JP2015023861A - 可食性被膜の形成方法及び被膜食品の製造方法 - Google Patents
可食性被膜の形成方法及び被膜食品の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015023861A JP2015023861A JP2014126729A JP2014126729A JP2015023861A JP 2015023861 A JP2015023861 A JP 2015023861A JP 2014126729 A JP2014126729 A JP 2014126729A JP 2014126729 A JP2014126729 A JP 2014126729A JP 2015023861 A JP2015023861 A JP 2015023861A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- solution
- edible film
- ingredients
- edible
- film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
- Jellies, Jams, And Syrups (AREA)
- Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)
Abstract
Description
例えば、可食性被膜を形成する技術として、アルギン酸ナトリウム及びパルプ由来の可食性植物性繊維を併用する技術(特許文献1)、アルギン酸ナトリウム等の高分子多糖類及び水溶性タンパク質を併用する技術(特許文献2)、並びにアルギナート及びガラクトマンナンを併用する技術(特許文献3)等が知られている。
特許文献3の実施例には、アルギン酸ナトリウム及びガラクトマンナンを含有し、pHが4.9〜7.5に調整されたコーティング組成物が開示されているが、pHを4.9以上に調整した可食性被膜用溶液を用いて、具材表面に被膜を形成した場合は、具材から被膜が容易に剥離してしまう。また、アルギン酸塩を用いた可食性被膜は、アルギン酸塩由来のフィルム感が強く、喫食時に食感に違和感を覚えることが多い。
(工程1)アルギン酸及び/又はその塩と、カラギナン、ジェランガム、ペクチン及びキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも一種以上とを含有し、pHが3.6以上4.5未満である可食性被膜用溶液を調製する工程、
(工程2)工程1で調製した可食性被膜用溶液と具材を接触させる工程、並びに
(工程3)工程2で可食性被膜用溶液と接触させた具材を、多価金属塩含有溶液と接触させる工程。
項1.以下の工程;
(工程1)アルギン酸及び/又はその塩と、カラギナン、ジェランガム、ペクチン及びキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも一種以上とを含有し、pHが3.6以上4.5未満である可食性被膜用溶液を調製する工程、
(工程2)工程1で調製した可食性被膜用溶液と具材を接触させる工程、並びに
(工程3)工程2で可食性被膜用溶液と接触させた具材を、多価金属塩含有溶液と接触させる工程、
を含むことを特徴とする、具材表面に可食性被膜を形成する方法。
項2.前記可食性被膜用溶液が、さらに、アルコール類、糖アルコール類及びアルギン酸プロピレングリコールエステルからなる群から選択される一種以上を含有するものである、項1に記載の具材表面に可食性被膜を形成する方法。
項3.前記アルコール類が、エタノール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群から選択される一種以上を含むものである、項2に記載の具材表面に可食性被膜を形成する方法。
項4.前記糖アルコール類が、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール及びオリゴ糖アルコールからなる群から選択される一種以上を含むものである、項2に記載の具材表面に可食性被膜を形成する方法。
項5.以下の工程;
(工程1)アルギン酸及び/又はその塩と、カラギナン、ジェランガム、ペクチン及びキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも一種以上とを含有し、pHが3.6以上4.5未満である可食性被膜用溶液を調製する工程、
(工程2)工程1で調製した可食性被膜用溶液と具材を接触させる工程、並びに
(工程3)工程2で可食性被膜用溶液と接触させた具材を、多価金属塩含有溶液と接触させる工程、
を含むことを特徴とする、具材表面に可食性被膜が形成された、被膜食品の製造方法。
(工程1)アルギン酸及び/又はその塩と、カラギナン、ジェランガム、ペクチン及びキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも一種以上とを含有し、pHが3.6以上4.5未満である可食性被膜用溶液を調製する工程、
(工程2)工程1で調製した可食性被膜用溶液と具材を接触させる工程、並びに
(工程3)工程2で可食性被膜用溶液と接触させた具材を、多価金属塩含有溶液と接触させる工程。
以下、それぞれの工程について、好適な実施の形態について説明する。
本発明で用いるアルギン酸及び/又はその塩(以下、本明細書において「アルギン酸類」ともいう)は、褐藻類から得られる多糖類であり、C−6位がCOOHになった、いわゆるウロン酸から構成される直鎖状の多糖類である。アルギン酸は、β−D−マンヌロン酸(M)とα−L−グルロン酸(G)のウロン酸からなる1,4結合のブロック共重合体であり、M/G比は藻種、部位、季節等によって変動する。本発明で用いるアルギン酸類の、マンヌロン酸(M)及びグルロン酸(G)のM/G比は特に制限されないが、M/G比が0.5〜1.5であるアルギン酸及び/又はその塩を用いることが好ましい。
可食性被膜用溶液中の、アルギン酸類の含量は特に制限されないが、好ましいアルギン酸類含量は0.5〜10質量%であり、より好ましくは1〜8質量%、更に好ましくは1〜6質量%である。
また、本発明では、可食性被膜用溶液中のカラギナン、ジェランガム、ペクチン及びキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の含量が、可食性被膜用溶液中のアルギン酸類100質量部に対し、0.5〜70質量部であることが好ましく、0.5〜60質量部であることがより好ましく、1〜50質量部であることが更に好ましい。
例えば、水に、アルギン酸及び/又はその塩と、カラギナン、ジェランガム、ペクチン及びキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも一種以上、並びにpH調整剤を添加することで、本発明で用いる可食性被膜用溶液を調製することができる。
本発明は、前記工程1で調製した可食性被膜用溶液と、具材を接触させる工程を含む。
本発明が対象とする具材は、具材表面に被膜形成が可能な食品であれば特に制限されない。例えば、食肉加工品(例えば、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、ミートボール、つくね、ロールキャベツ等)、水産加工品(例えば、カキ、タコ、イカ、エビ、ホタテ、イクラ等)、農産加工品(例えば、フルーツ、梅等の果実、野菜等)、惣菜(例えば、煮物、焼き物、漬物等)、加工食品の具材(例えば、おにぎり、パンや肉まん等の具材)、菓子(例えば、グミキャンディ等)、麺類等が挙げられる。
本発明では、具材に含有させる多価金属塩として、難溶性多価金属塩を用いることがより好ましい。本発明において、難溶性多価金属塩とは、水への溶解度が0.5g/100g以下、より好ましくは0.1g/100g以下である多価金属塩をいう。難溶性多価金属塩として、例えば、リン酸一水素カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。より好ましい難溶性多価金属塩は、リン酸一水素カルシウム、クエン酸カルシウム、硫酸カルシウム、及び炭酸カルシウムからなる群から選択される一種以上であり、更に好ましい難溶性多価金属塩は、リン酸一水素カルシウム及び/又は炭酸カルシウムである。具材中の多価金属塩の含量は特に制限されないが、好ましい多価金属塩の含量は0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは0.5〜3質量%である。
本発明は、前記工程2で可食性被膜用溶液と接触させた具材を、多価金属塩含有溶液と接触させる工程を含む。
本発明において、多価金属塩含有溶液とは、多価金属塩を含有する水溶液をいい、水中に二価以上の金属イオンが存在する水溶液であれば特に制限されない。例えば、二価の金属イオンとしてカルシウムイオン、マグネシウムイオン、銅イオン等を、三価の金属イオンとしてアルミニウムイオンを例示できる。カルシウムイオンを供給するカルシウム塩として、例えば乳酸カルシウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム等を、マグネシウムイオンを供給するマグネシウム塩として、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム等を、銅イオンを供給する銅塩として、グルコン酸銅、硫酸銅等を、アルミニウム塩として、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム等を例示できる。
多価金属塩含有溶液のpHは特に制限されないが、好ましいpHは3.5以上6.5未満であり、より好ましくは3.8以上5.5以下、更に好ましくは4以上4.5未満である。前記範囲に多価金属塩含有溶液のpHを調整することで、具材と被膜との結着性をより向上させることができる。多価金属塩含有溶液のpHを調整するためには、前述のpH調整剤を使用することができる。
本発明において、好ましい接触方法は、(i)多価金属塩含有溶液に、可食性被膜用溶液と接触させた具材を浸漬する方法又は(iv)三重ノズルから、具材、可食性被膜用溶液、及び多価金属塩含有溶液を同時に押し出す方法であり、更に好ましい接触方法は、(i)多価金属塩含有溶液に、可食性被膜用溶液と接触させた具材を浸漬する方法である。多価金属塩含有溶液に、可食性被膜用溶液と接触させた具材を浸漬する時間は特に制限されないが、好ましい浸漬時間は1秒〜5分であり、より好ましくは1秒〜2分、更に好ましくは2秒〜1分である。
第一に、本発明の製造方法によって得られる被膜食品は、可食性被膜を形成後、加熱処理(例えば、ボイル処理、スチーム処理、フライ処理、焼成処理、電子レンジによる加熱処理等)を行った場合でも、具材から被膜が浮くことがない。例えば、ソーセージなどの食肉加工品等の具材を被膜した食品は、通常、被膜形成後にボイル処理、スチーム処理等の加熱処理を行って商品化されるが、当該加熱処理時に具材から被膜が浮きあがり、商品価値が著しく低下するといった問題がある。しかし、本発明の被膜食品は、加熱処理後も良好な結着性を維持し、具材から被膜が浮かないという利点を有する。同様に、本発明に従って製造された被膜食品を、フライ処理、電子レンジ等の加熱処理に供した場合も、加熱処理時に被膜が浮いたり破損したりすることがない。
以上のように、本発明は、可食性被膜を形成後、加熱処理される食品に対しても、広く適用することができる。例えば、フライ処理される食品は、フライ時に生じる過多な水分蒸発により、具材の食感が悪化する場合がある。かかるところ、本発明に基づけば、具材表面に可食性被膜を形成後、フライ処理することで、過多な水分蒸発を抑制でき、従来にない、具材本来の食感が楽しめるフライ食品を提供することが可能である。
例えば、従来の被膜食品は、被膜が剥がれる際に被膜全体がペロっと剥がれ落ちることが多かったが、本発明の方法によって得られる被膜食品は、指で強く擦るなど、強い衝撃を与えた場合であっても被膜が剥がれ落ちにくく、剥がれる場合も、被膜全体が剥がれることなく、一部分のみが剥がれるため、商品価値が非常に高い。
(工程4)工程3で具材表面に可食性被膜を形成後、可食性被膜を乾燥する工程。
例えば、ソーセージ、ハンバーグ、ミートボール、つくね等の食肉加工食品に対して、被膜形成後、乾燥工程を経ることで、被膜食品の保形性を向上させ、被膜の強度や経時的な結着性を向上させることができる。また、キレート効果がある素材を含有する具材に対し、具材表面に可食性被膜を形成する場合は、前述のように、時間経過と共に、可食性被膜の安定性が低下し、具材表面の被膜にぬめりが生じる場合があるが、本乾燥工程を経ることで、時間経過と共に生じるぬめりを顕著に抑制することができる。
乾燥工程における温度や時間は特に制限されず、被膜食品の種類によって適宜調整することができる。好ましい乾燥温度は50℃〜90℃、より好ましくは70〜85℃であり、好ましい乾燥時間は5〜40分、より好ましくは10〜20分である。
表1及び2の処方に従い、被膜食品(ソーセージ)を調製した。
(ソーセージ具材)
表1に示すソーセージ具材の原料を処方に従って秤量し、具材をフードカッターでカッティングし、混合した。次いで脱気操作を行い、ソーセージ具材を調製した。
水98.4質量部にアルギン酸ナトリウム注1)1.4質量部、及びカラギナン(カッパ型)0.2質量部を添加し、撹拌した。次いで、表2に示すpHになるようにクエン酸を添加し、可食性被膜用溶液を調製した。
水92質量部に塩化カルシウム4質量部及び乳酸カルシウム4質量部を添加、撹拌し、多価金属塩含有溶液を調製した。
調製したソーセージ具材を可食性被膜用溶液中に10cm搾り出し(直径1.5cmのチューブ状)、1分間浸漬した。浸漬後、ソーセージ具材を可食性被膜用溶液から引き上げ、当該具材を多価金属塩含有溶液に1分間浸漬し、具材表面に可食性被膜を形成させた。具材表面に形成させた可食性被膜を85℃で20分間乾燥後、80℃で10分間スチーム処理し、被膜食品を調製した。
得られた被膜食品について、(a)被膜の形成状態、(b)具材と被膜との結着性及び(c)被膜の食感を評価した。(a)被膜の形成状態及び(b)具材と被膜との結着性について、結果を表2に示した。
調製直後の被膜食品の状態を目視で観察した。評価は、具材表面に均一な被膜が形成されているか否かで判断した。
(b)具材と被膜との結着性の評価
[2週間冷蔵後]
被膜食品を調製後、2週間冷蔵(10℃)保存した後の、可食性被膜と具材との結着性を表3に示す基準に従って評価した。
[調製直後にボイル処理]
調製した被膜食品を90℃で3分間ボイル処理し、具材からの、可食性被膜の「浮き」の様子を目視で観察した。
(c)被膜の食感
調製直後の被膜食品を喫食し、被膜の食感を評価した。
一方、比較例1−2〜1−7の被膜食品は、具材表面に均一な可食性被膜が形成されたが、その後の加熱処理により、被膜が具材から浮いてしまい、十分な結着性を示さなかった。更に、2週間冷蔵保存後の被膜食品を指で擦ると、即座に被膜全体が大きくペロっと剥がれてしまった。可食性被膜用溶液のpHを3.5に調整した比較例1−1は、可食性被膜用溶液自体がゲル化してしまい、均一に被膜を形成することができなかった。
(可食性被膜用溶液)
水98.4質量部にアルギン酸ナトリウム注1)1.4質量部、及びジェランガム(脱
アシル型)0.2質量部を添加し、撹拌した。次いで表4に示すpHになるようにクエン酸を添加し、可食性被膜用溶液を調製した。
(多価金属塩含有溶液)
水92質量部に塩化カルシウム4質量部及び乳酸カルシウム4質量部を添加、撹拌した。次いでクエン酸を添加し、表4に示すpHになるようにクエン酸を添加し、多価金属塩含有溶液を調製した。
(被膜食品(ソーセージ)の調製)
可食性被膜用溶液、及び多価金属塩含有溶液のpHを表4に示す値に調整する以外は、実験例1に従って被膜食品(ソーセージ)を調製し、実験例1と同様に、(a)被膜の形成状態、(b)具材と被膜との結着性及び(c)被膜の食感について評価した。(a)被膜の形成状態及び(b)具材と被膜との結着性の結果を、表4に示した。
一方、比較例2−1及び2−2の被膜食品は、具材表面に均一な可食性被膜を形成したが、2週間冷蔵保存後に、表面を指で軽く擦るのみで、被膜全体が大きく剥がれ落ちてしまった。更には、ボイル処理によって被膜が浮いてしまった。
(可食性被膜用溶液)
表5に示す処方に従って可食性被膜用溶液を調製した。具体的には、水にアルギン酸ナトリウムと、ジェランガム、カラギナン又はペクチンを添加し、撹拌した。次いでクエン酸を添加することでpHを4.1に調整し、可食性被膜用溶液を調製した。
(被膜食品(ソーセージ)の調製)
可食性被膜用溶液の処方を表5に示す処方に変更する以外は、実験例1と同様に被膜食品を調製し、得られた被膜食品について、(a)被膜の形成状態、(b)具材と被膜との結着性及び(c)被膜の食感を評価した。(a)被膜の形成状態及び(b)具材と被膜との結着性の結果を表5に示した。
(可食性被膜用溶液)
表6に示す処方に従って可食性被膜用溶液を調製した。具体的には、水にアルギン酸ナトリウムと、ジェランガム、カラギナン又はペクチンを添加し、撹拌した。次いでクエン酸を添加することでpHを4.1に調整し、可食性被膜用溶液を調製した。
(カキフライの調製)
具材(生カキ)を可食性被膜用溶液中に1分間浸漬した。浸漬後、可食性被膜用溶液から具材を引き上げ、当該具材を多価金属塩含有溶液に1分間浸漬し、可食性被膜を形成させた。多価金属塩含有溶液は、実験例1と同じ処方のものを用いた。表面に可食性被膜が形成された具材をバッターリング(衣付け)後、170℃で3分間フライ処理し、被膜食品を調製した。
被膜食品について、(a)被膜の形成状態、(b)具材と被膜との結着性及び(c)被膜の食感を評価した。(b)具材と被膜との結着性の評価は、調製直後の被膜食品を−30℃で急速凍結後、電子レンジにて加熱処理(500W、3分間)した被膜食品について、表3の評価基準に従って行なった。(a)被膜の形成状態及び(b)具材と被膜との結着性の結果を表6に示した。
(ソーセージ具材)
実験例1の表1に示す処方、及び製法に従って、ソーセージ具材を調製した。
(可食性被膜用溶液)
表7に示す処方に従って、可食性被膜用溶液を調製した。具体的には、水にクエン酸以外の各成分を添加し、撹拌した。次いで、クエン酸を添加することでpHを4.1に調整し、可食性被膜用溶液を調製した。
(多価金属塩含有溶液)
水92質量部に塩化カルシウム4質量部及び乳酸カルシウム4質量部を添加し、撹拌した。次いで、表7に示すpHになるようにクエン酸を添加し、多価金属塩含有溶液を調製した。
(被膜食品(ソーセージ)の調製)
調製したソーセージ具材を可食性被膜用溶液中に14cm搾り出し(直径1.5cmのチューブ状)、1分間浸漬した。浸漬後、ソーセージ具材を可食性被膜用溶液から引き上げ、当該具材を多価金属塩含有溶液に1分間浸漬し、具材表面に可食性被膜を形成させた。次いで、14cm長のソーセージを、糸で絞って7cmに切断後、85℃で20分間乾燥し、その後に、80℃で10分間スチーム処理し、被膜食品を調製した。
被膜食品について、(a)被膜の形成状態、(b)具材と被膜との結着性、(c)被膜の食感及び(d)切断した箇所の被膜と具材の結着性を評価し、(a)、(b)及び(d)について、評価結果を表8に示した。
(b)具材と被膜との結着性
調製した被膜食品(7cmのソーセージ)について、実験例1と同様に、10℃で2週間冷蔵した後と、調製直後に90℃で3分間ボイル処理したときの結着性を評価した。
(c)被膜の食感
調製直後の被膜食品を喫食し、被膜の食感を評価した。
(d)切断した箇所の被膜と具材の結着性の評価
具材表面に可食性被膜を形成後、糸で絞って切断した切断面について、具材(ソーセージ生地)が被膜に包まれている割合を表9に示す基準に従って、目視で評価した。
更に、可食性被膜用溶液にアルコール類(グリセリン、プロピレングリコール、エタノール)、糖アルコール類(ソルビトール)又はアルギン酸プロピレングリコールエステルを用いた実施例5−2〜5−6の被膜食品は、可食性被膜が適度な柔軟性を示し、糸で絞って切断した後の切断面における、具材の被膜率が高かった。
一方、実施例5−1の被膜食品は、具材表面に均一な被膜を形成したが、糸で絞って被膜食品を切断することで、切断面の被膜が破れ、具材の被覆割合が低かった(一部表面に露出してしまった)。
以上の結果より、被膜食品を絞り切る等の作業を行う場合は、可食性被膜用溶液に、アルコール類、糖アルコール類又はアルギン酸プロピレングリコールエステルを含有させることが望ましいことが示された。
更に、実施例5−2〜5−6の被膜食品は、いずれもアルギン酸類特有のフィルム感が弱く、ソフトで好ましい食感を有していた。
(ソーセージ具材)
表10に示すソーセージ具材の原料を処方に従って秤量し、具材をフードカッターでカッティングし、混合した。次いで、脱気操作を行い、ソーセージ具材を調製した。
水94.9質量部にアルギン酸ナトリウム注1)5質量部、及びカラギナン(カッパ型)0.1質量部を添加し、撹拌した。次いで、クエン酸を添加することでpHを4に調整し、可食性被膜用溶液を調製した。
(多価金属塩含有溶液)
水92質量部に塩化カルシウム4質量部及び乳酸カルシウム4質量部を添加、撹拌し、多価金属塩含有溶液を調製した(多価金属塩含有溶液のpHは6.2であった)。
調製したソーセージ具材を可食性被膜用溶液中に10cm搾り出し(直径1.5cmのチューブ状)、1分間浸漬した。浸漬後、具材を可食性被膜用溶液から引き上げ、当該具材を多価金属塩含有溶液に1分間浸漬し、具材表面に可食性被膜を形成させた。具材表面に形成させた可食性被膜を85℃で5分間乾燥後、80℃で10分間スチーム処理し、被膜食品を調製した。
得られた被膜食品について、(a)被膜の形成状態、(b)具材と被膜との結着性、(c)被膜の食感及び(e)被膜のぬめりを評価した。(b)具材と被膜との結着性は、得られた被膜食品を1週間冷蔵(10℃)保存後の具材と被膜との結着性を、表3に示す基準に従って評価した。(e)経時的な被膜のぬめりは、調製直後の被膜食品と、調製後、1週間冷蔵(10℃)保存後の被膜食品の表面を指で擦り、ぬめりを触感で評価した。(a)、(b)及び(e)に関する結果を表12に示した。
(つくね具材)
表13に記載の原料を処方に従って秤量し、混合して、つくね具材を調製した。
表14に示す処方に従って、可食性被膜用溶液を調製した。具体的には、水にアルギン酸ナトリウムと、カラギナン(カッパ型)又はキサンタンガムを添加し、撹拌した。次いで、クエン酸を添加することでpHを4.1に調整した可食性被膜用溶液を調製した。
水92質量部に塩化カルシウム8質量部を添加、撹拌し、多価金属塩含有溶液を調製した(pH5.6)。
調製した、つくね具材を可食性被膜用溶液中に1分間浸漬した。浸漬後、つくね具材を可食性被膜用溶液から引き上げ、当該具材を多価金属塩含有溶液に1分間浸漬し、具材表面に可食性被膜を形成させた。これを、ホットプレートを用いて焼成し(表面、裏面共に2.5分間ずつ焼成)、被膜食品を調製した。
被膜食品について、(a)被膜の形成状態、(b)具材と被膜との結着性及び(c)被膜の食感を評価した。(b)具材と被膜との結着性の評価は、調製直後の被膜食品を−30℃で急速凍結後、電子レンジにて加熱処理(500W、2分間)した被膜食品について、表3に示す基準に従って行った。(a)被膜の形成状態及び(b)具材と被膜との結着性の結果を表15に示した。
Claims (5)
- 以下の工程;
(工程1)アルギン酸及び/又はその塩と、カラギナン、ジェランガム、ペクチン及びキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも一種以上とを含有し、pHが3.6以上4.5未満である可食性被膜用溶液を調製する工程、
(工程2)工程1で調製した可食性被膜用溶液と具材を接触させる工程、並びに
(工程3)工程2で可食性被膜用溶液と接触させた具材を、多価金属塩含有溶液と接触させる工程、
を含むことを特徴とする、具材表面に可食性被膜を形成する方法。 - 前記可食性被膜用溶液が、さらに、アルコール類、糖アルコール類及びアルギン酸プロピレングリコールエステルからなる群から選択される一種以上を含有するものである、請求項1に記載の具材表面に可食性被膜を形成する方法。
- 前記アルコール類が、エタノール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群から選択される一種以上を含むものである、請求項2に記載の具材表面に可食性被膜を形成する方法。
- 前記糖アルコール類が、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール及びオリゴ糖アルコールからなる群から選択される一種以上を含むものである、請求項2に記載の具材表面に可食性被膜を形成する方法。
- 以下の工程;
(工程1)アルギン酸及び/又はその塩と、カラギナン、ジェランガム、ペクチン及びキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも一種以上とを含有し、pHが3.6以上4.5未満である可食性被膜用溶液を調製する工程、
(工程2)工程1で調製した可食性被膜用溶液と具材を接触させる工程、並びに
(工程3)工程2で可食性被膜用溶液と接触させた具材を、多価金属塩含有溶液と接触させる工程、
を含むことを特徴とする、具材表面に可食性被膜が形成された、被膜食品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014126729A JP2015023861A (ja) | 2013-06-19 | 2014-06-19 | 可食性被膜の形成方法及び被膜食品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013128453 | 2013-06-19 | ||
JP2013128453 | 2013-06-19 | ||
JP2014126729A JP2015023861A (ja) | 2013-06-19 | 2014-06-19 | 可食性被膜の形成方法及び被膜食品の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015023861A true JP2015023861A (ja) | 2015-02-05 |
Family
ID=52489096
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014126729A Pending JP2015023861A (ja) | 2013-06-19 | 2014-06-19 | 可食性被膜の形成方法及び被膜食品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015023861A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2554039A (en) * | 2016-05-06 | 2018-03-28 | Freddy Hirsch Group Ag | Coated Food Products |
WO2019216361A1 (ja) * | 2018-05-09 | 2019-11-14 | 日清フーズ株式会社 | 衣材付き揚げ調理用具材の製造方法及び揚げ物の製造方法 |
KR102253056B1 (ko) * | 2020-05-18 | 2021-05-18 | 서주제과 주식회사 | 향상된 식감을 갖는 케이싱 젤리를 제조하는 방법 |
WO2022264277A1 (ja) | 2021-06-15 | 2022-12-22 | 日清フーズ株式会社 | 加熱食品の製造方法 |
Citations (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62126940A (ja) * | 1985-11-29 | 1987-06-09 | Unie Koroido Kk | 可食性フイルム |
JPS6336746B2 (ja) * | 1980-03-21 | 1988-07-21 | Kibun Kk | |
JPH01111440A (ja) * | 1987-10-23 | 1989-04-28 | Yukijirushi Shokuhin Kk | 耐熱性マイクロカプセルの製造方法 |
JPH0578237A (ja) * | 1990-03-06 | 1993-03-30 | Kelco Internatl Ltd | 放出制御製剤 |
JPH09103262A (ja) * | 1995-08-11 | 1997-04-22 | Soc Prod Nestle Sa | 調節したゲル化による食品の再結合法 |
JP2002165565A (ja) * | 2000-11-30 | 2002-06-11 | Osaka Kagaku Gokin Kk | ポリ乳酸を用いた食品用素材転写用シート、食品の調理方法及び保存方法 |
JP2004510446A (ja) * | 2000-10-10 | 2004-04-08 | ソシエテ デ プロデユイ ネツスル ソシエテ アノニム | 対照的な成分を有する包まれた食品 |
JP2004248665A (ja) * | 2002-12-26 | 2004-09-09 | Tsukioka:Kk | 可食性フィルム、可食性フィルムの製造方法、および可食性フィルムを含むフィルム |
JP2006333803A (ja) * | 2005-06-03 | 2006-12-14 | Kanebo Foods Ltd | pH6.0未満且つ有機酸量0.5%未満の液状食品用瞬間ゲル化剤 |
JP2009196961A (ja) * | 2008-02-25 | 2009-09-03 | Qualicaps Co Ltd | 腸溶性カプセル |
WO2014007630A2 (en) * | 2012-07-04 | 2014-01-09 | Marel Townsend Further Processing B.V. | Stabilized meat products |
WO2014125194A1 (fr) * | 2013-02-15 | 2014-08-21 | Marel France | Machine de production de saucisses avec son dispositif de coagulation du boyau et ligne de fabrication comprenant ladite machine |
-
2014
- 2014-06-19 JP JP2014126729A patent/JP2015023861A/ja active Pending
Patent Citations (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6336746B2 (ja) * | 1980-03-21 | 1988-07-21 | Kibun Kk | |
JPS62126940A (ja) * | 1985-11-29 | 1987-06-09 | Unie Koroido Kk | 可食性フイルム |
JPH01111440A (ja) * | 1987-10-23 | 1989-04-28 | Yukijirushi Shokuhin Kk | 耐熱性マイクロカプセルの製造方法 |
JPH0578237A (ja) * | 1990-03-06 | 1993-03-30 | Kelco Internatl Ltd | 放出制御製剤 |
JPH09103262A (ja) * | 1995-08-11 | 1997-04-22 | Soc Prod Nestle Sa | 調節したゲル化による食品の再結合法 |
JP2004510446A (ja) * | 2000-10-10 | 2004-04-08 | ソシエテ デ プロデユイ ネツスル ソシエテ アノニム | 対照的な成分を有する包まれた食品 |
JP2002165565A (ja) * | 2000-11-30 | 2002-06-11 | Osaka Kagaku Gokin Kk | ポリ乳酸を用いた食品用素材転写用シート、食品の調理方法及び保存方法 |
JP2004248665A (ja) * | 2002-12-26 | 2004-09-09 | Tsukioka:Kk | 可食性フィルム、可食性フィルムの製造方法、および可食性フィルムを含むフィルム |
JP2006333803A (ja) * | 2005-06-03 | 2006-12-14 | Kanebo Foods Ltd | pH6.0未満且つ有機酸量0.5%未満の液状食品用瞬間ゲル化剤 |
JP2009196961A (ja) * | 2008-02-25 | 2009-09-03 | Qualicaps Co Ltd | 腸溶性カプセル |
WO2014007630A2 (en) * | 2012-07-04 | 2014-01-09 | Marel Townsend Further Processing B.V. | Stabilized meat products |
WO2014125194A1 (fr) * | 2013-02-15 | 2014-08-21 | Marel France | Machine de production de saucisses avec son dispositif de coagulation du boyau et ligne de fabrication comprenant ladite machine |
Non-Patent Citations (4)
Title |
---|
LAIT, vol. 70, JPN6019009311, 1990, pages 467 - 473, ISSN: 0004119407 * |
工業化学雑誌, vol. 65, no. 9, JPN6018019397, 1962, pages 97 - 100, ISSN: 0004119405 * |
神奈川歯学, vol. 18, no. 3, JPN6018019396, 1983, pages 356 - 357, ISSN: 0004119404 * |
薬剤学, vol. 65, no. 2, JPN6018019398, 2005, pages 114 - 122, ISSN: 0004119406 * |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2554039A (en) * | 2016-05-06 | 2018-03-28 | Freddy Hirsch Group Ag | Coated Food Products |
GB2554039B (en) * | 2016-05-06 | 2022-08-31 | Freddy Hirsch Group Ag | Coated Food Products |
WO2019216361A1 (ja) * | 2018-05-09 | 2019-11-14 | 日清フーズ株式会社 | 衣材付き揚げ調理用具材の製造方法及び揚げ物の製造方法 |
CN111902051A (zh) * | 2018-05-09 | 2020-11-06 | 日清食品株式会社 | 带面衣材料的油炸烹调用食材的制造方法及油炸食品的制造方法 |
JPWO2019216361A1 (ja) * | 2018-05-09 | 2021-05-27 | 日清フーズ株式会社 | 衣材付き揚げ調理用具材の製造方法及び揚げ物の製造方法 |
JP7282755B2 (ja) | 2018-05-09 | 2023-05-29 | 株式会社日清製粉ウェルナ | 衣材付き揚げ調理用具材の製造方法及び揚げ物の製造方法 |
KR102253056B1 (ko) * | 2020-05-18 | 2021-05-18 | 서주제과 주식회사 | 향상된 식감을 갖는 케이싱 젤리를 제조하는 방법 |
WO2022264277A1 (ja) | 2021-06-15 | 2022-12-22 | 日清フーズ株式会社 | 加熱食品の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6640185B2 (ja) | 食品用ケーシング | |
EP2288264B1 (en) | Food product having a casing | |
TW201825010A (zh) | 藻類或植物性食用組合物 | |
TW201127300A (en) | Meat additive, pickling liquid and processed meat product | |
JP7451147B2 (ja) | ゲル積層体の製造方法 | |
JP2002281942A (ja) | 畜肉および魚肉加工品用の食感改良剤 | |
JP2018512852A (ja) | 模倣皮なしソーセージ | |
JP2015023861A (ja) | 可食性被膜の形成方法及び被膜食品の製造方法 | |
WO2016052712A1 (ja) | 食感改良組成物 | |
JP6008471B2 (ja) | 食品間の水分移行抑制剤並びに水分移行の抑制方法 | |
JP5759139B2 (ja) | 揚げ物用バッター | |
JP6526407B2 (ja) | パン粉付けフライ食品用バッターミックス、バッター、及びパン粉付けフライ食品 | |
JP6466657B2 (ja) | 蒲焼食感加工食品及びその製造方法 | |
JP4807336B2 (ja) | 新規な畜肉加工品 | |
JP2015144596A (ja) | バッターミックス | |
JP2023028798A (ja) | フライ食品の製造方法 | |
JP2002209531A (ja) | 粉末状の吸油抑制剤 | |
JP7343965B2 (ja) | 食材の加熱調理のための下処理用組成物、及び加熱調理食品の製造方法 | |
JP6166925B2 (ja) | 食品被覆物の製造方法 | |
AU2015327905B2 (en) | Fine emulsion sausages and method of making | |
JP6603018B2 (ja) | 畜水産加工食品の食感を向上する方法 | |
JP6052878B2 (ja) | 油揚食品の製造方法 | |
JP7034062B2 (ja) | ピックル液 | |
JP3343289B2 (ja) | バッター付けプレフライ食品の製造方法 | |
JP2000308472A (ja) | 魚卵塊食品およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170602 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180605 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20180803 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20181002 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190319 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20191001 |