JP4836816B2 - 水性ボールペン - Google Patents

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本発明は水性ボールペンに関し、さらに詳細としては、書き味が良好で、かつボールペンチップ内の析出物を抑制することで経時安定性に優れた水性ボールペンに関するものである。
従来より、ステンレス鋼材からなるチップ本体を用いたボールペンチップを具備したボールペンはよく知れている。こうしたステンレス鋼材からなるチップ本体を用いた水性ボールペンの場合には、ステンレス鋼材に含まれるマンガンやクロム等のマンガンイオンやクロムイオンが、インキ組成物中で反応することによって生じる金属塩等の析出物を防止するため、インキ組成物中にベンゾトリアゾール等の防錆剤や金属キレート剤等を添加することが提案されている。
このような水性ボールペン用インキ組成物及びそれを用いた水性ボールペンとしては、特公昭49−45333号「筆記用水性インキ」、特開平8−41409号「水性ボールペン用インキ組成物」に防錆剤を用いた水性ボールペン用インキ組成物が開示されている。
ところで、特開平6−57194号「ペン体に直接供給する水性ボールペン用インク」には書き味を向上させるため、潤滑剤としてリン酸エステル界面活性剤を添加した水性ボールペン用インキ組成物が開示されおり、特開平10-316922号「ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン」に金属キレート剤とリン酸エステル界面活性剤を添加した水性ボールペンが開示されている。
「特公昭49−45333号公報」 「特開平8−41409号公報」 「特開平6−57194号公報」 「特開平10-316922号公報」
しかしながら、特許文献1、2では、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアジアゾール化合物等の防錆剤を添加した水性ボールペン用インキが提案されているが、潤滑性が劣り、書き味が悪く、カスレ等も発生する問題を抱えていた。
また、特許文献3のように、書き味を向上させるため、潤滑剤として、リン酸エステル界面活性剤を添加すると、リン酸エステル界面活性剤とチップ内のマンガンイオンやクロムイオン等の金属イオンとが反応して金属塩が発生する。更にまた、HLBが13以下のリン酸エステル界面活性剤は書き味が向上するが、リン酸エステル界面活性剤とチップ内の金属イオンとが反応して生じた金属塩析出物が発生してしまうことで、筆記不良が発生してしまった。
また、特許文献4のように、エチレンジアミン四酢酸等の金属キレート剤を添加することによって、チップ本体より溶出した金属イオンを包み込むことで、インキ組成物中において、リン酸エステル界面活性剤と金属イオンが接触するのを防ぐことで、金属塩の発生を抑制することができる。しかし、金属塩を抑制するために、リン酸エステル界面活性剤とエチレンジアミン四酢酸との配合比等、新たな課題が発生する。
ところで、タングステンカーバイドを主成分とする超硬合金ボールは、その結合材として、コバルト、ニッケル等を用いている。そのため、ボール材として超硬合金を用いたボールペンの場合には、特許文献4のように金属キレート剤を添加すると、金属キレート剤は、反応性が強いため、結合材のコバルト、ニッケル等を経時的に腐食させ、回転抵抗を生じるため、書き味が劣ってしまうおそれがあった。
本発明の目的は、ステンレス綱材からなるチップ本体を用いたボールペンチップを具備し、書き味が良好で、かつチップ本体内の金属塩による析出物を抑制することで経時安定性に優れた水性ボールペンを提供することである。
「1.インキ収容筒の先端部に、ステンレス綱材からなるチップ本体のボール抱持室にボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して具備してなる水性ボールペンであって、前記インキ収容筒内に、少なくとも水、着色剤、異なる2種以上のリン酸エステル界面活性剤からなり、前記リン酸エステル界面活性剤が、スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤と、スチレン化フェノール系を除くHLBが13以下のリン酸エステル界面活性剤とを少なくとも含み、前記スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤が、インキ組成物全質量に対し、0.1質量%以上、2.0質量%以下で、前記スチレン化フェノール系を除くHLBが13以下のリン酸エステル界面活性剤が、インキ組成物全質量に対し、0.1質量%以上、3.0質量%以下である水性ボールペン用インキ組成物を直詰めしたことを特徴とした水性ボールペン。
2.前記スチレン化フェノール系を除くHLBが13以下のリン酸エステル界面活性剤が、ノニルフェノール系、ラウリルアルコール系、トリデシルアルコール系、短鎖アルコール系、ジノニルフェノール系、オクチルフェノール系、合成アルコール系のリン酸エステルから選ばれる1種以上であることを特徴とした第1項に記載の水性ボールペン。
3.前記リン酸エステル界面活性剤が、一般式(化1)で表されるリン酸エステル界面活性剤であり、前記スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤が、一般式(化1)のRがスチレン化フェノールであることを特徴とした第1項または第2項に記載の水性ボールペン。
Figure 0004836816
[式中、Rはアルキル又はアルキルアリル基を、nはエチレンオキサイド付加モル数を、R’はHまたはRO(CHCHO)基を示す。]
4.前記スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤の粘度が、20℃の環境下で、15000mPa・s以上であることを特徴とした第1項ないし第3項の何れか1項に記載した水性ボールペン。
5.前記ボールが、超硬合金材からなることを特徴とした第1項ないし第4項の何れか1項に記載した水性ボールペン。
」である。
本発明は、ステンレス綱材からなるチップ本体を用いたボールペンチップを具備した水性ボールペンにおいて、書き味が良好で、かつチップ本体内の金属塩による析出物を抑制することで経時安定性に優れた水性ボールペンを提供することができた。
本発明の第一の特徴は、ステンレス綱材からなるチップ本体を用いたボールペンチップを用いた水性ボールペンにおいて、スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤と、スチレン化フェノール系を除くHLBが13以下のリン酸エステル界面活性剤を併用することである。
リン酸エステル界面活性剤には、スチレン化フェノール系、ノニルフェノール系、ラウリルアルコール系、トリデシルアルコール系、短鎖アルコール系、ジノニルフェノール系、オクチルフェノール系、合成アルコール系等の複数の種類が挙げられる。
こうしたリン酸エステル界面活性剤は、ボールとチップ本体との潤滑性を高め、滑らかな筆感を得ることができるため、書き味を向上するために用いているが、HLBが14以上のリン酸エステル界面活性剤を用いた場合には、親水性の強い金属塩を形成するため、水性インキ中で溶解するので、析出物は発生しないが、書き味の向上が少ない。
一方、HLBが13以下のリン酸エステル界面活性剤は、HLB値が低いため親油性が強く、ボールの潤滑性が向上するので、書き味が向上するが、その反面、HLB13以下のリン酸エステル界面活性剤とチップ本体内から溶出するマンガンイオンやクロムイオン等の金属イオンとが反応して、親油性が強い金属塩を形成するため、水性インキ中で溶解性が悪いため、金属塩による析出物が発生してしまうという問題があった。
本発明者等は、リン酸エステル界面活性剤について鋭意研究した結果、リン酸エステル界面活性剤の中でも、スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤は、金属塩析出物を抑制する効果を奏し、仮に、反応して金属塩を生成しても、前記金属塩が凝集や成長するのを抑制する効果を奏することが解った。これは、スチレン化フェノール系は、スチレン化フェノール骨格が、立体的により嵩高い構造のため、直鎖結合のみのラウリルアルコール系、トリデシルアルコール系、短鎖アルコール系等やフェニル基骨格のノニルフェノール系、ジノニルフェノール系、オクチルフェノール系等と比べて、インキ組成物中で立体障害を起こす効果がある。そのため、スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤が、マンガンイオンやクロムイオン等の金属イオンとリン酸エステル界面活性剤とが反応し難くし、仮に、反応して金属塩を生成しても、成長するのを抑制すると推測できる。また、スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤は、起泡力が低く、泡が発生しずらいため、生産性にも優れている効果も奏する。
しかしながら、スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤だけでは、HLBが13以下であっても所望する滑らかな書き味を得ることができなかった。これは、前述のように、スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤は、フェノール骨格が、立体的により嵩高い構造のため、他のリン酸エステル界面活性剤に比べ立体障害を起こすことで、潤滑性が劣り、書き味の向上が得られずらいためと推測できる。
そのため、本願発明は、金属塩による析出物の抑制とより滑らかな書き味を得るために、スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤とHLBが13以下のスチレン化フェノール系以外のノニルフェノール系、ラウリルアルコール系、トリデシルアルコール系、短鎖アルコール系、ジノニルフェノール系、オクチルフェノール系、合成アルコール系のリン酸エステル界面活性剤を併用する。
また、リン酸エステル界面活性剤には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、リン酸トリエステル、或いはその誘導体等があるが、これらのリン酸エステル界面活性剤は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。その中でも経時安定性を考慮して、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、リン酸ジエステルとして、化1のような一般式で表されるリン酸エステルを用いることが最も好ましい。
Figure 0004836816
[式中、Rはアルキル又はアルキルアリル基を、nはエチレンオキサイド付加モル数を、R’はHまたはRO(CHCHO)基を示す。]
尚、スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤は、一般式(化1)で表されるリン酸エステル界面活性剤である場合には、一般式(化1)のR基がスチレン化フェノールとなる。
化1のような一般式で表されるリン酸エステル界面活性剤の具体例としては、プライサーフシリーズ(第一工業製薬(株))の中から、プライサーフA212C(HLB値9、トリデシルアルコール系)、同A210G(HLB値9、オクチルフェノール系)、同A207H(HLB値7、ジノニルフェノール系)、同AL(HLB値5、スチレン化フェノール系)、同A208B(HLB値6、ラウリルアルコール系)、同A208S(HLB値7、合成アルコール系)、同A208F(HLB値9、短鎖アルコール系)、同A212E(HLB値10、ノニルフェノール系)、同A215C(HLB値11、トリデシルアルコール系)等が挙げられる。これ等のリン酸エステル界面活性剤は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
尚、HLBは、一般式として、HLB=7+11.7log(Mw/Mo)、(Mw;親水基の分子量、Mo;親油基の分子量)から求めることができる。
さらに、スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤であるプライサーフAL等は、20℃の環境下で、29500mPa・sと、他の種類のリン酸エステル界面活性剤よりも粘度が高いため、立体障害を起こす効果が強いと考えられる。具体的には、20℃の環境下で、15000mPa・s以上であるスチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤が好ましい。ちなみに、20℃の環境下で、B8M型粘度計で測定した粘度値は、プライサーフA212C(トリデシルアルコール系)は、630mPa・s、同210G(オクチルフェノール系)は6700mPa・s、同207H(ジノニルフェノール系)は10500mPa・s、同A208B(ラウリルアルコール系)は470mPa・s、同A208S(合成アルコール系)は720mPa・s、同A212E(ノニルフェニル系)は3500mPa・s、同A215C(トリデシルアルコール系)は1070mPa・sであった。
スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤の添加量は、インキ組成物全量に対し、0.1〜2.0質量%が望ましい。添加量が、インキ組成物全量に対し、0.1質量%より少ないと、インキ中で所望の立体障害が得られ難く、金属塩による析出物が発生するおそれがあり、2.0質量%を越えると、立体障害の効果が強過ぎる傾向があり、潤滑性がやや劣りだし、書き味の向上が劣ってしまう傾向があるため、インキ組成物全量に対し、0.1〜2.0質量%とする。さらに好ましくは、インキ組成物全量に対し、0.3〜1.0質量%が好適である。
スチレン化フェノール系を除くHLBが13以下のリン酸エステル界面活性剤の添加量は、インキ組成物全量に対し、0.1〜3.0質量%が望ましい。添加量が、インキ組成物全量に対し、0.1質量%より少ないと、所望の潤滑性が得られず、書き味が悪く筆跡にカスレ等が発生するおそれがあり、3.0質量%を越えると、インキ経時が不安定性になるおそれがあるため、インキ組成物全量に対し、0.1〜3.0質量%とする。さらに好ましくは、インキ組成物全量に対し、0.5〜2.0質量%が好適である。
本発明に用いるボール材は、特に限定されるものではないが、ボールが超硬合金材である場合に、前述のように、リン酸エステル界面活性剤と金属キレート剤を添加すると、超硬合金ボールの結合材であるコバルト、ニッケルと金属キレート剤とが反応し、結合材のコバルト、ニッケル等を経時的に腐食させるため、金属キレート剤を必要としない本願発明の効果は顕著である。さらに、超硬合金ボールは、炭化珪素、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素などを成分とするセラミック材と比べて、低コストであり、さらに、インキがボール表面に載りやすく良好な筆跡が得られ易いという効果を奏する。
本発明には、インキ粘度調整剤として樹脂を用いてもよい。具体的には、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂、キサンタンガム、架橋型アクリル酸重合体、サクシノグリカン、ガーガム等の剪断減粘性付与剤等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
また、樹脂の添加量は、インキ組成物全量に対して、0.1質量%未満だと、所望のインキ粘度が得られにくく、30質量%を越えると書き出し性能が劣ってしまう可能性があるため、0.1質量%以上、30質量%以下が好ましい。
着色剤は、染料、顔料等、特に限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。染料については、直接染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料、及び各種造塩タイプ染料等が採用可能である。顔料については、無機、有機、加工顔料などが挙げられるが、具体的にはカーボンブラック、アニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、キノフタロン系、スレン系、トリフェニルメタン系、ペリノン系、ペリレン系、ギオキサジン系、アルミ顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、補色顔料等が挙げられる。その他、着色樹脂粒子体として顔料を媒体中に分散させてなる着色体を公知のマイクロカプセル化法などにより樹脂壁膜形成物質からなる殻体に内包又は固溶化させたマイクロカプセル顔料を用いても良い。更に、顔料を透明、半透明の樹脂等で覆った着色樹脂粒子などや、また着色樹脂粒子や無色樹脂粒子を、顔料もしくは染料で着色したもの等も用いることもできる。これらの染料および顔料は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。添加量は、インキ組成物全量に対し、1質量%〜20質量%が好ましい。
また、その他添加剤として、水分の溶解安定性、水分蒸発乾燥防止等を考慮し、グリセリン、エチレングリコール等の水溶性有機溶剤、トリエタノールアミン等のpH調整剤、尿素、ソルビット等の保湿剤、ベンゾトリアゾール等の防錆剤、1,2ベンゾイソチアゾリン−3−オン等の防菌剤を添加することができる。また、リン酸エステル界面活性剤以外のシリコン系、アセチレングリコール系、フッ素系の界面活性剤も濡れ性、耐水性の向上等として添加することが可能で、これらは単独又は2種以上組み合わせて使用することも配合可能である。
次に実施例を示して本発明を説明する。
実施例1
インキ収容筒の先端部に、ステンレス綱材からなる
チップ本体のボール抱持室に、ボール径がφ0.7mmの超硬合金ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを具備し、インキ収容筒内に下記の配合1によって得られた水性ボールペン用インキ組成物6及びグリース状のインキ追従体7を直に充填したレフィルを、(株)パイロットコーポレーション製のノック式ゲルインキボールペン(商品名:G−Knock)に装着して、本発明の水性ボールペン1を作製した。
次に実施例を示して本発明を説明する。
実施例1
水 61.05質量部
水溶性有機溶剤(エチレングリコール) 20.0質量部
リン酸エステル界面活性剤(プライサーフA215C) 1.0質量部
リン酸エステル界面活性剤(プライサーフAL) 0.5質量部
pH調整剤(トリエタノールアミン) 1.5質量部
保湿剤(尿素) 5.0質量部
保湿剤(ソルビット) 5.0質量部
防菌剤(1、2ベンゾイソチアゾリン−3−オン) 0.45質量部
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.5質量部
着色剤(Acid Blue 9) 0.5質量部
着色剤(Acid YELLOW 42) 4.5質量部
樹脂(キサンタンガム) 0.40質量部
実施例1は、先ず水、水溶性有機溶剤、リン酸エステル界面活性剤(プライサーフA215C、プライサーフAL(第一工業製薬(株)))、pH調整剤、保湿剤、防錆剤、防菌剤、着色剤(オリエント化学工業(株))をマグネットホットスターラーで加温撹拌してベースインキを作成する。
その後、上記作製したベースインキを加温しながら、樹脂(三昌(株))を投入してホモジナイザー攪拌機を用いて均一な状態となるまで充分に混合攪拌した後、着色剤を添加し、さらに均一になるまで攪拌をおこなう。その後、濾紙を用い濾過を行って、配合例1の水性ボールペン用インキ組成物を得た。
実施例及び比較例のインキ粘度は、ブルックフィールド社製DV−II粘度計(CPE−42ローター)を用いて20℃の環境下で、剪断速度1.92sec−1(回転数0.5rpm)、剪断速度384.0sec−1(回転数100rpm)の2条件にてインキ粘度を測定した。
実施例2〜7
表1に示すように各成分を配合に変更した以外は、インキ配合1と同様な手順で水性ボールペン用インキ組成物を作成し、実施例1と同様にして、実施例2〜7の水性ボールペンを得た。
Figure 0004836816
比較例1〜10
各成分を表2に示す配合に変更した以外は、インキ配合1と同様な手順で水性ボールペン用インキ組成物を作成し、実施例1と同様にして、比較例2〜10の水性ボールペンを得た。
Figure 0004836816
Figure 0004836816
試験及び評価
実施例1〜7および比較例1〜10において作製した水性ボールペンにより、以下の試験及び評価を行った。尚、書き味については、筆記試験用紙としてコピー用紙(PPC用紙)を用いて、評価した。
書き味:手書きによる官能試験を行い評価した。
滑らかで良好なものを ・・・◎
やや劣るものを ・・・○
重く劣るものを ・・・×
チップ本体の経時試験:ボールペン用レフィルを50℃・湿度0%の環境下、室温3ヶ月間放置後に、チップ本体内のインキを顕微鏡観察した。
析出物がなく、良好のもの ・・・◎
析出物が微少に発生したが、実用上、問題のないもの ・・・○
析出物が発生し、実用性に乏しいもの ・・・×
ボールの腐食試験:ボールペン用レフィルを50℃・湿度0%の環境下、室温3ヶ月間放置後に、ボールの腐食状態を顕微鏡観察した。
ボールの腐食がないもの ・・・○
ボールの腐食があり、実用性に乏しいもの ・・・×
表1の結果より、実施例1〜7では、書き味、チップ本体の経時試験、ボールの腐食試験ともに良好もしくは、実用上問題のないレベルの性能が得られた。
表2の結果より、比較例1、6、7では、スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤を用いなかったため、チップ本体内に金属塩析出物が発生してしまった。
比較例2では、スチレン化フェノール系を除くHLBが13以下のリン酸エステル界面活性剤を用いなかったため、書き味が悪かった。
比較例3では、スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤を用いなかったため、チップ本体内に金属塩析出物が発生し、スチレン化フェノール系を除くHLBが13以下のリン酸エステル界面活性剤を用いなかったため、書き味が悪かった。
比較例4、5では、HLBが14以上のリン酸エステル界面活性剤を用いたため、書き味が悪かった。
比較例8、9では、リン酸エステル界面活性剤以外の界面活性剤を用いたため、書き味が悪い、もしくは、チップ本体内に金属塩析出物が発生してしまった。
比較例10では、スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤を用いなかったが、析出物抑制剤として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を添加したため、チップ本体内に金属塩析出物が発生しなかったが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)は反応性が強いため、超硬合金材であるボールの腐食が発生してしまった。
尚、図示はしていないが、ボールペンチップ内にステンレス鋼材からなるボールを押圧するコイルスプリングを配設する場合には、チップ本体と同様に、リン酸エステル界面活性剤とコイルスプリングの金属イオンとの反応により金属塩が発生するおそれがあるため、本発明の効果は顕著である。
さらに、顔料のような粒径の大きいものを添加したインキ組成物では、ボールとチップ本体の間で回転阻害による書き味の劣化の可能性や、ボール径が0.7mm以下のボールを用いたボールペンは、ボールとボール座の接触面積が小さく、単位面積に掛かる荷重が高くなることによる書き味の劣化の可能性があるので本発明の効果は顕著である。
本発明は水性ボールペンに関し、さらに詳細としては、ステンレス綱材からなるチップ本体を用いたボールペンチップにおいて、少なくとも水、着色剤、異なる2種以上のリン酸エステル界面活性剤からなり、前記リン酸エステル界面活性剤が、スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤と、スチレン化フェノール系を除くHLBが13以下のリン酸エステル界面活性剤を少なくとも含む水性ボールペン用インキ組成物を直詰めしたことを特徴とした水性ボールペンを用いることで、書き味が良好で、かつボールペンチップ内の金属塩等を抑制することで経時安定性に優れた水性ボールペンを提供することができる。そのため、キャップ式、ノック式等、ボールペンとして広く利用することができる。
本発明の水性ボールペンを示す、縦断面図である。 図1における外観図である。
符号の説明
1 水性ボールペン
2 インキ収容筒
3 ボールペンチップ
4 ボール
5 チップホルダー
6 水性ボールペン用インキ組成物
7 インキ追従体

Claims (5)

  1. インキ収容筒の先端部に、ステンレス綱材からなるチップ本体のボール抱持室にボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して具備してなる水性ボールペンであって、前記インキ収容筒内に、少なくとも水、着色剤、異なる2種以上のリン酸エステル界面活性剤からなり、前記リン酸エステル界面活性剤が、スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤と、スチレン化フェノール系を除くHLBが13以下のリン酸エステル界面活性剤とを少なくとも含み、前記スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤が、インキ組成物全質量に対し、0.1質量%以上、2.0質量%以下で、前記スチレン化フェノール系を除くHLBが13以下のリン酸エステル界面活性剤が、インキ組成物全質量に対し、0.1質量%以上、3.0質量%以下である水性ボールペン用インキ組成物を直詰めしたことを特徴とした水性ボールペン。
  2. 前記スチレン化フェノール系を除くHLBが13以下のリン酸エステル界面活性剤が、ノニルフェノール系、ラウリルアルコール系、トリデシルアルコール系、短鎖アルコール系、ジノニルフェノール系、オクチルフェノール系、合成アルコール系のリン酸エステル界面活性剤から選ばれる1種以上であることを特徴とした請求項1に記載の水性ボールペン。
  3. 前記リン酸エステル界面活性剤が、一般式(化1)で表されるリン酸エステル界面活性剤であり、前記スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤が、一般式(化1)のR基がスチレン化フェノールであることを特徴とした請求項1または2に記載の水性ボールペン。
    Figure 0004836816
    [式中、Rはアルキル又はアルキルアリル基を、nはエチレンオキサイド付加モル数を、R’はHまたはRO(CHCHO)基を示す。]
  4. 前記スチレン化フェノール系のリン酸エステル界面活性剤の粘度が、20℃の環境下で、15000mPa・s以上であることを特徴とした請求項1ないし3の何れか1項に記載した水性ボールペン。
  5. 前記ボールが、超硬合金材からなることを特徴とした請求項1ないし4の何れか1項に記載した水性ボールペン。
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