JPH1132608A - ペット用排泄物処理材及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 形状安定性及び静止安定性が良好であり、な
お且つ高吸水性があるものを提供することにある。 【解決手段】 偏平な粒状体であって、親水性有機質繊
維２からなる偏平な芯材２と、該芯材２の全表面をほゞ
一定厚で被覆した吸水性ポリマー粉体と有機質繊維粉体
とからなる被覆層３との二層構造からなる構成としたこ
とを特徴とするペット用排泄物処理材。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、猫や犬等の小動物
の排泄物を処理する際に使用するペット用の排泄物処理
材及びその製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】主に室内で飼育するペット類の小動物が
排泄する排泄物を手軽に処理する方法として、従来は、
排泄物を吸収することができるよう構成したシート状又
は粒状の排泄物処理材を排泄容器内に収納しておき、こ
の排泄物処理材を定期的に交換する手段を採っていた。

【０００３】ここで使用されている従来の排泄物処理材
は、高吸水性を有するポリマーや、紙粉或いは木粉等の
有機質繊維、粘土鉱物など吸水性を有する材料及びゼオ
ライトや活性炭（臭い等の揮発性物質を吸着する材料）
等を、熱可塑性樹脂であるポリビニルアルコール，カル
ボキシメチルセルロース或いはヒドロキシエチルセルロ
ース等のバインダーを用いてシート状或いは粒状に形成
したものである。

【０００４】そして、一定量の液状排泄物、さらには揮
発性物質を吸収することができる機能を有するものであ
るが、特に木粉，紙粉その他の有機質繊維及び水溶性の
熱可塑性樹脂からなるバインダーを混合して得られる排
泄物処理材にあっては、使用後に焼却処理又は水洗トイ
レへの流し込みができるといった取り扱いの簡便さによ
り、広く利用されるものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
従来の排泄物処理材において、その主成分たる吸水材料
及び臭い等の揮発性物質を吸着する吸着材料が有機質の
ものである場合、その重量を調整するために比較的比重
の大きい粘土鉱物等を含有せしめたとしても、かさ比重
が概ね０．３〜０．４程度と軽い。

【０００６】したがって、直径が５ｍｍ程度の粒状の排
泄物処理材にあっては、液状の排泄物を吸収する前にあ
っては静止安定性に欠ける。その結果、小動物がその上
を歩行したりすれば排泄物処理材がかき乱され、排泄容
器の外に散らかされることになったりして、小動物の排
泄に際して実質的な吸収効果を期待することができなく
なることがあった。

【０００７】更には、排泄物処理材の形状が崩壊するの
を抑制しつつなお且つ吸水効果を上げようとすれば、バ
インダーの配合量をできる限り抑える一方、吸水材の配
合比をできる限り増やすことになるが、この場合には製
品個々のバインダーの効果が低くなり、蓄積された水分
により形状が崩れてしまい周囲を汚す虞がある。したが
って、小動物の液状排泄物をより多量に吸水させ、なお
且つ形状の崩壊を抑制することは難しく、吸水性及び清
潔さをともに向上させることは困難であるといった問題
があった。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
従来の問題点を解決するためになされたもので、形状安
定性及び静止安定性が良好であり、なお且つ高吸水性が
あるものを提供することを目的としたものであり、その
要旨は、偏平な粒状体であって、親水性有機質繊維から
なる偏平な芯材と、該芯材の全表面をほゞ一定厚で被覆
した吸水性ポリマー粉体と有機質繊維粉体とからなる被
覆層との二層構造からなる構成としたことを特徴とする
ペット用排泄物処理材及びその製造方法にある。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施例
により詳細に説明するに、図１において、１は本発明に
係るペット用の排泄物処理材で、平面視が円又は楕円状
の偏平な粒状体に形成されており、外径が約５〜７ｍ
ｍ，厚さが約２ｍｍのものである。

【００１０】２は平面視が円又は楕円状の偏平な芯材
で、前記排泄物処理材１の形状とほゞ相似形のものであ
り、例えばパルプスラッジや木粉等の親水性のある有機
質繊維で形成されており、この偏平な芯材２の全表面に
は、例えば、ポリビニルアルコール，カルボキシメチル
セルロース或いはヒドロキシエチルセルロース等の吸水
性ポリマー粉体と、例えば、紙粉，木粉，ピートモス
粉，籾殻粉等の有機質繊維粉体からなる被覆層３がほゞ
一定厚に形成されている。

【００１１】このように、排泄物処理材１を、作用が夫
々異なる芯材２と被覆層３との二層構造とすることで、
高吸水性を期待することができるとゝもに、吸水しても
形が崩壊せず、形状安定性が良好なものとすることが出
来る。更には形状を偏平な粒状体とすることにより、軽
量であっても静止安定性が向上するとゝもに、各排泄物
処理材１，１間の接触面積が大きくなるため、内部への
水分の浸透性及び粒体間の水分移動も速やかに行われ、
保水能力を越えて一部の排泄物処理材１だけが崩壊する
こともない構成となる。

【００１２】つぎに、前記排泄物処理材１の製造方法を
図２乃至図４に示す実施例に基ずいて以下詳細に説明す
るに、まず、予め１０〜７０重量％の含水率にて湿潤せ
しめた大きさが１〜５ｍｍ程度のパルプスラッジや木粉
等の親水性のある有機質繊維１２Ａを平面造粒機や押出
成形機などに投入し、直径が０．５〜１０ｍｍ程度の粒
状芯材１２を造粒する。

【００１３】この粒状芯材１２の造粒工程では、その形
成材料である有機質繊維１２Ａの毛羽立ち１２Ｂと含水
量が重要な要件となる。すなち、形成材料中の水分によ
って有機質繊維１２Ａの形状変化を柔軟にして繊維同志
を互いに絡み合わせ、水分の気化作用が順次働くことに
より、前記有機質繊維１２Ａが互いに絡み合って造粒さ
れたところでその形状が維持されるようしている。

【００１４】また毛羽立ち１２Ｂは、いわゆるバインダ
ーと呼ばれる保水とともに粘着性を有する吸水性ポリマ
ーを混合することなく、この粒状芯材１２とその表面を
被覆する後述の被覆層１３とを前記毛羽立ち１２Ｂを介
して接着させ、粒状芯材１２と被覆層１３とが一体構造
となるようにしている。

【００１５】続いて、前記粒状芯材１２をコーティング
装置に搬入し、該コーティング装置の作業円盤に所定の
振幅運動を加える。これにより、粒状芯材１２はコーテ
ィング装置の前記作業円盤上において、自転しながら作
業円盤内に沿って移動し、前記粒状芯材１２はその形状
が補正されて、図２に示すように、ほゞ球状の粒状体と
なる。

【００１６】更に、所定量の吸水性ポリマー粉体と紙粉
をそれぞれ別個に設けた供給孔より前記作業円盤内に投
入する。吸水性ポリマー粉体と紙粉を投入した段階で、
作業円盤の前記振幅運動によってほゞ球状の粒状体とな
った粒状芯材１２の表面に、前記吸水性ポリマー粉体と
紙粉がそれぞれ付着した被覆層１３が形成されるとゝも
に、この被覆層１３は締め固められて前記粒状芯材１２
の表面に圧着され、粒状芯材１２と被覆層１３とが一体
構造となる。

【００１７】ここで、コーティング装置における吸水性
ポリマー粉体と紙粉の前記各供給孔は、作業円盤内の円
心付近に散布されるよう設計されており、これによって
吸水性ポリマー粉体と紙粉は、自転し乍ら作業円盤内に
沿って移動する粒状芯材１２の移動方向に徐々に広がり
つつ拡散していき、粒状芯材１２の全表面に均一に付着
することになる。なお、吸水性ポリマー粉体と紙粉は予
め混合された状態にあっても良く、その場合には２つの
供給孔内のどちらか一方より投入することになる。

【００１８】また、吸水性ポリマー粉体と紙粉は機械的
に破砕された一定寸法のものが望ましく、本実施例では
双方ともにその最大径が５０〜３００メッシュの範囲の
ものを使用している。ここで破砕とは、機械的な作業に
より前記ポリマー及び紙粉を一定寸法に切断する手段で
あり、これにより紙粉の繊維質特有の毛羽立ちをなくし
た被覆材が得られる。その結果、粒状芯材１２に対し被
覆層１３を一定厚で且つ蜜に付着せしめることができる
とゝもに、被覆層１３の表面を滑らか形成することがで
きる。

【００１９】上記のように、粒状芯材１２の形成段階に
おいては、その形成材料には、いわゆるバインダーと呼
ばれる保水とともに粘着性を有する吸水性ポリマーを混
合する必要がなく、被覆層１３の形成材料によりその形
状安定化を図っている。ここで、被覆層１３を形成する
形成材料の配合比は、前記吸水性ポリマー粉体１に対し
て、紙粉を重量比において１〜２程度の割合となる範囲
にて混合されており、実際圧着せしめる被覆層１３の合
計重量は粒状芯材１２の重量に対し１０〜４０％の範囲
になるよう調整している。

【００２０】また前記粒状芯材１２に対する吸水性ポリ
マー粉体と有機質繊維粉体のコーティングは、上記の要
領で、粒状芯材１２の全表面が一様に且つほゞ一定厚で
被覆されるよう行われるが、本実施例のように、粒状芯
材１２の直径が０．５〜１０ｍｍ程度のものを使用する
とすれば、被覆層１３を形成した後の粒状体１４の直径
はほゞ２〜１３ｍｍ程度まで増大する。

【００２１】次に、この粒状体１４を回転式或いは振動
式の乾燥室に搬入し、粒状体１４の形状の崩壊が起きな
い程度の運動量を粒状体１４に与えつつ、個々の粒状体
１４を夫々まんべんなく乾燥せしめる。この乾燥は、粒
状体１４中に含まれる含水率が２〜２０重量％、望まし
くは５〜１５重量％になるまで、室内温度が６０〜１０
０℃程度の加温により数分から数十分間行う。

【００２２】この加温乾燥により、粒状体１４の水分量
は減少して被覆層１３の形状が安定するとゝもに、粒状
体１４の直径が０．５〜８mm程度まで萎縮することとな
る。乾燥後は、乾燥室から取り出して、自然乾燥又は送
風機を利用した風乾により大気温度（常温）まで冷却す
る。

【００２３】その後、回転ローラー等の圧延装置Ａによ
り前記粒状体１４を圧延し、図１に示す粒状体１とほゞ
同形・同大の偏平な粒状体１Ａを形成する。この圧延時
の圧延幅（ローラ間の距離）は１〜４ｍｍ、より好まし
くは１〜２ｍｍ程度が好ましい。この圧延工程におい
て、前記粒状芯材１２を形成する有機質繊維１２Ａ同志
の絡み合いが若干解かれ、有機質繊維１２Ａ間の間隙が
拡大して毛細管現象の効果を向上せしめた偏平な粒状体
１Ａが得られる。

【００２４】なお、この圧延工程時において、前記粒状
体１４には未だ湿潤状態（含水率が５〜１５重量％程
度）にあるので、被覆層１３の構成材料である吸水性ポ
リマーの粘着性が効果的に作用し、圧延時における粒状
体１４の割れや被覆層１３の剥離などが起きにくく、偏
平な粒状体１Ａを形成することができる。

【００２５】最後に、上記偏平な粒状体１Ａを静止状態
に保ち、温風乾燥せしめ、その含水率を５〜１０重量％
の範囲内に調整する。その後、大気中に放置して常温状
態まで冷却させれば、目的とする偏平な粒状体に形成さ
れた排泄物処理材１が得られる。更に選別をし、例えば
偏平率からいって０．４〜０．７程度のものを厳選し
て、偏平効果の得られる一定品質のものを取り上げるの
がなお好ましい。

【００２６】次に、本発明に係る排泄物処理材１を使用
するに当たり、実験結果をもとにして述べると、まず上
記製造方法にて得られた本排泄物処理材１は偏平な粒状
体であるから、所定の排泄容器に対し、容器中の間隙率
を低く抑えた状態にて充填することができる。従来のほ
ゞ球状の粒状体（ここでは、圧延工程を省いた粒状体を
使用）とそのかさ比重において比較すると、０．１６程
度から０．２まで増加する。

【００２７】又、芯材２を構成している有機質繊維１２
Ａは、毛細管現象をよりよく期待できるよう適度に解離
されているとゝもに、偏平状に形成されていることよっ
て排泄物処理材１の個々の表面積が拡大されていること
により、排泄物処理材１内部への水分の浸透性がよく、
且つ排泄物処理材１，１間における水分移動も速やかに
行われることとなる。

【００２８】つまり、被覆層３を構成する保水性の高い
吸水性ポリマーにより、排泄物処理材１の表面から急速
に水分の吸収を行うとゝもに、表面に保水されたこの水
分は芯材２の構成材料である有機質繊維１２Ａの毛細管
現象によって速やかに内部へ浸透して保水する。そし
て、保水能力の限界を越える水分は、接触する排泄物処
理材１，１間にあってその接触面より他の排泄物処理材
１に移動しやすい。その結果、一定箇所への過剰な水分
滴下により被覆層３の吸水性ポリマーが膨張し、一部の
排泄物処理材１のみがその形状を崩壊をしてしまう、と
いったような不具合は抑制される。

【００２９】更に、排泄物処理材１の内層と被覆層と
を、その特性を考慮し区別して形成し且つ内層である芯
材２には、親水性の高い熱可塑性樹脂などのバインダー
を添加していないので、吸水材料とバインダーとの混合
物で成形した場合に比して一定量の水分保持時に崩壊す
ることが少なく、またトイレなどに破棄する場合のよう
に、多量の水中に排泄物処理材１を投入すれば、被覆層
３を形成する吸水性ポリマーが膨張して被覆層３が速や
かに水中へ分散していく。そして、これにより残された
芯材２も、バインダーの存在しない有機質繊維の塊状体
であるため形状の崩壊性が良く、配管中での目詰まりも
抑制される。

【００３０】そして、上記のように、本排泄物処理材１
はその内部まで十分吸水機能が働くことを説明したが、
その実質的な吸水効率は、前記圧延前のものを同様の容
器に充填して使用した場合と比べ、その容器中に水２０
ｃｃを滴下して消費した粒状体の重量を測定したとこ
ろ、圧延前のものの消費量が１１ｇであるにも拘らず、
本排泄物処理材については８ｇまで減少することができ
た。

【００３１】なお本発明において、湿潤剤として、浸透
効果を高める界面活性剤、例えば非イオン系の界面活性
剤（三洋化成株式会社の商品「サンモリン１１」）を芯
材２に対し１〜２重量％程度の少量加えることで、有機
質繊維１２Ａの低湿潤状態における撥水性を抑制せし
め、芯材２へのより効果的な吸水を期待することもでき
る。更には、製造の段階において、芯材２或いは被覆層
３に水溶性の着色顔料，香料，メチレンブルー等のｐｈ
指示薬等を加えることにより、付加機能を持たせた商品
を提供することも可能である。

【００３２】

【発明の効果】本発明に係るペット用排泄物処理材は、
上記のように、ほゞ１００％が有機質の吸水性材料で構
成され、その構成は作用別に内層と被覆層に分けて成形
していることより、芯材である内層にはバインダーを付
加せずとも形状安定性並びに吸水性の高い排泄物処理材
を得ることができるとゝもに、偏平な粒状体とすること
により静止安定性が良好であり、且つ排泄物容器内への
充填率を高めることができ、使用に際し高吸水性と使用
感の良好さの両面の効果を期待できる製品を提供でき
る。また、焼却や多量の水による洗い流しが可能であっ
て、一般家庭の廃棄処分の際には、水洗トイレへの流し
込みや焼却処分など簡便な方法を選ぶことができ、使用
後も衛生的に取り扱ができる、といった諸効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るペット用排泄物処理材の縦断面拡
大図である。

【図２】粒状芯材の拡大断面説明図である。

【図３】粒状体の拡大断面説明図である。

【図４】圧延工程の説明図である。

【符号の説明】

１ 排泄物処理材 １Ａ 偏平な粒状体 ２ 芯材 ３ 被覆層 １２ 粒状芯材 １２Ａ 有機質繊維 １２Ｂ 毛羽立ち １３ 被覆層 １４ 粒状体

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 偏平な粒状体であって、親水性有機質繊
   維からなる偏平な芯材と、該芯材の全表面をほゞ一定厚
   で被覆した吸水性ポリマー粉体と有機質繊維粉体とから
   なる被覆層との二層構造からなる構成としたことを特徴
   とするペット用排泄物処理材。
2. 【請求項２】 親水性有機質繊維からなる偏平な芯材
   に、界面活性剤を添加したことを特徴とする請求項１記
   載のペット用排泄物処理材。
3. 【請求項３】 芯材又は被覆層に、水溶性の着色顔料，
   香料，メチレンブルー等のｐｈ指示薬等を添加したこと
   を特徴とする請求項１又は２記載のペット用排泄物処理
   材。
4. 【請求項４】 親水性有機質繊維で造粒した粒状体の全
   表面に、吸水性ポリマー粉体と有機質繊維粉体とを付着
   せしめてほゞ一定厚の被覆層を形成するとゝもに、これ
   を圧延して、偏平な粒状体に形成することを特徴とする
   ペット用排泄物処理材の製造方法。
5. 【請求項５】 圧延時において、湿潤状態で偏平な粒状
   体に形成することを特徴とする請求項４記載のペット用
   排泄物処理材の製造方法。