JP2017018075A - 人工土壌培地用固化剤、及び人工土壌培地の調製方法 - Google Patents

人工土壌培地用固化剤、及び人工土壌培地の調製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】植物の根が成長する空間を確保しながら、人工土壌粒子(培地)の飛散や流出を防止するとともに、細菌やカビの繁殖を抑制することができる人工土壌培地用固化剤を提供する。【解決手段】人工土壌粒子を固化してかさ密度が0.8g/mL以下の人工土壌培地を調製するための人工土壌培地用固化剤であって、固化成分を含有する基剤と、抗菌成分及び/又は防カビ成分を含有する添加剤と、を含み、固化成分は、酢酸ビニル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合系樹脂、イソブテン無水マレイン酸共重合系樹脂、及びアクリル系樹脂からなる群から選択される少なくとも一つであり、抗菌成分は、第四級アンモニウム塩であり、防カビ成分は、カビ用キチン合成阻害剤、カビ用DNA合成阻害剤、及びカビ用タンパク質合成阻害剤からなる群から選択される少なくとも一つである。【選択図】なし

Description

本発明は、人工土壌粒子を固化して人工土壌培地を調製するための人工土壌培地用固化剤、及び当該人工土壌培地用固化剤を用いた人工土壌培地の調製方法に関する。
近年、居住空間を緑化する屋内緑化や、野菜や花卉等の植物を屋内で栽培する植物工場が増加している。このような屋内緑化や植物工場等において、天然土壌に代えて高度な機能を付加した人工土壌を用いる動きがある。しかし、人工土壌は、天然土壌と比較して粒子が大きく、比重が軽いものが多い。このため、人工土壌を用いて樹高又は草丈の高い植物を栽培すると、植物が傾いたり、倒壊したり、又は人工土壌の表層が乾燥して人工土壌粒子が飛散するという問題がある。また、室内で使用する容器には、透明の容器が使用される場合も多く、灌水等による細菌やカビなどの繁殖も問題となっている。
植物の倒壊や、人工土壌粒子の飛散を防止する従来の人工土壌として、チップフォームの周囲に繊維及び吸水性ポリマーを絡みつかせ、バインダーにて一体化している土壌代替材が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の土壌代替材は、一定の保水性を備えながら、風や雨水等による人工土壌粒子の飛散や流出を防止しようとするものである。
特開2013−42711号公報
しかしながら、特許文献1の土壌代替材は、繊維と吸水性ポリマーとをバインダーによって結合するものであるため、植物の根が成長するための空間が制限され、植物の成長に悪影響を及ぼす虞がある。また、長期に亘って湿潤状態が続くと、細菌やカビなどが繁殖する虞もある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、植物の根が成長する空間を確保しながら、人工土壌粒子(培地)の飛散や流出を防止するとともに、細菌やカビの繁殖を抑制することができる人工土壌培地用固化剤、及び当該人工土壌培地用固化剤を用いた人工土壌培地の調製方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る人工土壌培地用固化剤の特徴構成は、
人工土壌粒子を固化してかさ密度が0.8g/mL以下の人工土壌培地を調製するための人工土壌培地用固化剤であって、
固化成分を含有する基剤と、
抗菌成分及び/又は防カビ成分を含有する添加剤と、
を含むことにある。
本構成の人工土壌培地用固化剤によれば、固化成分を含有する基剤を含むことから、かさ密度が0.8g/mL以下の人工土壌培地であっても、植物の根が成長する空間を確保しながら、樹高又は草丈の高い植物や植物の成長体を支持するとともに、人工土壌培地の飛散や流出を防止することができる。また、抗菌成分及び/又は防カビ成分は、固化成分により人工土壌培地に固着し、保持されるため、抗菌成分及び/又は防カビ成分が徐々に放出されて、抗菌及び/又は防カビ効果を長期間維持することができる。
本発明に係る人工土壌培地用固化剤において、
前記固化成分は、酢酸ビニル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合系樹脂、イソブテン無水マレイン酸共重合系樹脂、及びアクリル系樹脂からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
本構成の人工土壌培地用固化剤によれば、固化成分として適切な成分を選択しているため、植物の根が成長するための空間を維持しながら、人工土壌培地を確実に固化させることができる。その結果、植物の成長体を確実に支持するとともに、人工土壌培地の飛散を防止することができる。また、抗菌成分及び/又は防カビ成分を人工土壌培地に確実に保持させることができるため、抗菌及び/又は防カビ効果を長期間維持することができる。
本発明に係る人工土壌培地用固化剤において、
前記抗菌成分は、第四級アンモニウム塩であることが好ましい。
本構成の人工土壌培地用固化剤によれば、抗菌成分として適切な成分を選択しているため、植物の生育に影響を与えることなく、人工土壌培地における細菌の繁殖を確実に抑制することができる。
本発明に係る人工土壌培地用固化剤において、
前記防カビ成分は、カビ用キチン合成阻害剤、カビ用DNA合成阻害剤、及びカビ用タンパク質合成阻害剤からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
本構成の人工土壌培地用固化剤によれば、防カビ成分として適切な成分を選択しているため、植物の生育に影響を与えることなく、人工土壌培地におけるカビの繁殖を確実に抑制することができる。
上記課題を解決するための本発明に係る人工土壌培地の調製方法の特徴構成は、
人工土壌粒子を固化してかさ密度が0.8g/mL以下の人工土壌培地を調製する人工土壌培地の調製方法であって、
固化前の人工土壌培地に植物を植える植栽工程と、
前記人工土壌培地の表面に、固化成分を含有する基剤と、抗菌成分及び/又は防カビ成分を含有する添加剤とを含む人工土壌培地用固化剤を、0.01〜5g/cm塗布する塗布工程と、
を包含することにある。
本構成の人工土壌培地の調製方法によれば、人工土壌培地の表面に、固化成分を含有する基剤を含む人工土壌培地用固化剤を、0.01〜5g/cm塗布するため、かさ密度が0.8g/mL以下の人工土壌培地であっても、樹高又は草丈の高い植物や植物の成長体を支持するとともに、人工土壌培地の飛散や流出を防止できる。また、人工土壌培地の表面に人工土壌培地用固化剤を塗布するため、人工土壌培地の下部は固化されず、植物の根が成長するための空間を確保することができ、植物の成長に悪影響を及ぼすことがない。さらに、抗菌成分及び/又は防カビ成分は、固化成分により人工土壌培地に固着し、保持されるため、抗菌成分及び/又は防カビ成分が徐々に放出されて、抗菌及び/又は防カビ効果を長期間維持することができる。
本発明に係る人工土壌培地の調製方法において、
前記塗布工程において、前記人工土壌培地用固化剤を前記人工土壌培地の表面から深さ0.1cm以上含浸させることが好ましい。
本構成の人工土壌培地の調製方法によれば、塗布工程において、人工土壌培地用固化剤を人工土壌培地の表面から深さ0.1cm以上含浸させるため、人工土壌培地を確実に固化させることができる。また、人工土壌培地の表面に抗菌成分及び/又は防カビ成分を確実に保持させることができるため、人工土壌培地の美観を保つことができる。
本発明に係る人工土壌培地の調製方法において、
前記人工土壌培地は、花卉又は観葉植物用の培地であることが好ましい。
本構成の人工土壌培地の調製方法によれば、花卉又は観葉植物の生育に影響を与えることなく、人工土壌培地の飛散や流出を防止することができる。また、細菌やカビの繁殖も同時に抑制することができるため、高度な衛生状態や美観を維持することが重視される花卉又は観葉植物用の育成培地として好適に利用することができる。
図1は、本発明の人工土壌培地用固化剤、及び人工土壌培地の調製方法を適用することができる人工土壌粒子の概略図である。 図2は、防カビ性評価試験によるカビの発生状況を示す写真である。
以下、本発明に係る人工土壌培地用固化剤、及び当該人工土壌培地用固化剤を用いた人工土壌培地の調製方法に関する実施形態について説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
〔人工土壌培地用固化剤〕
人工土壌培地は、無機多孔質体や、繊維等の比重が軽いものが多く用いられている。従って、屋外で使用する場合は、風雨により飛散したり、屋内でも乾燥して表層の人工土壌が飛散することがあった。本発明の人工土壌培地用固化剤は、かさ密度が0.8g/mL以下の軽い人工土壌培地であっても、基剤に含まれる固化成分により人工土壌培地を適度に固定化することが可能となり、樹高又は草丈の高い植物や植物の成長体であっても確実に支持し、人工土壌培地の飛散を防止することができる。また、かさ密度が0.8g/mL以下の人工土壌培地(つまり、隙間の大きい人工土壌培地)に使用するため、人工土壌培地用固化剤を用いても植物の根が成長するための空間を確保することができる。さらに、人工土壌培地用固化剤は、固化成分に加えて、抗菌成分及び/又は防カビ成分を含有する添加剤を含んでいることから、人工土壌培地の構成材料である無機多孔質体や、有機繊維等の表面に抗菌成分及び/又は防カビ成分が固着して、保持される。その結果、抗菌及び/又は防カビ効果が長期間維持される。人工土壌培地用固化剤の使用対象となる人工土壌培地は、かさ密度が0.8g/mL以下の軽量な人工土壌培地であればよく、例えば、無機多孔質体等のフィラーや、繊維等を粒状に成形した人工土壌粒子を含む人工土壌培地が挙げられる。本発明の人工土壌培地用固化剤を使用すれば、このような軽量な人工土壌培地であっても、人工土壌粒子どうしが固化成分により固定化されるとともに、人工土壌粒子の空隙及び複数の人工土壌粒子の間に形成される間隙により、人工土壌培地としての通気性及び保水性を確保することができる。また、固化成分とともに含まれる抗菌成分及び/又は防カビ成分は、人工土壌粒子の表面に固着するため、抗菌及び/又は防カビ効果が長期間維持される。人工土壌粒子の詳細については、後述する。
人工土壌培地の固定化に有効な固化成分としては、人工土壌培地としての排水性及び通気性を阻害しない材料が使用され、例えば、酢酸ビニル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合系樹脂、イソブテン無水マレイン酸共重合系樹脂、アクリル系樹脂等の樹脂材料が挙げられる。このうち、エチレン酢酸ビニル共重合系樹脂が好ましく使用される。上掲の固化成分は、単独で使用してもよいし、二種以上の混合物として使用してもよい。
人工土壌培地用固化剤に含まれる固化成分の配合量は、5〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。固化成分の配合量が5重量%より少ないと、人工土壌培地を十分に固化することが困難となる。また、抗菌成分及び/又は防カビ成分を人工土壌培地に十分に保持できなくなる虞もある。他方、固化成分の配合量が50重量%より多いと、人工土壌培地の表面の大半が固化成分で覆われて、人工土壌培地の通気性や排水性が低下する虞がある。
人工土壌培地に抗菌性を付与するために有効な抗菌成分としては、例えば、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの抗菌成分は、単独で使用してもよいし、二種以上の混合物として使用してもよい。なお、第四級アンモニウム塩は、抗菌作用に加えて防カビ作用も有しているため、後述の防カビ成分の代わりとして、あるいは防カビ成分と組み合わせて使用することも可能である。
人工土壌培地用固化剤に含まれる抗菌成分の配合量は、0.01〜5重量%が好ましく、0.02〜2重量%がより好ましい。抗菌成分の配合量が0.01重量%より少ないと、十分な抗菌効果が発揮されない虞がある。他方、抗菌成分の配合量を5重量%より多くしても、抗菌効果は大きく向上せず、経済的ではない。
人工土壌培地に防カビ性を付与するために有効な防カビ成分としては、例えば、カビ類のDNA合成を阻害するカビ用DNA合成阻害剤、カビ類の細胞壁構成の一つであるキチン質の合成を阻害するカビ用キチン合成阻害剤、リボソームの働きを阻害することによりカビ類のタンパク質の生合成を阻害するカビ用タンパク質合成阻害剤等が挙げられる。この中でも、カビ用DNA合成阻害剤、カビ用キチン合成阻害剤が好ましい。
人工土壌培地用固化剤に含まれる防カビ成分の配合量は、0.01〜5重量%が好ましく、0.02〜2重量%がより好ましい。防カビ成分の配合量が0.01重量%より少ないと、十分な防カビ効果が発揮されない虞がある。他方、防カビ成分の配合量を5重量%より多くしても、防カビ効果は大きく向上せず、経済的ではない。
人工土壌培地用固化剤には、固化成分が溶解可能な溶媒を含有させることが好ましい。この場合、基材として固化成分と溶媒とを含むものを使用すればよい。固化成分が水溶性の高分子材料である場合、溶媒として水を使用することが好ましい。その他の使用可能な溶媒としては、例えば、アルコール、アセトン、ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、酢酸エチル等の有機溶媒が挙げられる。有機溶媒のうち、アルコール、アセトン等の水との親和性が高い溶媒については、水と混合して使用することも可能である。溶媒の含有量は、基剤中の固化成分の含有量が5〜50重量%となるように調整される。溶媒の含有量を調整することにより、基剤の粘度が変化するため、後述する「人工土壌培地の調製方法」における人工土壌培地用固化剤の塗布工程において、人工土壌培地の表面からの人工土壌培地用固化剤の含浸深さを調整することができる。
〔人工土壌培地の調製方法〕
本発明の人工土壌培地用固化剤を使用すると、人工土壌粒子が適度に固化されてなる、かさ密度が0.8g/mL以下の人工土壌培地を調製することができる。以下、その調製方法について説明する。先ず、固化前の人工土壌培地に植物を植え(植栽工程)、次いで、本発明の人工土壌培地用固化剤を、人工土壌培地の表面に0.01〜5g/cm、好ましくは0.05〜3g/cmの量で塗布する(塗布工程)。塗布工程は、人工土壌培地用固化剤を噴射剤とともにスプレー缶に封入して人工土壌培地の表面に噴き付けるスプレー方式で行うことが好ましいが、例えば、植物栽培用の水に人工土壌培地用固化剤を混合しておき、植物に水遣りを行うと同時に人工土壌培地の表面に人工土壌培地用固化剤を付着させる方法とすることも可能である。
塗布工程においては、人工土壌培地用固化剤を人工土壌培地の表面から深さ0.1cm以上、好ましくは0.5cm以上含浸させる。人工土壌培地に塗布された人工土壌培地用固化剤は、表面側から直ちに固化し始めて固化層を形成するが、人工土壌培地全体としての固化を確実にするため、塗布工程の後、数秒から数十分間程度、乾燥させることが好ましい。これにより、かさ密度が0.8g/mL以下の軽量な人工土壌培地であっても、樹高又は草丈の高い植物や植物の成長体を確実に支持するとともに、人工土壌培地の飛散を防止することができる。また、人工土壌培地用固化剤は、人工土壌培地の表面から所定の深さまで適量塗布されているため、人工土壌培地の下部では植物の根が成長するための空間を確保することができる。さらに、人工土壌培地用固化剤は、抗菌成分及び/又は防カビ成分を含有しているため、美観を維持する上で重要となる人工土壌培地の表面付近における細菌及び/又はカビの繁殖を効果的に抑制することができる。その結果、衛生的で見栄えもよい人工土壌培地を維持することができる。特に、花卉又は観葉植物用の人工土壌培地については、土壌としての植物育成能力だけでなく、高度な衛生状態や美観が要求されるため、菌が繁殖しやすい環境で使用される人工土壌培地に抗菌成分及び/又は防カビ成分を使用することは極めて有用である。
〔人工土壌粒子〕
図1は、本発明の人工土壌培地用固化剤、及び人工土壌培地の調製方法を適用することができる人工土壌粒子50の概略図である。上述したように、本発明の人工土壌培地用固化剤の使用対象となる人工土壌培地は、かさ密度が0.8g/mL以下の軽量な人工土壌培地であるため、当該人工土壌培地を構成する人工土壌粒子50としては、例えば、繊維1やフィラー3を集合させて形成した人工土壌粒子が好ましい。以下に、好ましい人工土壌粒子50として、繊維1を塊状化した繊維塊状体10をベースとする第一人工土壌粒子50a、及びフィラー3を集合して粒状化したフィラー集合体20をベースとする第二人工土壌粒子50bを例に挙げて説明する。
<第一人工土壌粒子>
図1(a)の第一人工土壌粒子50aは、繊維塊状体10をベースとする。繊維塊状体10は、複数本の繊維1を塊状化したものである。繊維塊状体10を構成する繊維1の間には、空隙2が形成されている。繊維塊状体10は、空隙2に水分を保持することができる。従って、繊維塊状体10の空隙2の状態は、繊維塊状体10の保水性に関係する。空隙2の状態は、繊維塊状体10を形成する際の繊維1の使用量(密度)、繊維1の種類、太さ、長さ等を変更することにより調整可能である。なお、繊維1のサイズは、太さが5〜100μmのものが好ましく、長さが0.3〜10mmのものが好ましい。
繊維塊状体10は、その内部に水分を保持するため、繊維1として親水性の繊維を使用することが好ましい。繊維1の種類は、天然繊維又は合成繊維が適宜選択される。好ましい親水性の繊維として、例えば、天然繊維では、綿、羊毛、レーヨン、セルロースファイバーが挙げられ、合成繊維では、例えば、ビニロン、ウレタン、ナイロン、アセテートが挙げられる。これらの繊維うち、綿、セルロースファイバー、及びビニロンがより好ましい。繊維1として、天然繊維と合成繊維とを混繊したものを使用することも可能である。
繊維塊状体10は、公知の造粒法により形成される。例えば、セルロースファイバー、綿、ビニロン等をカーディング装置等で引揃え、3〜10mm程度の長さに切断し、切断した繊維1を転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、圧縮造粒、押出造粒等の方法によって粒状化し、繊維塊状体10を形成する。造粒の際、繊維1に樹脂や糊等のバインダーを混合すると、繊維塊状体10を効率よく形成することができる。バインダーは、有機バインダー又は無機バインダーの何れも使用可能である。有機バインダーは、例えば、ポリオレフィン系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダー、ポリウレタン系バインダー、ポリ酢酸ビニル系バインダー等の合成樹脂系バインダー、デンプン、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸などの多糖類、膠などの動物性たんぱく質等の天然物系バインダーが挙げられる。無機バインダーは、例えば、水ガラス等のケイ酸系バインダー、リン酸アルミニウム等のリン酸塩系バインダー、ホウ酸アルミニウム等のホウ酸塩系バインダー、セメント等の水硬性バインダーが挙げられる。有機バインダー及び無機バインダーは、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。なお、繊維1として絡み易いもの(例えば、屈曲した繊維)を使用する場合、造粒を行うだけで繊維1が互いに容易に絡み合うため、この場合は特にバインダーを使用しなくても繊維塊状体10の形成が可能となる。
繊維塊状体10を造粒するにあたり、繊維1として短繊維や繊維パウダーを使用することも可能である。この場合、短繊維や繊維パウダーを撹拌混合造粒装置で撹拌しながらバインダーとして樹脂エマルジョンを少量ずつ投入して造粒する。これにより、繊維塊状体10を形成する短繊維や繊維パウダー同士が一部で固定化され、強固な繊維塊状体10を形成することができる。
繊維塊状体10の外表部には、被覆層(図示せず)を形成してもよい。被覆層を設けることで、繊維塊状体10の急激な乾燥を防止し、水分吸放出特性をコントロールすることができる。被覆層は、水分子が通過可能な超微細孔を有する膜であるが、水分が一方側から浸透して他方側に移動可能な浸透性膜とすることもできる。被覆層は、例えば、以下の方法により繊維塊状体10の外表部に形成される。先ず、造粒した繊維塊状体10を容器に移し、繊維塊状体10の体積(占有容積)の半分程度の水を加え、繊維塊状体10の空隙2に水を浸み込ませる。次に、水を浸み込ませた繊維塊状体10に、繊維塊状体10の体積の1/3〜1/2の樹脂エマルジョンを添加する。樹脂エマルジョンには、顔料、香料、殺菌剤、抗菌剤、消臭剤、殺虫剤等の添加物を混合しておくことも可能である。次に、繊維塊状体10の外表部に樹脂エマルジョンが均一に付着するように転動させながら、繊維塊状体10の外表部から樹脂エマルジョンを含浸させる。このとき、繊維塊状体10の中心部には水が浸み込んでいるため、樹脂エマルジョンは繊維塊状体10の外表部付近で留まる。その後、樹脂エマルジョンが付着した繊維塊状体10を乾燥器で乾燥させ、次いで、樹脂を溶融させ、繊維塊状体10の外表部付近の繊維1に樹脂を融着させて被覆層としての樹脂被膜を形成する。これにより、繊維塊状体10の外表部を被覆層で被覆した第一人工土壌粒子50aを作製することができる。
被覆層の材質は、水に不溶性で酸化され難いものが好ましく、例えば、樹脂材料が挙げられる。そのような樹脂材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のスチロール系樹脂が挙げられる。これらのうち、ポリエチレンが好ましい。また、樹脂材料に代えて、ポリエチレングリコール、アクリルアミド等の高分子ゲル化剤、アルギン酸塩やカラギーナン等の天然多糖類系ゲル化剤、天然ゴムやシリコーンゴム等のゴム系コーティング剤等を使用することも可能である。
〔第二人工土壌粒子〕
図1(b)の第二人工土壌粒子50bは、複数のフィラー3を集合して粒状化したフィラー集合体20をベースとする。複数のフィラー3は、それらが互いに接触していることは必須ではなく、一粒子内でバインダー等を介して一定範囲内の相対的な位置関係を維持していれば、複数のフィラー3が集合して粒状になったものと考えることができる。
フィラー3としては、表面から内部にかけて多数の細孔4を有する多孔質体が好ましい。細孔4は、種々の形態を含む。例えば、フィラー3がゼオライトの場合、当該ゼオライトの結晶構造中に存在する空隙が細孔4である。また、フィラー3がハイドロタルサイトの場合、当該ハイドロタルサイトの層構造中に存在する層間が細孔4である。つまり、本発明において「細孔」とは、フィラー3の構造中に存在する空隙部、層間部、空間部等を意図し、これらは「孔状」の形態に限定されるものではない。
フィラー3の細孔4のサイズは、サブnmオーダー乃至サブμmオーダーとなる。例えば、細孔4のサイズは、0.2〜800nm程度に設定可能であるが、フィラー3がゼオライトの場合、ゼオライトの結晶構造中に存在する空隙のサイズ(径)は、0.3〜1.3nm程度である。フィラー3がハイドロタルサイトの場合、当該ハイドロタルサイトの層構造中に存在する層間のサイズ(距離)は、0.3〜3.0nm程度である。この他に、フィラー3として有機多孔質材料を使用することもでき、その場合の細孔径は、0.1〜0.8μm程度となる。
複数のフィラー3の間には、水分を保持可能なサブμmオーダー乃至サブmmオーダーの連通孔5が形成されている。連通孔5の周囲には細孔4が分散配置されている。連通孔5には主に水分が保持されるため、第二人工土壌粒子50bに一定の保水性を持たせることができる。連通孔5のサイズ(フィラー3間の距離の平均値)は、フィラー3やバインダーの種類、組成、造粒条件により変化し得るが、サブμmオーダー乃至サブmmオーダーとなる。連通孔5のサイズは、0.1〜500μm程度に設定可能であるが、フィラー3がゼオライトである場合、連通孔5のサイズは、0.1〜20μmである。
フィラー3は、第二人工土壌粒子50bが十分な保肥力を有するように、イオン交換能を有する材料を使用することが好ましい。この場合、陽イオン交換能を有する材料、陰イオン交換能を有する材料、又は両者の混合物を使用することができる。また、イオン交換能を有さない多孔質材料(例えば、高分子発泡体、ガラス発泡体等)を別に用意し、当該多孔質材料の孔内に上記のイオン交換能を有する材料を圧入や含浸等によって導入し、これをフィラー3として使用することも可能である。陽イオン交換能を有する材料として、陽イオン交換性鉱物、腐植、及び陽イオン交換樹脂が挙げられる。陰イオン交換能を有する材料として、陰イオン交換性鉱物、及び陰イオン交換樹脂が挙げられる。
陽イオン交換性鉱物は、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等のスメクタイト系鉱物、雲母系鉱物、バーミキュライト、ゼオライト、腐植等が挙げられる。陽イオン交換樹脂は、例えば、弱酸性陽イオン交換樹脂、強酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。これらのうち、ゼオライト、又はベントナイトが好ましい。陽イオン交換性鉱物及び陽イオン交換樹脂は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。陽イオン交換性鉱物及び陽イオン交換樹脂における陽イオン交換容量は、10〜700meq/100gに設定され、好ましくは20〜700meq/100gに設定され、より好ましくは30〜700meq/100gに設定される。陽イオン交換容量が10meq/100g未満の場合、十分に養分を取り込むことができず、取り込まれた養分も灌水等により早期に流失する虞がある。一方、陽イオン交換容量が700meq/100gを超えるように保肥力を過剰に大きくしても、効果は大きく向上せず、経済的ではない。
陰イオン交換性鉱物は、例えば、ハイドロタルサイト、マナセアイト、パイロオーライト、シェーグレン石、緑青等の主骨格として複水酸化物を有する天然層状複水酸化物、合成ハイドロタルサイト及びハイドロタルサイト様物質、アロフェン、イモゴライト、カオリン等の粘土鉱物が挙げられる。陰イオン交換樹脂は、例えば、弱塩基性陰イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂が挙げられる。これらのうち、ハイドロタルサイトが好ましい。陰イオン交換性鉱物及び陰イオン交換樹脂は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。陰イオン交換性鉱物及び陰イオン交換樹脂における陰イオン交換容量は、5〜500meq/100gに設定され、好ましくは20〜500meq/100gに設定され、より好ましくは30〜500meq/100gに設定される。陰イオン交換容量が5meq/100g未満の場合、十分に養分を取り込むことができず、取り込まれた養分も灌水等により早期に流失する虞がある。一方、陰イオン交換容量が500meq/100gを超えるように保肥力を過剰に大きくしても、効果は大きく向上せず、経済的ではない。
フィラー3がゼオライトやハイドロタルサイトのような無機天然鉱物である場合、複数のフィラー3を集合して粒状化したフィラー集合体20(第二人工土壌粒子50b)を構成するために、高分子ゲル化剤のゲル化反応が好適に利用される。高分子ゲル化剤のゲル化反応として、例えば、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングルコールエステル、ジェランガム、グルコマンナン、ペクチン、又はカルボキシメチルセルロース(CMC)と多価金属イオンとのゲル化反応、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タラガムなどの多糖類の二重らせん構造化反応によるゲル化反応が挙げられる。このうち、アルギン酸塩と多価金属イオンとのゲル化反応について説明する。アルギン酸塩の一つであるアルギン酸ナトリウムは、アルギン酸のカルボキシル基がNaイオンと結合した形態の中性塩である。アルギン酸は水に不要であるが、アルギン酸ナトリウムは水溶性である。アルギン酸ナトリウム水溶液を多価金属イオン(例えば、Caイオン)の水溶液中に添加すると、アルギン酸ナトリウムの分子間でイオン架橋が起こりゲル化する。本実施形態の場合、ゲル化反応は、以下の工程により行うことができる。初めに、アルギン酸塩を水に溶解させてアルギン酸塩水溶液を調製し、アルギン酸塩水溶液にフィラー3を添加し、これを十分攪拌して、アルギン酸塩水溶液中にフィラー3が分散した混合液を形成する。次に、混合液を多価金属イオン水溶液中に滴下し、混合液に含まれるアルギン酸塩を粒状にゲル化させる。その後、ゲル化した粒子を回収して水洗し、十分に乾燥させる。これにより、アルギン酸塩及び多価金属イオンから形成されるアルギン酸塩ゲル中にフィラー3が分散した粒状物としての第二人工土壌粒子50bが得られる。
ゲル化反応に使用可能なアルギン酸塩は、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウムが挙げられる。これらのアルギン酸塩は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。アルギン酸塩水溶液の濃度は、0.1〜5重量%とし、好ましくは0.2〜5重量%とし、より好ましくは0.2〜3重量%とする。アルギン酸塩水溶液の濃度が0.1重量%未満の場合、ゲル化反応が起こり難くなり、5重量%を超えると、アルギン酸塩水溶液の粘度が大きくなり過ぎるため、フィラー3を添加した混合液の攪拌や、混合液を多価金属イオン水溶液中に滴下することが困難になる。
アルギン酸塩水溶液を滴下する多価金属イオン水溶液は、アルギン酸塩と反応してゲル化が起きる2価以上の金属イオン水溶液であればよい。そのような多価金属イオン水溶液の例として、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム、塩化ニッケル、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化コバルト等の多価金属の塩化物水溶液、硝酸カルシウム、硝酸バリウム、硝酸アルミニウム、硝酸鉄、硝酸銅、硝酸コバルト等の多価金属の硝酸塩水溶液、乳酸カルシウム、乳酸バリウム、乳酸アルミニウム、乳酸亜鉛等の多価金属の乳酸塩水溶液、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸コバルト等の多価金属の硫酸塩水溶液が挙げられる。これらの多価金属イオン水溶液は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。多価金属イオン水溶液の濃度は、1〜20重量%とし、好ましくは2〜15重量%とし、より好ましくは3〜10重量%とする。多価金属イオン水溶液の濃度が1重量%未満の場合、ゲル化反応が起こり難くなり、20重量%を超えると、金属塩の溶解に時間が掛かるとともに、過剰の材料を使用することになるため、経済的でない。
フィラー集合体20を形成するためのフィラー3の粒状化は、上述のゲル化反応の他、バインダーを用いた造粒法によって行うこともできる。これは、例えば、フィラー3にバインダーや溶媒等を加えて混合し、混合物を造粒機に導入し、転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、圧縮造粒、押出造粒、破砕造粒、溶融造粒、噴霧造粒等の公知の造粒法により行うことができる。得られたフィラー集合体20は、必要に応じて乾燥及び分級が行われ、第二人工土壌粒子50bが完成する。また、フィラー3にバインダーを加え、さらに必要に応じて溶媒等を加えて混練し、これを乾燥してブロック状にしたものを、乳鉢及び乳棒、ハンマーミル、ロールクラッシャー等の粉砕手段で適宜粉砕して粒状物とすることも可能である。この粒状物は、そのまま第二人工土壌粒子50bとして用いることもできるが、篩にかけて所望のサイズに調整することが好ましい。
バインダーは、有機バインダー又は無機バインダーの何れも使用可能である。有機バインダーは、例えば、ポリオレフィン系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダー、ポリウレタン系バインダー、ポリ酢酸ビニル系バインダー等の合成樹脂系バインダー、デンプン、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸などの多糖類、膠などの動物性たんぱく質等の天然物系バインダーが挙げられる。無機バインダーは、例えば、水ガラス等のケイ酸系バインダー、リン酸アルミニウム等のリン酸塩系バインダー、ホウ酸アルミニウム等のホウ酸塩系バインダー、セメント等の水硬性バインダーが挙げられる。有機バインダー及び無機バインダーは、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。
〔第一人工土壌粒子の作製〕
見かけの容積で1000ccのビニロン短繊維(長さ0.5mm、繊維径20μm 株式会社クラレ製)を撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)で撹拌、転動させながらポリエチレンエマルジョン(セポルジョン(登録商標)G315、住友精化株式会社製、濃度40重量%)を約10倍に希釈したものを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させた粒子状の繊維塊状体を形成した。次いで、同じポリエチレンエマルジョンを体積の1/2となるように加えて外表部にエマルジョンが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸した繊維塊状体を乾燥器で60℃で乾燥した後、100℃でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることによりビニロン短繊維同士を固定化し、第一人工土壌粒子を得た。この第一人工土壌粒子を篩がけし、サイズを0.5〜10mmに調整した。第一人工土壌粒子のかさ密度は、0.6g/mLであった。
〔第二人工土壌粒子の作製〕
フィラーとしてゼオライト及びハイドロタルサイトを使用し、ゲル化剤としてアルギン酸ナトリウムを使用し、アルギン酸ナトリウムをゲル化させる多価金属イオンの水溶液として5%塩化カルシウム水溶液を使用した。和光純薬工業株式会社製の試薬アルギン酸ナトリウムを水に溶解させて濃度0.5%の水溶液を調製し、アルギン酸ナトリウム0.5%水溶液100重量部に株式会社エコウエル製の人工ゼオライト「琉球ライト600」10重量部、及び和光純薬工業株式会社製の試薬ハイドロタルサイト10重量部を添加して混合した。混合液を5%塩化カルシウム水溶液中に1滴/秒の速度で滴下した。滴下した液滴が粒子状にゲル化した後、粒子状ゲルを回収して十分に水洗し、55℃に設定した乾燥器で24時間乾燥させた。この人工土壌粒子を篩がけし、サイズを0.1〜10mmに調整した。第二人工土壌粒子のかさ密度は、0.8g/mLであった。
〔人工土壌培地用固化剤の形状維持能力の評価〕
実施例1として、第一人工土壌粒子を半透明樹脂製の容器に200cc充填して人工土壌培地を調製し、ポトスを植えた後、人工土壌培地の表面(表層)に人工土壌培地用固化剤をスプレーにより30cc(約0.3g/cm)塗布することにより、人工土壌培地の表面から深さ1cm程度まで固化層を形成した。人工土壌培地用固化剤は、蒸留水を溶媒とし、固化成分としてエチレン酢酸ビニル共重合系樹脂であるローンフィックス(登録商標)200(昭和電工株式会社製)を40重量%含有し、抗菌成分として10w/v%塩化ベンザルコニウム水溶液(小堺製薬株式会社製)を0.2重量%(塩化ベンザルコニウム換算で0.02重量%)含有するものを使用した。実施例2は、第二人工土壌粒子を使用したこと以外は実施例1と同じ方法で、人工土壌培地用固化剤を塗布した人工土壌培地を調製した。比較例1及び2は、実施例1及び2の人工土壌粒子を夫々使用し、人工土壌培地用固化剤を塗布しないものとした。各人工土壌培地を屋外に一定期間放置し、植物の支持の状態、及び人工土壌粒子の飛散・流出性を目視により評価した。
結果は、人工土壌培地用固化剤を使用した実施例1及び2については、何れの人工土壌培地においても、植物体をしっかりと支持し、目立った人工土壌粒子の飛散や流出はほとんど認められなかった。これに対して、人工土壌培地用固化剤を使用していない比較例1及び2では、風等による植物体の傾斜や、容器からの人工土壌粒子の飛散が認められるとともに、灌水による容器からの人工土壌粒子の流出も認められた。従って、本発明の人工土壌培地用固化剤を使用すると、人工土壌培地の形状維持能力が高くなり、風や雨水等による人工土壌粒子の飛散や流出を有効に防止できることが示唆された。
〔人工土壌培地の抗菌性評価試験〕
実施例1及び2、並びに比較例1及び2の各人工土壌粒子80ccを使用して人工土壌培地を調製し、一般細菌(好気性菌及び嫌気性菌が含まれる)を対象とした抗菌性評価試験を実施した。抗菌性評価試験は、実施例1及び2、並びに比較例1及び2の人工土壌培地を灌水して体積含水率が20〜30%となるように調整し、これを常温に維持した室内に14日間放置した後、人工土壌培地の上層(表層から1cm)、及び下層(表層から4cm)から試験サンプルを採取した。そして、人工土壌培地1グラム当たりに含まれる細菌数を衛生試験法に準拠した一般細菌及び嫌気性菌定量試験により計測した。抗菌性評価試験の結果を表1に示す。
Figure 2017018075
実施例1の人工土壌培地は、対応する比較例1の人工土壌培地と比べて、上層における総菌数が0.08倍程度となった。下層における総菌数は1.65倍程度となった。下層における総菌数は、数値上では実施例1の方が比較例1よりも若干多くなっているが、桁数が同じであるため計測誤差範囲内であり、実質的にはほぼ同数(変化なし)と見なすことができる。実施例2の人工土壌培地は、対応する比較例2の人工土壌培地と比べて、上層における総菌数が1.32×10−5倍程度となった。下層における総菌数は0.40倍程度となった。これらの結果から、本発明の人工土壌培地用固化剤は、一般細菌に対して有意な抗菌効果が認められ、特に、人工土壌培地用固化剤が直接塗布される人工土壌培地の表層付近(好気性菌及び嫌気性菌の両方が含まれる土壌の上層)については、非常に高い抗菌効果が認められた。従って、本発明の人工土壌培地用固化剤は、特に、美観を維持することが重視される花卉又は観葉植物用の人工土壌培地に適用する抗菌性固化剤として有用であることが示された。
なお、抗菌性評価試験に使用した実施例1及び2、並びに比較例1及び2の人工土壌培地について、各人工土壌培地の表面におけるカビの発生状況についても目視により確認したところ、実施例1及び2の人工土壌培地は、カビの発生は認められず、初期の外観を維持していたが、比較例1及び2の人工土壌培地は、カビが発生して褐色ないし黒色に変色し、見栄えが悪いものとなった。
〔人工土壌培地の防カビ性評価試験〕
実施例3として、第一人工土壌粒子を植物育成用4号ポットに400cc充填して人工土壌培地を調製し、ポトスを植えた後、人工土壌培地の表面(表層)に人工土壌培地用固化剤をスプレーにより40cc(約0.4g/cm)塗布することにより、人工土壌培地の表面から深さ1cm程度まで固化層を形成した。人工土壌培地用固化剤は、蒸留水を溶媒とし、固化成分としてエチレン酢酸ビニル共重合系樹脂であるローンフィックス(登録商標)200(昭和電工株式会社製)を40重量%含有し、防カビ成分としてカビ用DNA合成阻害剤であるベンレート(登録商標)水和剤(住友化学株式会社製)を0.2重量%含有するものを使用した。比較例3は、実施例3の人工土壌培地において、人工土壌培地用固化剤を塗布しないものとした。比較例4は、実施例3の人工土壌培地において、防カビ成分を含有しない液、すなわち固化成分のみを塗布した。比較例5は、実施例3の人工土壌培地において、固化成分を含有しない液、すなわち防カビ成分のみを塗布した。
防カビ性評価試験は、上記抗菌性評価試験と同様の条件で実施し、各人工土壌培地の表面におけるカビの発生状況を目視により確認した。防カビ性評価試験によるカビの発生状況を図2の写真に示す。
実施例3の人工土壌培地は、カビによる変色は一切認められず、初期の良好な外観を維持していた。比較例3の人工土壌培地は、防カビ成分及び固化成分が塗布されていないため、表面全体にカビが発生し、白色の培地が褐色ないし黒色に変色した。比較例4の人工土壌培地は、防カビ成分が塗布されていないため、表面の一部にカビが発生し、点状の変色(図2(c)中の矢印で示す部分)が確認された。比較例5の人工土壌培地は、防カビ成分が塗布されたものであるが、カビによる変色(図2(d)中の矢印で示す部分)が確認された。これは、比較例5では固化成分を使用していないため、人工土壌培地の表面に防カビ成分が留まり難いためと考えられる。従って、本発明の人工土壌培地用固化剤は、特に、美観を維持することが重視される花卉又は観葉植物用の人工土壌培地に適用する防カビ性固化剤として有用であることが示された。
本発明の人工土壌培地用固化材、及び人工土壌培地の調製方法は、花卉又は観葉植物用土壌培地に利用可能であるが、その他の用途として、施設園芸用土壌培地、緑化用土壌培地、成型土壌培地等にも利用可能である。

Claims (7)

  1. 人工土壌粒子を固化してかさ密度が0.8g/mL以下の人工土壌培地を調製するための人工土壌培地用固化剤であって、
    固化成分を含有する基剤と、
    抗菌成分及び/又は防カビ成分を含有する添加剤と、
    を含む人工土壌培地用固化剤。
  2. 前記固化成分は、酢酸ビニル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合系樹脂、イソブテン無水マレイン酸共重合系樹脂、及びアクリル系樹脂からなる群から選択される少なくとも一つである請求項1に記載の人工土壌培地用固化剤。
  3. 前記抗菌成分は、第四級アンモニウム塩である請求項1又は2に記載の人工土壌培地用固化剤。
  4. 前記防カビ成分は、カビ用キチン合成阻害剤、カビ用DNA合成阻害剤、及びカビ用タンパク質合成阻害剤からなる群から選択される少なくとも一つである請求項1〜3の何れか一項に記載の人工土壌培地用固化剤。
  5. 人工土壌粒子を固化してかさ密度が0.8g/mL以下の人工土壌培地を調製する人工土壌培地の調製方法であって、
    固化前の人工土壌培地に植物を植える植栽工程と、
    前記人工土壌培地の表面に、固化成分を含有する基剤と、抗菌成分及び/又は防カビ成分を含有する添加剤とを含む人工土壌培地用固化剤を、0.01〜5g/cm塗布する塗布工程と、
    を包含する人工土壌培地の調製方法。
  6. 前記塗布工程において、前記人工土壌培地用固化剤を前記人工土壌培地の表面から深さ0.1cm以上含浸させる請求項5に記載の人工土壌培地の調製方法。
  7. 前記人工土壌培地は、花卉又は観葉植物用の培地である請求項5又は6に記載の人工土壌培地の調製方法。
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