JP2015008635A - タンパク質高含有乳飲料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)タンパク質を4.0質量%以上8.0質量%未満、脂質を0質量%以上2.7質量%以下、及び乳糖を0.1質量%以上2.3質量%以下含有することを特徴とする乳飲料。
(2)前記タンパク質に対する前記乳糖の質量比率が0.01以上0.58以下であることを特徴とする(1)に記載の乳飲料。
(3)Brixが16.0以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の乳飲料。
(4)タンパク質を4.0質量%以上8.0質量%未満となるように調整する工程と、脂質を0質量%以上2.7質量%以下となるように調整する工程と、乳糖を0.1質量%以上2.3%以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする乳飲料の製造方法。
(5)前記タンパク質に対する前記乳糖の質量比率を0.01以上0.58以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする(4)に記載の乳飲料の製造方法。
(6)Brixを16.0以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする(4)又は(5)のいずれかに記載の乳飲料の製造方法。
(7)タンパク質を4.0質量%以上8.0質量%未満となるように調整する工程と、脂質を0質量%以上2.7質量%以下となるように調整する工程と、乳糖を0.1質量%以上2.3%以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする乳飲料の風味改善方法。
(8)前記タンパク質に対する前記乳糖の質量比率が0.01以上0.58以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする(7)に記載の乳飲料の風味改善方法。
(9)Brixを16.0以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする(7)又は(8)に記載の乳飲料の風味改善方法。
(10)タンパク質を4.0質量%以上8.0質量%未満となるように調整する工程と、脂質を0質量%以上2.7質量%以下となるように調整する工程と、乳糖を0.1質量%以上2.3%以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする乳飲料の劣化抑制方法。
(11)前記タンパク質に対する前記乳糖の質量比率が0.01以上0.58以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする(10)に記載の乳飲料の劣化抑制方法。
(12)Brixを16.0以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする(10)又は(11)に記載の乳飲料の劣化抑制方法。
本発明は、タンパク質を4.0質量%以上8.0質量%未満、脂質を0質量%以上2.7質量%以下及び乳糖を0.1質量%以上2.3質量%以下含有することを特徴とする乳飲料並びにその製造方法、及びそのように各成分を調整することを特徴とする風味改善方法並びに劣化抑制方法に関するものである。
本発明において乳飲料とは、加工乳、調整乳、乳飲料及び牛乳由来の成分を含む牛乳風味を有する飲料を意味するものである。本発明の乳飲料において「牛乳風味を有する」とは、乳糖量を低減した乳糖分解乳などの牛乳類よりも甘さが抑えられており、かつ市販の低脂肪牛乳、成分無調整牛乳及び特濃牛乳と同等の甘味やコクを有することをいう。
本発明において、風味改善とは、タンパク質独特の臭み(タンパク臭)が抑制され、ミルク本来の風味が感じられながらも、脂っこさや重さがなく飲みやすい乳飲料となることを言う。
本発明において、劣化抑制とは、経時により生じる乳独特の臭みや液色の変色(褐色化)を抑制することをいう。
なお、通常の牛乳の成分は、概ね水分87.6質量%、乳脂肪3.8質量%、乳蛋白3.1質量%、乳糖4.6質量%、ビタミン・ミネラル0.9質量%である。
本発明の乳飲料においては、タンパク質の含有量を4.0質量%以上8.0質量%未満に調整する。タンパク質の含有量が4.0質量%未満であれば、風味に厚みが出にくいため、水っぽく感じるなど、物足りない印象の風味となり、8.0質量%以上ではタンパク質の臭みやえぐみが目立つようになる。この範囲であれば、通常の牛乳よりも高濃度にタンパク質を含有しながらも、独特のタンパク臭が気にならない乳飲料とすることができる。好ましくは5.0質量%以上7.5質量%以下、特に好ましくは5.0質量%以上7.0質量%以下とすることにより、ミルクの風味が感じられながらもタンパク臭が抑制される。最も好ましくは5.5質量%以上6.5質量%以下とすることにより、さらにタンパク臭や変色を抑制することも可能となる。
タンパク質の調整は、タンパク質を含有する乳由来製品やタンパク質単体製剤などの添加などの手段により調整が可能である。タンパク質は、動物性タンパク質であっても植物性タンパク質であってもよいが、好ましくは乳タンパク質製剤を添加することにより調整する。乳タンパク質は、乳等省令の規格になっているホエータンパクに限るものではなく、カゼインなどの乳に由来するタンパク質であればいずれも使用可能である。乳タンパク質製剤は市販のものを使用することができる。タンパク質は、紫外吸収法、Bradford法(クーマシーブルー法)、Lowry法(フェノール試薬法)、ビシンコニン酸法(BCA法)など一般的なタンパク質測定法により測定が可能であるが、好ましくはケルダール法を使用して測定する。
本発明の乳飲料においては、乳糖の含有量を0.1質量%以上2.3質量%以下に調整する。乳糖の含有量が0.1質量%未満であれば、ミルク感が損なわれ、2.3質量%を超えると液色が変色したり、乳糖に対する耐性が低い消費者に緩下作用が生じることがある。この範囲であれば、乳糖分解不良者に多大な負担となることなく、カルシウム吸収促進などの乳糖含有効果も期待できる。好ましくは0.1質量%以上2.2質量%以下とすることによりミルクの風味が感じられる。さらに好ましくは0.3質量%以上2.0質量%以下とすることによりミルクの風味が更に増強され、最も好ましくは0.4質量%以上1.6質量%以下に調整することにより、タンパク臭や変色を抑制することも可能となる。
乳糖の調整は、乳糖を含有する乳由来製品や乳糖単体製剤などの添加、乳糖不含有又は低含有乳製品の使用、ろ過などの手段により調整が可能であるが、好ましくは乳中の乳糖を乳糖分解酵素(ラクターゼ)処理することにより調整する。乳糖分解酵素は市販のものを使用することができ、温度や反応時間などの条件を調整することにより、乳糖含有量を調整することが可能となる。
乳糖は、HPLC分析により測定が可能である。
本発明の乳飲料は、タンパク質含有量と乳糖含有量とのバランスが重要であり、タンパク質含有量に対する乳糖含有量の質量比率[乳糖/タンパク質]が、小数点第三位を四捨五入して0.01以上0.58以下であることにより、ミルク風味を保持し、タンパク臭及び変色を抑制することが可能となる。好ましくはタンパク質含有量に対する乳糖含有量の質量比率が0.01以上0.35以下とすることによりミルクの風味が更に増強される。さらに好ましくは0.05以上0.30以下とすることによりミルクの風味が更に増強され、最も好ましくは0.07以上0.28以下に調整することにより、タンパク臭や変色をさらに抑制することが可能となる。
脂質とは、牛乳の脂肪成分であり、乳脂肪分とも言われるものである。本発明の乳飲料においては、脂質の含有量を0質量%以上2.7質量%以下に調整する。2.7質量%を超えると、生クリームのようにくどく飲みづらい飲料となる。このような範囲とすることにより、濃すぎることなく、飲みやすい飲料とすることができる。好ましくは0.1質量%以上2.0質量%以下とすることにより、タンパク臭を抑え、もったりとした不快な風味を生じさせず、粘度も抑えられる。さらに好ましくは0.1質量%以上1.6質量以下とすることにより、最も好ましくは0.1質量%以上1.0質量%以下に調整することにより、さらっとした飲みやすい印象の飲料となる。
脂質の調整は、脂質を含有する乳由来製品や乳糖単体製剤などの添加、脂質不含有又は低含有乳製品の使用、ろ過などの手段により調整が可能である。
乳糖は、HPLC分析により測定が可能である。
また、その他、公知の飲料に含まれる材料(成分)、例えば、増粘剤、ビタミン類、甘味付与剤、酸味料、香料、ミネラル分、機能性成分等を、本実施形態による効果を損なわない範囲で配合してもよい。
本発明の乳飲料は、一般的な乳飲料の製造工程において前述の成分調整を行うことにより製造することができる。例えば、水に、生乳及び無脂乳固形分を含有する組成物並びに乳タンパク質等を添加し、さらに所望により上述した他の成分を添加して攪拌し、必要に応じてpHの調整を行い、調合物を調製する。そして、その後均質化して殺菌処理を行い、容器に充填する工程により製造することができる。以下に一般的な乳飲料の製造工程を記述するが、以下の工程に制限されるものではない。
原料乳、脱脂粉乳、タンパク質などを、均一になるまで混合する。原料乳としては、牛乳、加工乳、生乳、低脂肪乳、加工乳、乳糖含有量を調整した液乳など、種々の獣乳を使用してもよい。乳糖分解酵素により乳糖量を調整する場合は、乳糖分解酵素を添加し、所望の乳糖量となるよう温度や反応時間などの条件を調整する。安定剤やカルシウムなどの添加物を適宜添加してもよい。
(2)殺菌・充填
殺菌は、乳等省令により規定している牛乳の殺菌方法、「62〜65℃までの間で30分間加熱殺菌するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で殺菌すること」に基づき実施し充填する。また、缶容器に充填する場合は、充填後に上記に基づく殺菌をレトルトにて実施することも可能である。
(試験1)
タンパク質量を変動させることによる風味及びタンパク臭の変化度合いを試験した(表1)。
(試験2)
タンパク質量及び乳糖を変動させることによるミルク感、タンパク臭及び液色の変化度合いを試験した(表2)。
(試験3)
タンパク質量、乳糖量及び脂質量を変動させることによるタンパク臭及び液色の変化度合いを試験した(表3)。
乳糖調整乳、乳タンパク質製剤(日本新薬社製ミルカMPI(タンパク質85%以上、乳糖0.5%、脂質2%以下)全粉乳及び脱脂粉乳を表1に記載の配合量添加し、イオン交換水で希釈して全量を100gにした。60℃に到達するまで加熱した後、缶に充填し、115℃にて1分間レトルト殺菌処理を実施した。
実施例1のサンプル作成方法を基準とし、表1〜3に示すようにそれぞれの添加量を変更して、乳飲料(サンプル)を作製した。
実施例1〜9及び比較例1〜17の各乳飲料を用いて、品温10℃における官能評価及び、製造後37度で2週間保管後の変色の度合い評価を実施した。結果を表1〜3に示す。
冷蔵庫に保管して品温を10℃にした各乳飲料を、熟練した評価者5名に飲用してもらい、風味、タンパク臭及びミルク感について適宜官能評価をした。各項目について、以下の評価基準に従い評価した。
<37度2週間経過時評価>
冷蔵庫に2週間保管して品温を10℃にした各乳飲料と、37℃2週間経過した各乳飲料とを熟練した審査官5名が見比べることにより、変色の度合いを評価した。
以下の評価を適宜採用することにより、実施例及び比較例を評価した。
<風味>
1:通常の牛乳よりもかなり劣る。
2:通常の牛乳よりもやや劣る。
3:通常の牛乳と同等程度である。
4:通常の牛乳よりもややよい。
5:通常の牛乳よりもかなりよい。
1:かなりタンパク臭を感じる。
2:通常の牛乳よりもややタンパク臭を感じる。
3:通常の牛乳と同等程度である。
4:あまりタンパク臭が感じられない。
5:タンパク臭が全く感じられない。
1:通常の牛乳よりもかなり劣る。
2:通常の牛乳よりもやや劣る。
3:通常の牛乳と同等程度である。
4:通常の牛乳よりもややよい。
5:通常の牛乳よりもかなりよい。
1:かなり変色している。
2:やや変色している。
3:少し変色しているが、製品としては問題ない程度である。
4:わずかに変色している。
5:全く変色していない。
×:評価に1が含まれるか、又は3/10以下若しくは5/15以下。
△:評価が全て2以上、かつ4/10以上又は6/15以上。
○:評価が全て3以上、かつ6/10以上又は9/15以上。
◎:評価が全て3以上、かつ7/10以上又は11/15以上。
試験2においては、タンパク質量及び乳糖を変動させることによるミルク感、タンパク臭及び液色の変化度合いを試験した。その結果、タンパク質を、4.0質量%以上含有し、かつ乳糖を0.5質量%以上2.5質量%未満含有する実施例5〜8の乳飲料は、通常の牛乳よりも高濃度のタンパク質含有量でありながらも、ミルク感及びタンパク臭が通常の牛乳と同等又はそれ以上に良好であり、かつ液色の変色が抑制されていた(表2)。
試験3においては、タンパク質量、乳糖量及び脂質量を変動させることによる風味及びタンパク臭の変化度合いを試験した。その結果、タンパク質を、6.0質量%以上含有し、乳糖を1.0質量%以上かつ脂質を0質量%以上2.0質量%以下含有する、Brix16以下の実施例8〜10の乳飲料は、通常の牛乳よりも高濃度のタンパク質含有量でありながらも、風味及びタンパク臭が通常の牛乳と同等に良好であり、風味のバランスが良好な飲料であった(表3)。
以上より、本発明は、タンパク質を効率良く摂取でき、風味が良好であり、かつ経時による品質の劣化が抑制された乳飲料を提供することが可能となる。
本発明の乳飲料は、タンパク質を比較的多く含有していてもタンパク臭などの風味上の問題が発生せず、ミルク感のある風味の良好な飲料となる上、経時による液色の褐色化など、品質の劣化もまた抑制することができる。したがって、高齢者や幼児など、人体を維持するのに必要な栄養素を多く摂取する必要があるにも関わらず、大量に摂取するのが困難な消費者が、継続的に効率良くタンパク質等の栄養分を摂取するのに有用であると言える。
Claims (12)
- タンパク質を4.0質量%以上8.0質量%未満、脂質を0質量%以上2.7質量%以下、及び乳糖を0.1質量%以上2.3質量%以下含有することを特徴とする乳飲料。
- 前記タンパク質に対する前記乳糖の質量比率が0.01以上0.58以下であることを特徴とする請求項1に記載の乳飲料。
- Brixが16.0以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の乳飲料。
- タンパク質を4.0質量%以上8.0質量%未満となるように調整する工程と、脂質を0質量%以上2.7質量%以下となるように調整する工程と、乳糖を0.1質量%以上2.3%以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする乳飲料の製造方法。
- 前記タンパク質に対する前記乳糖の質量比率を0.01以上0.58以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の乳飲料の製造方法。
- Brixを16.0以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする請求項4又は5のいずれかに記載の乳飲料の製造方法。
- タンパク質を4.0質量%以上8.0質量%未満となるように調整する工程と、脂質を0質量%以上2.7質量%以下となるように調整する工程と、乳糖を0.1質量%以上2.3%以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする乳飲料の風味改善方法。
- 前記タンパク質に対する前記乳糖の質量比率が0.01以上0.58以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の乳飲料の風味改善方法。
- Brixを16.0以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の乳飲料の風味改善方法。
- タンパク質を4.0質量%以上8.0質量%未満となるように調整する工程と、脂質を0質量%以上2.7質量%以下となるように調整する工程と、乳糖を0.1質量%以上2.3%以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする乳飲料の劣化抑制方法。
- 前記タンパク質に対する前記乳糖の質量比率が0.01以上0.58以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の乳飲料の劣化抑制方法。
- Brixを16.0以下となるように調整する工程を含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の乳飲料の劣化抑制方法。
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