JP5995674B2 - 人工土壌培地 - Google Patents

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本発明は、植物工場等において利用可能な人工土壌培地に関する。
近年、生育条件がコントロールされた環境下で野菜等の植物を栽培する植物工場が増加している。これまでの植物工場は、レタス等の葉物野菜の水耕栽培が中心であったが、最近では水耕栽培には向かない根菜類についても植物工場での栽培を試みる動きがある。根菜類を植物工場で栽培するためには、土壌としての基本性能に優れ、品質が高く、且つ取り扱いが容易な人工土壌を開発する必要がある。そして、人工土壌には、植物に対する水遣り回数を低減できる等、天然土壌では実現が困難な独自の機能が求められるようになっている。
これまでに開発された人工土壌に関連する技術として、ピートモス等の植物質天然有機物とゼオライト等の鉱物性材料とを分散混合させた土壌改良剤があった(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の土壌改良剤は、単独で植物質天然有機物又は鉱物性材料を用いたものよりも保水性が優れているため、水持ちの悪い土壌を改良することができるとされている。
また、多孔質性物質と非多孔性物質とからなる担体に界面活性剤を付着させた土壌浸透剤があった(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2の土壌浸透剤は、非多孔性物質に付着した界面活性剤が灌水により速やかに離脱し、土壌中に拡散するため、直ちに水の浸透効果を発揮させることができ、一方、多孔質物質の細孔中に界面活性剤が保持されるため、灌水により界面活性剤が直ちに離脱することがない。従って、長期にわたって安定した水の浸透効果を発揮させることができるとされている。
また、灌水回数を低減する目的で、酸変性熱可塑性樹脂発泡体と吸水性樹脂とを含有させてなる植栽基材があった(例えば、特許文献3を参照)。特許文献3の植栽基材は、過度な親水性を有さない酸変性熱可塑性樹脂と保水性に優れた吸水性樹脂とを組み合わせているため、充分な吸水性を有するとともに、灌水回数を大幅に低減できるとされている。
さらに、赤玉土等の増量材と吸水性高分子とを組み合わせた栽培用土があった(例えば、特許文献4を参照)。特許文献4の栽培用土は、保水性及び吸気性(通気性)に優れているため、長期間水遣りをしなくても植物を枯らすことがなく、根腐れを起こすこともないとされている。
特開平11−209760号公報(特に、請求項1を参照) 特開平11−256160号公報(特に、第0011段落を参照) 特開2002−272266号公報(特に、第0048段落を参照) 特開2003−250346号公報(特に、第0017段落を参照)
人工土壌の開発に当たっては、天然土壌と同等の植物育成力を達成しながら、例えば、栽培対象の植物に対して水分や養分を適切に供給できるコントロール機能が求められる。特に、水分供給量のコントロール機能は、植物に対する水遣り回数の低減や、植物の種類に応じた最適な栽培スケジュールを実現するために重要となる。人工土壌から外部への水分放出特性をコントロールできれば、天然土壌にはない独自の機能を有する付加価値の高い人工土壌を実現することができる。
しかしながら、特許文献1〜4の人工土壌に関する技術は、いずれも人工土壌粒子単位で土壌設計を行うものである。微細な一つの人工土壌粒子内の改良だけで、人工土壌培地としての大幅な機能変更や改良を実現することには制約がある。保水性等の水分に関係する機能についても、単一の人工土壌粒子内での改良のみで機能を向上させることは困難である。例えば、特許文献2や特許文献3のように、一つの人工土壌粒子に異種の物質を含有させることで、人工土壌粒子単体で水分放出特性に程度差をつけたとしても、人工土壌粒子を集合させて人工土壌培地を構成した場合、人工土壌粒子の特性が平均化されるため、単一の人工土壌粒子内での機能の差異は人工土壌培地全体に現われ難くなり、設計どおりの機能が発揮されるとは限らない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、人工土壌粒子を集合してなる人工土壌培地において、栽培対象の植物に長期に亘って持続的に水分を供給したり、栽培対象の植物に応じて水分供給量を高度にコントロールすることが可能となる技術を提供することである。
上記課題を解決するための本発明に係る人工土壌培地の特徴構成は、
水分を保持/放出可能なコア部と、
前記コア部の外表部に設けられ、前記コア部から水分が放出される状態を示す水分放出特性が設定されたコントロール層と、
を備えた複数の人工土壌粒子を含む人工土壌培地であって、
前記複数の人工土壌粒子は、前記コントロール層の水分放出特性が夫々異なるように設定された複数種の人工土壌粒子で構成されていることにある。
本構成の人工土壌培地によれば、水分放出特性が夫々異なるように設定されたコントロール層を備えた複数種の人工土壌粒子により人工土壌培地を構成しているため、各種の人工土壌粒子の水分放出特性が重畳することになり、夫々の人工土壌粒子の水分放出特性が相互に補完される。例えば、一方の人工土壌粒子の水分放出特性が早期放出型であり、他方の人工土壌粒子の水分放出特性が後期放出型である場合、両者の水分放出特性が相互に補完され、植物の栽培期間全体に亘って水分を放出可能な人工土壌培地が得られる。このように、本構成の人工土壌培地は、単一の人工土壌粒子からなる人工土壌培地と比較して、ブロードな水分放出特性が得られるため、栽培対象の植物に長期に亘って持続的に水分を供給することが可能となり、水遣りの頻度を低減することができる。また、人工土壌粒子のコントロール層の水分放出特性の設定を変更することにより、人工土壌粒子のコア部からの水分放出量や水分放出タイミングを任意に調整することができるので、栽培対象の植物に応じて水分供給量が高度にコントロールされた(すなわち、最適な水分放出スケジュールが設定された)人工土壌培地を実現することが可能となる。
本発明に係る人工土壌培地において、
前記コントロール層は多孔質構造を備え、前記複数種の人工土壌粒子の夫々において、前記コントロール層の水分放出特性が夫々異なるように、前記多孔質構造の孔数を異ならせてあることが好ましい。
本構成の人工土壌培地によれば、複数種の人工土壌粒子の夫々において、人工土壌粒子のコントロール層が備える多孔質構造の孔数を異ならせることによりコントロール層の水分放出特性を設定し、人工土壌粒子のコア部からの水分放出量や水分放出タイミングを最適に調整することができる。その結果、栽培対象の植物に長期に亘って持続的に水分を供給することが可能であり、また、栽培対象の植物に応じて水分供給量が高度にコントロールされた人工土壌培地を実現することが可能となる。
本発明に係る人工土壌培地において、
前記コントロール層は多孔質構造を備え、前記複数種の人工土壌粒子の夫々において、前記コントロール層の水分放出特性が夫々異なるように、前記多孔質構造の孔サイズを異ならせてあることが好ましい。
本構成の人工土壌培地によれば、複数種の人工土壌粒子の夫々において、人工土壌粒子のコントロール層が備える多孔質構造の孔サイズを異ならせることによりコントロール層の水分放出特性を設定し、人工土壌粒子のコア部からの水分放出量や水分放出タイミングを最適に調整することができる。その結果、栽培対象の植物に長期に亘って持続的に水分を供給することが可能であり、また、栽培対象の植物に応じて水分供給量が高度にコントロールされた人工土壌培地を実現することが可能となる。
本発明に係る人工土壌培地において、
前記コア部及び前記コントロール層の少なくとも何れか一方にイオン交換能を付与してあることが好ましい。
本構成の人工土壌培地によれば、コア部及びコントロール層の少なくとも何れか一方にイオン交換能を付与することで、人工土壌粒子に植物の育成に必要な肥料成分を担持させることができるので、天然土壌と同等の植物育成力を備えた人工土壌培地を実現することが可能となる。
本発明に係る人工土壌培地において、
前記複数の人工土壌粒子は0.5〜10mmの粒径を有することが好ましい。
本構成の人工土壌培地によれば、人工土壌粒子の粒径を0.5〜10mmに設定することにより、特に根菜類の栽培に適した取り扱いの容易な人工土壌とすることができる。
図1は、複数の人工土壌粒子を含む本発明の人工土壌培地の概念図である。 図2は、本発明の人工土壌培地を構成する人工土壌粒子の概念図である。 図3は、第1実施形態に係る人工土壌培地を構成する人工土壌粒子の説明図である。 図4は、第2実施形態に係る人工土壌培地を構成する人工土壌粒子の説明図である。 図5は、第3実施形態に係る人工土壌培地を構成する人工土壌粒子の説明図である。 図6は、第4実施形態に係る人工土壌培地を構成する人工土壌粒子の説明図である。 図7は、第5実施形態に係る人工土壌培地を構成する人工土壌粒子の説明図である。
以下、本発明に係る人工土壌培地に関する実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
図1は、複数の人工土壌粒子50を含む本発明の人工土壌培地100の概念図である。人工土壌粒子50は、コア部10とコントロール層20とを備えている。
コア部10は、水分を保持するとともに、保持している水分を放出可能に構成されている。そのため、コア部10は、保水性材料を有している。保水性材料は、外部環境から水分を取り込んで保持し、さらに保持した水分を外部環境に放出することが可能である。ここで、「外部環境」とは、人工土壌粒子50の外側の環境を意図する。図1に示す複数の人工土壌粒子50が集合した状態の人工土壌培地100においては、複数の人工土壌粒子50の間に形成される空隙Sが外部環境に相当する。外部環境には栽培対象の植物Pの育成に必要な水分が存在し得る。
コントロール層20は、コア部10の外表部に設けられる被膜である。コントロール層20は、コア部10に保持されている水分が放出される状態をコントロールするように機能する。ここで、「水分が放出される状態」とは、水分放出量、水分放出タイミング等の水分に関連する物理量や時間で表される状態であり、本明細書では、水分が放出される状態を「水分放出特性」と規定する。
図2は、本発明の人工土壌培地100を構成する人工土壌粒子50の概念図であり、コア部10の構成が異なる2つのタイプを例示したものである。図2(a)の人工土壌粒子50は、コア部10としての繊維塊状体10aと、水分放出特性が設定されたコントロール層20とを備えている。繊維塊状体10aは、繊維1の集合体として構成される。繊維塊状体10aを構成する繊維1の間には、空隙2が形成されている。繊維塊状体10aは、空隙2に水分を保持することができる。従って、空隙2の状態は、繊維塊状体10aの保水性に関係する。空隙2の状態は、コア部10を形成する際の繊維1の使用量(密度)、繊維1の種類、太さ、長さ等を変更することにより調整可能である。なお、繊維1のサイズは、太さが5〜100μmのものが好ましく、長さが0.5〜10mmのものが好ましい。
繊維塊状体10aは、その内部に水分を保持できるように構成するため、繊維1として親水性の繊維を使用することが好ましい。繊維1の種類は、天然繊維又は合成繊維の何れでもよく、人工土壌粒子50の種類に応じて、適宜選択される。好ましい親水性の繊維として、例えば、天然繊維として綿、羊毛、レーヨンが挙げられ、合成繊維として、例えば、ビニロン、ウレタン、ナイロン、アセテートが挙げられ、これらのうち、綿及びビニロンがより好ましい。天然繊維と合成繊維とを混繊したものでも構わない。
繊維塊状体10aを構成するに際し、繊維1の間に別の保水性材料(保水性材料である繊維1と区別するため、以後、第二保水性材料とする)を導入することも可能である。この場合、繊維塊状体10aは、本来有する繊維1間の空隙2による保水性に加え、第二保水性材料(図示せず)による保水力を備えることができる。第二保水性材料を繊維塊状体10aに導入する方法として、例えば、繊維1を造粒によってコア部10となる繊維塊状体10aを形成し、造粒中に第二保水性材料を添加する。また、繊維1の表面を第二保水性材料でコーティングする方法も有効である。これらの方法により繊維塊状体10aに導入された第二保水性材料は、繊維1間の空隙2で露出していることが好ましい。この場合、繊維塊状体10aは空隙2の保水力が大きく向上する。
第二保水性材料は、吸水性を有する高分子保水材を使用することができる。例えば、ポリアクリル酸塩系ポリマー、ポリスルホン酸塩系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリアルキレンオキサイド系ポリマー等の合成高分子系保水性材料、ポリアスパラギン酸塩系ポリマー、ポリグルタミン酸塩系ポリマー、ポリアルギン酸塩系ポリマー、セルロース系ポリマー、デンプン等の天然高分子系保水性材料が挙げられる。これらの第二保水性材料は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。また、第二保水性材料として、セラミックス等の多孔質材を使用することも可能である。
コア部10は、公知の造粒法により形成される。例えば、繊維1をカーディング装置等で引揃え、3〜10mm程度の長さに切断し、切断した繊維1を転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、圧縮造粒、押出造粒等の方法で造粒することにより形成することができる。造粒の際、繊維1に樹脂や糊等のバインダーを混合して造粒を行ってもよいが、繊維1は互いに絡まり合って固着化し易いため、バインダーを使用しなくても繊維1を塊状に加工することが可能である。
コア部10の外表部には、コントロール層20が被覆される。コントロール層20は、水が通過可能な細孔を有する膜である。あるいは、水が一方側から浸透して他方側に移動可能な浸透性膜とすることもできる。コントロール層20は、例えば、以下の方法により、コア部10の外表部に形成される。先ず、造粒したコア部10を容器に移し、コア部10の体積(占有容積)の半分程度の水を加え、コア部10の空隙2に水を浸み込ませる。次に、水を浸み込ませたコア部10に、コア部10の体積の1/3〜1/2の樹脂エマルジョンを添加する。樹脂エマルジョンには、顔料、香料、殺菌剤、抗菌剤、消臭剤、殺虫剤等の添加物を混合しておくことも可能である。次に、コア部10の外表部に樹脂エマルジョンが均一に付着するように転動させながら、コア部10の外表部から樹脂エマルジョンを含浸させる。このとき、コア部10の中心部には水が浸み込んでいるため、樹脂エマルジョンはコア部10の外表部付近で留まる。その後、樹脂エマルジョンが付着したコア部10をオーブンで乾燥させ、次いで、樹脂を溶融させ、コア部10の外表部付近の繊維1に樹脂を融着させてコントロール層20としての樹脂被膜を形成する。これにより、コア部10は外表部がコントロール層20で被覆され、人工土壌粒子50が完成する。コントロール層20は、樹脂が溶融する際に樹脂エマルジョンに含まれていた溶媒が蒸発し、多孔質構造が形成される。得られた人工土壌粒子50は、必要に応じて、乾燥及び分級が行われ、粒径が調整される。コントロール層20は、コア部10を構成する繊維1の絡み合い部分(繊維1同士が接触する部分)を補強するように、コア部10の外表部から若干内側に浸透した状態にまで厚みを形成してもよい。これにより、人工土壌粒子50の強度及び耐久性を向上させることができる。コントロール層20の膜厚は、1〜200μmに設定され、好ましくは10〜100μmに設定され、より好ましくは20〜60μmに設定される。
コア部10を造粒するにあたり、繊維1として短繊維を使用することも可能である。この場合、短繊維を撹拌混合造粒装置で撹拌しながら樹脂エマルジョンを少量ずつ投入して造粒する。これにより、コア部10を形成する短繊維同士が一部で固定化され、強固なコア部10を形成することができる。なお、短繊維に先に水を加えて造粒し、その後、コントロール層20にエマルジョンを添加してコア部10を仕上げることも可能である。
コントロール層20の材質は、水に不溶性で酸化され難いものが好ましく、例えば、樹脂材料が挙げられる。そのような樹脂材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のスチロール系樹脂が挙げられる。これらのうち、ポリエチレンが好ましい。また、樹脂材料に代えて、ポリエチレングリコール等の合成高分子系のゲル化剤、又はアルギン酸ナトリウム等の天然ゲル化剤を使用することも可能である。
コア部10及びコントロール層20には、イオン交換能を付与することもできる。コア部10及びコントロール層20の少なくとも何れか一方にイオン交換能を付与することで、人工土壌粒子50に植物の育成に必要な肥料成分を担持させることができるので、天然土壌と同等の植物育成力を備えた人工土壌培地を実現することが可能となる。
図2(b)の人工土壌粒子50は、コア部10としての多孔質体10bと、水分放出特性が設定されたコントロール層20とを備えている。多孔質体10bは、複数のフィラー3が集合して粒状に構成される。多孔質体10b中において、複数のフィラー3は、それらが互いに接触していることは必須ではなく、一粒子内でバインダー等を介して一定範囲内の相対的な位置関係を維持していれば、複数のフィラー3が集合して粒状に構成したものと考えることができる。多孔質体10bを構成するフィラー3は、表面から内部にかけて多数の細孔4を有する。細孔4は、種々の形態を含む。例えば、フィラー3がゼオライトの場合、当該ゼオライトの結晶構造中に存在する空隙が細孔であり、フィラー3がハイドロタルサイトの場合、当該ハイドロタルサイトの層構造中に存在する層間が細孔である。つまり、本発明において「細孔」とは、フィラー3の構造中に存在する空隙部、層間部、空間部等を意図し、これらは「孔状」の形態に限定されるものではない。
フィラー3の細孔4のサイズは、サブnmオーダー乃至サブμmオーダーとなる。例えば、フィラー3がゼオライトの場合、当該ゼオライトの結晶構造中に存在する空隙のサイズ(径)は、0.3〜1.3nm程度である。フィラー3がハイドロタルサイトの場合、当該ハイドロタルサイトの層構造中に存在する層間のサイズ(距離)は、0.3〜3.0nm程度である。この他に、フィラー3として有機多孔質材料を使用することもでき、その場合の細孔径は、0.1〜0.8μm程度となる。フィラー3の細孔4のサイズは、測定対象の状態に応じて、ガス吸着法、水銀圧入法、小角X線散乱法、画像処理法等を用いて、又はこれらの方法を組み合わせて、最適な方法により測定される。
フィラー3は、人工土壌粒子50が十分な保肥力を有するように、細孔4にイオン交換能が付与された材料を使用することが好ましい。この場合、イオン交換能が付与された材料として、陽イオン交換能が付与された材料、陰イオン交換能が付与された材料、又は両者の混合物を使用することができる。また、イオン交換能を有さない多孔質材料(例えば、高分子発泡体、ガラス発泡体等)を別に用意し、当該多孔質材料の細孔に上記のイオン交換能が付与された材料を圧入や含浸等によって導入し、これをフィラー3として使用することも可能である。陽イオン交換能が付与された材料として、陽イオン交換性鉱物、腐植、及び陽イオン交換樹脂が挙げられる。陰イオン交換能が付与された材料として、陰イオン交換性鉱物、及び陰イオン交換樹脂が挙げられる。
陽イオン交換性鉱物は、例えば、ゼオライト、モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等のスメクタイト系鉱物、雲母系鉱物、バーミキュライトが挙げられる。陽イオン交換樹脂は、例えば、弱酸性陽イオン交換樹脂、強酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。これらのうち、ゼオライト、又はベントナイトが好ましい。陽イオン交換性鉱物及び陽イオン交換樹脂は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。陽イオン交換性鉱物及び陽イオン交換樹脂における陽イオン交換容量は、10〜700meq/100gに設定され、好ましくは20〜700meq/100gに設定され、より好ましくは30〜700meq/100gに設定される。陽イオン交換容量が10meq/100g未満の場合、十分に養分を取り込むことができず、取り込まれた養分も灌水等により早期に流失する虞がある。一方、陽イオン交換容量が700meq/100gを超えるように保肥力を過剰に大きくしても、効果は大きく向上せず、経済的ではない。
陰イオン交換性鉱物は、例えば、ハイドロタルサイト、マナセアイト、パイロオーライト、シェーグレン石、緑青等の主骨格として複水酸化物を有する天然層状複水酸化物、合成ハイドロタルサイト及びハイドロタルサイト様物質、アロフェン、イモゴライト、カオリン等の粘土鉱物が挙げられる。陰イオン交換樹脂は、例えば、弱塩基性陰イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂が挙げられる。これらのうち、ハイドロタルサイトが好ましい。陰イオン交換性鉱物及び陰イオン交換樹脂は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。陰イオン交換性鉱物及び陰イオン交換樹脂における陰イオン交換容量は、5〜500meq/100gに設定され、好ましくは20〜500meq/100gに設定され、より好ましくは30〜500meq/100gに設定される。陰イオン交換容量が5meq/100g未満の場合、十分に養分を取り込むことができず、取り込まれた養分も灌水等により早期に流失する虞がある。一方、陰イオン交換容量が500meq/100gを超えるように保肥力を過剰に大きくしても、効果は大きく向上せず、経済的ではない。
フィラー3がゼオライトやハイドロタルサイトのような無機天然鉱物である場合、複数のフィラー3を集合して粒状物(人工土壌粒子50)を構成するために、バインダーを用いて粒状化を行うことができる。バインダーを用いた人工土壌粒子50の形成は、フィラー3にバインダーや溶媒等を加えて混合し、混合物を造粒機に導入し、転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、圧縮造粒、押出造粒、破砕造粒、溶融造粒、噴霧造粒等の公知の造粒法により行うことができる。得られた造粒体は、必要に応じて乾燥及び分級が行われ、人工土壌粒子50が完成する。また、フィラー3にバインダーを加え、さらに必要に応じて溶媒等を加えて混練し、これを乾燥してブロック状にしたものを、乳鉢及び乳棒、ハンマーミル、ロールクラッシャー等の粉砕手段で適宜粉砕して粒状物とすることも可能である。この粒状物は、そのまま人工土壌粒子50として用いることもできるが、篩にかけて所望の粒径に調整することが好ましい。
バインダーは、有機バインダー又は無機バインダーの何れも使用可能である。有機バインダーは、例えば、ポリオレフィン系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダー、ポリウレタン系バインダー、ポリ酢酸ビニル系バインダー等の合成樹脂系バインダー、デンプン、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸などの多糖類、膠などの動物性たんぱく質等の天然物系バインダーが挙げられる。無機バインダーは、例えば、水ガラス等のケイ酸系バインダー、リン酸アルミニウム等のリン酸塩系バインダー、ホウ酸アルミニウム等のホウ酸塩系バインダー、セメント等の水硬性バインダーが挙げられる。有機バインダー及び無機バインダーは、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。
フィラー3が有機多孔質材料である場合、人工土壌粒子50の形成は、バインダーを用いた上述のフィラーの粒状化法と同様の方法で行ってもよいが、フィラー3を、当該フィラー3を構成する有機多孔質材料(高分子材料等)の融点以上の温度に加熱し、複数のフィラー3の表面同士を熱融着させて粒状化することにより、人工土壌粒子50を形成することも可能である。この場合、バインダーを使用しなくても、複数のフィラー3が集合した粒状物を得ることができる。そのような有機多孔質材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、セルロール等の有機高分子材料を発泡させた有機高分子発泡体、前記有機高分子材料の粉体を加熱溶融して連続気泡構造を形成した有機高分子多孔質体が挙げられる。
多孔質体10bの形成に当たっては、高分子ゲル化剤のゲル化反応を利用することもできる。高分子ゲル化剤のゲル化反応として、例えば、アルギン酸塩と多価金属イオンとのゲル化反応、カルボキシメチルセルロース(CMC)のゲル化反応、カラギーナンなどの多糖類の二重らせん構造化反応によるゲル化反応が挙げられる。このうち、アルギン酸塩と多価金属イオンとのゲル化反応について説明する。アルギン酸塩の一つであるアルギン酸ナトリウムは、アルギン酸のカルボキシル基がNaイオンと結合した形態の中性塩である。アルギン酸は水に不要であるが、アルギン酸ナトリウムは水溶性である。アルギン酸ナトリウム水溶液を多価金属イオン(例えば、Caイオン)の水溶液中に添加すると、アルギン酸ナトリウムの分子間でイオン架橋が起こりゲル化する。本実施形態の場合、ゲル化反応は、以下の工程により行うことができる。初めに、アルギン酸塩を水に溶解させてアルギン酸塩水溶液を調製し、アルギン酸塩水溶液にフィラー3を添加し、これを十分攪拌して、アルギン酸塩水溶液中にフィラー3が分散した混合液を形成する。次に、混合液を多価金属イオン水溶液中に滴下し、混合液に含まれるアルギン酸塩を粒状にゲル化させる。その後、ゲル化した粒子を回収して水洗し、十分に乾燥させる。これにより、アルギン酸塩及び多価金属イオンから形成されるアルギン酸ゲル中にフィラー3が分散した粒状物としての人工土壌粒子50が得られる。
ゲル化反応に使用可能なアルギン酸塩は、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウムが挙げられる。これらのアルギン酸塩は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。アルギン酸塩水溶液の濃度は、0.1〜5重量%とし、好ましくは0.2〜5重量%とし、より好ましくは0.2〜3重量%とする。アルギン酸塩水溶液の濃度が0.1重量%未満の場合、ゲル化反応が起こり難くなり、5重量%を超えると、アルギン酸塩水溶液の粘度が大きくなり過ぎるため、フィラー3を添加した混合液の攪拌や、混合液を多価金属イオン水溶液中に滴下することが困難になる。
アルギン酸塩水溶液を滴下する多価金属イオン水溶液は、アルギン酸塩と反応してゲル化が起きる2価以上の金属イオン水溶液であればよい。そのような多価金属イオン水溶液の例として、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム、塩化ニッケル、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化コバルト等の多価金属の塩化物水溶液、硝酸カルシウム、硝酸バリウム、硝酸アルミニウム、硝酸鉄、硝酸銅、硝酸コバルト等の多価金属の硝酸塩水溶液、乳酸カルシウム、乳酸バリウム、乳酸アルミニウム、乳酸亜鉛等の多価金属の乳酸塩水溶液、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸コバルト等の多価金属の硫酸塩水溶液が挙げられる。これらの多価金属イオン水溶液は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。多価金属イオン水溶液の濃度は、1〜20重量%とし、好ましくは2〜15重量%とし、より好ましくは3〜10重量%とする。多価金属イオン水溶液の濃度が1重量%未満の場合、ゲル化反応が起こり難くなり、20重量%を超えると、金属塩の溶解に時間が掛かるとともに、過剰の材料を使用することになるため、経済的でない。
図2(b)の人工土壌粒子50において、多孔質体10bの外表部を被覆するコントロール層20は、図2(a)の人工土壌粒子50のコントロール層20と同様の材質及び構造を有する。また、コントロール層20の形成方法も、図2(a)の人工土壌粒子50と同様である。従って、図2(b)の人工土壌粒子50のコントロール層20については、詳細な説明は省略する。
ところで、コントロール層20は、本発明の人工土壌培地100を構成する複数種の人工土壌粒子50において独特の特徴を有しており、各種の人工土壌粒子50のコントロール層20は、水分放出特性が夫々異なるように設定されている。各コントロール層20には、コア部10から水分が放出される状態を示す水分放出特性が夫々設定されている。具体的には、各コントロール層20は、人工土壌粒子50の種類に応じて水分放出特性の設定を異ならせることができるように、コントロール層20の構造が変更可能に構成されている。水分放出特性の設定が異なったコントロール層20の構成例を、以下に第1実施形態〜第5実施形態として説明する。なお、第1実施形態〜第5実施形態において、人工土壌粒子50のコア部10は、上述の繊維塊状体10a、及び多孔質体10bの何れについても採用可能である。従って、以下の実施形態では、コア部10についての詳細な説明は省略する。
〔第1実施形態〕
図3は、本発明に係る実施形態であり、第1実施形態に係る人工土壌培地100を構成する人工土壌粒子50の説明図である。(a)〜(c)は、人工土壌粒子50又は人工土壌培地100の形態とともに、当該形態に対応する水分放出特性をグラフで示したものである。本実施形態の人工土壌粒子50は、コントロール層20の多孔質構造の孔数を変えることで、コア部10からの水分放出特性をコントロールするものである。
上述のとおり、人工土壌粒子50のコントロール層20は、多孔質構造を備えている。多孔質構造は、コントロール層20の形成条件により様々に変化し得る。例えば、コントロール層20の材料として使用される樹脂エマルジョンの組成は多孔質構造に関係しており、樹脂エマルジョンの溶媒含有量は多孔質構造の孔数を決定する要因となり得る。樹脂エマルジョンの溶媒含有量が多くなる程、コントロール層20の形成過程において樹脂膜の表面から溶媒が頻繁に蒸発することになるため、多孔質構造の孔数が増加する。(a)は、多孔質構造の孔数が多いコントロール層20aを形成した人工土壌粒子50aを示している。この場合、人工土壌粒子50aのコントロール層20aは、コア部10に保持されている水分が比較的早い時期に外部環境に放出されるように水分放出特性が設定されている。(b)は、多孔質構造の孔数が少ないコントロール層20bを形成した人工土壌粒子50bを示している。この場合、人工土壌粒子50bのコントロール層20bは、コア部10に保持されている水分が比較的遅い時期に外部環境に放出されるように水分放出特性が設定されている。従って、(a)の人工土壌粒子50aと(b)の人工土壌粒子50bとを混合し、(c)に示す人工土壌粒子100を構成すれば、両者の水分放出特性が相互に補完され、植物の栽培期間全体に亘って持続的に水分を放出可能な人工土壌培地を得ることができる。なお、人工土壌粒子50aと人工土壌粒子50bとの混合比率を適切に調整すれば、水分放出量や水分放出タイミングを任意に調整することができる。従って、栽培対象の植物に応じて水分供給量が高度にコントロールされた(すなわち、最適な水分放出スケジュールが設定された)人工土壌培地を実現することも可能となる。
〔第2実施形態〕
図4は、本発明に係る実施形態であり、第2実施形態に係る人工土壌培地100を構成する人工土壌粒子50の説明図である。(a)〜(c)は、人工土壌粒子50又は人工土壌培地100の形態とともに、当該形態に対応する水分放出特性をグラフで示したものである。本実施形態の人工土壌粒子50は、コントロール層20の多孔質構造の孔サイズを変えることで、コア部10からの水分放出特性をコントロールするものである。
例えば、人工土壌粒子50を形成する際の熱処理温度は、コントロール層20の材料として使用される樹脂エマルジョンに含まれる溶媒の蒸発速度に関係し、多孔質構造の孔サイズを決定する要因となり得る。熱処理温度が高くなる程、樹脂エマルジョンに含まれる溶媒蒸発速度が速くなり、コントロール層20の形成過程において樹脂膜の表面から溶媒が直ちに蒸発することになるため、多孔質構造の孔サイズが小さくなる。(a)は、多孔質構造の孔サイズが大きいコントロール層20cを形成した人工土壌粒子50cを示している。この場合、人工土壌粒子50cのコントロール層20cは、コア部10に保持されている水分が比較的早い時期に外部環境に放出されるように水分放出特性が設定されている。(b)は、多孔質構造の孔サイズが小さいコントロール層20dを形成した人工土壌粒子50dを示している。この場合、人工土壌粒子50dのコントロール層20dは、コア部10に保持されている水分が比較的遅い時期に外部環境に放出されるように水分放出特性が設定されている。従って、(a)の人工土壌粒子50cと(b)の人工土壌粒子50dとを混合し、(c)に示す人工土壌粒子100を構成すれば、両者の水分放出特性が相互に補完され、植物の栽培期間全体に亘って持続的に水分を放出可能な人工土壌培地を得ることができる。なお、人工土壌粒子50cと人工土壌粒子50dとの混合比率を適切に調整すれば、水分放出量や水分放出タイミングを任意に調整することができる。従って、栽培対象の植物に応じて水分供給量が高度にコントロールされた(すなわち、最適な水分放出スケジュールが設定された)人工土壌培地を実現することも可能となる。
〔第3実施形態〕
図5は、別実施形態であり、第3実施形態に係る人工土壌培地100を構成する人工土壌粒子50の説明図である。(a)〜(c)は、人工土壌粒子50又は人工土壌培地100の形態とともに、当該形態に対応する水分放出特性をグラフで示したものである。本実施形態の人工土壌粒子50は、コントロール層20に多孔質フィラー21が添加されており、多孔質フィラー21の添加量を変えることで、コア部10からの水分放出特性をコントロールするものである。添加される多孔質フィラー21は、上述したコア部10を構成する多孔質体10bの形成に使用されるフィラー3と同じものを使用することができる。
本実施形態の人工土壌粒子50は、コントロール層20に添加された多孔質フィラー21の細孔21aを通じて、コア部10に保持された水分が外部環境に放出される。従って、多孔質フィラー21の添加量が多くなる程、水分が通過可能なコントロール層20の孔数が多くなり、第1実施形態の人工土壌粒子50と同様の効果が得られる。(a)は、多孔質フィラー21の添加量が多いコントロール層20eを形成した人工土壌粒子50eを示している。この場合、人工土壌粒子50eのコントロール層20eは、コア部10に保持されている水分が比較的早い時期に外部環境に放出されるように水分放出特性が設定されている。(b)は、多孔質フィラー21の添加量が少ないコントロール層20fを形成した人工土壌粒子50fを示している。この場合、人工土壌粒子50fのコントロール層20fは、コア部10に保持されている水分が比較的遅い時期に外部環境に放出されるように水分放出特性が設定されている。従って、(a)の人工土壌粒子50eと(b)の人工土壌粒子50fとを混合し、(c)に示す人工土壌粒子100を構成すれば、両者の水分放出特性が相互に補完され、植物の栽培期間全体に亘って持続的に水分を放出可能な人工土壌培地を得ることができる。なお、人工土壌粒子50eと人工土壌粒子50fとの混合比率を適切に調整すれば、水分放出量や水分放出タイミングを任意に調整することができる。従って、栽培対象の植物に応じて水分供給量が高度にコントロールされた(すなわち、最適な水分放出スケジュールが設定された)人工土壌培地を実現することも可能となる。
〔第4実施形態〕
図6は、別実施形態であり、第4実施形態に係る人工土壌培地100を構成する人工土壌粒子50の説明図である。(a)〜(c)は、人工土壌粒子50又は人工土壌培地100の形態とともに、当該形態に対応する水分放出特性をグラフで示したものである。本実施形態の人工土壌粒子50は、コントロール層20に多孔質フィラー22が添加されており、多孔質フィラー22の細孔サイズを変えることで、コア部10からの水分放出特性をコントロールするものである。
本実施形態の人工土壌粒子50は、多孔質フィラー22の細孔サイズが大きくなる程、コントロール層20を水分が通過し易くなり、第2実施形態の人工土壌粒子50と同様の効果が得られる。(a)は、細孔サイズが大きい多孔質フィラー22aを含有するコントロール層20gを形成した人工土壌粒子50gを示している。この場合、人工土壌粒子50gのコントロール層20gは、コア部10に保持されている水分が比較的早い時期に外部環境に放出されるように水分放出特性が設定されている。(b)は、細孔サイズが小さい多孔質フィラー22bを含有するコントロール層20hを形成した人工土壌粒子50hを示している。この場合、人工土壌粒子50hのコントロール層20hは、コア部10に保持されている水分が比較的遅い時期に外部環境に放出されるように水分放出特性が設定されている。従って、(a)の人工土壌粒子50gと(b)の人工土壌粒子50hとを混合し、(c)に示す人工土壌粒子100を構成すれば、両者の水分放出特性が相互に補完され、植物の栽培期間全体に亘って持続的に水分を放出可能な人工土壌培地を得ることができる。なお、人工土壌粒子50gと人工土壌粒子50hとの混合比率を適切に調整すれば、水分放出量や水分放出タイミングを任意に調整することができる。従って、栽培対象の植物に応じて水分供給量が高度にコントロールされた(すなわち、最適な水分放出スケジュールが設定された)人工土壌培地を実現することも可能となる。
〔第5実施形態〕
図7は、別実施形態であり、第5実施形態に係る人工土壌培地100を構成する人工土壌粒子50の説明図である。(a)〜(c)は、人工土壌粒子50又は人工土壌培地100の形態とともに、当該形態に対応する水分放出特性をグラフで示したものである。本実施形態の人工土壌粒子50は、コントロール層20の厚みを変えることで、コア部10からの水分放出特性をコントロールするものである。
上述のように、コントロール層20は多孔質構造を有しているため、人工土壌粒子50のコントロール層20の厚みは水分放出特性に影響を与える。コントロール層20の厚みが大きい程、コントロール層20を水分が通過し難くなる。(a)は、厚みの小さいコントロール層20iを形成した人工土壌粒子50iを示している。この場合、人工土壌粒子50iのコントロール層20iは、コア部10に保持されている水分が比較的早い時期に外部環境に放出されるように水分放出特性が設定されている。(b)は、厚みが大きいコントロール層20jを形成した人工土壌粒子50jを示している。この場合、人工土壌粒子50jのコントロール層20jは、コア部10に保持されている水分が比較的遅い時期に外部環境に放出されるように水分放出特性が設定されている。従って、(a)の人工土壌粒子50iと(b)の人工土壌粒子50jとを混合し、(c)に示す人工土壌粒子100を構成すれば、両者の水分放出特性が相互に補完され、植物の栽培期間全体に亘って水分を持続的に放出可能な人工土壌培地を得ることができる。なお、人工土壌粒子50iと人工土壌粒子50jとの混合比率を適切に調整すれば、水分放出量や水分放出タイミングを任意に調整することができる。従って、栽培対象の植物に応じて水分供給量が高度にコントロールされた(すなわち、最適な水分放出スケジュールが設定された)人工土壌培地を実現することも可能となる。
本発明の人工土壌培地は、植物工場等で行われる植物の栽培に利用可能であるが、その他の用途として、施設園芸用土壌培地、緑化用土壌培地、成型土壌培地、土壌改良剤、インテリア用土壌培地等にも利用可能である。
10 コア部
20 コントロール層
21 多孔質フィラー
50 人工土壌粒子
100 人工土壌培地

Claims (5)

  1. 水分を保持/放出可能なコア部と、
    前記コア部の外表部に設けられ、前記コア部から水分が放出される状態を示す水分放出特性が設定されたコントロール層と、
    を備えた複数の人工土壌粒子を含む人工土壌培地であって、
    前記複数の人工土壌粒子は、前記コントロール層の水分放出特性が夫々異なるように設定された複数種の人工土壌粒子で構成されている人工土壌培地。
  2. 前記コントロール層は多孔質構造を備え、前記複数種の人工土壌粒子の夫々において、前記コントロール層の水分放出特性が夫々異なるように、前記多孔質構造の孔数を異ならせてある請求項1に記載の人工土壌培地。
  3. 前記コントロール層は多孔質構造を備え、前記複数種の人工土壌粒子の夫々において、前記コントロール層の水分放出特性が夫々異なるように、前記多孔質構造の孔サイズを異ならせてある請求項1又は2に記載の人工土壌培地。
  4. 前記コア部及び前記コントロール層の少なくとも何れか一方にイオン交換能を付与してある請求項1〜3の何れか一項に記載の人工土壌培地。
  5. 前記複数の人工土壌粒子は0.5〜10mmの粒径を有する請求項1〜4の何れか一項に記載の人工土壌培地。
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