JP2016121203A - 耐熱性シラン架橋樹脂成形体、架橋性樹脂成形体、耐熱性シラン架橋性樹脂組成物及びそれらの製造方法、シランマスターバッチ、並びに耐熱性製品 - Google Patents
耐熱性シラン架橋樹脂成形体、架橋性樹脂成形体、耐熱性シラン架橋性樹脂組成物及びそれらの製造方法、シランマスターバッチ、並びに耐熱性製品 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】ベース樹脂、有機過酸化物、金属水和物、臭素系難燃剤、三酸化アンチモン、シランカップリング剤及びシラノール縮合触媒を特定の質量割合で溶融混合して混合物を得る工程(a)が、ベース樹脂の一部又は全部と有機過酸化物とシランカップリング剤とを溶融混合してシランMBを調製する工程(a1)と、触媒MBを調製する工程(a2)と、シランMBとシラノール縮合触媒又は触媒MBとを溶融混合する工程(a3)とを有し、臭素系難燃剤及び三酸化アンチモンがそれぞれ工程(a1)及び(a2)の少なくとも一方で混合される製造方法、これにより製造される耐熱性シラン架橋樹脂成形体、耐熱性製品。
【選択図】なし
Description
より詳細には、外観、機械特性及び難燃性に加えて長期耐熱性、耐加熱変形性及び耐寒性のいずれにも優れた耐熱性シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、この耐熱性シラン架橋樹脂成形体を形成可能な、架橋性樹脂成形体、耐熱性シラン架橋性樹脂組成物及びそれらの製造方法、並びに、シランマスターバッチに関し、また、耐熱性シラン架橋樹脂成形体を電線の絶縁体やシース等として用いた耐熱性製品に関する。
具体的には、シラン架橋法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂に不飽和基を有するシランカップリング剤をグラフトさせたシランマスターバッチと、ポリオレフィン樹脂と無機フィラーを混練した耐熱性マスターバッチと、シラノール縮合触媒を含有した触媒マスターバッチとを溶融混合させる方法がある。しかし、この方法ではポリオレフィン樹脂100質量部に対して無機フィラーの使用量が100質量部を超える場合では、シランマスターバッチと耐熱性マスターバッチとを乾式混合した後に単軸押出機や二軸押出機内にて均一に溶融混練することが困難になる。このように、シランマスターバッチと耐熱性マスターバッチとを乾式混合した後に均一に溶融混練するには、無機フィラーの割合が制限されてしまう。そのため、より高難燃化、高耐熱化することが困難であった。しかも、このような方法を用いて製造すると、架橋樹脂とした場合に優れた強度や耐加熱変形性を付与することが困難となる。
ところが、ニーダーやバンバリーミキサー等を用いてシランマスターバッチを作製する(シラングラフトを行う)場合には、不飽和基を有する加水分解性シランカップリング剤は一般に揮発性が高く、グラフト反応する前に揮発してしまうという問題がある。そのため所望の組成の耐熱性シランマスターバッチを作製することが、まず困難である。
しかし、この方法では、グラフト反応のばらつきによって成形体に外観不良が生じて、所望の成形体を得ることができない。また、耐熱性マスターバッチ中の無機フィラーの配合割合を多くしなければならない。そのため押出負荷が大きくなり、製造が難しくなる。さらに、所望の材料や成形体を得ることが困難である。しかも、製造工程が2工程となり、製造コスト面でもこれが難点となっている。
また、特許文献2〜4に記載された方法であっても、まだ、ベース樹脂が十分な網状構造になっていないため、ベース樹脂と無機フィラーとの結合が高温で切れやすい。そのため、高温下では成形体が溶融し、耐熱性に問題がある。例えば、電線の絶縁材として使用した場合に、電線のはんだ加工中に絶縁材が溶融する。また、成形体を2次加工する際に変形又は発泡を生じる問題がある。
ところで、シラン架橋法は、上記のように、最終的に、シラノール縮合触媒の存在下でシラングラフト樹脂を架橋反応させる。この架橋反応は、例えば、シラングラフト樹脂を水中に浸漬又は蒸気に暴露することにより、行われる。しかし、この架橋反応は水中浸漬又は蒸気暴露をしなくても進行することがある。したがって、シラン架橋法を用いて成形体を製造する場合、水中浸漬又は蒸気暴露の工程を省略できると、製造上有利になる。
また、本発明は、上記優れた特性を有する耐熱性シラン架橋樹脂成形体を生産性良く製造可能な、架橋性樹脂成形体及び耐熱性シラン架橋性樹脂組成物とこれらの製造方法、並びに、シランマスターバッチを提供することを課題とする。
加えて、本発明は、耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法で得られた耐熱性シラン架橋樹脂成形体を用いた耐熱性製品を提供することを課題とする。
(1)下記工程(a)、工程(b)及び工程(c)
工程(a):酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体15〜70質量%、エチレン−α−オレフィン共重合体10〜50質量%及びポリプロピレン17〜40質量%を含むベース樹脂(RB)100質量部に対し、有機過酸化物0.01〜0.6質量部、金属水和物20〜120質量部、臭素系難燃剤10〜60質量部、三酸化アンチモン5〜30質量部、シランカップリング剤1〜15質量部及びシラノール縮合触媒を溶融混合して混合物を得る工程
工程(b):前記混合物を成形して架橋性樹脂成形体を得る工程
工程(c):前記架橋性樹脂成形体を水と接触させて耐熱性シラン架橋樹脂成形体を得る工程
を有する耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法であって、
前記工程(a)が、少なくとも下記工程(a1)及び工程(a3)を有し、下記工程(a1)でベース樹脂(RB)の一部を溶融混合する場合には少なくとも下記工程(a1)、工程(a2)及び工程(a3)を有し、
工程(a1):前記ベース樹脂(RB)の全部又は一部、前記有機過酸化物、前記金属水和物及び前記シランカップリング剤を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度において溶融混合して、シランマスターバッチを調製する工程
工程(a2):前記ベース樹脂(RB)の残部及び前記シラノール縮合触媒を溶融混合して、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(a3):前記シランマスターバッチと前記シラノール縮合触媒又は前記触媒マスターバッチとを混合する工程
前記臭素系難燃剤及び前記三酸化アンチモンが、それぞれ、前記工程(a1)及び前記工程(a2)の少なくとも一方において混合される、
耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
(2)ヒンダードフェノール系酸化防止剤及びイミダゾール系酸化防止剤を、それぞれ、前記工程(a1)及び前記工程(a2)の少なくとも一方において混合する(1)に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
(3)ベース樹脂(RB)がスチレン系エラストマーを含有する(1)又は(2)に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
(4)下記工程(a)及び工程(b):
工程(a):酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体15〜70質量%、エチレン−α−オレフィン共重合体10〜50質量%及びポリプロピレン17〜40質量%を含むベース樹脂(RB)100質量部に対し、有機過酸化物0.01〜0.6質量部、金属水和物20〜120質量部、臭素系難燃剤10〜60質量部、三酸化アンチモン5〜30質量部、シランカップリング剤1〜15質量部及びシラノール縮合触媒を溶融混合して混合物を得る工程
工程(b):前記混合物を成形して架橋性樹脂成形体を得る工程
を有する架橋性樹脂成形体の製造方法であって、
前記工程(a)が、少なくとも下記工程(a1)及び工程(a3)を有し、下記工程(a1)でベース樹脂(RB)の一部を溶融混合する場合には少なくとも下記工程(a1)、工程(a2)及び工程(a3)を有し、
工程(a1):前記ベース樹脂(RB)の全部又は一部、前記有機過酸化物、前記金属水和物及び前記シランカップリング剤を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度において溶融混合して、シランマスターバッチを調製する工程
工程(a2):前記ベース樹脂(RB)の残部及び前記シラノール縮合触媒を溶融混合して、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(a3):前記シランマスターバッチと前記シラノール縮合触媒又は前記触媒マスターバッチとを混合する工程
前記臭素系難燃剤及び前記三酸化アンチモンが、それぞれ、前記工程(a1)及び前記工程(a2)の少なくとも一方において混合される、
架橋性樹脂成形体の製造方法。
(5)下記工程(a):
工程(a):酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体15〜70質量%、エチレン−α−オレフィン共重合体10〜50質量%及びポリプロピレン17〜40質量%を含むベース樹脂(RB)100質量部に対し、有機過酸化物0.01〜0.6質量部、金属水和物20〜120質量部、臭素系難燃剤10〜60質量部、三酸化アンチモン5〜30質量部、シランカップリング剤1〜15質量部及びシラノール縮合触媒を溶融混合して混合物を得る工程
を有する耐熱性シラン架橋性樹脂組成物の製造方法であって、
前記工程(a)が、少なくとも下記工程(a1)及び工程(a3)を有し、下記工程(a1)でベース樹脂(RB)の一部を溶融混合する場合には少なくとも下記工程(a1)、工程(a2)及び工程(a3)を有し、
工程(a1):前記ベース樹脂(RB)の全部又は一部、前記有機過酸化物、前記金属水和物及び前記シランカップリング剤を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度において溶融混合して、シランマスターバッチを調製する工程
工程(a2):前記ベース樹脂(RB)の残部及び前記シラノール縮合触媒を溶融混合して、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(a3):前記シランマスターバッチと前記シラノール縮合触媒又は前記触媒マスターバッチとを混合する工程
前記臭素系難燃剤及び前記三酸化アンチモンが、それぞれ、前記工程(a1)及び前記工程(a2)の少なくとも一方において混合される、
耐熱性シラン架橋性樹脂組成物の製造方法。
(6)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法により製造されてなる耐熱性シラン架橋樹脂成形体。
(7)(4)に記載の架橋性樹脂成形体の製造方法により製造されてなる架橋性樹脂成形体。
(8)(5)に記載の耐熱性シラン架橋性樹脂組成物の製造方法により製造されてなる耐熱性シラン架橋性樹脂組成物。
(9)(6)に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体を含む耐熱性製品。
(10)前記耐熱性シラン架橋樹脂成形体が、電線又は光ファイバケーブルの被覆として設けられている(9)に記載の耐熱性製品。
(11)酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体15〜70質量%、エチレン−α−オレフィン共重合体10〜50質量%及びポリプロピレン17〜40質量%を含むベース樹脂(RB)100質量部に対し、有機過酸化物0.01〜0.6質量部、金属水和物20〜120質量部、臭素系難燃剤10〜60質量部、三酸化アンチモン5〜30質量部、シランカップリング剤1〜15質量部及びシラノール縮合触媒を溶融混合してなる耐熱性シラン架橋性樹脂組成物の製造に用いられるシランマスターバッチであって、
前記ベース樹脂(RB)の全部又は一部、前記有機過酸化物、前記金属水和物及び前記シランカップリング剤を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度において溶融混合してなるシランマスターバッチ。
(12)前記臭素系難燃剤及び前記三酸化アンチモンの少なくとも一方を含有する(11)に記載のシランマスターバッチ。
また、「ベース樹脂(RB)の残部」とは、ベース樹脂(RB)のうち工程(a1)で使用する一部を除いた残りのベース樹脂をいう。この残部には、ベース樹脂(RB)そのものの残部(ベース樹脂(RB)と同一組成を有する)、ベース樹脂(RB)を構成する樹脂成分の残部、及び、ベース樹脂(RB)を構成する残りの樹脂成分を包含する。
したがって、本発明の「耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法」、本発明の「架橋性樹脂成形体の製造方法」及び本発明の「耐熱性シラン架橋性樹脂組成物の製造方法」(三者の共通部分の説明においては、これらを併せて、本発明の製造方法ということがある。)を、併せて、以下に説明する。
工程(a):酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体15〜70質量%、エチレン−α−オレフィン共重合体10〜50質量%、及びポリプロピレン17〜40質量%を含むベース樹脂(RB)100質量部に対し、有機過酸化物0.01〜0.6質量部、金属水和物20〜120質量部、臭素系難燃剤10〜60質量部、三酸化アンチモン5〜30質量部、シランカップリング剤1〜15質量部及びシラノール縮合触媒を溶融混合して混合物を得る工程
工程(b):混合物を成形して架橋性樹脂成形体を得る工程
工程(c):架橋性樹脂成形体を水と接触させて耐熱性シラン架橋樹脂成形体を得る工程
工程(a1):ベース樹脂(RB)の全部又は一部、有機過酸化物、金属水和物及びシランカップリング剤を有機過酸化物の分解温度以上の温度において溶融混合して、シランマスターバッチを調製する工程
工程(a2):ベース樹脂(RB)の残部及びシラノール縮合触媒を溶融混合して、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(a3):シランマスターバッチとシラノール縮合触媒又は触媒マスターバッチとを混合する工程。
本発明に用いられるベース樹脂(RB)は、樹脂成分として、酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、及びポリプロピレンを含む。また、ベース樹脂(RB)は、これらの樹脂成分以外の樹脂成分やオイル成分等を適宜含有していてもよい。
酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体(単に、ポリオレフィン共重合体ということがある)における酸共重合成分又は酸エステル共重合成分としては、酢酸ビニル成分、(メタ)アクリル酸成分、(メタ)アクリル酸アルキル成分等が挙げられる。すなわち、ポリオレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。この中でも、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましく、金属水和物への受容性及び耐熱性の点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体がさらに好ましい。
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体であれば、上述のエチレン−酢酸ビニル共重合体と同様に、交互共重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体のいずれであってもよい。(メタ)アクリル酸エステル成分は、特に限定されないが、炭素数1〜12のアルキル基を有するのが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基を有するのがさらに好ましい。例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル又はメタクリル酸ヘキシル等の各成分が挙げられる。
ポリオレフィン共重合体は、1種単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、好ましくは、エチレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。
α−オレフィン成分の具体例としては、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等の各成分が挙げられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、具体的には、エチレン−ブチレン共重合体(EBR)、シングルサイト触媒存在下に合成されたエチレン−α−オレフィン共重合体、直鎖型低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)又は超低密度ポリエチレン(VLDPE)等が挙げられる。
また、このエチレン−α−オレフィン共重合体には、ジエン成分を含有する共重合体、例えばエチレン−プロピレン系ゴム(例えば、エチレン−プロピレン−ジエンゴム)等を含んでもよい。
エチレン−α−オレフィン共重合体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エボリューSP0540(商品名、プライムポリマー社製)、UE320(商品名、密度0.922g/cm3、宇部丸善ポリエチレン社製)、UBEC180(商品名、密度0.924g/cm3、宇部丸善ポリエチレン社製)、ハイゼックス540E(商品名、密度0.956g/cm3、プライムポリマー社製)が挙げられる。
ポリプロピレンは、重合成分の1つがプロピレン成分である重合体等であれば特に限定されない。ポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレンともいう)のほか、ランダムポリプロピレン及びブロックポリプロピレンを包含する。ここでいう「ランダムポリプロピレン」は、一般的にはプロピレンとエチレンとの共重合体であって、エチレン成分含有量が1〜6質量%のプロピレン系共重合体でプロピレン連鎖の中にエチレン等の共重合成分がランダムに取り込まれているものをいう。また、「ブロックポリプロピレン」は、ホモポリプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体とを含む組成物であって、一般的にはエチレン成分含有量が18質量%程度以下で、プロピレン成分と共重合成分とが独立した成分として存在するものをいう。
ポリプロピレンのMFR(ASTM−D−1238)は、好ましくは0.1〜60g/10分、より好ましくは0.3〜25g/10分、さらに好ましくは0.5〜15g/10分である。この範囲内のポリプロピレンを配合することにより、電線に被覆した際、外観が良好になる。
ポリプロピレンは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ベース樹脂(RB)は、スチレン系エラストマーを含有してもよい。
スチレン系エラストマーとしては、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのブロック共重合体及びランダム共重合体、又は、それらの水素添加物等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、p−(tert−ブチル)スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。芳香族ビニル化合物は、これらの中でも、スチレンが好ましい。この芳香族ビニル化合物は、1種単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。共役ジエン化合物は、これらの中でも、ブタジエンが好ましい。この共役ジエン化合物は、1種単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
また、スチレン系エラストマーとして、スチレン成分が含有されてなく、スチレン以外の芳香族ビニル化合物を含有するエラストマーを使用してもよい。
スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素化SBS、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、水素化SIS、水素化スチレン・ブタジエンゴム(HSBR)等が挙げられる。具体的には、例えば、セプトン4077、セプトン4055、セプトン8105(いずれも商品名、クラレ社製)、ダイナロン1320P、ダイナロン4600P、6200P、8601P、9901P(いずれも商品名、JSR社製)等が挙げられる。
ベース樹脂(RB)は、可塑剤として又はゴムの鉱物油軟化剤としてのオイルを含有していてもよい。
このようなオイルとして、例えば、パラフィン系、ナフテン系、アロマ系の各オイル等が挙げられる。パラフィン系オイルはパラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものであり、ナフテン系オイルはナフテン環炭素数が30〜40%のものであり、アロマ系オイル(芳香族系オイルともいう)は芳香族炭素数が30%以上のものをいう。オイルは1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
オイルとしては、例えば、ダイアナプロセスオイルPW90、PW380(いずれも商品名、出光興産社製)、コスモニュートラル500(コスモ石油社製)等が挙げられる。
本発明に用いられる有機過酸化物は、分解によりラジカルを発生してシランカップリング剤の樹脂成分へのグラフト反応を生起させる働きを有する。有機過酸化物は、ラジカルを発生させるものであれば、特に制限はない。例えば、一般式:R1−OO−R2、R1−OO−C(=O)R3、R4C(=O)−OO(C=O)R5で表される化合物が好ましく用いられる。ここで、R1、R2、R3、R4及びR5は各々独立にアルキル基、アリール基、又はアシル基を表す。このうち、本発明においては、R1、R2、R3、R4及びR5がいずれもアルキル基であるか、いずれかがアルキル基で残りがアシル基であるものが好ましい。
本発明において、有機過酸化物の分解温度とは、単一組成の有機過酸化物を加熱したとき、ある一定の温度又は温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に分解反応を起こす温度を意味する。具体的には、DSC法等の熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/分の昇温速度で、室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開始する温度をいう。
本発明に用いられる(加水分解性)シランカップリング剤は、ラジカルの存在下で樹脂成分にグラフト反応しうる基と、金属水和物と化学結合しうる基とを有するものであればよい。シランカップリング剤は、末端に、アミノ基、グリシジル基又はエチレン性不飽和基を含有する基と、ケイ素原子に結合する加水分解しうる基とを有するものがより好ましく、さらに好ましくは、末端にエチレン性不飽和基を含有する基と、ケイ素原子に結合する加水分解しうる基とを有しているシランカップリング剤である。エチレン性不飽和基を含有する基としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキレン基、p−スチリル基等が挙げられる。加水分解しうる基は、加水分解性を有する基であればよく、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基等が挙げられる。本発明においては、これらのシランカップリング剤とその他の末端基を有するシランカップリング剤を併用してもよい。
シランカップリング剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。また、シランカップリング剤は、単独で用いられてもよく、溶剤で希釈された液として用いられてもよい。
金属水和物は、水酸基又は結晶水を有する金属化合物をいい、金属水酸化物を含む。また、金属水和物は表面処理されていても、いなくてもよい。
平均粒径は、アルコールや水で分散させて、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置等の光学式粒径測定器によって求められる。
表面処理されていない金属水和物としては、特に限定されないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミニウム、水和ケイ酸アルミニウム、アルミナ、水和ケイ酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
この金属水和物は、上述した中でも、金属水酸化物、炭酸カルシウムが好ましく、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムがさらに好ましい。
金属水和物は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
表面処理金属水和物は、表面未処理金属水和物を表面処理剤で表面処理してなる。また、表面処理金属水和物は、既に表面処理された表面処理金属水和物をさらに表面処理したものでもよい。
表面処理金属水和物又は既に表面処理された表面処理金属水和物を形成するための表面未処理金属水和物は、特に限定されないが、上述の表面未処理金属水和物が好ましく、さらに水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウムが好ましい。
表面処理剤は、特に限定されないが、脂肪酸、リン酸エステル、ポリエステル、チタネート系カップリング剤、シランカップリング剤等が挙げられる。これらの中でも脂肪酸及びシランカップリング剤が好ましい。脂肪酸としては、特に限定されないが、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリル酸等が好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されないが、アミノ基を末端に有するシランカップリング剤、ビニル基やメタクロイル基等の二重結合を末端に有するシランカップリング剤、エポキシ基を末端に有するシランカップリング剤が好ましい。このようなシランカップリング剤として、例えば、上述のシランカップリング剤が挙げられる。
表面処理金属水和物は、上述の表面処理剤の1種で表面処理されたものでも、また2種以上で表面処理されたものでもよい。
シランカップリング剤で表面処理してなる表面処理金属水和物としては、例えば、シランカップリング剤表面処理水酸化マグネシウム及びシランカップリング剤表面処理水酸化アルミニウム等が挙げられる。シランカップリング剤表面処理水酸化マグネシウムとして、キスマ5L、キスマ5P(いずれも商品名、協和化学社製)、マグシーズS6、マグシーズS4(いずれも商品名、神島化学工業社製)等が挙げられ、シランカップリング剤表面処理水酸化アルミニウムの市販品として、ハイジライトH42−ST−V、ハイジライトH42−ST−E(いずれも商品名、昭和電工社製)等が挙げられる。
本発明においては、臭素系難燃剤を用いる。臭素系難燃剤を用いると、金属水和物の使用量を低減しても、電子線架橋による成形体と同等以上の優れた難燃性を発揮する。
これらの中でも、安全性の点で、臭素化ビスフェノール(特にテトラブロモビスフェノールA)、臭素化ポリスチレン、下記構造式1で表される臭素化エチレンビスフタルイミド及び下記構造式2で表される1,2−ビス(ブロモフェニル)エタン誘導体が好ましく、下記構造式1で表される臭素化エチレンビスフタルイミド、下記構造式2で表される1,2−ビス(ブロモフェニル)エタン誘導体がさらに好ましい。
構造式2において、nはそれぞれ独立に1〜5の整数であり、好ましくは3〜5の整数である。
三酸化アンチモンは難燃助剤としての作用を有する。三酸化アンチモンを用いると耐熱性シラン架橋樹脂成形体の難燃性をさらに向上させることができる。
本発明で用いる三酸化アンチモンは、平均粒径が0.1〜20μmであるのが好ましく、0.2〜10μmであるのがより好ましく、0.5〜5μmであるのがさらに好ましく、0.8〜2μmであるのが特に好ましい。
例えば、三酸化アンチモンとして、PATOX−M、PATOX−K(いずれも商品名、日本精鉱社製)、AT3、AT−3CN(いずれも商品名、鈴裕化学社製)、三酸化アンチモン(豊田通商社製)等が挙げられる。
シラノール縮合触媒は、シランカップリング剤を水分の存在下で縮合反応させる働きがある。このシラノール縮合触媒の働きに基づき、シランカップリング剤同士が架橋する。
本発明に用いられるシラノール縮合触媒は、樹脂に混合されてもよい。このような樹脂(キャリヤ樹脂ともいう)としては、特に限定されないが、ベース樹脂(RB)の一部を用いることができる。また、このベース樹脂(RB)とは別の樹脂を用いることもできる。
耐熱性シラン架橋樹脂成形体、架橋性樹脂成形体、又は耐熱性シラン架橋性樹脂組成物は、酸化防止剤(老化防止剤ともいう)を含有することが好ましい。
酸化防止剤としては、特に限定されず、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、イミダゾール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が挙げられる。なかでも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、イミダゾール系酸化防止剤が好ましい。特に、少なくとも1種のヒンダードフェノール系酸化防止剤と少なくとも1種のイミダゾール系酸化防止剤とを併用することが、長期耐熱性の観点から好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンが挙げられる。
また、イミダゾール系酸化防止剤としては、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール及びその亜鉛塩、2−メチルメルカプトベンズイミダゾール及びその亜鉛塩が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ビス(2−メチル−4−(3−normal−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル)スルフィド、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル−チオプロピオネート)等が挙げられる。
酸化防止剤は、1種単独で使用されてもよく、又は2種以上が併用されてもよい。
本発明において、電線、電気ケーブル、電気コード、シート、発泡体、チューブ、パイプ等に一般的に使用される各種の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で、適宜用いてもよい。このような添加剤としては、例えば、架橋助剤、滑剤、充填剤、他の樹脂等が挙げられる。
この耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法は、上記の通り、工程(a)と工程(b)と工程(c)とを有している。
ポリプロピレンの含有率は、ベース樹脂(RB)全体に対して、20質量%を超え、40質量%以下であることが好ましい。
オイル成分の含有率は、ベース樹脂(RB)全体に対して、20質量%以下であるのが好ましい。
すなわち、有機過酸化物の配合量が0.01質量部未満では、工程(a1)においてグラフト反応が進行せず、また遊離したシランカップリング剤同士が結合してしまい、耐熱性、機械強度及び耐加熱変形性(補強性ともいう)を十分に得ることができないことがある。一方、0.6質量部を超えると、副反応によって樹脂成分同士の多くが直接的に架橋してしまい、押出し性が低下するうえ、ブツが生じるおそれがある。
工程(a)においてヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いる場合、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量は、上記酸化防止剤(合計量)の範囲内で設定される。ベース樹脂(RB)100質量部に対して、好ましくは0.5〜10質量部であり、さらに好ましくは1〜5質量部である。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量が上記範囲内にあると、耐熱性シラン架橋樹脂成形体の長期耐熱性が向上する。
工程(a)においてイミダゾール系酸化防止剤を用いる場合、イミダゾール系酸化防止剤の配合量は、上記酸化防止剤(合計量)の範囲内で設定される。ベース樹脂(RB)100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部であり、さらに好ましくは2〜15質量部である。イミダゾール系酸化防止剤の配合量が上記範囲内にあると、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤と併用すると、耐熱性シラン架橋樹脂成形体の長期耐熱性が向上する。
工程(a1):ベース樹脂(RB)の一部又は全部と、有機過酸化物と、金属水和物と、シランカップリング剤とを有機過酸化物の分解温度以上で溶融混合して、シランマスターバッチを調製する工程
工程(a2):キャリヤ樹脂としてのベース樹脂(RB)の残部とシラノール縮合触媒とを溶融混合して、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(a3):シランマスターバッチとシラノール縮合触媒又は触媒マスターバッチとを混合する工程
また、工程(a)において、臭素系難燃剤は、工程(a1)及び工程(a2)の少なくとも一方において混合される。臭素系難燃剤がより均一に混合され、高い難燃性を発揮する点で、少なくとも工程(a1)において混合されるのが好ましく、工程(a1)及び工程(a2)の両工程において混合されてもよい。
さらに、工程(a)において、三酸化アンチモンは、工程(a1)及び工程(a2)のいずれか一方において混合されればよい。
工程(a)において、酸化防止剤は、工程(a1)及び工程(a2)の少なくとも一方において混合される。酸化防止剤は、シランカップリング剤のベース樹脂(RB)へのグラフトを阻害しないように、工程(a2)、例えば触媒マスターバッチのキャリヤ樹脂に混合されることが好ましい。
工程(a)において、スチレン系エラストマーを混合する場合、工程(a1)及び工程(a2)の少なくとも一方の工程で混合する。好ましくは、工程(a1)で混合する。
また、ベース樹脂(RB)の混合方法も特に限定されない。例えば、予め混合調製されたベース樹脂(RB)を用いてもよく、各成分、例えば樹脂成分及びオイルそれぞれを別々に用いてもよい。
好ましくは、シランカップリング剤は、金属水和物と前混合等して導入される。これにより、シランカップリング剤が混練中に揮発しにくくなり、また、金属水和物に吸着しないシランカップリング剤が縮合して溶融混練が困難になることも防止できる。また、押出成形の際に所望の形状を得ることもできる。
さらに好ましい混合方法の1つとしては、バンバリーミキサーやニーダー等のミキサー型混練機を用い、有機過酸化物の分解温度未満の温度で有機過酸化物と金属水和物とシランカップリング剤とを混合又は分散させた後に、この混合物とベース樹脂(RB)と、必要により臭素系難燃剤及び三酸化アンチモンの一部又は全部とを有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合させる方法が挙げられる。このようにすると、樹脂成分同士の過剰な架橋反応を防止することができ、外観が優れる。
湿式処理としては、例えば、アルコールや水等の溶媒に金属水和物を分散させた状態でシランカップリング剤を加える処理が挙げられる。また、乾式処理としては、例えば、加熱又は非加熱で両者を加え混合する処理が挙げられる。本発明においては、金属水和物、好ましくは乾燥させた金属水和物中にシランカップリング剤を、加熱又は非加熱で加え混合する乾式処理が好ましい。
上述の湿式混合では、シランカップリング剤が金属水和物と強く化学結合しやすくなるため、その後のシラノール縮合反応が進みにくくなることがある。一方、乾式混合は、金属水和物とシランカップリング剤の結合が比較的弱いため、効率的にシラノール縮合反応が進みやすくなる。
本発明において、生産条件によっては、シランカップリング剤のみを先に金属水和物に混合し、次いで有機過酸化物を加えてもよい。すなわち、工程(a1)において金属水和物はシランカップリング剤と予め混合したものを用いることができる。有機過酸化物を加える方法としては、他の成分に分散させて加えてもよいし、単体で加えてもよい。
このシランMBは、シランカップリング剤がベース樹脂(RB)にグラフト反応したシラン架橋性樹脂を含有している。
シラノール縮合触媒の配合量が、上記の範囲内であれば、シランカップリング剤の縮合反応による架橋が適度に進行し、耐熱性シラン架橋樹脂成形体の耐熱性が十分に向上する。また、生産性が高くなる。さらに、シランカップリング剤の縮合反応を均一にすることができる。加えて、シラノール縮合反応の進行速度が適当となり、部分的なゲル化の発生を防止して、耐熱性シラン架橋樹脂成形体の外観を向上させ、又は物性を維持できる。
また、キャリヤ樹脂の配合量が多すぎると、耐熱性シラン架橋樹脂成形体の架橋度が低下してしまい、適正な耐熱性が得られなくなるおそれがある。
ベース樹脂(RB)とキャリヤ樹脂との合計量が各成分の配合量の基準になる。
触媒MBが臭素系難燃剤を含む場合には、臭素系難燃剤の配合量は、工程(a1)でのシランMB中の臭素系難燃剤の配合量に応じて適宜に設定される。例えば、ベース樹脂(RB)100質量部に対して配合される10〜60質量部の内の、3〜30質量部であるのが好ましい。
触媒MBが三酸化アンチモンを含む場合には、三酸化アンチモンの配合量は、工程(a1)でのシランMB中の三酸化アンチモンの配合量に応じて適宜に設定される。例えば、ベース樹脂(RB)100質量部に対して配合される5〜30質量部の内の、3〜20質量部であるのが好ましい。
触媒MBが酸化防止剤を含む場合には、酸化防止剤の配合量は、工程(a1)でのシランMB中の酸化防止剤の配合量に応じて適宜に設定される。例えば、ベース樹脂(RB)100質量部に対して配合される2〜20質量部の内の、2〜20質量部であるのが好ましい。
触媒MBが金属水和物を含む場合には、金属水和物の配合量は、特に限定されないが、キャリヤ樹脂100質量部に対して300質量部以下が好ましい。あまり金属水和物が多いとシラノール縮合触媒が分散しにくく、架橋が進行しにくくなるためである。
したがって、シランMBと、シラノール縮合触媒又は触媒MBとは、耐熱性シラン架橋性樹脂組成物の製造用バッチセットとして、用いられる。
工程(a3)において、工程(a2)を行う場合は工程(a2)で調製した触媒MBを用い、工程(a2)を行わない場合はシラノール縮合触媒を用いる。
工程(a1)においてベース樹脂(RB)の全部を使用する場合、キャリヤ樹脂としてベース樹脂(RB)以外の他の樹脂を用いることができる。この場合、キャリヤ樹脂の配合量は、ベース樹脂(RB)100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは2〜50質量部、さらに好ましくは2〜40質量部である。上記範囲内であれば、工程(a2)においてシラン架橋を促進させることができるうえ、成形中にブツが生じにくくなる。他の樹脂とシラノール縮合触媒とは溶融混合するのが好ましい。
本発明において、工程(a2)と工程(a3)は、連続して又は一挙に(同一工程で)行うこともできる。
本発明の製造方法において、予め、シランMBと触媒MB等とを乾式混合(ドライブレンド)することもできる。
また、上記の加工性と、成形状態の保持特性とは、樹脂成分、特にポリプロピレンが一部架橋(部分架橋)することによって、さらに補強されると考えられる。
得られる耐熱性シラン架橋性樹脂組成物において、シランカップリング剤が有する加水分解しうる基は、加水分解も架橋もしていない、又は一部が加水分解して架橋している。一部が加水分解して架橋している場合であっても、耐熱性シラン架橋性樹脂組成物は、後述する工程(b)において成形しうる加工性を有している。
架橋を加速させるために、水分と接触させる際に、温水への浸水、湿熱槽への投入、高温の水蒸気への暴露等の方法を採用してもよい。また、その際に水分を内部に浸透させるために圧力をかけてもよい。
すなわち、ベース樹脂(RB)は、有機過酸化物成分の存在下、シランカップリング剤及び金属水和物とともに、有機過酸化物の分解温度以上で加熱混練されると、有機過酸化物の分解により発生したラジカルによって、シランカップリング剤でグラフト化される。これにより、ベース樹脂(RB)同士が結合(架橋)し、またベース樹脂(RB)と金属水和物とが結合する。
すなわち、金属水和物と強い結合を有するシランカップリング剤は、金属水和物との結合が保持されたまま、上記グラフト反応しうる基が樹脂成分の架橋部位とグラフト反応する。特に、1つの金属水和物粒子の表面に複数のシランカップリング剤が強い結合を介して存在した場合、この金属水和物粒子を介して樹脂成分が複数結合する。これにより、この金属水和物での架橋ネットワークが広がる。このようにして、金属水和物に結合しているシランカップリング剤が樹脂成分にグラフト反応してなるシラン架橋性樹脂が形成される。このシラン架橋性樹脂は金属水和物と樹脂との強い結合のため、優れた機械的強度、耐寒性及び難燃性に寄与する。
上記の金属水和物と強い結合を有するシランカップリング剤の場合は、このシラノール縮合触媒による水存在下での縮合反応で、金属水和物の表面の水酸基と共有結合により化学結合したシランカップリング剤同士も縮合反応すると、さらに架橋のネットワークが広がる。
また、シランカップリング剤が金属水和物に結合した状態で混練されるため、シランカップリング剤は金属水和物と共に樹脂組成物中に均一に分散する。これにより架橋反応も均一に進行し、局所的な架橋が原因で発生するブツなどが抑制され、優れた外観の成形体が得られる。
絶縁体、シース等は、それらの形状に、押出被覆装置内で溶融混練しながら被覆する等により成形することができる。このような絶縁体、シース等の成形体は、耐熱性シラン架橋性樹脂組成物を電子線架橋機等の特殊な機械を使用することなく汎用の押出被覆装置を用いて、導体の周囲に、又は抗張力繊維を縦添えもしくは撚り合わせた導体の周囲に押出被覆することにより、成形することができる。例えば、導体としては軟銅の単線又は撚線等の任意のものを用いることができる。また、導体としては裸線の他に、錫メッキしたものやエナメル被覆絶縁層を有するものを用いてもよい。導体の周りに形成される絶縁層(本発明の耐熱性シラン架橋樹脂成形体からなる被覆層)の肉厚は特に限定しないが通常0.15〜8mm程度である。
なお、表1〜表4において、各実施例及び比較例における配合組成の数値は、特に断らない限り、質量部を表し、空白は該当する成分が無含有であることを表す。
<ベース樹脂(RB)及びキャリヤ樹脂>
(ポリオレフィン共重合体)
EVA1:「エバフレックス」V5274(商品名)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量17質量%、三井・デュポンケミカル社製
EVA2:「エバフレックス」EV170(商品名)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量33質量%、三井・デュポンケミカル社製
EEA:NUC−6510(商品名)、エチレンエチルアクリレートコポリマー、EA含有量23%、NUC社製
(エチレン−α−オレフィン共重合体)
LLDPE:「エボリューSP0540」(商品名)、プライムポリマー社製
(ポリプロピレン)
PP:「PB270A」(商品名)、サンアロマー社製
(スチレン系エラストマー)
SEPS:「セプトン4077」(商品名、スチレン含有量30質量%、クラレ社製)
(オイル)
PW90:「ダイアナプロセスオイルPW90」(商品名)、出光興産社製
水酸化マグネシウム:「キスマ5L」(商品名)、シランカップリング剤処理水酸化マグネシウム(処理量1質量%)、協和化学工業製
<三酸化アンチモン>
三酸化アンチモン:豊田通商社製
<シランカップリング剤>
「KBM−1003」(商品名)、ビニルトリメトキシシラン、信越シリコーン社製
<有機過酸化物>
「パークミルD」(商品名)、ジクミルパーオキサイド(DCP)、分解温度151℃、日本油脂社製
<シラノール縮合触媒>
「アデカスタブOT−1」(商品名)、ジオクチルスズジラウリレート、ADEKA製
<臭素系難燃剤>
「サイテックス8010」(商品名)、1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、アルベマール社製
(酸化防止剤)
ヒンダードフェノール系酸化防止剤:「イルガノックス1010」(商品名)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、BASF社製
イミダゾール系酸化防止剤:「ノクラックMBZ」(商品名)、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、大内新興化学工業社製
まず、表1の「シランMB組成」欄に示す、水酸化マグネシウム、シランカップリング剤及び有機過酸化物を、表1に示す配合量で、東洋精機製10Lヘンシェルミキサーに投入して室温で10分混合し、粉体混合物を得た。
次に、この粉体混合物と、表1の「シランMB組成」欄に示す、ポリオレフィン共重合体(EVA2)、エチレン−α−オレフィン共重合体(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、及び臭素系難燃剤を日本ロール製2Lバンバリーミキサー内に投入し、そのミキサーで約12分混練り後、材料排出温度180〜190℃で排出し、シランMBを得た(工程(a1))。排出前に、有機過酸化物の分解温度以上の温度、具体的には180〜190℃で5分間混練した。
得られた電線前駆体の被覆は、いずれも、架橋性樹脂成形体であり、2種の架橋方法の異なるシラン架橋性樹脂を含有している。
この電線前駆体を温度60℃湿度95%の雰囲気に48時間放置した(工程(c))。
このようにして耐熱性シラン架橋樹脂成形体からなる被覆(絶縁層)を有する絶縁電線(外径2.63mm)を製造した。
表1〜表4に示す配合で実施例1と同様にシランMBと触媒MBをそれぞれ作製した(工程(a1)及び工程(a2))。得られたシランMB全量と得られた触媒MB全量とを用いたこと以外は実施例1と同様にして、溶融混合物を錫めっき軟銅撚線の外側に肉厚0.84mmで被覆し、外径2.63mmの電線前駆体を得た(工程(a3)及び工程(b))。この電線前駆体を温度60℃湿度95%の雰囲気に48時間放置して(工程(c))、耐熱性シラン架橋樹脂成形体からなる被覆(絶縁層)を有する絶縁電線をそれぞれ製造した。
比較例14は、有機過酸化物の配合量が多く、シランMBと触媒MBとの溶融物を押し出すことができず、電線を製造できなかった。
また、実施例6、7、比較例4、7、9、12では、臭素系難燃剤を工程(a1)及び工程(a2)の両工程で溶融混練した。実施例10、15、比較例8では臭素系難燃剤を工程(a2)で溶融混練した。これら以外の実施例及び比較例では、臭素系難燃剤を工程(a1)で溶融混練した。
実施例20は、電線前駆体を半製品として製造し、工程(c)を積極的に行わず、電線前駆体を保管しながら架橋して、絶縁電線を製造した例である。
イミダゾール系酸化防止剤(ノクラックMBZ)を含まない以外は実施例1と同一組成の電線前駆体を実施例1と同様にして得た後、その電線前駆体を温度23℃湿度50%の雰囲気に7日間放置した。このようにして絶縁電線を製造した。
絶縁電線の外観試験を行った。押出外観は絶縁電線につき、表面平滑性とブツの有無について評価した。
表面平滑性は、30mの電線表面の凹凸を目視及び手触りにて、評価した。具体的には、手触りにて電線表面が滑らかだった場合を「A」、手触りにて電線表面に若干粗さを感じたが目視では良好であった場合を「B」、目視で悪かった(粗さを確認できた)場合を「C」とした。「A」及び「B」を製品レベルとして合格とした。
ブツの有無についても、30mの電線を目視及び手触りにて評価した。具体的には、目視及び手触りにてブツを確認できなかった場合を「A」、目視ではブツを確認できないが手触りにてブツ(ツブ状物)を確認できた場合を「B」、目視でブツを確認できた場合を「C」とした。「A」及び「B」を製品レベルとして合格とした。
絶縁電線の機械特性として引張試験を行った。この絶縁電線の引張試験は、絶縁電線から導体を抜き取った電線管状片を用いて、UL1581に基づき、標線間25mm、引張速度500mm/分で行い、引張強さ(MPa)及び破断時伸び(%)を測定した。引張強さは13.8MPa以上、破断時伸びは300%以上を製品レベルとして合格とした。
1.熱老化試験
長期耐熱性として熱老化試験を行った。すなわち、製造した絶縁電線それぞれを158℃に7日間加熱した。この加熱後の絶縁電線から導体を抜き取った電線管状片を用いて、上記「機械特性」と同様にして、引張試験を行い、引張強さ及び破断時伸びを測定した。測定された引張強さ及び破断時伸びそれぞれにつき、加熱前の絶縁電線の機械特性に対する割合(引張強さ残率及び破断時伸び残率)を、求めた。
引張強さ残率及び破断時伸び残率が共に80%以上であった場合を「A」(製品レベルとして合格)とし、一方でも80%未満であった場合を「B」(製品レベルとして不合格)とした。
長期耐熱性として40,000時間寿命推定温度で評価した。すなわち、製造した絶縁電線それぞれを、158℃、180℃又は200℃の温度に加熱して、加熱後の引張強さ及び破断時伸びを、上記「機械特性」と同様にして、測定した。各温度において、加熱後の引張強さが3.92MPaとなった加熱時間、及び、破断時伸びが50%となった加熱時間を各々求めた。求めた加熱時間と加熱温度とから引張強さ及び破断時伸びについて各々アレニウスプロットを作成した。これらプロットから求めた40,000時間寿命推定温度のうち低い方が125℃以上であった場合を「A」(合格)とし、125℃未満であった場合を「B」(不合格)とした。
ここで、「40,000時間寿命」とは、40,000時間加熱された後、絶縁電線の引張強さが3.92MPaとなる、又は破断時伸びが50%となることをいう。
この40,000時間寿命推定温度評価は、参考までに行ったものであり、必ずしも合格しなくてもよい。
1.押出直後の耐加熱変形性
上記各実施例及び比較例において、工程(b)で得られた電線前駆体それぞれを用いて、「押出直後の耐加熱変形性」を評価した。具体的には、電線前駆体の耐加熱変形性を、UL1581に基づいて、測定温度121℃、荷重5Nの条件で、測定した。
2.絶縁電線の耐加熱変形性
上記各実施例及び比較例で製造した絶縁電線それぞれを用いて、「絶縁電線の耐加熱変形性」を「押出直後の耐加熱変形性」と同様の方法にて評価した。
3.評価
「押出直後の耐加熱変形性」及び「絶縁電線の耐加熱変形性」の測定値(%)を表1〜表4に示した。評価は、測定値が、いずれも50%以下であった場合を「A」とし、少なくとも一方が50%を超える場合を「B」とした。
本発明においては、評価結果が「A」であった場合を製品レベルとして「合格」とし、「B」であった場合を製品レベルとして「不合格」とする。
難燃性試験として、各絶縁電線について準備した5検体(N=5)それぞれについて、UL1581 VW−1試験(垂直燃焼試験)を行った。本発明においては、5検体すべてが合格した場合のみを製品レベルとして「合格」とし、「A」で表記した。5検体のいずれかが不合格の場合を「B」で表記した。
耐寒性試験として低温巻付け試験をJIS C 3005に準じて行った。
試験温度は−15℃及び−45℃とし、製造した絶縁電線それぞれを各試験温度で4時間放置した。次いで、絶縁電線を自己径と同じ外径(2.63mm)のマンドレルに6ターン以上巻付けて、絶縁電線にクラックが発生したか否かを目視にて確認した。絶縁電線を試験温度−45℃に放置してもクラックが発生しなかった場合を「A」、絶縁電線を試験温度−45℃に放置した場合にクラックが発生したものの、試験温度−15℃に放置した場合にクラックが発生しなかったものを「B」、絶縁電線を試験温度−15℃に放置した場合にクラックが発生したものを「C」とした。「A」及び「B」を製品レベルとして合格とした。
絶縁電線の耐熱性試験としてはんだ耐熱性試験を行った。具体的には、絶縁電線の外周にアルミ箔を1層に巻付け、そのうちの長さ3cmの部分を350℃に設定したはんだバスに浸漬し、3秒間そのまま保持した。その後、絶縁電線をはんだバスから引き挙げて、アルミ箔を除いた。絶縁電線の被覆層の溶融の有無及び被覆層内部の発泡の有無を確認した。その結果、被覆層の溶融や発泡等の異常がなければ合格とし、「A」で表記し、被覆層の溶融又は発泡等の異常があった場合を不合格として「B」で表記した。
すなわち、実施例1〜20で製造した絶縁電線は、いずれも、外観、機械特性、長期耐熱性(熱老化試験)、耐加熱変形性、難燃性、耐寒性及びはんだ耐熱性のいずれも合格レベルに到達していた。この点は、工程(c)を積極的に行わない実施例20でも同様であった。また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とイミダゾール系酸化防止剤とを併用した実施例1〜3、5、7、10、14、18及び19は40,000時間寿命温度が高く長期耐熱性がさらに優れていた。
具体的には、ポリオレフィン共重合体の配合量が少ない比較例1は長期耐熱性に劣っていた。また、ポリオレフィン共重合体の配合量が多い比較例2は表面平滑性と破断時伸びに劣っていた。これは押出速度が速いことによるものと考えられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体の配合量が少ない比較例3は破断時伸びに劣っていた。また、エチレン−α−オレフィン共重合体の配合量が多い比較例4は長期耐熱性に劣っていた。
ポリプロピレンの配合量が少ない比較例5は押出直後の耐加熱変形性が本発明の合格レベルに到達しなかった。またポリプロピレンの配合量が多い比較例6は破断時伸び、長期耐熱性及び耐寒性に劣っていた。
金属水和物の配合量が少ない比較例7は引張強さ、長期耐熱性、耐加熱変形性、はんだ耐熱性に劣っていた。金属水和物の配合量が多い比較例8は破断時伸び及び長期耐熱性に劣っていた。
三酸化アンチモンの配合量が少ない比較例9は難燃性に劣っていた。三酸化アンチモンの配合量が多い比較例10は破断時伸び及び長期耐熱性に劣っていた。
臭素系難燃剤の配合量が少ない比較例11は難燃性に劣っていた。臭素系難燃剤の配合量が多い比較例12は引張強さ、破断時伸び及び長期耐熱性に劣っていた。
シランカップリング剤の配合量が多い比較例13は、ブツが形成され外観が悪く、破断時伸び及び長期耐熱性に劣っていた。
Claims (12)
- 下記工程(a)、工程(b)及び工程(c)
工程(a):酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体15〜70質量%、エチレン−α−オレフィン共重合体10〜50質量%及びポリプロピレン17〜40質量%を含むベース樹脂(RB)100質量部に対し、有機過酸化物0.01〜0.6質量部、金属水和物20〜120質量部、臭素系難燃剤10〜60質量部、三酸化アンチモン5〜30質量部、シランカップリング剤1〜15質量部及びシラノール縮合触媒を溶融混合して混合物を得る工程
工程(b):前記混合物を成形して架橋性樹脂成形体を得る工程
工程(c):前記架橋性樹脂成形体を水と接触させて耐熱性シラン架橋樹脂成形体を得る工程
を有する耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法であって、
前記工程(a)が、少なくとも下記工程(a1)及び工程(a3)を有し、下記工程(a1)でベース樹脂(RB)の一部を溶融混合する場合には少なくとも下記工程(a1)、工程(a2)及び工程(a3)を有し、
工程(a1):前記ベース樹脂(RB)の全部又は一部、前記有機過酸化物、前記金属水和物及び前記シランカップリング剤を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度において溶融混合して、シランマスターバッチを調製する工程
工程(a2):前記ベース樹脂(RB)の残部及び前記シラノール縮合触媒を溶融混合して、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(a3):前記シランマスターバッチと前記シラノール縮合触媒又は前記触媒マスターバッチとを混合する工程
前記臭素系難燃剤及び前記三酸化アンチモンが、それぞれ、前記工程(a1)及び前記工程(a2)の少なくとも一方において混合される、
耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。 - ヒンダードフェノール系酸化防止剤及びイミダゾール系酸化防止剤を、それぞれ、前記工程(a1)及び前記工程(a2)の少なくとも一方において混合する請求項1に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記ベース樹脂(RB)が、スチレン系エラストマーを含有する請求項1又は2に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 下記工程(a)及び工程(b):
工程(a):酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体15〜70質量%、エチレン−α−オレフィン共重合体10〜50質量%及びポリプロピレン17〜40質量%を含むベース樹脂(RB)100質量部に対し、有機過酸化物0.01〜0.6質量部、金属水和物20〜120質量部、臭素系難燃剤10〜60質量部、三酸化アンチモン5〜30質量部、シランカップリング剤1〜15質量部及びシラノール縮合触媒を溶融混合して混合物を得る工程
工程(b):前記混合物を成形して架橋性樹脂成形体を得る工程
を有する架橋性樹脂成形体の製造方法であって、
前記工程(a)が、少なくとも下記工程(a1)及び工程(a3)を有し、下記工程(a1)でベース樹脂(RB)の一部を溶融混合する場合には少なくとも下記工程(a1)、工程(a2)及び工程(a3)を有し、
工程(a1):前記ベース樹脂(RB)の全部又は一部、前記有機過酸化物、前記金属水和物及び前記シランカップリング剤を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度において溶融混合して、シランマスターバッチを調製する工程
工程(a2):前記ベース樹脂(RB)の残部及び前記シラノール縮合触媒を溶融混合して、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(a3):前記シランマスターバッチと前記シラノール縮合触媒又は前記触媒マスターバッチとを混合する工程
前記臭素系難燃剤及び前記三酸化アンチモンが、それぞれ、前記工程(a1)及び前記工程(a2)の少なくとも一方において混合される、
架橋性樹脂成形体の製造方法。 - 下記工程(a):
工程(a):酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体15〜70質量%、エチレン−α−オレフィン共重合体10〜50質量%及びポリプロピレン17〜40質量%を含むベース樹脂(RB)100質量部に対し、有機過酸化物0.01〜0.6質量部、金属水和物20〜120質量部、臭素系難燃剤10〜60質量部、三酸化アンチモン5〜30質量部、シランカップリング剤1〜15質量部及びシラノール縮合触媒を溶融混合して混合物を得る工程
を有する耐熱性シラン架橋性樹脂組成物の製造方法であって、
前記工程(a)が、少なくとも下記工程(a1)及び工程(a3)を有し、下記工程(a1)でベース樹脂(RB)の一部を溶融混合する場合には少なくとも下記工程(a1)、工程(a2)及び工程(a3)を有し、
工程(a1):前記ベース樹脂(RB)の全部又は一部、前記有機過酸化物、前記金属水和物及び前記シランカップリング剤を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度において溶融混合して、シランマスターバッチを調製する工程
工程(a2):前記ベース樹脂(RB)の残部及び前記シラノール縮合触媒を溶融混合して、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(a3):前記シランマスターバッチと前記シラノール縮合触媒又は前記触媒マスターバッチとを混合する工程
前記臭素系難燃剤及び前記三酸化アンチモンが、それぞれ、前記工程(a1)及び前記工程(a2)の少なくとも一方において混合される、
耐熱性シラン架橋性樹脂組成物の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法により製造されてなる耐熱性シラン架橋樹脂成形体。
- 請求項4に記載の架橋性樹脂成形体の製造方法により製造されてなる架橋性樹脂成形体。
- 請求項5に記載の耐熱性シラン架橋性樹脂組成物の製造方法により製造されてなる耐熱性シラン架橋性樹脂組成物。
- 請求項6に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体を含む耐熱性製品。
- 前記耐熱性シラン架橋樹脂成形体が、電線又は光ファイバケーブルの被覆として設けられている請求項9に記載の耐熱性製品。
- 酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体15〜70質量%、エチレン−α−オレフィン共重合体10〜50質量%及びポリプロピレン17〜40質量%を含むベース樹脂(RB)100質量部に対し、有機過酸化物0.01〜0.6質量部、金属水和物20〜120質量部、臭素系難燃剤10〜60質量部、三酸化アンチモン5〜30質量部、シランカップリング剤1〜15質量部及びシラノール縮合触媒を溶融混合してなる耐熱性シラン架橋性樹脂組成物の製造に用いられるシランマスターバッチであって、
前記ベース樹脂(RB)の全部又は一部、前記有機過酸化物、前記金属水和物及び前記シランカップリング剤を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度において溶融混合してなるシランマスターバッチ。 - 前記臭素系難燃剤及び前記三酸化アンチモンの少なくとも一方を含有する請求項11に記載のシランマスターバッチ。
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