JP2015019653A - 人工土壌粒子 - Google Patents

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【課題】アオコ等の藻類の発生を有効に抑制することが可能な人工土壌粒子を提供する。【解決手段】防藻防黴剤として機能する酸化チタン6を含有する被覆層20と、被覆層20によって覆われ、酸化チタン6とは異なる物質を有効成分とする抗菌剤7を含有する基部10とを備えた人工土壌粒子50である。酸化チタン6を0.01〜10重量%含有し、抗菌剤7は、銀イオンを含有する無機物、又は抗菌性を有するゼオライトを含み、基部10は、サブnmオーダー乃至サブμmオーダーの細孔2を有するフィラー1を複数集合してなり、フィラー1の間にサブμmオーダー乃至サブmmオーダーの連通孔3が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、天然土壌に代替される人工土壌として利用可能な人工土壌粒子に関する。
近年、生育条件がコントロールされた環境下で、野菜や花卉等の植物を栽培する植物工場が増加している。従来の植物工場は、レタス等の葉物野菜の水耕栽培が中心であったが、最近では人工土壌を使用し、花卉や根菜類等の様々な植物が栽培されるようになってきている。植物工場等で使用される人工土壌は、土壌としての基本性能に優れていることは勿論のこと、清潔感があり、且つ取り扱いが容易であることが求められる。例えば、透明ないし半透明のポットに人工土壌を入れ、室内で観葉植物を栽培する商品が開発されているが、このようなインテリア性の高い商品は、見た目の美しさや清潔感が特に要求される。ところが、人工土壌は湿度の高い環境に長期間曝されるため、植物の栽培中に人工土壌に細菌類や黴類が繁殖し、その結果、栽培植物が根腐れを起こし、観葉植物としての美観や衛生を損ねることがあった。
そこで、植物の根腐れを防止するため、生分解性プラスチックと抗菌剤とを組み合わせた人工土壌が開発されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。特許文献1の人工土壌は、生分解性プラスチック中に抗菌剤を分散させたものである。特許文献2の人工土壌は、生分解性プラスチックの表面に抗菌剤をコーティングしたものである。特許文献1及び特許文献2の人工土壌によれば、人工土壌粒子に含まれる抗菌剤の効果により細菌類や黴類等の微生物が死滅して栽培中に植物が根腐れを起こすことが防止され、抗菌効果が無くなると人工土壌を構成する生分解性プラスチックは、土壌中のバクテリアによって分解されるようになっている。
特開平9−183970号公報 特開平9−183971号公報
室内で栽培される植物においては、衛生的であることは勿論のこと、人工土壌の美観についても重要視される傾向にある。本発明者らは、人工土壌による植物栽培商品を開発する段階において、植物を太陽光や照明光に当てると、同時に人工土壌も光に曝されるため、人工土壌の表面に細菌類や黴類に加えてアオコ等の藻類が大量に発生するという新たな問題に遭遇した。藻類は細菌類や黴類と比べてバイオフィルムの発生量が多いため、衛生面において問題となる。また、藻類は濃い緑色を呈しているため、外観上敬遠されるという問題もある。藻類が増殖し易い環境下では、特許文献1や特許文献2の抗菌剤を含む人工土壌によって藻類の発生を完全に防止することは困難と考えられる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、特に、アオコ等の藻類の発生を有効に抑制することが可能な人工土壌粒子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明にかかる人工土壌粒子の特徴構成は、
防藻防黴剤として機能する酸化チタンを含有する被覆層と、
前記被覆層によって覆われ、前記酸化チタンとは異なる物質を有効成分とする抗菌剤を含有する基部と、
を備えたことにある。
酸化チタンの光触媒機能は、これまで主に抗菌や防汚等を目的として利用されてきたが、本発明者らは、酸化チタンがアオコ等の藻類の発生の抑制にも効果があることに着目し、衛生面や美観が要求される人工土壌に適用することを思い立った。
すなわち、本構成の人工土壌粒子は、基部を被覆層で被覆したものにおいて、被覆層に防藻防黴剤として機能する酸化チタンを含有させている。つまり、酸化チタンは、人工土壌粒子の表面近傍に担持されている。このような担持形態であるため、栽培植物に太陽光や照明光を当てた場合、人工土壌粒子にも光が当たり易く、酸化チタンの光触媒機能を効果的に発揮させることができる。
また、基部には酸化チタンとは異なる物質を有効成分とする抗菌剤が含有されている。このため、光が届き難いことで酸化チタンによる防藻防黴効果が十分に発揮されない基部においても、一定の抗菌効果を発揮することができる。また、酸化チタンと抗菌剤との相乗効果も期待できるため、薬剤の使用量を低減することができる。
従って、本構成の人工土壌粒子を使用して観葉植物等の栽培を行うと、酸化チタンと抗菌剤とのハイブリッド効果により、アオコ等の藻類の発生による人工土壌の汚染や着色が防止され、使用当初の衛生的な状態や美観が長期間維持された商品価値の高い人工土壌として利用することができる。
本発明にかかる人工土壌粒子において、
前記酸化チタンを0.01〜10重量%含有することが好ましい。
本構成の人工土壌粒子によれば、上記の有効量の酸化チタンを含有しているため、藻類や黴類による人工土壌の汚染や着色を効果的に防止することができる。
本発明にかかる人工土壌粒子において、
前記抗菌剤は、銀イオンを含有する無機物、又は抗菌性を有するゼオライトを含むことが好ましい。
本構成の人工土壌粒子によれば、抗菌剤として含まれる銀イオンを含有する無機物、又は抗菌性を有するゼオライトは安定性に優れているため、人工土壌の抗菌効果を長期に亘って持続させることができる。
本発明にかかる人工土壌粒子において、
前記基部は、サブnmオーダー乃至サブμmオーダーの細孔を有するフィラーを複数集合してなり、前記フィラーの間にサブμmオーダー乃至サブmmオーダーの連通孔が形成されていることが好ましい。
本構成の人工土壌粒子によれば、基部を構成するフィラーの細孔の孔径がサブnmオーダー乃至サブμmオーダーであるため、当該細孔に植物の品質を向上させるために必要な養分を効果的に取り込むことができる。また、集合したフィラーの間に形成される連通孔の孔径がサブμmオーダー乃至サブmmオーダーであるため、当該連通孔に植物の生育に不可欠な水分を効果的に吸収することができる。このように、本構成の人工土壌粒子は、土壌としての基本性能をバランスよく発揮し得る(すなわち、保水性と保肥性とのバランスに優れた)、高品質で機能的な人工土壌を実現することができる。また、本構成の人工土壌粒子は、栽培対象の植物に対して水分や養分を適切に供給できるので、メンテナンスに手間が掛からず、取り扱いが容易なものとなる。
本発明にかかる人工土壌粒子において、
前記抗菌剤は、前記連通孔の内部又は近傍に担持されていることが好ましい。
人工土壌粒子の連通孔は水分が多く存在し、特に藻類や黴類が発生し易い環境にあるが、本構成の人工土壌粒子によれば、抗菌剤は、連通孔の内部又は近傍に担持されてあるため、藻類や黴類の発生が効果的に抑制され、人工土壌の汚染や着色を防止することができる。
本発明にかかる人工土壌粒子において、
前記細孔にイオン交換能を付与してあることが好ましい。
本構成の人工土壌粒子によれば、細孔にイオン交換能を付与することで、人工土壌粒子の保肥性が向上し、栽培植物への養分補給の手間を低減することができる。
本発明にかかる人工土壌粒子において、
前記基部は、繊維を塊状に集合してなり、前記繊維どうしの隙間に前記抗菌剤を担持させてあることが好ましい。
本構成の人工土壌粒子によれば、繊維を塊状に集合して基部を構成してあるため、吸収性に優れた人工土壌を実現することができる。そして、繊維どうしの隙間に抗菌剤を担持させてあるため、水分の存在により藻類や黴類が発生し易い環境にある繊維どうしの隙間に対して藻類や黴類の発生が効果的に抑制され、人工土壌の汚染や着色を防止することができる。
本発明にかかる人工土壌粒子において、
0.2〜10mmの粒径を有することが好ましい。
本構成の人工土壌粒子によれば、粒径を0.2〜10mmとすることで、特に根菜類の栽培に適した取り扱いの容易な人工土壌を実現することができる。
図1は、人工土壌粒子の概念図である。
以下、本発明に係る人工土壌粒子に関する実施形態を図1に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
図1は、本発明の人工土壌粒子50の概念図であり、基部10の構成が異なる2つのタイプの人工土壌粒子51,52を例示したものである。
〔フィラーをベースとする人工土壌粒子〕
図1(a)の人工土壌粒子51は、第一のタイプの人工土壌粒子であり、基部10としての多孔質体11を備えている。多孔質体11は、複数のフィラー1が集合して粒状に構成されたものである。多孔質体11中において、複数のフィラー1は、それらが互いに接触していることは必須ではなく、一粒子内でバインダー等を介して一定範囲内の相対的な位置関係を維持していれば、複数のフィラー1が集合して粒状になったものと考えることができる。
人工土壌粒子51の粒径は、0.2〜10mmであり、好ましくは0.5〜5mmであり、より好ましくは1〜5mmである。人工土壌粒子51の粒径の調整は、例えば、篩による分級で行うことができる。人工土壌粒子51の粒径が0.2mm未満の場合、人工土壌粒子51間の間隙が小さくなって排水性が低下することにより、栽培する植物が根から酸素を吸収し難くなる虞がある。一方、人工土壌粒子51の粒径が10mmを超えると、人工土壌粒子51間の間隙が大きくなって排水性が過剰になり過ぎることにより、植物が水分を吸収し難くなったり、人工土壌粒子51が疎になって植物が横倒れする虞がある。人工土壌粒子51の粒径は、例えば、光学顕微鏡観察及び画像処理法を用いて測定することができる。
人工土壌粒子51の多孔質体11を構成するフィラー1は、表面から内部にかけて多数の細孔2を有する。細孔2は、種々の形態を含む。例えば、フィラー1が図1に示すゼオライトの場合、当該ゼオライトの結晶構造中に存在する空隙が細孔2である。また、フィラー1がハイドロタルサイト(図示せず)の場合、当該ハイドロタルサイトの層構造中に存在する層間が細孔である。つまり、本発明において「細孔」とは、フィラー1の構造中に存在する空隙部、層間部、空間部等を意図し、これらは「孔状」の形態に限定されるものではない。
フィラー1の細孔2のサイズは、サブnmオーダー乃至サブμmオーダーとなる。フィラー1が図1(a)に示すゼオライトの場合、ゼオライトの結晶構造中に存在する空隙のサイズ(径)は、0.3〜1.3nm程度である。フィラー1がハイドロタルサイトの場合、当該ハイドロタルサイトの層構造中に存在する層間のサイズ(距離)は、0.3〜3.0nm程度である。この他に、フィラー1として有機多孔質材料を使用することもでき、その場合の細孔径は、0.1〜0.8μm程度となる。フィラー1の細孔2のサイズは、測定対象の状態に応じて、ガス吸着法、水銀圧入法、小角X線散乱法、画像処理法等を用いて、又はこれらの方法を組み合わせて、最適な方法により測定される。
複数のフィラー1の間には、水分を保持可能なサブμmオーダー乃至サブmmオーダーの連通孔3が形成されている。連通孔3の周囲には細孔2が分散配置されている。連通孔3には主に水分が保持されるため、人工土壌粒子51に一定の保水性を持たせることができる。連通孔3のサイズ(フィラー1間の距離の平均値)は、フィラー1やバインダーの種類、組成、造粒条件により変化し得るが、サブμmオーダー乃至サブmmオーダーとなる。フィラー1が図1(a)に示すゼオライトである場合、連通孔3のサイズは、0.1〜20μmである。連通孔3のサイズは、測定対象の状態に応じて、ガス吸着法、水銀圧入法、小角X線散乱法、画像処理法等を用いて、又はこれらの方法を組み合わせて、最適な方法により測定することができる。
フィラー1は、人工土壌粒子51が十分な保肥力を有するように、細孔2にイオン交換能が付与された材料を使用することが好ましい。この場合、イオン交換能が付与された材料として、陽イオン交換能が付与された材料、陰イオン交換能が付与された材料、又は両者の混合物を使用することができる。また、イオン交換能を有さない多孔質材料(例えば、高分子発泡体、ガラス発泡体等)を別に用意し、当該多孔質材料の細孔2に上記のイオン交換能が付与された材料を圧入や含浸等によって導入し、これをフィラー1として使用することも可能である。陽イオン交換能が付与された材料として、陽イオン交換性鉱物、腐植、及び陽イオン交換樹脂が挙げられる。陰イオン交換能が付与された材料として、陰イオン交換性鉱物、及び陰イオン交換樹脂が挙げられる。
陽イオン交換性鉱物は、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等のスメクタイト系鉱物、雲母系鉱物、バーミキュライト、ゼオライトなどが挙げられる。陽イオン交換樹脂は、例えば、弱酸性陽イオン交換樹脂、強酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。これらのうち、ゼオライト、又はベントナイトが好ましい。陽イオン交換性鉱物及び陽イオン交換樹脂は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。陽イオン交換性鉱物及び陽イオン交換樹脂における陽イオン交換容量は、10〜700meq/100gに設定され、好ましくは20〜700meq/100gに設定され、より好ましくは30〜700meq/100gに設定される。陽イオン交換容量が10meq/100g未満の場合、十分に養分を取り込むことができず、取り込まれた養分も灌水等により早期に流失する虞がある。一方、陽イオン交換容量が700meq/100gを超えるように保肥力を過剰に大きくしても、効果は大きく向上せず、経済的ではない。
陰イオン交換性鉱物は、例えば、ハイドロタルサイト、マナセアイト、パイロオーライト、シェーグレン石、緑青等の主骨格として複水酸化物を有する天然層状複水酸化物、合成ハイドロタルサイト及びハイドロタルサイト様物質、アロフェン、イモゴライト、カオリン等の粘土鉱物が挙げられる。陰イオン交換樹脂は、例えば、弱塩基性陰イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂が挙げられる。これらのうち、ハイドロタルサイトが好ましい。陰イオン交換性鉱物及び陰イオン交換樹脂は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。陰イオン交換性鉱物及び陰イオン交換樹脂における陰イオン交換容量は、5〜500meq/100gに設定され、好ましくは20〜500meq/100gに設定され、より好ましくは30〜500meq/100gに設定される。陰イオン交換容量が5meq/100g未満の場合、十分に養分を取り込むことができず、取り込まれた養分も灌水等により早期に流失する虞がある。一方、陰イオン交換容量が500meq/100gを超えるように保肥力を過剰に大きくしても、効果は大きく向上せず、経済的ではない。
フィラー1がゼオライトやハイドロタルサイトのような無機鉱物である場合、複数のフィラー1を集合して粒状物(人工土壌粒子51)を構成するために、高分子ゲル化剤のゲル化反応が好適に利用される。高分子ゲル化剤のゲル化反応として、例えば、アルギン酸塩と多価金属イオンとのゲル化反応、カルボキシメチルセルロース(CMC)のゲル化反応、カラギーナンなどの多糖類の二重らせん構造化反応によるゲル化反応が挙げられる。このうち、アルギン酸塩と多価金属イオンとのゲル化反応について説明する。アルギン酸塩の一つであるアルギン酸ナトリウムは、アルギン酸のカルボキシル基がNaイオンと結合した形態の中性塩である。アルギン酸は水に不要であるが、アルギン酸ナトリウムは水溶性である。アルギン酸ナトリウム水溶液を多価金属イオン(例えば、Caイオン)の水溶液中に添加すると、アルギン酸ナトリウムの分子間でイオン架橋が起こりゲル化する。本実施形態の場合、ゲル化反応は、以下の工程により行うことができる。初めに、アルギン酸塩を水に溶解させてアルギン酸塩水溶液を調製し、アルギン酸塩水溶液にフィラー1を添加し、これを十分攪拌して、アルギン酸塩水溶液中にフィラー1が分散した混合液を形成する。次に、混合液を多価金属イオン水溶液中に滴下し、混合液に含まれるアルギン酸塩を粒状にゲル化させる。その後、ゲル化した粒子を回収して水洗し、十分に乾燥させる。これにより、アルギン酸塩及び多価金属イオンから形成されるアルギン酸ゲル中にフィラー1が分散した粒状物としての人工土壌粒子51が得られる。
ゲル化反応に使用可能なアルギン酸塩は、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウムが挙げられる。これらのアルギン酸塩は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。アルギン酸塩水溶液の濃度は、0.1〜5重量%とし、好ましくは0.2〜5重量%とし、より好ましくは0.2〜3重量%とする。アルギン酸塩水溶液の濃度が0.1重量%未満の場合、ゲル化反応が起こり難くなり、5重量%を超えると、アルギン酸塩水溶液の粘度が大きくなり過ぎるため、フィラー1を添加した混合液の攪拌や、混合液を多価金属イオン水溶液中に滴下することが困難になる。
アルギン酸塩水溶液を滴下する多価金属イオン水溶液は、アルギン酸塩と反応してゲル化が起きる2価以上の金属イオン水溶液であればよい。そのような多価金属イオン水溶液の例として、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム、塩化ニッケル、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化コバルト等の多価金属の塩化物水溶液、硝酸カルシウム、硝酸バリウム、硝酸アルミニウム、硝酸鉄、硝酸銅、硝酸コバルト等の多価金属の硝酸塩水溶液、乳酸カルシウム、乳酸バリウム、乳酸アルミニウム、乳酸亜鉛等の多価金属の乳酸塩水溶液、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸コバルト等の多価金属の硫酸塩水溶液が挙げられる。これらの多価金属イオン水溶液は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。多価金属イオン水溶液の濃度は、1〜20重量%とし、好ましくは2〜15重量%とし、より好ましくは3〜10重量%とする。多価金属イオン水溶液の濃度が1重量%未満の場合、ゲル化反応が起こり難くなり、20重量%を超えると、金属塩の溶解に時間が掛かるとともに、過剰の材料を使用することになるため、経済的でない。
人工土壌粒子51を形成するためのフィラー1の粒状化は、上述のゲル化反応の他、バインダーを用いた造粒法によって行うこともできる。これは、例えば、フィラー1にバインダーや溶媒等を加えて混合し、混合物を造粒機に導入し、転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、圧縮造粒、押出造粒、破砕造粒、溶融造粒、噴霧造粒等の公知の造粒法により行うことができる。得られた造粒体は、必要に応じて乾燥及び分級が行われ、人工土壌粒子51が完成する。また、フィラー1にバインダーを加え、さらに必要に応じて溶媒等を加えて混練し、これを乾燥してブロック状にしたものを、乳鉢及び乳棒、ハンマーミル、ロールクラッシャー等の粉砕手段で適宜粉砕して粒状物とすることも可能である。この粒状物は、そのまま人工土壌粒子51として用いることもできるが、篩にかけて所望の粒径に調整することが好ましい。
バインダーは、有機バインダー又は無機バインダーの何れも使用可能である。有機バインダーは、例えば、ポリオレフィン系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダー、ポリウレタン系バインダー、ポリ酢酸ビニル系バインダー等の合成樹脂系バインダー、デンプン、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸などの多糖類、膠などの動物性たんぱく質等の天然物系バインダーが挙げられる。無機バインダーは、例えば、水ガラス等のケイ酸系バインダー、リン酸アルミニウム等のリン酸塩系バインダー、ホウ酸アルミニウム等のホウ酸塩系バインダー、セメント等の水硬性バインダーが挙げられる。有機バインダー及び無機バインダーは、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。
フィラー1が有機多孔質材料である場合、人工土壌粒子51の形成は、バインダーを用いた上述のフィラーの粒状化法と同様の方法で行ってもよいが、フィラー1を、当該フィラー1を構成する有機多孔質材料(高分子材料等)の融点以上の温度に加熱し、複数のフィラー1の表面同士を熱融着させて粒状化することにより、人工土壌粒子51を形成することも可能である。この場合、バインダーを使用しなくても、複数のフィラー1が集合した粒状物を得ることができる。そのような有機多孔質材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、セルロール等の有機高分子材料を発泡させた有機高分子発泡体、前記有機高分子材料の粉体を加熱溶融して連続気泡構造を形成した有機高分子多孔質体が挙げられる。
基部10として構成される多孔質体11の外表部には、図1(a)に示すように、被覆層20が形成される。被覆層20を設けることで、多孔質体11の急激な乾燥を防止し、水分吸放出特性をコントロールすることができる。被覆層20は、水分子が通過可能な超微細孔を有する膜である。あるいは、水分が一方側から浸透して他方側に移動可能な浸透性膜とすることもできる。被覆層20は、例えば、以下の方法により多孔質体11の外表部に形成される。先ず、造粒した多孔質体11を容器に移し、多孔質体11の体積(占有容積)の半分程度の水を加え、多孔質体11の体積の1/3〜1/2の樹脂エマルジョンを添加する。樹脂エマルジョンには、顔料、香料、殺菌剤、抗菌剤、消臭剤、殺虫剤等の添加物を混合しておくことも可能である。次に、多孔質体11の外表部に樹脂エマルジョンが均一に付着するように転動させながら、多孔質体11をコーティングする。その後、樹脂エマルジョンが付着した多孔質体11をオーブンで乾燥させ、被覆層20としての樹脂被膜を形成する。これにより、多孔質体11は外表部が被覆層20で被覆され、人工土壌粒子51が完成する。被覆層20は、樹脂が溶融する際に樹脂エマルジョンに含まれていた溶媒が蒸発し、多孔質構造が形成される。得られた人工土壌粒子51は、必要に応じて、乾燥及び分級が行われ、粒径が調整される。被覆層20の膜厚は、1〜200μmに設定され、好ましくは10〜100μmに設定され、より好ましくは20〜60μmに設定される。
被覆層20の材質は、水に不溶性で酸化され難いものが好ましく、例えば、樹脂材料が挙げられる。そのような樹脂材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のスチロール系樹脂が挙げられる。これらのうち、ポリエチレンが好ましい。また、樹脂材料に代えて、ポリエチレングリコール等の合成高分子系のゲル化剤、又はアルギン酸ナトリウム等の天然ゲル化剤を使用することも可能である。
多孔質体11には、イオン交換能を付与することもできる。例えば、多孔質体11を構成するフィラー1の細孔2にイオン交換能を付与することで、人工土壌粒子の保肥性が向上し、栽培植物への養分補給の手間を低減することができる。保肥性を向上させた人工土壌粒子は、天然土壌と同等の植物育成力を備えたものとなる。
〔繊維塊状体をベースとする人工土壌粒子〕
図1(b)の人工土壌粒子52は、第二のタイプの人工土壌粒子であり、基部10としての繊維塊状体12を備えている。繊維塊状体12は、複数本の繊維4を集合させたものである。繊維塊状体12を構成する繊維4の間には、空隙5が形成されている。繊維塊状体12は、空隙5に水分を保持することができる。従って、繊維塊状体12の空隙5の状態は、繊維塊状体12の保水性に関係する。空隙5の状態は、基部10を形成する際の繊維4の使用量(密度)、繊維4の種類、太さ、長さ等を変更することにより調整可能である。なお、繊維4のサイズは、太さが5〜100μmのものが好ましく、長さが0.5〜10mmのものが好ましい。
繊維塊状体12は、その内部に水分を保持できるように構成するため、繊維4として親水性の繊維を使用することが好ましい。繊維4の種類は、天然繊維又は合成繊維が適宜選択される。好ましい親水性の繊維として、例えば、天然繊維として綿、羊毛、レーヨンが挙げられ、合成繊維として、例えば、ビニロン、ウレタン、ナイロン、アセテートが挙げられ、これらのうち、綿及びビニロンがより好ましい。天然繊維と合成繊維とを混繊したものでも構わない。
繊維塊状体12を構成するに際し、繊維4の間に別の保水性材料(保水性材料である繊維4と区別するため、以後、第二保水性材料とする)を導入することも可能である。この場合、繊維塊状体12は、本来有する繊維4間の空隙5による保水性に加え、第二保水性材料による保水力を備えることができる。第二保水性材料を繊維塊状体12に導入する方法として、例えば、繊維4を造粒によって基部10となる繊維塊状体12を形成し、造粒中に第二保水性材料を添加する。また、繊維4の表面を第二保水性材料でコーティングしても構わない。これらの方法により繊維塊状体12に導入された第二保水性材料は、繊維4間の空隙5において露出していることが好ましい。この場合、繊維塊状体12は空隙5の保水力が大きく向上する。
第二保水性材料は、吸水性を有する高分子保水材を使用することができる。例えば、ポリアクリル酸塩系ポリマー、ポリスルホン酸塩系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリアルキレンオキサイド系ポリマー等の合成高分子系保水性材料、ポリアスパラギン酸塩系ポリマー、ポリグルタミン酸塩系ポリマー、ポリアルギン酸塩系ポリマー、セルロース系ポリマー、デンプン等の天然高分子系保水性材料が挙げられる。これらの第二保水性材料は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。また、第二保水性材料として、セラミックス等の多孔質材を使用することも可能である。
繊維塊状体12は、公知の造粒法により形成される。例えば、長繊維をカーディング装置等で引揃え、3〜10mm程度の長さに切断し、生成した繊維を転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、圧縮造粒、押出造粒等の方法で造粒することにより形成する。造粒の際、繊維4に樹脂や糊等のバインダーを混合して造粒を行ってもよいが、繊維4は互いに絡まり合って固着化し易いため、バインダーを使用しない場合でも、繊維4を塊状に加工することが可能である。
基部10として構成される繊維塊状体12の外表部には、図1(b)に示すように、被覆層20が形成される。被覆層20を設けることで、繊維塊状体12の急激な乾燥を防止し、水分吸放出特性をコントロールすることができる。被覆層20は、水分子が通過可能な超微細孔を有する膜である。あるいは、水分が一方側から浸透して他方側に移動可能な浸透性膜とすることもできる。被覆層20は、例えば、以下の方法により繊維塊状体12の外表部に形成される。先ず、造粒した繊維塊状体12を容器に移し、繊維塊状体12の体積(占有容積)の半分程度の水を加え、繊維塊状体12の空隙5に水を浸み込ませる。次に、水を浸み込ませた繊維塊状体12に、繊維塊状体12の体積の1/3〜1/2の樹脂エマルジョンを添加する。樹脂エマルジョンには、顔料、香料、殺菌剤、抗菌剤、消臭剤、殺虫剤等の添加物を混合しておくことも可能である。次に、繊維塊状体12の外表部に樹脂エマルジョンが均一に付着するように転動させながら、繊維塊状体12の外表部から樹脂エマルジョンを含浸させる。このとき、繊維塊状体12の中心部には水が浸み込んでいるため、樹脂エマルジョンは繊維塊状体12の外表部付近で留まる。その後、樹脂エマルジョンが付着した繊維塊状体12をオーブンで乾燥させ、次いで、樹脂を溶融させ、繊維塊状体12の外表部付近の繊維4に樹脂を融着させて被覆層20としての樹脂被膜を形成する。これにより、繊維塊状体12は外表部が被覆層20で被覆され、人工土壌粒子52が完成する。被覆層20は、樹脂が溶融する際に樹脂エマルジョンに含まれていた溶媒が蒸発し、多孔質構造が形成される。得られた人工土壌粒子52は、必要に応じて、乾燥及び分級が行われ、粒径が調整される。被覆層20は、繊維塊状体12を構成する繊維4の絡み合い部分(繊維4同士が接触する部分)を補強するように、繊維塊状体12の外表部から若干内側に浸透した状態にまで厚みを形成してもよい。これにより、人工土壌粒子52の強度及び耐久性を向上させることができる。被覆層20の膜厚は、1〜200μmに設定され、好ましくは10〜100μmに設定され、より好ましくは20〜60μmに設定される。人工土壌粒子52の被覆層20の材質は、図1(a)の人工土壌粒子51の被覆層20と同様のものを使用することができる。
繊維塊状体12を造粒するにあたり、繊維4として短繊維を使用することも可能である。この場合、短繊維を撹拌混合造粒装置で撹拌しながら樹脂エマルジョンを少量ずつ投入して造粒する。これにより、繊維塊状体12を形成する短繊維同士が一部で固定化され、強固な基部10を形成することができる。なお、短繊維に先に水を加えて造粒し、その後、被覆層20にエマルジョンを添加して繊維塊状体12を仕上げることも可能である。
繊維塊状体12及び被覆層20には、イオン交換能を付与することもできる。繊維塊状体12及び被覆層20の少なくとも何れか一方にイオン交換能を付与することで、人工土壌粒子52に植物の育成に必要な肥料成分を担持させることができるので、天然土壌と同等の植物育成力を備えた人工土壌を実現することが可能となる。
〔人工土壌粒子への酸化チタンの担持〕
光触媒として知られている酸化チタンは、これまで主に抗菌や防汚等を目的として利用されてきたが、酸化チタンの光触媒機能は、黴類の発生の防止や、アオコ等の藻類の発生の抑制にも非常に有効である。そこで、本発明者らは、酸化チタンの新たな用途として、衛生面や美観が要求される人工土壌への適用を検討した。すなわち、本発明の人工土壌粒子50において、防藻防黴剤として機能する酸化チタン6を含有させた。酸化チタン6は、光触媒用として市販されているアナターゼ型の結晶構造を有する酸化チタン微粒子6aを使用することができる。
上述のように、図1(a)に示した人工土壌粒子51は、細孔2を有するフィラー1が複数集合してなる基部10としての多孔質体11を備えている。多孔質体11は、各フィラー1の間に連通孔3が形成されたものとなっている。さらに、多孔質体11の表面には被覆層20が形成されている。ここで、酸化チタン微粒子6aは、人工土壌粒子51の全体に担持されていてもよいが、図1(a)に示すように、少なくとも被覆層20に担持されていることが必要となる。このとき、酸化チタン微粒子6aの担持形態は、被覆層20の表面に付着した状態でもよいし、被覆層20が透光性を有するものである場合は、被覆層20の内部に酸化チタン微粒子6aが練り込まれた状態でも構わない。このような担持形態とすれば、人工土壌で栽培する植物に太陽光や照明光に当てると、人工土壌を構成する人工土壌粒子51の被覆層20に担持された酸化チタン微粒子6aにも光が当たり易くなる。そうすると、酸化チタン微粒子6aの光触媒機能が効果的に発揮され、黴類やアオコ等の藻類の発生が防止される。その結果、人工土壌の汚染や着色が防止され、使用当初の衛生的な状態や美観を長期間維持することができる。
酸化チタン微粒子6aのサイズ(粒径)は、取り扱いの容易さを考慮すると、0.005〜50μmの粒径を有するものが好ましい。このようなサイズとすれば、被覆層20の表面又は内部に酸化チタン微粒子6aを容易に担持することができ、さらに担持された酸化チタン粒子6aは脱落し難いので、藻類や黴類による人工土壌の汚染や着色を効果的に防止することができる。
人工土壌粒子51における酸化チタン微粒子6aの担持量(含有量)は、0.01〜10重量%、好ましくは0.3〜9重量%、より好ましくは0.8〜7重量%とする。この範囲であれば、藻類による人工土壌の汚染や着色を効果的に防止することができる。酸化チタン微粒子6aの担持量が0.01重量%より少ないと、酸化チタン微粒子6aの光触媒機能が十分に発揮できない虞がある。一方、酸化チタン微粒子6aの担持量を10重量%より多くしても、人工土壌の機能に影響することは無いが、防藻防黴効果の大幅な向上は見られず、コスト面でも不利となる。
人工土壌粒子51の被覆層20への酸化チタン微粒子6aの担持方法としては、被覆層20の構成材料である樹脂エマルジョンに酸化チタン微粒子6aを混合しておく。この場合、多孔質体11を樹脂エマルジョンでコーティングし、これを乾燥させると、酸化チタン微粒子6aが被覆層20に担持された人工土壌粒子51が完成する。
人工土壌粒子51の基部10である多孔質体11には、酸化チタンとは異なる物質を有効成分とする抗菌剤7が担持される。抗菌剤7としては、光が当たらない環境下でも抗菌効果を発揮し得るものが選択され、例えば、銀、銅、亜鉛、ニッケル等の金属イオンを含有する無機物、抗菌性を有するゼオライト、パラベン、ブタンジオール等の合成系抗菌剤、カテキン、キチン、キトサン等の天然系抗菌剤等が挙げられる。このような抗菌剤7を多孔質体11に担持させておくと、光が届き難いことで被覆層20に含まれる酸化チタン微粒子6aによる防藻防黴効果が十分に発揮されない基部10においても、一定の抗菌効果を発揮することができる。そして、酸化チタン微粒子6aと抗菌剤7とのハイブリッド効果により、アオコ等の藻類の発生による人工土壌の汚染や着色が防止され、使用当初の衛生的な状態や美観が長期間維持された商品価値の高い人工土壌として利用することができる。さらに、酸化チタン微粒子6aと抗菌剤7との相乗効果も期待できるため、薬剤の使用量を低減することも可能となる。
抗菌剤7は、多孔質体11の連通孔3の内部又は近傍に担持させることができる。例えば、フィラー1がゼオライトの場合、連通孔3のサイズは0.1〜20μm程度となるため、この場合、0.05〜10μmの粒径を有する抗菌剤7を使用すれば、連通孔3の内部に抗菌剤7を担持することができる。従って、多量の水分の存在により藻類や黴類が発生し易い環境にある連通孔3付近において、抗菌剤7による抗菌効果(防藻防黴効果)が直接作用し、藻類や黴類による人工土壌の汚染や着色を効果的に防止することができる。また、抗菌剤7のサイズが連通孔3のサイズより大きい場合でも、抗菌剤7を連通孔3の近傍に担持させれば、連通孔3の内部に抗菌剤7を担持させた場合に匹敵する抗菌効果(防藻防黴効果)を得ることができる。
人工土壌粒子51における抗菌剤7の担持量(含有量)は、0.01〜30重量%、好ましくは0.05〜20重量%、より好ましくは0.05〜10重量%とする。この範囲であれば、藻類による人工土壌の汚染や着色を効果的に防止することができる。抗菌剤7の担持量が0.01重量%より少ないと、抗菌剤7の抗菌効果が十分に発揮できない虞がある。一方、抗菌剤7の担持量を30重量%より多くしても、人工土壌の機能に影響することは無いが、抗菌効果の大幅な向上は見られず、コスト面でも不利となる。
人工土壌粒子51の基部10への抗菌剤7の担持方法としては、フィラー1を粒状化する工程において、フィラー1に抗菌剤7を混合しておく。例えば、上述したアルギン酸塩と多価金属イオンとのゲル化反応を利用してフィラー1を粒状化する場合では、アルギン酸塩水溶液にフィラー1及び抗菌剤7を分散させ、その分散液を多価金属イオン水溶液中に滴下する。そうすると、フィラー1と抗菌剤7とが混合した状態でアルギン酸塩が粒状にゲル化し、抗菌剤7が担持された多孔質体11が生成する。また、バインダーを用いたフィラー1の造粒法では、フィラー1又はバインダーに抗菌剤7を混合しておけばよい。この場合、フィラー1と抗菌剤7とがバインダーを介して粒状化し、抗菌剤7が担持された多孔質体11が生成する。
上述のように、図1(b)に示した人工土壌粒子52は、繊維4が塊状に集合してなる基部10と、基部10を被覆する被覆層20とを備えている。ここで、酸化チタン微粒子6aは、基部10及び被覆層20の全体に亘って担持されていてもよいが、図1(b)に示すように、少なくとも被覆層20に担持されている必要がある。このとき、酸化チタン微粒子6aの担持形態は、被覆層20の表面に付着した状態でもよいし、被覆層20が透光性を有するものである場合は、被覆層20の内部に酸化チタン微粒子6aが練り込まれた状態でも構わない。このような担持形態とすれば、人工土壌で栽培する植物に太陽光や照明光に当てると、人工土壌を構成する人工土壌粒子52に担持された酸化チタン微粒子6aにも光が当たり易くなる。そうすると、酸化チタン微粒子6aの光触媒機能が効果的に発揮され、黴類やアオコ等の藻類の発生が防止される。その結果、人工土壌の汚染や着色が防止され、使用当初の衛生的な状態や美観を長期間維持することができる。酸化チタン微粒子6aのサイズ(粒径)、担持量、及び担持方法は、図1(a)の人工土壌粒子51の場合と同様とすることができる。
人工土壌粒子52の基部10である繊維塊状体12には、図1(a)の人工土壌粒子51の多孔質体11と同様に、酸化チタンとは異なる物質を有効成分とする抗菌剤7が担持される。抗菌剤7の種類、サイズ(粒径)、及び担持量は、図1(a)の人工土壌粒子51と同様とすることができる。抗菌剤7の担持方法は、例えば、繊維塊状体12の造粒を行う際、抗菌剤7を繊維4に直接まぶしたり、繊維4を結合するために使用するバインダーに抗菌剤7を添加する。抗菌剤7は、繊維塊状体12を構成する繊維4どうしの空隙5に担持されるため、光が当たり難い人工土壌粒子52の内部においても黴の発生等を防止することができる。さらに、酸化チタン微粒子6aと抗菌剤7との組み合わせにより、両者の相乗効果も期待できるため、薬剤の使用量を低減することができる。
防藻防黴剤として機能する酸化チタンを被覆層に担持させるとともに、酸化チタンとは異なる物質を有効成分とする抗菌剤を基部に担持させた本発明の人工土壌粒子について、藻類及び黴類の抑制効果を検証した。人工土壌粒子として、図1(a)に示した人工土壌粒子51に相当する多孔質体の表面に被覆層を設けた人工土壌粒子(実施例1〜27、比較例1及び2)を調製した。なお、実施例13及び26については、基部としてフィラー(タルク)と繊維(セルロースファイバー)とを混合したものを作製した。
各実施例及び比較例の人工土壌粒子を構成するにあたって使用した材料、及び調製した人工土壌粒子の特性を表1〜表3に示す。表1〜表3に示す配合に従って、フィラー及び基部用防藻防黴剤をバインダーに混合して混合液を調製し、次いで混合液を5%塩化カルシウム水溶液中に滴下して粒状にゲル化させ、ゲル化物を回収し、乾燥して人工土壌粒子の基部としての多孔質体を得た。次いで、表1〜表3に示す配合に従って、被覆用防藻防黴剤である酸化チタン微粒子を含有する被覆用の液剤を多孔質体の表面にコーティングした。コーティングした被覆用の液剤を夫々所定の方法で乾燥又は硬化させ、基部の表面に被覆層が形成された人工土壌粒子を得た。この人工土壌粒子において、連通孔のサイズは0.3μm、担持した酸化チタン微粒子のサイズは70nmであった。人工土壌粒子の形状については、顕微鏡観察と画像処理法とを組み合わせて測定した。人工土壌粒子の外観については、人工土壌粒子を透明なポットに充填し、植物としてラディッシュを植栽し、太陽光が差し込む屋内にて灌水を行いながら24日間栽培し、目視にてアオコ及び黴の発生を確認した。保水性については、クロマト管に測定用の人工土壌を140cc入れ、管の上部から散水(10ml×5回+20ml×3回)を行い、人工土壌が吸収できなかった水を管の下部から排水し、所定時間経過後の人工土壌の重量を測定することにより、保水量とした。
Figure 2015019653
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表1〜表3中の「材料」として使用した製品を以下に示す。
タルク:日本タルク株式会社製の汎用タルク「SW」
珪藻土:昭和化学工業株式会社製の珪藻土「ラジオライト(登録商標)#300」
セルロースファイバー:昭和化学工業株式会社製のセルロースファイバー「アボセルB800」
ゼオライト:株式会社エコウエル製の人工ゼオライト「琉球ライトCEC600」
ハイドロタルサイト:和光純薬工業株式会社製の試薬ハイドロタルサイト
アルギン酸ナトリウム:和光純薬工業株式会社製の試薬アルギン酸ナトリウム
塩化カルシウム:和光純薬工業株式会社製の試薬塩化カルシウム
酢酸ビニル:和光純薬工業株式会社製の酢酸ビニル
ポリエチレンエマルジョン:住友精化株式会社製のポリオレフィン系エマルジョン「セポルジョン(登録商標)G315」
寒天:和光純薬工業株式会社製の寒天
酸化チタン微粒子:和光純薬工業株式会社製の試薬酸化チタン(アナターゼ型)
銀イオン含有無機物:東亜合成化学株式会社製の銀系無機抗菌剤「ノバロン(登録商標)AGZ」
抗菌ゼオライト:株式会社エコウエル製の抗菌ゼオライト「琉球ライト」
エチルパラベン:和光純薬工業株式会社製の試薬エチルパラベン
カテキン:和光純薬工業株式会社製の試薬カテキン
表1〜表3より、防藻防黴剤として機能する酸化チタンを被覆層に担持させるとともに、酸化チタンとは異なる物質を有効成分とする抗菌剤を基部に担持させた実施例1〜27の本発明の人工土壌粒子は、いずれもアオコの発生が少なく、さらに黴の発生は全く確認されなかった。一方、防藻防黴剤及び抗菌剤を担持していない比較例1及び2の人工土壌粒子は、人工土壌全体に亘ってアオコが発生し、さらに黴の発生も確認された。なお、本発明の人工土壌粒子は、陽イオン交換容量(CEC)及び保水性において、防藻防黴剤及び抗菌剤を担持していない人工土壌粒子と略同等のレベルを維持しており、防藻防黴剤及び抗菌剤の担持による人工土壌としての性能低下は見られなかった。従って、本発明の人工土壌粒子は、通常どおりに取り扱うことが可能であることが確認された。
本発明の人工土壌粒子は、植物工場等で使用される人工土壌やインテリア用土壌として好適に利用されるが、その他の用途として、施設園芸用土壌、緑化用土壌、成型土壌、土壌改良剤にも利用可能である。
1 フィラー
2 細孔
3 連通孔
4 繊維
5 空隙
6 酸化チタン
6a 酸化チタン微粒子
7 抗菌剤
10 基部
11 多孔質体
12 繊維塊状体
50 人工土壌粒子
51 人工土壌粒子
52 人工土壌粒子

Claims (8)

  1. 防藻防黴剤として機能する酸化チタンを含有する被覆層と、
    前記被覆層によって覆われ、前記酸化チタンとは異なる物質を有効成分とする抗菌剤を含有する基部と、
    を備えた人工土壌粒子。
  2. 前記酸化チタンを0.01〜10重量%含有する請求項1に記載の人工土壌粒子。
  3. 前記抗菌剤は、銀イオンを含有する無機物、又は抗菌性を有するゼオライトを含む請求項1又は2に記載の人工土壌粒子。
  4. 前記基部は、サブnmオーダー乃至サブμmオーダーの細孔を有するフィラーを複数集合してなり、前記フィラーの間にサブμmオーダー乃至サブmmオーダーの連通孔が形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の人工土壌粒子。
  5. 前記抗菌剤は、前記連通孔の内部又は近傍に担持されている請求項4に記載の人工土壌粒子。
  6. 前記細孔にイオン交換能を付与してある請求項4又は5に記載の人工土壌粒子。
  7. 前記基部は、繊維を塊状に集合してなり、前記繊維どうしの隙間に前記抗菌剤を担持させてある請求項1〜3の何れか一項に記載の人工土壌粒子。
  8. 0.2〜10mmの粒径を有する請求項1〜7の何れか一項に記載の人工土壌粒子
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