JP2013018261A - インク供給装置および液滴吐出装置 - Google Patents

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敏之 小林
Masaya Shibatani
正也 柴谷
Hidekazu Moriyama
英和 森山
Naoyuki Toyoda
直之 豊田
Sue Yamada
季 山田
Taketoshi Kagose
武俊 籠瀬
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Abstract

【課題】インクジェット方式の液滴吐出ヘッドに対して金属粒子を均一に含むインクを供給可能なインク供給装置、および、金属粒子を均一に含むインクを吐出可能な液滴吐出装置を提供すること。
【解決手段】本発明のインク供給装置は、金属粒子と重合性化合物とを含む光硬化型インク1を液滴吐出ヘッド110へ供給する装置であって、光硬化型インク1を貯留するインク貯留槽150と、インク貯留槽150に貯留された光硬化型インク1を液滴吐出ヘッド110へ送液するためのインク搬送路151と、インク貯留槽150内に送気する送気手段160と、を有し、送気手段160は、インク貯留槽150内に貯留された光硬化型インク1に対して気体を送気し、光硬化型インク1を撹拌するよう構成されていることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、インク供給装置および液滴吐出装置に関する。
金属光沢を有する印刷物には、金属特有の優れた美感、質感を背景にした高い需要がある。
従来、金属光沢を有する印刷物を作製する際には、アルミニウム粒子等の金属粒子を含むインキによるグラビア印刷やスクリーン印刷等の他、金属箔を用いた箔押し印刷や熱転写印刷等が知られている。
しかしながら、これらの印刷法は、大規模または高価な装置が必要な上、印刷後に廃棄されるインキや金属箔も少なくないため、ランニングコストが高い。さらに印刷時の騒音が大きい等の課題も抱えている。
近年、これらの課題を解消する印刷法としてインクジェット印刷の利用が拡大している。インクジェット印刷は、紙等の印刷面にインクを吐出し、定着させる方式であるため、インクの使用量が少ない。一方、インクを吐出するという原理上、インクの粘性を抑える必要がある。しかしながら、インクの粘性が低下することにより、吐出したインクが滲み易くなり、高精細な印字結果を得ることが難しくなる。特に、インクの吸収性が低い印刷面(例えば紙以外の媒体)に印刷するときには、その傾向が強くなるので、インクジェット印刷用のインクには十分な速乾性が求められる。
そこで、上記の課題を解決すべく、光の照射により硬化する光硬化型インクが提案されている。例えば、特許文献1には、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類からなる重合性化合物と、光重合開始剤とを含む紫外線硬化型インクジェットインク組成物が開示されている。光硬化型インクを吐出するとともに光を照射すれば、吐出された光硬化型インクが滲み始める前に硬化させることができるため、高精細な印字結果が得られる。
このような背景から、インクジェット印刷により光硬化型インクを吐出することで金属光沢を有する印刷物を作製する技術の実用化が期待されており、金属成分を含む光硬化型インクの開発が進められている。この光硬化型インクには、金属粒子、重合性反応物、光重合開始剤等が含まれ、このインクから得られる印刷物は金属粒子に起因する光沢を有するものとなる。
ところが、金属粒子を含む光硬化型インクは、その保存安定性において問題を抱えている。具体的には、液滴吐出装置に収納された光硬化型インクにおいて、吐出前に金属粒子が沈降してしまい、吐出物に含まれる金属粒子の含有率が不均一になる。このような問題があると、印刷物の光沢も不均一になる。また、吐出信頼性も低下することとなる。
特開2008−280383号公報
本発明の目的は、インクジェット方式の液滴吐出ヘッドに対して金属粒子を均一に含むインクを供給可能なインク供給装置、および、金属粒子を均一に含むインクを安定的に吐出可能な液滴吐出装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のインク供給装置は、金属粒子と重合性化合物とを含む光硬化型インクを液滴吐出ヘッドへ供給するインク供給装置であって、
前記光硬化型インクを貯留するインク貯留槽と、
前記インク貯留槽に貯留された前記光硬化型インクを液滴吐出ヘッドへ送液するためのインク搬送路と、
前記インク貯留槽内に送気する送気手段と、を有し、
前記送気手段は、前記インク貯留槽内に貯留された前記光硬化型インクに対して気体を送気し、前記光硬化型インクを撹拌するよう構成されていることを特徴とする。
これにより、インクジェット方式の液滴吐出ヘッドに対して金属粒子を均一に含むインクを供給可能なインク供給装置が得られる。
本発明のインク供給装置では、さらに、前記インク貯留槽内から気体を排出する排気手段を有していることが好ましい。
これにより、インク貯留槽内の圧力を一定に維持することができ、液滴吐出装置の吐出安定性を高めることができる。
本発明のインク供給装置では、前記排気手段は、前記インク貯留槽内の上部から排出するよう構成されていることが好ましい。
これにより、インク中を上昇してきた気体を確実に排気することができる。
本発明のインク供給装置では、前記送気手段は、前記排気手段により前記インク貯留槽内から排出された気体を、再び前記インク貯留槽内に送気するよう構成されていることが好ましい。
これにより、気体を循環させることができ、低コストで安定的にインクを貯留し、液滴吐出ヘッドに対して均一なインクを供給することができる。
本発明のインク供給装置では、前記送気手段により送気される気体は、酸素を含んでおり、酸素濃度が空気より高いものであることが好ましい。
これにより、インクを撹拌するとともに、インクに対して十分な重合禁止効果が付与される。その結果、インクを均一にかつ安定的に貯留し、供給することができる。
本発明のインク供給装置では、前記送気手段は、前記インク貯留槽外の空気を、前記インク貯留槽内に送気するよう構成されていることが好ましい。
これにより、インクの貯留が長期化した場合でも、液滴吐出装置のランニングコストを抑えることができる。
本発明のインク供給装置では、前記インク搬送路の端部は、前記インク貯留槽の底部に接続されていることが好ましい。
これにより、インクを確実に無駄なく供給することができる。
本発明のインク供給装置では、前記インク搬送路の途中に設けられ、前記光硬化型インクに対して脱気処理を施す脱気手段を有していることが好ましい。
これにより、インクの吐出安定性を確保することができる。
本発明のインク供給装置では、前記金属粒子は、鱗片状をなしていることが好ましい。
これにより、インクを記録媒体に吐出したとき、優れた光反射特性を有する記録物が得られる。
本発明の液滴吐出装置は、インクジェット方式の液滴吐出装置であって、
金属粒子と重合性化合物とを含む光硬化型インクを貯留するインク貯留槽と、
前記インク貯留槽に貯留された前記光硬化型インクを吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記インク貯留槽に貯留された前記光硬化型インクを前記液滴吐出ヘッドへ送液するためのインク搬送路と、
前記インク貯留槽内に送気する送気手段と、を有し、
前記送気手段は、前記インク貯留槽内に貯留された前記光硬化型インクに対して気体を送気し、前記光硬化型インクを撹拌するよう構成されていることを特徴とする。
これにより、金属粒子を均一に含むインクを安定的に吐出可能な液滴吐出装置が得られる。
液滴吐出装置(インクジェット装置)の第1実施形態を示す斜視図である。 図1の液滴吐出装置が備える液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)の概略構成を説明するための模式図である。 液滴吐出装置の全体構成を示した模式図である。 図3に示す液滴吐出装置の一部を示す図である。 送気管の端部の構成例を示す平面図である。 本発明の液滴吐出装置の第2実施形態の全体構成を示した模式図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
≪インク供給装置および液滴吐出装置≫
まず、本発明のインク供給装置および液滴吐出装置の第1実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、液滴吐出装置(インクジェット装置)の第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1の液滴吐出装置が備える液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)の概略構成を説明するための模式図、図3は、液滴吐出装置の全体構成を示した模式図、図4は、図3に示す液滴吐出装置の一部を示す図である。
図1および図3に示す液滴吐出装置100は、図2に示す液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド。以下、単にヘッドと呼ぶ)110と、ベース130と、テーブル140と、インク貯留槽150と、送気手段160と、テーブル位置決め手段170と、ヘッド位置決め手段180と、制御装置190とを有している。
ベース130は、テーブル140、テーブル位置決め手段170、およびヘッド位置決め手段180等の液滴吐出装置100の各構成部材を支持する台である。
テーブル140は、テーブル位置決め手段170を介してベース130に設置されている。また、テーブル140は、基板11を載置するものである。液滴吐出装置100は、この基板11の上面にインクを吐出するものである。
テーブル位置決め手段170は、第1移動手段171と、モーター172とを有している。テーブル位置決め手段170は、ベース130におけるテーブル140の位置を決定し、これにより、ベース130における基板11の位置を決定する。
第1移動手段171は、Y方向と略平行に設けられた2本のレールと、当該レール上を移動する支持台とを有している。第1移動手段171の支持台は、モーター172を介してテーブル140を支持している。そして、支持台がレール上を移動することにより、基板11を載置するテーブル140は、Y方向に移動および位置決めされる。
モーター172は、テーブル140を支持しており、θz方向にテーブル140を揺動および位置決めする。
ヘッド位置決め手段180は、第2移動手段181と、リニアモーター182と、モーター183、184、185とを有している。ヘッド位置決め手段180は、ヘッド110の位置を決定する。
第2移動手段181は、ベース130から立設する2本の支持柱と、当該支持柱同士の間に当該支持柱に支持されて設けられ、2本のレールを有するレール台と、レールに沿って移動可能でヘッド110を支持する支持部材(図示せず)とを有している。そして、支持部材がレールに沿って移動することにより、ヘッド110は、X方向に移動および位置決めされる。
リニアモーター182は、支持部材付近に設けられており、ヘッド110のZ方向の移動および位置決めをすることができる。
モーター183、184、185は、ヘッド110を、それぞれα,β,γ方向に揺動および位置決めする。
以上のようなテーブル位置決め手段170およびヘッド位置決め手段180により、インクジェット装置100は、ヘッド110のインク吐出面115Pと、テーブル140上の基板11との相対的な位置および姿勢を、正確にコントロールできるようになっている。
図2に示すように、ヘッド110は、インクジェット方式(液滴吐出方式)によってインク1をノズル(吐出部)118から吐出するものである。本実施形態では、ヘッド110は、圧電体素子としてのピエゾ素子113を用いてインクを吐出させるピエゾ方式を用いている。ピエゾ方式は、インク1に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えないなどの利点を有する。
ヘッド110は、ヘッド本体111と、振動板112と、ピエゾ素子113とを有している。
ヘッド本体111は、本体114と、その下端面にノズルプレート115とを有している。そして、本体114を板状のノズルプレート115と振動板112とが挟み込むことにより、空間としてのリザーバー116およびリザーバー116から分岐した複数のインク室117が形成されている。
リザーバー116には、後述するインク貯留槽150よりインク1が供給される。リザーバー116は、各インク室117にインク1を供給するための流路を形成している。
また、ノズルプレート115は、本体114の下端面に装着されており、インク吐出面115Pを構成している。このノズルプレート115には、インク1を吐出する複数のノズル118が、各インク室117に対応して開口されている。そして、各インク室117から対応するノズル(吐出部)118に向かって、インク流路が形成されている。
振動板112は、ヘッド本体111の上端面に装着されており、各インク室117の壁面を構成している。振動板112は、ピエゾ素子113の振動に応じて振動可能となっている。
ピエゾ素子113は、その振動板112のヘッド本体111と反対側に、各インク室117に対応して設けられている。ピエゾ素子113は、水晶等の圧電材料を一対の電極(不図示)で挟持したものである。その一対の電極は、駆動回路191に接続されている。
そして、駆動回路191からピエゾ素子113に電気信号を入力すると、ピエゾ素子113が膨張変形または収縮変形する。ピエゾ素子113が収縮変形すると、インク室117の圧力が低下して、リザーバー116からインク室117にインク1が流入する。また、ピエゾ素子113が膨張変形すると、インク室117の圧力が増加して、ノズル118からインク1が吐出される。なお、印加電圧を変化させることにより、ピエゾ素子113の変形量を制御することができる。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子113の変形速度を制御することができる。すなわち、ピエゾ素子113への印加電圧を制御することにより、インク1の吐出条件を制御し得るようになっている。
制御装置190は、インクジェット装置100の各部位を制御する。例えば、駆動回路191で生成する印加電圧の波形を調節してインク1の吐出条件を制御したり、テーブル位置決め手段170およびヘッド位置決め手段180を制御することにより基板11へのインク1の吐出位置を制御する。
インク貯留槽150は、インク1を貯留する。
インク貯留槽150は、図3に示すように、インク搬送路151を介してヘッド110(リザーバー116)に接続されている。また、インク搬送路151には、インク1の逆流を防止するための自己封止弁153が設けられている。インク貯留槽150に貯留されたインク1は、液滴吐出時等における必要に応じて、インク搬送路151に送られ、自己封止弁153を介してヘッド110のリザーバー116に供給される。そして、ノズル118から吐出される。
ここで、インク1は、図4に示すように、金属粒子2と、重合性化合物とを含むものである。インク1は、インク貯留槽150内に貯留(保存)され、必要に応じてヘッド110へ供給されるが、金属材料の比重は重合性化合物等に比べて大きいため、貯留中に金属粒子2が沈降するおそれがある。インク1において金属粒子2が沈降すると、インク1の成分が不均一になり、ヘッド110に供給されるインク1の金属粒子2の含有率がばらつくこととなる。このため、従来の液滴吐出装置では、このような金属粒子を含むインクを用いて印刷物を得たとき、金属粒子に起因する金属光沢が十分に得られる領域と不十分な領域とが生じることがあった。
そこで、本発明に係る液滴吐出装置100は、送気手段160を備え、この送気手段160によりインク貯留槽150内に気体を送気する。送気手段160により送気された気体は、インク貯留槽150内に貯留されたインク1中において気泡を発生させる。
図4に示す送気手段160は、送気ポンプ161と、送気ポンプ161とインク貯留槽150とを接続する送気管162と、を有している。
送気管162の端部1621は、インク貯留槽150の底面に沿って敷設されており、端面は閉じられている。そして、インク貯留槽150の底面に沿って敷設された送気管162の端部1621の側面には、一定の間隔で孔1620が開けられている。送気ポンプ161から送気管162に気体が送気されると、これらの孔1620からインク1中に気体が放出され、気泡3が発生する。そして、気泡3がインク1中を上昇するのに伴い、インク貯留槽150内に貯留されたインク1が撹拌される。その結果、インク1における金属粒子2の沈降が抑制され、貯留中のインク1の成分を均一に維持することができる。なお、図4において、気体の流れを破線の矢印で示し、インク1の流れを実線の矢印で示す。このような気泡3の上昇に伴うインク1の撹拌は、機械的な撹拌法に比べて、インク1中の金属粒子2に対する機械的な衝撃が抑えられる。このため、鱗片状の金属粒子2のように粉砕し易い粒子であっても、金属粒子2の形状を維持しながら撹拌することができる。
送気管162の端部は、インク貯留槽150の底面全体にムラなく敷設されるのが好ましい。
図5は、送気管162の端部の構成例を示す平面図である。送気管162の端部は、具体的には、図5(a)に示すように螺旋を描くよう構成されていてもよく、図5(b)に示すように複数に分岐するよう構成されていてもよく、図5(c)に示すように複数回折り返すよう敷設されていてもよい。送気管162をこのように敷設することで、貯留中のインク1の成分をより均一に維持することができる。
また、送気管162の端部に設けられた複数の孔1620は、等間隔で設けられるのが好ましい。これにより、インク1中に気泡を均一に発生させることができる。
各孔1620の直径は、後述する金属粒子2の平均粒径より小さいのが好ましい。これにより、金属粒子2が沈降して孔1620が塞がれたときでも、気泡3を確実に発生させることができる。その結果、貯留中のインク1において金属粒子2の沈降を確実に抑制し、インク1の成分を均一に維持することができる。
具体的には、各孔1620の直径は1μm以下程度であるのが好ましく、0.5μm以下程度であるのがより好ましい。
このようにして形成される気泡3の平均バブル径は、5μm以上100μm以下程度であるのが好ましく、10μm以上80μm以下程度であるのがより好ましく、15μm以上60μm以下程度であるのがさらに好ましい。バブル径が前記範囲内であることにより、インク1の撹拌作用と気泡の上昇の抑制とを高度に両立することができ、インク1の成分をとりわけ均一に維持することができる。
なお、平均バブル径は、例えば、光学顕微鏡等による光学観察、レーザービームの散乱・遮光などによる液中パーティクルカウンター等により測定することができる。
また、送気管162の端部の構成は、図4、5に示すものに限定されず、例えば端部が多孔質材料で構成されていてもよい。すなわち、送気管162の端部は、多孔質材料で構成された管体で構成されていてもよい。このような管体では、多孔質材料に含まれている多数の微小な孔を介して、微小かつ均一な気泡を効率よく発生させることができる。
多孔質材料としては、例えば、スポンジのような樹脂製多孔質材料、陶器のようなセラミックス製多孔質材料、発泡金属のような金属製多孔質材料、ガラス製多孔質材料等が挙げられる。また、パンチングメタル、メッシュ等であってもよい。
なお、インク貯留槽150内には、必要に応じて、発生した気泡3のバブル径を調整する手段(バブル径調整手段)が設けられる。このバブル径調整手段は、インク1中の気泡3を微細化して小径化する。これにより、気泡3の平均バブル径を前記範囲内に調整することができ、上述したような優れた効果を享受することができる。
バブル径調整手段としては、例えば、(1)キャビテーションにより気泡を微細化する手段、(2)二相流旋回方式や超高速旋回方式などの旋回方式またはベンチュリー管方式により気泡を微細化する手段、(3)旋回流により気泡を微細化する手段等が挙げられ、これらの手段の2つ以上を組み合わせた手段であってもよい。
このうち、(1)の手段は、気泡を含んだインク1を送液するポンプで構成される。このポンプに、気泡を混入させたインク1を導入すると、ポンプ内でキャビテーションが生じて気泡が分裂する。これにより、より微細な気泡が形成されるので、これを再びインク貯留槽150内に戻してやればよい。
また、(2)の手段は、二相流旋回方式や超高速旋回方式などの旋回方式またはベンチュリー管方式により構成される。このベンチュリー管に、気泡を混入させたインク1を導入すると、管内をインク1が通過する際に発生する圧力差によって微細な気泡が発生する。
さらに、(3)の手段は、旋回するプロペラで構成される。この旋回するプロペラに、気泡を混入させたインク1を導入すると、プロペラによる撹拌力で気泡が破壊され、より微細な気泡が形成される。
なお、上記のバブル径調整手段は、気泡を微細化することができるが、通常、微細化可能な大きさの下限値が存在する。このため、バブル径調整手段を用いることで、気泡のバブル径を揃えることもできる。気泡のバブル径を揃えることにより、インク1における気泡の上昇速度が均一になり、貯留中のインク1の成分をより均一に維持することができる。
送気ポンプ161は、気体を送出し得るポンプであれば、いかなるものでもよい。また、単位時間当たりの送気量は、インク貯留槽150の容積に応じて適宜設定される。
送気手段160により送気される気体としては、例えば、酸素、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の他、空気のような2種類以上の成分を含む混合ガスが挙げられる。
このうち、酸素を含むガスが好ましく用いられる。酸素含有ガスを用いることで、貯留中のインク1がゲル化あるいは硬化してしまうのを防止することができる。これは、以下のような理由による。
インク1のように金属粒子と重合性化合物とを含む光硬化性インクは、従来、十分に脱気処理が施された上で、遮光された気密容器内に封入された状態で保存されていた。ところが、金属粒子は、重合性化合物の重合反応を促進する触媒として機能するため、これにより保存中のインクがゲル化あるいは硬化することがあった。
本発明者は、この重合反応において、酸素が重合禁止効果を有していることを見出した。そして、従来は、脱気処理を施したことにより、重合反応を抑制することができず、重合反応が一層促進されることが問題となっていたことを突き止めた。
そこで、図3に示す液滴吐出装置100では、送気手段160により送気される気体として酸素含有ガスを用いることにより、インク1を撹拌するとともに、インク1に対して重合禁止効果を付与することができる。その結果、金属粒子を含むインク1を均一にかつ安定的に貯留することができる。
酸素含有ガスにおける酸素濃度は、特に限定されないが、空気の酸素濃度より高いことが好ましい。具体的には、21体積%以上100体積%以下であるのが好ましく、30体積%以上100体積%以下であるのがより好ましい。酸素濃度を前記範囲内にすることにより、前述した重合禁止効果がより確実に発揮され、インク1をより長期わたってより安定的に貯留することができる。
なお、酸素含有ガスの送気により、一定量の酸素が溶存する。溶存酸素は、インク1中に分子状に溶解している酸素のことをいう。インク1の溶存酸素濃度は、インク1の飽和溶存酸素濃度を1としたとき、0.18以上0.9以下であるのが好ましく、0.2以上0.85以下であるのがより好ましく、0.3以上0.8以下であるのがさらに好ましい。これにより、インク1における重合禁止効果を十分に確保しつつ、インク1に溶存した酸素が気泡になるのを防止することができる。
溶存酸素濃度の測定には、例えば、ヨウ素滴定法、ミラー変法、隔膜電極法等の測定方法を用いることができる。特に溶存酸素計(例えば、東亜ディーケーケー(株)製DO−32A)等によれば、比較的簡単に測定することができる。
また、飽和溶存酸素濃度は、25℃、1気圧(101kPa)において、インク1中に酸素濃度100%のガスを24時間以上導入し、その直後の溶存酸素濃度を上記の方法で測定することにより取得することができる。
一方、送気手段160により送気される気体は、できるだけ水蒸気を含まないことが好ましい。具体的には、水蒸気濃度は0.1体積%以下であるのが好ましく、0.01体積%以下であるのがより好ましい。水蒸気がこれより多く含まれていると、インク1が変質、劣化するおそれがある。
送気手段160による送気は、インク貯留槽150にインク1を貯留している間、継続的に行うようにしてもよいが、断続的に行うようにしてもよい。継続的に行う場合、送気量を一定時間ごとに増減させるようにしてもよく、断続的に行う場合、送気の時間間隔はインク1における金属粒子の沈降性に応じて適宜設定するようにすればよい。
以上のインク貯留槽150と送気手段160により、インク供給装置が構成される。このようなインク供給装置は、金属粒子が均一に分散したインク1をヘッド110に供給することができる。
また、図3に示すインク供給装置は、さらに、インク貯留槽150中の気体を排出する排気手段165を有している。図3に示す排気手段165は、インク貯留槽150から排出された気体を前述した送気手段160に供給する。そして、この気体は、再びインク貯留槽150内に供給される。図3に示すインク供給装置では、このように気体を循環させることで、低コストで安定的にインク1を貯留し、さらにヘッド110に対して均一なインク1を供給することができる。また、排気手段165を設けることで、インク貯留槽150内の圧力を一定に維持することができ、液滴吐出装置100の吐出安定性を高めることができる。
図3に示す排気手段165は、インク貯留槽150と送気ポンプ161とを接続する排気管166で構成されている。インク貯留槽150に接続された排気手段165の接続部は、インク1の液面より上方であればその位置は特に限定されないが、好ましくはインク貯留槽150の上部(上面)に設定される。これにより、インク1を上昇してきた気体を、排気手段165により、確実に排気することができる。
なお、送気手段160は、循環される気体以外に、追加で送気するための気体を封入した貯気槽を有していてもよい。必要に応じて貯気槽から気体を追加することで、インク1中に溶解した分の気体を補うことができ、循環系の気圧を一定に維持することができる。
インク貯留槽150に貯留されたインク1は、前述したように、インク搬送路151を介してヘッド110のリザーバー116に供給される。
インク搬送路151のインク貯留槽150側の端部は、図4に示すようにインク貯留槽150の底部に位置するよう設けられているのが好ましい。これにより、インク1を確実に無駄なく供給することができる。なお、この底部とは、インク貯留槽150の底面上あるいはその近傍を指す。
ヘッド110に対するインク1の送液は、インク貯留槽150内とリザーバー116内との気圧差を駆動力として行うことができる。この気圧差を形成するためには、インク貯留槽150内の圧力を大気圧より高くするのが好ましい。具体的には、1.1気圧(110kPa)以上であるのが好ましく、1.2気圧(120kPa)以上であるのがより好ましい。
また、図3に示すインク搬送路151の途中には、脱気手段152が設けられている。脱気手段152は、インク1中に含まれる気体成分を除去する脱気処理を施すものであり、この脱気処理によりインク1の吐出安定性を確保することができる。すなわち、インク1中に気泡が残存していると、これがインク1の流路に滞留してインク1の流れを妨げるおそれがあるが、脱気手段152を設けることにより、この問題を解消することができる。
脱気手段152は、例えば、気液分離膜方式、減圧方式等の各種脱気装置で構成される。このような脱気手段152は、必要に応じて設けられればよく、インク1の気体溶解性が低い場合には省略されてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明のインク供給装置および液滴吐出装置の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の液滴吐出装置の第2実施形態の全体構成を示した模式図である。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
図6に示す液滴吐出装置100は、送気手段160および排気手段165の構成が異なる以外、第1実施形態と同様である。
図6に示す送気手段160は、インク貯留槽150の外気(空気)を取り込み、これをインク貯留槽150内に送気し得るよう構成されている。空気は、酸素を20体積%程度含んでおり、送気手段160が使用するガスにかかる費用を低く抑えることができる。その結果、インク1の貯留が長期化した場合でも、液滴吐出装置100のランニングコストを抑えることができる。
なお、空気には比較的多くの水蒸気が含まれているので、必要に応じて、インク貯留槽150内に送気する空気から水蒸気を除去する除湿手段を設けるようにしてもよい。
一方、排気手段165は、インク貯留槽150内の気体を外部に放出する排気管166で構成されている。この排気管166では、インク貯留槽150内の気圧が大気圧より高くなったときに、内部の気体が排出される。また、排気管166には、必要に応じて圧力弁1660を設けるようにしてもよい。この圧力弁1660は、インク貯留槽150内の気圧が一定の値を超えたとき、弁を開けて圧力を下げるよう機能する。これにより、インク貯留槽150内の気圧を一定の値に維持することができる。
また、図6に示す送気手段160は、インク貯留槽150内に送気する気体を封入した貯気槽168を有していてもよい。この気体には大気以外のもの(例えば酸素ガス等)が用いられ、インク1の組成や大気の状態等に応じてこの気体を適宜送気するようにすれば、インク1の状態をより最適化することができる。なお、貯気槽168は、送気管162の途中に接続されているが、貯気槽168と送気管162との間には流量バルブ1680が設けられている。この流量バルブ1680により、貯気槽168に貯留された気体の供給量を調整することができる。
また、図6に示す液滴吐出装置100は、インク貯留槽150内に貯留されたインク1における金属粒子の分散状態を検出する光学センサー164、インク貯留槽150内に貯留されたインク1の溶存酸素濃度を測定する溶存酸素センサー167と、インク貯留槽150内の圧力を測定する圧力センサー169と、を有している。
このうち、光学センサー164は、インク1における金属粒子の分散状態を光学的に定量化し得るセンサーであれば、特に限定されず、例えばCCDカメラのような撮像素子や、レーザー光の回折、散乱等を評価する受発光素子等が挙げられる。
さらに、液滴吐出装置100は、前述した制御装置190を有しているが、この制御装置190は、光学センサー164、溶存酸素センサー167、圧力センサー169、圧力弁1660、流量バルブ1680、および送気ポンプ161とそれぞれ電気的に接続されている。これにより、光学センサー164、溶存酸素センサー167や圧力センサー169による測定結果や事前の設定に基づいて、圧力弁1660、流量バルブ1680および送気ポンプ161の動作を制御装置190により協調的に制御することができる。
この制御の例としては、インク1における金属粒子の分散状態がより均一になるよう、光学センサー164の測定結果に基づいて送気する気体の流量を調整したり、インク1中の溶存酸素濃度が所定の範囲内になるよう、送気する気体の成分や流量を調整したり、インク貯留槽150内の圧力が所定の範囲内になるよう、送気する気体の流量バルブ1680の開度や圧力弁1660を開放するしきい値等を調整したりする制御が挙げられる。
以上のような液滴吐出装置100によれば、インク貯留槽150内に貯留されたインク1において金属粒子の沈降をより確実に抑制し、特に均一な状態で維持することができる。それとともに、インク1のゲル化あるいは硬化をより確実に抑制することができ、インク1を特に安定的に貯留するとともに安定的に吐出することができる。
≪光硬化型インク≫
上述したように、インク(光硬化型インク)1は、金属粒子と重合性化合物とを含むものである。
以下、インク1の各構成成分について説明する。
(金属粒子)
金属粒子は、金属を含む粒子であればいかなるものでもよく、その構成材料としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、銀、金、白金、スズ、亜鉛、インジウム、チタン、銅のような金属の単体あるいはこれらの合金、混合物が挙げられる。また、インク1中に含まれる金属粒子は、2種以上の粒子を混合したものであってもよい。
これらのうち、金属粒子の構成材料は、アルミニウム、鉄、ニッケル、および銀のうちの少なくとも1種であるのが好ましい。これらの金属材料は光輝性に優れていることから、これらの金属材料を含むインク1は、金属光沢性の特に高い記録物を製造し得るものとなる。さらに、これらの金属材料は、インク1中に酸素が溶存することで、その触媒作用を効率的に抑制することのできる材料であるため、保存安定性の高いインク1を実現することができる。
金属粒子の形状としては、特に限定されず、略球状、鱗片状、針状等の形状が挙げられる。このうち、インク1中に含まれる金属粒子は、鱗片状をなしているのが好ましい。このような形状の金属粒子は、インクジェット法により記録媒体上に液滴として吐出されたとき、自ずと、その主面が記録媒体の表面形状に沿うように配置されることとなる。その結果、得られた記録物は、一定の向きに配置された金属粒子に基づいて、優れた光反射特性を有するものとなり、金属材料が本来有している金属光沢感を十分に発現したものとなる。よって、得られた記録物は、美感、質感において特に優れたものとなる。
本発明において鱗片状とは、平板状、湾曲板状等のように、所定の角度から観察した際(平面視した際)の面積が、当該観察方向と直交する角度から観察した際の面積よりも大きい形状のことをいい、特に、投影面積が最大となる方向から観察した際(平面視した際)の面積S[μm]と、当該観察方向と直交する方向のうち観察した際の面積が最大となる方向から観察した際の面積S[μm]に対する比率(S/S)が、好ましくは2以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは8以上である形状のことをいう。なお、この値には、例えば、任意の10個の金属粒子について評価し、それらの平均値が採用される。
金属粒子の平均粒径は、500nm以上2μm以下であるのが好ましく、800nm以上1.8μm以下であるのがより好ましい。これにより、インク1を用いて製造される記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものにしつつ、金属粒子の表面積が最適化され、インク1の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。なお、本発明において、平均粒径とは、個数基準の平均粒径のことをいい、投影面積が最大となる方向から観察した際の面積Sと同一の面積を有する真円の直径の平均値のことをいう。
また、金属粒子は、必要に応じて、上述した金属材料からなる粒子の表面に各種の表面処理を施したものでもよい。表面処理としては、例えば、各種カップリング剤、アルコキシシラン化合物を結合させる処理が挙げられる。
インク1中の金属粒子の含有量は、0.1質量%以上5質量%以下であるのが好ましく、0.5質量%3質量%以下であるのがより好ましい。これにより、インク1を用いて製造される記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものにしつつ、金属粒子による触媒作用が抑制されることとなる。その結果、前述の光沢感や高級感と保存安定性とを高度に両立し得るインク1が得られる。
このような金属粒子は、いかなる方法で製造されたものであってもよく、例えば、インゴット等を粉砕することにより得られた粗大粉末を所望の粒径まで粉砕する粉砕法、蒸着等の気相成膜法等によりフィルム上に形成した金属膜を前記フィルムから剥離・粉砕させる方法(特に、液体中において剥離・粉砕を行い、前記液体中に分散させる方法)、化学的な造粒法等の方法により製造することができる。また、各種アトマイズ法により製造された金属粉末を用いるようにしてもよい。
アトマイズ法では、溶融金属(溶湯)を水やガス等の冷却剤に衝突させ、微粉化して製造する方法である。このため、粒径の揃った金属粒子が得られる。したがって、アトマイズ法で製造された金属粒子を用いることにより、均一性の高い記録物を製造可能なインク1が得られる。また、アトマイズ法では、粗大粒子が発生し難いので、インク1の吐出安定性をより高めることができる。
なお、アトマイズ法の中でも冷却剤として水を用いる水アトマイズ法で製造された金属粒子が好ましく用いられる。水アトマイズ法では、溶融金属と水とが衝突した際に、微粉化された溶融金属の表面が急速かつ均一に酸化することとなる。その結果、得られた金属粒子の表面には、均一な酸化被膜が形成されることとなり、前述した金属粒子による触媒作用が抑制されることとなる。なお、水との接触時間は一瞬であり、形成される酸化被膜は極薄いものなので、酸化被膜が金属粒子の光沢感に影響を及ぼすことはほとんどない。このため、水アトマイズ法により、インク1の保存安定性に寄与するとともに、光沢感に優れた記録物を製造可能な金属粒子を得ることができる。
また、金属粒子を鱗片状にするためには、アトマイズ法で金属粒子を製造した後、圧延処理を施すようにすればよい。圧延処理としては、例えば、ロール圧延、ボールミル、スタンプミル等を用いた処理が用いられる。
(重合性化合物)
上述したように、インク1は、光の照射により重合し、硬化する成分である重合性化合物を含んでいる。このような成分を含むことにより、インク1を用いて製造される記録物の耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を優れたものとすることができる。重合性化合物は液状をなすものであり、インク1において、金属粒子を分散する分散媒として機能するものであるのが好ましい。これにより、別途、記録物の製造過程において除去(蒸発)される分散媒を用いる必要がなく、記録物の製造においても、分散媒を除去する工程を設ける必要がないため、記録物の生産性を特に優れたものとすることができる。また、分散媒として一般に有機溶媒として用いられているものを使用する必要がないため、揮発性有機化合物(VOC)の発生を防止することができ、環境保全あるいは安全性の観点から有用である。また、重合性化合物を含むことにより、様々な記録媒体(基材)に対する、インク1を用いて形成される印刷部の密着性を優れたものとすることができる。すなわち、重合性化合物を含むことにより、インク1はメディア対応性に優れたものとなる。
重合性化合物としては、光の照射により重合する成分であればよく、例えば、各種モノマー、各種オリゴマー(ダイマー、トリマー等を含む。)等を用いることができるが、インク1は、重合性化合物として、少なくともモノマー成分を含むものであるのが好ましい。モノマーは、オリゴマー成分等に比べて、一般に低粘度の成分であるため、インク1の吐出安定性を特に優れたものとする上で有利である。
具体的には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸のような不飽和カルボン酸を含むものが好ましく用いられる。より具体的には、イソボニルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、PO変性ノニルフェノールアクリレート、EO変性ノニルフェノールアクリレート、EO変性2エチルヘキシルアクリレート、EO変性ノニルフェノールアクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、EO変性クレゾールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、ポリエチレングリコール300ジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピパレートジアクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、ポリエチレングリコール600ジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、PO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル等が挙げられる。
中でも、4−ヒドロキシブチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルが好ましい。
特に、インク1は、重合性化合物としてフェノキシエチルアクリレートを含むものであるのが好ましい。これにより、インク1の保存安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後のインク1の反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
また、インク1は、重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレートに加え、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、および、4−ヒドロキシブチルアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましい。これにより、インク1の保存安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後のインク1の反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
また、インク1は、重合性化合物として、モノマー以外に、オリゴマーを含むものとしてもよい。特に多官能のオリゴマーを含むものであるのが好ましい。これにより、インク1の保存安定性を優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。なお、本発明では、重合性化合物の中でも、分子の骨格中に繰り返し構造を有し、分子量が600以上のものをオリゴマーと呼ぶ。オリゴマーとしては、繰り返し構造がウレタンであるウレタンオリゴマー、繰り返し構造がエポキシであるエポキシオリゴマー等が好ましく用いられる。
また、インク1は、前記重合性化合物として、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートおよびアミノアクリレートのいずれか一方を含むのが好ましい。これにより、インク1の保存安定性をより優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。
インク1中の重合性化合物の含有量は、40質量%以上80質量%以下であるのが好ましく、45質量%以上75質量%以下であるのがより好ましい。
(その他の成分)
インク1は、上述した以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、光重合開始剤、スリップ剤(レベリング剤)、分散剤、重合促進剤、重合禁止剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、着色剤、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
光重合開始剤は、紫外線等のエネルギー線が照射されることにより、活性化してラジカルやカチオン等の活性種を発生し、上記重合性化合物の重合反応を開始させ得るものであれば特に限定されない。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができるが、光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤は、紫外線領域に吸収ピークを有していることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物等が挙げられる。
これらの中でも、重合性化合物への溶解性および硬化性の観点から、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物を併用することがより好ましい。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、およびビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられ、これらのうちから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
インク1中における光重合開始剤の含有量は、0.5質量%以上10質量%以下であるのが好ましい。光重合開始剤の含有量が前記範囲内であると、硬化速度が十分大きく、かつ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色がほとんどなくなる。
インク1がスリップ剤を含むものであると、レベリング作用により記録物の表面が平滑になり、耐擦性が向上する。
スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤を用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
インク1が分散剤を含むものであると、金属粒子の分散性を優れたものとすることができ、インク1の保存安定性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、エポキシ樹脂等が挙げられる。
インク1が重合禁止剤を含むものであると、保存中のインク1において重合性化合物の重合反応に対する禁止効果が発現し、保存安定性を高めることができる。
重合禁止剤としては、特に限定されない該、例えば、p−ハイドロキノン、p−メトキシフェノールのようなフェノール系の重合禁止剤、p−ベンゾキノン、2,5−ジ−tert−ブチルベンゾキノンのようなキノン系の重合禁止剤等を用いることができる。
インク1中における重合禁止剤の含有量は、0.05質量%以上1質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下であるのがより好ましい。重合禁止剤の含有量が前記範囲であると、保存中の重合反応を確実に抑制する一方、印刷後に硬化させる際の硬化速度が著しく低下するのを防止することができる。
なお、重合禁止剤が重合禁止作用を発揮するためには、酸素が必要になる場合が多い。したがって、重合禁止剤を含むインク1を、空気との接触を避けた状態で保存した場合、重合禁止作用が発揮されず、保存中にインク1が硬化してしまう。これに対し、重合禁止剤を含むインク1に前述した濃度の酸素を溶存させることにより、金属粒子による触媒機能を抑え込む作用のみならず、重合禁止剤による重合禁止作用もが長期にわたって発揮され、インク1を気密容器内(インク貯留槽150内)で特に安定して保存することができる。
また、インク1は、記録物の製造工程において除去(蒸発)される有機溶剤を含まないものであるのが好ましい。これにより、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を効果的に防止することができる。
インク1の室温(20℃)での粘度は、20mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上15mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による液滴吐出を好適に行うことができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、インク供給装置や液滴吐出装置を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
[1]光硬化型インクの製造
まず、水アトマイズ法によりアルミニウム粉末を製造した。次いで、ジルコアニアビーズ(直径:5mm)を用いた遊星ボールミルに得られたアルミニウム粉末を投入し、アルミニウム粉末を鱗片状に加工した。
次に、下記の成分を含む光硬化型インクを用意した。なお、各成分の含有率は表1に示す通りである。
<光硬化型インクの組成>
・金属粒子
:平板状(鱗片状)アルミニウム粒子(平均粒径D50:0.8μm)
・重合性化合物
:フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)
:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル((株)日本触媒製)
:トリプロピレングリコールジアクリレート
:ジプロピレングリコールジアクリレート
:4−ヒドロキシブチルアクリレート
・光重合開始剤
:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン(株)製、IRGACURE819)
:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(Lambson社製、speedcure TPO)
:2,4ジエチルチオキサントン(Lambson社製、speedcure DETX)
・重合禁止剤
:p−メトキシフェノール
・レベリング剤
:シリコーン系表面調整剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、UV−3500)
[2]光硬化型インクによる印刷
次に、用意した光硬化型インクを図1に示す液滴吐出装置のインク貯留槽に入れ、所定パターンの印刷を行った。
具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製 ダイヤホイル G440E 38μm厚)に直径3mmの円形状パターンを一定の間隔で100個描画した。なお、この際、1つのパターンを描画し終えるたびに10〜15分間のインターバルを設け、全体で24時間程度かけて描画した。
なお、印刷の間、光硬化型インクを貯留しているインク貯留槽には、以下の条件で送気を行った。
<送気条件>
・送気パターン :連続送気
・送気量 :1L/min
・送気ガス :酸素100体積%
・平均バブル径 :50μm
・インク貯留槽内の圧力:1.1気圧(110kPa)
・送気管の構成 :図5(b)に示す構成
また、この送気を24時間行った後の光硬化型インクについて、25℃、1気圧の環境下で溶存酸素濃度を測定した。この測定には、溶存酸素計(東亜ディーケーケー(株)製DO−32A)を用いた。なお、この光硬化型インクについては、別途、飽和溶存酸素濃度を測定したところ、その値は280ppmであった。
そこで、測定された溶存酸素濃度について、飽和溶存酸素濃度を1としたときの相対値を求めたところ、0.50であった。
(実施例2)
平均バブル径が80μmになるように、送気管に開けた孔の大きさを変更した以外は、実施例1と同様にして光硬化型インクを用いた印刷を行った。また、測定された溶存酸素濃度の相対値を表2に示す。
(実施例3)
平均バブル径が150μmになるように、送気管に開けた孔の大きさを変更した以外は、実施例1と同様にして光硬化型インクを用いた印刷を行った。また、測定された溶存酸素濃度の相対値を表2に示す。
(実施例4)
平均バブル径が20μmになるように、送気管の端部をジルコニア製多孔質管体に変更した以外は、実施例1と同様にして光硬化型インクを用いた印刷を行った。また、測定された溶存酸素濃度の相対値を表2に示す。
(実施例5)
平均バブル径が5μmになるように、送気管の端部をジルコニア製多孔質管体に変更した以外は、実施例1と同様にして光硬化型インクを用いた印刷を行った。また、測定された溶存酸素濃度の相対値を表2に示す。
(実施例6)
送気ガスを、酸素濃度が50体積%の酸素−窒素混合ガスに変更した以外は、実施例1と同様にして光硬化型インクを用いた印刷を行った。また、測定された溶存酸素濃度の相対値を表2に示す。
(実施例7)
送気ガスを、酸素濃度が25体積%の酸素−窒素混合ガスに変更した以外は、実施例1と同様にして光硬化型インクを用いた印刷を行った。また、測定された溶存酸素濃度の相対値を表2に示す。
(実施例8)
送気ガスを、酸素濃度が5体積%の酸素−窒素混合ガスに変更した以外は、実施例1と同様にして光硬化型インクを用いた印刷を行った。また、測定された溶存酸素濃度の相対値を表2に示す。
(実施例9)
送気ガスを、窒素ガス(酸素濃度0%)に変更した以外は、実施例1と同様にして光硬化型インクを用いた印刷を行った。また、測定された溶存酸素濃度の相対値を表2に示す。
(実施例10)
図6に示す液滴吐出装置を用いるとともに、送気ガスを空気(酸素濃度20体積%)に変更した以外は、実施例1と同様にして光硬化型インクを用いた印刷を行った。
(実施例11)
平板状(鱗片状)アルミニウム粒子(平均粒径D50:0.8μm)に代えて、平板状(鱗片状)ステンレスSUS316L粒子(平均粒径D50:1.5μm)を用いるとともに、重合性化合物の組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして光硬化型インクを用いた印刷を行った。
(比較例1)
送気を行わないようにした以外は、実施例1と同様にして光硬化型インクを用いた印刷を行った。また、測定された溶存酸素濃度の相対値を表2に示す。
(比較例2)
インク貯留槽の底にスクリューを取り付け、印刷の間、このスクリューを回転させることによりインクを撹拌するようにした以外は、実施例1と同様にして光硬化型インクを用いた印刷を行った。また、測定された溶存酸素濃度の相対値を表2に示す。
(比較例3)
送気を行わないようにした以外は、実施例11と同様にして光硬化型インクを用いた印刷を行った。また、測定された溶存酸素濃度の相対値を表2に示す。
なお、各インクの組成等を、表1にまとめて示した。表中、フェノキシエチルアクリレートを「PEA」、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルを「VEEA」、トリプロピレングリコールジアクリレートを「TPGDA」、ジプロピレングリコールジアクリレートを「DPGDA」、Irgacure 819(チバ・ジャパン社製)を「ic819」、Speedcure TPO(ACETO社製)を「scTPO」、Speedcure DETX(Lambson社製)を「scDETX」、UV−3500(ビックケミー社製)を「UV3500」、p−メトキシフェノールを「pMP」、4−ヒドロキシブチルアクリレートを「HBA」で示した。また、各インク中に含まれるそれぞれ任意の10個の金属粒子について観察を行い、投影面積が最大となる方向から観察した際(平面視した際)の面積S[μm]と、当該観察方向と直交する方向のうち観察した際の面積が最大となる方向から観察した際の面積S[μm]に対する比率(S/S)を求め、これらの平均値を、表1にあわせて示した。また、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のインクセットを構成する各インクの20℃における粘度は、いずれも、3mPa・s以上15mPa・s以下の範囲内の値であった。
Figure 2013018261
Figure 2013018261
[3]印刷物の評価
[3−1]光沢感の評価
各実施例および各比較例で得られた100個の円形状パターンについて、それぞれの光沢度を以下のようにして測定した。
光沢度の測定には、光沢度計(コニカミノルタ社製 MULTI GLOSS 268)を用い、各円形状パターンについて煽り角度60°での光沢度を測定した。そして、比較例1で得られた円形状パターン100個についての光沢度の標準偏差を1としたとき、各実施例および比較例2、3で得られた円形状パターン100個についての標準偏差の相対値を、以下の基準に従い評価した。
<光沢感の評価基準>
A:標準偏差の相対値が0.3未満である
B:標準偏差の相対値が0.3以上0.5未満である
C:標準偏差の相対値が0.5以上0.7未満である
D:標準偏差の相対値が0.7以上0.9未満である
E:標準偏差の相対値が0.9以上1未満である
F:標準偏差の相対値が1以上である
[3−2]粘度の評価
まず、印刷に供する前の光硬化型インクについて、粘度(初期粘度)を評価した。粘度の評価は、25℃においてPhysica社製の粘度計MCR−300により測定した。その結果、初期粘度は5mPa・sであった。
次に、この光硬化型インクを、各実施例および各比較例において印刷に供した。印刷終了後、インク貯留槽内に貯留していた光硬化型インクを取り出し、再び粘度を測定した。そして、初期粘度を1としたとき、印刷終了後の粘度の相対値を算出し、これを以下の評価基準に基づいて評価した。
<粘度の評価基準>
A:印刷後の粘度の相対値が1.05未満である
B:印刷後の粘度の相対値が1.05以上1.1未満である
C:印刷後の粘度の相対値が1.1以上1.5未満である
D:印刷後の粘度の相対値が1.5以上2未満である
E:印刷後の粘度の相対値が2以上である
[3−3]液滴吐出の安定性評価
円形状パターンに代えて、2000000発(200000滴)のドットパターンを24時間かけて印刷するようにした以外は、各実施例および各比較例のようにして印刷を行った。そして、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の5段階の基準に従って評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が抑制されており、吐出安定性が高いといえる。
<吐出安定性の評価基準>
A:ズレ量dの平均値が0.09μm未満である
B:ズレ量dの平均値が0.09μm以上0.15μm未満である
C:ズレ量dの平均値が0.15μm以上0.18μm未満である
D:ズレ量dの平均値が0.18μm以上0.22μm未満である
E:ズレ量dの平均値が0.22μm以上である
以上、3−1〜3−3の評価結果を表3に示す。
Figure 2013018261
表に示すように、各実施例で得られた円形状パターンでは、光沢度のバラツキが小さく抑えられていた。これは、インク供給装置において金属粒子の含有率が均一なインクが液滴吐出ヘッドに継続的に供給され、それにより、均質な印刷結果が得られたためであると推察される。
また、各実施例で使用した光硬化型インクでは、24時間の印刷プロセス終了後においても、粘度の著しい上昇が抑えられていた。さらに、各実施例では、24時間かけてドットパターンを印刷した場合でも、光硬化型インクの飛行曲がりが確実に抑えられていた。これらの結果から、各実施例では、貯留中のインクが安定した状態で維持されていることが明らかとなった。
一方、各比較例で得られた円形状パターンでは、光沢度のバラツキが大きかった。これは、比較例1において、印刷後のインク貯留槽を確認したところ、金属粒子が沈降していたので、それが原因となって光沢度が不均一になったと推察される。また、比較例2では、光沢度のバラツキは抑えられたものの、光沢度自体が小さかった。印刷物を光学顕微鏡で観察したところ、金属粒子の一部が粉砕されていた。
また、実施例9および各比較例で使用した光硬化型インクでは、24時間の印刷プロセス終了後において、粘度の上昇やインクの飛行曲がりの発生が認められた。
1…光硬化型インク(インク) 2…金属粒子 3…気泡 11…基板 100…液滴吐出装置(インクジェット装置) 110…液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド、ヘッド) 111…ヘッド本体 112…振動板 113…ピエゾ素子 114…本体 115…ノズルプレート 115P…インク吐出面 116…リザーバー 117…インク室 118…ノズル(吐出部) 130…ベース 140…テーブル 150…インク貯留槽 151…インク搬送路 152…脱気手段 153…自己封止弁 160…送気手段 161…送気ポンプ 162…送気管 1620…孔 1621…端部 164…光学センサー 165…排気手段 166…排気管 1660…圧力弁 167…溶存酸素センサー 168…貯気槽 1680…流量バルブ 169…圧力センサー 170…テーブル位置決め手段 171…第1移動手段 172…モーター 180…ヘッド位置決め手段 181…第2移動手段 182…リニアモーター 183、184、185…モーター 190…制御装置 191…駆動回路

Claims (10)

  1. 金属粒子と重合性化合物とを含む光硬化型インクを液滴吐出ヘッドへ供給するインク供給装置であって、
    前記光硬化型インクを貯留するインク貯留槽と、
    前記インク貯留槽に貯留された前記光硬化型インクを液滴吐出ヘッドへ送液するためのインク搬送路と、
    前記インク貯留槽内に送気する送気手段と、を有し、
    前記送気手段は、前記インク貯留槽内に貯留された前記光硬化型インクに対して気体を送気し、前記光硬化型インクを撹拌するよう構成されていることを特徴とするインク供給装置。
  2. さらに、前記インク貯留槽内から気体を排出する排気手段を有している請求項1に記載のインク供給装置。
  3. 前記排気手段は、前記インク貯留槽内の上部から排出するよう構成されている請求項2に記載のインク供給装置。
  4. 前記送気手段は、前記排気手段により前記インク貯留槽内から排出された気体を、再び前記インク貯留槽内に送気するよう構成されている請求項2または3に記載のインク供給装置。
  5. 前記送気手段により送気される気体は、酸素を含んでおり、酸素濃度が空気より高いものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインク供給装置。
  6. 前記送気手段は、前記インク貯留槽外の空気を、前記インク貯留槽内に送気するよう構成されている請求項2または3に記載のインク供給装置。
  7. 前記インク搬送路の端部は、前記インク貯留槽の底部に接続されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載のインク供給装置。
  8. 前記インク搬送路の途中に設けられ、前記光硬化型インクに対して脱気処理を施す脱気手段を有している請求項1ないし7のいずれか1項に記載のインク供給装置。
  9. 前記金属粒子は、鱗片状をなしている請求項1ないし8のいずれか1項に記載のインク供給装置。
  10. インクジェット方式の液滴吐出装置であって、
    金属粒子と重合性化合物とを含む光硬化型インクを貯留するインク貯留槽と、
    前記インク貯留槽に貯留された前記光硬化型インクを吐出する液滴吐出ヘッドと、
    前記インク貯留槽に貯留された前記光硬化型インクを前記液滴吐出ヘッドへ送液するためのインク搬送路と、
    前記インク貯留槽内に送気する送気手段と、を有し、
    前記送気手段は、前記インク貯留槽内に貯留された前記光硬化型インクに対して気体を送気し、前記光硬化型インクを撹拌するよう構成されていることを特徴とする液滴吐出装置。
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