JP2015041011A - フッ素含有樹脂層付き部材、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

フッ素含有樹脂層付き部材、定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】画像形成装置の、表面平滑性が高いフッ素含有樹脂層付き定着部材を提供する。【解決手段】定着部材は、基材110A,弾性層110Bおよび表面層110Cの三層構造からなり、表面層110Cは、フッ素含有樹脂粒子分散液を塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を加熱して得られた層であるフッ素含有樹脂粒子の焼結体と、増粘剤と、多価金属塩とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、フッ素含有樹脂層付き部材、定着装置、及び画像形成装置による。
特許文献1には、加圧部材と記録材を挟持搬送しつつ、記録材上のトナー像と接して加熱するための定着用回転体であって、少なくとも基材と離型層を有する定着用回転体において、前記離型層が、フッ素樹脂に、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリルニトリル、ポリメチルメタクリレートの中から選ばれる少なくとも1種類のポリマーと、モノマー電解質と、を含有していることを特徴とする定着用回転体が開示されている。
特許文献2には、溶融加工可能なパーフルオロ系共重合体粒子の水性分散体と有機充填材と無機充填材とからなり、該溶融加工可能なパーフルオロ系共重合体粒子の固形分100重量部に対して、有機充填材が100重量部未満および無機充填材が5〜60重量部含まれている非粘着耐磨耗塗料組成物が開示されている。
特許文献3には、最外層がフッ素系樹脂からなるフッ素含有樹脂層付き部材において、該フッ素樹脂は、MFRが互いに異なる複数種類のフッ素樹脂からなることを特徴とするフッ素含有樹脂層付き部材が開示されている。
特許文献4には、少なくとも外周面に設けられる表面層が、金属酸化物、ケイ酸塩鉱物、カーボンブラック、窒素化合物、及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機充填剤粒子を配合したテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体(PFA)からなるフッ素樹脂を含んでなることを特徴とする電子写真用定着部品が開示されている。
特開2012−155199号公報 特開2002−322432号公報 特開2005−301199号公報 特開2004−086202号公報
本発明は、平滑性が高いフッ素含有樹脂層付き部材を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、
フッ素含有樹脂粒子の焼結体と、増粘剤と、多価金属塩と、を含むフッ素含有樹脂層を表面層として有するフッ素含有樹脂層付き部材である。
請求項2に係る発明は、
前記フッ素含有樹脂粒子の数平均粒径が、0.1μm以上30μm以下である請求項1に記載のフッ素含有樹脂層付き部材である。
請求項3に係る発明は、
前記フッ素含有樹脂層が、フッ素含有樹脂粒子と、増粘剤と、多価金属塩と、を含むフッ素含有樹脂粒子分散液を塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を加熱して得られた層である請求項1又は請求項2に記載のフッ素含有樹脂層付き部材である。
請求項4に係る発明は、
前記フッ素含有樹脂粒子分散液が、固形分が30質量%以上である請求項3に記載のフッ素含有樹脂層付き部材である。
請求項5に係る発明は、
前記フッ素含有樹脂粒子が、数平均粒径1μm以上50μm以下の第1フッ素含有樹脂粒子と、数平均粒径0.1μm以上1μm以下の第2フッ素含有樹脂粒子と、を含んでいる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のフッ素含有樹脂層付き部材である。
請求項6に係る発明は、
第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のフッ素含有樹脂層付き部材である定着装置である。
請求項7に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
請求項6に記載の定着装置により前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段と、 を備える画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、多価金属塩を含まないフッ素含有樹脂層を表面層として有するフッ素含有樹脂層付き部材に比較して、平滑性が高いフッ素含有樹脂層を表面層として有するフッ素含有樹脂層付き部材が得られる。
請求項2に係る発明によれば、多価金属塩を含まないフッ素含有樹脂層を表面層として有するフッ素含有樹脂層付き部材に比較して、数平均粒径が0.1μm以上30μm以下であるフッ素含有樹脂粒子焼結体を含み、平滑性が高いフッ素含有樹脂層を表面層として有するフッ素含有樹脂層付き部材が得られる。
請求項3に係る発明によれば、フッ素含有樹脂層が、多価金属塩を含まない粒子分散液を塗布して塗膜を形成し、塗膜を焼結して得られた層であるフッ素含有樹脂層付き部材に比較して、平滑性が高いフッ素含有樹脂層を表面層として有するフッ素含有樹脂層付き部材が得られる。
請求項4に係る発明によれば、フッ素含有樹脂層が、多価金属塩を含まない粒子分散液を塗布して塗膜を形成し、塗膜を焼結して得られた層であるフッ素含有樹脂層付き部材に比較して、固形分が30質量%以上である粒子分散液を用いても、平滑性が高いフッ素含有樹脂層を表面層として有するフッ素含有樹脂層付き部材が得られる。
請求項5に係る発明によれば、多価金属塩を含まないフッ素含有樹脂層を表面層として有するフッ素含有樹脂層付き部材に比較して、フッ素含有樹脂粒子が、数平均粒径1μm以上50μm以下のフッ素含有樹脂粒子と、数平均粒径0.1μm以上1μm以下のフッ素含有樹脂粒子と、を含み、平滑性が高いフッ素含有樹脂層を表面層として有するフッ素含有樹脂層付き部材が得られる。
請求項6に係る発明によれば、フッ素含有樹脂粒子の焼結体と、増粘剤と、を含み、多価金属塩を含まないフッ素含有樹脂層を表面層として有するフッ素含有樹脂層付き部材を適用する場合に比較して、表面層の平滑性の低下に起因する画像欠陥を抑制する定着装置が得られる。
請求項7に係る発明によれば、回転体として、フッ素含有樹脂粒子の焼結体と、増粘剤と、を含み、多価金属塩を含まないフッ素含有樹脂層を表面層として有するフッ素含有樹脂層付き部材を適用する定着装置による定着手段を備えない場合に比較して、定着装置の回転体の表面層の平滑性の低下に起因する画像欠陥を抑制する画像形成装置が得られる。
本実施形態に係る定着部材の一例を示す模式断面図である。 第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。 第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
[フッ素含有樹脂層付き部材]
本実施形態に係るフッ素含有樹脂層付き部材について説明する。
図1は、本実施形態に係る定着部材の一例を示す概略断面図である。
定着部材110は、図1に示すように、基材110Aと、基材上に設けられた弾性層110Bと、弾性層上に設けられた表面層110Cと、を有している。そして、表面層110Cとして、フッ素含有樹脂層を適用している。
なお、定着部材110は、上記層構成に限られず、必要に応じて、例えば、基材110Aと弾性層110Bとの間に金属層やその保護層を介在させた層構成であってもよいし、弾性層110Bを有さない層構成であってもよい。また、定着部材110は、ロール状であってもよいし、ベルト状であってもよい。
本実施形態に係る定着部材110では、フッ素含有樹脂粒子の焼結体と、増粘剤と、多価金属塩と、を含むフッ素含有樹脂層を表面層110Cとして有している。
上記構成のフッ素含有樹脂層は、例えば、フッ素含有樹脂粒子と、増粘剤と、多価金属塩と、を含むフッ素含有樹脂粒子分散液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を加熱する方法で得られる。
フッ素含有樹脂粒子分散液は、粘度が低い場合、塗布したときに形成される塗膜が流動し易く、フッ素含有樹脂層の表面の平滑性が低下する傾向にある。そのため、フッ素含有樹脂粒子分散液は、増粘剤を含ませて粘度が高い分散液とした上で用いるのが一般的である。
一方で、フッ素含有樹脂粒子分散液は、小粒径側のフッ素含有樹脂粒子に起因して、塗布後の粘度が上昇し、フッ素含有樹脂層の表面の平滑性が低下する傾向にある。
そこで、本実施形態においては、フッ素含有樹脂層110Cの構成成分として増粘剤を加えることにより、塗布したとき(形成の初期段階)の塗膜の流動による塗膜表面の平滑性の低下を抑制する。
さらに、本実施形態においては、フッ素含有樹脂層110Cの構成成分として多価金属塩を加えることにより、フッ素含有樹脂粒子の内、小粒径側のフッ素含有樹脂粒子を緩やかに凝集させて見かけ上は粒径が大きなフッ素含有樹脂粒子の緩凝集体とし、小粒径側のフッ素含有樹脂粒子の存在率を下げた状態とすることによって、塗布後の塗膜における経時での粘度上昇に起因する塗膜表面の平滑性の低下を抑制する。
そして、その結果、塗膜を加熱して得られるフッ素含有樹脂層の表面も平滑性の低下が抑制される。
以上より、本実施形態に係るフッ素含有樹脂層付き部材は、平滑性が高いフッ素含有樹脂層付き部材となる。
以下、本実施形態に係る定着部材の構成について詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、符号を省略して説明する。
<フッ素含有樹脂層>
フッ素含有樹脂層は、フッ素含有樹脂粒子の焼結体と、増粘剤と、多価金属塩と、を含み、必要に応じて、その他の添加剤を含んでいてもよい。
(フッ素含有樹脂粒子の焼結体)
フッ素含有樹脂粒子の焼結体は、フッ素含有樹脂粒子を加熱することにより形成される。
フッ素含有樹脂粒子は、フッ素を含有する樹脂を含んで構成される粒子であればよく、フッ素を含有する樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン等が挙げられる。
これらの中でも、PFA、PTFE、FEPを含んで構成される粒子が望ましく、PFAを含んで構成される粒子がより望ましい。
フッ素含有樹脂粒子の粒径は、数平均粒径で0.1μm以上30μm以下であることが望ましく、0.1μm以上15μm以下がより望ましい。
フッ素含有樹脂粒子を30μm以下とすることにより、フッ素含有樹脂層の表面は緻密なものとなる傾向にある。また、フッ素含有樹脂粒子を0.1μm以上とすることにより、粒径が小さなフッ素含有樹脂粒子に起因するフッ素含有樹脂粒子分散液の塗膜の高粘度化が抑制され、フッ素含有樹脂層の平滑性が高まると考えられる。
フッ素含有樹脂層は、多価金属塩を含む上記構成であることにより、数平均粒径が0.1μm以上30μm以下のフッ素含有樹脂粒子を含んでいる場合であっても、平滑性が高くなると考えられる。
なお、フッ素含有樹脂粒子の数平均粒径の測定は、電子顕微鏡SEM写真からその一つ一つの粒子の最大径を求め、この粒子の100個の粒径から平均値を求めることで行う。
フッ素含有樹脂粒子(その焼結体)の含有量は、フッ素含有樹脂層に対して、40質量%以上100質量%以下がよく、50質量%以上95質量%以下が望ましく、60質量%以上90質量%以下がより望ましい。
フッ素含有樹脂層のフッ素含有樹脂粒子は、数平均粒径1μm以上50μm以下の第1フッ素含有樹脂粒子(以下、「大粒径フッ素含有樹脂粒子」と称する)と、数平均粒径0.1μm以上1μm以下の第2フッ素含有樹脂粒子(以下、「小粒径フッ素含有樹脂粒子」と称する)と、を併用することが望ましい。
大粒径フッ素含有樹脂粒子は、数平均粒径1μm以上50μm以下であることがより望ましく、数平均粒径3μm以上15μm以下であることがさらに望ましい。
小粒径フッ素含有樹脂粒子は、数平均粒径0.1μm以上1μm以下であることがより望ましく、数平均粒径0.1μm以上0.5μm以下であることがさらに望ましい。
フッ素含有樹脂層は、小粒径フッ素含有樹脂粒子を使用することにより、フッ素含有樹脂層の表面が緻密なものとなる傾向にある。また、フッ素含有樹脂層は、大粒径フッ素含有樹脂粒子を使用することにより、フッ素含有樹脂層が厚膜化する傾向にある。
フッ素含有樹脂層は、多価金属塩を含む上記構成であることにより、小粒径フッ素含有樹脂粒子に起因するフッ素含有樹脂粒子分散液の塗膜の高粘度化が抑制され、フッ素含有樹脂層の平滑性が高まると考えられる。
数平均粒径の異なる2種のフッ素含有樹脂粒子の量比は、質量比で、大粒径フッ素含有樹脂粒:小粒径フッ素含有樹脂粒子=05:95〜50:50であることがよく、10:90〜45:55であることが望ましく、20:80〜40:60であることがより望ましい。
なお、フッ素含有樹脂層は、耐久性(膜厚確保)に優れた表面を得るという観点からも、粒径の異なる2種のフッ素含有樹脂粒子を含んでいることが望ましい。
平滑なフッ素含有樹脂層を形成する観点からは、溶融粘度が低い、又は融けやすい小粒径フッ素含有樹脂粒子を使用することがよいが、さらに、大粒径フッ素含有樹脂粒子も含んで形成されることにより、フッ素含有樹脂粒子として小粒径フッ素含有樹脂粒子のみを使い、1回の成膜工程で20μm以上の厚みの塗膜(フッ素含有樹脂層)を形成しようとした場合に比べ、ひびを抑制すると考えられる。なお、フッ素含有樹脂層の厚みは、大きくなることによって、長期の使用により摩耗して耐久性の低下が抑制される傾向にある。
粒径の異なる2種のフッ素含有樹脂粒子(大粒径フッ素含有樹脂粒子及び小粒径フッ素含有樹脂粒子)の粒径、配合比を調節することにより、1回の製膜工程で表面層(フッ素含有樹脂層)の膜厚を約60μm程度まで確保でき、低コスト化を実現すると考えられる。
ここで、配合する大粒径フッ素含有樹脂粒子の数平均粒径が3μmより大きく、配合する大粒径フッ素含有樹脂粒子の量が小粒径フッ素含有樹脂粒子100質量部当たり5質量部より多いことにより、フッ素含有樹脂層のひびが抑制され易くなると考えられる。
一方、大粒径フッ素含有樹脂粒子の数平均粒径が15μmより小さく、100質量部より少ない場合、加熱の際に大粒径フッ素含有樹脂粒子が融け易くなり、フッ素含有樹脂層表面に融けきれない大粒径フッ素樹脂粒子によるうねり(鈍角凸)を抑制するため、平滑性が高くなる傾向にあると考えられる。
(多価金属塩)
多価金属塩は、例えば、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。
2価以上の金属錯体としては、例えば、アミノカルボン酸の金属塩、ホスホン酸の金属塩などが挙げられる。
アミノカルボン酸の金属塩として具体的には、例えば、エチレンジアミン4酢酸、プロパンジアミン4酢酸、ニトリル3酢酸、トリエチレンテトラミン6酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸などの公知のキレートをベースにした、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、アルミニウム塩などが挙げられる。
また、ホスホン酸の金属塩としては具体的には、例えば、HEDP(ヒドロキシエチリデンジホスホン酸)、NTMP(ニトリロトリス(メチレンホスホン酸))、PBTC(ホスホンブタン−1,2,4−トリカルボン酸)、EDTMP(N,N,N',N'- エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)などをベースにした、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、アルミニウム塩などが挙げられる。
多価金属塩は、これらの中でも、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、が望ましく、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムがより望ましい。
多価金属塩は、これらのうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して併用してもよい。
多価金属塩の含有量は、フッ素含有樹脂粒子100質量部に対して、0.01質量部以上1.0質量部以下がよく、0.01質量部以上0.8質量部以下が望ましく、0.01質量部以上0.5質量部以下がより望ましい。
(増粘剤)
増粘剤は、公知のものが用いられ、例えば、水溶性の高分子増粘剤が挙げられる。
水溶性の高分子増粘剤として具体的には、例えば、ビニル系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、ポリサッカライド系ポリマー、ポリアクリル系ポリマー、ピロリドン系ポリマー、セルロース系ポリマー等が挙げられる。
これらの中でも、ポリエーテル系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリアクリル系ポリマーが望ましい。
また、ポリエーテル系ポリマーは、ウレタン変性されたウレタン変性ポリエーテルであることがより望ましい。
増粘剤の含有量は、フッ素含有樹脂粒子100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下がよく、0.5質量部以上10質量部以下が望ましく、1質量部以上10質量部以下がより望ましい。
(その他の添加剤)
フッ素含有樹脂層は、その他の添加剤として、界面活性剤、フィラー等を含んでいてもよい。
界面活性剤は、フッ素含有樹脂粒子及び必要に応じて用いられるフィラーを液状媒体中に分散させるために使用することが望ましい。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が望ましい。これらの界面活性剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、ノニオン系界面活性剤が特に望ましい。界面活性剤の使用量は特に限定されないが、通常は、フッ素含有樹脂粒子及び必要に応じて用いられるフィラーを液状媒体中に均一に分散し得る量比で用いられる。
フッ素含有樹脂層に配合されるフィラーは、例えば、金属酸化物粒子、ケイ酸塩鉱物、カーボンブラック、窒素化合物及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
その中でも、より望ましくは硫酸バリウム(BaSO4)、ゼオライト、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化銅、酸化鉄、酸化ジルコニウム、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化チタン及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、更に望ましくは、BaSO4、ゼオライト及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種である。さらにより望ましくは、BaSO4又はゼオライトであり、特に望ましいのはBaSO4である。
フィラーの配合割合は、目的に合わせて設定され、望ましくはフッ素含有樹脂粒子100質量部当たり1質量部以上30質量部以下、より望ましくは1質量部以上20質量部以下の範囲である。フィラーの配合割合が、1質量部以上となることにより、フッ素樹脂のもつ高離型性により、トナーや用紙の離型に優れ、且つ、剥離爪等の接触物に対する耐摩耗性の低下を抑制し、表面磨耗や傷等の発生を抑制しやすくなり、定着装置関連の故障の発生を抑制しやすくなると考えられる。
また、30質量部以下であることにより、均一な分散状態が得られ易く、膜厚むらを抑制すると共に、フッ素樹脂のもつ高離型性の低下を抑制し、トナーオフセットの発生を抑制しやすくなると考えられる。また、フッ素含有樹脂層の粗さや、グロスなどの表面性の低下を抑制するため、加圧ベルト(定着ベルト)として用いた場合における、フッ素含有樹脂層の粗さ、グロスなどの表面性低下による画像のグロス低下、画像あれなどの発生を抑制すると考えられる。
フィラーの平均粒径は、0.1μm以上15μm以下であることが望ましく、より望ましくは1μm以上10μm以下であり、更に望ましくは2μm以上8μm以下である。平均粒径が1μm以上10μm以下であり、15μm以上の粒子が25質量%以下の範囲にあることが望ましい。特に、表面層に鋭角な突起の発生を抑制するため、フィラーは、その平均粒径が1μm以上10μm以下であり、15μm以上の粒子が5質量%以下の範囲にあることが望ましく、より望ましくは15μm以上の粒子は3質量%以下の範囲にあることである。
フィラーの平均粒径が、0.1μm以上であることにより、粉末の表面積が大きくなり、フィラーをPFAへ添加、分散し易くなると考えられる。また、10μm以下であることにより、フィラーを添加したPFAからなるフッ素含有樹脂層が粗くなりすぎることを抑制する。また、フィラーの平均粒径が15μm以下であることにより、フィラー中の15μm以上の粒子が5質量%の範囲を超え、大粒径のフィラーがとげのような鋭角な突起になり、この鋭角な突起が画像(両面印字時)に突き刺さり、白抜け状の画像ディフェクトが発生することを抑制する。
なお、フィラーの平均粒径の測定は、フッ素含有樹脂粒子と同様にして行う。
また、フィラーとして、導電性粒子が用いられる。電子写真装置の各種条件によっては定着装置に導電性の付与が要求される場合が有り、この場合は、フッ素樹脂にフィラーとして導電性粒子を配合してもよい。導電性粒子としては上記特定のフィラー以外の粒子を用いてもよい。フィラーとして、導電性粒子を用いる場合、導電性付与の目的やフッ素樹脂による離型性維持の観点と導電性粒子の分散の問題から、フッ素含有樹脂粒子100質量部当たり、1質量部以上30質量部以下が好適である。
(フッ素含有樹脂層の特性)
フッ素含有樹脂層の厚みは、例えば、5μm以上100μm以下であることがよく、望ましくは10μm以上70μm以下である。
<弾性層>
本実施形態に係るフッ素含有樹脂層付き部材は、例えば、弾性層を有していてもよい。
弾性層は、耐熱性弾性材料を含んで構成される。また、弾性層には、充填剤が含まれていてもよい。
耐熱性弾性材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。
シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴム、液状シリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)等が挙げられる。
フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフルオロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フルオロポリエーテル等が挙げられる。
なお、「耐熱性」とは、定着装置の昇温温度(例えば定着温度)に達しても、溶けたり分解したりしない特性を意味する。以下、同様である。
弾性層には、各種添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、軟化剤(パラフィン系等)、加工助剤(ステアリン酸等)、老化防止剤(アミン系等)、加硫剤(硫黄、金属酸化物、過酸化物等)、機能性充填剤(アルミナ等)等が挙げられる。
弾性層の厚みは、例えば、30μm以上600μm以下であることがよく、望ましくは100μm以上500μm以下である。
<基材>
基材としては、例えば、金属(アルミ、SUS、鉄、銅等)、合金、セラミックス、FRM(繊維強化メタル)等で構成された円筒体、金属ベルト(例えばニッケル、アルミニウム、ステンレス等の金属ベルト)が挙げられる。この場合、フッ素含有樹脂層付き部材がベルト状、ロール状のいずれであってもよい。
また、基材としては、樹脂ベルト(例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンゾイミダゾール等の樹脂ベルト)が挙げられる。この場合、フッ素含有樹脂層付き部材はベルト状である。
フッ素含有樹脂層付き部材がベルト状の場合、基材の厚みは、例えば、20μm以上200μm以下であることがよく、望ましくは30μm以上150μm以下、より望ましくは40μm以上130μm以下である。
一方、フッ素含有樹脂層付き部材がロール状の場合、基材の外径及び肉厚は、例えば、外径10mm以上50mm以下であることがよく、例えば、アルミニウム製の場合は厚さ0.5mm以上4mm以下、SUS(ステンレス鋼)製又は鉄製の場合は厚さ0.1mm以上2mm以下である。
(定着部材の製造方法)
定着部材の製造方法としては、例えば、基材上に弾性層を形成した後に、弾性層上に、フッ素含有樹脂粒子と、増粘剤と、多価金属塩と、を含むフッ素含有樹脂粒子分散液を塗布して塗膜を形成し、塗膜を加熱してフッ素含有樹脂層を得る製造方法が挙げられる。
ここで、フッ素含有樹脂粒子分散液には、分散媒も含む。
フッ素含有樹脂粒子分散液に使用される分散媒としては、通常、水を用いるが、有機溶媒を用いてもよく、又は、塗布後の乾燥を容易にするために、水とアルコール等の有機溶媒との混合物を用いてもよい。
フッ素含有樹脂粒子分散液は、固形分が30質量%以上であってもよい。
フッ素含有樹脂粒子分散液が多価金属塩を含むことにより、小粒径のフッ素含有樹脂粒子が緩やかに凝集し、フッ素含有樹脂粒子に起因する塗膜の高粘度化が抑制されるため、フッ素含有樹脂粒子等の固形分が30質量%以上である場合であっても、平滑性が高いフッ素含有樹脂層を実現すると考えられる。
フッ素含有樹脂粒子分散液の粘度は、27℃において、ロータの回転速度3rpmで、0.5Pa・S以上50Pa・S以下がよく、0.5Pa・S以上10Pa・S以下が望ましく、0.5Pa・S以上5Pa・S以下であることがより望ましい。
また、25℃において、ロータの回転速度60rpmで、0.1Pa・S以上10Pa・S以下がよく、0.1Pa・S以上5Pa・S以下が望ましく、0.1Pa・S以上1Pa・S以下であることがより望ましい。
フッ素含有樹脂粒子分散液の粘度の測定は、B型粘度計RB−80L型(東機産業株式会社)、M−2ロータもしくはM−3ロータを使用して行う。
フッ素含有樹脂粒子分散液の塗布方法としては、従来一般的に使用されている方法が挙げられ、例えば、湿式法として、ロール塗布、スプレー塗布、ディップ塗布などが用いられる。
また、湿式法(ロール塗布、スプレー塗布、ディップ塗布)にて塗布された塗膜の乾燥温度としては、使用した分散媒が揮発する温度で、50℃以上200℃以下が望ましく、より望ましくは60℃以上180℃以下、さらに望ましくは70℃以上150℃以下である。
次に、フッ素含有樹脂粒子を焼結処理する加熱を行う。加熱方法としては、例えば、熱間静水圧加工処理が挙げられ、装置としては、熱間静水圧加工装置が挙げられる。
使用される熱間静水圧加工処理(HIP)は、不活性ガス(Ar、N2など)を圧力媒体として、加熱下において加圧処理を施すものである。この方法によれば、従来の熱間プレス加工法と比較して、種々の形状の基材を加熱下において均一加圧してもよい。
熱間静水圧加工処理の加熱温度としては、フッ素含有樹脂粒子の溶融温度以上の温度が望ましく、より望ましくは溶融温度+10℃以上、さらに望ましくは溶融温度+20℃以上である。加熱温度が、フッ素含有樹脂粒子の溶融温度以上とすることにより、フッ素含有樹脂粒子が溶融し、目的とする膜密度が得られると考えられる。
フッ素含有樹脂粒子分散液がフィラーを含む場合、熱間静水圧加工処理の加熱温度の上限は、フッ素樹脂の溶融温度+100℃以下の温度が望ましく、より望ましくは溶融温度+70℃以下、さらに望ましくは溶融温度+50℃以下であり、加熱温度の下限はフッ素樹脂の溶融温度以上の温度が望ましく、より望ましくは溶融温度+10℃以上、さらに望ましくは溶融温度+20℃以上である。加熱温度が、フッ素樹脂の溶融温度+100℃以下であることにより、フッ素含有樹脂層に分散していたフィラーが移動し、フィラー同士の凝集が発生する事を抑制し、目的とする膜特性(表面粗さ、摩擦係数、耐磨耗性、導電性等)が得られると考えられる。
また、熱間静水圧加工処理の圧力としては、100MPa以上が望ましく、より望ましくは200MPa以上、さらに望ましくは300Mpa以上である。圧力が、100MPa以上であることにより、フッ素樹脂を加圧し、目的とする膜密度が得られると考えられる。
(定着部材の用途)
本実施形態に係るフッ素含有樹脂層付き部材は、定着部材として、例えば、加熱ロール、加熱ベルト、加圧ベルトのいずれにも適用される。なお、加熱ベルトとしては、電磁誘導方式により加熱する加熱ベルト、外部の熱源から加熱する加熱ベルトのいずれであってもよい。
但し、本実施形態に係るフッ素含有樹脂層付き部材を電磁誘導方式により加熱する加熱ベルトに適用する場合、基材と弾性層との間に、電磁誘導により発熱する金属層(発熱層)を設けることがよい。
なお、本実施形態においては、フッ素含有樹脂層付き部材として、定着部材を適用した形態を説明したが、定着用以外のフッ素含有樹脂層付き部材として、例えば、転写部材、帯電部材、転写同時定着用部材が挙げられる。
[定着装置]
本実施形態に係る定着装置としては、種々の構成があり、例えば、第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備える。そして、第1回転体及び第2回転体の少なくとも一方として、本実施形態に係るフッ素含有樹脂層付き部材が適用される。
以下に、第1及び第2実施形態として、加熱ベルトと加圧ロールと備えた定着装置を説明する。そして、第1及び2実施形態において、本実施形態に係るフッ素含有樹脂層付き部材は、加熱ベルトと加圧ロールのいずれにも適用され得る。
なお、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、加熱ロール又は加熱ベルトと加圧ベルトとを備えた定着装置であってよい。そして、本実施形態に係るフッ素含有樹脂層付き部材は、加熱ロール、加熱ベルト及び加圧ベルトのいずれにも適用され得る。
また、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、電磁誘導加熱方式の定着装置であってもよい。
(定着装置の第1実施形態)
第1実施形態に係る定着装置について説明する。図2は、第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略概略図である。
第1実施形態に係る定着装置60は、図2に示すように、例えば、回転駆動する加熱ロール61(第1回転体の一例)と、加圧ベルト62(第2回転体の一例)と、加圧ベルト62を介して加熱ロール61を押圧する押圧パッド64(押圧部材の一例)とを備えて構成されている。
なお、押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加熱ロール61に加圧されてもよい。
加熱ロール61の内部には、ハロゲンランプ66(加熱手段の一例)が配設されている。加熱手段としては、ハロゲンランプに限られず、発熱する他の発熱部材を用いてもよい。
一方、加熱ロール61の表面には、例えば、感温素子69が接触して配置されている。この感温素子69による温度計測値に基づいて、ハロゲンランプ66の点灯が制御され、加熱ロール61の表面温度が目的とする設定温度(例えば、150℃)を維持される。
加圧ベルト62は、例えば、内部に配置された押圧パッド64とベルト走行ガイド63とによって回転自在に支持されている。そして、挟込領域N(ニップ部)において押圧パッド64により加熱ロール61に対して押圧されて配置されている。
押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62の内側において、加圧ベルト62を介して加熱ロール61に加圧される状態で配置され、加熱ロール61との間で挟込領域Nを形成している。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い挟込領域Nを確保するための前挟込部材64aを挟込領域Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
加圧ベルト62の内周面と押圧パッド64との摺動抵抗を小さくするために、例えば、前挟込部材64a及び剥離挟込部材64bの加圧ベルト62と接する面にシート状の摺動部材68が設けられている。そして、押圧パッド64と摺動部材68とは、金属製の保持部材65に保持されている。
なお、摺動部材68は、例えば、その摺動面が加圧ベルト62の内周面と接するように設けられており、加圧ベルト62との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
保持部材65には、例えば、ベルト走行ガイド63が取り付けられ、加圧ベルト62が回転する構成となっている。
加熱ロール61は、例えば、図示しない駆動モータにより矢印S方向に回転し、この回転に従動して加圧ベルト62は、加熱ロール61の回転方向と反対の矢印R方向へ回転する。すなわち、例えば、加熱ロール61が図2における時計方向へ回転するのに対して、加圧ベルト62は反時計方向へ回転する。
そして、未定着トナー像を有する用紙K(記録媒体の一例)は、例えば、定着入口ガイド56によって導かれて、挟込領域Nに搬送される。そして、用紙Kが挟込領域Nを通過する際に、用紙K上のトナー像は挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
第1実施形態に係る定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に倣う凹形状の前挟込部材64aにより、前挟込部材64aがない構成に比して、広い挟込領域Nを確保される。
また、第1実施形態に係る定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に対し突出させて剥離挟込部材64bを配置することにより、挟込領域Nの出口領域において加熱ロール61の歪みが局所的に大きくなるように構成されている。
このように剥離挟込部材64bを配置すれば、例えば、定着後の用紙Kは、剥離挟込領域を通過する際に、局所的に大きく形成された歪みを通過することになるので、用紙Kが加熱ロール61から剥離しやすい。
剥離の補助手段として、例えば、加熱ロール61の挟込領域Nの下流側に、剥離部材70を配設されている。剥離部材70は、例えば、剥離爪71が加熱ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に加熱ロール61と近接する状態で保持部材72によって保持されている。
(定着装置の第2実施形態)
第2実施形態に係る定着装置について説明する。図3は、第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略概略図である。
第1実施形態に係る定着装置80は、図3に示すように、例えば、加熱ベルト84(第1回転体の一例)を備える定着ベルトモジュール86と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)に押圧して配置された加圧ロール88(第2回転体の一例)とを含んで構成されている。そして、例えば、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88とが接触する挟込領域N(ニップ部)が形成されている。挟込領域Nでは、用紙K(記録媒体の一例)が加圧及び加熱されトナー像が定着される。
定着ベルトモジュール86は、例えば、無端状の加熱ベルト84と、加圧ロール88側で加熱ベルト84が巻き掛けられ、モータ(不図示)の回転力で回転駆動すると共に加熱ベルト84をその内周面から加圧ロール88側へ押し付ける加熱押圧ロール89と、加熱押圧ロール89と異なる位置で内側から加熱ベルト84を支持する支持ロール90とを備えている。
定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱押圧ロール89から支持ロール90までの加熱ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88とが接触する領域である挟込領域Nの下流側において加熱ベルト84を内周面から張力を付与する支持ロール98とが設けられている。
そして、定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84と加熱押圧ロール89との間に、シート状の摺動部材82が介在するように設けられている。
摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内周面と接するように設けられており、加熱ベルト84との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
ここで、摺動部材82は、例えば、その両端が支持部材96により支持された状態で設けられている。
加熱押圧ロール89の内部には、例えば、ハロゲンヒータ89A(加熱手段の一例)が設けられている。
支持ロール90は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、内部にはハロゲンヒータ90A(加熱手段の一例)が配設されており、加熱ベルト84を内周面側から加熱するようになっている。
支持ロール90の両端部には、例えば、加熱ベルト84を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設されている。
支持ロール92は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、支持ロール92の表面には厚み20μmのフッ素樹脂を含む離型層が形成されている。
支持ロール92の離型層は、例えば、加熱ベルト84の外周面からのトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
支持ロール92の内部には、例えば、ハロゲンヒータ92A(加熱源の一例)が配設されており、加熱ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。
つまり、例えば、加熱押圧ロール89と支持ロール90及び支持ロール92とによって、加熱ベルト84が加熱される構成となっている。
姿勢矯正ロール94は、例えば、アルミニウムで形成された円柱状ロールであり、姿勢矯正ロール94の近くには、加熱ベルト84の端部位置を測定する端部位置測定機構(不図示)が配置されている。
姿勢矯正ロール94には、例えば、端部位置測定機構の測定結果に応じて加熱ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(不図示)が配設され、加熱ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
一方、加圧ロール88は、例えば、回転自在に支持されると共に、図示しないスプリング等の付勢手段によって加熱ベルト84が加熱押圧ロール89に巻き回された部位に押圧されて設けられている。これにより、定着ベルトモジュール86の加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)が矢印S方向へ回転移動するのに伴って、加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)に従動して加圧ロール88が矢印R方向に回転移動するようになっている。
そして、未定着トナー像(不図示)を有する用紙Kは、矢印P方向に搬送され、定着装置80の挟込領域Nに導かれると、挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
なお、第2実施形態に係る定着装置80では、加熱源の一例としてハロゲンヒータ(ハロゲンランプ)を適用した形態を説明したが、これに限られず、ハロゲンヒータ以外の輻射ランプ発熱体(放射線(赤外線等)を発する発熱体)、抵抗発熱体(抵抗に電流を流すことによりジュール熱を発生させる発熱体:例えばセラミック基板に厚膜抵抗を有する膜を形成して焼成させたもの等)を適用してもよい。
[画像形成装置]
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を備える。そして、定着手段として、本実施形態に係る定着装置が適用される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、例えば、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
この定着装置60が既述の第1実施形態に係る定着装置60である。なお、画像形成装置100は、既述の第2実施形態に係る定着装置80を備える構成であってもよい。
画像形成装置100の各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、表面に形成されるトナー像を保持する像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体11を備えている。
感光体11の周囲には、帯電手段の一例として、感光体11を帯電させる帯電器12が設けられ、潜像形成手段の一例として、感光体11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。
また、感光体11の周囲には、現像手段の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14が設けられ、感光体11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設けられている。
更に、感光体11の周囲には、感光体11上の残留トナーが除去される感光体クリーナ17が設けられ、帯電器12、レーザ露光器13、現像器14、一次転写ロール16及び感光体クリーナ17の電子写真用デバイスが感光体11の回転方向に沿って順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミド又はポリアミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の加圧ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は10Ωcm以上1014Ωcm以下となるように形成されており、その厚みは、例えば、0.1mm程度に構成されている。
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図4に示すB方向に目的に合わせた速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能する張力付与ロール33、二次転写部20に設けられる背面ロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニング背面ロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体11に圧接配置され、更に一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、背面ロール25と、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、を備えて構成されている。
背面ロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。この背面ロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
一方、二次転写ロール22は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んで背面ロール25に圧接配置され、更に二次転写ロール22は接地されて背面ロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙K上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。
なお、中間転写ベルト15、一次転写部10(一次転写ロール16)、及び二次転写部20(二次転写ロール22)が、転写手段の一例に該当する。
一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられたマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
更に、本実施形態に係る画像形成装置では、用紙Kを搬送する搬送手段として、用紙Kを収容する用紙収容部50、この用紙収容部50に集積された用紙Kを予め定められたタイミングで取り出して搬送する給紙ロール51、給紙ロール51により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へと送り込む搬送ガイド53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Kを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザー露光器13に出力される。
レーザー露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザーから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザー露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体11上に形成されたトナー像は、各感光体11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、搬送手段では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせて給紙ロール51が回転し、用紙収容部50から目的とするサイズの用紙Kが供給される。給紙ロール51により供給された用紙Kは、搬送ロール52により搬送され、搬送ガイド53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせて位置合わせロール(図示せず)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22が背面ロール25に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22と背面ロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22と背面ロール25とによって加圧される二次転写部20において、用紙K上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱及び圧力で定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収容部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニング背面ロール34及び中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良が適用され、本発明の要件を満足する範囲内で実現されることは言うまでもない。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<フッ素含有樹脂粒子分散液の調製>
(フッ素含有樹脂粒子分散液1)
・大粒径フッ素含有樹脂粒子:PFA、数平均粒径8μm、溶融粘度0.5×10Pa・S 30質量部
・小粒径フッ素含有樹脂粒子:PFA、数平均粒径0.2μm、溶融粘度0.3×10Pa・S 70質量部
・多価金属塩:硫酸アルミニウム(和光純薬社製)1%水溶液 10質量部
・増粘剤:ウレタン変性ポリエーテル(商品名SNシックナー621N、サンノプコ株式会社製) 5質量部
・フィラー:硫酸バリウム(5μm、BNH−60、堺化学社製) 10質量部
・界面活性剤:アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンSC)15%水溶液 20質量部
・蒸留水: 100質量部
上記成分を混合して、回転羽根式攪拌機にて30分間攪拌処理をして、フッ素含有樹脂粒子分散液1を得た。
なお、フッ素含有樹脂粒子の数平均粒径は、既述の方法で測定した。
また、作製したフッ素含有樹脂粒子分散液について、粘度を測定した。
粘度の測定は、B型粘度計RB−80L型(東機産業株式会社)、M−2ロータを使用し、27℃の条件で行った。ロータの回転速度は、3rpm及び60rpmとした。
結果は表1に示す。
(フッ素含有樹脂粒子分散液2〜10)
表1に従って、フッ素含有樹脂粒子分散液1と同様にして、フッ素含有樹脂粒子分散液2〜10を調製した。そして、フッ素含有樹脂粒子分散液1と同様にして、粘度を測定した。
[実施例1A]
(フッ素含有樹脂層の作製)
フッ素含有樹脂粒子分散液1を、ポリイミドシートサンプル(100×100mm)上に80μmの厚みにロール塗布後、80℃の乾燥炉で10分間乾燥してPFA乾燥膜を得た。
このサンプルを、熱間静水圧加工装置(HIP)(三菱重工製)を用いて、圧力:120MPa、温度:330℃、ピーク時間:10min、の条件下で、処理を実施した。
その結果、ポリイミドシート上に30μmのPFA膜(フッ素含有樹脂層)が得られた。
(評価)
−平滑性の評価−
以下の方法で表面粗さ(Rz)の測定を行い、平滑性を評価した。
東京精密(株)製表面粗さ測定機を使用し、サンプル表面に測定子を荷重0.07gで接触させ、トラバーススピード0.03mm/secで2.5mm移動させて測定した。測定倍率は水平方向×20,垂直方向×5000に設定して、十点平均粗さ(Rz)を求めた。
表面粗さの測定結果は、1.5μm以下であれば、定着部材として適用した場合に、実用上の問題がない。
結果は表1に示す。
[実施例2A〜7A、比較例1A〜3A]
表1に従って、フッ素含有樹脂粒子分散液2〜10を適用し、実施例1と同様にしてフッ素含有樹脂層を作製した。作製したフッ素含有樹脂層について、実施例1と同様に評価した。結果は表1に示す。
[実施例1B]
(加熱ベルト1)
基材として、ポリイミド(PI)製のエンドレスベルトをベルトし、その表面にフッ素含有樹脂粒子分散液を80μmの厚みにロール塗布した。このエンドレスベルトを熱間静水圧加工装置(HIP)(三菱重工製)を用いて、圧力:120MPa、温度:330℃、ピーク時間:10min、の条件下で、処理を実施した。その結果、PFA表面層(フッ素含有樹脂層;30μm)/PIエンドレス基材で構成された加熱ベルト1が得られた。
(加圧ベルト1)
基材として、ポリイミド(PI)製のエンドレスベルトを作製し、その表面にフッ素含有樹脂粒子分散液を80μmの厚みにディップ塗布した。このエンドレスベルトを熱間静水圧加工装置(HIP)(三菱重工製)を用いて、それぞれ圧力:120MPa、温度:360℃、ピーク時間:10min、の条件下で、処理を実施した。その結果、PFA表面層(フッ素含有樹脂層;30μm)/PIエンドレス基材で構成された加圧ベルト1が得られた。
(評価)
−平滑性の評価−
得られた加熱ベルト1及び加圧ベルト1のフッ素含有樹脂層に対して、実施例1Aと同様にして平滑性を評価した。
−定着特性の評価−
加熱ベルト1と加圧ベルト1とを、定着部材として、富士ゼロックス社製Docu CenterColor400に装着し、定着性能評価を行った。上記電子写真装置は、加熱ロール内部に800Wのハロゲンランプヒーターを有し、150℃の設定温度、150mm/secのスピード、8mmのニップ幅を有する様に設定されている。また、トナーは、富士ゼロックス社製Docu CenterColor400用カラートナー(シアン色)を使用し、富士ゼロックス社製「J紙」に定着させた。記録材である用紙上に形成された粉体トナー像のトナー密度は1mg/cm2であった。上記条件により、100,000枚の画像形成を実施して以下の方法でグロスムラを確認し、定着特性を評価した。
G0 グロスメーターでの計測による画像のグロス値の最大値と最小値の差が10未満である
G1 グロスメーターでの計測による最大値と最小値の差が10以上20未満である
G2 グロスメーターでの計測による最大値と最小値の差が20以上である
評価結果がG0であれば、実用上の問題はない。
[実施例2B〜7B、比較例1B〜3B]
実施例2B〜7B、比較例1B〜3Bは、表2、3に従ったフッ素含有樹脂粒子分散液を使用して加熱ベルト及び加圧ベルトを作製して、実施例1Bと同様にして評価した。
Figure 2015041011
Figure 2015041011
Figure 2015041011
実施例で作製したシート状サンプルの方が、比較例で作製したシート状サンプルの方が、平滑性が高かった。
また、実施例で作製した加熱ベルト及び加圧ベルトのほうが、比較例で作製した加熱ベルト及び加圧ベルトよりも、表面の平滑性が高かった。
さらに、実施例で作製した加熱ベルト及び加圧ベルトを適用した定着装置を備えた画像形成装置の方が、比較例で作製した加熱ベルト及び加圧ベルトを適用した定着装置を備えた画像形成装置よりも、グロスムラが抑制された画像が得られた。
60 定着装置
61 加熱ロール
62 加圧ベルト
63 ベルト走行ガイド
64 押圧パッド
64a 前挟込部材
64b 剥離挟込部材
65 保持部材
66 ハロゲンランプ
68、82 摺動部材
69 感温素子
70 剥離部材
71 剥離爪
72 保持部材
80 定着装置
84 加熱ベルト
86 定着ベルトモジュール
88 加圧ロール
89A ハロゲンヒータ
89 加熱押圧ロール
90A ハロゲンヒータ
90 支持ロール
92A ハロゲンヒータ
92 支持ロール
94 姿勢矯正ロール
96 支持部材
98 支持ロール
100 画像形成装置
110 フッ素含有樹脂層付き部材
110A 基材
110B 弾性層
110C フッ素含有樹脂層(表面層)

Claims (7)

  1. フッ素含有樹脂粒子の焼結体と、増粘剤と、多価金属塩と、を含むフッ素含有樹脂層を表面層として有するフッ素含有樹脂層付き部材。
  2. 前記フッ素含有樹脂粒子の数平均粒径が、0.1μm以上30μm以下である請求項1に記載のフッ素含有樹脂層付き部材。
  3. 前記フッ素含有樹脂層が、フッ素含有樹脂粒子と、増粘剤と、多価金属塩と、を含むフッ素含有樹脂粒子分散液を塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を加熱して得られた層である請求項1又は請求項2に記載のフッ素含有樹脂層付き部材。
  4. 前記フッ素含有樹脂粒子分散液が、固形分が30質量%以上である請求項3に記載のフッ素含有樹脂層付き部材。
  5. 前記フッ素含有樹脂粒子が、数平均粒径1μm以上50μm以下の第1フッ素含有樹脂粒子と、数平均粒径0.1μm以上1μm以下の第2フッ素含有樹脂粒子と、を含んでいる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のフッ素含有樹脂層付き部材。
  6. 第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、
    前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のフッ素含有樹脂層付き部材である定着装置。
  7. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
    帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
    請求項6に記載の定着装置により前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段と、 を備える画像形成装置。
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