JP2015040266A - 樹脂組成物、難燃性シラン架橋性樹脂組成物、その製造方法、成形品、電線・ケーブルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂および/またはエチレンと置換エチレンからなるエチレン系共重合体からなる樹脂成分100質量部に対して、チオエーテル系酸化防止剤10〜100質量部およびベンゾイミダゾール系酸化防止剤10〜120質量部含む樹脂組成物、難燃性シラン架橋性樹脂組成物、その製造方法、成形品、電線・ケーブル及びその製造方法。
【選択図】なし
Description
詳しくは、押出成形機を用いて、シラングラフト樹脂組成物と混合することにより、良好な耐熱性、機械特性、難燃性を有する樹脂組成物、ならびにその成形品を提供するものであり、特に、自動車、電気・電子機器などに使用される電線・ケーブルの被覆材料として好適である。
従来、難燃性シラン架橋性オレフィン系樹脂組成物を製造する際、オレフィン系樹脂に難燃剤の金属水酸化物、シランカップリング剤、シラン架橋(縮合)触媒を一括混練して製造されていたが、この方法だと、金属水酸化物中の水分で、シランカップリング剤が加水分解し、加水分解で生成したゲル状物質が成形品の表面に現れ、凹凸を形成して外観が悪くなることから、シランカップリング剤をグラフト重合させたオレフィン系樹脂であるシラングラフトバッチを製造し、これに難燃剤を含む樹脂成分からなる難燃剤バッチ、シラン架橋触媒を含む樹脂成分からなる触媒バッチを加えて製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1を例に挙げると、オレフィン系樹脂とシランカップリング剤から構成されるシラングラフトバッチの比重は、シランカップリング剤を含まないオレフィン系樹脂そのものと変わらないが、オレフィン系樹脂と金属水酸化物から構成される難燃剤バッチの比重は、金属水酸化物の配合量が増加するに従って、シラングラフトバッチの約1.5〜2倍となり、押出機のホッパーで混合しても、押出機シリンダーへの移送にズレや偏りが発生する。
さらに、金属水酸化物の配合量が多い難燃剤バッチは流動性や引張特性が悪く、押出機内で、シラングラフトバッチと均一に分散できなかった場合は、難燃性シラン架橋性オレフィン系樹脂組成物の難燃性や引張特性を低下させてしまう場合もある。
また、シラングラフトバッチと難燃剤バッチの比重差を小さくすることも有効であるが、難燃性と耐熱性のバランスがとれなくなる問題が発生する。
シラングラフトバッチと難燃剤バッチの比重差が小さい場合、所望する難燃性を得るために、難燃バッチの比率を増加させる必要があり、結果として、触媒バッチと反応するシラングラフトバッチの比率が減少し、難燃性シラン架橋性オレフィン系樹脂組成物の耐熱性が低下する問題が発生する。
すなわち、上記課題は、以下の手段により達成された。
(2)前記樹脂成分100質量部に対し、金属水和物を、0を超え100質量部含有することを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記ポリオレフィン系樹脂が、DSCでの融点が130〜170℃であるポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4)前記エチレン系共重合体が、該エチレン系共重合体中における前記置換エチレン成分の含有量が10〜50質量%であって、MFR(JIS K6922準拠、温度190℃、荷重2.16kgf)が0.1〜5g/10分であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(5)シラングラフト樹脂組成物100質量部に対して、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の樹脂組成物70〜110質量部を配合してなることを特徴とする難燃性シラン架橋性樹脂組成物。
(6)シラングラフト樹脂と酸化防止剤を含む難燃性シラン架橋性樹脂組成物の製造方法であって、シラングラフト樹脂を含むシラングラフト樹脂組成物100質量部に対して、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物70〜110質量部を配合することを特徴とする難燃性シラン架橋性樹脂組成物の製造方法。
(7)前記(5)に記載の難燃性シラン架橋性樹脂組成物を押出成形してなることを特徴とする成形品。
(8)前記(5)に記載の難燃性シラン架橋性樹脂組成物を導体上に押出成形により被覆層を形成されてなることを特徴とする電線・ケーブル。
(9)前記(5)に記載の難燃性シラン架橋性樹脂組成物を導体上に押出成形した後、該成形された樹脂組成物を架橋することを特徴とする電線・ケーブルの製造方法。
本発明の樹脂組成物(以後、難燃剤もしくは酸化防止剤バッチとも称す)は、難燃性シラン架橋性樹脂組成物を製造するのに好適な樹脂組成物であり、難燃性シラン架橋性樹脂組成物に着色および機械特性向上、耐熱性向上、難燃性向上を付与することができる。
すなわち、本発明の上記樹脂組成物は、好ましくは、難燃性シラン架橋性樹脂組成物製造用樹脂組成物である。
最初に、本発明の樹脂組成物である、難燃剤もしくは酸化防止剤バッチから説明する。
本発明の樹脂組成物である難燃剤もしくは酸化防止剤バッチは、ポリオレフィン系樹脂および/またはエチレンと置換エチレンからなるエチレン系共重合体からなる樹脂成分100質量部に対して、チオエーテル系酸化防止剤10〜100質量部およびベンゾイミダゾール系酸化防止剤10〜120質量部含む。
難燃剤もしくは酸化防止剤バッチは、樹脂成分として(a)ポリオレフィン系樹脂、(b)エチレンと置換エチレンからなるエチレン系共重合体を含む。
(a)ポリオレフィン系樹脂、(b)エチレンと置換エチレンからなるエチレン系共重合体は、難燃剤もしくは酸化防止剤バッチにおける樹脂組成物のベース樹脂として好適であり、押出機内で、シラングラフト樹脂組成物(以後、シラングラフトバッチと称す)および、シラン架橋(縮合)触媒を含む触媒バッチと溶融混練する際に良分散するものが好ましい。
一方、(b)エチレンと置換エチレンからなるエチレン系共重合体も、酸変性のエチレン系共重合体も含むものであるが、(a)ポリオレフィン系樹脂とは、置換エチレンをモノマー成分として含む(ただし酸変性でのモノマーは置換エチレンとは区別する)点で異なる。
置換エチレンとしては、具体的には、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられ、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニルが好ましい。
特に、(b)エチレンと置換エチレンからなるエチレン系共重合体としては、シラングラフト樹脂組成物(シラングラフトバッチ)と組み合わせた難燃性シラン架橋性樹脂組成物の難燃性を向上させることができる点から、エチレン系共重合体における置換エチレン成分の含有量が10〜50質量%であるエチレン系共重合体が好ましい。
置換エチレン成分の含有量が50質量%以上であるエチレン−置換エチレン共重合体を使用した場合、シラングラフト樹脂組成物(シラングラフトバッチ)と組み合わせた難燃性シラン架橋性樹脂組成物の難燃性を向上させることができる反面、耐熱性を低下させる可能性がある。
本発明では、チオエーテル系酸化防止剤とベンゾイミダゾール系酸化防止剤を併用して使用する。これにより樹脂組成物は、難燃性シラン架橋性樹脂組成物に優れた耐熱性(耐熱寿命)を付与することができる。
チオエーテル系酸化防止剤のうち、好ましいものは、下記一般式(I)または(II)で表される化合物である。
該アルキル基の炭素数は8〜20が好ましく、例えば、n−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシルが挙げられる。
R4における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ニトロ基、カルボキシ基、スルホ基が挙げられ、アルキル基またはアルコキシ基が好ましい。R5における置換基としてはアルキル基が好ましい。
nは0または1が好ましい。ここで、nが1の場合、5位または6位にR4が置換するのが好ましい。
R4は水素原子が好ましい。
これは、チオエーテル系酸化防止剤が、ベース樹脂より早く溶融してしまうこと、ベース樹脂との相溶性が低いことが原因であり、ベンゾイミダゾール系酸化防止剤は、溶融混練時において、チオエーテル系酸化防止剤をその表面に保持するような挙動を示し、さらに、ベンゾイミダゾール系酸化防止剤の融点が250℃以上と高いため、ベース樹脂に対して無機物のように混練することができる。
他の酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が挙げられ、本発明では、さらにこの酸化防止剤を組み合わせるのが好ましい。
フェノール系酸化防止剤は、フェノール骨格の2位に第三級アルキル基を有するものが好ましく、2位と6位の両方に第三級アルキル基を有するものがさらに好ましい。
ここで、第三級アルキル基は、t−ブチル基、t−ペンチル基が好ましく、t−ブチル基が特に好ましい。
これらのうち、テトラキス〔メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンが特に好ましい。
本発明において、金属水和物とは、水酸化金属のように水酸基を有する金属以外に、水和した金属をも包含するものである。
金属水和物の配合により、本発明の樹脂組成物を難燃性とすることができ、しかもシラングラフトバッチであるシラングラフト樹脂組成物と本発明の樹脂組成物である難燃剤もしくは酸化防止剤バッチを混合することで、難燃性シラン架橋性樹脂組成物の難燃性を自由に調整することができる。
しかも、シラングラフトバッチであるシラングラフト樹脂組成物と本発明の樹脂組成物である難燃剤もしくは酸化防止剤バッチにおける樹脂組成物間の比重差が小さくすることが可能となり、成形機、例えば、押出機への移送時のズレや偏りが発生しにくくなる。
金属水和物の配合量が150質量部を超える場合は、本発明の樹脂組成物である難燃剤もしくは酸化防止剤バッチの流動性や機械特性が低下するため、成形装置内でシラングラフトバッチと均一に分散できなかった場合は、難燃性シラン架橋性樹脂組成物の機械特性を低下させてしまう。
本発明の樹脂組成物である難燃剤もしくは酸化防止剤バッチには、電線、ケーブルなどにおいて、一般的に使用されている各種の添加剤、例えば、金属不活性化剤、紫外線吸収剤、分散剤、顔料などを本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じ適宜配合することができる。
なかでも、金属不活性化剤(銅害防止剤)を使用することが好ましい。
本発明の難燃性シラン架橋性樹脂組成物は、少なくとも本発明の樹脂組成物である難燃剤もしくは酸化防止剤バッチを用いて製造される。
ここで、難燃性シラン架橋性樹脂組成物は、必ずしもシラノ基で架橋している必要はなく、架橋は難燃性シラン架橋性樹脂組成物を用いて、成形品を形成した後に架橋してもよい。このため、本発明では、「架橋性」として表記している。
本発明においては、特に好ましくは、難燃性シラン架橋性樹脂組成物は、シラングラフト樹脂組成物(シラングラフトバッチ)、本発明の樹脂組成物である難燃剤もしくは酸化防止剤バッチおよびシラン架橋(縮合)触媒を含む触媒バッチを配合する。
シラングラフト組成物は、合成樹脂、シランカップリング剤、遊離ラジカル発生剤から得られてなり、必要によっては難燃剤をさらに含んでもよい。
合成樹脂は、本発明の樹脂組成物である難燃剤もしくは酸化防止剤バッチで使用するベース樹脂であるポリオレフィン系樹脂やエチレンと置換エチレンからなる共重合体などの熱可塑性樹脂や、スチレン系、ブタジエン系などの熱可塑性ラストマー、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴムなどの合成ゴムが挙げられ、またこれらの酸変性の熱可塑性樹脂もしくはゴムであっても構わない。ここで、酸変性は、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体によるものが好ましい。
本発明で使用する合成樹脂は上記の各樹脂を単独で使用してもよく、またこれらの樹脂の混合物であっても構わない。
合成樹脂は、ポリオレフィン系樹脂やエチレンと置換エチレンからなる共重合体が好ましく、本発明の樹脂組成物である難燃剤もしくは酸化防止剤バッチで挙げた樹脂が好ましい。
シランカップリング剤の具体例として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシランなどのビニルアルコキシシランやノルマルヘキシルトリメトキシシラン、ビニルアセトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
これらのシランカップリング剤は、単独もしくは2種類以上併用しても良い。
金属水和物としては、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられ、合成樹脂類との相溶性向上、得られる難燃性シラン架橋性樹脂組成物の機械特性向上などの点から、脂肪酸やシランカップリング剤で表面処理されたものでも良い。
ハロゲン系難燃剤としては、塩素化パラフィン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスペンタブロモベンゼンなどが挙げられ、これら以外に、三酸化アンチモン、硼酸亜鉛、錫酸亜鉛などの難燃助剤の添加も可能である。
シラン架橋(縮合)触媒を含む触媒バッチは、合成樹脂とシラン架橋触媒(シラン縮合触媒)を少なくとも含む。
合成樹脂は、シラングラフト樹脂を形成する前の合成樹脂と同じ樹脂が好ましい。
具体的には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫メルカプチド、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、カプリル酸錫、カプリル亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、チタン酸テトラブチルエステル、チタン酸テトラノニルエステルなどが挙げられる。
これらシラン架橋触媒の中でも、シランカップリング剤との反応性の点から、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫メルカプチドが好ましい。
このようなシラングラフト樹脂組成物(シラングラフトバッチ)としては、Cogegum GFR Series (SOLVAY Plastics)などが上市されており、これらには、その用途に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加工助剤などの添加剤が配合されている。
本発明における難燃性シラン架橋性樹脂組成物は、シラングラフト樹脂組成物(シラングラフトバッチ)100質量部に対して、本発明の樹脂組成物である難燃剤もしくは酸化防止剤バッチ70〜110質量部を配合して製造される。
難燃性シラン架橋性樹脂組成物の架橋は、押出機を使用して成形された後 の段階で蒸気や水に常温〜95℃の温度範囲で48時間以内さらすことにより架橋するのが好ましい。
一方、本発明の樹脂組成物である難燃剤もしくは酸化防止剤バッチが120質量部を超えると、得られた難燃性シラン架橋性樹脂組成物中において、架橋に関係するシラングラフト樹脂組成物(シラングラフトバッチ)の量が不足し、耐熱性(熱変形)や難燃性が低下する。
このような特性を有する難燃性シラン架橋性樹脂組成物樹脂組成物は、自動車、電気・電子機器などに使用される電線・ケーブルの被覆材料として好適である。
本発明の樹脂組成物である難燃剤もしくは酸化防止剤バッチを用いて製造された難燃性シラン架橋性樹脂組成物は、押出機を使用して、所望の形状に成形して、各種の成形品を製造したり、導体・被覆層の周囲に押出被覆して、電線・ケーブルを製造することができる。
本発明の電線・ケーブルにおける導体径や導体の材質、被覆層の厚さなどは特に制限はなく、用途に応じて適宜定められる。
また、導体と被覆層、被覆層と被覆層の間に中間層や遮蔽層を設けるなど多層構造をとってもよい。
実施例1〜7および比較例1〜4の樹脂組成物を形成する材料の構成を下記表1に示した。また、使用した材料の詳細は下記の通りである。
PB222A (商品名 サンアロマー社製;ランダムポリプロピレン、融点147℃、MFR0.7g/10分)
(2)エチレン−酢酸ビニル共重合体
エバフレックスV−5274R 〔商品名 三井・デュポンポリケミカル社製;酢酸ビニル成分含有量17質量%、MFR0.8g/分(JIS K6922準拠、温度190℃、荷重2.16kgf)〕
(3)フェノール系酸化防止剤
イルガノックス1010 (商品名 BASF社製)
(4)チオエーテル系酸化防止剤
アデカスタブAO−412S (商品名 ADEKA社製)
(5)ベンゾイミダゾール系酸化防止剤
ノクラックMBZ (商品名 大内新興化学社製)
(6)金属不活性化剤(銅害防止剤)
イルガノックスMD1024 (商品名 BASF社製)
(7)水酸化マグネシウム
キスマ5A (商品名 協和化学社製)
下記表1に示す配合処方に従い、1.7リットルのバンバリーミキサーを用いて110℃で溶融混合し、混合物を排出し、押出機を通して造粒して、実施例1〜7および比較例1〜4の樹脂組成物ペレットを得た。なお、配合量は全て質量部で表す。
得られた結果を下記表1に示す。
1.7リットルバンバリーミキサーを用いて樹脂組成物を混練する際に、混練時間が20分を超えるもの、もしくは押出後の樹脂組成物の排出時に樹脂組成物の変色やヤケ・発泡が見られた場合を「×」、多少の変色やヤケ・発泡はあるが実用上問題ない場合を「△」、変色やヤケ・発泡がない場合を「○」として樹脂組成物の混練性を判定した。
1.7リットルバンバリーミキサーを用いて混練した樹脂組成物を、押出機を用いて造粒する際に、押出機から出た樹脂組成物ストランドに発泡や外観異常が見られた場合、および、ストランドの引取りが困難な場合を「×」、多少の発泡や外観異常はあるが実用上問題ない場合を「△」、発泡や外観異常がない場合を「○」として樹脂組成物の押出性を判定した。
引張特性の評価は、樹脂組成物のペレットを、温度を110℃〜130℃に設定した押出機を用いて2mm径のストランドを作成し、テンシロン引張試験機を用い、23±5℃の室温にて標線間隔50mm、引張速度200mm/分で試験を実施し、樹脂組成物の引張伸びと強さを測定した。引張伸びが200%以上の場合、および、引張強さが15MPa以上の場合を「○」、引張伸びが200%以上か引張強さが15MPa以上かのどちらか一方を満たす場合を「△」、引張伸びが200%に満たない場合、および、引張強さが15MPaに満たない場合を「×」として樹脂組成物の引張特性を判定した。
比較例2では、ベンゾイミダゾール系酸化防止剤を大量に含有していることから、混練後の押出ストランド表面に外観異常が見られ、引張伸びが著しく低い結果となった。比較例3では、チオエーテル系酸化防止剤を含有していないことから、特性が悪化した。
比較例4では、ベンゾイミダゾール系酸化防止剤量に比べてチオエーテル系酸化防止剤を大量に含有していることから、チオエーテル系酸化防止剤を保持できず、混練時に樹脂や添加剤が混練設備内で滑ってしまい、混練が不可能であった。
実施例8〜14および比較例5および6の絶縁電線を形成する材料の構成を下記表2に示した。また、使用した材料の詳細は下記の通りである。
Cogegum GFR350 (商品名 Solvay Speciallity Polymers社製)
(9)シラングラフトバッチ B(比重1.35g/cm3)
Cogegum GFR340HP (商品名 Solvay Speciallity Polymers社製)
(10)触媒バッチ
CT/7 LR−UV (商品名 Solvay Speciallity Polymers社製)
絶縁電線は、上記実施例で得た本発明の樹脂組成物(実施例1、4、6)、比較の樹脂組成物(比較例1、2)と、上記シラングラフトバッチおよび触媒バッチを下記表2に示す配合処方に従い押出機のホッパーで混合して、温度を110℃〜130℃に設定した押出機を用いて、断面積が3.0mm2の銅からなる導体上に0.7mmの厚さで押出被覆して製造した。
なお、表2には、樹脂組成物に含まれるポリプロピレン、エチレン共重合体、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、イミダゾール系酸化防止剤、銅害防止剤、水酸化マグネシウムの量を示した。
電線を45度に固定し、バーナーで着火して燃焼させ、30秒後にバーナーを離し、自消性が認められた場合を「◎」、電線を水平に固定し、バーナーで着火して燃焼させ、30秒後にバーナーを離し、自消性が認められた場合を「○」、いずれも自消性が認められなかった場合を「×」として判定した。
電線を所定の温度に設定したギヤオーブンで240時間加熱した後、20mm径のマンドレルに3回巻付け、絶縁体表面などにクラックが生じず、かつ3kVの電圧を1分間加えた際に絶縁破壊が見られない加熱温度が180℃以上の場合を「◎」、150℃以上の場合を「○」、120℃未満の場合を「×」として判定した。
絶縁電線を150mmの長さに切り出し、導体を取り除いて絶縁被覆材のみの管状試験片をし、テンシロン引張試験機を用い、23±5℃の室温にて、標線間隔50mm、引張速度200mm/分で試験を実施し、引張強さおよび引張伸びを測定した。
引張強さが15.0MPa以上の場合を「◎」、引張強さが10.0MPa以上15.0MPa未満の場合を「○」、引張強さが7.5MPa以上10.0MPa未満の場合を「△」、7.5MPaに満たない場合を「×」として絶縁被覆材の引張強さを判定した。
引張伸びが200%以上の場合を「◎」、引張伸びが120%以上200%未満の場合を「○」、引張伸びが110%以上120%未満の場合を「△」、引張伸びが110%に満たない場合を「×」として絶縁被覆材の引張伸びを判定した。
Claims (9)
- ポリオレフィン系樹脂および/またはエチレンと置換エチレンからなるエチレン系共重合体からなる樹脂成分100質量部に対して、チオエーテル系酸化防止剤10〜100質量部およびベンゾイミダゾール系酸化防止剤10〜120質量部を含むことを特徴とする樹脂組成物。
- 前記樹脂成分100質量部に対し、金属水和物を、0を超え100質量部以下含有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィン系樹脂が、DSCでの融点が130〜170℃であるポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記エチレン系共重合体が、該エチレン系共重合体中における前記置換エチレン成分の含有量が10〜50質量%であって、MFR(JIS K6922準拠、温度190℃、荷重2.16kgf)が0.1〜5g/10分であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- シラングラフト樹脂組成物100質量部に対して、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物70〜110質量部を配合してなることを特徴とする難燃性シラン架橋性樹脂組成物。
- シラングラフト樹脂と酸化防止剤を含む難燃性シラン架橋性樹脂組成物の製造方法であって、シラングラフト樹脂を含むシラングラフト樹脂組成物100質量部に対して、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物70〜110質量部を配合することを特徴とする難燃性シラン架橋性樹脂組成物の製造方法。
- 請求項5に記載の難燃性シラン架橋性樹脂組成物を押出成形してなることを特徴とする成形品。
- 請求項5に記載の難燃性シラン架橋性樹脂組成物を導体上に押出成形により被覆層を形成されてなることを特徴とする電線・ケーブル。
- 請求項5に記載の難燃性シラン架橋性樹脂組成物を導体上に押出成形した後、該成形された樹脂組成物を架橋することを特徴とする電線・ケーブルの製造方法。
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