JP2002029401A - 車両の差動制限装置 - Google Patents

車両の差動制限装置

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JP2002029401A
JP2002029401A JP2000216787A JP2000216787A JP2002029401A JP 2002029401 A JP2002029401 A JP 2002029401A JP 2000216787 A JP2000216787 A JP 2000216787A JP 2000216787 A JP2000216787 A JP 2000216787A JP 2002029401 A JP2002029401 A JP 2002029401A
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speed difference
vehicle
differential
wheels
wheel
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JP2000216787A
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Hiroshi Sasaki
佐々木  寛
Toshiaki Tsuyama
俊明 津山
Haruki Okazaki
晴樹 岡崎
Masashi Oda
昌司 小田
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で、高G旋回時には左右の駆動車
輪である後輪3,4間の差動を制限して左右の後輪3,
4のうちの旋回内側の空転を抑えると共に、低G旋回時
にはアンダーステア特性の発生を抑制する。 【解決手段】 左右の後輪3,4間の回転速度差が所定
値以上であるときに、該左右の後輪3,4のうち回転速
度が大きい側に制動力を付与することで、左右の後輪
3,4間の差動を制限する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の左右の駆動
車輪間のデファレンシャル機構による差動を制限するよ
うにした車両の差動制限装置に関する技術分野に属す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両のエンジンの出力トルク
は、デファレンシャル機構を介して左右の駆動車輪に伝
達されるようになっており、このデファレンシャル機構
によって左右の駆動車輪間に回転速度差が生じることを
許容し、このことで、車両がスムーズに旋回できるよう
にすると共に、タイヤの摩耗等を防いでいる。
【0003】ところが、車両にかなり大きな横加速度が
生じるような高G旋回時には、旋回外側への荷重移動に
より旋回内輪が浮いてしまい、上記デファレンシャル機
構の特性により旋回内側の駆動車輪が空転して、駆動力
を必要とする旋回外側の駆動車輪に駆動力が伝達されな
くなる。
【0004】そこで、従来、左右の駆動車輪間の差動を
制限する機械式の差動制限機構を有するデファレンシャ
ル機構(リミテッドスリップデフ:LSD)を用いるこ
とがよく知られており、このようなLSDとしては、左
右の駆動車輪間の回転速度差に応じて作動制限力を発生
するようにしたビスカスLSDや、入力トルクに応じて
作動制限力を発生するようにしたトルーセンLSD等が
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のL
SDを用いた車両では、横加速度が比較的小さい低G旋
回時において、旋回外輪が内輪よりも速くなるので、旋
回外輪に作動制限力が発生し、アンダーステア特性にな
るという問題がある。
【0006】一方、上記LSDを用いた車両において、
油圧クラッチや電磁クラッチ等を設けて必要時(高G旋
回時等)のみに左右の駆動車輪間の差動を制限し、低G
旋回時等においては差動を制限しないようにすることに
より、低G旋回時におけるアンダーステア特性の発生を
防止することが考えられるが、構成が複雑でかなりのコ
ストアップを招いてしまう。
【0007】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、簡単な構成で、高G旋
回時には左右の駆動車輪間の差動を制限して旋回内側の
駆動車輪の空転を抑えると共に、低G旋回時にはアンダ
ーステア特性の発生を抑制しようとすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明では、左右の駆動車輪間の回転速度差が
所定値以上であるときに、該左右の駆動車輪のうち回転
速度が大きい側に制動力を付与することで、左右の駆動
車輪間の差動を制限するようにした。
【0009】具体的には、請求項1の発明では、車両の
左右の駆動車輪間のデファレンシャル機構による差動を
制限するようにした車両の差動制限装置を対象とする。
【0010】そして、上記左右の駆動車輪に独立して制
動力を付与するブレーキユニットと、上記左右の駆動車
輪間の回転速度差が所定値以上であるか否かを判定する
車輪速度差判定手段と、上記ブレーキユニットの作動を
制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、上記車輪
速度差判定手段により左右の駆動車輪間の回転速度差が
所定値以上であると判定されたときに、上記左右の駆動
車輪のうち回転速度が大きい側に制動力を付与すること
で、左右の駆動車輪間の差動を制限するように構成され
ているものとする。
【0011】上記の構成により、高G旋回時に旋回内側
の駆動車輪が浮いて空転したとすると、左右の駆動車輪
間の回転速度差が所定値以上となり、左右の駆動車輪の
うち回転速度が大きい側、つまり旋回内側の駆動車輪に
制動力が付与され、その旋回内側の駆動車輪の空転が抑
えられる。この結果、駆動力を必要とする旋回外側の駆
動車輪に駆動力が伝達される。一方、低G旋回時には、
旋回外輪が内輪よりも速くなるが、上記所定値を適切に
設定しておけば、左右の駆動車輪間の回転速度差が所定
値よりも小さくなるので、旋回外側の駆動車輪に制動力
が付与されることはない。この結果、低G旋回時にアン
ダーステア特性の発生を抑制することができる。よっ
て、簡単な構成で、高G旋回時における駆動車輪の空転
による旋回性能の低下と低G旋回時におけるアンダース
テア特性による回頭性の低下とを抑制することができ
る。
【0012】請求項2の発明では、請求項1の発明にお
いて、駆動車輪は、前輪及び後輪の一方のみであり、車
輪速度差判定手段は、左側の前後輪間の回転速度差と右
側の前後輪間の回転速度差との差に基づいて、左右の駆
動車輪間の回転速度差が所定値以上であるか否かを判定
するように構成されているものとする。
【0013】このことにより、左右の駆動車輪間の回転
速度差に加えて、左右の従動車輪間の回転速度差を考慮
することになり、この左右の従動車輪間の回転速度差
は、駆動車輪の空転時には左右の駆動車輪間の回転速度
差よりもかなり小さくなる一方、低G旋回時には左右の
駆動車輪間の回転速度差に近い値になるので、駆動車輪
の空転を、左右の駆動車輪間の回転速度差だけで検出す
る場合よりも確実にかつ容易に検出することができる。
すなわち、駆動車輪の空転であるか否かの判定閾値(所
定値に相当する閾値)を出来る限り小さくすることがで
き、低G旋回時には制動力が付与されないようにしつ
つ、駆動車輪の空転時には素早く制動力を付与すること
ができる。よって、低G旋回時におけるアンダーステア
特性による回頭性の低下を確実に抑制しつつ、高G旋回
時における旋回性能の低下をより一層良好に抑制するこ
とができる。
【0014】請求項3の発明では、請求項1の発明にお
いて、制御手段は、左右の駆動車輪間の回転速度差に応
じて制動力を変化させるように構成され、上記制動力の
上記回転速度差に対する変化量は、回転速度差が小さい
領域の方が大きい領域よりも大きく設定されているもの
とする。
【0015】こうすることで、左右の駆動車輪間の回転
速度差が大きいほど制動力を大きくして駆動車輪の空転
を良好に抑えることができると共に、回転速度差が大き
い領域では、制動力の回転速度差に対する変化量が小さ
いので、回転速度差がかなり大きい場合でも、制動力が
大きくなりすぎることはなくて、制動力を付与する駆動
車輪がロックするようなことは生じず、しかも、空転が
停止したときにはドライバに減速感を与えるのを防止す
ることができる。
【0016】請求項4の発明では、請求項1の発明にお
いて、制御手段は、車両の車速が所定車速以上であると
きにのみ、左右の駆動車輪間の差動を制限するように構
成されているものとする。
【0017】このことで、車速が所定車速よりも小さい
旋回は、通常、低G旋回であり、このとき、左右の駆動
車輪間の差動は制限されないので、低G旋回時における
アンダーステア特性の発生を確実に抑制することができ
る。
【0018】請求項5の発明では、請求項1の発明にお
いて、制御手段は、車両が不整路面を走行しているとき
には、車輪速度差判定手段により左右の駆動車輪間の回
転速度差が所定値以上であると判定されても、左右の駆
動車輪間の差動を制限しないように構成されているもの
とする。
【0019】このことにより、不整路面を走行している
ときに制御が頻繁に行われるのを防止することができ、
駆動車輪用のブレーキのフェード現象が発生するのを防
止することができる。
【0020】請求項6の発明では、請求項1の発明にお
いて、デファレンシャル機構は、左右の駆動車輪間の差
動を制限する機械式の差動制限機構を有しているものと
する。
【0021】すなわち、制御手段による制動力の付与に
より直進安定性を向上させようとすると、制動力が頻繁
に付与されてフェード現象が生じたりドライバに減速感
を与えたりする虞れがあるが、この発明では、機械式の
差動制限機構により直進安定性を向上させつつ、フェー
ド現象が生じたりドライバに減速感を与えたりするのを
防止することができる。そして、差動制限機構により発
生する作動制限力が比較的小さくなるようにしておけ
ば、差動制限機構による低G旋回時のアンダーステア特
性をかなり小さく抑えることができると共に、高G旋回
時には差動制限機構による作動制限力と制御手段による
制動力とにより駆動車輪の空転を良好に抑えることがで
きる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る車
両の差動制限装置の全体構成を示し、この差動制限装置
は、左前輪1、右前輪2、左後輪3及び右後輪4の各車
輪に独立して制動力を付与するブレーキユニット10
と、このブレーキユニット10の作動を制御する制御手
段としてのコントローラ50とを備えている。
【0023】上記左右の前輪1,2は従動車輪とされ、
左右の後輪3,4は駆動車輪とされ、エンジン31の出
力トルクが、自動変速機32、プロペラシャフト33、
デファレンシャル機構34及び左右の駆動軸35,36
を介して左右の後輪3,4に伝達されるようになってい
る。尚、デファレンシャル機構34は、左右の後輪3,
4間の差動を制限するような機械式の差動制限機構を有
したものではない。
【0024】上記ブレーキユニット10は、各車輪1〜
4にそれぞれ設けられたブレーキ11〜14を有し、こ
の各ブレーキ11〜14は、該各車輪1〜4と一体的に
回転するディスク11a〜14aと、ブレーキ液圧(制
動圧)の供給を受けて該ディスク11a〜14aを制動
するキャリパ11b〜14bとで構成されている。この
ブレーキ液圧の供給のための構成は、以下のようになっ
ている。
【0025】すなわち、ドライバによるブレーキペダル
17の踏み込み力を増大させる倍力装置18と、この倍
力装置18によって増大された力に応じて制動圧を発生
させるマスターシリンダ19とが設けられており、上記
ブレーキペダル17には、該ブレーキペダル17の踏み
込み作動を検出してON信号を出力するブレーキセンサ
51が設けられている。このブレーキセンサ51からの
ON信号は上記コントローラ50に入力されるようにな
っている。
【0026】上記マスターシリンダ19からは前輪用及
び後輪用制動圧供給ライン20,21がそれぞれ延設さ
れている。上記前輪用制動圧供給ライン20は左前輪用
制動圧供給ライン20aと右前輪用制動圧供給ライン2
0bとに分岐し、各々上記左右の前輪1,2におけるブ
レーキ11,12のキャリパ11b,12bに接続され
ている。上記左前輪用制動圧供給ライン20aには、電
磁式開閉弁25aと電磁式リリーフ弁25bとからなる
第1バルブユニット25が設けられ、上記右前輪用制動
圧供給ライン20bには、電磁式開閉弁26aと電磁式
リリーフ弁26bとからなる第2バルブユニット26が
設けられている。また、上記後輪用制動圧供給ライン2
1は左後輪用制動圧供給ライン21aと右後輪用制動圧
供給ライン21bとに分岐し、各々上記左右の後輪3,
4におけるブレーキ13,14のキャリパ13b,14
bに接続されている。上記左後輪用制動圧供給ライン2
1aには、電磁式開閉弁27aと電磁式リリーフ弁27
bとからなる第3バルブユニット27が設けられ、上記
右後輪用制動圧供給ライン21bには、電磁式開閉弁2
8aと電磁式リリーフ弁28bとからなる第4バルブユ
ニット28が設けられている。
【0027】そして、上記コントローラ50は、上記第
1〜第4バルブユニット25〜28を制御することによ
り、各車輪1〜4のブレーキ11〜14の制動圧を互い
に独立して調整するようになっており、上記ブレーキセ
ンサ51からのON信号が上記コントローラ50に入力
されているときには、ABS制御等のブレーキ制御を行
うようになっている。
【0028】上記各車輪1〜4には、該各車輪1〜4の
回転速度を検出する車輪速センサ54〜57が設けら
れ、この各車輪速センサ54〜57からの信号が上記コ
ントローラ50内の車輪速度差判定部50aに入力され
るようになっている。この車輪速度差判定部50aは、
左右の駆動車輪である後輪3,4間の回転速度差が所定
値以上であるか否かを判定する車輪速度差判定手段を構
成していて、後述の如く、左側の前後輪1,3間の回転
速度差と右側の前後輪2,4間の回転速度差との差に基
づいて、左右の後輪3,4間の回転速度差が所定値以上
であるか否かを判定するように構成されている。
【0029】上記コントローラ50は、上記車輪速度差
判定部50aにより左右の後輪3,4間の回転速度差が
所定値以上であると判定されたときには、左右の後輪
3,4のうち回転速度が大きい側に制動力を付与するこ
とで、左右の後輪3,4間のデファレンシャル機構34
による差動を制限するように構成されている。
【0030】上記コントローラ50における左右の後輪
3,4間の差動制限のための具体的な制御処理動作は図
2及び図3の如く行われる。尚、図2の処理動作と図3
の処理動作とは略同時に行われる。
【0031】先ず、最初のステップS1では、右左輪回
転速度差Vd1を、 Vd1=(右後輪4の回転速度−右前輪2の回転速度)
−(左後輪3の回転速度−左前輪1の回転速度) により求める。つまり、右左輪回転速度差Vd1は、 Vd1=(右後輪4の回転速度−左後輪3の回転速度)
−(右前輪2の回転速度−左前輪1の回転速度) となり、左右の後輪3,4間の回転速度差だけでなく、
左右の前輪1,2間の回転速度差をも考慮したものにな
っている。
【0032】そして、次のステップS2では、一般的な
フィルター処理を行ってノイズを除去し、次のステップ
S3では、右後輪4の目標制動力を、 右後輪4の目標制動力=|Vd1|1/2・lsd_ga
in/RT により求める。ここで、lsd_gainはゲインであ
り、RTはタイヤ動荷重半径である。
【0033】次のステップS4では、右後輪4の目標ブ
レーキ圧を、上記ステップS3で求めた右後輪4の目標
制動力を用いて、 右後輪4の目標ブレーキ圧=右後輪4の目標制動力/B
TKF により求める。ここで、BTKFは以下の式で求まる値
である。
【0034】BTKF=2π・(DWR/2)2・BE
FF・RBR/RT/2 尚、上記式中のDWRはホイールシリンダ径であり、B
EFFはブレーキファクターであり、RBRはブレーキ
有効半径である。
【0035】次のステップS5では、車輪速度差判定部
50aにおいて、右左輪回転速度差Vd1が設定値以上
か否かを判定する。つまり、左右の後輪3,4間の回転
速度差が所定値以上であるか否かを判定する。この判定
がYESであるときには、ステップS1に戻る一方、判
定がNOであるときには、ステップS6に進んで、右後
輪4の目標ブレーキ圧を0に設定してリターンする。
【0036】一方、ステップS11〜S16では、上記
ステップS1〜S6と同様の処理動作が行われ、左後輪
3の目標ブレーキ圧が設定される。すなわち、ステップ
S11では、左右輪回転速度差Vd2を、 Vd2=(左後輪3の回転速度−左前輪1の回転速度)
−(右後輪4の回転速度−右前輪2の回転速度) により求める。つまり、左右輪回転速度差Vd2は、 Vd2=(左後輪3の回転速度−右後輪4の回転速度)
−(左前輪1の回転速度−右前輪2の回転速度) となり、上記右左輪回転速度差Vd1と同様に、左右の
後輪3,4間の回転速度差だけでなく、左右の前輪1,
2間の回転速度差をも考慮したものになっている。
【0037】そして、次のステップS12では、一般的
なフィルター処理を行ってノイズを除去し、次のステッ
プS13では、左後輪3の目標制動力を、 左後輪3の目標制動力=|Vd2|1/2・lsd_ga
in/RT により求め、次のステップS14で、左後輪3の目標ブ
レーキ圧を、上記ステップS13で求めた左後輪3の目
標制動力を用いて、 左後輪3の目標ブレーキ圧=左後輪3の目標制動力/B
TKF により求める。
【0038】次のステップS15では、車輪速度差判定
部50aにおいて、左右輪回転速度差Vd2が設定値以
上か否か(左右の後輪3,4間の回転速度差が所定値以
上であるか否か)を判定し、この判定がYESであると
きには、ステップS11に戻る一方、判定がNOである
ときには、ステップS16に進んで、左後輪3の目標ブ
レーキ圧を0に設定してリターンする。
【0039】上記ステップS5,S15における設定値
は、車両の低G旋回時に該ステップS5,S15判定が
NOとなるように設定する。すなわち、低G旋回時に
は、旋回外輪が内輪よりも速くなるので、このときに左
右の後輪3,4のうち旋回外輪に制動力を付与しないよ
うにする。例えば、旋回半径Rを40mとし、車両のホ
イールベースLを2.67mとし、トレッドフロントT
Fを1.26mとし、トレッドリヤTRを1.47mと
したとき、低G旋回時には各車輪1〜4の回転速度は旋
回中心からの距離に比例するので、各車輪1〜4の回転
速度を、旋回中心からの距離のみで表すとすると、 左前輪1の回転速度=((R−TF/2)2+L21/2
=39.4604 右前輪2の回転速度=((R+TF/2)2+L21/2
=40.7176 左後輪3の回転速度=R−TR/2=39.265 右後輪4の回転速度=R+TR/2=40.735 となり、左側の前後輪1,3間の回転速度差と右側の前
後輪2,4間の回転速度差との差は0.178となる。
したがって、設定値は、この値に相当する回転速度値よ
りも大きな値に設定しておけばよいことになる。
【0040】上記コントローラ50による処理動作によ
り、左側の前後輪1,3間の回転速度差と右側の前後輪
2,4間の回転速度差との差(右左輪回転速度差Vd1
又は左右輪回転速度差Vd2)が設定値以上であれば、
左右の後輪3,4のうち回転速度が大きい側に制動力が
付与される。この制動力は、図4に示すように、左側の
前後輪1,3間の回転速度差と右側の前後輪2,4間の
回転速度差との差、つまり左右の後輪3,4間の回転速
度差に応じて変化し、ビスカスLSDと同様の特性を有
する。このことより、制動力は、後輪3,4間の回転速
度差が大きいほど大きくなるが、制動力の後輪3,4間
回転速度差に対する変化量は、回転速度差が小さい領域
の方が大きい領域よりも大きく設定されることになる。
一方、左側の前後輪1,3間の回転速度差と右側の前後
輪2,4間の回転速度差との差が設定値よりも小さいと
きには、制動力は付与されない。
【0041】したがって、上記実施形態では、例えば左
側への高G旋回時に旋回内側の左後輪3が浮いて空転し
たとすると、左右輪回転速度差Vd2が設定値以上とな
り、その左後輪3に制動力が付与されて空転が抑えられ
る。そして、この制動力は、左右輪回転速度差Vd2が
大きいほど大きくなるので、左後輪3の空転を良好に抑
えることができ、しかも、回転速度差が大きい領域で
は、制動力の回転速度差に対する変化量が小さいので、
回転速度差がかなり大きい場合でも、制動力が大きくな
りすぎることはなくて、左後輪3がロックするようなこ
とは生じず、また、空転が停止したときにはドライバに
減速感を与えるのを防止することができる。尚、右左輪
回転速度差Vd1は負の値となり、設定値よりも小さい
ので、右後輪4に制動力は付与されない。
【0042】一方、例えば左側への低G旋回時には、左
右輪回転速度差Vd2が負の値となり、設定値よりも小
さいので、左後輪3に制動力は付与されない。そして、
右左輪回転速度差Vd1が正の値となるが、上述の如
く、設定値を低G旋回時における右左輪回転速度差Vd
1の値よりも大きくなるように設定しているので、右後
輪3にも制動力は付与されない。この結果、デファレン
シャル機構34が通常に作動して左右の後輪3,4間の
差動が制限されず、アンダーステア特性になることはな
い。
【0043】よって、従来より車両に搭載されているよ
うなブレーキユニット10を用いて左後輪3又は右後輪
4に制動力を付与するという簡単な構成で、高G旋回時
における左後輪3又は右後輪4の空転による旋回性能の
低下を抑えることができると共に、低G旋回時における
アンダーステア特性による回頭性の低下を抑制すること
ができる。
【0044】また、左側の前後輪1,3間の回転速度差
と右側の前後輪2,4間の回転速度差との差(つまり左
右の後輪3,4間の回転速度差と左右の前輪1,2間の
回転速度差との差)に基づいて、左右の後輪3,4間の
回転速度差が所定値以上であるか否かを判定するように
しているので、左右の後輪3,4間の回転速度差に加え
て、従動車輪である左右の前輪1,2間の回転速度差を
考慮することになり、左後輪3又は右後輪4の空転を、
左右の後輪3,4間の回転速度差だけで検出する場合よ
りも確実にかつ容易に検出することができる。つまり、
左右の前輪1,2間の回転速度差は、左後輪3又は右後
輪4の空転時には左右の後輪3,4間の回転速度差より
もかなり小さくなる一方、低G旋回時には左右の後輪
3,4間の回転速度差に近い値になり、左後輪3又は右
後輪4の空転であるか否かの判定閾値(所定値に相当す
る閾値)である設定値をかなり小さくすることができ、
低G旋回時には制動力が付与されないようにしつつ、左
後輪3又は右後輪4の空転時には、左右の後輪3,4間
の回転速度差があまり大きくならないうちに即座に制動
力を付与することができる。よって、低G旋回時におけ
るアンダーステア特性による回頭性の低下を確実に抑制
しつつ、高G旋回時における旋回性能を向上させること
ができる。
【0045】さらに、上記のように左右の前輪1,2間
の回転速度差を考慮すれば、例えば左前輪1が石等につ
まずいて回転速度が遅くなったとすると、車両は左側に
旋回しようとするが、このとき、右左輪回転速度差Vd
1が設定値以上となり、右後輪4に制動力が付与される
ので、上記左側への旋回力が打ち消される。この結果、
車両の直進安定性を向上させることができる。
【0046】尚、上記ゲイン(lsd_gain)は、
車速及び車両が走行している路面の摩擦係数μにより変
化させることが望ましい。例えば図5に示すように、ス
ポーツ走行が多く行われる中速領域で最大とし、高速領
域では、中速領域よりも小さくする。また、低速領域で
は零とする。つまり、車速が所定車速(通常、低G旋回
となる車速の上限値:例えば20km/h)以上である
ときにのみ、左右の後輪3,4間の差動を制限するよう
にして、低G旋回時におけるアンダーステア特性の発生
を確実に抑制する。そして、上記ゲインは、低μ路を走
行しているときには高μ路時よりも大きくする。これ
は、低μ路では、左後輪3又は右後輪4が空転し易いの
で、応答を速くするためである。
【0047】また、上記ゲインは、車両の姿勢が特に不
安定となり易いハンドルの切り込み時の方を、切り戻し
時よりも小さくすることが望ましい。そして、スラロー
ム走行時(ハンドル舵角速度で判断する)においては、
切り戻し時であっても上記切り込み時と同じ程度に小さ
くすることが好ましい。さらに、上記ゲインは、車両に
生じる横加速度が大きいほど(高G旋回ほど)大きく設
定することが好ましい。
【0048】さらにまた、上記ゲインは、車両が不整路
面(悪路)を走行しているときには、零として、左右の
後輪3,4間の回転速度差が所定値以上であると判定さ
れても、左右の後輪3,4間の差動を制限しないように
するのがよい。こうすれば、不整路面を走行していると
きに左後輪3又は右後輪4に制動力が頻繁に付与される
のを防止することができ、フェード現象の発生を防止す
ることができる。この場合、車両が不整路面を走行して
いるか否かの判定は、各車輪1〜4の回転速度の単位時
間当たりの変動量、上下方向の加速度、単位時間当たり
の制御介入頻度(制動力付与頻度)等に基づいて行えば
よい。
【0049】また、上記実施形態では、左側の前後輪
1,3間の回転速度差と右側の前後輪2,4間の回転速
度差との差に基づいて、左右の後輪3,4間の回転速度
差が所定値以上であるか否かを判定したが、左右の前輪
1,2間の回転速度差を考慮しないで、左右の後輪3,
4間の回転速度差だけを求めてその値が所定値以上であ
るか否かを判定するようにしてもよい。
【0050】さらに、デファレンシャル機構34は、左
右の後輪3,4間の差動を制限する機械式の差動制限機
構を有しているもの(ビスカスLSDやトルーセンLS
D等)であってもよい。すなわち、コントローラ50に
よる制動力の付与により直進安定性を向上させようとす
ると、制動力が頻繁に付与されてフェード現象が生じた
りドライバに減速感を与えたりする虞れがあるが、機械
式のLSDを併用することにより、直進安定性を向上さ
せつつ、フェード現象が生じたりドライバに減速感を与
えたりするのを防止することができる。この場合、LS
Dにより発生する作動制限力が比較的小さくなるように
構成しておけば、LSDによる低G旋回時のアンダース
テア特性をかなり小さく抑えることができると共に、高
G旋回時にはLSDによる作動制限力とコントローラ5
0による制動力とにより左後輪3又は右後輪4の空転を
良好に防止することができる。
【0051】加えて、上記実施形態では、前輪1,2を
従動車輪とし、後輪3,4を駆動車輪としたが、これと
は逆に、前輪1,2を駆動車輪とし、後輪3,4を従動
車輪としても本発明を適用することができ、この場合
は、駆動車輪である左前輪1又は右前輪2に制動力を付
与すればよい。また、全車輪1〜4を駆動車輪としても
よい。
【0052】また、ブレーキユニット10は、各車輪1
〜4に独立して制動力を付与するものでなくてもよく、
左右の駆動車輪に独立して制動力を付与するものであれ
ばよい。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の車両の差
動制限装置によると、左右の駆動車輪間の回転速度差が
所定値以上であるときに、該左右の駆動車輪のうち回転
速度が大きい側に制動力を付与することで、左右の駆動
車輪間の差動を制限するようにしたことにより、簡単な
構成で、高G旋回時における駆動車輪の空転による旋回
性能の低下と低G旋回時におけるアンダーステア特性に
よる回頭性の低下とを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る車両の差動制限装置を
示す全体構成図である。
【図2】コントローラによる制御処理動作を示すフロー
チャートである。
【図3】コントローラによる制御処理動作を示すフロー
チャートである。
【図4】左側の前後輪間の回転速度差と右側の前後輪間
の回転速度差との差と、目標制動力との関係を示す特性
図である。
【図5】ゲインの車速に対する変化例を示す特性図であ
る。
【符号の説明】
1 左前輪 2 右前輪 3 左後輪(駆動車輪) 4 右後輪(駆動車輪) 10 ブレーキユニット 34 デファレンシャル機構 50 コントローラ(制御手段) 50a 車輪速度差判定部(車輪速度差判定手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡崎 晴樹 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 小田 昌司 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3D046 BB27 BB28 HH02 HH36 JJ02 JJ04 JJ06 JJ11 JJ16 KK06 KK12 LL02 LL05 LL14 LL23

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の左右の駆動車輪間のデファレンシ
    ャル機構による差動を制限するようにした車両の差動制
    限装置であって、 上記左右の駆動車輪に独立して制動力を付与するブレー
    キユニットと、 上記左右の駆動車輪間の回転速度差が所定値以上である
    か否かを判定する車輪速度差判定手段と、 上記ブレーキユニットの作動を制御する制御手段とを備
    え、 上記制御手段は、上記車輪速度差判定手段により左右の
    駆動車輪間の回転速度差が所定値以上であると判定され
    たときに、上記左右の駆動車輪のうち回転速度が大きい
    側に制動力を付与することで、左右の駆動車輪間の差動
    を制限するように構成されていることを特徴とする車両
    の差動制限装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両の差動制限装置にお
    いて、 駆動車輪は、前輪及び後輪の一方のみであり、 車輪速度差判定手段は、左側の前後輪間の回転速度差と
    右側の前後輪間の回転速度差との差に基づいて、左右の
    駆動車輪間の回転速度差が所定値以上であるか否かを判
    定するように構成されていることを特徴とする車両の差
    動制限装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の車両の差動制限装置にお
    いて、 制御手段は、左右の駆動車輪間の回転速度差に応じて制
    動力を変化させるように構成され、 上記制動力の上記回転速度差に対する変化量は、回転速
    度差が小さい領域の方が大きい領域よりも大きく設定さ
    れていることを特徴とする車両の差動制限装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の車両の差動制限装置にお
    いて、 制御手段は、車両の車速が所定車速以上であるときにの
    み、左右の駆動車輪間の差動を制限するように構成され
    ていることを特徴とする車両の差動制限装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の車両の差動制限装置にお
    いて、 制御手段は、車両が不整路面を走行しているときには、
    車輪速度差判定手段により左右の駆動車輪間の回転速度
    差が所定値以上であると判定されても、左右の駆動車輪
    間の差動を制限しないように構成されていることを特徴
    とする車両の差動制限装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の車両の差動制限装置にお
    いて、 デファレンシャル機構は、左右の駆動車輪間の差動を制
    限する機械式の差動制限機構を有していることを特徴と
    する車両の差動制限装置。
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