JP2015020626A - トラクションコントロールシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】 低μ路からスプリットμ路へ変化したときに制動トルク制御を作動させることができ、車両の加速性能を確保できるトラクションコントロールシステムを提供する。
【解決手段】 車両の各駆動輪に対して独立に制動トルクを付与可能な液圧制御ユニットHUと、各車輪の速度を検出する各車輪速センサ2FL,2FR,2RL,2RRと、駆動輪左右速度差ΔVDLRを算出する駆動輪左右速度差検出手段と、各駆動輪の速度に応じて各駆動輪に制動トルクを付与する制動トルク制御手段と、制動トルク制御の開始速度を決定する第1の作動開始速度閾値決定手段と、を備え、第1の作動開始速度閾値決定手段は、駆動輪左右速度差が駆動輪左右速度差閾値よりも大きい場合には小さい場合よりも制御開始速度を小さく変更する。
【選択図】 図1
【解決手段】 車両の各駆動輪に対して独立に制動トルクを付与可能な液圧制御ユニットHUと、各車輪の速度を検出する各車輪速センサ2FL,2FR,2RL,2RRと、駆動輪左右速度差ΔVDLRを算出する駆動輪左右速度差検出手段と、各駆動輪の速度に応じて各駆動輪に制動トルクを付与する制動トルク制御手段と、制動トルク制御の開始速度を決定する第1の作動開始速度閾値決定手段と、を備え、第1の作動開始速度閾値決定手段は、駆動輪左右速度差が駆動輪左右速度差閾値よりも大きい場合には小さい場合よりも制御開始速度を小さく変更する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、トラクションコントロールシステムに関する。
特許文献1には、左右の車輪が走行する路面の摩擦係数が異なるスプリットμ路で加速する場合、低μ側車輪に制動トルクを付与して駆動スリップを抑制し、高μ側車輪に差動制限機能により駆動トルクを伝達することで車両の加速性能を確保する技術が開示されている。
しかしながら、上記従来技術にあっては、低μ路において駆動トルクを抑制しながら走行している最中に路面がスプリットμ路に変化した場合、駆動輪左右の車輪速差が大きくならず、低μ側車輪の車輪速度が制動トルク制御の開始閾値に達しないため、低μ側車輪への制動トルクの付与による差動制限機能が作動せず、車両の加速性能を確保できないという問題があった。
本発明の目的は、低μ路からスプリットμ路へ変化したときに制動トルク制御を作動させることができ、車両の加速性能を確保できるトラクションコントロールシステムを提供することにある。
本発明の目的は、低μ路からスプリットμ路へ変化したときに制動トルク制御を作動させることができ、車両の加速性能を確保できるトラクションコントロールシステムを提供することにある。
本発明のトラクションコントロールシステムでは、駆動輪左右速度差に応じて第1の作動開始速度閾値を小さく変更する。
よって、本発明のトラクションコントロールシステムでは、低μ路からスプリットμ路へ変化したときに制動トルク制御を作動させることができ、車両の加速性能を確保できる。
以下、本発明のトラクションコントロールシステムを実施するための形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
〔実施例1〕
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1のトラクションコントロールシステムを適用した車両の制駆動系を示すシステム構成図である。
[システム構成]
液圧制御ユニット(制動トルク発生装置)HUは、ブレーキコントロールユニットBCUからの指令に基づいて、前輪左FLのホイルシリンダW/C(FL)、後輪右RRのホイルシリンダW/C(RR)、前輪右FRのホイルシリンダW/C(FR)、後輪左RLのホイルシリンダW/C(RL)の各液圧を増減または保持する。
エンジンEは、自動変速機AT、ディファレンシャルギアDGを介して前輪左右FL,FRのフロントドライブシャフトFDS(FL),FDS(FR)とそれぞれ連結され、エンジンコントロールユニットECUからの指令に基づいて前輪左右FL,FRに駆動力を付与する。
エンジンコントロールユニットECUは、エンジン回転数センサ1からのエンジン回転数、吸入空気量、冷却水温、スロットルバルブの開度(スロットル開度)等の運転状態に基づき、エンジンEの燃料噴射量や点火時期を制御する。
ブレーキコントロールユニットBCUは、マスタシリンダ圧センサPMCからのマスタシリンダ圧、各車輪速センサ(車輪速度検出手段)2FL,2FR,2RL,2RRからの各車輪速、操舵角センサ3からのステアリングホイール4の操舵角、ヨーレイトセンサ5かからのヨーレイト、前後Gセンサ6からの前後加速度、横Gセンサ7からの横加速度、ブレーキスイッチBSからブレーキペダルBPの操作信号等に基づき、液圧制御ユニットHUに指令を送る。
〔実施例1〕
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1のトラクションコントロールシステムを適用した車両の制駆動系を示すシステム構成図である。
[システム構成]
液圧制御ユニット(制動トルク発生装置)HUは、ブレーキコントロールユニットBCUからの指令に基づいて、前輪左FLのホイルシリンダW/C(FL)、後輪右RRのホイルシリンダW/C(RR)、前輪右FRのホイルシリンダW/C(FR)、後輪左RLのホイルシリンダW/C(RL)の各液圧を増減または保持する。
エンジンEは、自動変速機AT、ディファレンシャルギアDGを介して前輪左右FL,FRのフロントドライブシャフトFDS(FL),FDS(FR)とそれぞれ連結され、エンジンコントロールユニットECUからの指令に基づいて前輪左右FL,FRに駆動力を付与する。
エンジンコントロールユニットECUは、エンジン回転数センサ1からのエンジン回転数、吸入空気量、冷却水温、スロットルバルブの開度(スロットル開度)等の運転状態に基づき、エンジンEの燃料噴射量や点火時期を制御する。
ブレーキコントロールユニットBCUは、マスタシリンダ圧センサPMCからのマスタシリンダ圧、各車輪速センサ(車輪速度検出手段)2FL,2FR,2RL,2RRからの各車輪速、操舵角センサ3からのステアリングホイール4の操舵角、ヨーレイトセンサ5かからのヨーレイト、前後Gセンサ6からの前後加速度、横Gセンサ7からの横加速度、ブレーキスイッチBSからブレーキペダルBPの操作信号等に基づき、液圧制御ユニットHUに指令を送る。
[液圧制御ユニット]
図2は、実施例1の液圧制御ユニットHUの回路構成図である。
実施例1の液圧制御ユニットHUは、P系統とS系統との2系統からなる、X配管と呼ばれる配管構造を有している。なお、図2に記載された各部位の符号の末尾に付けられたPはP系統、SはS系統を示し、FL,RR,FR,RLは前輪左、後輪右、前輪右、後輪左に対応することを示す。以下の説明では、P,S系統または各輪を区別しないとき、P,SまたはFL,RR,FR,RLの記載を省略する。
実施例1の液圧制御ユニットHUは、クローズド油圧回路を用いている。ここで、クローズド油圧回路とは、ホイルシリンダW/Cへ供給されたブレーキ液を、マスタシリンダM/Cを介してリザーバタンクRSVへと戻す油圧回路をいう。
ブレーキペダルBPは、インプットロッドIRを介してマスタシリンダM/Cに接続されている。
P系統には、前輪左FLのホイルシリンダW/C(FL)、後輪右RRのホイルシリンダW/C(RR)が接続され、S系統には、前輪右FRのホイルシリンダW/C(FR)、後輪左RLのホイルシリンダW/C(RL)が接続される。また、P系統、S系統には、ポンプPP、ポンプPSが設けられている。ポンプPP、ポンプPSは、例えば、シングルギヤポンプであって、1つのモータMにより駆動され、吸入部10aから吸入したブレーキ液を加圧して吐出部10bへ吐出する。
図2は、実施例1の液圧制御ユニットHUの回路構成図である。
実施例1の液圧制御ユニットHUは、P系統とS系統との2系統からなる、X配管と呼ばれる配管構造を有している。なお、図2に記載された各部位の符号の末尾に付けられたPはP系統、SはS系統を示し、FL,RR,FR,RLは前輪左、後輪右、前輪右、後輪左に対応することを示す。以下の説明では、P,S系統または各輪を区別しないとき、P,SまたはFL,RR,FR,RLの記載を省略する。
実施例1の液圧制御ユニットHUは、クローズド油圧回路を用いている。ここで、クローズド油圧回路とは、ホイルシリンダW/Cへ供給されたブレーキ液を、マスタシリンダM/Cを介してリザーバタンクRSVへと戻す油圧回路をいう。
ブレーキペダルBPは、インプットロッドIRを介してマスタシリンダM/Cに接続されている。
P系統には、前輪左FLのホイルシリンダW/C(FL)、後輪右RRのホイルシリンダW/C(RR)が接続され、S系統には、前輪右FRのホイルシリンダW/C(FR)、後輪左RLのホイルシリンダW/C(RL)が接続される。また、P系統、S系統には、ポンプPP、ポンプPSが設けられている。ポンプPP、ポンプPSは、例えば、シングルギヤポンプであって、1つのモータMにより駆動され、吸入部10aから吸入したブレーキ液を加圧して吐出部10bへ吐出する。
マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとは、管路11と管路12により接続されている。管路12Pは、管路12FL,12RRに分岐し、管路12FLはホイルシリンダW/C(FL)と接続され、管路12RRはホイルシリンダW/C(RR)と接続されている。管路12Sは、管路12FR,12RLに分岐し、管路12FRはホイルシリンダW/C(FR)と接続され、管路12RLはホイルシリンダW/C(RL)と接続されている。
管路11上には、常開型の比例電磁弁であるゲートアウト弁13が設けられている。P系統の管路11Pのゲートアウト弁13PよりもマスタシリンダM/C側の位置には、マスタシリンダ圧センサPMCが設けられている。管路11上には、ゲートアウト弁13と並列に管路14が設けられている。管路14上には、チェック弁15が設けられている。チェック弁15は、ホイルシリンダW/CからマスタシリンダM/Cへ向かうブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
管路12上には、各ホイルシリンダW/Cに対応する常開型の比例電磁弁であるソレノイドイン弁16が設けられている。管路12上には、ソレノイドイン弁16と並列に管路17が設けられている。管路17上には、チェック弁18が設けられている。チェック弁18は、マスタシリンダM/CからホイルシリンダW/Cへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
管路11上には、常開型の比例電磁弁であるゲートアウト弁13が設けられている。P系統の管路11Pのゲートアウト弁13PよりもマスタシリンダM/C側の位置には、マスタシリンダ圧センサPMCが設けられている。管路11上には、ゲートアウト弁13と並列に管路14が設けられている。管路14上には、チェック弁15が設けられている。チェック弁15は、ホイルシリンダW/CからマスタシリンダM/Cへ向かうブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
管路12上には、各ホイルシリンダW/Cに対応する常開型の比例電磁弁であるソレノイドイン弁16が設けられている。管路12上には、ソレノイドイン弁16と並列に管路17が設けられている。管路17上には、チェック弁18が設けられている。チェック弁18は、マスタシリンダM/CからホイルシリンダW/Cへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
管路11と管路12の接続点と、ポンプPの吐出部10bとは、管路19により接続されている。管路19上には、ポンプPの吐出弁20が設けられている。吐出弁20は、吐出部10bから管路11および管路12へ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
管路11のゲートアウト弁13よりもマスタシリンダM/C側の位置とポンプPの吸入部10aとは、管路21と管路22により接続されている。管路21上には、常閉型の比例電磁弁であるゲートイン弁23が設けられている。管路22は、両端にポンプPの吸入部10aとリザーバ24とが接続され、途中に管路21が接続されている。管路22上であって、管路21との接続点よりもリザーバ24側の位置には、チェック弁27が設けられている。チェック弁27は、リザーバ24からポンプPの吸入部10aへ向かう方向のブレーキ液の流れを許容し、反対方向への流れを禁止する。また、管路22上であって、管路21との接続点よりもポンプPの吸入部10a側の位置には、チェック弁28が設けられている。チェック弁28は、ゲートイン弁23からポンプPの吸入部10aへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向への流れを禁止する。
管路12のソレノイドイン弁16よりもホイルシリンダW/C側の位置とリザーバ24とは、管路25により接続されている。管路25FL,25RRは管路25Pで合流し、リザーバ24Pと接続されている。管路25FR,25RLは管路25Sで合流し、リザーバ24Sと接続されている。管路25上には、常閉型の電磁弁であるソレノイドアウト弁26が設けられている。
管路11のゲートアウト弁13よりもマスタシリンダM/C側の位置とポンプPの吸入部10aとは、管路21と管路22により接続されている。管路21上には、常閉型の比例電磁弁であるゲートイン弁23が設けられている。管路22は、両端にポンプPの吸入部10aとリザーバ24とが接続され、途中に管路21が接続されている。管路22上であって、管路21との接続点よりもリザーバ24側の位置には、チェック弁27が設けられている。チェック弁27は、リザーバ24からポンプPの吸入部10aへ向かう方向のブレーキ液の流れを許容し、反対方向への流れを禁止する。また、管路22上であって、管路21との接続点よりもポンプPの吸入部10a側の位置には、チェック弁28が設けられている。チェック弁28は、ゲートイン弁23からポンプPの吸入部10aへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向への流れを禁止する。
管路12のソレノイドイン弁16よりもホイルシリンダW/C側の位置とリザーバ24とは、管路25により接続されている。管路25FL,25RRは管路25Pで合流し、リザーバ24Pと接続されている。管路25FR,25RLは管路25Sで合流し、リザーバ24Sと接続されている。管路25上には、常閉型の電磁弁であるソレノイドアウト弁26が設けられている。
ブレーキコントロールユニットBCUは、各センサやスイッチからの信号に基づき、液圧制御ユニットHUの各アクチュエータを制御する。これにより、ブレーキ操作力を低減するための倍力制御や、制動による車輪のスリップを抑制するためのアンチロックブレーキ制御や、車両の運動制御(横滑り防止等の車両挙動安定化制御)のためのブレーキ制御や、先行車追従制御等の自動ブレーキ制御を実現する。
実施例1では、発進時または加速時に駆動輪である前輪左右FL,FRが駆動スリップした場合、駆動トルクを抑制して前輪左右FL,FRの空転を抑制する駆動源トルク制御(以下、エンジンTCSとも言う。)を実施する。
また、ブレーキコントロールユニットBCUは、左右の車輪が走行する路面の摩擦係数が異なるスプリットμ路で加速する場合、低μ側車輪の駆動スリップを制動トルクの付与により抑制する制動トルク制御(以下、ブレーキTCSとも言う。)を実施しつつ、駆動トルクの付与により車両の加速性能を確保する駆動源トルク制御を実施する。
実施例1では、発進時または加速時に駆動輪である前輪左右FL,FRが駆動スリップした場合、駆動トルクを抑制して前輪左右FL,FRの空転を抑制する駆動源トルク制御(以下、エンジンTCSとも言う。)を実施する。
また、ブレーキコントロールユニットBCUは、左右の車輪が走行する路面の摩擦係数が異なるスプリットμ路で加速する場合、低μ側車輪の駆動スリップを制動トルクの付与により抑制する制動トルク制御(以下、ブレーキTCSとも言う。)を実施しつつ、駆動トルクの付与により車両の加速性能を確保する駆動源トルク制御を実施する。
[トラクション制御処理]
図3は、実施例1のトラクション制御処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、イグニッションスイッチがONされてからOFFされるまでの間、所定の演算周期で繰り返し実行される。
ステップS1では、メモリクリアやフラグリセット等の初期化処理を行う。
ステップS2では、車輪速センサ2FL,2FRから駆動輪左速度(前輪左車輪速)VDLと駆動輪右速度(前輪右車輪速)VDRを入力する。
ステップS3では、車輪速センサ2RL,2RRから従動輪左速度(後輪左車輪速)VNLと従動輪右速度(後輪右車輪速)VNRを入力する。
ステップS4では、駆動輪左速度VDLから駆動輪右速度VDRを減算して駆動輪左右速度差ΔVDLRを演算する。
ΔVDLR= VDL - VDR
ステップS5では、駆動輪左速度VDLと駆動輪右速度VDRとから駆動輪平均速度VDを演算する。
VD = (VDL + VDR)/2
ステップS6では、従動輪左速度VNLと従動輪右速度VNRから従動輪平均速度VNを演算する。
VN = (VNL + VNR)/2
ステップS7では、制動トルク制御実施処理を行う。詳細は後述する。
ステップS8では、駆動源トルク制御実施処理を行う。詳細は後述する。
ステップS9では、制動トルク制御の制御対象車輪の推定ホイル圧を演算する。
図3は、実施例1のトラクション制御処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、イグニッションスイッチがONされてからOFFされるまでの間、所定の演算周期で繰り返し実行される。
ステップS1では、メモリクリアやフラグリセット等の初期化処理を行う。
ステップS2では、車輪速センサ2FL,2FRから駆動輪左速度(前輪左車輪速)VDLと駆動輪右速度(前輪右車輪速)VDRを入力する。
ステップS3では、車輪速センサ2RL,2RRから従動輪左速度(後輪左車輪速)VNLと従動輪右速度(後輪右車輪速)VNRを入力する。
ステップS4では、駆動輪左速度VDLから駆動輪右速度VDRを減算して駆動輪左右速度差ΔVDLRを演算する。
ΔVDLR= VDL - VDR
ステップS5では、駆動輪左速度VDLと駆動輪右速度VDRとから駆動輪平均速度VDを演算する。
VD = (VDL + VDR)/2
ステップS6では、従動輪左速度VNLと従動輪右速度VNRから従動輪平均速度VNを演算する。
VN = (VNL + VNR)/2
ステップS7では、制動トルク制御実施処理を行う。詳細は後述する。
ステップS8では、駆動源トルク制御実施処理を行う。詳細は後述する。
ステップS9では、制動トルク制御の制御対象車輪の推定ホイル圧を演算する。
[制動トルク制御実施処理]
図4は、実施例1の制動トルク制御実施処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS11では、駆動輪左右速度差閾値A決定処理を行う。
ステップS12では、駆動輪左右速度差ΔVDLRが駆動輪左右速度差閾値Aよりも大きいか否かを判定し、YESの場合はステップS14へ進み、NOの場合はステップS13へ進む。
ステップS13では、駆動輪左の制動トルク制御開始速度VDL_Strを演算する。
ステップS14では、駆動輪左速度VDLを駆動輪左の制動トルク制御開始速度VDL_Strとする。
VDL_Str = VDL
ステップS15では、駆動輪左右速度差ΔVDLRが負の駆動輪左右速度差閾値(-A)よりも小さいか否かを判定し、YESの場合はステップS17へ進み、NOの場合はステップS16へ進む。
ステップS16では、駆動輪右の制動トルク制御開始速度VDR_Strを演算する。
ステップS17では、駆動輪右速度VDRを駆動輪右の制動トルク制御開始速度VDR_Strとする。
VDR_Str = VDR
ステップS18では、駆動輪左の制動トルク制御目標速度VDL_Refまたは駆動輪右の制動トルク制御目標速度VDR_Refを演算する。
ステップS19では、駆動輪左速度VDLから駆動輪左の制動トルク制御目標速度VDL_Refを減じて駆動輪左の制御偏差eVDLを演算すると共に、駆動輪右速度VDRから制動トルク制御目標速度VDR_Refを減じて駆動輪右の制御偏差eVDRを演算する。
eVDL = VDL - VDL_Ref
eVDR = VDR - VDR_Ref
ステップS20では、制御中であるか否かを判定し、YESの場合はステップS22へ進み、NOの場合はステップS21へ進む。
ステップS21では、制御開始条件が成立したか否かを判定し、YESの場合はステップS23へ進み、NOの場合は処理を終了する。
ステップS22では、制御終了条件が成立したか否かを判定し、YESの場合は処理を終了し、NOの場合はステップS23へ進む。ここでは、制動トルク制御の操作量がゼロとなった場合、制御終了条件が成立したと判定する。
ステップS23では、駆動輪左の制御偏差eVDLまたは駆動輪右の制御偏差eVDRに基づく目標ホイル圧を演算する。
ステップS24では、制動トルク制御の制御対象車輪のホイル圧が目標ホイル圧となるように液圧制御ユニットHUの駆動処理を行う。
図4は、実施例1の制動トルク制御実施処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS11では、駆動輪左右速度差閾値A決定処理を行う。
ステップS12では、駆動輪左右速度差ΔVDLRが駆動輪左右速度差閾値Aよりも大きいか否かを判定し、YESの場合はステップS14へ進み、NOの場合はステップS13へ進む。
ステップS13では、駆動輪左の制動トルク制御開始速度VDL_Strを演算する。
ステップS14では、駆動輪左速度VDLを駆動輪左の制動トルク制御開始速度VDL_Strとする。
VDL_Str = VDL
ステップS15では、駆動輪左右速度差ΔVDLRが負の駆動輪左右速度差閾値(-A)よりも小さいか否かを判定し、YESの場合はステップS17へ進み、NOの場合はステップS16へ進む。
ステップS16では、駆動輪右の制動トルク制御開始速度VDR_Strを演算する。
ステップS17では、駆動輪右速度VDRを駆動輪右の制動トルク制御開始速度VDR_Strとする。
VDR_Str = VDR
ステップS18では、駆動輪左の制動トルク制御目標速度VDL_Refまたは駆動輪右の制動トルク制御目標速度VDR_Refを演算する。
ステップS19では、駆動輪左速度VDLから駆動輪左の制動トルク制御目標速度VDL_Refを減じて駆動輪左の制御偏差eVDLを演算すると共に、駆動輪右速度VDRから制動トルク制御目標速度VDR_Refを減じて駆動輪右の制御偏差eVDRを演算する。
eVDL = VDL - VDL_Ref
eVDR = VDR - VDR_Ref
ステップS20では、制御中であるか否かを判定し、YESの場合はステップS22へ進み、NOの場合はステップS21へ進む。
ステップS21では、制御開始条件が成立したか否かを判定し、YESの場合はステップS23へ進み、NOの場合は処理を終了する。
ステップS22では、制御終了条件が成立したか否かを判定し、YESの場合は処理を終了し、NOの場合はステップS23へ進む。ここでは、制動トルク制御の操作量がゼロとなった場合、制御終了条件が成立したと判定する。
ステップS23では、駆動輪左の制御偏差eVDLまたは駆動輪右の制御偏差eVDRに基づく目標ホイル圧を演算する。
ステップS24では、制動トルク制御の制御対象車輪のホイル圧が目標ホイル圧となるように液圧制御ユニットHUの駆動処理を行う。
[駆動源トルク制御実施処理]
図5は、実施例1の駆動源トルク制御実施処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS31では、駆動源トルク制御開始速度VD_Strを演算する。
ステップS32では、駆動源トルク制御目標速度VD_Refを演算する。
ステップS33では、駆動輪平均速度VDから駆動源トルク制御目標速度VD_Refを減じて駆動輪平均速度の制御偏差eVDを演算する。
eVD = VD - VD_Ref
ステップS34では、制御中であるか否かを判定し、YESの場合はステップS36へ進み、NOの場合はステップS35へ進む。
ステップS35では、制御開始条件が成立したか否かを判定し、YESの場合はステップS37へ進み、NOの場合は処理を終了する。
ステップS36では、制御終了条件が成立したか否かを判定し、YESの場合は処理を終了し、NOの場合はステップS37へ進む。ここでは、駆動トルクがスロットル開度に応じたドライバ要求トルクまで増加した場合、制御終了条件が成立したと判定する。
ステップS37では、目標駆動トルク演算処理を行う。詳細は後述する。
ステップS38では、エンジンコントロールユニットECUに対し、エンジンEの駆動トルクを目標駆動トルクとする指令を出力するエンジン駆動処理を行う。
図5は、実施例1の駆動源トルク制御実施処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS31では、駆動源トルク制御開始速度VD_Strを演算する。
ステップS32では、駆動源トルク制御目標速度VD_Refを演算する。
ステップS33では、駆動輪平均速度VDから駆動源トルク制御目標速度VD_Refを減じて駆動輪平均速度の制御偏差eVDを演算する。
eVD = VD - VD_Ref
ステップS34では、制御中であるか否かを判定し、YESの場合はステップS36へ進み、NOの場合はステップS35へ進む。
ステップS35では、制御開始条件が成立したか否かを判定し、YESの場合はステップS37へ進み、NOの場合は処理を終了する。
ステップS36では、制御終了条件が成立したか否かを判定し、YESの場合は処理を終了し、NOの場合はステップS37へ進む。ここでは、駆動トルクがスロットル開度に応じたドライバ要求トルクまで増加した場合、制御終了条件が成立したと判定する。
ステップS37では、目標駆動トルク演算処理を行う。詳細は後述する。
ステップS38では、エンジンコントロールユニットECUに対し、エンジンEの駆動トルクを目標駆動トルクとする指令を出力するエンジン駆動処理を行う。
[目標駆動トルク演算処理]
図6は、実施例1の目標駆動トルク演算処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS41では、駆動輪平均速度の制御偏差eVDに基づくフィードバック操作量TFBを演算する。
ステップS42では、駆動輪の一方だけ制動トルク制御中であるか否かを判定し、YESの場合はステップS44へ進み、NOの場合はステップS43へ進む。
ステップS43では、スプリット用操作量TSP=0とする。
ステップS44では、スプリット用操作量TSPを演算する。詳細は後述する。
ステップS45では、フィードバック操作量TFBにスプリット用操作量TSPを加算して目標駆動トルクTTGTを演算する。
TTGT = TFB + TSP
図6は、実施例1の目標駆動トルク演算処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS41では、駆動輪平均速度の制御偏差eVDに基づくフィードバック操作量TFBを演算する。
ステップS42では、駆動輪の一方だけ制動トルク制御中であるか否かを判定し、YESの場合はステップS44へ進み、NOの場合はステップS43へ進む。
ステップS43では、スプリット用操作量TSP=0とする。
ステップS44では、スプリット用操作量TSPを演算する。詳細は後述する。
ステップS45では、フィードバック操作量TFBにスプリット用操作量TSPを加算して目標駆動トルクTTGTを演算する。
TTGT = TFB + TSP
[スプリット用操作量TSPの演算方法]
図7は、実施例1のスプリット用操作量TSPの演算方法を示す図である。
スプリット用操作量TSPは、車両制御環境(車両の駆動方式、制動トルク制御の制御偏差、制動トルク制御により付与した制動トルク、ブレーキ液圧の増加能力、ブレーキパッドの摩擦係数変化、車両の旋回状態、路面μ)に応じて変更する。
実施例1のような前輪駆動車では、駆動輪と操向輪とが同一の車輪であり、制動トルク制御によるタイヤ前後力の変化がステアリングに影響を及ぼすため、スプリット用操作量TSPの基準値TSP_baseを小さく設定する。一方、後輪駆動車では、制動トルク制御によるタイヤ前後力の変化がステアリングに影響を及ぼさないため、スプリット用操作量TSPの基準値TSP_baseを大きく設定する。なお、前輪駆動車であっても、ステアリングホイール4と操向輪とが機械的に切り離されたステア・バイ・ワイヤ方式の操舵装置を搭載している場合は、制動トルク制御によるステアリングの影響がないため、スプリット用操作量TSPの基準値TSP_baseを大きく設定する。
図8は、制御偏差eVDL(eVDR)に応じたゲインK1の設定マップであり、ゲインK1は、駆動輪左の制御偏差eVDLおよび駆動輪右の制御偏差eVDRが所定値以下の場合は1、所定値を超える場合は0とする。
図7は、実施例1のスプリット用操作量TSPの演算方法を示す図である。
スプリット用操作量TSPは、車両制御環境(車両の駆動方式、制動トルク制御の制御偏差、制動トルク制御により付与した制動トルク、ブレーキ液圧の増加能力、ブレーキパッドの摩擦係数変化、車両の旋回状態、路面μ)に応じて変更する。
実施例1のような前輪駆動車では、駆動輪と操向輪とが同一の車輪であり、制動トルク制御によるタイヤ前後力の変化がステアリングに影響を及ぼすため、スプリット用操作量TSPの基準値TSP_baseを小さく設定する。一方、後輪駆動車では、制動トルク制御によるタイヤ前後力の変化がステアリングに影響を及ぼさないため、スプリット用操作量TSPの基準値TSP_baseを大きく設定する。なお、前輪駆動車であっても、ステアリングホイール4と操向輪とが機械的に切り離されたステア・バイ・ワイヤ方式の操舵装置を搭載している場合は、制動トルク制御によるステアリングの影響がないため、スプリット用操作量TSPの基準値TSP_baseを大きく設定する。
図8は、制御偏差eVDL(eVDR)に応じたゲインK1の設定マップであり、ゲインK1は、駆動輪左の制御偏差eVDLおよび駆動輪右の制御偏差eVDRが所定値以下の場合は1、所定値を超える場合は0とする。
図9は、制動トルク制御により付与した制動トルク(≒目標ホイル圧)に応じたゲインK2の設定マップであり、ゲインK2は、制動トルクが大きいほど小さな値となる特性とし、上下限値を設ける。
図10は、ブレーキ液圧の増加能力に応じたゲインK3の設定マップであり、ゲインK3は、ブレーキ液圧の増加能力が高いほど大きな値となる特性とする。例えば、ブレーキ液圧の応答性は、オイルの粘度が高いほど低下するため、低温であるほどブレーキ液圧の増加能力が低いと判定する。
図11は、ブレーキパッドの摩擦係数に応じたゲインK4の設定マップであり、ゲインK4は、ブレーキパッドの摩擦係数が高いほど大きな値となる特性とする。ブレーキパッドの摩擦係数は、ブレーキ作動時間やフェード時ブレーキアシスト作動などから推定できる。
図12は、ヨーレイトに応じたゲインK5の設定マップであり、ゲインK5は、ヨーレイトの絶対値が大きいほど小さな値となる特性とし、上下限値を設ける。ヨーレイトに代えて、操舵角と車速を用いても良い。
図13は、路面μに応じたゲインK6の設定マップであり、ゲインK6は、高μ路面では1とし、低μ路面では路面μが低いほど小さな値となる特性とする。
図10は、ブレーキ液圧の増加能力に応じたゲインK3の設定マップであり、ゲインK3は、ブレーキ液圧の増加能力が高いほど大きな値となる特性とする。例えば、ブレーキ液圧の応答性は、オイルの粘度が高いほど低下するため、低温であるほどブレーキ液圧の増加能力が低いと判定する。
図11は、ブレーキパッドの摩擦係数に応じたゲインK4の設定マップであり、ゲインK4は、ブレーキパッドの摩擦係数が高いほど大きな値となる特性とする。ブレーキパッドの摩擦係数は、ブレーキ作動時間やフェード時ブレーキアシスト作動などから推定できる。
図12は、ヨーレイトに応じたゲインK5の設定マップであり、ゲインK5は、ヨーレイトの絶対値が大きいほど小さな値となる特性とし、上下限値を設ける。ヨーレイトに代えて、操舵角と車速を用いても良い。
図13は、路面μに応じたゲインK6の設定マップであり、ゲインK6は、高μ路面では1とし、低μ路面では路面μが低いほど小さな値となる特性とする。
次に、実施例1の作用を説明する。
[スプリットμ路における制動トルク制御開始速度変更作用]
図14は、氷結路を走行中にエンジンTCSのみで駆動輪のスリップを抑制している最中に路面がスプリットμ路(氷結路,ドライ路)に変化した状態を示している。従来のトラクションコントロールシステムでは、スプリットμ路で加速すると、エンジンTCSにより駆動輪の平均速度が押さえ込まれることにより、駆動輪左右の車輪速差が大きくならず、低μ側(氷結路側)車輪(駆動輪右)の速度がブレーキTCSの作動開始速度に達しないため、ブレーキTCSによる差動制限機能が作動せず、氷結路走行時と同程度の加速性能しか得られないという問題があった。
これに対し、実施例1では、制動トルク制御実施処理において、駆動輪左右速度差ΔVDLRが駆動輪左右速度差閾値Aを超えた場合、駆動輪右速度VDRを駆動輪右の制動トルク制御開始速度VDR_Strとする。すなわち、図15に示すように、制動トルク制御開始速度VDR_Strを低下させ、現在の速度をブレーキTCSの作動開始速度とすることで、その時点からブレーキTCSを開始させることができる。よって、ブレーキTCSにより、駆動輪右に制動トルクを付与して駆動スリップを抑制することで、駆動輪左に差動制限機能による駆動トルクを伝達でき、車両の加速性能を確保できる。
[スプリットμ路における駆動トルク増加作用]
実施例1では、駆動源トルク制御実施処理において、駆動輪の一方だけブレーキTCSが作動している場合、フィードバック操作量TFBに対しスプリット用操作量TSPを加えた値を目標駆動トルクTTGTとする。すなわち、エンジンTCSの目標駆動トルクTTGTを均一な氷結路における目標駆動トルクTTGT=TFBよりもTSPだけ大きくする。つまり、駆動輪右のスリップ量を増加させ、駆動輪右の制御偏差eVDRを大きくすることで、ブレーキTCSによる制動力が増大するため、差動制限機能による効果を徐々に大きくすることができ、車両の加速度を増加させることができる。
[スプリットμ路における制動トルク制御開始速度変更作用]
図14は、氷結路を走行中にエンジンTCSのみで駆動輪のスリップを抑制している最中に路面がスプリットμ路(氷結路,ドライ路)に変化した状態を示している。従来のトラクションコントロールシステムでは、スプリットμ路で加速すると、エンジンTCSにより駆動輪の平均速度が押さえ込まれることにより、駆動輪左右の車輪速差が大きくならず、低μ側(氷結路側)車輪(駆動輪右)の速度がブレーキTCSの作動開始速度に達しないため、ブレーキTCSによる差動制限機能が作動せず、氷結路走行時と同程度の加速性能しか得られないという問題があった。
これに対し、実施例1では、制動トルク制御実施処理において、駆動輪左右速度差ΔVDLRが駆動輪左右速度差閾値Aを超えた場合、駆動輪右速度VDRを駆動輪右の制動トルク制御開始速度VDR_Strとする。すなわち、図15に示すように、制動トルク制御開始速度VDR_Strを低下させ、現在の速度をブレーキTCSの作動開始速度とすることで、その時点からブレーキTCSを開始させることができる。よって、ブレーキTCSにより、駆動輪右に制動トルクを付与して駆動スリップを抑制することで、駆動輪左に差動制限機能による駆動トルクを伝達でき、車両の加速性能を確保できる。
[スプリットμ路における駆動トルク増加作用]
実施例1では、駆動源トルク制御実施処理において、駆動輪の一方だけブレーキTCSが作動している場合、フィードバック操作量TFBに対しスプリット用操作量TSPを加えた値を目標駆動トルクTTGTとする。すなわち、エンジンTCSの目標駆動トルクTTGTを均一な氷結路における目標駆動トルクTTGT=TFBよりもTSPだけ大きくする。つまり、駆動輪右のスリップ量を増加させ、駆動輪右の制御偏差eVDRを大きくすることで、ブレーキTCSによる制動力が増大するため、差動制限機能による効果を徐々に大きくすることができ、車両の加速度を増加させることができる。
[車両制御環境に応じた駆動トルク増加量変更作用]
実施例1のように前輪駆動車の場合には、後輪駆動車またはステア・バイ・ワイヤ方式の操舵装置を搭載した前輪駆動車の場合よりもスプリット用操作量TSPを小さくする。これにより、前輪駆動車の場合には、ブレーキTCS作動時の操舵反力変化を抑制できる。一方、後輪駆動車またはステア・バイ・ワイヤ方式の操舵装置を搭載した前輪駆動車の場合には、車両の加速性能を向上できる。
制御偏差eVDL(eVDR)が所定値を超える場合には、スプリット用操作量TSPをゼロとする。制御偏差eVDL(eVDR)が大きい場合には、ブレーキTCSによる制動力が大きくなり、差動制限機能による効果を十分に出せるため、駆動トルクの増加は不要である。よって、制御偏差eVDL(eVDR)が大きい場合には駆動トルクの増加量をゼロとすることで、過度な駆動トルクの増加を抑制できる。
ブレーキTCSによる制動トルクが大きいほどスプリット用操作量TSPを小さくする。ブレーキTCSによる制動トルクが大きいほど、高μ側車輪の駆動トルクが増加するため、更に駆動トルクを増加すると、高μ側車輪が駆動スリップしやすくなる。ブレーキTCSによる制動トルクが大きいほど駆動トルクの増加量を小さくすることで、高μ側車輪が駆動スリップしやすくなるのを抑制でき、車両安定性を確保できる。
実施例1のように前輪駆動車の場合には、後輪駆動車またはステア・バイ・ワイヤ方式の操舵装置を搭載した前輪駆動車の場合よりもスプリット用操作量TSPを小さくする。これにより、前輪駆動車の場合には、ブレーキTCS作動時の操舵反力変化を抑制できる。一方、後輪駆動車またはステア・バイ・ワイヤ方式の操舵装置を搭載した前輪駆動車の場合には、車両の加速性能を向上できる。
制御偏差eVDL(eVDR)が所定値を超える場合には、スプリット用操作量TSPをゼロとする。制御偏差eVDL(eVDR)が大きい場合には、ブレーキTCSによる制動力が大きくなり、差動制限機能による効果を十分に出せるため、駆動トルクの増加は不要である。よって、制御偏差eVDL(eVDR)が大きい場合には駆動トルクの増加量をゼロとすることで、過度な駆動トルクの増加を抑制できる。
ブレーキTCSによる制動トルクが大きいほどスプリット用操作量TSPを小さくする。ブレーキTCSによる制動トルクが大きいほど、高μ側車輪の駆動トルクが増加するため、更に駆動トルクを増加すると、高μ側車輪が駆動スリップしやすくなる。ブレーキTCSによる制動トルクが大きいほど駆動トルクの増加量を小さくすることで、高μ側車輪が駆動スリップしやすくなるのを抑制でき、車両安定性を確保できる。
ブレーキ液圧の増加能力が高いほどスプリット用操作量TSPを大きくする。例えば、ブレーキ液が低温で粘度が高く、ブレーキ液圧の増加能力が低下している状態では、ブレーキTCSによる制動トルクが増加しにくいため、スプリット用操作量TSPを大きくすると低μ側車輪の駆動スリップが過剰に増加する。ブレーキ液圧の増加能力が高いほど駆動トルクの増加量を大きくすることで、駆動スリップの過剰な増加を防止して車両安定性を確保できる。
ブレーキパッドの摩擦係数が高いほどスプリット用操作量TSPを大きくする。ブレーキパッドの摩擦係数が低い状態では、ブレーキTCSによる制動トルクが増加しにくいため、スプリット用操作量TSPを大きくすると低μ側車輪の駆動スリップが過剰に増加する。ブレーキパッドの摩擦係数が高いほど駆動トルクの増加量を大きくすることで、ブレーキパッドの摩擦係数が低下している場合に、駆動スリップの過剰な増加を防止して車両安定性を確保できる。
ヨーレイトが大きいほどスプリット用操作量TSPを小さくする。旋回時に駆動トルクを増加させると旋回挙動が不安定になるおそれがあるため、ヨーレイトが大きいほど駆動トルクの増加量を小さくする、旋回時の車両安定性を確保できる。
低μ路では路面μが低いほどスプリット用操作量TSPを小さくする。低μ路の場合は高μ路の場合と比較して駆動トルクの増加による車両挙動変化が大きいため、路面μが低いほど駆動トルクの増加量を小さくすることで、車両挙動変化を抑制して車両安定性を確保できる。
ブレーキパッドの摩擦係数が高いほどスプリット用操作量TSPを大きくする。ブレーキパッドの摩擦係数が低い状態では、ブレーキTCSによる制動トルクが増加しにくいため、スプリット用操作量TSPを大きくすると低μ側車輪の駆動スリップが過剰に増加する。ブレーキパッドの摩擦係数が高いほど駆動トルクの増加量を大きくすることで、ブレーキパッドの摩擦係数が低下している場合に、駆動スリップの過剰な増加を防止して車両安定性を確保できる。
ヨーレイトが大きいほどスプリット用操作量TSPを小さくする。旋回時に駆動トルクを増加させると旋回挙動が不安定になるおそれがあるため、ヨーレイトが大きいほど駆動トルクの増加量を小さくする、旋回時の車両安定性を確保できる。
低μ路では路面μが低いほどスプリット用操作量TSPを小さくする。低μ路の場合は高μ路の場合と比較して駆動トルクの増加による車両挙動変化が大きいため、路面μが低いほど駆動トルクの増加量を小さくすることで、車両挙動変化を抑制して車両安定性を確保できる。
次に、効果を説明する。
実施例1のトラクションコントロールシステムにあっては、以下に列挙する効果を奏する。
(1) 車両の各駆動輪に対して独立に制動トルクを付与可能な液圧制御ユニットHUと、各車輪の速度を検出する各車輪速センサ2FL,2FR,2RL,2RRと、駆動輪左右速度差ΔVDLRを算出する駆動輪左右速度差検出手段(S4)と、各駆動輪の速度に応じて各駆動輪に制動トルクを付与する制動トルク制御手段(S7)と、制動トルク制御の開始速度VDL_Str(VDR_Str)を決定する第1の作動開始速度閾値決定手段(S13,S14)と、を備え、第1の作動開始速度閾値決定手段は、駆動輪左右速度差ΔVDLRが駆動輪左右速度差閾値Aよりも大きい場合には小さい場合よりも制御開始速度VDL_Str(VDR_Str)を小さく変更する。
よって、低μ路からスプリットμ路へ変化したときに制動トルク制御を作動させることができ、車両の加速性能を確保できる。
実施例1のトラクションコントロールシステムにあっては、以下に列挙する効果を奏する。
(1) 車両の各駆動輪に対して独立に制動トルクを付与可能な液圧制御ユニットHUと、各車輪の速度を検出する各車輪速センサ2FL,2FR,2RL,2RRと、駆動輪左右速度差ΔVDLRを算出する駆動輪左右速度差検出手段(S4)と、各駆動輪の速度に応じて各駆動輪に制動トルクを付与する制動トルク制御手段(S7)と、制動トルク制御の開始速度VDL_Str(VDR_Str)を決定する第1の作動開始速度閾値決定手段(S13,S14)と、を備え、第1の作動開始速度閾値決定手段は、駆動輪左右速度差ΔVDLRが駆動輪左右速度差閾値Aよりも大きい場合には小さい場合よりも制御開始速度VDL_Str(VDR_Str)を小さく変更する。
よって、低μ路からスプリットμ路へ変化したときに制動トルク制御を作動させることができ、車両の加速性能を確保できる。
(2) 駆動輪平均速度VDを演算する駆動輪軸速度検出手段(S5)と、駆動輪平均速度VDに応じて車両のエンジンEで発生させるトルクを制御する駆動源トルク制御手段(S8)と、駆動源トルク制御を作動開始させる駆動源トルク制御開始速度VD_Strを決定する第2の作動開始速度閾値決定手段(S31)と、を備え、駆動源トルク制御手段は、駆動輪の左右一方だけ制動トルク制御が作動しているときに、エンジンEのトルクを増加させる。
よって、差動制限機能による効果を徐々に大きくすることができ、車両の加速度を増加させることができる。
よって、差動制限機能による効果を徐々に大きくすることができ、車両の加速度を増加させることができる。
(3) 駆動源トルク制御手段は、車両制御環境に応じて駆動源トルク制御によるエンジンEのトルク増加量を変更する。
よって、ドライバフィーリングと車両安定性との両立を実現できる。
よって、ドライバフィーリングと車両安定性との両立を実現できる。
〔実施例2〕
実施例2では、駆動源トルク制御実施処理のみ実施例1と異なるため、実施例1と同一の部位には同一の名称、同一の符号を付して説明を省略する。
[駆動源トルク制御実施処理]
図16は、実施例2の駆動源トルク制御実施処理の流れを示すフローチャートである。なお、図5に示した実施例1のフローチャートと同じ処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS51では、駆動輪の一方だけ制動トルク制御中であるか否かを判定し、YESの場合にはステップS52へ進み、NOの場合にはステップS32へ進む。
ステップS52では、駆動輪平均速度VDに所定値Bを加算した値VD+Bと駆動源トルク制御開始速度VD_Strのセレクトローにより駆動源トルク制御目標速度VD_Refを決定する。
VD_Ref = min((VD + B),VD_Str)
ステップS53では、目標駆動トルク演算処理を行う。実施例2の目標駆動トルク演算処理では、駆動輪平均速度の制御偏差eVDに基づくフィードバック操作量TFBを演算し、フィードバック操作量TFBを目標駆動トルクTTGTとする。
TTGT = TFB
実施例2では、駆動源トルク制御実施処理のみ実施例1と異なるため、実施例1と同一の部位には同一の名称、同一の符号を付して説明を省略する。
[駆動源トルク制御実施処理]
図16は、実施例2の駆動源トルク制御実施処理の流れを示すフローチャートである。なお、図5に示した実施例1のフローチャートと同じ処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS51では、駆動輪の一方だけ制動トルク制御中であるか否かを判定し、YESの場合にはステップS52へ進み、NOの場合にはステップS32へ進む。
ステップS52では、駆動輪平均速度VDに所定値Bを加算した値VD+Bと駆動源トルク制御開始速度VD_Strのセレクトローにより駆動源トルク制御目標速度VD_Refを決定する。
VD_Ref = min((VD + B),VD_Str)
ステップS53では、目標駆動トルク演算処理を行う。実施例2の目標駆動トルク演算処理では、駆動輪平均速度の制御偏差eVDに基づくフィードバック操作量TFBを演算し、フィードバック操作量TFBを目標駆動トルクTTGTとする。
TTGT = TFB
次に、実施例1の作用を説明する。
[スプリットμ路における駆動トルク増加作用]
実施例2では、駆動源トルク制御実施処理において、駆動輪の一方だけブレーキTCSが作動している場合、駆動源トルク制御目標速度VD_Refを現在の駆動輪平均速度VDよりも所定値Bだけ高くなるように設定する。すなわち、図17に示すように、フィードバック制御を常にトルク増加側に作用させることで、差動制限機能による効果を徐々に大きくすることができ、車両の加速度を増加させることができる。このとき、駆動源トルク制御目標速度VD_Refが駆動源トルク制御開始速度VD_Strを超えないように制限しているため、過剰なトルク増加を抑制できる。
その他については実施例1と同様であるため、説明を省略する。
[スプリットμ路における駆動トルク増加作用]
実施例2では、駆動源トルク制御実施処理において、駆動輪の一方だけブレーキTCSが作動している場合、駆動源トルク制御目標速度VD_Refを現在の駆動輪平均速度VDよりも所定値Bだけ高くなるように設定する。すなわち、図17に示すように、フィードバック制御を常にトルク増加側に作用させることで、差動制限機能による効果を徐々に大きくすることができ、車両の加速度を増加させることができる。このとき、駆動源トルク制御目標速度VD_Refが駆動源トルク制御開始速度VD_Strを超えないように制限しているため、過剰なトルク増加を抑制できる。
その他については実施例1と同様であるため、説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例2のトラクションコントロールシステムにあっては、実施例1の効果(1)に加え、以下の効果を奏する。
(4) 駆動輪平均速度VDを演算する駆動輪軸速度検出手段(S5)と、駆動輪平均速度VDに応じて車両のエンジンEで発生させるトルクを制御する駆動源トルク制御手段(S8)と、駆動源トルク制御を作動開始させる駆動源トルク制御開始速度VD_Strを決定する第2の作動開始速度閾値決定手段(S31)と、駆動源トルク制御による制御目標速度VD_Refを決定する目標速度決定手段(S32,S52)と、を備え、目標速度決定手段(S52)は、駆動輪の左右一方だけ制動トルク制御が作動しているときに、駆動源トルク制御によりエンジンEのトルクが増加するよう制御目標速度VD_Refを変更する。
よって、差動制限機能による効果を徐々に大きくすることができ、車両の加速度を増加させることができる。
実施例2のトラクションコントロールシステムにあっては、実施例1の効果(1)に加え、以下の効果を奏する。
(4) 駆動輪平均速度VDを演算する駆動輪軸速度検出手段(S5)と、駆動輪平均速度VDに応じて車両のエンジンEで発生させるトルクを制御する駆動源トルク制御手段(S8)と、駆動源トルク制御を作動開始させる駆動源トルク制御開始速度VD_Strを決定する第2の作動開始速度閾値決定手段(S31)と、駆動源トルク制御による制御目標速度VD_Refを決定する目標速度決定手段(S32,S52)と、を備え、目標速度決定手段(S52)は、駆動輪の左右一方だけ制動トルク制御が作動しているときに、駆動源トルク制御によりエンジンEのトルクが増加するよう制御目標速度VD_Refを変更する。
よって、差動制限機能による効果を徐々に大きくすることができ、車両の加速度を増加させることができる。
〔実施例3〕
実施例3では、目標駆動トルク演算処理のみ実施例1と異なるため、実施例1と同一の部位には同一の名称、同一の符号を付して説明を省略する。
[目標駆動トルク演算処理]
図18は、実施例3の目標駆動トルク演算処理の流れを示すフローチャートである。なお、図6に示した実施例1のフローチャートと同じ処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS61では、フィードバック操作量TFBを目標駆動トルクTTGTとする。
TTGT = TFB
ステップS62では、スプリット用操作量TSPを目標駆動トルクTTGTとする。
TTGT = TSP
実施例3では、目標駆動トルク演算処理のみ実施例1と異なるため、実施例1と同一の部位には同一の名称、同一の符号を付して説明を省略する。
[目標駆動トルク演算処理]
図18は、実施例3の目標駆動トルク演算処理の流れを示すフローチャートである。なお、図6に示した実施例1のフローチャートと同じ処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS61では、フィードバック操作量TFBを目標駆動トルクTTGTとする。
TTGT = TFB
ステップS62では、スプリット用操作量TSPを目標駆動トルクTTGTとする。
TTGT = TSP
次に、実施例3の作用を説明する。
[スプリットμ路における駆動トルク増加作用]
実施例3では、駆動源トルク制御実施処理において、駆動輪の一方だけブレーキTCSが作動している場合、スプリット用操作量TSPを目標駆動トルクTTGTとする。これにより、フィードバック操作量TFBにかかわらず駆動トルクを増加させることができるため、差動制限機能による効果を徐々に大きくして車両の加速度を増加させることができる。
よって、実施例3にあっては、実施例1と同様の作用効果を奏する。
[スプリットμ路における駆動トルク増加作用]
実施例3では、駆動源トルク制御実施処理において、駆動輪の一方だけブレーキTCSが作動している場合、スプリット用操作量TSPを目標駆動トルクTTGTとする。これにより、フィードバック操作量TFBにかかわらず駆動トルクを増加させることができるため、差動制限機能による効果を徐々に大きくして車両の加速度を増加させることができる。
よって、実施例3にあっては、実施例1と同様の作用効果を奏する。
〔他の実施例〕
以上、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施例に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
以上、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施例に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
以下に、実施例から把握される特許請求の範囲に記載した発明以外の技術的思想について説明する。
(a) 請求項4に記載のトラクションコントロールシステムにおいて、
前記車両制御環境として、車両の駆動方式(前輪駆動車か後輪駆動車か)を考慮したことを特徴とするトラクションコントロールシステム。
よって、前輪駆動車の場合は駆動トルクの増加量を小さくして制動トルク制御作動時の操舵反力変化を抑制でき、後輪駆動車の場合は駆動トルクの増加量を大きくして車両の加速性能を向上できる。
(b) (a)に記載のトラクションコントロールシステムにおいて、
前記車両制御環境として、車両が前輪駆動車であった場合、ステアリングと前輪タイヤとの連結機構を考慮したことを特徴とするトラクションコントロールシステム。
よって、ステアリングと前輪タイヤとが機械的に切り離されたステア・バイ・ワイヤ方式の操舵装置を搭載した前輪駆動車の場合は、制動トルク制御作動時であっても操舵反力が変化しないため、駆動トルクの増加量を大きくして車両の加速性能を向上できる。
(c) 請求項4に記載のトラクションコントロールシステムにおいて、
前記車両制御環境として、前記第1の駆動スリップ制御手段による制御偏差を考慮したことを特徴とするトラクションコントロールシステム。
よって、過度な駆動トルクの増加を防止しながら、差動制限機能による効果を継続させ、車両の加速性能を確保できる。
(a) 請求項4に記載のトラクションコントロールシステムにおいて、
前記車両制御環境として、車両の駆動方式(前輪駆動車か後輪駆動車か)を考慮したことを特徴とするトラクションコントロールシステム。
よって、前輪駆動車の場合は駆動トルクの増加量を小さくして制動トルク制御作動時の操舵反力変化を抑制でき、後輪駆動車の場合は駆動トルクの増加量を大きくして車両の加速性能を向上できる。
(b) (a)に記載のトラクションコントロールシステムにおいて、
前記車両制御環境として、車両が前輪駆動車であった場合、ステアリングと前輪タイヤとの連結機構を考慮したことを特徴とするトラクションコントロールシステム。
よって、ステアリングと前輪タイヤとが機械的に切り離されたステア・バイ・ワイヤ方式の操舵装置を搭載した前輪駆動車の場合は、制動トルク制御作動時であっても操舵反力が変化しないため、駆動トルクの増加量を大きくして車両の加速性能を向上できる。
(c) 請求項4に記載のトラクションコントロールシステムにおいて、
前記車両制御環境として、前記第1の駆動スリップ制御手段による制御偏差を考慮したことを特徴とするトラクションコントロールシステム。
よって、過度な駆動トルクの増加を防止しながら、差動制限機能による効果を継続させ、車両の加速性能を確保できる。
(d) 請求項4に記載のトラクションコントロールシステムにおいて、
前記車両制御環境として、前記第1の駆動スリップ制御手段により付与した制動トルクを考慮したことを特徴とするトラクションコントロールシステム。
よって、差動制限機能による効果で駆動トルクが増加した高μ側車輪が駆動スリップしにくいよう調整でき、車両安定性を確保できる。
(e) 請求項4に記載のトラクションコントロールシステムにおいて、
前記車両制御環境として、前記第1の駆動スリップ制御手段による制動トルクを発生させるブレーキ液圧の増加能力を考慮したことを特徴とするトラクションコントロールシステム。
よって、例えばブレーキ液が低温で粘度が高くブレーキ液圧の増加能力が低下している場合に、駆動スリップの過剰な増加を防止して車両安定性を確保できる。
(f) 請求項4に記載のトラクションコントロールシステムにおいて、
前記車両制御環境として、前記第1の駆動スリップ制御手段による制動トルクを発生させるブレーキのブレーキパッドの摩擦係数変化を考慮したことを特徴とするトラクションコントロールシステム。
よって、例えばブレーキフェード時にブレーキパッドの摩擦係数が低下している場合に、駆動スリップの過剰な増加を防止して車両安定性を確保できる。
前記車両制御環境として、前記第1の駆動スリップ制御手段により付与した制動トルクを考慮したことを特徴とするトラクションコントロールシステム。
よって、差動制限機能による効果で駆動トルクが増加した高μ側車輪が駆動スリップしにくいよう調整でき、車両安定性を確保できる。
(e) 請求項4に記載のトラクションコントロールシステムにおいて、
前記車両制御環境として、前記第1の駆動スリップ制御手段による制動トルクを発生させるブレーキ液圧の増加能力を考慮したことを特徴とするトラクションコントロールシステム。
よって、例えばブレーキ液が低温で粘度が高くブレーキ液圧の増加能力が低下している場合に、駆動スリップの過剰な増加を防止して車両安定性を確保できる。
(f) 請求項4に記載のトラクションコントロールシステムにおいて、
前記車両制御環境として、前記第1の駆動スリップ制御手段による制動トルクを発生させるブレーキのブレーキパッドの摩擦係数変化を考慮したことを特徴とするトラクションコントロールシステム。
よって、例えばブレーキフェード時にブレーキパッドの摩擦係数が低下している場合に、駆動スリップの過剰な増加を防止して車両安定性を確保できる。
(g) 請求項4に記載のトラクションコントロールシステムにおいて、
前記車両制御環境として、車両の旋回状態を考慮したことを特徴とするトラクションコントロールシステム。
よって、例えばヨーレイトが大きく車両の自転運動が速い場合に、車両安定性を確保できる。
(h) 請求項4に記載のトラクションコントロールシステムにおいて、
前記車両制御環境として、路面μを考慮したことを特徴とするトラクションコントロールシステム。
よって、車両挙動変化が大きい低μ路の場合に、車両安定性を確保できる。
前記車両制御環境として、車両の旋回状態を考慮したことを特徴とするトラクションコントロールシステム。
よって、例えばヨーレイトが大きく車両の自転運動が速い場合に、車両安定性を確保できる。
(h) 請求項4に記載のトラクションコントロールシステムにおいて、
前記車両制御環境として、路面μを考慮したことを特徴とするトラクションコントロールシステム。
よって、車両挙動変化が大きい低μ路の場合に、車両安定性を確保できる。
2 車輪速センサ
BCU ブレーキコントロールユニット
E エンジン
ECU エンジンコントロールユニット
FL 前輪左
FR 前輪右
HU 液圧制御ユニット
RL 後輪左
RR 後輪右
BCU ブレーキコントロールユニット
E エンジン
ECU エンジンコントロールユニット
FL 前輪左
FR 前輪右
HU 液圧制御ユニット
RL 後輪左
RR 後輪右
Claims (4)
- 車両の各駆動輪に対して独立に制動トルクを付与可能な制動トルク発生装置と、
各車輪の速度を検出する各車輪速度検出手段と、
駆動輪の左右の速度差を検出する駆動輪左右速度差検出手段と、
各駆動輪の速度に応じて各駆動輪に制動トルクを付与する第1の駆動スリップ制御手段と、
前記第1の駆動スリップ制御手段を作動開始させる速度閾値を決定する第1の作動開始速度閾値決定手段と、
を備え、
前記第1の作動開始速度閾値決定手段は、前記駆動輪左右速度差に応じて前記第1の作動開始速度閾値を小さく変更することを特徴とするトラクションコントロールシステム。 - 請求項1に記載のトラクションコントロールシステムにおいて、
駆動輪軸の回転速度を検出する駆動輪軸速度検出手段と、
前記駆動輪軸の速度に応じて車両の駆動源で発生させるトルクを制御する第2の駆動スリップ制御手段と、
前記第2の駆動スリップ制御手段を作動開始させる駆動輪軸速度閾値を決定する第2の作動開始速度閾値決定手段と、
を備え、
前記第2の駆動スリップ制御手段は、駆動輪の左右一方だけ前記第1の駆動スリップ制御手段が作動しているときに前記駆動源のトルクを増加させることを特徴とするトラクションコントロールシステム。 - 請求項1に記載のトラクションコントロールシステムにおいて、
駆動輪軸の回転速度を検出する駆動輪軸速度検出手段と、
前記駆動輪軸の速度に応じて車両の駆動源で発生させるトルクを制御する第2の駆動スリップ制御手段と、
前記第2の駆動スリップ制御手段を作動開始させる駆動輪軸速度閾値を決定する第2の作動開始速度閾値決定手段と、
前記第2の駆動スリップ制御手段による目標速度を決定する目標速度決定手段と、
を備え、
前記目標速度決定手段は、駆動輪の左右一方だけ前記第1の駆動スリップ制御手段が作動しているときに、前記第2の駆動スリップ制御手段により前記駆動源のトルクが増加するよう前記第2の目標速度を変更することを特徴とするトラクションコントロールシステム。 - 請求項2に記載のトラクションコントロールシステムにおいて、
前記第2の駆動スリップ制御手段は、車両制御環境に応じて前記第2の駆動スリップ制御手段による前記駆動源のトルク増加量を変更することを特徴とするトラクションコントロールシステム。
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- 2013-07-19 JP JP2013150823A patent/JP2015020626A/ja active Pending
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