JP5615461B2 - 人工土壌粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維を集合してなる繊維塊状体を使用した人工土壌粒子に関する。
繊維を集合してなる繊維塊状体は、繊維間に空隙が形成されているため、軽量でありながら当該空隙に水分を含ませることができる。このため、繊維塊状体は、保水性材料として利用することができる。また、繊維塊状体は、例えば、繊維間の空隙に触媒や有用微生物を担持させる使い方も考えられる。そこで、繊維間の空隙の特性を生かし、繊維塊状体は、例えば、農業分野では人工土壌として、環境分野では水処理用担体として利用されている。
例えば、ビルの屋上、マンションのベランダ等の屋外空間や、ロビー、居室等の屋内空間における緑化のため、人工土壌が使用されることがある。特に、屋内空間を緑化するにあたっては、天然土壌に代えて人工土壌を使用するケースが多くなっている。これは、屋内空間の緑化に天然土壌を使用した場合、その重量のため植栽の移設が困難となったり、天然土壌中に微生物が繁殖することで屋内が不衛生になるといった問題が懸念されるからである。繊維塊状体は、同じ容積の天然土壌と比較して重量が軽く、良好な排水性を有するとともに、衛生的であるため、人工土壌には適した素材であるといえる。
繊維を使用した従来の人工土壌の例として、特許文献1は、ヤシ繊維を球形状に成型した園芸用繊維球体を提案している。
また、特許文献2は、天然パルプを樹脂あるいは糊で固めて固形物とし、この固形物を粉砕した破片物を天然土壌の代替品として提案している。
実開昭55−56564号公報 特開2004−350655号公報
特許文献1の園芸用繊維球体は、外部から供給した水を親水性のヤシ繊維に保持し、その水を植物が利用できるようにしている。しかし、この園芸用繊維球体は、ヤシ繊維を単純な球状に成型しただけであるため、十分な強度を有していない。また、ヤシ繊維が剥き出しになっているため、外部環境が乾燥すると直ちに水分を失ってしまう虞がある。
特許文献2の植物栽培装置は、天然土壌の代替品として、天然パルプを樹脂あるいは糊で固めた固形物を破砕した破砕物を用いている。この破砕物は、繊維を樹脂あるいは糊で固める際に、水を含んだ状態で固めている。これにより、破砕物は一定の水分を保持したものとなるが、繊維を樹脂あるいは糊で固めているため、外部から水分を追加供給しようとした場合、破砕物内にさらに水分を保持させることが難しい。また、繊維の間に樹脂あるいは糊が充填されているため、破砕物内の通気性が悪く、嫌気的な状態となり易い。そして、破砕物内に植物の根が侵入し難くなるため、植物は破砕物から水分を十分に吸収することができなくなり、成長の妨げとなる虞がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、保水性と強度とを兼ね備え、さらに良好な通気性を備えた人工土壌粒子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る人工土壌粒子の特徴構成は、
繊維を集合してなるコア部と、
前記コア部を被覆する水分の取り込み及び放出が可能な通水性膜と、
を備えたことにある。
本構成の人工土壌粒子は、繊維を集合してコア部を構成していることから、コア部の繊維間には水分を保持可能な空隙が形成されている。また、コア部を通水性膜で被覆していることから、人工土壌粒子のコア部と外部環境との通水性を確保しつつ、一定の遮蔽性及び剛性を確立している。その結果、通水性膜により人工土壌粒子の強度が維持され、保水性と強度とを両立させることができる。また、コア部は、通水性膜を介して、外部環境からの水分の取り込み、及び外部環境への水分の放出が可能であるため、本構成の人工土壌粒子は、水分の移動を伴う用途において、優れた適応性を示すことができる。
本発明に係る人工土壌粒子において、
前記通水性膜は、多孔質構造を備えていることが好ましい。
本構成の人工土壌粒子は、多孔質構造を備えた通水性膜でコア部を被覆しているため、コア部と外部環境との通水性が高まり、さらに外気が通水性膜の多孔質構造を通過することができるので、良好な通気性も実現することができる。
本発明に係る人工土壌粒子において、
前記通水性膜は、前記コア部の外表部の40%以上を被覆することが好ましい。
本構成の人工土壌粒子は、コア部の外表部の40%以上が通水性膜によって被覆されているため、人工土壌粒子の強度及び耐久性を一定以上に維持しながら、コア部と外部環境との間での水分の急激な移動を防止し、適切な水分コントロールを実現することが可能となる。
本発明に係る人工土壌粒子において、
前記コア部は、保水性材料を有することが好ましい。
本構成の人工土壌粒子は、コア部が保水性材料を有するため、コア部が本来有する繊維間の空隙による保水性に加え、保水性材料による保水力を備えることができる。その結果、人工土壌粒子全体として保水力がさらに高まり、乾燥に強い人工土壌粒子とすることができる。
本発明に係る人工土壌粒子において、
前記コア部及び前記通水性膜の少なくとも何れか一方にイオン交換能を付与してあることが好ましい。
本構成の人工土壌粒子は、コア部及び通水性膜の少なくとも何れか一方にイオン交換能を付与してあるため、高いイオン交換容量を有している。このようなイオン交換能を有する人工土壌粒子は、外部環境からコア部に取り込んだ水分に含まれる特定のイオンを吸着することができる。
本発明に係る人工土壌粒子において、
1〜10mmの粒径を有することが好ましい。
本構成の人工土壌粒子は、1〜10mmの粒径を有するため、人工土壌粒子間に適度な隙間が形成され、良好な通気性や排水性を実現することができる。
本発明に係る人工土壌粒子において、
前記コア部に水分が飽和状態で保持されている湿潤状態と、前記コア部に水分が飽和状態で保持されていない通気可能状態との間で、水分保持量を調整可能に構成されていることが好ましい。
本構成の人工土壌粒子は、コア部に水分が飽和状態で保持されている湿潤状態と、コア部に水分が飽和状態で保持されていない通気可能状態との間で、水分保持量を調整可能に構成されているため、例えば、外部環境に水分が多く存在する場合にはコア部に外部環境の水分を吸収させ、外部環境に水分が少ない場合にはコア部に保持している水分を外部環境に放出させることができる。このように、本構成の人工土壌粒子は、コア部と外部環境との間で、水分を適切に移動させることができるため、水分のコントロール性に優れる
本発明に係る人工土壌粒子において、
前記繊維は、長さが0.2〜0.5mmの短繊維であることが好ましい。
本構成の人工土壌粒子は、繊維として長さが0.2〜0.5mmの短繊維を使用することで、繊維を集合してコア部を形成すると、繊維間に形成される空隙のサイズを揃えることができる。その結果、人工土壌粒子の特性(吸水性、通水性、通気性等)が安定したものとなる。
図1は、本発明に係る人工土壌粒子を模式的に示した説明図である。 図2は、本発明の実施形態に係る人工土壌粒子を例示する写真である。 図3は、本発明に係る人工土壌粒子を使用した人工土壌に植物を植えた状態を模式的に示した説明図である。 図4は、本発明に係る人工土壌粒子を用いた人工土壌の水分保持曲線を例示するグラフである。 図5は、本発明に係る人工土壌粒子の表面を撮影した顕微鏡写真である。
以下、本発明に係る人工土壌粒子を使用した人工土壌に関する実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
人工土壌粒子
図1は、本発明に係る繊維塊状体(人工土壌粒子、以下同様)1を模式的に示した説明図である。(A)は繊維塊状体1の外観図であり、(B)は繊維塊状体1の断面図である。図2は、本発明の実施形態に係る繊維塊状体1を例示する写真である。(A)は繊維塊状体1が集合した状態の写真であり、(B)は一つの繊維塊状体1の拡大写真である。繊維塊状体1は、繊維2を集合して構成したコア部3と、コア部3を被覆する通水性膜4とを備えている。図1に示すように、コア部3は、繊維2が複雑に集合した状態で造粒されたものであり、球状に形成されている。コア部3は通水性膜4で被覆され、これにより繊維塊状体1が構成される。本実施形態では、繊維塊状体1は、図2に示すように、球状に近い立体形状に構成されているが、例えば、扁平したラグビーボール形状、突起を有する金平糖形状、多面体形状、一定以上の厚みを有する板状、不定形状等に構成することも可能である。
コア部3の形成に使用する繊維2の形態は、長繊維又は短繊維である。短繊維には繊維長が極めて小さい粉末状繊維も含まれる。長繊維又は短繊維を造粒することで、繊維2が集合したコア部3が形成される。造粒の際、必要に応じて樹脂や糊等のバインダーを使用することも可能である。コア部3の内部の集合した繊維2の間には空隙5が形成されている。繊維塊状体1は、空隙5に水分を保持することができる。従って、空隙5の状態(例えば、空隙5の大きさ、数、形状等)は、繊維塊状体1が保持できる水分量、すなわち保水性に関係する。空隙5の状態は、コア部3を造粒する際の繊維2の使用量(密度)、繊維2の種類、太さ、長さ等を変更することにより調整可能である。なお、繊維2のサイズは、太さが5〜100μm程度が好ましく、長さが0.5〜10mm程度が好ましい。また、繊維2として予め切断された短繊維を使用することも可能であり、この場合、短繊維の長さは0.2〜0.5mm程度が好ましい。
繊維塊状体1は、コア部3に水分を十分に保持できるように、繊維2として親水性の繊維を使用することが好ましい。これにより、繊維塊状体1の保水性を一層高めることができる。繊維2の種類は、天然繊維又は合成繊維の何れでもよく、繊維塊状体1の使用目的に応じて、適宜選択される。好ましい親水性の繊維として、例えば、天然繊維では、綿、羊毛、レーヨン、セルロース等が挙げられ、合成繊維では、ビニロン、ウレタン、ナイロン、アセテート等が挙げられる。これらの繊維のうち、綿及びビニロンがより好ましい。繊維2として、天然繊維と合成繊維とを混繊したものを使用することも可能である。
コア部3は、外表部が通水性膜4で被覆される。通水性膜4は、水が通過可能な微細孔を有する膜である。あるいは、水分が一方側から浸透して他方側に移動可能な浸透性膜とすることもできる。通水性膜4は、繊維塊状体1のコア部3と外部環境との通水性を確保しつつ、一定の遮蔽性及び剛性を確立している。ここで、「外部環境」とは、繊維塊状体1の外側の環境を意図する。外部環境には水分が存在し得る。コア部3の外表部の40%以上、好ましくは60%以上を通水性膜4によって被覆することで、繊維塊状体1の強度及び耐久性を一定以上に維持しながら、コア部3と外部環境との間での水分の急激な移動を防止し、適切な水分コントロールを実現することが可能となる。また、通水性膜4の膜厚や材質を変更することによっても、繊維塊状体1の保水性を調整することが可能となる。通水性膜4は、外部環境からの水分の取り込み、及び外部環境への水分の放出が可能であるため、通水性膜4を備えた繊維塊状体1は、人工土壌粒子等の水分の移動を伴う用途において、優れた適応性を示すことができる。
通水性膜4は、コア部3を構成する繊維2の絡み合い部分(繊維2同士が接触する部分)を補強するように、コア部3の外表部から若干内側に浸透した状態にまで厚みを形成してもよい。これにより、繊維塊状体1の強度及び耐久性をさらに向上させることができる。通水性膜4の膜厚は、1〜500μmに設定され、好ましくは10〜200μmに設定され、より好ましくは20〜100μmに設定される。
さらに、通水性膜4は、コア部3と外部環境との十分な通気性を確保するため、多孔質構造を備えている。例えば、図1(A)に示すように、通水性膜4にはコア部3と外部環境とを連通させる連通孔6が形成される。連通孔6は通水性膜4が本来有する微細孔よりも大きなサイズを有するため、連通孔6は当然に水分も通過可能であり、結果としてコア部3と外部環境との通水性も向上する。なお、本実施形態では通水性膜4を多孔質構造とし、通水性膜4に直接連通孔6を形成しているが、天然鉱物や合成高分子発泡材等の多孔質フィラーを通水性膜4に混合し、多孔質フィラーを介して連通孔6を形成してもよい。通水性膜4に形成される連通孔6の径は、1〜2000μmに設定され、好ましくは10〜900μmに設定され、より好ましくは300〜900μmに設定される。
通水性膜4の材質は、水に不溶性で酸化され難いものが好ましく、例えば、樹脂材料が挙げられる。そのような樹脂材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のスチロール系樹脂が挙げられる。これらのうち、ポリエチレンが好ましい。また、樹脂材料に代えて、ポリエチレングリコール、アクリルアミド等の高分子ゲル化剤、アルギン酸塩やカラギーナン等の天然多糖類系ゲル化剤、天然ゴムやシリコーンゴム等のゴム系コーティング剤等を使用することも可能である。
繊維塊状体1を設計するに際し、コア部3の保水性をさらに高めることも可能である。例えば、コア部3が保水性材料を有するように構成する。この場合、繊維塊状体1は、コア部3が本来有する繊維2間の空隙5による保水性に加え、保水性材料による保水力を備えることができる。保水性材料をコア部3に導入する方法として、例えば、繊維2を造粒してコア部3を形成する際に保水性材料を添加する。また、繊維2の表面を保水性材料でコーティングする方法も有効である。これらの方法によりコア部3に導入された保水性材料は、コア部3の空隙5で露出していることが好ましい。この場合、繊維塊状体1は空隙5の保水力が大きく向上するため、例えば、砂漠等の乾燥した環境に添加する土壌改良材として好適に利用することができる。
保水性材料は、吸水性を有する高分子保水材を使用することができる。例えば、ポリアクリル酸塩系ポリマー、ポリスルホン酸塩系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリアルキレンオキサイド系ポリマー等の合成高分子系保水性材料、ポリアスパラギン酸塩系ポリマー、ポリグルタミン酸塩系ポリマー、ポリアルギン酸塩系ポリマー、セルロース系ポリマー、デンプン等の天然高分子系保水性材料が挙げられる。これらの保水性材料は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。また、保水性材料として、セラミックス等の多孔質材を使用することも可能である。
人工土壌粒子の製造方法>
繊維塊状体(人工土壌粒子、以下同様)1の製造方法としては、例えば、綿又はビニロン等の繊維2をカーディング装置等で引揃え、3〜10mm程度の長さに切断し、切断した繊維2を転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、圧縮造粒、押出造粒等の方法によって粒状に造粒し、コア部3を形成する。造粒の際、繊維2に樹脂や糊等のバインダーを混合すると、コア部3を効率よく形成することができる。バインダーは、有機バインダー又は無機バインダーの何れも使用可能である。有機バインダーは、例えば、ポリオレフィン系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダー、ポリウレタン系バインダー、ポリ酢酸ビニル系バインダー等の合成樹脂系バインダー、デンプン、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸などの多糖類、膠などの動物性たんぱく質等の天然物系バインダーが挙げられる。無機バインダーは、例えば、水ガラス等のケイ酸系バインダー、リン酸アルミニウム等のリン酸塩系バインダー、ホウ酸アルミニウム等のホウ酸塩系バインダー、セメント等の水硬性バインダーが挙げられる。有機バインダー及び無機バインダーは、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。なお、繊維2として絡み易いもの(例えば、屈曲した繊維)を使用する場合、造粒工程を行うだけで繊維2が互いに容易に絡み合うため、この場合は特にバインダーを使用しなくてもコア部3の形成が可能となる。
次に、造粒したコア部3を容器に移し、コア部3の体積(占有容積)の半分程度の水を加え、コア部3の空隙5に水を浸み込ませる。さらに、水を浸み込ませたコア部3に、コア部3の体積の1/3〜1/2のポリエチレンエマルジョンを添加する。ポリエチレンエマルジョンには、顔料、香料、殺菌剤、抗菌剤、消臭剤、殺虫剤等の添加物を混合しておくことも可能である。そして、コア部3の外表部にポリエチレンエマルジョンが均一に付着するように転動させながら、コア部3の外表部からポリエチレンエマルジョンを含浸させる。このとき、コア部3の中心部には水が浸み込んでいるため、ポリエチレンエマルジョンはコア部3の外表部付近で留まる。その後、ポリエチレンエマルジョンが付着したコア部3をオーブンで60〜80℃で乾燥させ、次いで、100℃でポリエチレンを溶融させ、コア部3の外表部付近の繊維2にポリエチレンを融着させて通水性膜4を形成する。これにより、コア部3は外表部がポリエチレンの通水性膜4で被覆され、強度及び耐久性を有する繊維塊状体1が完成する。通水性膜4は、ポリエチレンが溶融する際にポリエチレンエマルジョンに含まれていた溶媒が蒸発し、多孔質構造が形成される。多孔質構造は、コア部3と外部環境とを連通する連通孔6として機能する。得られた繊維塊状体1は、必要に応じて、乾燥及び分級が行われ、粒径が調整される。
コア部3を造粒するにあたり、繊維2として短繊維を使用する場合は、短繊維を撹拌混合造粒装置で撹拌しながらポリエチレンエマルジョンを少量ずつ投入して造粒する。これにより、コア部3を形成する短繊維同士が一部で固定化され、強固なコア部3を形成することができる。なお、短繊維に先に水を加えて造粒し、その後、ポリエチレンエマルジョンを添加してコア部3を仕上げることも可能である。
人工土壌粒子を使用した人工土壌>
図3は、本発明に係る繊維塊状体(人工土壌粒子、以下同様)1を使用した人工土壌10に植物を植えた状態を模式的に示した説明図である。図3に示すように、繊維塊状体1は、複数の繊維塊状体1が集合した団粒構造の状態で、繊維塊状体1間に一定の隙間11を形成する。この隙間11は、空気及び水が通過することができるため、植物に必要な水分を保持しながら余分な水分を排出することができる。人工土壌10が湿潤状態となった場合、隙間11から余分な水分を排出し、人工土壌10が乾燥状態となった場合には、隙間11の毛細管現象により、周囲に存在する水分を吸い上げることができる。このように、人工土壌10は、隣接する繊維塊状体1の間に形成される隙間11によって、植物にとって必要な水分を確保しながら、余分な水分を排水することができ、優れた通気性及び排水性を実現している。また、隙間11は、植物の根20が成長するための空間を提供するため、植物の根20が張り易く、ひいては植物の成長を促すことができる。
人工土壌10に使用する繊維塊状体1の粒径は、栽培対象の植物により適宜選択されるが、好ましくは1〜10mmであり、より好ましくは2〜8mmであり、さらに好ましくは2〜5mmである。繊維塊状体1の粒径が上記の範囲であれば、繊維塊状体1間に適度な隙間が形成され、良好な通気性や排水性を実現することができる。繊維塊状体1の粒径が1mm未満の場合、隙間11のサイズが小さくなり、隙間11の毛管力により水分が過剰に保持されることになる。その結果、排水性が低下することにより植物の根20から酸素を吸収し難くなり、根腐れが発生する虞がある。また、繊維塊状体1の粒径が1mm未満になると、生成した粒子は繊維そのものと性状があまり変わらなくなるため、繊維塊状体1として機能することが困難になる可能性がある。一方、繊維塊状体1の粒径が10mmを超えるものは作製が困難であり、仮に粒径が10mmを超える粒子が得られたとしても、隙間11のサイズが大きくなって排水性が過剰になり過ぎることにより植物が十分な水分を吸収し難くなったり、人工土壌10が疎になって植物が横倒れする虞がある。繊維塊状体1の粒径は、篩掛けにより調整することができる。繊維塊状体1の粒径は、以下の測定法により求められる。先ず、測定対象の繊維塊状体をスケールとともにカメラ又は顕微鏡で観察し、その画像を画像処理ソフト(二次元画像解析処理ソフトウェア「WinROOF」、三谷商事株式会社製)を使用して取得する。画像から100個の繊維塊状体を選択し、繊維塊状体の輪郭をトレースする。トレースした図形の周長から、相当円の直径を算出する。夫々の繊維塊状体から求めた相当円の直径(100個)の平均を平均サイズ(単位:ピクセル)とする。そして、平均サイズを画像中のスケールと比較し、単位長さ(μmオーダー乃至mmオーダー)に変換して、繊維塊状体の粒径を算出する。ちなみに、繊維塊状体1を構成する繊維2のサイズ、通水性膜4の膜厚、通水性膜4に形成される連通孔6の径についても、この画像処理を用いた測定法により求められる。
繊維塊状体1は、コア部3を通水性膜4で被覆していることから、優れた保水性及び通気性を実現している。繊維塊状体1は、コア部3に水分が飽和状態で保持されている湿潤状態と、コア部3に水分が飽和状態で保持されていない通気可能状態との間で、水分保持量を調整可能である。湿潤状態とは、これ以上水分を保持できない状態であって、例えば、後述するpF値が0に近い状態を意味する。通気可能状態とは、水分を保持可能な状態であって、例えば、pF値が0より大きい2〜7程度の状態を意味する。例えば、図3に示すように、植物の根20は、隣接する繊維塊状体1の隙間11に伸長し、人工土壌10の隙間11に存在する水分を吸い上げる。繊維塊状体1は、水分の取り込み及び放出が可能であるため、外部環境が乾燥状態になると、繊維塊状体1のコア部3から通水性膜4を介して植物の根20に水分を供給することができる。すなわち、少なくとも一部の水が繊維塊状体1から外部環境に放出され、その水の放出により形成した繊維塊状体1の空隙5に連通孔6を通って空気が侵入する。このとき、植物の根20から分岐した毛細根21は、図3に示すように、繊維塊状体1の連通孔6からコア部3に容易に侵入することができるようになる。繊維塊状体1の内部に水が残存する場合、その水はコア部3の空隙5に保持されているため繊維塊状体1から外部環境に容易に放出されないが、繊維塊状体1の内部に侵入した植物の毛細根21はコア部3の空隙5に到達し、この保持されている残りの水も積極的に吸い上げることが可能となる。このように、繊維塊状体1を用いた人工土壌10は、人工土壌10中に保持された水分を植物が有効に利用することができるので、長期間水を与えなくとも植物の枯れや育成不良を防止することができる。
本発明の繊維塊状体1は、人工土壌10として優れた保水性を有しているため、これまで主に水耕栽培されていた葉物野菜の育成に適用することも可能である。ここで、人工土壌10の保水性はpF値を指標として表すことができる。pF値とは、水柱の高さで表した土壌水分の吸引圧の常用対数値のことであり、土壌中の水分が土壌の毛管力によって引き付けられている強さの程度を表す値である。pF値が2.0のとき、水柱100cmの圧力(圧力水頭)に相当する。また、pF値は土壌の湿り具合を表す指標でもあり、土壌が十分に水分を含んでいるとpF値は低くなり、植物の根20が水分を吸収し易い状態となる。一方、土壌が乾燥するとpF値は高くなり、植物の根20が水分を吸収するためには大きな力を要する。土壌中の隙間に空気が存在せず、全て水で充たされている状態がpF値0であり、100℃の熱乾状態の土壌であり、土壌と化合した水しか存在しない状態がpF値7となる。
一般的な土壌の場合、植物を栽培可能なpF値は1.5〜2.7の範囲であるが、植物を十分に生育させるためにはpF値を1.7〜2.7の範囲、好ましくは1.7〜2.3の範囲に設定する。pF値が1.7〜2.7の範囲において、体積含水率が10mL/100mL(すなわち、体積含水率10%)より小さい土壌であれば、水遣りの量とタイミングが難しく、常に加湿状態になったり、すぐに乾燥状態になったりして、根腐れが生じたり、水不足で植物が枯死し易くなる。本発明の繊維塊状体1は、コア部3に多くの水を保持できるため、長期に亘って乾燥することがなく、植物を十分に生育させることが可能である。また、pF値が1.5以下の状況であっても、繊維塊状体1の間に十分な空隙が存在し、通気性が確保されているため、一般土壌のような水の遣り過ぎによる根腐れが生じ難い。水遣りの量とタイミングに気を遣うことなく、たっぷりの水遣りをしたとしても、土中環境は略一定である。これにより、根菜類だけでなく葉物野菜の栽培も可能となり、人工土壌10としての用途が拡大する。
図4は、本発明に係る繊維塊状体1を用いた人工土壌の水分保持曲線を例示するグラフである。繊維塊状体1を人工土壌粒子として使用した場合における圧力水頭(cmHO)と体積含水率(%)との関係を示したものである。このグラフでは、〔a〕粒子径が比較的小さい0.75〜2mmの繊維塊状体(○)、〔b〕粒子径が比較的大きい4mm以上の繊維塊状体(□)、及び〔c〕粒子径の分布が広い0.75〜10mmの繊維塊状体(△)の3種類について、各繊維塊状体を人工土壌粒子として使用した場合の水分保持曲線を示してある。例えば、〔b〕のグラフを見ると、圧力水頭が50cmHO以下のpF値が低い領域において、体積含水率の変動幅が約5%から30%超までブロードに拡がっていることが分かる。人工土壌への灌水時にこのブロードな領域を利用すると、繊維塊状体1のコア部3における水分保持量を「湿潤状態」と「通気可能状態」との間で幅広く調整することができる。また、〔a〕〜〔c〕のグラフの比較では、繊維塊状体1の粒子径を変更することによって、同一の圧力水頭でも体積含水率を調整できることが示唆されている。例えば、圧力水頭100cmHOに相当するpF値2.0では、繊維塊状体の粒子径を0.75〜4mmの範囲で変更すれば、体積含水率として約0〜9%の範囲で繊維塊状体1のコア部3における水分保持量(すなわち、保水性)を「湿潤状態」と「通気可能状態」との間で調整することができる。
繊維塊状体1を天然土壌に代わる人工土壌10として用いる場合、繊維塊状体1に、植物の養分である硝酸態窒素(NO )、K、Ca2+、Mg2+等を保持する能力を備えることが好ましい。これら養分を保持する能力を十分に備えていない場合、例えば、化学肥料等を人工土壌10に供給しても灌水等により養分が流出して植物が有効に養分を利用できず、生育不良となる虞がある。
天然土壌は、陽イオンを取り込む性質を有しているため、K、Ca2+、Mg2+、及びアンモニア態窒素(NH4+)を保持する能力、つまり保肥性を備えている。植物は窒素源としてアンモニア態窒素を有効に利用することができないが、天然土壌には硝化菌が常在するため、この硝化菌がアンモニア態窒素を植物に必要な硝酸態窒素へと変換し、植物に供給している。従って、繊維塊状体1を天然土壌に代わる人工土壌10として用いる場合には、繊維塊状体1にイオン交換能を付与し、保肥性を備える必要がある。
ここで、植物に必要な養分は、硝酸態窒素(NO )、K+、Ca2+、Mg2+であることから、繊維塊状体1はこれらの養分を保持するために、両イオンの吸着能を有する必要がある。従って、繊維塊状体1を形成する際に、陽イオン交換フィラー及び陰イオン交換フィラーを添加し、外部環境から取り込んだ水分に含まれる硝酸態窒素(NO )、K、Ca2+、Mg2+を含むイオンを繊維塊状体1内に吸着できるようにする。なお、NO は、河川や地下水の汚染物質であるが、繊維塊状体1に陰イオン交換フィラーを添加すると、硝酸態窒素の養分を多く与えたとしても、NO を繊維塊状体1内に保持することができるため、水環境への流出は抑制される。
繊維塊状体1にイオン交換能を付与するために、コア部3の空隙5及び通水性膜4の少なくとも何れか一方に、陽イオン交換フィラー及び陰イオン交換フィラーを添加することが好ましい。コア部3にイオン交換能を付与する場合には、繊維2を造粒する際に陽イオン交換フィラー及び陰イオン交換フィラーを混合して造粒すればよく、通水性膜4にイオン交換能を付与する場合には、被覆する合成樹脂又はゲル化剤に陽イオン交換フィラー及び陰イオン交換フィラーを混合し、コア部3の外表部に被覆すればよい。また、陽イオン交換フィラー及び陰イオン交換フィラーをコア部3及び通水性膜4のそれぞれに添加してもよく、陽イオン交換フィラー及び陰イオン交換フィラーを別々にコア部3及び通水性膜4に添加してもよい。
陽イオン交換フィラーは、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等のスメクタイト系鉱物、雲母系鉱物、バーミキュライト、ゼオライト、腐植、陽イオン交換樹脂等が挙げられる。上記陽イオン交換樹脂は、例えば、弱酸性陽イオン交換樹脂、強酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。このうち、本実施形態に使用する陽イオン交換フィラーとしては、ゼオライト、又はベントナイトが好ましい。陽イオン交換フィラーは、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。
陽イオン交換フィラーにおける陽イオン交換容量は、一般に、5〜50meq/100g程度に設定される。陽イオン交換容量が5meq/100gより小さいと、繊維塊状体1の内部に養分を十分に取り込むことができず、取り込まれなかった養分が灌水等により流失する虞がある。一方、陽イオン交換容量を50meq/100gより大きくしても、保肥力は大きくは向上せず、経済的ではない。
陰イオン交換フィラーは、例えば、ハイドロタルサイト、マナセアイト、パイロオーライト、シェーグレン石、緑青等の主骨格として複水酸化物を有する天然層状複水酸化物、合成ハイドロタルサイト及びハイドロタルサイト様物質、アロフェン、イモゴライト、カオリン等の粘土鉱物、陰イオン交換樹脂等が挙げられる。上記陰イオン交換樹脂は、例えば、弱塩基性陰イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂等が挙げられる。このうち、本実施形態に使用する陰イオン交換フィラーとしては、ハイドロタルサイトが好ましい。陰イオン交換フィラーは、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。
陰イオン交換フィラーにおける陰イオン交換容量は、一般に、5〜50meq/100g程度に設定される。陰イオン交換容量が5meq/100gより小さいと、繊維塊状体1の内部に養分を十分に取り込むことができず取り込まれなかった養分が灌水等により流失する虞がある。一方、陰イオン交換容量を50meq/100gより大きくしても、保肥力は大きくは向上せず、経済的ではない。
また、繊維塊状体1の通水性膜4に硝化菌、VA菌根菌等の植物の育成に有用な微生物を固定化し、この繊維塊状体1を人工土壌10に用いてもよい。これにより、植物の成長を促すことができる。繊維塊状体1に硝化菌を固定化した場合は、養分として、硝酸態窒素ではなくアンモニア態窒素のみを与えることも可能となる。これにより、肥料として高価な硝酸態窒素を使用する必要が無くなるため、植物の栽培コストを下げることができる。
繊維塊状体1を人工土壌粒子として使用した人工土壌10は、天然土壌を全く用いていないにもかかわらず、土壌としての基本性能(保水性、排水性、通気性、保肥性)を発揮することができる。従って、病害虫や微生物等に汚染される心配が無いため、家庭内や、閉鎖型の植物工場等の屋内で安全に使用することができる。また、閉鎖型の植物工場では、水耕栽培が行われることが多いため、これまでは根菜類や草丈の高い植物を栽培することは困難であったが、人工土壌10は成長した植物の根20を支えることができるため、根菜類や草丈の高い植物の栽培も容易となる。
また、本実施形態の繊維塊状体1は、陽イオン交換フィラー及び陰イオン交換フィラーを備えていることから、水環境中に存在するリン酸イオン、アンモニウムイオン等の陽イオンや、硝酸イオンなどの陰イオンを除去し、水環境を改善することができる。従って、繊維塊状体1は、排水処理等の水処理にも好適に利用することができる。
上記の繊維塊状体は、特に人工土壌粒子として好適に使用することができる。そこで、人工土壌粒子を想定した繊維塊状体の実施例について説明する。実施例として9種類の繊維塊状体を作製した(実施例1〜9)。この9種類の繊維塊状体のうち、実施例1〜3に係る繊維塊状体について、人工土壌粒子に求められる特性を評価した。評価項目は、後述の「試験・評価方法」で説明する11項目である。実施例1〜3に係る繊維塊状体の作製手順を以下に説明する。また、比較対象として、人工土壌ではない土壌(比較例1〜3)の特性を実施例1〜3と同様に評価した。比較例1及び2は市販の半人工土壌であり、比較例3は市販の天然土壌である。
〔実施例1〕
繊維塊状体を構成する繊維として、天然繊維である綿を使用した。綿をカーディング装置で引きそろえ、3〜10mm程度の長さに切断して、回転する2枚の板の間に入れて転がして球状のコア部を形成した。球状のコア部に体積の半分程度の水を加えて、繊維中に水を浸み込ませた。次いで、ポリエチレンエマルジョン(セポルジョン(登録商標)G315、住友精化株式会社製、濃度40重量%)を体積の1/2となるように加えて外表部にエマルジョンが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸したコア部をオーブンで60℃で乾燥した後、100℃でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることにより、コア部の外表部が多孔質ポリエチレンの通水性膜で被覆された繊維塊状体を作製した。出来上がった繊維塊状体の粒径は、1〜10mmの範囲内であった。
〔実施例2〕
繊維塊状体を構成する繊維として、合成繊維であるビニロン短繊維(株式会社クラレ製)を使用した。ビニロン短繊維は、長さが0.5mm、繊維直径が25μmであり、見かけの容積は1000ccであった。ビニロン短繊維を撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)で撹拌、転動させながら実施例1で使用したポリエチレンエマルジョンを約10倍に希釈したものを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させた粒子状のコア部を形成した。次いで、実施例1で使用したものと同じポリエチレンエマルジョンを体積の1/2となるように加えて外表部にエマルジョンが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸したコア部をオーブンで60℃で乾燥した後、100℃でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることにより、コア部を形成するビニロン短繊維同士を固定化し、さらに、コア部の外表部が多孔質ポリエチレンの通水性膜で被覆された繊維塊状体を作製した。出来上がった繊維塊状体の粒径は、1〜10mmの範囲内であった。
ここで、本実施例の繊維塊状体の表面を撮影した顕微鏡写真を図5に示す。(A)は繊維塊状体の表面の一部を撮影した写真であり、(B)は(A)の拡大写真である。(A)を見ると、繊維塊状体はコア部の表面全体がポリエチレンの通水性膜で覆われており、周囲より若干暗く写っている楕円で囲った領域がコア部への連通孔となっている。また、(B)を見ると、コア部を形成するビニロン短繊維の表面に微細なポリエチレン粒子が凝集して通水性膜が形成されている。ポリエチレン粒子の間は完全には塞がれておらず、これにより、通水性膜の表面全体に水分が通過可能な微細孔が形成されている。通水性膜の表面に水分が付着すると、その水分は直ちに内部に吸収される。通水性膜の膜厚を大きくした場合でも同様である。このことから、通水性膜の表面には無数の微細孔が存在していることが推認される。
〔実施例3〕
見かけの容積で1000ccのセルロース短繊維(長さ0.2〜0.3mm、レッテンマイヤー社製「アーボセル(登録商標)」)を繊維として使用し、実施例2と同様の手順により、コア部の外表部が多孔質ポリエチレンの通水性膜で被覆された繊維塊状体を作製した。出来上がった繊維塊状体の粒径は、1〜5mmの範囲内であった。
<試験・評価方法>
(1)保水性:クロマト管に試験対象の土壌を充填し、土壌の全てが水没するように水を注入し、1時間静置後、クロマト管の下部より水を抜き、3分間クロマト管から落水しなくなった時の保水量を測定し、試験対象の土壌100ccに対する保水量に換算して保水性とした。なお、保水量は、クロマト管に試験対象の土壌を140cc充填し、上部から水を加えて所定時間後の重量を測定し、予め測定しておいた試験対象の土壌の重量を差し引くことにより測定した。
(2)散水保水量:クロマト管に試験対象の土壌を充填し、散水110ml(10ml×5回+20ml×3回)を3分〜5分間隔でクロマト管上部より注水し、3分間クロマト管から落水しなくなった時の保水量を測定し、試験対象の土壌100ccに対する保水量に換算して散水保水量とした。保水量の測定は、上記(1)と同様とした。
(3)吸水速度:保水性に対する散水保水量の割合を吸収速度(%)とした。
(4)通気性:クロマト管に試験対象の土壌を充填し、試験対象の土壌の飽和含水時において、クロマト管下部より上部に向けて空気を1L/分、0.06MPaで流し、出口の流量を測定して通気性とした。
(5)軽量性:試験対象の土壌を乾燥後、100ccあたりの乾燥重量を求めて軽量性とした。
(6)粒子強度:試験対象の土壌粒子に重さ2.5kgの荷重を加え、土壌粒子が変形や破壊するかを目視で評価した。土壌粒子の外観に変化が無い場合、「なし」とした。
(7)断水生育性:下部に穴の開いた150ccの容器に試験対象の土壌を入れ、飽和含水後に発芽10日後のラディシュを移植し、灌水せずにラディシュが枯れるまでの日数(生存期間)を観察した。
(8)植え替え作業性:植物を植え替え又は撒種する際に、試験対象の土壌により、手や床の汚れ具合を評価した。
(9)散水時排水状態:試験対象の土壌に散水した際に、排水に着色や固形分が流れ出るか否かを観察した。
(10)経時変化:植物の栽培に使用した試験対象の土壌の粒子形状の経時変化を目視で評価した。
(11)外観(印象):透明の容器に試験対象の土壌を入れ、色や形状について外観の印象を目視で評価した。
実施例1〜3の繊維塊状体(人工土壌)、及び比較例1〜3の市販土壌の評価結果を表1にまとめる。
Figure 0005615461
表1に示すように、実施例1〜3の人工土壌は、比較例1及び比較例2の半人工土壌と比較して、保水性及び散水保水性において高い値を示した。特に、実施例3の人工土壌は、保水性及び散水保水性の測定値が非常に高く、極めて優れたものとなった。人工土壌の長所である吸水速度については、実施例1〜3の人工土壌は、比較例1の半人工土壌より優れる結果となり、実施例1及び2の人工土壌は、比較例2の半人工土壌に対して略同等の結果となった。人工土壌の長所である通気性に関しては、実施例1〜3の人工土壌は、比較例1及び比較例2と同等の結果となった。また、実施例1〜3の人工土壌は、比較例3の天然土壌と比較して、吸水速度及び通気性において高い値を示し、天然土壌の長所である保水性及び散水保水性においても同等かそれ以上の結果を示した。さらに、実施例1〜3の人工土壌は、断水生育性においても比較例1より優れた結果となり、比較例2及び比較例3に対しても略同等の結果であったことから、植物に必要な水の保持能力が高いことが示された。これらの結果から、実施例1〜3の人工土壌は、天然土壌の長所である保水性と、半人工土壌の長所である通気性とを兼ね備えており、天然土壌の代替品として好適に利用できることが示された。
粒子強度に関しては、実施例1〜3の人工土壌は強度が強く、経時変化も少ないことから、再利用にも適していると考えられる。また、実施例1〜3の人工土壌は、比較例1〜3の土壌と比較して軽量であり、特に実施例3の人工土壌は極めて軽量であることから、建物の屋上やマンションのベランダ等において好適に利用できるものである。さらに、実施例1〜3の人工土壌は、植え替え作業性が良好であるとともに散水時の排水に殆ど汚れがなく、外観が白色で清潔感があり、顔料により着色もできることから、インテリア性が高い室内用の人工土壌として好適に利用することができる。
<保肥性を有する繊維塊状体>
本発明の繊維塊状体において、保肥性を付与することができれば、元々保水性が高い繊維塊状体に保肥性が加わり、土壌としてのバランスに優れた人工土壌粒子とすることができる。そこで、実施例4〜9として、繊維にイオン交換性フィラーを添加して造粒した繊維塊状体(人工土壌粒子)を作製し、各繊維塊状体の保肥性を陽イオン交換容量(CEC)として評価した。陽イオン交換容量(CEC)の評価にあたっては、富士平工業株式会社製の汎用抽出・ろ過装置「CEC−10 Ver.2」を用いて人工土壌粒子の抽出液を作製し、これを陽イオン交換容量測定用試料とした。陽イオン交換容量測定用試料を富士平工業株式会社製の土壌・作物体総合分析装置「SFP−3」に供し、人工土壌粒子の陽イオン交換容量(CEC)を測定した。実施例4〜9に係る繊維塊状体の作製手順、及び陽イオン交換容量(CEC)の測定結果を以下に説明する。
〔実施例4〕
見かけの容積で1000ccのビニロン短繊維(長さ0.5mm、繊維直径25μm、株式会社クラレ製)を繊維として使用した。ビニロン短繊維を撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)で撹拌、転動させながら実施例1で使用したポリエチレンエマルジョンを約10倍に希釈したものと、イオン交換フィラーとしてゼオライト(株式会社エコウィル製「琉球ライト」)100ccとを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させるとともにゼオライトを担持させた粒子状のコア部を形成した。次いで、実施例1で使用したものと同じポリエチレンエマルジョンを体積の1/2となるように加えて外表部にエマルジョンが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸したコア部をオーブンで60℃で乾燥した後、100℃でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることにより、コア部を形成するビニロン短繊維同士を固定化し、さらに、コア部の外表部が多孔質ポリエチレンの通水性膜で被覆された繊維塊状体を作製した。出来上がった繊維塊状体の粒径は、1〜10mmの範囲内であった。この繊維塊状体の陽イオン交換容量(CEC)は、4.1meq/100gであった。
〔実施例5〕
見かけの容積で1000ccのビニロン短繊維(長さ0.5mm、繊維直径25μm、株式会社クラレ製)を繊維として使用した。ビニロン短繊維を撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)で撹拌、転動させながら実施例1で使用したポリエチレンエマルジョンを約10倍に希釈したものを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させた粒子状のコア部を形成した。次いで、イオン交換フィラーとしてゼオライト(株式会社エコウィル製「琉球ライト」)30ccと、実施例1で使用したものと同じポリエチレンエマルジョンとを体積の1/2となるように交互に加えて外表部にゼオライトとエマルジョンとが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸したコア部をオーブンで60℃で乾燥した後、100℃でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることにより、コア部を形成するビニロン短繊維同士を固定化し、さらに、コア部の外表部が多孔質ポリエチレンの通水性膜で被覆された繊維塊状体を作製した。出来上がった繊維塊状体の粒径は、1〜10mmの範囲内であった。この繊維塊状体の陽イオン交換容量(CEC)は、2.5meq/100gであった。
なお、この繊維塊状体における間隙のサイズ分布を水銀圧入法で測定したところ、0.1μm〜50μmの範囲に亘ってブロードなサイズ分布を有することが確認された。
〔実施例6〕
見かけの容積で1000ccのビニロン短繊維(長さ0.5mm、繊維直径25μm、株式会社クラレ製)を繊維として使用した。ビニロン短繊維を撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)で撹拌、転動させながら実施例1で使用したポリエチレンエマルジョンを約10倍に希釈したものと、イオン交換フィラーとしてゼオライト(株式会社エコウィル製「琉球ライト」)100ccとを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させるとともにゼオライトを担持させた粒子状のコア部を形成した。次いで、イオン交換フィラーとしてゼオライト(株式会社エコウィル製「琉球ライト」)30ccと、実施例1で使用したものと同じポリエチレンエマルジョンとを体積の1/2となるように交互に加えて外表部にゼオライトとエマルジョンとが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸したコア部をオーブンで60℃で乾燥した後、100℃でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることにより、コア部を形成するビニロン短繊維同士を固定化し、さらに、コア部の外表部が多孔質ポリエチレンの通水性膜で被覆された繊維塊状体を作製した。出来上がった繊維塊状体の粒径は、1〜10mmの範囲内であった。この繊維塊状体の陽イオン交換容量(CEC)は、4.5meq/100gであった。
〔実施例7〕
見かけの容積で1000ccのセルロース短繊維(長さ0.2〜0.3mm、レッテンマイヤー社製「アーボセル(登録商標)」)を繊維として使用した。セルロース短繊維を撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)で撹拌、転動させながら実施例1で使用したポリエチレンエマルジョンを約10倍に希釈したものと、イオン交換フィラーとしてゼオライト(株式会社エコウィル製「琉球ライト」)100ccとを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させるとともにゼオライトを担持させた粒子状のコア部を形成した。次いで、実施例1で使用したものと同じポリエチレンエマルジョンを体積の1/2となるように加えて外表部にエマルジョンが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸したコア部をオーブンで60℃で乾燥した後、100℃でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることにより、コア部を形成するセルロース短繊維同士を固定化し、さらに、コア部の外表部が多孔質ポリエチレンの通水性膜で被覆された繊維塊状体を作製した。出来上がった繊維塊状体の粒径は、1〜5mmの範囲内であった。この繊維塊状体の陽イオン交換容量(CEC)は、4.6meq/100gであった。
〔実施例8〕
見かけの容積で1000ccのセルロース短繊維(長さ0.2〜0.3mm、レッテンマイヤー社製「アーボセル(登録商標)」)を繊維として使用した。セルロース短繊維を撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)で撹拌、転動させながら実施例1で使用したポリエチレンエマルジョンを約10倍に希釈したものを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させた粒子状のコア部を形成した。次いで、イオン交換フィラーとしてゼオライト(株式会社エコウィル製「琉球ライト」)30ccと、実施例1で使用したものと同じポリエチレンエマルジョンとを体積の1/2となるように交互に加えて外表部にゼオライトとエマルジョンとが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸したコア部をオーブンで60℃で乾燥した後、100℃でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることにより、コア部を形成するセルロース短繊維同士を固定化し、さらに、コア部の外表部が多孔質ポリエチレンの通水性膜で被覆された繊維塊状体を作製した。出来上がった繊維塊状体の粒径は、1〜5mmの範囲内であった。この繊維塊状体の陽イオン交換容量(CEC)は、4.8meq/100gであった。
〔実施例9〕
見かけの容積で1000ccのセルロース短繊維(長さ0.2〜0.3mm、レッテンマイヤー社製「アーボセル(登録商標)」)を繊維として使用した。セルロース短繊維を撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)で撹拌、転動させながら実施例1で使用したポリエチレンエマルジョンを約10倍に希釈したものと、イオン交換フィラーとしてゼオライト(株式会社エコウィル製「琉球ライト」)100ccとを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させるとともにゼオライトを担持させた粒子状のコア部を形成した。次いで、イオン交換フィラーとしてゼオライト(株式会社エコウィル製「琉球ライト」)30ccと、実施例1で使用したものと同じポリエチレンエマルジョンとを体積の1/2となるように交互に加えて外表部にゼオライトとエマルジョンとが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸したコア部をオーブンで60℃で乾燥した後、100℃でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることにより、コア部を形成するセルロース短繊維同士を固定化し、さらに、コア部の外表部が多孔質ポリエチレンの通水性膜で被覆された繊維塊状体を作製した。出来上がった繊維塊状体の粒径は、1〜5mmの範囲内であった。この繊維塊状体の陽イオン交換容量(CEC)は、5.0meq/100gであった。
以上のとおり、イオン交換性フィラーを添加した実施例4〜9の人工土壌粒子は、一定以上の陽イオン交換容量(CEC)を有していることが確認された。従って、繊維塊状体をベースとした人工土壌粒子であっても保肥性を付与することは可能であり、この場合、保水性及び保肥性の両方に優れた付加価値の高い人工土壌を提供することが可能となる。
参考例
上記実施形態では、本発明に係る繊維塊状体1を使用する例として、人工土壌10を示したが、繊維塊状体1を水処理に用いることも可能である。繊維塊状体1は、繊維2を集合してなるコア部3と、コア部3の外表部を被覆する通水性膜4とを備えているため、屎尿処理、養殖魚の水処理等に用いた場合、コア部3の中心付近に嫌気的な微生物が繁殖するとともに、通水性膜4に好気的な微生物が効率的に繁殖することが可能となる。これにより、通水性膜4に繁殖した硝化菌によりアンモニア態窒素を硝酸態窒素に変換し、コア部3の中心付近に繁殖した脱窒菌により硝酸態窒素を窒素ガスに変換して、最終的に窒素ガスを系外に排出することができる。この場合、通水性膜4には、陰イオン交換フィラーを添加するのが好ましい。微生物の細胞膜は負に帯電しているため、陰イオン交換フィラーにより通水性膜4に微生物が吸着して効率的に繁殖し、窒素の処理能力を高めることができる。
本発明に係る人工土壌粒子を使用した人工土壌は、家庭菜園、植物工場、屋内緑化等において利用することができる。
1 繊維塊状体(人工土壌粒子)
2 繊維
3 コア部
4 通水性膜
5 空隙
6 連通孔(多孔質構造)
10 人工土壌

Claims (8)

  1. 繊維を集合してなるコア部と、
    前記コア部を被覆する水分の取り込み及び放出が可能な通水性膜と、
    を備えた人工土壌粒子
  2. 前記通水性膜は、多孔質構造を備えている請求項1に記載の人工土壌粒子
  3. 前記通水性膜は、前記コア部の外表部の40%以上を被覆する請求項1又は2に記載の人工土壌粒子
  4. 前記コア部は、保水性材料を有する請求項1〜3の何れか一項に記載の人工土壌粒子
  5. 前記コア部及び前記通水性膜の少なくとも何れか一方にイオン交換能を付与してある請求項1〜4の何れか一項に記載の人工土壌粒子
  6. 1〜10mmの粒径を有する請求項1〜5の何れか一項に記載の人工土壌粒子
  7. 前記コア部に水分が飽和状態で保持されている湿潤状態と、前記コア部に水分が飽和状態で保持されていない通気可能状態との間で、水分保持量を調整可能に構成されている請求項1〜6の何れか一項に記載の人工土壌粒子
  8. 前記繊維は、長さが0.2〜0.5mmの短繊維である請求項1〜7の何れか一項に記載の人工土壌粒子
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