JP6209053B2 - 植物育成培地、及び植物育成キット - Google Patents
植物育成培地、及び植物育成キット Download PDFInfo
- Publication number
- JP6209053B2 JP6209053B2 JP2013222906A JP2013222906A JP6209053B2 JP 6209053 B2 JP6209053 B2 JP 6209053B2 JP 2013222906 A JP2013222906 A JP 2013222906A JP 2013222906 A JP2013222906 A JP 2013222906A JP 6209053 B2 JP6209053 B2 JP 6209053B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- artificial soil
- soil particles
- plant growth
- plant
- growth medium
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
複数種の人工土壌粒子を含む植物育成培地であって、
表面側に所定値以上の保水性を有し、且つ所定値以下のサイズを有する人工土壌粒子を配置し、
深さ方向に沿って、人工土壌粒子の保水性を連続的又は段階的に小さくし、電気伝導度を連続的又は段階的に大きくし、且つサイズを連続的又は段階的に大きくした傾斜構造を有することにある。
保水性が大きく、電気伝導度が小さく、且つサイズが小さい第一人工土壌粒子を含み、植物の発根を促す発根層として機能する上層と、
前記第一人工土壌粒子より保水性が小さく、電気伝導度が大きく、且つサイズが大きい第二人工土壌粒子を含み、植物の根の成長を促す育成層として機能する下層と、
を備えることが好ましい。
前記上層の保水量は、前記第一人工土壌粒子100cc当たり40cc以上であり、
前記下層の保水量は、前記第二人工土壌粒子100cc当たり20cc以上40cc未満であることが好ましい。
前記上層は、pF値が2.3以下の範囲で水分を24時間以上保持することが好ましい。
前記第一人工土壌粒子のサイズは、0.1mm以上2.0mm未満であり、
前記第二人工土壌粒子のサイズは、2.0mm以上10.0mm以下であることが好ましい。
前記上層の電気伝導度は、1.5mS/cm未満であり、
前記下層の電気伝導度は、1.5mS/cm以上10.0mS/cm以下であることが好ましい。
前記第一人工土壌粒子は、繊維を集合してなる繊維塊状体を含み、
前記第二人工土壌粒子は、細孔を有する複数のフィラーを造粒してなる多孔質体を含むことが好ましい。
上記何れか一つの植物育成培地を用いたことにある。
図1は、複数種の人工土壌粒子50を使用した植物育成培地100の断面図である。図1(a)の植物育成培地100は、保水性及び保肥性の異なる2種の人工土壌粒子50(50a,50b)で構成されている。図1(b)の植物育成培地100は、保水性及び保肥性の異なる3種の人工土壌粒子50(50a,50b1,50b2)で構成されている。図1に示すように、植物育成培地100は、播種又は挿し木から効率的に発根を促す保水性の高い上層1と、根が成長するための空間と通気性とを確保しながら、適量の水分及び肥料を植物に供給する下層2とから構成されている。上層1は、保水性の高い第一人工土壌粒子50aから構成され、下層2は、適量の水分及び肥料を保持する第二人工土壌粒子50bから構成されている。第一人工土壌粒子50a及び第二人工土壌粒子50bの構造の詳細については、後述する。
図2は、二種類の人工土壌粒子50を模式的に示した説明図である。図2(a)の第一人工土壌粒子50aは、繊維塊状体10として構成される。繊維塊状体10は、複数本の繊維11を集合させたものである。繊維塊状体10を構成する繊維11の間には、空隙12が形成されている。繊維塊状体10は、空隙12に水分を保持することができる。従って、繊維塊状体10の空隙12の状態は、繊維塊状体10の保水性に関係する。空隙12の状態は、繊維塊状体10を形成する際の繊維11の使用量(密度)、繊維11の種類、太さ、長さ等を変更することにより調整可能である。なお、繊維11のサイズは、太さが5〜100μmのものが好ましく、長さが0.3〜10mmのものが好ましい。第一人工土壌粒子50aとして繊維塊状体10を使用することにより、植物育成培地100の上層1の保水性をさらに高めることができ、播種又は挿し木から効率よく発根させることができる。
図2(b)の第二人工土壌粒子50bは、複数のフィラー13が集合して粒状に構成された多孔質体を含む。複数のフィラー13は、それらが互いに接触していることは必須ではなく、一粒子内でバインダー等を介して一定範囲内の相対的な位置関係を維持していれば、複数のフィラー13が集合して粒状になったものと考えることができる。
図3は、本発明の植物育成培地100を用いた植物育成キット200を例示した斜視図である。本実施形態の植物育成キット200は、図3に示すように、包装用フィルム等を用いて植物育成培地100を包装して包装体30を形成し、当該包装体30を容器として使用できるように構成している。包装体30の上部には、種や挿し木を植えることができる挿入口31が形成され、さらに、当該挿入口31を塞ぐように開封片32が剥離可能に接着されている。植物育成キット200の製造方法としては、例えば、挿入口31から第二人工土壌粒子50bを添加して包装体30の下部に敷き詰め、次いで第一人工土壌粒子50aを添加して第二人工土壌粒子50bの上に積層した後、挿入口31に開封片32を接着する。植物育成キット200の使用に際しては、開封片32を包装体30から剥離して挿入口31を開口させて、植物育成培地100の上層1を露出させることにより、播種又は挿し木を容易に行うことができる。植物育成キット200は、包装フィルムで植物育成培地100を包装しているため、保存性に優れ、持ち運びも容易なため、植物工場はもちろん、家庭内でも使用することができる。
実施例1〜3として、第一人工土壌粒子を含む上層と、第二人工土壌粒子を含む下層とから構成される植物育成培地にラディシュを播種し、ラディシュの成長を評価した。人工土壌粒子の特性については、以下の(1)〜(6)に示す方法により評価した。ラディシュの育成試験は、種子からの発芽の有無、及び結実の有無により評価した。
人工土壌粒子又は人工土壌団粒体を篩によって予め所定のサイズに分級し、分級したものについて画像処理を用いた測定法でサイズを測定し、これを試料として使用した。
人工土壌粒子のサイズは、光学顕微鏡観察及び画像処理法を用いて測定した。先ず、測定対象の人工土壌粒子をスケールとともに顕微鏡で観察し、その顕微鏡画像を画像処理ソフト(二次元画像解析処理ソフトウェア「WinROOF」、三谷商事株式会社製)を使用して取得した。画像から100個の人工土壌粒子を選択し、人工土壌粒子の輪郭をトレースし、トレースした図形の周長から、相当円の直径を算出した。人工土壌粒子から求めた相当円の直径(100個)の平均を平均サイズ(単位:ピクセル)とした。そして、平均サイズを顕微鏡画像中のスケールと比較し、単位長さ(μmオーダー乃至mmオーダー)に変換して、人工土壌粒子のサイズを算出した。
クロマト管に試験対象の植物育成培地を充填し、植物育成培地の全てが水没するように水を注入して1時間静置後、クロマト管の下部より水を抜き、3分間クロマト管から落水しなくなったときの重量を測定した。これを、予め測定しておいた試験対象の植物育成培地の重量を差し引くことにより保水量を算出した。
植物育成培地を水道水に24時間浸漬して飽和含水状態にし、さらに1時間静置した。植物育成培地の重力水を流下させた後、植物育成培地の形状を出来るだけ維持しながら100ml試料用円筒に採取し、デジタル実容積測定装置(DIK−1150、大起理化工業株式会社製)にセットして粗間隙率を測定した。
メスシリンダーを用いて人工土壌粒子を50cc秤量して、クロマト管に充填した。次いで、100ccの蒸留水をクロマト管の上部からゆっくりと注水し、水が流下した後、再度100ccの水を注水した。この注水操作を100回繰り返した。その後、100ccの1%クエン酸溶液をクロマト管の上部からゆっくりと注水して、人工土壌粒子内に吸着している吸着イオンを抽出した。抽出液を3Cろ紙でろ過し、ろ液中の抽出イオンの量を測定した。このクエン酸を用いる抽出操作を100回繰返し、吸着イオンの総抽出量を算出した。
容量200mlのポリエチレン製容器を使用し、容器の底面には排水用の穴を開けて、底に水が溜まらないようにした。当該容器に人工土壌粒子200ml添加し、容器の上部から水100mlを注水して、底面の排水用の穴から排出される水を200mlのポリエチレン製容器に採取した。採取した水を3Cろ紙でろ過し、ろ液を電気伝導度計(DS−71、株式会社堀場製作所製)で測定した。
容量500mlのポリエチレン製容器を使用し、容器の底面に排水用の穴を開けて、容器の底に水が溜まらないようにした。当該容器に砂(粒径2〜5mm)を100ml添加し、その上に飽和含水状態にした人工土壌粒子400ml添加した。1時間放置後、容器の排水用の穴にpFメーター(DIK−8343、大起理化工業株式会社製)を差し込んで固定し、pF値の経時変化の推移を測定した。
植物育成培地の容器には、容量300mlのポリエチレン製容器を使用し、容器の底面に排水用の穴を開けて、容器の底に水が溜まらないようにした。実施例1の植物育成培地は、当該容器に第二人工土壌粒子200mlを添加して下層とし、その上に第一人工土壌粒子100mlを添加して上層とした。ラディッシュの種を上層表面に播種して上面灌水(1回/日)を行った。第一人工土壌粒子及び第二人工土壌粒子は、以下の方法で作製した。
見かけの容積で1000ccのビニロン短繊維(長さ0.5mm、繊維径20μm 株式会社クラレ製)を撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)で撹拌、転動させながらポリエチレンエマルジョン(セポルジョン(登録商標)G315、住友精化株式会社製、濃度40重量%)を約10倍に希釈したものを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させた粒子状の繊維塊状体を形成した。次いで、同じポリエチレンエマルジョンを体積の1/2となるように加えて外表部にエマルジョンが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸した繊維塊状体をオーブンで60℃で乾燥した後、100℃でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることによりビニロン短繊維同士を固定化し、第一人工土壌粒子を得た。この第一人工土壌粒子のサイズは1.0〜2.0mmの範囲となるように調製した。第一人工土壌粒子の特性の評価値を以下に示す。
保水量:第一人工土壌粒子100cc当たり40cc
pF値2.3以下の水分の保持時間:48時間
フィラーとしてゼオライト及びハイドロタルサイトを使用し、アルギン酸塩としてアルギン酸ナトリウムを使用し、多価金属イオン水溶液として5%塩化カルシウム水溶液を使用した。和光純薬工業株式会社製の試薬アルギン酸ナトリウムを水に溶解させて濃度0.5%の水溶液を調製し、アルギン酸ナトリウム0.5%水溶液100重量部に株式会社エコウエル製の人工ゼオライト「琉球ライト600」10重量部、及び和光純薬工業株式会社製の試薬ハイドロタルサイト10重量部を添加して混合した。混合液を5%塩化カルシウム水溶液中に1滴/秒の速度で滴下した。滴下した液滴が粒子状にゲル化した後、粒子状ゲルを回収して十分に水洗し、55℃に設定した乾燥機で24時間乾燥させた。この人工土壌粒子のサイズは2.0〜4.0mmの範囲となるように調製した。肥料成分である水溶性リン酸肥料、水溶性カリウム肥料、水溶性硝酸肥料の溶液に浸漬して、フィラーに坦持させた。第二人工土壌粒子の特性の評価値を以下に示す。
保水量:第二人工土壌粒子100cc当たり30cc
粗間隙率:40%
保肥量:第二人工土壌粒子1L当たり320mg(肥料総量)
電気伝導度(EC):2.0〜5.0mS/cm
実施例2の植物育成培地は、実施例1と同じ容器に、第二人工土壌粒子200mlを添加して下層とし、その上に第一人工土壌粒子100mlを添加して上層とした。ラディッシュの種を上層表面に播種して上面灌水(1回/日)を行った。第一人工土壌粒子は、以下の方法で作製した。第二人工土壌粒子は、実施例1と同じ第二人工土壌粒子を使用した。
セルロースファイバー(アボセルB800、昭和化学工業株式会社製)をカーディング装置で引きそろえ、3〜10mm程度の長さに切断して、回転する2枚の板の間に入れて転がさせながら、ポリエチレンエマルジョン(セポルジョン(登録商標)G315、住友精化株式会社製、濃度40重量%)を約10倍に希釈したものを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させた粒子状の繊維塊状体を形成した。次いで、同じポリエチレンエマルジョンを体積の1/2となるように加えて外表部にエマルジョンが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸した繊維塊状体をオーブンで60℃で乾燥した後、100℃でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることにより、セルロースファイバー同士を固定化し、第一人工土壌粒子を得た。この第一人工土壌粒子のサイズは0.1〜2.0mmの範囲となるように調製した。第一人工土壌粒子の特性の評価値を以下に示す。
保水量:第一人工土壌粒子100cc当たり40cc
pF値2.3以下の水分の保持時間:36時間
実施例3の植物育成培地は、実施例1と同じ容器に、第二人工土壌粒子200mlを添加して下層とし、その上に第一人工土壌粒子100mlを添加して上層とした。ラディッシュの種を上層表面に播種して上面灌水(1回/日)を行った。第一人工土壌粒子は、以下の方法で作製した。第二人工土壌粒子は、実施例1と同じ第二人工土壌粒子を使用した。
フィラーとしてタルクを使用し、アルギン酸塩としてアルギン酸ナトリウムを使用し、多価金属イオン水溶液として5%塩化カルシウム水溶液を使用した。和光純薬工業株式会社製の試薬アルギン酸ナトリウムを水に溶解させて濃度0.5%の水溶液を調製し、アルギン酸ナトリウム0.5%水溶液100重量部にタルク(SW、日本タルク株式会社製)10重量部を添加して混合した。混合液を5%塩化カルシウム水溶液中に1滴/秒の速度で滴下した。滴下した液滴が粒子状にゲル化した後、粒子状ゲルを回収して十分に水洗し、55℃に設定した乾燥機で24時間乾燥させた。この人工土壌粒子のサイズは0.5〜1.0mmの範囲となるように調製した。第一人工土壌粒子の特性の評価値を以下に示す。
保水量:第一人工土壌粒子100cc当たり40cc
pF値2.3以下の水分の保持時間:36時間
比較例1の植物育成培地は、実施例1と同じ容器に、同じ種類の人工土壌粒子を300ml添加して植物育成培地とした。ラディッシュの種を植物育成培地の表面に播種して上面灌水(1回/日)を行った。比較例1の人工土壌粒子は、実施例1と同じ第二人工土壌粒子を使用した。
実施例1〜3、及び比較例1によるラディシュの育成試験の結果を表1に示す。
実施例4〜6として、第一人工土壌粒子を含む上層と、第二人工土壌粒子を含む下層とから構成される植物育成培地にシュガーパインを挿し木し、シュガーパインの成長を評価した。実施例7及び8として、下層にさらに2つの異なる人工土壌粒子を使用して二層(中層、最下層)としたものを用いた。人工土壌粒子の特性については、「植物育成培地を用いたラディシュの播種による育成試験」の項で述べた(1)〜(6)に示す方法により評価した。シュガーパインの挿し木による育成試験は、挿し木からの発根の有無、及び成体への成長の有無により評価した。
実施例4の植物育成培地は、実施例1と同じ容器に、第二人工土壌粒子200mlを添加して下層とし、その上に第一人工土壌粒子100mlを添加して上層とした。シュガーパインの挿し木を上層表面に挿して上面灌水(1回/2日)を行った。第一人工土壌粒子は、以下の方法で作製した。第二人工土壌粒子は、実施例1と同じ第二人工土壌粒子を使用した。
フィラーとしてゼオライト及びハイドロタルサイトを使用し、アルギン酸塩としてアルギン酸ナトリウムを使用し、多価金属イオン水溶液として5%塩化カルシウム水溶液を使用した。和光純薬工業株式会社製の試薬アルギン酸ナトリウムを水に溶解させて濃度0.5%の水溶液を調製し、アルギン酸ナトリウム0.5%水溶液100重量部に株式会社エコウエル製の人工ゼオライト「琉球ライト600」10重量部、及び和光純薬工業株式会社製の試薬ハイドロタルサイト10重量部を添加して混合した。混合液を5%塩化カルシウム水溶液中に1滴/秒の速度で滴下した。滴下した液滴が粒子状にゲル化した後、粒子状ゲルを回収して十分に水洗し、55℃に設定した乾燥機で24時間乾燥させた。この人工土壌粒子のサイズは0.1〜1.0mmの範囲となるように調製した。第一人工土壌粒子を、肥料成分である水溶性リン酸肥料、水溶性カリウム肥料、水溶性硝酸肥料の溶液に浸漬して、低濃度の肥料をフィラーに坦持させた。第一人工土壌粒子の特性の評価値を以下に示す。
保水量:第一人工土壌粒子100cc当たり40cc
pF値2.3以下の水分の保持時間:36時間
電気伝導度(EC):1.4mS/cm
実施例5の植物育成培地は、実施例1と同じ容器に、第二人工土壌粒子200mlを添加して下層とし、その上に第一人工土壌粒子100mlを添加して上層とした。シュガーパインの挿し木を上層表面に挿して上面灌水(1回/2日)を行った。第一人工土壌粒子は、実施例1の第一人工土壌粒子(ビニロン短繊維)と、実施例4の第一人工土壌粒子と、を等量混同したものを使用した。第二人工土壌粒子は、実施例1と同じ第二人工土壌粒子を使用した。
実施例6の植物育成培地は、実施例1と同じ容器に、第二人工土壌粒子200mlを添加して下層とし、その上に第一人工土壌粒子100mlを添加して上層とした。シュガーパインの挿し木を上層表面に挿して上面灌水(1回/2日)を行った。第一人工土壌粒子は、以下の方法で作製した。第二人工土壌粒子は、実施例1と同じ第二人工土壌粒子を使用した。
見かけの容積で1000ccのビニロン短繊維(長さ0.5mm、繊維径20μm 株式会社クラレ製)に、ゼオライト及びハイドロタルサイトを夫々50g添加して、撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)で撹拌、転動させながら、ポリエチレンエマルジョン(セポルジョン(登録商標)G315、住友精化株式会社製、濃度40重量%)を約10倍に希釈したものを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させた粒子状の繊維塊状体を形成した。エマルジョンが含浸した繊維塊状体を60℃のオーブンで乾燥させた後、100℃でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることによりビニロン短繊維同士を固定化し、第一人工土壌粒子を得た。この第一人工土壌粒子のサイズは1.0〜2.0mmの範囲となるように調製した。第一人工土壌粒子を、肥料成分である水溶性リン酸肥料、水溶性カリウム肥料、水溶性硝酸肥料の溶液に浸漬して、低濃度の肥料をフィラーに坦持させた。第一人工土壌粒子の特性の評価値を以下に示す。
保水量:第一人工土壌粒子100cc当たり40cc
pF値2.3以下の水分の保持時間:48時間
電気伝導度(EC):1.2mS/cm
実施例7の植物育成培地は、実施例1と同じ容器に、第二人工土壌粒子100mlを添加して最下層とし、その上に第二人工土壌粒子のサイズを変更した人工土壌粒子100mlを添加して中層とし、さらにその上に第一人工土壌粒子100mlを添加して上層とした。シュガーパインの挿し木を上層表面に挿して上面灌水(1回/2日)を行った。第一人工土壌粒子は、実施例6と同じ第一人工土壌粒子を使用した。第二人工土壌粒子は、実施例1と同じ方法で作製し、最下層の第二人工土壌粒子のサイズを4.0〜6.0mmの範囲、中層の第二人工土壌粒子のサイズを2.0〜4.0mmの範囲となるように調製した。
実施例8の植物育成培地は、実施例1と同じ容器に、第二人工土壌粒子100mlを添加して最下層とし、その上に第二人工土壌粒子のサイズを変更した人工土壌粒子100mlを添加して中層とし、さらにその上に第一人工土壌粒子100mlを添加して上層とした。シュガーパインの挿し木を上層表面に挿して上面灌水(1回/日)を行った。第一人工土壌粒子は、実施例4と同じ第一人工土壌粒子を使用した。第二人工土壌粒子は、実施例1の第二人工土壌粒子と同じ方法で作製し、最下層の第二人工土壌粒子のサイズを4.0〜6.0mmの範囲、中層の第二人工土壌粒子のサイズを2.0〜4.0mmの範囲となるように調製した。
比較例2の植物育成培地は、実施例1と同じ容器に、第二人工土壌粒子200mlを添加して下層とし、その上に第一人工土壌粒子100mlを添加して上層とした。シュガーパインの挿し木を上層表面に挿して上面灌水(1回/2日)を行った。第一人工土壌粒子は、実施例4の第一人工土壌粒子と同じ方法で作製し、第一人工土壌粒子のサイズを4.0〜6.0mmの範囲となるように調製した。第二人工土壌粒子は、実施例1と同じ第二人工土壌粒子を使用した。
比較例3の植物育成培地は、実施例1と同じ容器に、第二人工土壌粒子200mlを添加して下層とし、その上に第一人工土壌粒子100mlを添加して上層とした。シュガーパインの挿し木を上層表面に挿して上面灌水(1回/2日)を行った。第一人工土壌粒子は、実施例4と同じ第一人工土壌粒子を使用した。第二人工土壌粒子は、実施例1の第二人工土壌粒子と同じ方法で作製し、第二人工土壌粒子のサイズを0.1〜0.5mmの範囲となるように調製した。第二人工土壌粒子の特性の評価値を以下に示す。
保水量:第二人工土壌粒子100cc当たり45cc
pF値2.3以下の水分の保持時間:60時間
保肥量:第二人工土壌粒子1L当たり320mg(肥料総量)
電気伝導度(EC):1.2mS/cm
比較例4の植物育成培地は、実施例1と同じ容器に、第二人工土壌粒子200mlを添加して下層とし、その上に第一人工土壌粒子100mlを添加して上層とした。シュガーパインの挿し木を上層表面に挿して上面灌水(1回/2日)を行った。第一人工土壌粒子は、実施例4の第一人工土壌粒子と同じ方法で作製し、電気伝導度(EC)を2.0〜3.0mS/cmとなるように調製した。第二人工土壌粒子は、実施例1と同じ第二人工土壌粒子を使用した。
比較例5の植物育成培地は、実施例1と同じ容器に、同じ種類の人工土壌粒子を300ml添加して植物育成培地とした。シュガーパインの挿し木を植物育成培地の表面に挿して上面灌水(1回/2日)を行った。人工土壌粒子は、実施例2と同じ第一人工土壌粒子を使用した。
比較例6の植物育成培地は、実施例1と同じ容器に、同じ種類の人工土壌粒子を300ml添加して植物育成培地とした。シュガーパインの挿し木を上層表面に挿して上面灌水(1回/2日)を行った。人工土壌粒子は、実施例1の第二人工土壌粒子と同じ方法で作製し、電気伝導度を4.0〜5.0mS/cmの範囲、サイズを0.5〜1.0mmの範囲となるように調製した。
実施例4〜8、及び比較例2〜6によるシュガーパインの育成試験の結果を表2に示す。
2 下層
10 繊維塊状体
11 繊維
13 フィラー
14 細孔
50 人工土壌粒子
50a 第一人工土壌粒子
50b(50b1,50b2) 第二人工土壌粒子
100 植物育成培地
200 植物育成キット
Claims (6)
- 複数種の人工土壌粒子を含む植物育成培地であって、
表面側に所定値以上の保水性を有し、且つ所定値以下のサイズを有する人工土壌粒子を配置し、
深さ方向に沿って、人工土壌粒子の保水性を連続的又は段階的に小さくし、電気伝導度を連続的又は段階的に大きくし、且つサイズを連続的又は段階的に大きくした傾斜構造を有し、
保水性が大きく、電気伝導度が小さく、且つサイズが小さい第一人工土壌粒子を含み、植物の発根を促す発根層として機能する上層と、
前記第一人工土壌粒子より保水性が小さく、電気伝導度が大きく、且つサイズが大きい第二人工土壌粒子を含み、植物の根の成長を促す育成層として機能する下層と、
を備え、
前記第一人工土壌粒子は、繊維を集合してなる被覆層を有する繊維塊状体を含み、
前記第二人工土壌粒子は、細孔を有する複数のフィラーを造粒してなる多孔質体を含む植物育成培地。 - 前記上層の保水量は、前記第一人工土壌粒子100cc当たり40cc以上であり、
前記下層の保水量は、前記第二人工土壌粒子100cc当たり20cc以上40cc未満である請求項1に記載の植物育成培地。 - 前記上層は、pF値が2.3以下の範囲で水分を24時間以上保持する請求項1又は2に記載の植物育成培地。
- 前記第一人工土壌粒子のサイズは、0.1mm以上2.0mm未満であり、
前記第二人工土壌粒子のサイズは、2.0mm以上10.0mm以下である請求項1〜3の何れか一項に記載の植物育成培地。 - 前記上層の電気伝導度は、1.5mS/cm未満であり、
前記下層の電気伝導度は、1.5mS/cm以上10.0mS/cm以下である請求項1〜4の何れか一項に記載の植物育成培地。 - 請求項1〜5の何れか一項に記載の植物育成培地を用いた植物育成キット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013222906A JP6209053B2 (ja) | 2013-10-28 | 2013-10-28 | 植物育成培地、及び植物育成キット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013222906A JP6209053B2 (ja) | 2013-10-28 | 2013-10-28 | 植物育成培地、及び植物育成キット |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015084654A JP2015084654A (ja) | 2015-05-07 |
JP6209053B2 true JP6209053B2 (ja) | 2017-10-04 |
Family
ID=53048169
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013222906A Expired - Fee Related JP6209053B2 (ja) | 2013-10-28 | 2013-10-28 | 植物育成培地、及び植物育成キット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6209053B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022208094A1 (en) * | 2021-04-01 | 2022-10-06 | Cocogreen (UK) Ltd | Growing medium |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105706883A (zh) * | 2016-03-17 | 2016-06-29 | 陆开云 | 一种菜心种植复合营养基 |
CN106386451B (zh) * | 2016-11-02 | 2023-08-15 | 广西壮族自治区农业科学院经济作物研究所 | 一种观测植物生长发育的雾培装置 |
JP6895287B2 (ja) * | 2017-03-27 | 2021-06-30 | 日本製紙株式会社 | 植物の挿し木苗の生産方法 |
CN108142272A (zh) * | 2018-03-01 | 2018-06-12 | 中国科学院遗传与发育生物学研究所 | 用于水培盆栽作物的阶段性水分胁迫装置及方法 |
JP7194575B2 (ja) * | 2018-12-11 | 2022-12-22 | 日本製紙株式会社 | 挿し木の生産方法 |
JP7148090B2 (ja) * | 2020-10-19 | 2022-10-05 | アグリ・コア・システム合同会社 | 栽培装置 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS49123825A (ja) * | 1973-04-17 | 1974-11-27 | ||
JPS5362603A (en) * | 1976-11-12 | 1978-06-05 | Kubota Ltd | Multiilayered cultivating bed |
JP2002360062A (ja) * | 2001-06-11 | 2002-12-17 | Seiwa:Kk | 植物栽培ベッド |
JP2004283060A (ja) * | 2003-03-20 | 2004-10-14 | Chisso Corp | マット植物用培地、マット植物用粒状培地、及びこれらを用いた緑化施工方法 |
JP4096121B2 (ja) * | 2005-01-28 | 2008-06-04 | 株式会社マサキ・エンヴェック | 緑化用苗芝ピース |
JP2007222111A (ja) * | 2006-02-24 | 2007-09-06 | Yanmar Co Ltd | セル成型苗用の育苗用養土およびセル成型苗の生産方法 |
JP5951952B2 (ja) * | 2011-10-05 | 2016-07-13 | 東洋ゴム工業株式会社 | 保水性団粒体 |
-
2013
- 2013-10-28 JP JP2013222906A patent/JP6209053B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022208094A1 (en) * | 2021-04-01 | 2022-10-06 | Cocogreen (UK) Ltd | Growing medium |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015084654A (ja) | 2015-05-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6209053B2 (ja) | 植物育成培地、及び植物育成キット | |
JP5913452B2 (ja) | 人工土壌培地 | |
JP6034879B2 (ja) | 人工土壌団粒体、及び人工土壌培地 | |
EP2901849A1 (en) | Artificial soil particles, artificial soil aggregates, artificial soil molded body, greening sheet, wall greening panel and gardening blocks using artificial soil molded body | |
WO2014003040A1 (ja) | 人工土壌およびその製造方法 | |
JP6117676B2 (ja) | 植物育成培地、及び植物育成キット | |
JP2015019653A (ja) | 人工土壌粒子 | |
WO2015072549A1 (ja) | 人工土壌培地 | |
JP2017018075A (ja) | 人工土壌培地用固化剤、及び人工土壌培地の調製方法 | |
JP6165259B2 (ja) | 人工土壌粒子、及び人工土壌培地 | |
JP5755282B2 (ja) | 人工土壌粒子、及び人工土壌粒子の製造方法 | |
JP2016198068A (ja) | 人工土壌培地の調整方法、及び観葉植物栽培方法 | |
JP5634446B2 (ja) | 粒状植物育成体 | |
JP2014079243A (ja) | 人工土壌粒子、及び人工土壌団粒体 | |
JP6034634B2 (ja) | 人工土壌成型体、緑化用シート、壁面緑化パネル、及び園芸用ブロック | |
JP6231805B2 (ja) | 人工土壌粒子、及び植物育成培地 | |
JP2016101160A (ja) | 人工土壌培地の調整方法、及び観葉植物栽培方法 | |
JP6254384B2 (ja) | 人工土壌培地 | |
WO2016056598A1 (ja) | 人工土壌培地、及び人工土壌培地の製造方法 | |
JP2015019652A (ja) | 人工土壌粒子 | |
JP2014064496A (ja) | 人工土壌およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160616 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170223 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170307 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170428 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170905 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170908 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6209053 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R371 | Transfer withdrawn |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |