JP2015035888A - 回転電機用ロータとその製造方法 - Google Patents

回転電機用ロータとその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ロータコアにおける各磁石の取付け姿勢をバラツキなく均一にするに好適な回転電機用ロータとその製造方法を提供する。【解決手段】発泡剤を含む発泡層31Aを備える発泡シート31を、磁石30の表面に貼付ける貼付け工程S1と、発泡シート31を貼付けた磁石30を、ロータコア21に複数形成された軸方向に貫通する磁石収容孔22に、収容する磁石挿入工程S2と、ロータコア21を加熱することにより発泡シート31を加熱し、発泡シート31の発泡層31Aを膨張させて、磁石30を磁石収容孔22の壁面に押付ける加熱工程S3と、磁石収容孔22に溶融した樹脂40を注入して磁石30を樹脂40でモールドする固定工程S4と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、回転電機に使用する永久磁石付きの回転電機用ロータとその製造方法に関し、特に、磁石を収容したロータコアの磁石収容孔に樹脂を注入し、磁石を樹脂で固定するに好適な回転電機用ロータとその製造方法に関するものである。
従来からロータコアの磁石を収容した磁石収容孔に樹脂を注入し、磁石を樹脂で固定する回転電機のロータの製造方法が提案されている(特許文献1参照)。これは、ロータコアの下面を下型に配置し、ロータコアに形成された各磁石収容孔に、ロータコアの上面と磁石の上面との間に所定の隙間を確保した状態で磁石を収容し、ロータコアの上面に上型を配置して、上型および下型によりロータコアを加圧する。次いで、上型に設けられた各シリンダから複数の磁石収容孔に対して、前記所定の隙間を介して溶融樹脂を内径側から加圧注入することにより、磁石を磁石収容孔の内径側に押圧しながら磁石を樹脂でモールドするようにしている。
特開2007−215301号公報
しかしながら、上記従来例では、各磁石収容孔への樹脂の流入圧力により磁石を磁石収容孔の内径側へ押圧するものであるが、この押圧力によっても磁石が磁石収容孔内で傾いた取付け姿勢で固定される場合があった。また、上記従来例では、全ての磁石収容孔内の磁石の取付け姿勢を、ばらつきなく均一とすることを補償できるものでもない。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、ロータコアにおける各磁石の取付け姿勢をバラツキなく均一にするに好適な回転電機用ロータとその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、発泡剤を含む発泡層を備える発泡シートを、磁石の表面に貼付ける貼付け工程と、発泡シートを貼付けた磁石を、ロータコアに複数形成された軸方向に貫通する磁石収容孔に、収容する磁石挿入工程と、を備える。次いで、ロータコアを加熱することにより発泡シートを加熱し、発泡シートの発泡層を膨張させて、磁石を磁石収容孔の壁面に押付ける加熱工程と、そして、磁石収容孔に溶融樹脂を注入して磁石を樹脂でモールドする固定工程と、を備える。
したがって、本発明では、発泡シートの膨張力によって、各磁石収容孔内の磁石は、同じ方向に押圧されて固定されるため、樹脂の注入前において、磁石位置のばらつきを低減できる。このため、固定工程により磁石収容孔に溶融樹脂を注入して磁石を樹脂でモールドすると、全ての磁石収容孔内の磁石の取付け姿勢を、ばらつきなく均一とすることを補償することができる。
本発明の一実施形態を示す永久磁石付ロータを備える回転電機の主要部の構成を示す概略断面図(A)及びI−I断面図(B)である。 同じくロータの断面図である。 本実施形態におけるロータの製造方法を示す工程図である。 発泡シートの構成を示す断面図である。 発泡シートの貼付け状態の第1実施例を示す磁石の斜視図である。 磁石挿入工程を示す説明図である。 加熱工程後の磁石収容孔内の磁石の取付姿勢を示す説明図である。 発泡シートの貼付け状態の第2実施例を示す磁石の斜視図である。 発泡シートの貼付け状態の第3実施例を示す磁石の斜視図である。 発泡シートの貼付け状態の第4実施例を示す磁石の斜視図である。
以下、本発明の回転電機用ロータとその製造方法を実施形態に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における永久磁石付ロータを備える電動機(モータ)や発電機(ジェネレータ)等の回転電機の主要部の構成を示す概略断面図(A)及びI−I断面図(B)である。この永久磁石付ロータを備える回転電機は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車両に搭載されて車両の駆動源として用いられる。ただし、永久磁石付ロータを備える回転電機の適用先が自動車に限定されるものではない。
永久磁石付ロータを備える回転電機は、図示しないケーシングの一部を構成する円環形のステータ10と、このステータ10と同軸的に配置された円柱形のロータ20とを備える。
ステータ10は、ステータコア11と、複数のコイル12とを備える。複数のコイル12は、ステータコア11に軸心Oを中心とした同一円周上に等角度間隔で形成されるスロット13に収設される。
ロータ20は、ロータコア21と、ロータコア21と一体的に回転する回転軸23とを備える。ロータコア21には、軸心Oを中心とした同一円周上に等角度間隔で磁石収容孔22が形成されており、各磁石収容孔22内に永久磁石30が収容され、樹脂40により固定されている。ロータコア21は、円環状に形成された強磁性体からなる積層鋼板を、回転軸23の軸方向に沿って複数積み重ねた円柱形状に構成されている。永久磁石30は、電気良導体の材料を用いて構成されており、例えば、ネオジウム鉄ホウ素系焼結磁石や、サマリウムコバルト系焼結磁石である。
ロータ20は、図2に示すように、つば23Aを備える回転軸23の一端の外周に、一方のエンドプレート24A、各磁石収容孔22に永久磁石30を収容して樹脂40で固定したロータコア21、他方のエンドプレート24Bの順に、嵌合させて備える。これらの部材は、中間嵌め若しくは締り嵌め等の隙間のない嵌め合い状態で嵌合させる。そして、回転軸23の他端に、止め部品24Cを嵌合させて、軸方向にこれらエンドプレート24A,24B及びロータコア21を締付けることにより、一体化させて形成している。両端のエンドプレート24A,24Bは、各磁石収容孔22の開口端を塞いで、永久磁石30の軸方向への飛び出しを防止している。なお、図示例では、ロータコア21を、2つの部材により構成したものを示しているが、一つの部材により構成したものであってもよく、また、3個以上の部材により構成したものであってもよい。また、永久磁石30は、ロータコア21への組付け後に着磁して永久磁石30として機能させるものであり、ロータ20の組立段階では未着磁の永久磁石30が用いられる。このため、未着磁の永久磁石30を、以下の説明では、単に「磁石30」という。
この種のロータ20は、一般的には、エンドプレート24A,24B(若しくはその軸方向外側の追加プレート)を厚肉に形成して、これらプレートの一部を切り欠くことにより、回転バランスを調整するようにしている。しかしながら、本実施形態のロータ20においては、以下に説明する磁石30の固定方法を採用することにより、各磁石収容孔22内での磁石30の取付け姿勢を均一化させて、その回転バランスを良好に維持するようにしている。このため、本実施形態のロータ20においては、回転バランス調整のための上記した追加プレート等を必要とせず、また、設けるエンドプレート24A,24Bについても薄肉化でき、ロータ20の慣性重量を軽減できる特徴を備える。
次に、磁石30の固定方法について説明する。図3は本実施形態における回転電機用ロータ20の製造方法を示す工程図である。即ち、先ず、発泡シート貼付け工程S1において、磁石30に発泡シート31を貼付ける。次いで、磁石挿入工程S2において、発泡シート31を貼付けた磁石30をロータコア21の磁石収容孔22へ挿入する。次いで、加熱工程S3において、ロータコア21を加熱して発泡シート31の膨張による磁石30の位置決めを実施する。そして、樹脂による固定工程S4において、ロータコア21の磁石収容孔22へ樹脂40を注入して磁石30を固定するようにしている。
発泡シート貼付け工程S1では、磁石30の上面若しくは下面に発泡シート31を貼付ける。発泡シート31は、図4に示すように、発泡層31Aを粘着層31Bと保護フィルム31Cとにより挟んでシート状にしたものである。発泡層31Aは、発泡層31Aを構成する樹脂素材に未発泡の発泡剤を混合して、シート状に成形したものである。そして、発泡層31Aの表面となる一方の面に保護フィルム31Cを貼付け、裏面となる他方の面に粘着材(接着材等)からなる粘着層31Bを形成する。保護フィルム31Cは、磁石収容孔22への磁石30挿入時に、磁石収容孔22の入口角部や収容孔表面との接触時に引っ掛からないように、滑らかな表面を備えて摩擦係数の小さく、すべり性がよいことが望ましい。粘着層31Bの発泡層31Aとは反対の面には、図示しないが離型シートなどを貼付けて粘着層31Bを保護して供給される。
この発泡シート31は、後述する加熱工程S3において、加熱されることにより発泡層31Aに含まれている未発泡の発泡剤が発泡して、その厚さ寸法を増加させるよう機能する。発泡シート31の発泡特性は、加熱による発泡層31Aの熱膨張により、発泡シート31の総厚さが、磁石収容孔22と磁石30との間の隙間の最大値を越えるまで膨張するよう設定している。これにより、発泡シート31の熱膨張によって、磁石30を磁石収容孔22の内壁に押し付ける作用を発揮させることができる。
また、発泡シート31が膨張する際の膨張力を、磁石収容孔22内で磁石30を移動させるに充分なものとする。ところで、発泡シート31の膨張力は、発泡シート31の面積に比例して増加する。しかし、使用する発泡シート31のコストを低減するためには、可能な限り小さい面積の発泡シート31を使用することが有効である。このため、発泡シート31のコストを低減しつつ充分な膨張力を確保できる、可能な限り小さい面積の発泡シート31を使用することが望ましい。
図5は、磁石30への発泡シート31の貼付け状態を示す第1実施例である。即ち、第1実施例の貼付け状態では、発泡シート31は、貼付けるべき磁石30の上面若しくは下面の表面の幅方向寸法より小さい幅寸法に形成されている。また、発泡シート31は、磁石30の長手方向寸法に比較して、例えば、1/4〜1/6の小さい長さ寸法に形成されている。そして、磁石30の長手方向の両側領域に、夫々1枚づつ分けて貼付けている。発泡シート31の磁石30への貼り付けは、表面側に保護フィルム31Cが存在するよう粘着層31Bを磁石30側として、離型シートを剥がして露出する粘着層31Bを磁石30表面に接触させて貼付ける。
磁石挿入工程S2では、図6に示すように、ロータコア21の磁石収容孔22へ発泡シート31を貼付けた磁石30を挿入する。図6に示す例では、ロータコア21に4個の磁石収容孔22が設けられており、夫々の磁石収容孔22に発泡シート31を貼付けた磁石30が、発泡シート31を半径方向外側に位置させて挿入した状態を示している。
この磁石挿入工程S2においては、発泡シート31は貼付け工程S1において貼付けられたままの状態(薄肉状態)であり、磁石収容孔22への挿入が容易である。また、磁石収容孔22への磁石30の挿入時に、発泡シート31が磁石収容孔22の入口角部や収容孔表面に接触しても、発泡シート31の表面の保護フィルム31Cにより、引っ掛かることを防止できる。その際、保護フィルム31Cの表面を、滑らかな表面を備えて摩擦係数の小さく、すべり性がよいようにしておくことで、より一層挿入性を向上できる。
この状態においては、磁石収容孔22の半径方向内側に各磁石30が位置し、磁石収容孔22の半径方向外側に各発泡シート31が位置することは、挿入された全ての磁石30において共通している。しかし、磁石30と発泡シート31との合計厚さ寸法が、磁石収容孔22の厚さ方向の空間寸法より小さくなっているため、各磁石30は磁石収容孔22内で夫々傾いたりして取付け姿勢が均一とはなっていない。
加熱工程S3では、加熱炉を通過させる等により、ロータコア21を外部より加熱する。ロータコア21を外部より加熱することにより、磁石収容孔22に挿入した磁石30に貼付けた発泡シート31が、発泡層31Aに含まれる発泡剤の発泡により、厚さ方向に膨張する。この発泡シート31の膨張により、図7に示すように、保護フィルム31Cが磁石収容孔22の半径方向外側の内壁面に接触し、その反力により磁石30を磁石収容孔22の反対側の半径方向内側の内壁面に押付ける。また、磁石30が磁石収容孔22内で傾いて位置していたとしても、発泡シート31の膨張により、位置矯正されて、磁石収容孔22の反対側の半径方向内側の内壁面に押付けられる。
結果として、各磁石30は磁石収容孔22の反対側の半径方向内側の内壁面に接触した状態で、発泡シート31によりガタツキなく位置決めされる。即ち、発泡シート31の膨張力によって磁石30が径方向の磁石収容孔22の内壁面へ押付けられて仮固定されるため、磁石30位置のばらつきに起因するアンバランスが生じない状態とできる。
樹脂による固定工程S4では、ロータコア21の磁石収容孔22へ樹脂40を加圧注入して、樹脂40により磁石30を本固定する。加圧注入する樹脂40は、予め昇温軟化させて流動性を確保した状態で使用される。樹脂40の流動性を確保するために、ロータコア21を予め所定の温度に昇温させておくことが望ましい。
磁石収容孔22の開放端から加圧注入された樹脂40は、樹脂入口側の磁石30と磁石収容孔22との隙間に入り、発泡シート31の幅方向外側と磁石収容孔22との隙間を通って、さらに奥の磁石収容孔22と磁石30との隙間に充填される。そして、奥側の発泡シート31の幅方向外側と磁石収容孔22との隙間を通って、さらに奥側の磁石収容孔22と磁石30との隙間に充填され、磁石収容孔22の他方の開放端まで充填されると、樹脂40の充填を止める。磁石30は磁石収容孔22内で樹脂40によってモールドされる。そして、樹脂40が冷却して凝固することにより、ロータコア21に磁石30が本固定される。
以上のように、本実施例によれば、ロータコア21の複数の磁石収容孔22の中に固定される磁石30の位置が、回転軸23の回転中心を基準にいずれの磁極の磁石30もその位置や取付け姿勢がばらつきなく固定させることができる。このため、ロータコア21の回転中心と複数の磁石30の合成重心との位置関係を一致させることができ、ロータ20のアンバランスを少なくでき、ロータ20完成後のアンバランスも少なくできる。
この結果、バランス調整工程を設けない製造工程を実現できる。その結果、その工程で必要になる又は設定されることが望ましいとされるバランス調整用被削材の機能を持つ追加プレート等の部品を必要としないことを可能とでき、安価にロータ20を製造することができる。
また、磁石30への発泡シート31の貼付け状態を示す第1実施例では、磁石30の表面領域よりも小さい幅寸法の複数(2個以上)の発泡シート31を、磁石30の長手方向に並べて貼付けるようにしている。このため、発泡シート31の使用量を削減しつつ、磁石30をその長手方向の領域から各発泡シート31による均一な膨張力により磁石収容孔22の一方の壁面に押付けることができる。このため、磁石30位置及び磁石30姿勢のばらつきを低減できるとともに、発泡シート31のコストを削減することができる。
磁石30への発泡シート31の貼付け状態は、上記した貼付け例に限定されるものでなく、以下に記載する貼付け例であってもよい。即ち、図8は磁石30への発泡シート31の貼付け状態を示す第2実施例を示すものである。本実施例の貼付け例においては、磁石30の表面領域よりも小さい幅寸法の細長い発泡シート31を、磁石30表面の長手方向に貼付けるようにしている。このようにすると、発泡シート31の粘着層31Bの粘着力が弱い場合においても、充分な貼り付け固着力を得ることができる。
本実施例においても、ロータコア21の磁石収容孔22へ挿入して、加熱工程S3により発泡シート31を膨張させると、磁石30を長手方向の広い領域から発泡シート31により磁石収容孔22の一方の壁面に押付けることができる。このため、磁石30位置及び磁石30姿勢のばらつきを低減できるとともに、発泡シート31のコストを削減することができる。また、樹脂による固定工程S4においても、磁石収容孔22に加圧注入された樹脂40は、発泡シート31の幅方向外側と磁石収容孔22との隙間に充填することができ、磁石30を磁石収容孔22内で樹脂40によってモールドすることができる。
図9は、磁石30への発泡シート31の貼付け状態を示す第3実施例を示すものである。本実施例の貼付け例においては、磁石30の表面領域よりも小さい幅寸法の細長い発泡シート31を、磁石30の一方の長手方向端面とそれに連なる磁石30表面の長手方向とに跨るようにL字状に貼付けるようにしている。このようにすると、磁石挿入工程S2において磁石30を磁石収容孔22へ挿入する際に、発泡シート31が磁石収容孔22の入口角部や磁石収容孔22の壁面に接触して剥がれることを防止できる。
本実施例においても、ロータコア21の磁石収容孔22へ挿入して、加熱工程S3により発泡シート31を膨張させると、磁石30を長手方向の広い領域から発泡シート31により磁石収容孔22の一方の壁面に押付けることができる。このため、磁石位置及び磁石姿勢のばらつきを低減できるとともに、発泡シート31のコストを削減することができる。また、樹脂による固定工程S4においても、磁石収容孔22に加圧注入された樹脂40は、発泡シート31の幅方向外側と磁石収容孔22との隙間に充填でき、磁石30を磁石収容孔22内で樹脂40によってモールドすることができる。
図10は、磁石30への発泡シート31の貼付け状態を示す第4実施例を示すものである。本実施例の貼付け例においては、磁石30の表面領域よりも小さい幅寸法の細長い発泡シート31を、磁石30表面の幅方向両側領域において夫々長手方向に貼付けるようにしている。このようにすると、ロータコア21の磁石収容孔22へ挿入して、加熱工程S3により発泡シート31を膨張させると、磁石30を幅方向の両側領域から発泡シート31により磁石収容孔22の一方の壁面に押付けることができる。このため、磁石30が磁石収容孔22内において、幅方向の傾きを抑制できる。しかも、発泡シート31は磁石表面の幅方向両側領域において夫々長手方向に貼付けているため、磁石30の磁石収容孔22内において、長手方向の傾きも同時に抑制することができる。即ち、磁石収容孔22内の磁石30の傾きを幅方向及び長手方向の両方向において抑制することができる。従って、磁石位置及び磁石姿勢のばらつきを確実に低減できる。
本実施例においても、樹脂による固定工程S4においては、磁石収容孔22に加圧注入された樹脂40は、発泡シート31間及び発泡シート31の幅方向外側と磁石収容孔22との隙間に充填する。これにより、磁石30を磁石収容孔22内で樹脂40によってモールドすることができる。
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
(ア)本実施形態に係る回転電機用ロータの製造方法では、発泡剤を含む発泡層31Aを備える発泡シート31を、磁石30の表面に貼付ける貼付け工程S1と、発泡シート31を貼付けた磁石30を、ロータコア21に複数形成された軸方向に貫通する磁石収容孔22に、収容する磁石挿入工程S2と、ロータコア21を加熱することにより発泡シート31を加熱し、発泡シート31の発泡層31Aを膨張させて、磁石30を磁石収容孔22の壁面に押付ける加熱工程S3と、を備える。即ち、発泡シート31の膨張力によって、各磁石収容孔22内の磁石30は、同じ方向に押圧されて固定されるため、樹脂40の注入前において、磁石位置のばらつきを低減できる。このため、固定工程S4により磁石収容孔22に溶融した樹脂40を注入して磁石30を樹脂40でモールドすると、全ての磁石収容孔22内の磁石30の取付け姿勢を、ばらつきなく均一とすることを補償することができる。
(イ)本実施形態に係る回転電機用ロータ20では、ロータコア21に複数形成された軸方向に貫通する磁石収容孔22に、発泡剤を含む発泡層31Aを備える発泡シート31と、発泡剤の発泡による発泡シート31の膨張により磁石収容孔22の壁面に押付けられた磁石30と、発泡シート31及び磁石30と磁石収容孔22との隙間に充填された樹脂40と、を収容してなることを特徴とする。即ち、ロータコア21の複数の磁石収容孔22の中に固定される磁石30の位置が、回転軸23の回転中心を基準にいずれの磁極の磁石30もその位置や取付け姿勢がばらつきなく固定させることができる。このため、ロータコア21の回転中心と複数の磁石30の合成重心との位置関係を一致させることができ、ロータ20のアンバランスを少なくでき、ロータ20完成後のアンバランスも少なくできる。この結果、バランス調整工程を設けない製造工程を実現できる。その結果、その工程で必要になる又は設定されることが望ましいとされるバランス調整用被削材の機能を持つ追加プレート等の部品を必要としないことを可能とでき、安価にロータ20を製造することができる。
(ウ)第1実施例の貼付け例においては、磁石30の表面に貼付けられる発泡シート31は、当該表面の幅寸法より小さい幅寸法より小さく形成されて、複数枚が磁石表面の長手方向に並べて貼付けられている。このため、発泡シート31の使用量を削減しつつ、磁石30をその長手方向の領域から各発泡シート31による均一な膨張力により磁石収容孔22の一方の壁面に押付けることができる。このため、磁石位置及び磁石姿勢のばらつきを低減できるとともに、発泡シート31のコストを削減することができる。
(エ)第2実施例の貼付け例においては、磁石30の表面に貼付けられる発泡シート31は、当該表面の幅寸法より小さい幅寸法を備えて細長く形成されて、磁石30表面の長手方向に貼付けられている。このようにすると、発泡シート31の粘着層31Bの粘着力が弱い場合においても、充分な貼り付け固着力を得ることができる。
(オ)第3実施例の貼付け例においては、磁石30の表面に貼付けられる発泡シート31は、当該表面の幅寸法より小さい幅寸法を備えて細長く形成される。そして、磁石30の一方の長手方向端面とそれに連なる磁石30表面の長手方向とに跨るようにL字状に貼付けられている。このようにすると、磁石挿入工程S2において磁石30を磁石収容孔22へ挿入する際に、発泡シート31が磁石収容孔22の入口角部や磁石収容孔22の壁面に接触して剥がれることを防止できる。
(カ)第4実施例の貼付け例においては、磁石30の表面に貼付けられる発泡シート31は、当該表面の幅寸法より小さい幅寸法を備えて細長く形成されて、磁石30表面の幅方向両側領域において夫々磁石30表面の長手方向に貼付けられている。このようにすると、ロータコア21の磁石収容孔22へ挿入して、加熱工程S3により発泡シート31を膨張させると、磁石30を幅方向の両側領域から発泡シート31により磁石収容孔22の一方の壁面に押付けることができる。このため、磁石30が磁石収容孔22内において、幅方向の傾きを抑制できる。しかも、発泡シート31は磁石30表面の幅方向両側領域において夫々長手方向に貼付けているため、磁石30の磁石収容孔22内において、長手方向の傾きも同時に抑制することができる。即ち、磁石収容孔22内の磁石30の傾きを幅方向及び長手方向の両方向において抑制することができる。
S1 貼付け工程
S2 磁石挿入工程
S3 加熱工程
S4 固定工程
20 ロータ
21 ロータコア
22 磁石収容孔
23 回転軸
30 磁石、永久磁石
31 発泡シート
31A 発泡層
31B 粘着層
31C 保護フィルム
40 樹脂

Claims (6)

  1. 発泡剤を含む発泡層を備える発泡シートを、磁石の表面に貼付ける貼付け工程と、
    前記発泡シートを貼付けた磁石を、ロータコアに複数形成された軸方向に貫通する磁石収容孔に、収容する磁石挿入工程と、
    前記ロータコアを加熱することにより前記発泡シートを加熱し、前記発泡シートの発泡層を膨張させて、前記磁石を磁石収容孔の壁面に押付ける加熱工程と、
    前記磁石収容孔に溶融樹脂を注入して、前記磁石を樹脂でモールドする固定工程と、を備えることを特徴とする回転電機用ロータの製造方法。
  2. ロータコアに複数形成された軸方向に貫通する磁石収容孔に、
    発泡剤を含む発泡層を備える発泡シートと、
    前記発泡剤の発泡による発泡シートの膨張により前記磁石収容孔の壁面に押付けられた磁石と、
    前記発泡シート及び磁石と磁石収容孔との隙間に充填された樹脂材と、を収容してなることを特徴とする回転電機用ロータ。
  3. 前記磁石の表面に貼付けられる発泡シートは、当該表面の幅寸法より小さい幅寸法より小さく形成されて、複数枚が磁石表面の長手方向に並べて貼付けられていることを特徴とする請求項2に記載の回転電機用ロータ。
  4. 前記磁石の表面に貼付けられる発泡シートは、当該表面の幅寸法より小さい幅寸法を備えて細長く形成されて、磁石表面の長手方向に貼付けられていることを特徴とする請求項2に記載の回転電機用ロータ。
  5. 前記磁石の表面に貼付けられる発泡シートは、当該表面の幅寸法より小さい幅寸法を備えて細長く形成されて、磁石の一方の長手方向端面とそれに連なる磁石表面の長手方向とに跨るようにL字状に貼付けられていることを特徴とする請求項2に記載の回転電機用ロータ。
  6. 前記磁石の表面に貼付けられる発泡シートは、当該表面の幅寸法より小さい幅寸法を備えて細長く形成されて、磁石表面の幅方向両側領域において夫々磁石表面の長手方向に貼付けられていることを特徴とする請求項2に記載の回転電機用ロータ。
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