JP6020103B2 - 紫外線硬化型インクジェット用組成物および記録物 - Google Patents

紫外線硬化型インクジェット用組成物および記録物 Download PDF

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Description

本発明は、紫外線硬化型インクジェット用組成物および記録物に関するものである。
従来から、光沢感のある外観を呈する装飾品の製造方法として、金属めっきや、金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写等が用いられてきた。
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。また、箔押し印刷では、オンデマンド性が低く、多品種生産への対応が困難である、グラデーションのある金属調の印刷ができないという問題があった。
他方、顔料または染料を含む組成物による記録媒体への記録方法として、インクジェット法による記録方法が用いられている。インクジェット法では、微細なパターンの形成や、曲面部への記録にも好適に適用できるという点で優れている。また、近年、インクジェット法において、耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を特に優れたものとするため等に、紫外線を照射すると硬化する組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、紫外線硬化型インクジェット用組成物では、顔料や染料の代わりに、金属粉末を適用しようとした場合、当該金属が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができないという問題点があり、また、組成物の安定性(保存安定性)に劣り、ゲル化による粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題を引き起こす。
特開2009−57548号公報
本発明の目的は、保存安定性に優れ、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット用組成物を提供すること、また、前記紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成された光沢感、耐擦性に優れたパターンを有する記録物を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る紫外線硬化型インクジェット用組成物は、金属粉末と、重合性化合物とを含み、前記金属粉末が、リン酸基含有ポリマーで表面処理されていることを特徴とする。
これにより、保存安定性に優れ、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)を備えた記録物の製造に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット用組成物を提供することができる。
[適用例2]上記適用例に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物において、前記リン酸基含有ポリマーが、下記式(1)で表されるリン酸基含有モノマーからなるホモポリマーおよび/または前記リン酸基含有モノマーとアクリル酸ブチルからなるコポリマーであることが好ましい。
Figure 0006020103
[適用例3]上記適用例に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物において、前記金属粉末は、少なくとも表面が主としてアルミニウムで構成された粉末であることを特徴とする。
アルミニウムは、本来、各種金属材料の中でも特に優れた光沢感を呈するものであるが、紫外線硬化型インクジェット用組成物に、アルミニウム金属粉末を適用しようとした場合に、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性は特に低いものとなり、ゲル化による粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題が特に顕著に発生することを本発明者は見出していた。これに対し、本発明では、アルミニウム金属粉末を用いた場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、紫外線硬化型インクジェット用組成物を構成するアルミニウム金属粉末が、リン酸基含有ポリマーで表面処理されたものであることにより、本発明の効果は特に顕著に発揮される。
[適用例4]上記適用例に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物において、前記リン酸基含有ポリマーの重量平均分子量が1万〜100万であることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性を特に優れたものとし、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
[適用例5]上記適用例に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物において、前記重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ウレタンアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット用組成物の反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
[適用例6]本適用例に係る記録物は、上記適用例のいずれかに記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物を記録媒体上に付与し、その後、紫外線を照射することにより製造されたことを特徴とする。
本適用例によれば、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)を有する記録物を提供することができる。
[適用例7]本適用例に係る紫外線硬化型インクジェット用組成物は、金属粉末と、重合性化合物とを含み、前記金属粉末の表面に、リン酸基含有ポリマーが付着していることを特徴とする。
これにより、保存安定性に優れ、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)を備えた記録物の製造に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット用組成物を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《紫外線硬化型インクジェット用組成物》
まず、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物について説明する。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、インクジェット方式により吐出されるものであり、紫外線の照射により重合する重合性化合物を含むものである。
ところで、従来から、光沢感のある外観を呈する装飾品の製造方法として、金属めっきや、金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写等が用いられてきた。
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。また、箔押し印刷では、グラデーションのある金属調の印刷ができないという問題があった。
他方、顔料または染料を含む組成物による記録媒体への記録方法として、インクジェット法による記録方法が用いられている。インクジェット法では、微細なパターンの形成や、曲面部への記録にも好適に適用できるという点で優れている。また、近年、インクジェット法において、耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を特に優れたものとするため等に、紫外線を照射すると硬化する組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)が用いられている。
しかしながら、紫外線硬化型インクジェット用組成物では、顔料や染料の代わりに、金属粉末を適用しようとした場合、当該金属が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができないという問題点があり、また、組成物の安定性(保存安定性)に劣り、ゲル化による粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題を引き起こす。
そこで、発明者は、上記のような問題を解決する目的で鋭意研究を行った結果、本発明に至った。すなわち、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物とともに、表面処理剤としてのリン酸基含有ポリマーで表面処理されたアルミニウム金属粉末を含むものである。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物中におけるアルミニウム金属粉末の化学的安定性および分散安定性を優れたものとし、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、長期間にわたる吐出安定性を優れたものとすることができるとともに、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物において、アルミニウム金属粉末を印刷部の外表面付近に好適に配列させることができ、アルミニウム金属粉末が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができる。また、紫外線硬化型インクジェット用組成物の構成材料として表面張力の低い重合性化合物を用いた場合であっても、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物において、確実にアルミニウム金属粉末を印刷部の外表面付近に好適に配列(リーフィング)させることができ、アルミニウム金属粉末が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができる。したがって、重合性化合物の選択の幅が広がり、アルミニウム金属粉末が本体有している光沢感を犠牲にすることなく、紫外線硬化型インクジェット用組成物の特性や紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の特性(例えば、紫外線硬化型インクジェット用組成物の粘度、保存安定性、吐出安定性、記録物の耐擦性等)を容易に調整することができる。
<アルミニウム金属粉末>
上述したように、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、表面処理剤としてのリン酸基含有ポリマーで表面処理されたアルミニウム金属粉末を含むものである。
アルミニウムは、本来、各種金属材料の中でも特に優れた光沢感を呈するものであるが、紫外線硬化型インクジェット用組成物に、アルミニウム金属粉末を適用しようとした場合に、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性は特に低いものとなり、ゲル化による粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題が特に顕著に発生することを本発明者は見出していた。これに対し、本発明では、アルミニウム金属粉末を用いた場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、紫外線硬化型インクジェット用組成物を構成するアルミニウム金属粉末が、表面処理剤(リン酸基含有ポリマー)で表面処理されたものであることにより、本発明の効果は特に顕著に発揮される。
また、アルミニウム金属粉末は、いかなる方法で製造されたものであってもよいが、気相成膜法によりアルミニウム薄膜を形成し、その後、当該膜を粉砕することにより得られたものであるのが好ましい。これにより、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)において、アルミニウムが本来有している光沢感等をより効果的に表現させることができる。また、各粒子間での特性のばらつきを抑制することができる。また、当該方法を用いることにより、比較的薄いアルミニウム金属粉末であっても好適に製造することができる。
このような方法を用いてアルミニウム金属粉末を製造する場合、例えば、基材上に、アルミニウム薄膜の形成(成膜)を行うことにより、アルミニウム金属粉末を好適に製造することができる。前記基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム等を用いることができる。また、基材は、成膜面に離型剤層を有するものであってもよい。
また、前記粉砕は、液体中において、前記膜に超音波振動を付与することにより行われるものであるのが好ましい。これにより、各粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきの発生を抑制することができる。
また、上記のような方法で、粉砕を行う場合、前記液体としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼン等の炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン等のエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、アセトニトリル等の極性化合物を好適に用いることができる。このような液体を用いることにより、アルミニウム金属粉末の不本意な酸化等を防止しつつ、生産性を特に優れたものとし、また、各粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきを特に小さいものとすることができる。
本発明において、アルミニウム金属粉末は、紫外線硬化型インクジェット組成物中において、平均粒子径が500nm以上3.0μm以下であるのが好ましく、800nm以上1.8μm以下であるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることが出来る。
本発明において、平均粒子径は、レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置(日機装社製、商品名マイクロトラックMT3000)などによって測定することができる。
紫外線硬化型インクジェット用組成物中におけるアルミニウム金属粉末の含有率は、0.5質量%以上10.0質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下であるのがより好ましい。
(表面処理剤)
上述したように、本発明に係るアルミニウム金属粉末は、表面処理剤としてのリン酸基含有ポリマーで表面処理されたものである。
リン酸基含有ポリマーとしては、分子内に少なくとも2個以上のリン酸基を有する化合物を用いることができる。本発明における表面処理の原理は、表面処理剤中のリン酸基がアルミニウム金属粉末表面に吸着し、疎水基がアルミニウム金属粉末表面を被覆することによるものであるが、アルミニウム金属粉末と表面処理剤の吸着部分が複数点あることにより、表面処理剤が剥離しにくくなる。
特に、表面処理剤としてのリン酸基含有ポリマーは、下記式(1)で表される化学構造を有するリン酸基含有モノマーからなるホモポリマーおよび/または前記リン酸基含有モノマーとアクリル酸ブチルとのコポリマーで表面処理されたものであるのが好ましい。
Figure 0006020103
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性を特に優れたものとし、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
リン酸基含有ポリマーとして、例えばリン酸基含有モノマーからなるホモポリマーは、ポリホスマーM−101、ポリホスマーPE−201、ポリホスマーMH−301、ポリホスマーPP−401などが例示できる。また、リン酸基含有モノマーとアクリル酸ブチルからなるコポリマーは、ポリホスマーMHB−10(いずれもDAP社製)などが例示できる。
本発明において、リン酸基含有ポリマーの重量平均分子量が1万以上100万以下であるのが好ましく、5万以上50万以下であるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることが出来る。
本発明において、リン酸基含有ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、HLC−82220GPC)などで、ポリスチレン換算値によって求めることができる。
<重合性化合物>
前記重合性化合物としては、フェノキシエチルアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ウレタンアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種を含むのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をより優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。
また、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物として上記以外のその他のモノマーを含有していてもよい。
また、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物として、モノマー以外に、オリゴマーを含むものとしてもよい。特に多官能のオリゴマーを含むものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性を優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。なお、本発明では、重合性化合物の中でも、分子の骨格中に繰り返し構造を有し、分子量が600以上のものをオリゴマーと呼ぶ。オリゴマーとしては、繰り返し構造がウレタンであるウレタンオリゴマー、繰り返し構造がエポキシであるエポキシオリゴマー等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型インクジェット用組成物中における重合性化合物の含有率は、70質量%以上99質量%以下であるのが好ましく、80質量%以上98質量%以下であるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性、硬化性をさらに優れたものとすることができるとともに、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。なお、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物として2種以上の化合物を含むものであってもよい。この場合、これらの化合物の含有率の総和が前記範囲内の値であるのが好ましい。
<その他の成分>
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、上述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、光重合開始剤、スリップ剤(レベリング剤)、分散剤、重合促進剤、重合禁止剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、着色剤、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
光重合開始剤は、紫外線照射によってラジカルやカチオン等の活性種を発生し、上記重合性化合物の重合反応を開始させるものであれば特に制限されない。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができるが、光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤は、紫外線領域に吸収ピークを有していることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物等が挙げられる。
これらの中でも、重合性化合物への溶解性および硬化性の観点から、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物を併用することがより好ましい。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、およびビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられ、これらのうちから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
紫外線硬化型インクジェット用組成物中における光重合開始剤の含有量は、0.5質量%以上10質量%以下であるのが好ましい。光重合開始剤の含有量が前記範囲であると、紫外線硬化速度が十分大きく、且つ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色がほとんどない。
紫外線硬化型インクジェット用組成物がスリップ剤を含むものであると、レベリング作用により記録物の表面が平滑になり、耐擦性が向上する。
スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤を用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
なお、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合禁止剤を含むものであってもよいが、重合禁止剤を含む場合であっても、紫外線硬化型インクジェット用組成物中における重合禁止剤の含有率は、0.6質量%以下であるのが好ましく、0.2質量%以下であるのがより好ましい。これにより、相対的に、紫外線硬化型インクジェット用組成物中における重合性化合物の含有率を高いものとすることができるため、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性等を特に優れたものとすることができる。また、本発明では、このように重合禁止剤の含有率が比較的低い場合であっても、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性を十分に優れたものとすることができる。
また、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、記録物の製造工程において除去される(蒸発する)有機溶剤を含まないものであるのが好ましい。これにより、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を効果的に防止することができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物の室温(20℃)での粘度は、20mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上15mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による液滴吐出を好適に行うことができる。
《記録物》
次に、本発明の記録物について説明する。
本発明の記録物は、上述したような紫外線硬化型インクジェット用組成物を記録媒体上に付与し、その後、紫外線を照射することにより製造されたものである。このような記録物は、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)を有するものである。
上述したように、本発明に係る紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物を含むものであり、記録媒体に対する密着性に優れるものである。このように、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は記録媒体に対する密着性に優れるものであるため、記録媒体は、いかなるものであってもよく、吸収性または非吸収性のいずれを用いてもよく、例えば、紙(普通紙、インクジェット用専用紙等)、プラスチック材料、金属、セラミックス、木材、貝殻、綿、ポリエステル、ウール等の天然繊維・合成繊維、不織布等を用いることができる。
本発明の記録物は、いかなる用途のものであってもよく、例えば、装飾品やそれ以外に適用されるものであってもよい。本発明の記録物の具体例としては、コンソールリッド、スイッチベース、センタークラスタ、インテリアパネル、エンブレム、センターコンソール、メーター銘板等の車両用内装品、各種電子機器の操作部(キースイッチ類)、装飾性を発揮する装飾部、指標、ロゴ等の表示物等が挙げられる。
液滴吐出方式(インクジェット法の方式)としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができるが、紫外線硬化型インクジェット用組成物の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
インクジェット法による紫外線硬化型インクジェット用組成物の吐出は、公知の液滴吐出装置を用いて行うことができる。
インクジェット法により吐出された紫外線硬化型インクジェット用組成物は、紫外線の照射により硬化する。
紫外線源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、紫外線レーザダイオード(UV−LD)等を用いることができる。中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV−LED)および紫外線レーザダイオード(UV−LD)が好ましい。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
≪実施例≫
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の製造
(実施例1)
[アルミニウム金属粒子]
まず、表面が平滑なポリエチレンテレフタレート製のフィルム(表面粗さRaが0.02μm以下)を用意した。
次に、このフィルムの一方の面の全体にシリコーンオイルを塗布した。
次に、シリコーンオイルを塗布した面側に、蒸着法により、アルミニウム薄膜を形成した。
次に、アルミニウム薄膜が形成されたポリエチレンテレフタレート製のフィルム(基材)を、ジエチレングリコールジエチルエーテルで構成された液体中に入れ、超音波振動を付与した。これにより、鱗片状のアルミニウム金属粒子が得られた。
[表面処理]
まず、アクリル酸2−ホスホノオキシエチル、アクリル酸ブチル、シクロヘキサノンを良く撹拌して均一溶液とした。
次に、重合開始剤としてのAIBNを添加し、撹拌溶解させた後、系内を窒素で十分に置換した。
次に、撹拌しながら65℃で18時間反応させることにより、粘稠な均一透明ポリマー溶液を得た。
次に、上記透明ポリマー溶液を、激しく撹拌したメタノールに滴下し、ポリマーを析出させた。この分散液を遠心分離することにより、ガム状のポリマーと透明溶液を分離した。これにより、表面処理剤としてのリン酸基含有ポリマーが得られた。このリン酸基含有ポリマーの重量平均分子量は10万であった。
次に、上記のようにして得られたアルミニウム金属粒子のジエチレングリコールジエチルエーテル分散液中に、リン酸基含有ポリマーを投入して2質量%に調整し、3時間撹拌することにより、リン酸基含有ポリマーによる表面処理を行ったアルミニウム金属粉末を得た。このアルミニウム金属粉末の平均粒子径は、0.8μmであった。
次に、アルミニウム金属粉末を、表1に記載のフェノキシエチルアクリレート、光重合開始剤としてのIrgacure819(チバ・ジャパン社製)、光重合開始剤としてのSpeedcure TPO(ACETO社製)、増感剤としてのSpeedcure DETX(Lambson社製)、および重合禁止剤としてのヒドロキノンモノメチルエーテルと混合することにより、インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を得た。
(実施例2)
リン酸基含有ポリマーとして、市販されているポリホスマーMHB−10(DAP株式会社製、重量平均分子量15万)を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
(実施例3)
リン酸基含有ポリマーとして、市販されているポリホスマーM−101(DAP株式会社製)を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
(実施例4)
リン酸基含有ポリマーとして、市販されているポリホスマーPE−201(DAP株式会社製)を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
(実施例5)
リン酸基含有ポリマーとして、市販されているポリホスマーMH−301(DAP株式会社製)を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
(実施例6)
リン酸基含有ポリマーとして、市販されているポリホスマーPP−401(DAP株式会社製)を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
(比較例1)
表面処理を施していないアルミニウム金属粉末を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
(比較例2)
リン酸基含有ポリマーの代わりに、ポリマーでないアルキルリン酸エステルとして、エチルホスファートを用いて表面処理を行った以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
前記各実施例および比較例について、インクジェット組成物の組成を、表1にまとめて示した。なお、表中、ポリホスマーMHB−10を「MHB10」、ポリホスマーM−101を「M101」、ポリホスマーPE−201を「PE201」、ポリホスマーMH−301を「MH301」、ポリホスマーPP−401を「PP401」、エチルホスファートを「EP」、フェノキシエチルアクリレートを「PEA」、トリプロピレングリコールジアクリレートを「TPGDA」、ジプロピレングリコールジアクリレートを「DPGDA」、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアクリレートを「HPPA」、N−ビニルカプロラクタムを「VC」、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートを「DMTCDDA」、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレートを「DMDCPDA」、ジシクロペンテニルアクリレートを「DCPTeA」、ジシクロペンタニルアクリレートを「DCPTaA」、イソボルニルアクリレートを「IBA」、アクリロイルモルホリンを「AM」、テトラヒドロフルフリルアクリレートを「THFA」、エチルカルビトールアクリレートを「ECA」、メトキシトリエチレングリコールアクリレートを「MTEGA」、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルを「VEEA」、4−ヒドロキシブチルアクリレートを「HBA」、ベンジルメタクリレートを「BM」、ウレタンアクリレートを「UA」、Irgacure 819(チバ・ジャパン社製)を「ic819」、Speedcure TPO(ACETO社製)を「scTPO」、Speedcure DETX(Lambson社製)を「scDETX」、ヒドロキノンモノメチルエーテルを「MEHQ」で示した。また、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の20℃における粘度は、いずれも、3mPa・s以上15mPa・s以下の範囲内の値であった。
Figure 0006020103
[2]液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
前記各実施例および比較例のインクジェット組成物を用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
まず、チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した液滴吐出装置および前記各実施例および比較例のインクジェット組成物を用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各インクジェット組成物について、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、2000000発(2000000滴)の液滴の連続吐出を行った。その後、液滴吐出装置の運転を停止し、液滴吐出装置の流路に各インクジェット組成物が充填された状態で、25℃、55%RHの環境下に、240時間放置した。
その後、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、25℃、55%RHの環境下で、4000000発(4000000滴)の液滴の連続吐出を行った。上記150時間放置した後の、液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された4000000発の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
A:ズレ量dの平均値が0.07μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.07μm以上0.14μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.14μm以上0.17μm未満。
D:ズレ量dの平均値が0.17μm以上0.21μm未満。
E:ズレ量dの平均値が0.21μm以上。
[3]インクジェット組成物の保存安定性評価(長期安定性評価)
前記各実施例および比較例のインクジェット組成物について、40℃の環境下に、40日間放置した後、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のインクジェット組成物の20℃における粘度を測定し、製造直後からの粘度の上昇率を求め、以下の基準に従い、評価した。
A:粘度の上昇率が5%未満。
B:粘度の上昇率が5%以上10%未満。
C:粘度の上昇率が10%以上18%未満。
D:粘度の上昇率が18%以上23%未満。
E:粘度の上昇率が23%以上、または、異物の発生が認められる。
[4]硬化性
前記各実施例および比較例のインクジェット組成物について、エプソン製インクジェットプリンター;PM800Cへ導入し、記録媒体として三菱樹脂(株)製、ダイアホイル G440E(厚さ38μm)を用いて、インク量wet 9g/m2にて、ベタ印刷を行い、印刷後、ただちにLED−UVランプ;フォセオン社製 RX firefly(ギャップ6mm ピーク波長365nm 1000mW/cm2)を用いて紫外線の照射を行い、インクジェット組成物が硬化したか否かを確認し、以下の5段階の基準に従い、評価した。硬化したか否かは、綿棒にて表面をこすって、未硬化のインク組成物が付着しないか否かで判断した。なお、下記A〜Eの照射量に該当するかどうかは、ランプを何秒照射したかによって算出できる。
A:100mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
B:100mJ/cm2以上200mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
C:200mJ/cm2以上500mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
D:500mJ/cm2以上1000mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
E:1000mJ/cm2以上の紫外線照射量にて硬化する。もしくはまったく硬化しない。
[5]記録物の製造
各実施例および比較例のインクジェット組成物を用いて、それぞれ、以下のようにして、記録物としてのインテリアパネルを製造した。
まず、インクジェット組成物をインクジェット装置に投入した。
その後、ポリカーボネート(旭硝子社製、カーボグラス ポリッシュ 2mm厚)を用いて成形した曲面部を有する基材(記録媒体)上に、所定のパターンで、インクジェット組成物を吐出した。
その後、365nm、380nm、395nmの波長に極大値を有するスペクトルの紫外線の照射を、照射強度180mW/cm2を15秒間照射し、基材上のインクジェット組成物を硬化させ、記録物としてのインテリアパネルを得た。
上記のような方法を用いて、各実施例および比較例のインクジェット組成物を用いて、それぞれ、10個のインテリアパネル(記録物)を製造した。
また、基材として、ポリエチレンテレフタレート(三菱樹脂社製 ダイアホイル G440E 38μm厚)を用いて成形したもの、および、硬質塩化ビニル(アクリサンデー社製 サンデーシート(透明)0.5mm厚)を用いて成形したものを用いた以外は、上記と同様にして、各実施例および比較例のインクジェット組成物を用いて、それぞれ、10個ずつのインテリアパネル(記録物)を製造した。
[6]記録物の評価
上記のようにして得られた各記録物について、以下のような評価を行った。
[6.1]記録物の外観評価
前記各実施例および比較例で製造した各記録物を目視により観察し、以下の7段階の基準に従い、評価した。
A:高級感に溢れる光沢感を有し、極めて優れた外観を有している。
B:高級感に溢れる光沢感を有し、非常に優れた外観を有している。
C:高級感のある光沢感を有し、優れた外観を有している。
D:高級感のある光沢感を有し、良好な外観を有している。
E:光沢感に劣り、外観がやや不良。
F:光沢感に劣り、外観が不良。
G:光沢感に劣り、外観が極めて不良。
[6.2]光沢度
前記各実施例および比較例で製造した各記録物のパターン形成部について、光沢度計(MINOLTA MULTI GLOSS 268)を用い、煽り角度60°での光沢度を測定し、以下の基準に従い評価した。
A:光沢度が400以上。
B:光沢度が300以上400未満。
C:光沢度が200以上300未満。
D:光沢度が200未満。
[6.3]耐擦性
前記各実施例および比較例に係る記録物について、記録物の製造から48時間経過した時点で、サウザーランドラブテスターを用い、JIS K5701に準じ、相紙としてポリエチレンテレフタレート製のフィルム(三菱樹脂社製、ダイアホイルG440E)を用いた耐擦性試験を行い、上記[6.2]で述べたのと同様の方法により、耐擦性試験後の記録物についても光沢度(煽り角度60°)を測定し、耐擦性試験前後での光沢度の低下率を求め、以下の基準に従い評価した。
A:光沢度の低下率が5%未満。
B:光沢度の低下率が5%以上13%未満。
C:光沢度の低下率が13%以上23%未満。
D:光沢度の低下率が23%以上27%未満。
E:光沢度の低下率が27%以上、または、金属粒子が脱落して記録媒体の表面が露出したもの。
これらの結果を表2に示す。なお、表2中、ポリカーボネート製の基材を用いて製造された記録物を「M1」、ポリエチレンテレフタレート製の基材を用いて製造された記録物を「M2」、硬質塩化ビニル製の基材を用いて製造された記録物を「M3」で示した。
Figure 0006020103
表2から明らかなように、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、液滴の吐出安定性、保存安定性および硬化性に優れていた。また、本発明の記録物は、優れた光沢感、外観を有しており、パターン形成部の耐擦性にも優れていた。これに対して、比較例では、満足な結果が得られなかった。

Claims (7)

  1. 紫外線硬化型インクジェット用組成物であって、金属粉末と、重合性化合物とを含み、前記金属粉末が、リン酸基含有ポリマーで表面処理されていることを特徴とする紫外線硬化型インクジェット用組成物。
  2. 前記リン酸基含有ポリマーが、下記式(1)で表されるリン酸基含有モノマーからなるホモポリマーおよび/または前記リン酸基含有モノマーとアクリル酸ブチルからなるコポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
    Figure 0006020103
  3. 前記金属粉末は、少なくとも表面が主としてアルミニウムで構成された粉末である請求項1または2に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
  4. 前記リン酸基含有ポリマーの重量平均分子量が1万〜100万である請求項1ないし3のいずれか一項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
  5. 前記重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ウレタンアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物を記録媒体上に付与し、その後、紫外線を照射することにより製造されたこと特徴とする記録物。
  7. 紫外線硬化型インクジェット用組成物であって、前記紫外線硬化型組成物は金属粉末と、重合性化合物とを含み、前記金属粉末の表面に、リン酸基含有ポリマーが付着していることを特徴とする紫外線硬化型インクジェット用組成物。
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