JP2014141587A - 紫外線硬化型インクジェット用組成物および記録物 - Google Patents
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Abstract
【課題】保存安定性および吐出安定性に優れ、光沢感に優れたパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット用組成物を提供すること、また、前記紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成された光沢感に優れたパターンを有する記録物を提供すること。
【解決手段】本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット用組成物であって、重合性化合物と、リン酸化合物で表面処理されたアルミニウム顔料と、を含み、前記リン酸化合物の含有量が、0.02質量%以下であることを特徴とする。前記アルミニウム顔料は、アルミニウム金属粒子を前記リン酸化合物で表面処理した後、前記表面処理に供されなかった前記リン酸化合物を除去する処理を施したものであることが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット用組成物であって、重合性化合物と、リン酸化合物で表面処理されたアルミニウム顔料と、を含み、前記リン酸化合物の含有量が、0.02質量%以下であることを特徴とする。前記アルミニウム顔料は、アルミニウム金属粒子を前記リン酸化合物で表面処理した後、前記表面処理に供されなかった前記リン酸化合物を除去する処理を施したものであることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、紫外線硬化型インクジェット用組成物および記録物に関するものである。
従来から、光沢感のある外観を呈する装飾品の製造方法として、金属めっきや、金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写等が用いられてきた。
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。また、箔押し印刷では、オンデマンド性が低く、多品種生産への対応が困難である、グラデーションのある金属調の印刷ができないという問題があった。
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。また、箔押し印刷では、オンデマンド性が低く、多品種生産への対応が困難である、グラデーションのある金属調の印刷ができないという問題があった。
他方、顔料または染料を含む組成物による記録媒体への記録方法として、インクジェット法による記録方法が用いられている。インクジェット法では、微細なパターンの形成や、曲面部への記録にも好適に適用できるという点で優れている。また、近年、インクジェット法において、耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を特に優れたものとするため等に、紫外線を照射すると硬化する組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、紫外線硬化型インクジェット用組成物では、顔料や染料の代わりに、金属粉末を適用しようとした場合、当該金属が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができないという問題点があり、また、組成物の安定性(保存安定性)に劣り、ゲル化による粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題を引き起こす。
しかしながら、紫外線硬化型インクジェット用組成物では、顔料や染料の代わりに、金属粉末を適用しようとした場合、当該金属が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができないという問題点があり、また、組成物の安定性(保存安定性)に劣り、ゲル化による粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題を引き起こす。
本発明の目的は、保存安定性、金属粉末の分散安定性に優れ、光沢感に優れたパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット用組成物を提供すること、また、前記紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成された光沢感に優れたパターンを有する記録物を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット用組成物であって、
重合性化合物と、リン酸化合物で表面処理された顔料と、を含み、
前記リン酸化合物の含有量が、0.02質量%以下であることを特徴とする。
これにより、保存安定性、金属粉末の分散安定性に優れ、光沢感に優れたパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット用組成物を提供することができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット用組成物であって、
重合性化合物と、リン酸化合物で表面処理された顔料と、を含み、
前記リン酸化合物の含有量が、0.02質量%以下であることを特徴とする。
これにより、保存安定性、金属粉末の分散安定性に優れ、光沢感に優れたパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット用組成物を提供することができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記顔料は、アルミニウム金属粒子を前記リン酸化合物で表面処理した後、前記表面処理に供されなかった前記リン酸化合物を除去する処理を施したものであることが好ましい。
これにより、最終的な紫外線硬化型インクジェット用組成物中におけるリン酸化合物の含有量を好適なものとすることができる。その結果、紫外線硬化型インクジェット用組成物の経時的な色の変化や増粘をより確実に抑制することができ、保存安定性および吐出安定性をより優れたものとすることができる。
これにより、最終的な紫外線硬化型インクジェット用組成物中におけるリン酸化合物の含有量を好適なものとすることができる。その結果、紫外線硬化型インクジェット用組成物の経時的な色の変化や増粘をより確実に抑制することができ、保存安定性および吐出安定性をより優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記リン酸化合物は、下記式(1)で表される化学構造を有することが好ましい。
PORn(OH)3−n (1)
(式(1)中、Rは、CH3(CH2)m−、CH3(CH2)m(CH2O)l−、CH3(CH2)m(CH2CH2O)l−、または、CH3(CH2)mO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは2以上17以下の整数であり、lは1以上12以下の整数である。)
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとしつつ、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性を特に優れたものとすることができる。
PORn(OH)3−n (1)
(式(1)中、Rは、CH3(CH2)m−、CH3(CH2)m(CH2O)l−、CH3(CH2)m(CH2CH2O)l−、または、CH3(CH2)mO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは2以上17以下の整数であり、lは1以上12以下の整数である。)
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとしつつ、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性を特に優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記リン酸化合物は、下記式(2)で表される化学構造を有することが好ましい。
PORn(OH)3−n (2)
(式(2)中、Rは、CF3(CF2)m−、CF3(CF2)m(CH2)l−、CF3(CF2)m(CH2O)l−、CF3(CF2)m(CH2CH2O)l−、CF3(CF2)mO−、または、CF3(CF2)m(CH2)lO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは2以上17以下の整数であり、lは1以上12以下の整数である。)
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性を特に優れたものとし、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
PORn(OH)3−n (2)
(式(2)中、Rは、CF3(CF2)m−、CF3(CF2)m(CH2)l−、CF3(CF2)m(CH2O)l−、CF3(CF2)m(CH2CH2O)l−、CF3(CF2)mO−、または、CF3(CF2)m(CH2)lO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは2以上17以下の整数であり、lは1以上12以下の整数である。)
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性を特に優れたものとし、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記アルミニウム顔料は、鱗片状をなすものであることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物が付与される記録媒体上で、当該アルミニウム顔料の主面が記録媒体の表面形状に沿うように、アルミニウム顔料を配置することができ、アルミニウムが本来有している光沢感等を、得られる記録物においてもより効果的に発揮させることができ、形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができるとともに、記録物の耐擦性を特に優れたものとすることができる。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物が付与される記録媒体上で、当該アルミニウム顔料の主面が記録媒体の表面形状に沿うように、アルミニウム顔料を配置することができ、アルミニウムが本来有している光沢感等を、得られる記録物においてもより効果的に発揮させることができ、形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができるとともに、記録物の耐擦性を特に優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記アルミニウム顔料は、平均厚みが10nm以上100nm以下のものであることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記アルミニウム顔料は、50%平均粒子径が0.5μm以上3.0μm以下であることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性をさらに優れたものとすることができる。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性をさらに優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記重合性化合物として、脂環構造を有するモノマーを含むことが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット用組成物の反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット用組成物の反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、紫外線硬化型インクジェット用組成物中における前記脂環構造を有するモノマーの含有率が40質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット用組成物の反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット用組成物の反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記脂環構造を有するモノマーとして、前記脂環構造中にヘテロ原子を含む単官能モノマーを含むことが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット用組成物の反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット用組成物の反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、紫外線硬化型インクジェット用組成物中における前記単官能モノマーの含有率は、10質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記脂環構造を有するモノマーは、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、1−アダマンチルアクリレート、γ−ブチロラクトンアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、ペンタメチルピペリジルアクリレート、テトラメチルピペリジルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート、メバロン酸ラクトンアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アクリロイルモルホリン、および、テトラヒドロフルフリルアクリレートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記脂環構造を有するモノマー以外の重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアクリレート、および、4−ヒドロキシブチルアクリレートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであることが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性をより優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性をより優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、硬化性を特に優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物においては、アルミニウムが本来有している光沢感・高級感をより効果的に発揮させ、印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとし、記録物の耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記物質Aの含有量をXA[質量%]、前記アルミニウム顔料の含有量をXM[質量%]としたとき、0.01≦XA/XM≦0.8の関係を満足することが好ましい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができるとともに、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成される印刷部の光沢感、耐擦性をさらに優れたものとすることができる。
本発明の記録物は、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物を記録媒体上に付与し、その後、紫外線を照射することにより製造されたことを特徴とする。
これにより、光沢感に優れたパターンを有する記録物を提供することができる。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができるとともに、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成される印刷部の光沢感、耐擦性をさらに優れたものとすることができる。
本発明の記録物は、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物を記録媒体上に付与し、その後、紫外線を照射することにより製造されたことを特徴とする。
これにより、光沢感に優れたパターンを有する記録物を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《紫外線硬化型インクジェット用組成物》
まず、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物について説明する。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、インクジェット方式により吐出されるものであり、紫外線の照射により重合する重合性化合物を含むものである。
《紫外線硬化型インクジェット用組成物》
まず、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物について説明する。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、インクジェット方式により吐出されるものであり、紫外線の照射により重合する重合性化合物を含むものである。
ところで、従来から、光沢感のある外観を呈する装飾品の製造方法として、金属めっきや、金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写等が用いられてきた。
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。また、箔押し印刷では、グラデーションのある金属調の印刷ができないという問題があった。
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。また、箔押し印刷では、グラデーションのある金属調の印刷ができないという問題があった。
他方、顔料または染料を含む組成物による記録媒体への記録方法として、インクジェット法による記録方法が用いられている。インクジェット法では、微細なパターンの形成や、曲面部への記録にも好適に適用できるという点で優れている。また、近年、インクジェット法において、耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を特に優れたものとするため等に、紫外線を照射すると硬化する組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)が用いられている。
しかしながら、紫外線硬化型インクジェット用組成物では、顔料や染料の代わりに、金属粉末を適用しようとした場合、当該金属が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができないという問題点があり、また、組成物の安定性(保存安定性)に劣り、ゲル化による粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題を引き起こす。
しかしながら、紫外線硬化型インクジェット用組成物では、顔料や染料の代わりに、金属粉末を適用しようとした場合、当該金属が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができないという問題点があり、また、組成物の安定性(保存安定性)に劣り、ゲル化による粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題を引き起こす。
これに対して、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物と、リン酸化合物で表面処理されたアルミニウム顔料とを含み、かつ、リン酸化合物の含有量が、0.02質量%以下である点に特徴を有している。
このような特徴を有することにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物中におけるアルミニウム顔料の化学的安定性および分散安定性を優れたものするとともに、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、長期間にわたる吐出安定性を優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物において、アルミニウム顔料を印刷部の外表面付近に好適に配列させることができ、アルミニウム顔料が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができる。
このような特徴を有することにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物中におけるアルミニウム顔料の化学的安定性および分散安定性を優れたものするとともに、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、長期間にわたる吐出安定性を優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物において、アルミニウム顔料を印刷部の外表面付近に好適に配列させることができ、アルミニウム顔料が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができる。
また、紫外線硬化型インクジェット用組成物の構成材料として表面張力の低い重合性化合物を用いた場合であっても、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物において、確実にアルミニウム顔料を印刷部の外表面付近に好適に配列(リーフィング)させることができ、アルミニウム顔料が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができる。したがって、重合性化合物の選択の幅が広がり、アルミニウム顔料が本体有している光沢感を犠牲にすることなく、紫外線硬化型インクジェット用組成物の特性や紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の特性(例えば、紫外線硬化型インクジェット用組成物の粘度、保存安定性、吐出安定性、記録物の耐擦性等)を容易に調整することができる。
上述したように、本発明では、リン酸化合物の含有量が、0.02質量%以下であるが、リン酸化合物の含有量は、0.01質量%以下であるのが好ましい。これにより、本発明の効果がより顕著なものとなる。リン酸化合物の含有量が前記上限値を超えると、経時的に重合性化合物に変色が生じてしまい、塗膜の色味が変化する場合がある。また、重合性化合物の重合反応が生じてしまい、紫外線硬化型インクジェット用組成物が増粘してしまう場合がある。その結果、インクジェット吐出に必要な印加電圧の変動を引き起こしたり、インクの飛行曲がりやミストが発生したりすることにより、記録物にムラやスジといった問題が発生する場合がある。
なお、リン酸化合物の含有量とは、表面処理後に紫外線硬化型インクジェット用組成物の製造過程で紫外線硬化型インクジェット用組成物中に残存した「顔料と未反応のリン酸化合物」、および、アルミニウム顔料表面から「遊離したリン酸化合物」の合計の含有量をいう。
なお、リン酸化合物の含有量とは、表面処理後に紫外線硬化型インクジェット用組成物の製造過程で紫外線硬化型インクジェット用組成物中に残存した「顔料と未反応のリン酸化合物」、および、アルミニウム顔料表面から「遊離したリン酸化合物」の合計の含有量をいう。
<アルミニウム顔料>
上述したように、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、リン酸化合物で表面処理されたアルミニウム顔料を含むものである。
アルミニウム顔料は、アルミニウム金属粒子を後述するリン酸化合物で表面処理した後、当該表面処理に供されなかったリン酸化合物を除去する処理を施したものであるのが好ましい。これにより、最終的な紫外線硬化型インクジェット用組成物中におけるリン酸化合物の含有量を好適なものとすることができる。その結果、紫外線硬化型インクジェット用組成物の経時的な色の変化や増粘をより確実に抑制することができ、保存安定性および吐出安定性をより優れたものとすることができる。
表面処理に供されなかったリン酸化合物を除去する処理方法としては、例えば、粗大アルミニウム、ゼオライト、活性炭、イオン交換樹脂等を用いて吸着除去する方法、遠心分離により固液分離して除去する方法等が挙げられる。
上述したように、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、リン酸化合物で表面処理されたアルミニウム顔料を含むものである。
アルミニウム顔料は、アルミニウム金属粒子を後述するリン酸化合物で表面処理した後、当該表面処理に供されなかったリン酸化合物を除去する処理を施したものであるのが好ましい。これにより、最終的な紫外線硬化型インクジェット用組成物中におけるリン酸化合物の含有量を好適なものとすることができる。その結果、紫外線硬化型インクジェット用組成物の経時的な色の変化や増粘をより確実に抑制することができ、保存安定性および吐出安定性をより優れたものとすることができる。
表面処理に供されなかったリン酸化合物を除去する処理方法としては、例えば、粗大アルミニウム、ゼオライト、活性炭、イオン交換樹脂等を用いて吸着除去する方法、遠心分離により固液分離して除去する方法等が挙げられる。
[母粒子(アルミニウム金属粒子)]
まず、アルミニウム顔料を構成する母粒子(リン酸化合物による表面処理を受けるアルミニウム金属粒子)について説明する。
アルミニウム顔料を構成する母粒子は、少なくとも、表面付近を含む領域がアルミニウムで構成されたものであればよく、例えば、全体がアルミニウムで構成されたものであってもよいし、非金属材料で構成された基部と、当該基部を被覆するアルミニウムで構成された被膜とを有するものであってもよい。
まず、アルミニウム顔料を構成する母粒子(リン酸化合物による表面処理を受けるアルミニウム金属粒子)について説明する。
アルミニウム顔料を構成する母粒子は、少なくとも、表面付近を含む領域がアルミニウムで構成されたものであればよく、例えば、全体がアルミニウムで構成されたものであってもよいし、非金属材料で構成された基部と、当該基部を被覆するアルミニウムで構成された被膜とを有するものであってもよい。
アルミニウム(Al)は、本来、各種金属材料の中でも特に優れた光沢感を呈するものであるが、紫外線硬化型インクジェット用組成物に、アルミニウムで構成された粉末を適用しようとした場合に、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性は特に低いものとなり、ゲル化による粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題が特に顕著に発生することを本発明者は見出していた。これに対し、本発明では、アルミニウム顔料を用いた場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、紫外線硬化型インクジェット用組成物を構成するアルミニウム顔料がリン酸化合物で表面処理されたものであることにより、上記問題を解決することができる。
また、母粒子は、いかなる方法で製造されたものであってもよいが、気相成膜法によりAlで構成された膜を形成し、その後、当該膜を粉砕することにより得られたものであるのが好ましい。これにより、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)において、Alが本来有している光沢感等をより効果的に表現させることができる。また、各粒子間での特性のばらつきを抑制することができる。また、当該方法を用いることにより、比較的薄いアルミニウム顔料であっても好適に製造することができる。
このような方法を用いて母粒子を製造する場合、例えば、基材上に、Alで構成された膜の形成(成膜)を行うことにより、母粒子を好適に製造することができる。前記基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム等を用いることができる。また、基材は、成膜面に離型剤層を有するものであってもよい。
このような方法を用いて母粒子を製造する場合、例えば、基材上に、Alで構成された膜の形成(成膜)を行うことにより、母粒子を好適に製造することができる。前記基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム等を用いることができる。また、基材は、成膜面に離型剤層を有するものであってもよい。
また、前記粉砕は、液体中において、前記膜に超音波振動を付与することにより行われるものであるのが好ましい。これにより、上述したような粒径の母粒子を容易かつ確実に得ることができるとともに、各粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきの発生を抑制することができる。
また、上記のような方法で、粉砕を行う場合、前記液体としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼン等の炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン等のエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、アセトニトリル等の極性化合物を好適に用いることができる。このような液体を用いることにより、母粒子の不本意な酸化等を防止しつつ、母粒子、アルミニウム顔料の生産性を特に優れたものとし、また、各粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきを特に小さいものとすることができる。
また、上記のような方法で、粉砕を行う場合、前記液体としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼン等の炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン等のエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、アセトニトリル等の極性化合物を好適に用いることができる。このような液体を用いることにより、母粒子の不本意な酸化等を防止しつつ、母粒子、アルミニウム顔料の生産性を特に優れたものとし、また、各粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきを特に小さいものとすることができる。
[リン酸化合物]
上述した母粒子は、リン酸化合物で表面処理されている。このようにリン酸化合物で処理することにより、母粒子だけでは生じてしまう保存安定性の低下やゲル化による粘度上昇による吐出安定性の低下を抑制することができる。しかしながら、紫外線硬化型インクジェット用組成物中にリン酸化合物が多量に存在すると、紫外線硬化型インクジェット用組成物の経時的な色の変化や増粘が生じてしまうが、本発明を適用することにより、そのような問題を解決することができる。
リン酸化合物としては、特に限定されないが、リン酸アルキルエステル、フッ素系リン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性および吐出安定性をより優れたものとすることができる。
上述した母粒子は、リン酸化合物で表面処理されている。このようにリン酸化合物で処理することにより、母粒子だけでは生じてしまう保存安定性の低下やゲル化による粘度上昇による吐出安定性の低下を抑制することができる。しかしながら、紫外線硬化型インクジェット用組成物中にリン酸化合物が多量に存在すると、紫外線硬化型インクジェット用組成物の経時的な色の変化や増粘が生じてしまうが、本発明を適用することにより、そのような問題を解決することができる。
リン酸化合物としては、特に限定されないが、リン酸アルキルエステル、フッ素系リン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性および吐出安定性をより優れたものとすることができる。
以下、各化合物について説明する。
(リン酸アルキルエステル)
リン酸アルキルエステルは、リン酸が有する少なくとも一部のOH基が、アルキル基(CnH2n+1−(ただし、nは1以上の整数))を含む官能基でエステル化された構造を有するものである。
(リン酸アルキルエステル)
リン酸アルキルエステルは、リン酸が有する少なくとも一部のOH基が、アルキル基(CnH2n+1−(ただし、nは1以上の整数))を含む官能基でエステル化された構造を有するものである。
リン酸アルキルエステルは、C、H、P、およびOのみを構成元素とするものであるのが好ましい。これにより、アルミニウム顔料の分散媒への分散性が特に優れたものとなり、分散剤を用いなくてもアルミニウム顔料の分散状態を保持することができる。
特に、リン酸アルキルエステルは、下記式(1)で表される化学構造を有するものであるのが好ましい。
特に、リン酸アルキルエステルは、下記式(1)で表される化学構造を有するものであるのが好ましい。
PORn(OH)3−n (1)
(式(1)中、Rは、CH3(CH2)m−、CH3(CH2)m(CH2O)l−、CH3(CH2)m(CH2CH2O)l−、または、CH3(CH2)mO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは2以上17以下の整数であり、lは1以上12以下の整数である。)
(式(1)中、Rは、CH3(CH2)m−、CH3(CH2)m(CH2O)l−、CH3(CH2)m(CH2CH2O)l−、または、CH3(CH2)mO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは2以上17以下の整数であり、lは1以上12以下の整数である。)
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性を特に優れたものとし、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
式(1)中、mは、2以上17以下の整数であるのが好ましいが、4以上12以下の整数であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
また、式(1)中、lは、1以上12以下の整数であるのが好ましいが、1以上11以下の整数であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
式(1)中、mは、2以上17以下の整数であるのが好ましいが、4以上12以下の整数であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
また、式(1)中、lは、1以上12以下の整数であるのが好ましいが、1以上11以下の整数であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
リン酸アルキルエステルの好ましい具体例としては、例えば、C14H29(O)P(OCH2CH3)2、C16H33(O)P(OCH2CH3)2、C18H37(O)P(OH)2、C18H37(O)P(OH)(OCH2CH3)、C12H25(O)P(OCH2CH3)2、C12H25(O)P(OCH2CH3)2等が挙げられる。
上記のようなリン酸アルキルエステルは、母粒子に直接処理するものであってもよいが、前記母粒子に対して酸または塩基を処理させた後に、当該母粒子に対してリン酸アルキルエステルによる処理を行うのが好ましい。これにより、母粒子表面に、リン酸アルキルエステルによる化学的な結合による修飾をより確実に行うことができ、上述したような本発明による効果をより効果的に発揮させることができる。また、リン酸アルキルエステルによる表面処理を行う前に母粒子となるべき粒子の表面に酸化被膜が形成されている場合であっても、当該酸化被膜を確実に除去することができ、酸化被膜が除去された状態で、リン酸アルキルエステルによる表面処理を行うことができるため、製造されるアルミニウム顔料の光沢感を特に優れたものとすることができる。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、炭酸、蟻酸、安息香酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、亜硫酸、次亜硫酸、亜硝酸、次亜硝酸、亜リン酸、次亜リン酸等のプロトン酸を用いることができる。中でも、塩酸、リン酸、酢酸が好適である。一方、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等を用いることができる。中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好適である。
(フッ素系リン酸エステル)
フッ素系リン酸エステルとしては、分子内に少なくとも1個のフッ素原子を有するリン酸エステルを用いることができる。
特に、フッ素系リン酸エステルは、下記式(2)で表される化学構造を有するものであるのが好ましい。
フッ素系リン酸エステルとしては、分子内に少なくとも1個のフッ素原子を有するリン酸エステルを用いることができる。
特に、フッ素系リン酸エステルは、下記式(2)で表される化学構造を有するものであるのが好ましい。
PORn(OH)3−n (2)
(式(2)中、Rは、CF3(CF2)m−、CF3(CF2)m(CH2)l−、CF3(CF2)m(CH2O)l−、CF3(CF2)m(CH2CH2O)l−、CF3(CF2)mO−、または、CF3(CF2)m(CH2)lO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは5以上17以下の整数であり、lは1以上12以下の整数である。)
(式(2)中、Rは、CF3(CF2)m−、CF3(CF2)m(CH2)l−、CF3(CF2)m(CH2O)l−、CF3(CF2)m(CH2CH2O)l−、CF3(CF2)mO−、または、CF3(CF2)m(CH2)lO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは5以上17以下の整数であり、lは1以上12以下の整数である。)
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性を特に優れたものとし、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
式(2)中、mは、5以上17以下の整数であるのが好ましいが、4以上12以下の整数であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
また、式(2)中、lは、1以上12以下の整数であるのが好ましいが、1以上10以下の整数であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
また、フッ素系リン酸エステルは、パーフルオロアルキル構造(CnF2n+1)を有するものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性をさらに優れたものとし、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の印刷部の光沢感、耐擦性をさらに優れたものとすることができる。
式(2)中、mは、5以上17以下の整数であるのが好ましいが、4以上12以下の整数であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
また、式(2)中、lは、1以上12以下の整数であるのが好ましいが、1以上10以下の整数であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
また、フッ素系リン酸エステルは、パーフルオロアルキル構造(CnF2n+1)を有するものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性をさらに優れたものとし、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の印刷部の光沢感、耐擦性をさらに優れたものとすることができる。
上記のようなフッ素系化合物は、母粒子に直接処理するものであってもよいが、前記母粒子に対して酸または塩基を処理させた後に、当該母粒子に対してフッ素系化合物による処理を行うのが好ましい。これにより、母粒子表面に、フッ素系化合物による化学的な結合による修飾をより確実に行うことができ、上述したような本発明による効果をより効果的に発揮させることができる。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、炭酸、蟻酸、安息香酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、亜硫酸、次亜硫酸、亜硝酸、次亜硝酸、亜リン酸、次亜リン酸等のプロトン酸を用いることができる。中でも、塩酸、リン酸、酢酸が好適である。一方、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等を用いることができる。中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好適である。
アルミニウム顔料(母粒子)は、球状、紡錘形状、針状等、いかなる形状のものであってもよいが、鱗片形状をなすものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物が付与される記録媒体上で、当該アルミニウム顔料の主面が記録媒体の表面形状に沿うように、アルミニウム顔料を配置することができ、アルミニウムが本来有している光沢感等を、得られる記録物においてもより効果的に発揮させることができ、形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができるとともに、記録物の耐擦性を特に優れたものとすることができる。また、上述したようなリン酸化合物による表面処理を施していない構成においては、アルミニウム顔料が鱗片状をなすものであると、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性が低いものとなるという傾向が特に顕著になっていたが、本発明では、アルミニウム顔料が鱗片状をなすものであっても、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、アルミニウム顔料の形状が鱗片状である場合に、本発明の効果はより顕著に発揮される。
本発明において、鱗片状とは、平板状、湾曲板状等のように、所定の角度から観察した際(平面視した際)の面積が、当該観察方向と直交する角度から観察した際の面積よりも大きい形状のことをいい、特に、投影面積が最大となる方向から観察した際(平面視した際)の面積S1[μm2]と、当該観察方向と直交する方向のうち観察した際の面積が最大となる方向から観察した際の面積S0[μm2]に対する比率(S1/S0)が、好ましくは2以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは8以上である。この値としては、例えば、任意の10個の粒子について観察を行い、これらの粒子についての算出される値の平均値を採用することができる。
アルミニウム顔料の平均厚みは、10nm以上100nm以下のものであるのが好ましく、20nm以上50nm以下のものであるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
アルミニウム顔料の50%平均粒径は、0.5μm以上3.0μm以下であるのが好ましく、0.6μm以上1.0μm以下であるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
紫外線硬化型インクジェット用組成物中におけるアルミニウム顔料の含有量は、0.5質量%以上10.0質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下であるのがより好ましい。
紫外線硬化型インクジェット用組成物中におけるアルミニウム顔料の含有量は、0.5質量%以上10.0質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下であるのがより好ましい。
<重合性化合物>
重合性化合物は、紫外線の照射により重合し、硬化する成分である。このような成分を含むことにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を優れたものとすることができる。
重合性化合物は、液状をなすものであり、紫外線硬化型インクジェット用組成物において、アルミニウム顔料を分散する分散媒として機能するものであるのが好ましい。これにより、別途、記録物の製造過程において除去される(蒸発する)分散媒を用いる必要がなく、記録物の製造においても、分散媒を除去する工程を設ける必要がないため、記録物の生産性を特に優れたものとすることができる。また、分散媒として一般に有機溶媒として用いられているものを使用する必要がないため、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を防止することができる。また、重合性化合物を含むことにより、様々な記録媒体(基材)に対する、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成される印刷部の密着性を優れたものとすることができる。すなわち、重合性化合物を含むことにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、メディア対応性に優れたものとなる。
重合性化合物は、紫外線の照射により重合し、硬化する成分である。このような成分を含むことにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を優れたものとすることができる。
重合性化合物は、液状をなすものであり、紫外線硬化型インクジェット用組成物において、アルミニウム顔料を分散する分散媒として機能するものであるのが好ましい。これにより、別途、記録物の製造過程において除去される(蒸発する)分散媒を用いる必要がなく、記録物の製造においても、分散媒を除去する工程を設ける必要がないため、記録物の生産性を特に優れたものとすることができる。また、分散媒として一般に有機溶媒として用いられているものを使用する必要がないため、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を防止することができる。また、重合性化合物を含むことにより、様々な記録媒体(基材)に対する、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成される印刷部の密着性を優れたものとすることができる。すなわち、重合性化合物を含むことにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、メディア対応性に優れたものとなる。
重合性化合物としては、紫外線の照射により重合する成分であればよく、例えば、各種モノマー、各種オリゴマー(ダイマー、トリマー等を含む)等を用いることができるが、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物として、少なくともモノマー成分を含むものであるのが好ましい。モノマーは、オリゴマー成分等に比べて、一般に、低粘度の成分であるため、紫外線硬化型インクジェット用組成物の吐出安定性を特に優れたものとする上で有利である。
重合性化合物としてのモノマーとしては、例えば、イソボニルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、PO変性ノニルフェノールアクリレート、EO変性ノニルフェノールアクリレート、EO変性2エチルヘキシルアクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、EO変性クレゾールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、ポリエチレングリコール300ジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、ポリエチレングリコール600ジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、PO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、γ−ブチロラクトンアクリレート、ペンタメチルピペリジルアクリレート、テトラメチルピペリジルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート、メバロン酸ラクトンアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、1−アダマンチルメチルアクリレート、1−アダマンチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタレート、イソボルニルアクリレート、3−アクリロイロキシプロピルアクリレート、アクリロイルモルホリン、リポキシ SPシリーズ、ジシクロペンタニルアクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアクリレート、w−カルボキシアクリロイルオキシエチルフタレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、ジアクリル化イソシアルレート/トリアクリル化混合物、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
重合性化合物としては、特に限定されないが、脂環構造を有するモノマーを含むのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット用組成物の反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
脂環構造を有するモノマーとしては、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、アダマンチルアクリレート、γ−ブチロラクトンアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、ペンタメチルピペリジルアクリレート、テトラメチルピペリジルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート、メバロン酸ラクトンアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アクリロイルモルホリン、および、テトラヒドロフルフリルアクリレートよりなる群から選択される1種または2種以上を用いるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
紫外線硬化型インクジェット用組成物中における脂環構造を有するモノマーの含有率が40質量%以上90質量%以下であるのが好ましく、50質量%以上88質量%以下であるのがより好ましく、55質量%以上85質量%以下であるのがさらに好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット用組成物の反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
また、脂環構造を有するモノマーとして、脂環構造中にヘテロ原子を含む単官能モノマーを含むのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット用組成物の反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
紫外線硬化型インクジェット用組成物中における、脂環構造中にヘテロ原子を含む単官能モノマーの含有率は、10質量%以上90質量%以下であるのが好ましく、15質量%以上80質量%以下であるのがより好ましい。これにより、硬化収縮を抑制し、散乱が少なく、より光沢感に優れたパターン(印刷部)を備えた記録物の製造に好適に用いることができる。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
また、重合性化合物は、脂環構造を有するモノマー以外のものを含んでいてもよい。
脂環構造を有するモノマー以外の重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアクリレート、および、4−ヒドロキシブチルアクリレートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであることが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性をより優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。
脂環構造を有するモノマー以外の重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアクリレート、および、4−ヒドロキシブチルアクリレートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであることが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、金属粉末の分散安定性をより優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。
また、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物として、モノマー以外に、オリゴマーを含むものとしてもよい。特に多官能のオリゴマーを含むものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性を優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。なお、本発明では、重合性化合物の中でも、分子の骨格中に繰り返し構造を有し、分子量が600以上のものをオリゴマーと呼ぶ。オリゴマーとしては、繰り返し構造がウレタンであるウレタンオリゴマー、繰り返し構造がエポキシであるエポキシオリゴマー等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型インクジェット用組成物中における重合性化合物の含有量は、70質量%以上99質量%以下であるのが好ましく、80質量%以上98質量%以下であるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性、硬化性をさらに優れたものとすることができるとともに、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。なお、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物として2種以上の化合物を含むものであってもよい。この場合、これらの化合物の含有量の総和が前記範囲内の値であるのが好ましい。
<物質A>
また、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、下記式(5)で示される部分構造を有する物質Aを含むものであるのが好ましい。
また、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、下記式(5)で示される部分構造を有する物質Aを含むものであるのが好ましい。
紫外線硬化型インクジェット用組成物が、このような化学構造を有する物質Aを、上記のような表面処理が施された金属粒子および塩基性高分子分散剤とともに含むことにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、硬化性を特に優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物においては、アルミニウムが本来有している光沢感・高級感をより効果的に発揮させ、印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとし、記録物の耐久性を特に優れたものとすることができる。
式(5)中、R1は、水素原子、炭化水素基またはアルコキシル基(酸素原子に鎖式または脂環式の炭化水素基が結合したもの)であればよいが、特に、水素原子、メチル基、または、オクチルオキシ基であるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができるとともに、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成される印刷部の光沢感、耐擦性をさらに優れたものとすることができる。
また、式(5)中、R2〜R5は、それぞれ独立に、水素原子または炭化水素基であればよいが、炭素数1以上3以下のアルキル基であるのが好ましく、メチル基であるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができるとともに、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成される印刷部の光沢感、耐擦性をさらに優れたものとすることができる。
紫外線硬化型インクジェット用組成物中における物質Aの含有量は、0.1質量%以上5.0質量%以下であるのが好ましく、0.2質量%以上3.0質量%以下であるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性、硬化性をさらに優れたものとすることができるとともに、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。なお、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、物質Aとして2種以上の化合物を含むものであってもよい。この場合、これらの化合物の含有量の総和が前記範囲内の値であるのが好ましい。
物質Aの含有量をXA[質量%]、アルミニウム顔料の含有量をXM[質量%]としたとき、0.01≦XA/XM≦0.8の関係を満足するのが好ましく、0.05≦XA/XM≦0.4の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができるとともに、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成される印刷部の光沢感、耐擦性をさらに優れたものとすることができる。
<分散剤>
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、上述したようなアルミニウム顔料に加え、分散剤として、塩基性で重合体構造を有するもの(以下、「塩基性高分子分散剤」ともいう)を含んでいてもよい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。また、紫紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成される印刷部の光沢感、耐擦性をさらに優れたものとすることができる。
なお、本発明において、塩基性高分子分散剤は、塩基性を示し、重合体構造を有するものであればよく、具体的な分子量は限定されない。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、上述したようなアルミニウム顔料に加え、分散剤として、塩基性で重合体構造を有するもの(以下、「塩基性高分子分散剤」ともいう)を含んでいてもよい。
これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。また、紫紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成される印刷部の光沢感、耐擦性をさらに優れたものとすることができる。
なお、本発明において、塩基性高分子分散剤は、塩基性を示し、重合体構造を有するものであればよく、具体的な分子量は限定されない。
塩基性高分子分散剤を構成する重合体構造は、特に限定されないが、例えば、アクリル系の重合体構造(共重合体を含む)、メタクリル系の重合体構造(共重合体を含む)、ポリウレタン系の重合体構造、水酸基含有カルボン酸エステル構造、ポリエーテル系の重合体構造、シリコーン系の重合体構造等が挙げられる。
塩基性高分子分散剤のアミン価は、特に限定されないが、3mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であるのが好ましく、10mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であるのがより好ましい。
塩基性高分子分散剤のアミン価は、特に限定されないが、3mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であるのが好ましく、10mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であるのがより好ましい。
本発明で用いることのできる塩基性高分子分散剤の具体例としては、DISPERBYK−116(ビックケミー社製)、DISPERBYK−182(ビックケミー社製)、DISPERBYK−183(ビックケミー社製)、DISPERBYK−184(ビックケミー社製)、DISPERBYK−2155(ビックケミー社製)、DISPERBYK−2164(ビックケミー社製)、DISPERBYK−108(ビックケミー社製)、DISPERBYK−112(ビックケミー社製)、DISPERBYK−198(ビックケミー社製)、DISPERBYK−2150(ビックケミー社製)、PAA−1112(日東紡社製)等を挙げることができる。
紫外線硬化型インクジェット用組成物中における塩基性高分子分散剤の含有量は、0.01質量%以上5.0質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以上2.0質量%以下であるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性、硬化性をさらに優れたものとすることができるとともに、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。なお、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、塩基性高分子分散剤として2種以上の化合物を含むものであってもよい。この場合、これらの化合物の含有量の総和が前記範囲内の値であるのが好ましい。
<その他の成分>
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、上述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、光重合開始剤、スリップ剤(レベリング剤)、塩基性高分子分散剤以外の分散剤、重合促進剤、重合禁止剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、着色剤、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、上述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、光重合開始剤、スリップ剤(レベリング剤)、塩基性高分子分散剤以外の分散剤、重合促進剤、重合禁止剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、着色剤、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
光重合開始剤は、紫外線照射によってラジカルやカチオン等の活性種を発生し、上記重合性化合物の重合反応を開始させるものであれば特に制限されない。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができるが、光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤は、紫外線領域に吸収ピークを有していることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物等が挙げられる。
これらの中でも、重合性化合物への溶解性および硬化性の観点から、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物を併用することがより好ましい。
これらの中でも、重合性化合物への溶解性および硬化性の観点から、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物を併用することがより好ましい。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、およびビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられ、これらのうちから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
紫外線硬化型インクジェット用組成物中における光重合開始剤の含有量は、0.5質量%以上10質量%以下であるのが好ましい。光重合開始剤の含有量が前記範囲であると、紫外線硬化速度が十分大きく、且つ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色がほとんどない。
紫外線硬化型インクジェット用組成物がスリップ剤を含むものであると、レベリング作用により記録物の表面が平滑になり、耐擦性が向上する。
スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤を用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
紫外線硬化型インクジェット用組成物がスリップ剤を含むものであると、レベリング作用により記録物の表面が平滑になり、耐擦性が向上する。
スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤を用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
なお、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合禁止剤を含むものであってもよいが、重合禁止剤を含む場合であっても、紫外線硬化型インクジェット用組成物中における重合禁止剤の含有量は、0.6質量%以下であるのが好ましく、0.3質量%以下であるのがより好ましい。これにより、相対的に、紫外線硬化型インクジェット用組成物中における重合性化合物の含有量を高いものとすることができるため、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成される印刷部の耐擦性等を特に優れたものとすることができる。また、本発明では、このように重合禁止剤の含有量が比較的低い場合であっても、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性を十分に優れたものとすることができる。
また、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、記録物の製造工程において除去される(蒸発する)有機溶剤を含まないものであるのが好ましい。これにより、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を効果的に防止することができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物の室温(20℃)での粘度は、20mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上15mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による液滴吐出を好適に行うことができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物の室温(20℃)での粘度は、20mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上15mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による液滴吐出を好適に行うことができる。
上述したような紫外線硬化型インクジェット用組成物は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、アルミニウム金属粒子(母粒子)を含む分散体中に、リン酸化合物を加え、加温しつつ、数時間超音波振動を加えつつ、母粒子に表面処理を行う。
次に、表面処理終了後、遠心分離機にて、表面処理が施された母粒子(アルミニウム顔料)を遠心沈降させ、上澄み部分を廃棄する(リン酸化合物除去処理)。
次に、溶剤(分散媒)を加えて、さらに、超音波振動を付与することによりアルミニウム顔料を再分散させ、アルミニウム顔料が分散した分散液を得る。
次に、アルミニウム顔料を含む分散液を、上述したような重合性化合物、光重合開始剤、分散剤等の成分と混合することにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物が得られる。
まず、アルミニウム金属粒子(母粒子)を含む分散体中に、リン酸化合物を加え、加温しつつ、数時間超音波振動を加えつつ、母粒子に表面処理を行う。
次に、表面処理終了後、遠心分離機にて、表面処理が施された母粒子(アルミニウム顔料)を遠心沈降させ、上澄み部分を廃棄する(リン酸化合物除去処理)。
次に、溶剤(分散媒)を加えて、さらに、超音波振動を付与することによりアルミニウム顔料を再分散させ、アルミニウム顔料が分散した分散液を得る。
次に、アルミニウム顔料を含む分散液を、上述したような重合性化合物、光重合開始剤、分散剤等の成分と混合することにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物が得られる。
《記録物》
次に、本発明の記録物について説明する。
本発明の記録物は、上述したような紫外線硬化型インクジェット用組成物を記録媒体上に付与し、その後、紫外線を照射することにより製造されたものである。このような記録物は、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)を有するものである。
次に、本発明の記録物について説明する。
本発明の記録物は、上述したような紫外線硬化型インクジェット用組成物を記録媒体上に付与し、その後、紫外線を照射することにより製造されたものである。このような記録物は、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)を有するものである。
上述したように、本発明に係る紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物を含むものであり、記録媒体に対する密着性に優れるものである。このように、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は記録媒体に対する密着性に優れるものであるため、記録媒体は、いかなるものであってもよく、吸収性または非吸収性のいずれを用いてもよく、例えば、紙(普通紙、インクジェット用専用紙、アートコート紙等)、プラスチック材料、金属、セラミックス、木材、貝殻、綿、ポリエステル、ウール等の天然繊維・合成繊維、不織布等を用いることができる。
本発明の記録物は、いかなる用途のものであってもよく、例えば、装飾品やそれ以外に適用されるものであってもよい。本発明の記録物の具体例としては、コンソールリッド、スイッチベース、センタークラスタ、インテリアパネル、エンブレム、センターコンソール、メーター銘板等の車両用内装品、各種電子機器の操作部(キースイッチ類)、屋内広告物、贈答用菓子箱、化粧品箱、ターポリン等の屋外広告物、装飾性を発揮する装飾部、指標、ロゴ等の表示物等が挙げられる。
液滴吐出方式(インクジェット法の方式)としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができるが、紫外線硬化型インクジェット用組成物の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
インクジェット法による紫外線硬化型インクジェット用組成物の吐出は、公知の液滴吐出装置を用いて行うことができる。
インクジェット法により吐出された紫外線硬化型インクジェット用組成物は、紫外線の照射により硬化する。
インクジェット法による紫外線硬化型インクジェット用組成物の吐出は、公知の液滴吐出装置を用いて行うことができる。
インクジェット法により吐出された紫外線硬化型インクジェット用組成物は、紫外線の照射により硬化する。
紫外線源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、紫外線レーザダイオード(UV−LD)等を用いることができる。中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV−LED)および紫外線レーザダイオード(UV−LD)が好ましい。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]インクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の製造
(実施例1)
まず、表面が平滑なポリエチレンテレフタレート製のフィルム(表面粗さRaが0.02μm以下)を用意した。
次に、このフィルムの一方の面の全体にシリコーンオイルを塗布した。
次に、シリコーンオイルを塗布した面側に、蒸着法により、Alで構成された膜を形成した。
次に、Alの膜が形成されたポリエチレンテレフタレート製のフィルム(基材)を、ジエチレングリコールジエチルエーテルで構成された液体中に入れ、超音波振動を付与した。これにより、鱗片状のAl製の粒子(母粒子となるべき粒子)の分散体(分散液)が得られた。この分散体中におけるAl製の粒子の含有量は、3.7質量%であった。
[1]インクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の製造
(実施例1)
まず、表面が平滑なポリエチレンテレフタレート製のフィルム(表面粗さRaが0.02μm以下)を用意した。
次に、このフィルムの一方の面の全体にシリコーンオイルを塗布した。
次に、シリコーンオイルを塗布した面側に、蒸着法により、Alで構成された膜を形成した。
次に、Alの膜が形成されたポリエチレンテレフタレート製のフィルム(基材)を、ジエチレングリコールジエチルエーテルで構成された液体中に入れ、超音波振動を付与した。これにより、鱗片状のAl製の粒子(母粒子となるべき粒子)の分散体(分散液)が得られた。この分散体中におけるAl製の粒子の含有量は、3.7質量%であった。
次に、上記のようにして得られたAl製の粒子分散液をフッ素系リン酸エステルとしてのC12H25(O)P(OH)(OCH2CH3)が1.0質量%となるように投入し、45℃で120分間攪拌することにより、フッ素系リン酸エステルによる表面処理を行い、金属粉末分散液を得た。
反応終了後、遠心分離機(6000rpm×30分)にて、表面処理が施されたAl製の粒子(アルミニウム顔料)を遠心沈降させ、上澄み部分を廃棄し乾燥することにより、アルミニウム顔料の粉末を得た。このようにして得られたアルミニウム顔料の平均粒径は0.8μm、平均厚さは、50nmであった。
反応終了後、遠心分離機(6000rpm×30分)にて、表面処理が施されたAl製の粒子(アルミニウム顔料)を遠心沈降させ、上澄み部分を廃棄し乾燥することにより、アルミニウム顔料の粉末を得た。このようにして得られたアルミニウム顔料の平均粒径は0.8μm、平均厚さは、50nmであった。
次に、アルミニウム顔料に、分散剤としてのDISPERBYK−182(ビックケミー社製)、γ−ブチロラクトンアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アクリロイルモルホリン、フェノキシエチルアクリレート、光重合開始剤としてのIrgacure819(チバ・ジャパン社製)、光重合開始剤としてのSpeedcure TPO(ACETO社製)、光重合開始剤としてのSpeedcure DETX(Lambson社製)、レベリング剤としてのLHP−96(楠本化成社製)および、LF−1984(楠本化成社製)、下記式(6)で表される化学構造を有する物質Aを加え、さらに、超音波振動を付与することによりアルミニウム顔料を再分散させ、アルミニウム顔料の含有量が3.7質量%のインクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を得た。
なお、得られた紫外線硬化型インクジェット用組成物中におけるリン酸化合物の含有量は、0.02質量%以下であった。リン酸化合物の含有量は、LC−MSを用いて以下の方法で測定した。
インクジェット用組成物を0.1μmのメンブレンフィルタにてろ過することにより、フッ素系リン酸エステルにより表面処理されたアルミニウム顔料を除去したろ過液を得た。次に、アルミニウム顔料が除去されたインクジェット用組成物のろ過液をメタノールまたはアセトニトリルで希釈し、再度0.45μmで不溶物をろ過し、サンプルを調整した。これらサンプルをLC−MSにて測定し、フッ素系リン酸エステルの定量を行った。
インクジェット用組成物を0.1μmのメンブレンフィルタにてろ過することにより、フッ素系リン酸エステルにより表面処理されたアルミニウム顔料を除去したろ過液を得た。次に、アルミニウム顔料が除去されたインクジェット用組成物のろ過液をメタノールまたはアセトニトリルで希釈し、再度0.45μmで不溶物をろ過し、サンプルを調整した。これらサンプルをLC−MSにて測定し、フッ素系リン酸エステルの定量を行った。
(実施例2〜16)
アルミニウム顔料の構成(母粒子の組成および表面処理に用いるリン酸化合物の種類)を表1、表2に示すようにするとともに、インクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の調製に用いる原料の種類・比率を変更することにより、表1、表2に示すような組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
アルミニウム顔料の構成(母粒子の組成および表面処理に用いるリン酸化合物の種類)を表1、表2に示すようにするとともに、インクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の調製に用いる原料の種類・比率を変更することにより、表1、表2に示すような組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
(比較例1)
表面処理を施していないAl製の粒子をアルミニウム顔料として用いた以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
(比較例2)
アルミニウム顔料として、ガスアトマイズ法を用いて製造された球形状のAl粉末(表面処理を施していないもの)を用いた以外は、前記比較例1と同様にしてインクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
表面処理を施していないAl製の粒子をアルミニウム顔料として用いた以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
(比較例2)
アルミニウム顔料として、ガスアトマイズ法を用いて製造された球形状のAl粉末(表面処理を施していないもの)を用いた以外は、前記比較例1と同様にしてインクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
(比較例3)
遠心沈降および上澄み部分の廃棄を行わなかった以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。具体的には、表面処理が施されたAl製の金属粉末分散液に対して0.45μmのメンブレンフィルタによる簡易のろ過処理を行うことで粒子(アルミニウム顔料)を分離してインクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
遠心沈降および上澄み部分の廃棄を行わなかった以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。具体的には、表面処理が施されたAl製の金属粉末分散液に対して0.45μmのメンブレンフィルタによる簡易のろ過処理を行うことで粒子(アルミニウム顔料)を分離してインクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
アルミニウム顔料の構成(母粒子の組成および表面処理に用いるリン酸化合物の種類)を表1〜3に示すようにするとともに、インクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の調製に用いる原料の種類・比率を変更することにより、表1、表2に示すような組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
前記各実施例および各比較例について、インクジェット用組成物の組成を、表1、表2にまとめて示した。なお、表中、C12H25(O)P(OH)(OCH2CH3)を「S1」、(C14H29)3(O)Pを「S2」、(C16H33)2(O)P(OH)を「S3」、C18H37(O)P(OH)(OCH2CH3)を「S4」、(C18H37)2(O)P(C16H33)を「S5」、C14H29(O)P(OH)(OCH2CH2CH2CH3)を「S6」、CF3(CF2)5(CH2)2O−PO(OH)2を「F1」、CF3(CF2)5(CH2)2−PO(OH)2を「F2」、CF3(CF2)5(CH2)2−PO(OH)2を「F3」、CF3(CF2)3(CH2O)10−PO(OH)2を「F4」、CF3(CF2)11O−PO(OH)2を「F5」、CF3(CF2)7−PO(OH)2を「F6」、(CF3(CF2)5(CH2)2O)2−PO(OH)を「F7」、(CF3(CF2)(CH2O))3−POを「F8」、DISPERBYK−182(ビックケミー社製、アミン価:13mgKOH/g)を「D2」、DISPERBYK−2155(ビックケミー社製、アミン価:48mgKOH/g)を「D5」、γ−ブチロラクトンアクリレートを「BLA」、テトラヒドロフルフリルアクリレートを「THFA」、N−ビニルカプロラクタムを「VC」、N−ビニルピロリドンを「VP」、アクリロイルモルホリンを「AMO」、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを「DCPTeOEA」、1−アダマンチルアクリレートを「AA」、ペンタメチルピペリジルアクリレートを「PMPA」、テトラメチルピペリジルアクリレートを「TMPA」、2−メチル−2−アダマンチルアクリレートを「MAA」、2−エチル−2−アダマンチルアクリレートを「EAA」、メバロン酸ラクトンアクリレートを「MLA」、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートを「DMTCDDA」、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレートを「DMDCPTA」、ジシクロペンテニルアクリレートを「DCPTeA」、ジシクロペンタニルアクリレートを「DCPTaA」、イソボルニルアクリレートを「IBA」、シクロヘキシルアクリレートを「CHA」、および、γ−ブチロラクトンメタクリレートを「BLM」、テトラヒドロフルフリルメタクリレートを「THFM」、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートを「DCPTeOEM」、アダマンチルメタクリレートを「AM」、ペンタメチルピペリジルメタクリレートを「PMPM」、テトラメチルピペリジルメタクリレートを「TMPM」、2−メチル−2−アダマンチル メタクリレートを「MAM」、2−エチル−2−アダマンチル メタクリレートを「EAM」、メバロン酸ラクトン メタクリレートを「MLM」、ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレートを「DMTCDDM」、ジメチロールジシクロペンタンジメタリレートを「DMDCPTM」、ジシクロペンテニルメタクリレートを「DCPTeM」、ジシクロペンタニルメタクリレートを「DCPTaM」、イソボルニルメタクリレートを「IBM」、シクロヘキシルメタクリレートを「CHM」、ジアクリル化イソシアヌレートを「DAI」、トリアクリル化イソシアヌレートを「TAI」、フェノキシエチルアクリレートを「PEA」、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを「VEEA」、ジプロピレングリコールジアクリレートを「DPDA」、トリプロピレングリコールジアクリレートを「TPDA」、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアクリレートを「HPPA」、および、4−ヒドロキシブチルアクリレートを「HBA」、上記式(6)で表される化合物(物質A)を「A1」、下記式(7)で表される化合物(物質A)を「A2」、下記式(8)で表される化合物(物質A)を「A3」、下記式(9)で表される物質Aを「A4」、Irgacure 819(チバ・ジャパン社製)を「ic819」、Speedcure TPO(ACETO社製)を「scTPO」、Speedcure DETX(Lambson社製)を「scDETX」、UV−3500(ビックケミー社製)を「UV3500」、ヒドロキノンモノメチルエーテルを「MEHQ」、LHP−96(楠本化成社製)を「LHP」、LF−1984(楠本化成社製)を「LF」で示した。また、表中、実施例9について、母粒子の構成材料の組成は、各元素の含有量を重量比で示した。また、各インクジェット用組成物中に含まれるそれぞれ任意の10個の金属粒子について観察を行い、投影面積が最大となる方向から観察した際(平面視した際)の面積S1[μm2]と、当該観察方向と直交する方向のうち観察した際の面積が最大となる方向から観察した際の面積S0[μm2]に対する比率(S1/S0)を求め、これらの平均値を、表1、表2にあわせて示した。また、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のインクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の20℃における粘度は、いずれも、3mPa・s以上15mPa・s以下の範囲内の値であった。なお、D2、D5は、いずれも、塩基性で重合体構造を有するもの(塩基性高分子分散剤)である。
[2]液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
前記各実施例および各比較例のインクジェット用組成物を用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
まず、チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した液滴吐出装置および前記各実施例および比較例のインクジェット用組成物を40℃の環境下に、10日間放置した後、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各インクジェット用組成物について、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、2000000発(2000000滴)の液滴の連続吐出を行った。その後、液滴吐出装置の運転を停止し、液滴吐出装置の流路に各インクジェット用組成物が充填された状態で、25℃、55%RHの環境下に、240時間放置した。
前記各実施例および各比較例のインクジェット用組成物を用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
まず、チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した液滴吐出装置および前記各実施例および比較例のインクジェット用組成物を40℃の環境下に、10日間放置した後、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各インクジェット用組成物について、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、2000000発(2000000滴)の液滴の連続吐出を行った。その後、液滴吐出装置の運転を停止し、液滴吐出装置の流路に各インクジェット用組成物が充填された状態で、25℃、55%RHの環境下に、240時間放置した。
その後、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、25℃、55%RHの環境下で、4000000発(4000000滴)の液滴の連続吐出を行った。上記150時間放置した後の、液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された4000000発の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
A:ズレ量dの平均値が0.17μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.17μm以上0.24μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.24μm以上0.27μm未満。
D:ズレ量dの平均値が0.27μm以上0.31μm未満。
E:ズレ量dの平均値が0.31μm以上。
B:ズレ量dの平均値が0.17μm以上0.24μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.24μm以上0.27μm未満。
D:ズレ量dの平均値が0.27μm以上0.31μm未満。
E:ズレ量dの平均値が0.31μm以上。
[3]インクジェット用組成物の周波数特性
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のインクジェット用組成物を40℃の環境下に、10日間放置した後、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各インクジェット用組成物について、液滴吐出ヘッドの全ノズルから、ピエゾ素子の振動数(周波数)を変化させつつ、液滴吐出を行った。各周波数での液滴吐出時間は10分間とした。10分間の吐出後時点で未吐出のノズル数が全ノズル数の1%未満の周波数までを実使用可能な最高周波数として、実使用可能な周波数範囲を以下の4段階の基準に従い、評価した。この値が大きいほど周波数特性に優れていると言える。
A:12kHz以上。
B:7kHz以上12kHz未満。
C:3kHz以上7kHz未満。
D:3kHz未満。
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のインクジェット用組成物を40℃の環境下に、10日間放置した後、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各インクジェット用組成物について、液滴吐出ヘッドの全ノズルから、ピエゾ素子の振動数(周波数)を変化させつつ、液滴吐出を行った。各周波数での液滴吐出時間は10分間とした。10分間の吐出後時点で未吐出のノズル数が全ノズル数の1%未満の周波数までを実使用可能な最高周波数として、実使用可能な周波数範囲を以下の4段階の基準に従い、評価した。この値が大きいほど周波数特性に優れていると言える。
A:12kHz以上。
B:7kHz以上12kHz未満。
C:3kHz以上7kHz未満。
D:3kHz未満。
[4]インクジェット用組成物の保存安定性評価(長期安定性評価)
前記各実施例および各比較例のインクジェット用組成物について、40℃の環境下に、10日間放置した後、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のインクジェット用組成物の20℃における粘度を測定し、製造直後からの粘度の上昇率を求め、以下の基準に従い、評価した。
前記各実施例および各比較例のインクジェット用組成物について、40℃の環境下に、10日間放置した後、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のインクジェット用組成物の20℃における粘度を測定し、製造直後からの粘度の上昇率を求め、以下の基準に従い、評価した。
A:粘度の上昇率が10%未満。
B:粘度の上昇率が10%以上15%未満。
C:粘度の上昇率が15%以上20%未満。
D:粘度の上昇率が20%以上25%未満。
E:粘度の上昇率が25%以上、または、異物の発生が認められる。
B:粘度の上昇率が10%以上15%未満。
C:粘度の上昇率が15%以上20%未満。
D:粘度の上昇率が20%以上25%未満。
E:粘度の上昇率が25%以上、または、異物の発生が認められる。
[5]分散性
前記各実施例および各比較例のインクジェット用組成物について、40℃の環境下に、30日間放置した後、ろ過精度3μmのカプセルフィルタ(ヤマシンフィルタ社製)にて1L通液した際の通液前後の濃度を測定し、分散不足による粗大粒子をフィルタろ過することによるロスを濃度の減少率で求め、以下の基準に従い、評価した。
A:インク濃度減少率が5%未満。
B:インク濃度減少率が5%以上10%未満。
C:インク濃度減少率が10%以上20%未満。
D:インク濃度減少率が20%以上40%未満。
前記各実施例および各比較例のインクジェット用組成物について、40℃の環境下に、30日間放置した後、ろ過精度3μmのカプセルフィルタ(ヤマシンフィルタ社製)にて1L通液した際の通液前後の濃度を測定し、分散不足による粗大粒子をフィルタろ過することによるロスを濃度の減少率で求め、以下の基準に従い、評価した。
A:インク濃度減少率が5%未満。
B:インク濃度減少率が5%以上10%未満。
C:インク濃度減少率が10%以上20%未満。
D:インク濃度減少率が20%以上40%未満。
[6]硬化性
前記各実施例および各比較例のインクジェット用組成物について、エプソン製インクジェットプリンター;PM800Cへ導入し、記録媒体として三菱樹脂(株)製、ダイアホイル G440E(厚さ38μm)を用いて、インク量wet 9g/m2にて、ベタ印刷を行い、印刷後、ただちにLED−UVランプ;フォセオン社製 RX firefly(ギャップ6mm ピーク波長365nm 1000mW/cm2)を用いて紫外線の照射を行い、インクジェット用組成物が硬化したか否かを確認し、以下の5段階の基準に従い、評価した。硬化したか否かは、綿棒にて表面をこすって、未硬化のインク組成物が付着しないか否かで判断した。なお、下記A〜Eの照射量に該当するかどうかは、ランプを何秒照射したかによって算出できる。
前記各実施例および各比較例のインクジェット用組成物について、エプソン製インクジェットプリンター;PM800Cへ導入し、記録媒体として三菱樹脂(株)製、ダイアホイル G440E(厚さ38μm)を用いて、インク量wet 9g/m2にて、ベタ印刷を行い、印刷後、ただちにLED−UVランプ;フォセオン社製 RX firefly(ギャップ6mm ピーク波長365nm 1000mW/cm2)を用いて紫外線の照射を行い、インクジェット用組成物が硬化したか否かを確認し、以下の5段階の基準に従い、評価した。硬化したか否かは、綿棒にて表面をこすって、未硬化のインク組成物が付着しないか否かで判断した。なお、下記A〜Eの照射量に該当するかどうかは、ランプを何秒照射したかによって算出できる。
A:100mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
B:100mJ/cm2以上200mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
C:200mJ/cm2以上500mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
D:500mJ/cm2以上1000mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
E:1000mJ/cm2以上の紫外線照射量にて硬化する。もしくはまったく硬化
しない。
B:100mJ/cm2以上200mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
C:200mJ/cm2以上500mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
D:500mJ/cm2以上1000mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
E:1000mJ/cm2以上の紫外線照射量にて硬化する。もしくはまったく硬化
しない。
[7]記録物の製造
各実施例および各比較例のインクジェット用組成物を用いて、それぞれ、以下のようにして、記録物としてのインテリアパネルを製造した。
まず、40℃の環境下に、10日間放置した後のインクジェット用組成物をインクジェット装置に投入した。
各実施例および各比較例のインクジェット用組成物を用いて、それぞれ、以下のようにして、記録物としてのインテリアパネルを製造した。
まず、40℃の環境下に、10日間放置した後のインクジェット用組成物をインクジェット装置に投入した。
その後、ポリカーボネート(旭硝子社製、カーボグラス ポリッシュ 2mm厚)を用いて成形した曲面部を有する基材(記録媒体)上に、所定のパターンで、インクジェット用組成物を吐出した。
その後、365nm、380nm、395nmの波長に極大値を有するスペクトルの紫外線を、照射強度180mW/cm2を15秒間照射し、基材上のインクジェット用組成物を硬化させ、記録物としてのインテリアパネルを得た。
上記のような方法を用いて、各実施例および各比較例のインクジェット用組成物を用いて、それぞれ、10個のインテリアパネル(記録物)を製造した。
その後、365nm、380nm、395nmの波長に極大値を有するスペクトルの紫外線を、照射強度180mW/cm2を15秒間照射し、基材上のインクジェット用組成物を硬化させ、記録物としてのインテリアパネルを得た。
上記のような方法を用いて、各実施例および各比較例のインクジェット用組成物を用いて、それぞれ、10個のインテリアパネル(記録物)を製造した。
また、基材として、ポリエチレンテレフタレート(三菱樹脂社製 ダイアホイル G440E 38μm厚)を用いて成形したもの、低密度ポリエチレン(三井化学東セロ社製 T.U.X(L−LDPE) HC−E #80)を用いて成形したもの、2軸延伸ポリプロピレン(三井化学東セロ社製 OP U−1 #60)を用いて成形したもの、硬質塩化ビニル(アクリサンデー社製 サンデーシート(透明)0.5mm厚)を用いて成形したものを用いた以外は、上記と同様にして、各実施例および各比較例のインクジェット用組成物を用いて、それぞれ、10個ずつのインテリアパネル(記録物)を製造した。
[8]記録物の評価
上記のようにして得られた各記録物について、以下のような評価を行った。
[8.1]記録物の外観評価1
前記各実施例および各比較例で製造した各記録物を目視により観察し、以下の7段階の基準に従い、評価した。
上記のようにして得られた各記録物について、以下のような評価を行った。
[8.1]記録物の外観評価1
前記各実施例および各比較例で製造した各記録物を目視により観察し、以下の7段階の基準に従い、評価した。
A:高級感に溢れる光沢感を有し、極めて優れた外観を有している。
B:高級感に溢れる光沢感を有し、非常に優れた外観を有している。
C:高級感のある光沢感を有し、優れた外観を有している。
D:高級感のある光沢感を有し、良好な外観を有している。
E:光沢感に劣り、外観がやや不良。
F:光沢感に劣り、外観が不良。
G:光沢感に劣り、外観が極めて不良。
B:高級感に溢れる光沢感を有し、非常に優れた外観を有している。
C:高級感のある光沢感を有し、優れた外観を有している。
D:高級感のある光沢感を有し、良好な外観を有している。
E:光沢感に劣り、外観がやや不良。
F:光沢感に劣り、外観が不良。
G:光沢感に劣り、外観が極めて不良。
[8.2]記録物の外観評価2
前記各実施例および各比較例で製造した各記録物を、製造直後のインクで作成した記録物を基準として、目視により観察し、以下の3段階の基準に従い、評価した。
A:基準記録物と比較して色の変化なし。
B:基準記録物と比較して若干黄変しているが、問題ない範囲。
C:基準記録物と比較して黄変している。
前記各実施例および各比較例で製造した各記録物を、製造直後のインクで作成した記録物を基準として、目視により観察し、以下の3段階の基準に従い、評価した。
A:基準記録物と比較して色の変化なし。
B:基準記録物と比較して若干黄変しているが、問題ない範囲。
C:基準記録物と比較して黄変している。
[8.3]光沢度
前記各実施例および各比較例で製造した各記録物のパターン形成部について、光沢度計(MINOLTA MULTI GLOSS 268)を用い、煽り角度60°での光沢度を測定し、以下の基準に従い評価した。
A:光沢度が400以上。
B:光沢度が300以上400未満。
C:光沢度が200以上300未満。
D:光沢度が200未満。
前記各実施例および各比較例で製造した各記録物のパターン形成部について、光沢度計(MINOLTA MULTI GLOSS 268)を用い、煽り角度60°での光沢度を測定し、以下の基準に従い評価した。
A:光沢度が400以上。
B:光沢度が300以上400未満。
C:光沢度が200以上300未満。
D:光沢度が200未満。
[8.4]耐擦性
前記各実施例および各比較例に係る記録物について、記録物の製造から48時間経過した時点で、サウザーランドラブテスターを用い、JIS K5701に準じ、相紙としてポリエチレンテレフタレート製のフィルム(三菱樹脂社製、ダイアホイルG440E)を用いた耐擦性試験を行い、上記[8.2]で述べたのと同様の方法により、耐擦性試験後の記録物についても光沢度(煽り角度60°)を測定し、耐擦性試験前後での光沢度の低下率を求め、以下の基準に従い評価した。
前記各実施例および各比較例に係る記録物について、記録物の製造から48時間経過した時点で、サウザーランドラブテスターを用い、JIS K5701に準じ、相紙としてポリエチレンテレフタレート製のフィルム(三菱樹脂社製、ダイアホイルG440E)を用いた耐擦性試験を行い、上記[8.2]で述べたのと同様の方法により、耐擦性試験後の記録物についても光沢度(煽り角度60°)を測定し、耐擦性試験前後での光沢度の低下率を求め、以下の基準に従い評価した。
A:光沢度の低下率が10%未満。
B:光沢度の低下率が10%以上20%未満。
C:光沢度の低下率が20%以上30%未満。
D:光沢度の低下率が30%以上40%未満。
E:光沢度の低下率が40%以上、または、金属粒子が脱落して記録媒体の表面が
露出したもの。
B:光沢度の低下率が10%以上20%未満。
C:光沢度の低下率が20%以上30%未満。
D:光沢度の低下率が30%以上40%未満。
E:光沢度の低下率が40%以上、または、金属粒子が脱落して記録媒体の表面が
露出したもの。
これらの結果を表3に示す。なお、表2中、ポリカーボネート製の基材を用いて製造された記録物を「M1」、ポリエチレンテレフタレート製の基材を用いて製造された記録物を「M2」、低密度ポリエチレン製の基材を用いて製造された記録物を「M3」、2軸延伸ポリプロピレン製の基材を用いて製造された記録物を「M4」、硬質塩化ビニル製の基材を用いて製造された記録物を「M5」で示した。
表4から明らかなように、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、液滴の吐出安定性、保存安定性、分散性および硬化性に優れていた。また、本発明の記録物は、優れた光沢感、外観を有しており、パターン形成部の耐擦性にも優れていた。これに対して、比較例では、満足な結果が得られなかった。
Claims (16)
- インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット用組成物であって、
重合性化合物と、リン酸化合物で表面処理された顔料と、を含み、
前記リン酸化合物の含有量が、0.02質量%以下であることを特徴とする紫外線硬化型インクジェット用組成物。 - 前記顔料は、アルミニウム金属粒子を前記リン酸化合物で表面処理した後、前記表面処理に供されなかった前記リン酸化合物を除去する処理を施したものである請求項1に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
- 前記リン酸化合物は、下記式(1)で表される化学構造を有する請求項1または2に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
PORn(OH)3−n (1)
(式(1)中、Rは、CH3(CH2)m−、CH3(CH2)m(CH2O)l−、CH3(CH2)m(CH2CH2O)l−、または、CH3(CH2)mO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは2以上17以下の整数であり、lは1以上12以下の整数である。) - 前記リン酸化合物は、下記式(2)で表される化学構造を有する請求項1または2に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
PORn(OH)3−n (2)
(式(2)中、Rは、CF3(CF2)m−、CF3(CF2)m(CH2)l−、CF3(CF2)m(CH2O)l−、CF3(CF2)m(CH2CH2O)l−、CF3(CF2)mO−、または、CF3(CF2)m(CH2)lO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは5以上17以下の整数であり、lは1以上12以下の整数である。) - 前記アルミニウム顔料は、鱗片状をなすものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
- 前記アルミニウム顔料は、平均厚みが10nm以上100nm以下のものである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
- 前記アルミニウム顔料は、50%平均粒子径が0.5μm以上3.0μm以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
- 前記重合性化合物として、脂環構造を有するモノマーを含む請求項1ないし7のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
- 紫外線硬化型インクジェット用組成物中における前記脂環構造を有するモノマーの含有率が40質量%以上90質量%以下である請求項8に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
- 前記脂環構造を有するモノマーとして、前記脂環構造中にヘテロ原子を含む単官能モノマーを含む請求項8または9に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
- 紫外線硬化型インクジェット用組成物中における前記単官能モノマーの含有率は、10質量%以上90質量%以下である請求項10に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
- 前記脂環構造を有するモノマーは、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト、1−アダマンチルアクリレ−ト、γ−ブチロラクトンアクリレ−ト、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、ペンタメチルピペリジルアクリレ−ト、テトラメチルピペリジルアクリレ−ト、2−メチル−2−アダマンチルアクリレ−ト、2−エチル−2−アダマンチルアクリレ−ト、メバロン酸ラクトンアクリレ−ト、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレ−ト、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレ−ト、ジシクロペンテニルアクリレ−ト、ジシクロペンタニルアクリレ−ト、イソボルニルアクリレ−ト、シクロヘキシルアクリレ−ト、アクリロイルモルホリン、および、テトラヒドロフルフリルアクリレ−トよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものである請求項8ないし11のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
- 前記脂環構造を有するモノマー以外の重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレ−ト、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレ−ト、トリプロピレングリコールジアクリレ−ト、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアクリレ−ト、および、4−ヒドロキシブチルアクリレ−トよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものである請求項8ないし12のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
- 前記物質Aの含有量をXA[質量%]、前記アルミニウム顔料の含有量をXM[質量%]としたとき、0.01≦XA/XM≦0.8の関係を満足する請求項1ないし14のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
- 請求項1ないし15のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物を記録媒体上に付与し、その後、紫外線を照射することにより製造されたことを特徴とする記録物。
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