1に記載されている手法を参考にした。
次いで、得られた銀粒子分散体(水相)を、デカンテーションによりイソパラフィン相から分離した後、再生セルロース透析チューブ(T1 MWCO 3500、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて、洗浄液の硝酸イオン濃度が半定量硝酸イオン試験紙(アズワン社製)で10ppm以下になるまで4〜6回繰り返して水洗し、前記割合のリン酸モノエステル化合物とリン酸ジエステル化合物の混合物を含む100mLの銀粒子水分散体を得た。得られた銀粒子水分散体は、蛍光X線分析(日本電子社製)を用いた測定により銀粒子の濃度が1質量%であり、粒径測定システム(ELSZ−1000、大塚電子社製)を用いた測定により銀粒子の平均粒子径が14.4nmであることが分かった。
<分散媒置換>
次に、得られた銀粒子水分散体100mLを、真空乾燥して水を除去し、銀粒子の脱水ケーキを得た。この脱水ケーキに置換分散媒であるエチレングリコールモノブチルエーテルを5mL加え、超音波分散機を用い10分かけて再分散させ、銀粒子濃度が20質量%である銀粒子エチレングリコールモノブチルエーテル分散体を得た。得られた分散体の銀粒子の平均粒子径は27.8nmであった。
また、置換分散媒をリモネンとした銀粒子リモネン分散体も同様の方法で得た。得られた銀粒子の平均粒子径は51.1nmであった。
実施例2
分散剤を、リン酸モノエステル化合物(一般式(1)においてRが炭素数12のn−ドデシル基であり、AOが炭素数2のエチレンオキシ基であり、aが12であるもの)及びリン酸ジエステル化合物(一般式(2)においてR及びRが炭素数12のn−ドデシル基であり、AO及びAOがともに炭素数2のエチレンオキシ基であり、b及びcが12であるもの)の混合物(質量比85:15)に代えたこと以外は実施例1と同様にして、銀粒子水分散体及び銀粒子エチレングリコールモノブチルエーテル分散体を得た。得られた銀粒子の平均粒子径は、水分散体において51.8nm、エチレングリコールモノブチルエーテル分散体において70.4nmであった。
実施例3
分散剤を、リン酸モノエステル化合物とリン酸ジエステル化合物の混合比が質量比60:40であるものに代えたこと以外は実施例1と同様にして、銀粒子の水分散体及びエチレングリコールモノブチルエーテル分散体を得た。得られた銀粒子の平均粒子径は、水分散体において12.2nm、エチレングリコールモノブチルエーテル分散体において56.9nmであった。
実施例4
図1と同様な装置を用いた。電極が底部に装備されたディスポーザブルカップ(容量:200mL)に、分散剤として実施例1と同様のリン酸モノエステル化合物及びリン酸ジエステル化合物の混合物0.1gと還元剤としてヒドラジン一水和物0.5mLを純水99gに溶解し、低誘電率液体としてイソパラフィン(IP1620、出光興産社製)100mLを加え、イソパラフィン相が上となる二相に分離することを確認した。噴霧口をイソパラフィン中に水の界面からの距離が2cmの位置に設置し、ディスポーザブルカップ内の液体をマグネチックスターラーで撹拌しながら、30mLシリンジを用いて0.04M塩化白金酸塩水溶液を高電圧下(正極(噴霧口側):3.0kV、負極(電極側):−2.0kV)にて、0.1mL/minの速度で10.0mL静電噴霧した。これ以降は実施例1と同様に調製し、白金粒子の水分散体及びエチレングリコールモノブチルエーテル分散体を得た。得られた白金粒子の平均粒子径は、水分散体において36.7nm、エチレングリコールモノブチルエーテル分散体において70.4nmであった。
実施例5
図1と同様な装置を用いた。ガラス製ビーカー(容量:200mL)に、分散剤として実施例1と同様のリン酸モノエステル化合物及びリン酸ジエステル化合物の混合物0.5gと、還元剤としてヒドラジン一水和物1mLを純水98.6gに溶解した。これに、マグネチックスターラーで撹拌しながら、1M硝酸銀水溶液10mLを注ぎ、銀粒子水分散体を得た。次に得られた銀粒子水分散体を実施例1と同様に溶媒置換し、銀粒子エチレングリコールモノブチルエーテル分散体を得た。銀粒子の平均粒子径は、水分散体において17.7nm、エチレングリコールモノブチルエーテル分散体において31.5nmであった。
比較例1
分散剤を、リン酸モノエステル化合物(一般式(1)においてRが炭素数12のn−ドデシル基であり、AOが炭素数2のエチレンオキシ基であり、aが5であるもの)及びリン酸ジエステル化合物(一般式(2)においてR及びRがそれぞれ炭素数12のn−ドデシル基であり、AO及びAOがそれぞれ炭素数2のエチレンオキシ基であり、b及びcがそれぞれ5であるもの)の混合物(質量比60:40)に代えたこと以外は実施例1と同様にして、銀粒子の水分散体及びエチレングリコールモノブチルエーテル分散体を得た。得られた銀粒子の平均粒子径は、水分散体において11.7nm、エチレングリコールモノブチルエーテル分散体において3874.4nmであった。
比較例2
分散剤を、リン酸モノエステル化合物(一般式(1)においてRが炭素数12のn−ドデシル基であり、AOが炭素数2のエチレンオキシ基であり、aが16であるもの)及びリン酸ジエステル化合物(一般式(2)においてR及びRがそれぞれ炭素数12のn−ドデシル基であり、AO及びAOがそれぞれ炭素数2のエチレンオキシ基であり、b及びcがそれぞれ16であるもの)の混合物(質量比85:15)に代えたこと以外は実施例1と同様にして、銀粒子の水分散体及びエチレングリコールモノブチルエーテル分散体を得た。得られた銀粒子の平均粒子径は、水分散体において66.5nm、エチレングリコールモノブチルエーテル分散体において568.2nmであった。
比較例3
分散剤を、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40モル付加)ソルビットに代えたこと以外は実施例1と同様にして、銀粒子の水分散体、エチレングリコールモノブチルエーテル分散体及びリモネン分散体を得た。得られた銀粒子の平均粒子径は、水分散体において18.4nm、エチレングリコールモノブチルエーテル分散体において162.0nm、リモネン分散体において162.0nmであった。
比較例4
分散剤0.4gを、水溶性ポリアクリル酸(セロポールPC−300、固形分約50質量%、三洋化成社製)0.8gに代えたこと以外は実施例1と同様に調製した。しかしながら、反応中に金属光沢を有する銀の凝集物が発生し、十分な分散性を有する銀粒子水分散体を得ることが出来なかった。
比較例5
分散剤を、エチレンジアミンのプロピレンオキサイド(40モル)及びエチレンオキサイド(40モル)付加物の硫酸エステルのナトリウム塩に代えたこと以外は実施例1と同様に調製した。しかしながら、反応中に金属光沢を有する銀の凝集物が発生し、十分な分散性を有する銀粒子水分散体を得ることが出来なかった。
比較例6
分散剤を、モノステアリルアミンのエチレンオキサイド(20モル)付加物に代えたこと以外は実施例1と同様に調製した。しかしながら、反応中に金属光沢を有する銀の凝集物を発生し、十分な分散性を有する銀粒子水分散体を得ることが出来なかった。
実施例1〜5及び比較例1〜6の結果を表1にまとめた。水、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGMB)、リモネンの各分散媒における金属粒子の分散性は、次のように評価した。
A : 金属粒子の平均粒子径が50nm以下である。
B : 金属粒子の平均粒子径が50nm超100nm以下である。
F : 金属粒子の平均粒子径が150nm超、或いは凝集物を発生する。
Figure 2018051526
1 エレクトロスプレーノズル
1a 噴霧口
4 電極
5 電源
6 容器
LL 低誘電率液体
L1 第1の液体
L2 第2の液体
P1 低誘電率液体相
P2 第2液体相
W1 噴霧口1aと、電極4との距離
W2 噴霧口1aと、低誘電率液体相P1及び第2液体相の界面との距離

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2018051526
    (一般式(1)中、AOは炭素数2〜3のアルキレンオキシ基を表し、aは6〜15の整数を表し、Rは炭素数8〜15のアルキル基を表す。)
    で表されるリン酸モノエステル化合物、下記一般式(2)
    Figure 2018051526
    (一般式(2)中、AO及びAOは、同じであっても異なってもよい炭素数2〜3のアルキレンオキシ基を表し、b及びcは、同じであっても異なってもよい6〜15の整数を表し、R及びRは、同じであっても異なってもよい炭素数8〜15のアルキル基を表す。)
    で表されるリン酸ジエステル化合物及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、金属粒子と、分散媒とを少なくとも含有する金属粒子分散体。
  2. 下記一般式(1)
    Figure 2018051526
    (一般式(1)中、AOは炭素数2〜3のアルキレンオキシ基を表し、aは6〜15の整数を表し、Rは炭素数8〜15のアルキル基を表す。)
    で表されるリン酸モノエステル化合物、下記一般式(2)
    Figure 2018051526
    (一般式(2)中、AO及びAOは、同じであっても異なってもよい炭素数2〜3のアルキレンオキシ基を表し、b及びcは、同じであっても異なってもよい6〜15の整数を表し、R及びRは、同じであっても異なってもよい炭素数8〜15のアルキル基を表す。)
    で表されるリン酸ジエステル化合物及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の存在下で分散媒中、金属塩と還元剤を反応させ、生成された金属粒子が前記分散媒に分散された金属粒子分散体を得るステップを少なくとも含む金属粒子分散体の製造方法。
  3. 前記金属塩と前記還元剤を反応させて前記金属粒子分散体を得るステップが、前記金属塩と前記還元剤のいずれか一方を第1の液体に溶解又は分散させ、前記金属塩と前記還元剤の他方と、前記一般式(1)で表されるリン酸モノエステル化合物、前記一般式(2)で表されるリン酸ジエステル化合物及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを前記分散媒として選択された第2の液体に溶解又は分散させ、前記第2の液体の相及び前記低誘電率液体の相を2相分離するように重ねて配置し、ノズルの噴霧口を、前記低誘電率液体の相中に配置するか、又は前記2相から前記低誘電率液体の相側に離れた位置で前記低誘電率液体の相の液面に向けるように配置し、かつ電極を前記第2の液体の相中に配置した状態で、前記ノズル及び前記電極間に電位差を与えることにより帯電すると共に前記金属塩と前記還元剤のいずれか一方を溶解又は分散させた前記第1の液体の液滴を、前記ノズルの噴霧口から静電噴霧し、前記第2の液体の相で前記金属粒子と前記還元剤を反応させ、前記金属粒子が前記分散媒として選択された前記第2の液体の相中に分散された前記金属粒子分散体を得る段階を少なくとも含む請求項2に記載の金属粒子分散体の製造方法。
JP2016193700A 2016-09-30 2016-09-30 金属粒子分散体及びその製造方法 Pending JP2018051526A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016193700A JP2018051526A (ja) 2016-09-30 2016-09-30 金属粒子分散体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016193700A JP2018051526A (ja) 2016-09-30 2016-09-30 金属粒子分散体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018051526A true JP2018051526A (ja) 2018-04-05

Family

ID=61834845

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016193700A Pending JP2018051526A (ja) 2016-09-30 2016-09-30 金属粒子分散体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018051526A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019225675A1 (ja) * 2018-05-25 2019-11-28 三菱ケミカルエンジニアリング株式会社 反応生成物製造装置、反応生成物製造方法
WO2021131594A1 (ja) * 2019-12-23 2021-07-01 ナミックス株式会社 電磁波シールド用組成物
JP7388069B2 (ja) 2019-09-11 2023-11-29 Toppanホールディングス株式会社 メタリック塗液及び被塗工物

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013127110A (ja) * 2011-11-14 2013-06-27 Ishihara Chem Co Ltd 無電解銅メッキ方法及び当該銅メッキ用の前処理液
WO2013108408A1 (ja) * 2012-01-20 2013-07-25 Dowaエレクトロニクス株式会社 接合材およびそれを用いた接合方法
JP2014065971A (ja) * 2013-10-21 2014-04-17 Toyota Motor Corp 金属ナノ粒子ペースト
JP2016011426A (ja) * 2015-08-11 2016-01-21 セイコーエプソン株式会社 表面処理金属粒子の製造方法
WO2016031695A1 (ja) * 2014-08-28 2016-03-03 国立研究開発法人産業技術総合研究所 分散体の製造方法及び製造装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013127110A (ja) * 2011-11-14 2013-06-27 Ishihara Chem Co Ltd 無電解銅メッキ方法及び当該銅メッキ用の前処理液
WO2013108408A1 (ja) * 2012-01-20 2013-07-25 Dowaエレクトロニクス株式会社 接合材およびそれを用いた接合方法
JP2014065971A (ja) * 2013-10-21 2014-04-17 Toyota Motor Corp 金属ナノ粒子ペースト
WO2016031695A1 (ja) * 2014-08-28 2016-03-03 国立研究開発法人産業技術総合研究所 分散体の製造方法及び製造装置
JP2016011426A (ja) * 2015-08-11 2016-01-21 セイコーエプソン株式会社 表面処理金属粒子の製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019225675A1 (ja) * 2018-05-25 2019-11-28 三菱ケミカルエンジニアリング株式会社 反応生成物製造装置、反応生成物製造方法
JPWO2019225675A1 (ja) * 2018-05-25 2021-07-08 三菱ケミカルエンジニアリング株式会社 反応生成物製造装置、反応生成物製造方法
JP7288687B2 (ja) 2018-05-25 2023-06-08 国立研究開発法人産業技術総合研究所 反応生成物製造装置、反応生成物製造方法
JP7388069B2 (ja) 2019-09-11 2023-11-29 Toppanホールディングス株式会社 メタリック塗液及び被塗工物
WO2021131594A1 (ja) * 2019-12-23 2021-07-01 ナミックス株式会社 電磁波シールド用組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1825940B1 (en) Method for producing surface-treated silver-containing powder
CN100577328C (zh) 表面处理的含银粉末的制造方法、以及使用表面处理的含银粉末的银糊剂
EP2052043B1 (en) Process for preparation of silver nanoparticles, and the compositions of silver ink containing the same
KR101298804B1 (ko) 금속 나노 입자의 수계 분산액
CN101691458B (zh) 导体图案形成用墨液、导体图案、导体图案的形成方法及配线基板
JP5723283B2 (ja) 金属微粒子分散体、導電性基板の製造方法及び導電性基板
EP3195928A1 (en) Dispersion production method and production device
CN101523508B (zh) 用于形成导电图案的胶中使用的有机银配位化合物
US9340684B2 (en) Conductive metal ink composition, and method for forming a conductive pattern
WO2006041030A1 (ja) 導電性インク
KR20070097055A (ko) 도전성 잉크
JP2018051526A (ja) 金属粒子分散体及びその製造方法
JP4428138B2 (ja) 銅微粒子とその製造方法及び銅微粒子分散液
CN107286754A (zh) 金属纳米颗粒油墨分散体
US20140009545A1 (en) Conductive ink formulas for improved inkjet delivery
EP4082794A1 (en) Ink containing fine metal particles
JP6273805B2 (ja) 銀含有組成物及び銀膜形成基材
JP5232016B2 (ja) 配線形成用材料
JP7200055B2 (ja) 金属ナノ粒子のインク組成物
JP2014029017A (ja) 金属微粒子組成物の製造方法
JP4302453B2 (ja) Ni粉末の分散方法及びその方法によって得られるNi粉末分散体
JP6404523B1 (ja) 銀ナノ粒子の製造方法
JP6290402B2 (ja) 無機粒子分散体
CN114015287A (zh) 一种导电油墨的制备方法
JP2016039008A (ja) 銅層付き基板の製造方法、及び銅層付き基板

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170323

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190802

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200629

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200821

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210302